JPH10326602A - 電池及びその製造方法 - Google Patents

電池及びその製造方法

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JPH10326602A
JPH10326602A JP9135085A JP13508597A JPH10326602A JP H10326602 A JPH10326602 A JP H10326602A JP 9135085 A JP9135085 A JP 9135085A JP 13508597 A JP13508597 A JP 13508597A JP H10326602 A JPH10326602 A JP H10326602A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アルカリ金属と有機高分子材料を用いたシー
ル性能に優れたシート状電池とその製法を提供する。 【解決手段】 アルカリ金属、又はアルカリ金属とII
族もしくはIII族の金属との合金、又はアルカリ金属
イオン吸蔵能のあるカーボンを構成材料とする負極3
と、非水系電解質2と、正極材料1とからなる電池本体
を、高分子膜上に水及び酸素の透過を防ぐ材料製の薄膜
層を形成し、更にこの薄膜上に接着層を設けたラミネー
ト箔の外装材料4内に収容し、且つ、正極リード6及び
負極リード7として金属箔の両面に接着層を形成した導
電材料を使用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、負極の電極物質に
アルカリ金属又はそれに準じる物質を用いた電池、特に
シート状にするのが容易な電池と、その製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、マイクロエレクトロニクス、とり
わけ半導体素子製造技術の顕著な進歩により、大規模集
積回路(VLSI)に代表される、高度に集積化された
高機能デバイスが実現されている。これを種々の装置の
制御系に採用することにより、電子機器は飛躍的な小型
化を達成し、各種産業のみならず、一般家庭における家
電製品の小型化・多機能化にも大きく貢献している。
【0003】このように小型化した電子機器は、自立し
た電源装置を有し、商用電源等に頼ることなく動作可能
な、いわゆるコードレス化の方向に進んでいる。そし
て、自立した電源装置としては、一般的に電池が用いら
れていて、こうした電池には、電子機器全体の小型軽量
化や装置の長時間オペレーションのために、ますます高
性能化が求められている。
【0004】電子機器全体の小型軽量化に適したものと
して、近年、導電性高分子物質などを正極活物質に用
い、電解質として高分子固体電解質を用い、そして負極
材料にアルカリ金属などの物質を用いた電池が注目され
ている。それは、アルカリ金属が軽量である上に、有機
物質である導電性高分子物質が軽量であること、及びこ
の導電性高分子物質を正極活物質とする電極と高分子固
体電解質とのマッチングが良く、且つこの電極が優れた
柔軟性を有するために電池自身の加工性に優れているこ
と、等の特長を有するからである。
【0005】これまで、正極活物質に導電性高分子を、
負極材料にアルカリ金属などの物質を用いる電池におい
ては、反応性の極めて高いアルカリ金属に対し、空気中
の水分や酸素・窒素などの反応性物質が接触するのを避
けるため、外装材としてステンレス鋼の缶などを使用し
ていた。すなわち、ハーメチックシールに代表されるよ
うに、圧入又は溶接によって、電池の構成物質を入れた
ステンレス鋼などの金属容器を密閉することにより、空
気中の反応性物質の侵入を防いでいた。また、アルミ箔
などの金属箔を使用し、その一部に電極の露出する穴を
設けることにより、平面状の電池を形成することも提案
されている。いずれにしても、空気中からの水などの物
質の侵入を防ぐには、高度なシール技術が要求されてい
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】導電性高分子物質を正
極活物質に用い、電解質として高分子固体電解質を用
い、そして負極材料にアルカリ金属などの物質を用いた
電池の特長である軽量性と電池自身の良好な加工性の特
長を活かすことにより、従来では実装不可能であった箇
所にも実装の可能なシート状電池の製造の道が開かれる
ようになった。ところが、外装材として金属缶などを使
用する場合においては、金属缶そのものの剛性が高い
上、溶接したシール部分に応力がかかるとシール部の変
形によってシール性が低下するという問題があった。こ
のため、電極及び電解質の工夫によって薄いシート状に
加工ができたとしても、今までは電池全体としてシート
