JPH10322890A - 差動継電器 - Google Patents

差動継電器

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JPH10322890A
JPH10322890A JP9144739A JP14473997A JPH10322890A JP H10322890 A JPH10322890 A JP H10322890A JP 9144739 A JP9144739 A JP 9144739A JP 14473997 A JP14473997 A JP 14473997A JP H10322890 A JPH10322890 A JP H10322890A
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JP9144739A
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Fumio Ando
文郎 安藤
Chikao Sato
力生 佐藤
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Toshiba Corp
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Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高感度かつ高速度の保護が可能な変圧器保護
用の差動継電器を得る。 【解決手段】 変圧器用(負荷時タップ切り替え,一次
二次単巻き,三次絶縁変圧器)の差動リレーで、動作
量,抑制量を下記の動作電流iD ,抑制電流iR から取
得する。 【数1】iD =nS 1 +(nC +KD )(i1
2 )+n3 3 …………(1) iR =(i1 +i2 ) ………………………
……(2) 差動リレーに入力される各端子電流は必ずしも正弦波で
はなく高調波分を含む。このような場合、各端子毎の電
流波形とタップ誤差分電流の波形とでは等しくない。し
たがって演算アルゴリズムの歪み波誤差により、演算誤
差が各端子電流及びタップ誤差分電流で異なったものと
なる。そこでタップ誤差分電流と完全な比例関係にある
抑制電流を得て、抑制量を主としてこの抑制電流と比例
関係にある量とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、変圧器保護用の差
動継電器、特に差動継電器の抑制量の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】本発明が適用される変圧器バンクの構成
を図面を用いて説明する。図2はタップ切り替え変圧器
を有する変圧器バンクの1相分の接続を示す図である。
この変圧器バンクは、直列に接続された直列巻線WS
び共通巻線WC 並びにこれらの巻線から絶縁された三次
巻線W3 を有する単巻変圧器と、励磁巻線WE 及びタッ
プ切り替え巻線WT を有するタップ切り替え変圧器とよ
りなる。
【0003】これらの巻線は、三次巻線W3 と励磁巻線
E が並列に接続され、共通巻線WC が直列巻線WS
接続されていない側でタップ切り替え器TCを経て、タ
ップ切り替え巻線WT のタップと直列に接続される。タ
ップ切り替え巻線のタップは、変圧器の運転状態に応じ
て随時切り替えられる。
【0004】変圧器の各端子電流は、一次端子T1 の電
流i1 が直列巻線WS の共通巻線WC が接続されない側
より直列巻線WS に流入し、二次端子T2 の電流i2
直列巻線WS と共通巻線WC の接続点に流入し、三次端
子T3 の電流i3 が三次巻線W3 と励磁巻線WE の接続
点に流入する。
【0005】図3は本発明が適用される他の変圧器バン
クの構成図であり、共通巻線に切り替えタップを有する
変圧器バンクの1相分の接続を示す図である。変圧器バ
ンクは、直列に接続された直列巻線WS 及び共通巻線W
C 並びにこれらの巻線から絶縁された三次巻線W3 を有
し、共通巻線WC には切り替えタップを有する。共通巻
線WC のタップは直列巻線WS が接続されない側でタッ
プ切り替え器TCに接続され、変圧器の運転状態に応じ
て随時切り替えられる。
【0006】この場合、変圧器の各端子電流は、一次端
子T1 の電流i1 が直列巻線WS の共通巻線WC が接続