状にすることが難しかった。
【0007】一方、アルミ箔等の金属箔を外装材として
使用してシート状電池を構成した場合、シート状電池の
表面に電極の露出孔を設ける必要から、この部分のシー
ルを行う必要があり、シール方法が複雑になる問題があ
って、シールの信頼性の問題とともに電池の低コスト化
に対して障害となっていた。
【0008】よって、本発明の目的は、アルカリ金属と
有機高分子材料を用いたシール性能に優れたシート状電
池を提供すること、更にはそのような電池を確実且つ低
廉に製造する方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本願発明による電池は、
アルカリ金属、又はアルカリ金属とII族もしくはII
I族の金属との合金、又はアルカリ金属イオン吸蔵能の
あるカーボンを構成材料とする負極と、非水系電解質
と、正極材料とからなる電池本体を、高分子膜上に水及
び酸素の透過を防ぐ材料製の薄膜層を形成し、更にこの
薄膜上に接着層を設けたラミネート箔の外装材料内に収
容し、且つ、金属箔の両面に接着層を形成した導電材料
から正極及び負極用のそれぞれのリードを構成したこと
を特徴とするものである。
【0010】また、本発明による電池の製造方法は、ア
ルカリ金属、又はアルカリ金属とII族もしくはIII
族の金属との合金、又はアルカリ金属吸蔵能のあるカー
ボンを構成材料とする負極と、非水系電解質と、正極材
料とから電池本体を作製し、金属箔の両面に接着層を形
成した導電材料のリードを負極と正極のおのおのに接合
し、そしてこれらのリードを備えた電池本体を、高分子
膜上に水及び酸素の透過を防ぐ材料製の薄膜層を形成
し、更にこの薄膜上に接着層を設けたラミネート箔の外
装材料で包み、この外装材料に対して加熱と加圧の両方
又は一方を適用して密閉することにより電池を製造する
ことを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】図1に、本発明の電池10の構成
を模式的に示す。この図において、1は正極材料、2は
非水系電解質、3は負極材料であり、これらにより電池
本体が形成されている。この電池本体を、外装材料4が
密閉して覆っている。更に、正極材料1と負極材料3に
はそれぞれ正極リード6と負極リード7の一端が接続し
ていて、これらのリードの他端は外装材料4を貫通して
外部に出ている。図1では、正極リードと負極リードは
電池10の外部で接触しているかのように見えるが、こ
れらは平面的には図2の上面図から明らかなように異な
る位置に配置されていて、互いに接触することがないよ
うにされている。
【0012】正極材料1(図1)を構成する正極物質に
は、コバルト酸リチウム(LiCoO2 )、五酸化バナ
ジウム(V2 5 )など、リチウムイオン吸蔵能のある
酸化物等の物質を用いることができる。この場合は、正
極活物質自身に導電性がないため、導電性高分子(その
代表例はポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェ
ン、ポリアセチレンや、あるいはこれらの誘導体など)
との複合化や、導電材(カーボン)及びフッ素樹脂バイ
ンダとの複合化によりシート化して導電性を付与したも
のを正極材料として用いる。上述の二つの酸化物以外に
も、例えばLiNiO2 、LiMn2 4 、LiV2
4 、LiV3 8 、V6 13、FeOOH、MoO3
MoS2 、SnS2 、SnSe2 等も使用可能である。
【0013】あるいは、ポリアニリン、ポリピロール、
ポリチオフェン、ポリアセチレンを始めとし、これらの
誘導体などを含めた、いわゆる導電性高分子と称する一
群の物質を、正極物質として用いることもできる。これ
ら正極物質により正極材料を形成するには、導電性高分
子材料を適当な溶媒に溶解した溶液を基板上に塗布・展
開し、乾燥することにより製膜する、いわゆるキャスト
法や、これらの導電性高分子の対応する単量体の溶液中
で電気分解により製膜する、いわゆる電解重合法を用い
ることができる。
【0014】一方、負極材料3(図1)には、還元性の
大きい、すなわち容易に酸化される性質を有する材料が
使用され、具体的にはアルカリ金属、望ましくはリチウ
ム、あるいはアルカリ金属とII族もしくはIII族の
金属との合金、一例としてリチウムとアルミニウムとの
合金が使用される。また、安全性の向上のために、リチ
ウムイオンに代表されるカルカリ金属イオンの吸蔵能力
を有するカーボン材料を用いてもよい。
【0015】非水系電解質2(図1)には、ポリエチレ
ンオキサイド、ポリアクリルニトリル、ポリビニルピリ
ジン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコールなど、比