されない側より直列巻線WS に流入し、二次端子T2
電流i2 が直列巻線WS と共通巻線WC の接続点に流入
し、三次端子T3 の電流i3が三次巻線W3 に流入す
る。
【0007】従来、上記変圧器を含む一般の変圧器保護
用差動継電器は比率差動要素と電流波形識別要素とを有
し、比率差動要素と電流波形識別要素の両者がともに動
作したとき保護するように構成されている。電流波形識
別要素は、励磁突入電流が流れたとき不動作によるよう
に構成され、励磁突入電流による誤トリップを防ぐ。上
記従来技術では「励磁突入電流識別要素が不動作のとき
保護する」と説明されているが、説明の便宜上同一内容
を「電流波形識別要素が動作したとき保護する」として
説明する。
【0008】このうち比率差動要素は変圧器の各端子よ
り流入する電流を各巻線の変圧比で補正した値の和、即
ち、差動電流を動作電流とし、動作量を主としてこの電
流より取得して、動作量が主として各端子電流より取得
された抑制量より大きいとき動作するように構成されて
いる。
【0009】このような構成の継電器が、本発明が対象
とする三次巻線つきの単巻変圧器とタップ切り替え変圧
器とよりなる変圧器バンク(又は三次巻線及び切り替え
タップつき単巻変圧器)に適用される場合の、最も一般
的なディジタル演算形継電器の比率差動要素の動作式を
(1) 式に示す。なお、動作量は(2) 式に、抑制量は(3)
式に、差動電流(動作電流)の瞬時値iD は(4) 式に夫
々示す。
【0010】
【数1】 QOP>QR ……………………………(1) QOP=MID ……………………………(2) QR =KR ×{(nS +nC )MI1,nC I2,n3 I3 の和又は最大値}との和又は最大値 ………(3) iD =(nS +nC )i1 +nC 2 +n3 3 ………(4)
【0011】又、nS ,nC ,n3 は各々直列,共通及
び三次巻線の巻き回数(但し、図2の切り替えタップつ
き単巻変圧器の場合、nC はタップ切り替え位置が標準
状態の場合の巻き回数)、MID,MI1,MI2,MI3は各
々電流iD ,i1 ,i2 ,i3 の振幅演算値、KR ,K
C は正の定数、i1 ,i2 ,i3 は各々一次,二次,三
次端子の電流の瞬時値である。振幅演算値を算出するア
ルゴリズムは公知である(例えば昭和56年7月電気学
会発行「保護継電工学」第112頁)。
【0012】電流波形識別要素のうち抑制量を用いるも
のとしては、次のようなものが公知である。 ・波形弁別法:差動電流が流れているとき、その瞬時値
又は瞬時値の変動により生じる動作量が(3) 式の抑制量
R と同様な抑制量より小さい期間(以後、微電流期間
という)が各サイクル毎に一定時間以上継続することが
なければ、事故電流であるとみなして動作する(例え
ば、特公昭44−9530号,特公昭51−49065
号)。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】変圧器の差動継電器で
は、(4) 式の差動電流iD が巻線のターン間短絡では小
さいため、感度をできるだけ高くすることが望まれてい
る。常時運転中の差動電流では、励磁電流は無視するこ
とができるが、タップ誤差分電流が問題となる。タップ
誤差分電流は運転中に切り替えタップが絶えず切り替え
られ、差動電流の算出にその接続状態が取り入れられな
いために生じる差動電流であり、タップ接続が標準状態
(図2の場合は巻き数0のタップに接続)でない場合に
流れる。
【0014】そしてその値は、接続されたタップ位置と
変圧器の通過電流とに応じた値である。このタップ誤差
分電流により動作量QOPを生じるが、抑制量QR がこの
動作量より大きくなるように構成され、誤動作が防止さ
れている。又、この抑制量はタップの位置に関係なし
に、タップ誤差分電流が最大となるようなタップ位置を
対象とした値とされる。したがって、タップ位置がタッ
プ誤差分電流を生じないような場合でも、負荷電流が通
過していれば感度が低下する。このため、十分な感度が
得られていないという問題があった。
【0015】又、各端子電流の波形は必ずしも正弦波形
ではなく、高調波分を含有する歪み波形の場合が多い。
このような場合、各端子毎の電流波形とタップ誤差分電
流の波形とでは等しくない。したがって、高調波分を十
分に除去せずに振幅演算を行なうと、演算アルゴリズム
の歪み波誤差により生じる演算誤差が各端子電流及びタ
ップ誤差分電流で異なったものとなる。
【0016】この演算誤差の相違による誤動作を防ぐに
は、その分抑制を強化する必要がありそのために感度が
低下する。そこでこの感度低下を防ぐために、高調波分
を十分に除去すると、動作が非常に遅くなるという問題
を生じていた。
【0017】又、事故回復時に励磁突入電流が流れる場
合、差動電流は励磁突入電流とタップ誤差分電流の和と
なり、励磁突入電流の微電流期間にもタップ誤差分電流
が流れる。このとき、波形弁別法を用いた電流波形識別
要素を不動作にするには、抑制量をタップ誤差分電流に
対応するものとする必要があり、前記と同様の問題を生
じていた。
【0018】本発明は上記課題を解決するためになされ
たものであり、高感度かつ高速度の保護が可能な変圧器
保護用の差動継電器を提供することを目的としている。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明の骨子はタップ誤
差分電流と完全な比例関係にある抑制電流を得て、抑制
量を主としてこの抑制電流と比例関係にある量とする構
成要素により、前記課題を解決しようとするものであ
る。
【0020】本発明の請求項1に係る差動継電器は、前
記変圧器の一次端子電流i1 ,二次端子電流i2 及び三
次端子電流i3 並びに直列,共通及び三次巻線の巻き回
数nS ,nC 及びn3 (但し、共通巻線にタップがある
場合は、nC はタップ切り替え位置が標準状態の場合の
巻き回数)並びに0を含む実数の定数KD により、(5)
式の動作電流iD 又はその瞬時値のサンプルデータ(フ
ィルタ処理したものを含む。以下、瞬時値データとい
う)を作成し出力する動作電流取得手段及び(6)式の抑
制電流iR 又はその瞬時値データを作成し出力する抑制
電流取得手段、動作量QOPを動作電流取得手段の出力よ
り作成する動作量算出手段、抑制量QR を抑制電流取得
手段の出力より作成する抑制量算出手段、動作量算出手
段で得られた動作量QOPが抑制量算出手段で得られた抑
制量QR に対して所定の関係より大きいことを識別して
動作信号を出力する識別手段とから構成される。
【数2】 iD =nS 1 +(nC +KD )(i1 +i2 )+n3 3 …………(5) iR =(i1 +i2 ) ……………………………(6)
【0021】本発明の作用としては、変圧器の常時運転
中の負荷電流の通過時に、小さな事故電流の内部事故が
起きた時の感度向上をねらったものである。従って、内
部事故がないときの通過電流による誤動作を、通過電流
が常時運転中の負荷電流又は比較的小さな値の事故電流
であって、変流器の飽和が起こらない場合のみを対象と
して説明する。変流器の飽和が起こる可能性のあるよう
な通過電流の場合には、例えば大電流では抑制力を強く
する、従来と同様な抑制力を参加させるなどの公知の手
段がある。
【0022】次に、請求項1の作用を説明する。常時運
転中で励磁電流が無視でき、負荷電流の通過のみを対象
として考察すれば良い状態では、動作電流iD を先ず求
める。図2の変圧器の場合、各巻線の電流に下記の関係
がある。
【数3】 iE =−Δn T =−Δn (i1 +i2 ) …………(7) iL =i3 −iE ……………………………(8) nS 1 +nC (i1 +i2 )+n3 L =0 …………(9)
【0023】但し、Δn =nT /nE であり、nT はタ
ップ切り替え変圧器のタップ切り替え巻線WT の切り替
え接続されたタップの巻き回数で減極性側タップでは
正、加極性側タップでは負である。nE はタップ切り替
え変圧器の励磁巻線WE の巻き回数、iL ,iE 及びi
T は各々三次巻線,励磁巻線及びタップ巻線の電流であ
る。
【0024】(7) ,(8) 式より(10)式が、(9) ,(10)式
より(11)式が、(5) ,(11)式より(12)式が得られる。
【数4】 iL =i3 +Δn (i1 +i2 ) …………………(10) nS 1 +(nC +n3 Δn )(i1 +i2 )+n3 3 =0 …(11) iD =(KD −n3 Δn )(i1 +i2 ) ……………(12)
【0025】図3の変圧器の場合、各端子電流には(13)
式の関係があり、(13),(5) 式より(14)式が得られる。