誘電率が高く、無機塩が容易にそのマトリクス中で解離
でき、且つイオンの輸送が速やかに生じる高分子固体電
解質系を用いることができる。この系に、プロピレンカ
ーボネート、エチレンカーボネート、γ−ブチロラクト
ンなどの有機溶媒を添加して、イオン輸送性をより向上
させることもできる。
【0016】また、プロピレンカーボネート、エチレン
カーボネート、γ−ブチロラクトンなどの有機溶媒に過
塩素酸リチウム、テトラフルオロホウ酸リチウム、トリ
フロロメタンスルホン酸リチウムなどの無機塩を溶かし
て調製した非水系電解質溶液を用いてもよい。
【0017】外装材料4(図1)としては、ポリエステ
ル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロン、ポリイ
ミドなどの強度を有する高分子膜上に、水及び酸素の透
過を防ぐ材料製の薄膜層を形成したものを用いることが
できる。本発明において有用な、水及び酸素の透過を防
ぐ材料の代表例は、ケイ素酸化物、チタン酸化物、アル
ミニウム酸化物等の、一般にセラミック材料の原料とな
り得る酸化物である。このような材料の薄膜を高分子膜
上に形成するのには、蒸着法のような任意の適当な方法
を利用することができる。
【0018】高分子膜上に形成する、水及び酸素に対し
耐透過性を示す材料としては、上記の如き酸化物以外に
も、例えばアルミニウム、金、銀、コバルトといったよ
うな金属を採用することもでき、これらの材料の薄膜は
高分子膜上に蒸着法によって容易に形成することができ
る。
【0019】本発明においては、外装材料による密閉性
を高めるため、水及び酸素の透過を防ぐ材料製の薄膜上
にポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロン等の熱可塑
性高分子層を接着層として設けたラミネート箔を外装材
料として用いる。この接着層の熱可塑性高分子材料は、
単一の物質又は二つ以上の物質を混合して用いてもよ
く、あるいは2種以上の単量体を共重合させたものを用
いてもよい。この高分子物質の融点は、80〜200
℃、好ましくは100〜180℃の範囲にあり、電熱
線、赤外線、熱風、又は適当な熱媒体からの伝熱の作用
により、短時間に溶融することが求められる。
【0020】この熱可塑性高分子層を備えた外装材料を
使って電池を密封する際には、熱可塑性高分子層の面ど
おしを対向させ、電熱線、赤外線、熱風、又は適当な熱
媒体からの伝熱の作用により加熱溶融しながら圧力を加
えることによって、高分子材料どおしを溶融・混合さ
せ、そのまま冷却することで融着させる。
【0021】また、接着層の熱可塑性高分子材料の代わ
りに、圧力の適用によって接着する、いわゆる感圧型接
着剤を塗布してもよい。感圧型接着剤は、常温で圧力を
加えるだけで接着する接着剤であり、ゴム系、アクリル
系、シリコーン系などの粘着剤系感圧型接着剤や、エポ
キシ系のマイクロカプセル系感圧型接着剤などの種類が
あり、いずれも圧着により強力に接着する。本発明にお
いて使用可能な感圧型接着剤の例としては、シリコーン
系付加反応型接着剤(トーレ・シリコーン社製SD45
60、SD4570、SD4580など)や、アクリル
系感圧型接着剤(東洋インキ製造社製オリバインBPS
8170)や、マイクロカプセル型感圧型接着剤(三井
東圧化学社製ストラクトボンドなど)等を挙げることが
できる。
【0022】更に、熱可塑性高分子材料に代えて、熱を
与えることにより硬化反応を開始する熱硬化型接着剤を
使用することも可能である。熱硬化型接着剤としては、
EVA(エチレンビニルアセテート)系(コニシ社製ボ
ンドMH153、MH859)、エラストマー系(セメ
ダイン社製HM−408、HM−409)、ポリアミド
系(積水化学社製エスダイン9890)等のほかに、ポ
リエステル系、ポリオレフィン系などの各種ホットメル
ト接着剤などを使用することができる。これらの接着剤
については、厳密に言うと、熱硬化型というよりも熱溶
融硬化型と言うほうが適当かもしれない。
【0023】本発明で使用する外装材料の概要を図で表
せば、図3のようになる。この図において、4は外装材
料、21は高分子膜、22はその上に形成した水及び酸
素の透過防止薄膜、23は更にこの透過防止薄膜22の
上に形成した熱可塑性高分子材料、感圧型接着剤、又は
熱硬化型接着剤の接着層である。
【0024】外装材料を構成する各膜あるいは層の厚み
は、使用する材料の特性(例えば強度、水及び酸素の透
過防止性等)に応じて適宜選べばよい。一例として、水
及び酸素の透過防止薄膜として使用するケイ素酸化膜に
ついては、その膜厚を0.001μm〜100μm、好
ましくは0.01μm〜10μm、特に好ましくは0.