【数5】 nS 1 +(nC +nΔ)(i1 +i2 )+n3 3 =0 …(13) iD =(KD −nΔ)(i1 +i2 ) ……………(14)
【0026】但し、nΔは共通巻線WC の切り替え接続
されたタップの巻き回数のタップ切り替え位置が標準状
態の場合の巻き回数nC に対する差で、接続位置のタッ
プの巻き回数が標準状態の巻き回数より多いときは正、
少ないときは負である。
【0027】(12)式及び(14)式は、動作電流iD がKD
≠n3 Δn 又はKD ≠nΔの場合のみ流れ、タップ誤差
分電流が(i1 +i2 )に比例することを示す。又、
(6) 式の抑制電流iR =(i1 +i2 )は、このタップ
誤差分電流と完全な比例関係にあるため、(3) 式のよう
な従来の抑制法に比べて効率の良い抑制を行なうことが
できる。
【0028】これを図2の変圧器で(13)式の|Δn |の
最大値をΔn −M で表し、定数KDを0とした場合を例
に説明する。|Δn |が最大値の場合、(13)式の動作電
流iD はiD =−n3 Δn −M (i1 +i2 )、又はi
D =n3 Δn −M (i1 +i2 )となり、動作量QOP
動作電流iD の振幅演算値にしたとすると、動作量QOP
は(15)式となる。但し、M[i1 +i2 ]は、i1 +i
2 の振幅演算値を示す。以下、同様にM[……]で括弧
内の電流の振幅演算値を表す。
【0029】請求項1の場合、抑制電流iR は(5) 式の
電流であり、抑制量QR を例えば、(16)式としたとする
と、誤動作を防ぐには、QOP<QR とする必要があり、
定数KC を無視して定数KR の限界値を求めると(17)式
となる。この値の場合、定数KC を無視すると、継電器
の内部事故での動作条件は(18)式となり、電流通過の様
相が変化しても変化しない。
【0030】
【数6】 QOP=n3 Δn −M M[i1 +i2 ] …………(15) QR =KR ×M[i1 +i2 ]+KC …………(16) KR =n3 Δn −M ………………………(17) QOP>n3 Δn −M M[i1 +i2 ] …………(18)
【0031】従来方式の場合は電流通過の種々の様相に
対してQOP<QR の関係が維持される必要があり、通過
電流の様相によっては著しい感度低下となる。以下これ
を簡単な例で説明する。今、一次端子の電流i1 が0で
あり、かつΔn が正でかつ最大値である場合を仮定す
る。このとき、動作量QOPの値は(19)式となる。又、二
次端子と三次端子の電流の間には(20)式の関係がある。
【0032】
【数7】 QOP=n3 Δn −M M[i1 +i2 ] …………(19) i3 =−(nC +n3 Δn −M )i2 /n3 …………(20)
【0033】(3) 式の抑制量QR の算出に用いられる各
項の値をi1 +i2 で表すと、(21),(22),(23)式とな
る。誤動作を防ぐためには、(19)式の動作量QOPが(3)
式に(21)〜(23)式を適用したときの抑制量QR より小さ
い必要がある。この条件を満足する定数KR の限界値を
定数KC を無視して求めると(24)式となる。この状態の
場合、定数KC を無視すると、継電器の内部事故での動
作条件は請求項1の継電器と同様に(18)式となり、請求
項1の継電器と同様の感度である。
【0034】
【数8】 (nS +nC )M11=0 ………………………………(21) nC 12=nC M[i1 +i2 ] ……………………………(22) n3 13=(nC +n3 Δn −M )M[i1 +i2 ] …………(23) KR =n3 Δn −M /{nC 、(nC +n3 Δn −M )の和(又は最大値)} ……………………(24)
【0035】次に、二次端子の電流i2 が0の場合を仮
定する。このとき一次端子と三次端子の電流の間には(2
5)式の関係がある。(3) 式の抑制量QR の算出に用いら
れる各項の値をi1 +i2 で表すと(26),(27),(28)式
となる。定数KR を(24)式の値とした場合、この状態に
おける抑制量QR の値は(29)式となる。この状態の場
合、継電器の動作条件は(30)式となり前記(18)式で表さ
れるi1 =0の場合に対して、著しい感度低下となる。
【0036】
【数9】 i3 =−i1 (nS +nC +n3 Δn −M )/n3 ………(25) (nS +nC )M11=(nS +nC )M[i1 +i2 ] ………(26) nC 12=0 ………………………………………………(27) n3 13=(nS +nC +n3 Δn −M )M[i1 +i2 ] …(28) QR =n3 Δn −M M[i1 +i2 ]{(nS +nC )、 (nS +nC +n3 Δn −M )の和(又は最大値)}/ {nC 、(nC +n3 Δn −M )の和(又は最大値)} …………………(29) QOP>n3 Δn −M M[i1 +i2 ]×{(nS +nC )、 (nS +nC +n3 Δn −M )の和(又は最大値)}/ {nC 、(nC +n3 Δn −M )の和(又は最大値)} …………………(30)
【0037】しかし、請求項1の継電器は抑制電流がタ
ップ誤差分電流と完全な比例関係にあるため、このよう
な場合でも動作条件は(18)式のままであり、感度が低下
することがない。又、図3の変圧器でも請求項1の継電
器は抑制電流がタップ誤差分電流と完全な比例関係にあ
るため、図2の変圧器の場合と同様に従来装置に対して
高感度の保護を行なうことができる。
【0038】本発明の請求項2に係る差動継電器は請求
項1記載の差動継電器において、動作電流取得手段及び
抑制電流取得手段を各々動作電流iD 及び抑制電流iR
の瞬時値データを出力するような構成とし、動作量算出
手段及び抑制量算出手段を各々同一の振幅演算アルゴリ
ズムにより動作量QOP及び抑制量QR を算出するような
構成とした。
【0039】次に請求項2の作用を説明する。本発明で
は抑制電流iR を(6) 式としているため、抑制電流の波
形は(12) 式又は(14) 式で表されるタップ誤差分電流の
波形と相似である。したがって、請求項2のように動作
量QOP及び抑制量QR を同一の振幅演算アルゴリズムに
より算出するようにすれば、内部事故がなく、かつ励磁
電流を無視できる状態では算出値の瞬時値(各演算時刻
毎の値)の波形は、動作量QOP及び抑制量QR とで相似
である。これは、各電流が変化する場合や歪み波である
場合にも常に成立する。
【0040】このため、過渡状態や波形歪みにより生じ
る動作量QOP及び抑制量QR の算出値波形の相違に対す
る対策として必要であった誤トリップを防ぐための動作
時間遅れの追加や、抑制量の強化などの必要がなく、高
速度かつ高感度の保護ができる。
【0041】本発明の請求項3に係る差動継電器や請求
項1記載の差動継電器において、動作電流取得手段及び
抑制電流取得手段を、各々動作電流iD 及び抑制電流i
R の瞬時値データを出力するような構成とし、動作量算
出手段及び抑制量算出手段を、各々動作電流iD 及び抑
制電流iR の瞬時値データの絶対値より、動作量QOP
び抑制量QR を算出するような構成とした。
【0042】次に請求項3の作用を説明する。本発明で
は前述のように抑制電流の波形iRはタップ誤差分電
流、即ち、内部事故のない場合の動作電流iD の波形と
相似である。このため、内部事故のない状態では、各電
流の瞬時値データの絶対値を瞬時値データとする動作量
OP及び抑制量QR の波形は相似となる。
【0043】このため、内部事故がなく、かつタップ位
置がタップ誤差電流を最大にする位置にある状態のとき
でも、動作量QOPの瞬時値データの値が、常に同時刻の
抑制量QR の瞬時値データの値に定数KR を乗じた値よ
り僅かに小さいようにすることができる。このようにし
た場合、前者の値が後者の値より大きいときは、直ちに
動作するようにすることができるため、高感度かつ高速
度の保護を行なうことができる。
【0044】本発明の請求項4に係る差動継電器は、請
求項1記載の差動継電器において、動作電流取得手段及
び抑制電流取得手段を各々動作電流iD 及び抑制電流i
R の瞬時値データを出力するような構成とし、動作量算
出手段及び抑制量算出手段を、各々同一の変動幅演算ア
ルゴリズムにより動作量QOP及び抑制量QR を算出する
ような構成とした。
【0045】次に請求項4の作用を説明する。請求項4
は差動電流の瞬時値の変動により動作量を生じる電流識
別要素に用いるようにした。この電流波形識別要素の場
合、(6) 式の抑制電流iR のデータを用いて、動作量Q
OPの演算に用いられる変動幅演算アルゴリズムと同一の