1μm〜5μmとすることができる。この膜は、従来か
ら使用されている金属箔に比べると軽量で、金属と同様
な柔軟性を有するため、柔軟なパッケージの軽量化に寄
与できる。
【0025】正極及び負極のリード6、7(図1)に
は、アルミニウム、銅、亜鉛、鉄、ステンレス鋼などの
金属箔の両面に、接着層として熱可塑性の高分子材料を
塗布したラミネート箔を用いる。この熱可塑性の高分子
材料は、前述の外装材料と同様の高分子材料を用いるこ
とができる。また、熱可塑性の高分子の代わりに、圧力
を加えることよって接着する、いわゆる感圧型接着剤を
塗布してもよい。あるいは、熱を与えることにより硬化
反応を開始する、熱硬化型接着剤を用いてもよい。これ
らの感圧型接着剤も熱硬化型接着剤も前述の外装材料の
場合と同様のものを使用することができる。リード6、
7が正極材料1及び負極材料3(図1)と接する部分に
ついては、リードと正極又は負極材料との電気的接続を
確保するため、通常は高分子材料あるいは接着剤を塗布
しないようにする。また、外装材料から電池の外部に出
た部分にも、高分子材料あるいは接着剤は存在しなくて
差し支えない。
【0026】本発明で使用するリードの概要を図で表せ
ば、図4のようになる。この図において、30はリード
であり、31は金属箔、そして32は接着層である。
【0027】本発明の電池を製造する際には、正極材料
1、非水系電解質2、負極材料3を重ね合わせて電池本
体を作成し、正極材料1と負極材料3のそれぞれ正極リ
ード6と負極リード7を接合し、こうしてリードを用意
した電池本体を、外装材料4の水及び酸素の透過防止薄
膜上に形成した熱可塑性高分子(あるいは接着剤)膜ど
おしを対向させて外装材料4で包み、この外装材料4に
対して加熱と加圧の両方又は一方を適用して、熱可塑性
高分子材料を融着させあるいは接着剤の接着効果を生じ
させることにより、電池を密封すると同時にリードの外
装材料貫通部のシールを行って電池を完成することがで
きる。
【0028】このように、本発明では、アルカリ金属又
はそれに類する負極を使用する電池において、高分子膜
上に水及び酸素の透過に効果のある薄膜層を形成し、更
にその上に熱可塑性の高分子物質又は熱硬化型もしくは
感圧型接着剤の層を設けて複合化した外装材料を用いた
ことと、金属箔の両面に接着層として熱可塑性高分子物
質あるいは熱硬化型もしくは感圧型接着剤を塗布した導
電材料によりリードを構成したことにより、電極を電池
内部から系外に引き出す時のシール処理が電池本体を外
装材料内に密封する処理と同時にできるため、製造工程
を少なくすることができるとともに、シールの信頼性を
大きく向上させることができる。また、接着層が高分子
物質であるため、柔軟性・可とう性の高い電池を作製す
ることが可能になる。更に、透過防止用の薄膜層は軽量
で水分あるいは酸素のブロッキング性も高いため、電池
全体の軽量化と耐湿性の向上による信頼性を上げること
ができる。
【0029】例えば、本発明の電池を薄い板状に加工す
ることで、柔軟性を有する、厚み1mm程度のシート状電
池を得ることができる。このシート状電池によって、従
来では実装不可能であった箇所に電池を実装することが
可能となり、装置の総合的な小型化を達成することが可
能になる。
【0030】
【実施例】本発明に基づく実施例を以下に示す。なお、
本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0031】〔実施例1〕コバルト酸リチウム(LiC
oO2 )とアセチレンブラックの9:1混合粉末40重
量部に対し、末端エポキシ化エチレングリコール(ナガ
セ化成社製EX−810)8重量部、ジアミノジフェニ
ルメタン1重量部と、プロピレンカーボネート110重
量部を混合・混練し、得られた混合物を正極集電体(3
0μm厚ステンレス箔)上に150μm圧に塗布し、そ
して150℃で30分乾燥して正極材料を作製した。
【0032】次に、ポリエチレンオキサイドモノアクリ
レート(共栄社化学製ライトアクリレート90G)50
0重量部と、ポリエチレンオキサイドジアクリレート
(共栄社化学製ライトアクリレート9EG−A)50重
量部を、1Mの四フッ化ほう酸リチウムを含む500重
量部のプロピレンカーボネートに溶解し、更に1重量部
のリボフラビンと1重量部の過酸化ベンゾイルを混合・