変動幅演算アルゴリズムにより抑制量QR を算出すれ
ば、励磁突入電流の微電流期間においては励磁電流を無
視できるため、請求項2の場合と同様に算出値の瞬時値
(各演算時刻毎の値)の波形が動作量QOP及び抑制量Q
R と相似となる。
【0046】このため微電流期間のタップ誤差分電流を
事故電流と誤認しての誤トリップを防ぐため、両者の波
形が異なるために従来必要であった動作時間遅れの追加
や、抑制量の強化などの必要がなく、高速度かつ高感度
の保護ができる。
【0047】本発明の請求項5に係る差動継電器は、請
求項1記載の差動継電器において、導入電気量を一次端
子電流i1 ,二次端子電流i2 ,三次端子電流i3 に代
えて、新たに一次端子電流i1 ,三次端子電流i3 及び
共通巻線を通して流れる電流iT を導入し、動作量を(3
1)式の動作電流iD を作成し出力する動作電流取得手段
及び抑制量を(32)式の抑制電流iR を作成し出力する抑
制電流取得手段、動作量QOPを動作電流取得手段の出力
より作成する動作量算出手段、抑制量QR を抑制電流取
得手段の出力より作成する抑制量算出手段、動作量算出
手段で得られた動作量QOPが抑制量算出手段で得られた
抑制量QR に対して所定の関係より大きいことを識別し
て動作信号を出力する識別手段とから構成される。
【数10】 iD =nS 1 +(nC +KD )iT +n3 3 ………(31) iR =iT ……………………………(32)
【0048】次に請求項5の作用を説明する。図2,図
3の変圧器の場合、一次端子電流i1 と二次端子電流i
2 及び共通巻線を通して流れる電流iT との間には、変
圧器内部に事故がない限り、キルヒホッフの法則よりi
T =i1 +i2 のような関係式が成り立つことは明白で
ある。
【0049】このため、二次端子電流i2 に代えて共通
巻線を通して流れる電流iT を、差動継電器に導入する
ことにより、(5) 式の動作電流iD 及び(6) 式の抑制電
流iR は(31)式の動作電流iD 及び(32)式の抑制電流i
R と等価となる。請求項1の作用にて、タップ誤差分電
流が(i1 +i2 )に比例することを説明したが、この
ことは、(32)式の抑制電流iR =iT もこのタップ誤差
分電流と完全な比例関係にあることを意味し、請求項1
と同じ作用をもたらし、従来装置に対して高感度の保護
を行なうことができる。
【0050】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)(請求項1対応) 本発明のハードウェアの構成は通常のディジタル形変圧
器保護用差動継電器と同様である。変圧器の各端子電流
を入力し、例えば定格周波数の15°又は30°の間隔
でサンプルして12又は16ビットの瞬時値データに変
換し、このデータをディジタル演算処理する。この構成
は従来装置と同様であるため簡単のためこれらの説明を
省略し、処理手段の構成について図面を用いて説明す
る。
【0051】第1の実施の形態の処理手段の骨子を図1
に示す。本実施の形態は請求項1に対応するもので、主
として比率差動要素として用いられる。図で1は先行処
理で従来装置で用いられるものと同様の処理である。こ
の処理ではアナログディジタルにより得られた変圧器の
各端子電流のサンプル時刻毎のサンプルデータを取得し
て記憶し、この記憶データを逐次更新すると共に、更に
ディジタルフィルタ処理を行ない、処理後のデータを各
端子電流の瞬時値データとして記憶し、この記憶された
データを逐次更新する。
【0052】2は動作電流データ取得処理、3は抑制電
流データ取得処理で、各々先行処理1で取得されている
一次端子電流i1 ,二次端子電流i2 及び三次端子電流
3の瞬時値データ、並びに直列,共通及び三次巻線の
巻き回数nS ,nC 及びn3、並びに実数の定数KD
用いて、(5) 式の動作電流iD 及び(6) 式の抑制電流i
R の瞬時値データを算出する。このデータは後続処理に
必要な期間、記憶され逐次更新される。
【0053】4は動作量算出処理で動作電流iD の瞬時
値データを主たる入力データとして動作量QOPを算出
し、5は抑制量算出処理で抑制電流iR の瞬時値データ
を主たる入力データとして抑制量QR を算出する。6は
識別処理で動作量QOPが抑制量QR より大きいか否かを
識別し、大きければ識別信号をYとし、大きくなければ