溶解して、固体高分子電解質形成用の重合反応溶液を調
製した。
【0033】先に作製した正極材料上に、固体高分子電
解質形成用重合反応溶液を厚み200μmとなるように
塗布し、超高圧水銀ランプの紫外光(1mW/cm2 )を5
分間照射し、重合させてゲル状の電解質フィルムを形成
して半電池を作製した。
【0034】更に、この半電池の固体高分子電解質側
に、負極金属として、ステンレス鋼の箔上に支持された
リチウム箔(厚み100μm)を圧着し、電池本体(電
池セル)を形成した。
【0035】こうして形成した電池本体の正極及び負極
に、銅箔(厚み30μm)の両面にポリウレタン系熱可
塑性樹脂(パナック社製HM樹脂)を塗布(厚み20μ
m)した導電材料をリードとしてスポット溶接して固定
した。更に、ポリエチレンテレフタレート(PET)フ
ィルム(膜厚100μm)の表面にSiO2 層0.02
μmを真空蒸着で形成した複合フィルムのSiO2 層面
に、リードの銅箔に塗布したのと同じポリウレタン系熱
可塑性樹脂を塗布(厚み30μm)して作製した外装材
料を、その樹脂塗布面を内側にして2枚を対向させ、こ
の間に上記の電池本体を配置し、次いで周囲を150℃
で5秒間、線状に加熱し、熱可塑性樹脂を溶融させて接
着し、実施例1の電池を得た。
【0036】〔実施例2〕1N塩酸酸性の0.2Mアニ
リン水溶液に、アニリンと等モルの過硫酸アンモニウム
を添加し、−5℃で化学重合処理することで、溶媒可溶
性のポリアニリンを得た。このポリアニリンをアンモニ
ア水溶液中で煮沸還流し、純水で洗浄後、加熱乾燥し
て、塩素分のない脱ドーピングされたポリアニリン酸化
体を得た。
【0037】このポリアニリン酸化体10重量部をN−
メチル−2−ピロリドン20重量部に溶解して得た溶液
を、SUS 304のステンレスメッシュ集電体上に流
延し、90℃で1時間減圧乾燥して、厚み約100μm
の正極材料を得た。
【0038】次に、ポリエチレンオキサイド(分子量2
0000)10重量部にアセトニトリル30重量部、テ
トラフロロほう酸リチウム1重量部、炭酸プロピレン5
重量部を十分に攪拌混合したのち、速やかに上述の正極
材料上に展開し、80℃で1時間減圧乾燥することによ
り、正極材料と高分子固体電解質が密着した構造の電池
の半部品を形成した。
【0039】更に、この電池半部品の高分子電解質側
に、SUS 304のステンレスメッシュに負極金属と
してリチウム箔(厚み0.2mm)を圧着した負極材料を
接触させ、電池本体を形成した。
【0040】続いて、実施例1で使用したのと同じ外装
材料とリードを用い、そしてやはり実施例1と同じやり
方で、実施例2の電池を得た。
【0041】〔実施例3〕実施例2と同様に構成した電
池本体に、銅箔(厚み30μm)の両面にポリアミド系
熱硬化型接着剤(積水化学社製エスダイン9890)を
塗布(厚み20μm)した導電材料をリードとしてスポ
ット溶接して固定した。続いて、PETフィルム(膜厚
100μm)の表面にSiO2 層0.02μmを真空蒸
着で形成した複合フィルムのSiO2 層面に、上記のポ
リアミド系熱硬化型接着剤を塗布(厚み30μm)して
作製した外装材料を、その樹脂塗布面を内側にして2枚
を対向させ、この間に上記の電池本体を配置し、次いで
周囲を180℃で5秒間、線状に加熱し、接着剤の硬化
反応を活性化して、10分間1kg/cm2 の加圧状態で保
持することで接着し、実施例3の電池を得た。
【0042】〔実施例4〕実施例2と同様に構成した電
池本体に、銅箔(厚み30μm)の両面にマイクロカプ
セル感圧型接着剤(三井東圧化学社製ストラクトボン
ド)を塗布(厚み20μm)した導電材料をスポット溶
接して固定した。次に、PETフィルム(膜厚100μ
m)の表面にSiO2 層0.02μmを真空蒸着で形成
した複合フィルムのSiO2 層面に、上記のマイクロカ
プセル感圧型接着剤を塗布(厚み30μm)して作製し
た外装材料を、その樹脂塗布面を内側にして2枚を対向
させ、この間に上記の電池本体を配置し、10分間1kg
/cm2 の加圧状態で保持することで接着し、実施例4の
電池を得た。
【0043】こうして作製した実施例1〜4の電池は、
全て柔軟性・可とう性に富み、繰り返し100回以上9
0°に折り曲げでもシール性の低下は見られなかった。