Nとする。7は信号処理で識別信号がYのとき動作信号
O を出力し、Nのときは出力しない。
【0054】動作量QOPは例えば従来装置と同様に(2)
式により算出され、抑制量QR は例えば(33)式により算
出される。
【数11】 QR =KR ×MIRとKC の和又は最大値 ……………(33) 但し、MIRは抑制電流iR の振幅演算値である。
【0055】(33)式で用いられる振幅演算値の算出手段
としては整流加算方式、積加算方式など多くのものが公
知であり、動作量及び抑制量の算出に適宜使用できる。
又、動作量及び抑制量としては必ずしも振幅演算値のみ
でなく、変動幅演算値など他の演算値も使用できる。変
動幅の演算方法については、第4の実施の形態の項で説
明する。
【0056】8は後続処理である。この処理では前期の
処理1〜7で行なわれる処理以外に変圧器保護に必要な
処理、例えば処理1〜7が比率差動要素又は電流波形識
別要素の一方のみの処理を行なう場合には他方の処理、
比率差動要素と電流波形識別要素の信号出力の論理電
流、後備保護電流などを行ない、保護を必要とするとき
遮断器のトリップを指令する。
【0057】(第2の実施の形態)(請求項2対応) 次に第2の実施の形態について説明する。本実施の形態
の構成は処理4及び処理5の構成が図4のように特定さ
れることが異なる他は第1の実施の形態と同様であり、
全体構成は図1で示される。この異なる部分を図面を用
いて説明する。図で4a及び5aは各々振幅演算処理で、振
幅演算値MID及びMIRの両者を(34),(35)式の同一アル
ゴリズムにより算出する。
【0058】
【数12】
【0059】但し、MID−0 °,MIR−0 °は各々演算
時刻における各振幅演算値MID,MIRの瞬時値データ、
D −n ×30°,iR −n ×30°は各々動作電流iD
び抑制電流iR の演算時刻よりn×30°(角度の単位
は電流の定格周波数での位相角、以下同様)前の瞬時値
データである。
【0060】これらのアルゴリズムはいわゆる整流加算
方式として公知のものであり、30°間隔データの絶対
値の半サイクル間の積分値を振幅演算値とするものであ
る。4b及び5bは各々動作量完成処理及び抑制量完成処理
で、各々処理4a及び処理5aの算出データを用いて、動作
量QOP及び抑制量QR を(36),(37)式により算出する。
【数13】 QOP−0 °=MID−0 ° ………………………………(36) QR −0 °=KR ×MIR−0 °とKC の和又は最大値 ……(37) 但し、QOP−0 °及びQR −0 °は各々演算時刻におけ
る動作量QOP及び抑制量QR の瞬時値データである。
【0061】これらの式は(6) 式及び(33)式と同様のも
のであるが、処理の詳細を示すためデータ作成時刻を付
記して示すものである。振幅演算アルゴリズムには上記
のほか種々のものがあり、例えば、各振幅演算値を(3
8),(39)式とすることもできる。
【0062】
【数14】 MID−0 °=iD −90° 2 +iD −0 ° 2 ……………(38) MIR−0 °=iR −90° 2 +iR −0 ° 2 ……………(39) 但し、iD −90°,iD −0 °,iR −90°,i
R −0 °は、各々動作電流iD 及び抑制電流iR の演算
時刻より90°前及び演算時刻の瞬時値データである。
【0063】この場合、各振幅演算値は振幅の自乗に比
例するが、一般の差動継電器の場合と同様に平方根を算
出する必要はなく、自乗の値のまま動作量及び抑制量に
用いられる。以上のようにこの実施の形態では、動作電
流iD 及び抑制電流iR の振幅を同一の振幅演算アルゴ
リズムで算出する限りにおいて、種々変形実施し得るも
のである。
【0064】(第3の実施の形態)(請求項3対応) 次に第3の実施の形態について説明する。本実施の形態
の構成は処理4及び処理5の構成が図5のように特定さ
れることが異なる他は、第1の実施の形態と同様であ
る。この異なる部分を図面を用いて説明する。図で4c及
び5cは各々絶対値演算処理で、動作電流iD 及び抑制電
流iR の絶対値AID及びAIRの両者を(40),(41)式によ
り算出する。
【0065】
【数15】 AID−0 °=|iD −0 °| ………………(40) AIR−0 °=|iR −0 °| ………………(41) QOP−0 °=AID−0 ° ………………(42) QR −0 °=KR ×AIR−0 °とKC の和又は最大値 ……(43)