また、正極リードと負極リードが外装材料を通じて短絡
することもなく、信頼性に優れた電極リードを電池外部
に導き出すことが可能であった。また雰囲気を50℃、
相対湿度80%の高温高湿環境に100時間暴露して
も、特性の変化は見られなかった。
【0044】
【発明の効果】以上示したように、本発明によれば、シ
ート状に成形可能な電池において、その外装材料に水及
び酸の透過防止薄膜層を形成した高分子膜を用い、その
表面とリードとして用いる導電材料の表面の両者に、熱
又は圧力によって接着性を発現する材料を組み合わせる
ことにより、信頼性の高いシールを容易に実現すること
が可能となり、電池の軽量化及び高信頼化と、工程の簡
略化による低廉下に大きな効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電池を説明する概要図である。
【図2】本発明の電池の上面図である。
【図3】本発明の電池で使用する外装材料を説明する図
である。
【図4】本発明の電池で使用するリードを説明する図で
ある。
【符号の説明】
1…正極材料 2…非水系電解質 3…負極材料 4…外装材料 6…正極リード 7…負極リード 10…電池 21…高分子膜 22…透過防止膜 23…接着層 30…リード 31…金属箔 32…接着層

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルカリ金属、又はアルカリ金属とII
    族もしくはIII族の金属との合金、又はアルカリ金属
    イオン吸蔵能のあるカーボンを構成材料とする負極と、
    非水系電解質と、正極材料とからなる電池本体を、高分
    子膜上に水及び酸素の透過を防ぐ材料製の薄膜層を形成
    し、更にこの薄膜上に接着層を設けたラミネート箔の外
    装材料内に収容し、且つ、金属箔の両面に接着層を形成
    した導電材料から正極及び負極用のそれぞれのリードを
    構成したことを特徴とする電池。
  2. 【請求項2】 前記外装材料の薄膜層を形成している水
    及び酸素の透過を防ぐ材料が酸化物である、請求項1記
    載の電池。
  3. 【請求項3】 前記酸化物がケイ素、チタン又はアルミ
    ニウムの酸化物である、請求項2記載の電池。
  4. 【請求項4】 前記外装材料の薄膜層を形成している水
    及び酸素の透過を防ぐ材料が金属である、請求項1記載
    の電池。
  5. 【請求項5】 前記外装材料の接着層が熱可塑性高分子
    物質で形成されている、請求項1から4までのいずれか
    一つに記載の電池。
  6. 【請求項6】 前記外装材料の接着層が熱硬化型接着剤
    で形成されている、請求項1から4までのいずれか一つ
    に記載の電池。
  7. 【請求項7】 前記外装材料の接着層が感圧型接着剤で
    形成されている、請求項1から4までのいずれか一つに
    記載の電池。
  8. 【請求項8】 前記リードの接着層が熱可塑性高分子物
    質で形成されている、請求項1から7までのいずれか一
    つに記載の電池。
  9. 【請求項9】 前記リードの接着層が熱硬化型接着剤で
    形成されている、請求項1から7までのいずれか一つに
    記載の電池。
  10. 【請求項10】 前記リードの接着層が感圧型接着剤で
    形成されている、請求項1から7までのいずれか一つに
    記載の電池。
  11. 【請求項11】 アルカリ金属、又はアルカリ金属とI
    I族もしくはIII族の金属との合金、又はアルカリ金
    属イオン吸蔵能のあるカーボンを構成材料とする負極
    と、非水系電解質と、正極材料とから電池本体を作製
    し、金属箔の両面に接着層を形成した導電材料のリード
    を負極と正極のおのおのに接合し、そしてこれらのリー
    ドを備えた電池本体を、高分子膜上に水及び酸素の透過
    を防ぐ材料製の薄膜層を形成し、更にこの薄膜上に接着
    層を設けたラミネート箔の外装材料で包み、この外装材
    料に対して加熱と加圧の両方又は一方を適用して密閉す
    ることにより電池を製造することを特徴とする電池の製
    造方法。
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