【0066】(第4の実施の形態)(請求項4対応) 次に第4の実施の形態について説明する。本実施の形態
は電流波形識別要素に用いられるもので、構成は処理4
及び処理5の構成が図6のように特定され、かつ処理6
の構成が図7のように特定される他は第1の実施の形態
と同様である。この異なる部分を図面を用いて説明す
る。
【0067】図6で4e及び5eは各々変動幅演算処理で、
動作電流iD 及び抑制電流iR の変動幅FID及びFIR
両者を(44),(45)式のように同一アルゴリズムにより算
出する。
【0068】
【数16】
【0069】上記の変動幅演算15°間隔(k+1)個
の瞬時値データの最大値(最も正側の値)と最小値(最
も負側の値)の差の絶対値を算出して変動幅の値とする
ものである。4f及び5fは各々動作量完成処理及び抑制量
完成処理で、各々処理4e及び処理5eの算出データを用い
て、動作量QOP及び抑制量QR を(46),(47)式により算
出する。
【0070】
【数17】 QOP−0 °=FID−0 ° ………………(46) QR −0 °=KR ×FIR−0 °とKC の和又は最大値 ……(47)
【0071】図7で6aは比較処理で、動作量QOP及び抑
制量QR の瞬時値データを比較し、QOP−0 °>Q
R −0 °のとき処理6aの信号をYaとし、他の場合はN
aとする。6bは計数処理で6aの信号がYaの状態が24
回続くと信号をYbとし、Yaの状態が1回でも途絶え
ると信号をNbとする。処理6の識別信号は、信号Na
又はNbの一方が出力されているときはNとなり、信号
Ybが出力されているときはYとなる。
【0072】本実施の形態では、動作電流iD の変動幅
の算出値が抑制電流iR の変動幅の算出値に対して所定
の割合だけ大きい期間が1サイクル以上続けば、処理6
の識別信号がYとなり、処理7で動作信号SO が出力さ
れる。
【0073】変動幅を演算するアルゴリズムには前記の
ほかに種々のものがあり、(48),(49)式にその例を示
す。(48),(49)式は15°間隔(k+2)個(kは0又
は自然数とし得るが本実施の形態では3とする)の瞬時
値データの各隣接データの差の絶対値のうちの最大の値
を各変動幅演算値とするものである。
【0074】
【数18】
【0075】又、(50),(51)式もある。(50),(51)式は
15°間隔(k+2)個(kは0又は自然数とし得るが
本実施の形態では3とする)の瞬時値データの各隣接デ
ータの差の絶対値の和を各変動幅演算値とするものであ
る。以上のように本実施の形態では、動作電流iD 及び
抑制電流iR の変動幅を同一の変動幅演算アルゴリズム
で算出する限りにおいて、種々変形実施し得るものであ
る。
【0076】
【数19】
【0077】(第5の実施の形態)(処理6の変形) 次に第5の実施の形態について説明する。本実施の形態
の構成は処理6の構成が図8のように異なる他は、第1
の実施の形態と同様である。この異なる部分を説明す
る。図で6cは減算処理で、(52)式により減算量DOPを算
出して、このデータを記憶し、逐次更新する。6dは積分
処理で、(53)式により減算量DOPの瞬時値データの値を
積分し積分量SOPを算出する。6eは比較処理で(54)式が
成立するとき、識別信号Yとする。
【0078】
【数20】
【0079】本実施の形態は同時刻の動作量データから
抑制量データを減算した値の(k+1)個の加算値を用
いて識別するものであり、例えば、動作量及び抑制量が
(42)及び(43)式の場合のように、ただ1回のデータのみ
を用いている処理の場合、サージ性入力などによるデー
タ誤りに対して応動の安定性を増すものである。
【0080】なお、(52)式では各時刻毎の減算値が負の
場合にも、その値をそのまま減算量DOPとしたが、これ
を負の値を0に修正するようにすることもできる。本実
施の形態のように識別処理6は、動作量QOP及び抑制量
R を用いて更に演算するものとすることができるもの
である。
【0081】(第6の実施の形態)(処理6の変形) 前記した第1〜第3の実施の形態では、動作量QOP>抑
制量QR の条件が成立すると、直ちに処理6の識別信号
がYになるようにし、条件が成立しなくなると直ちにN
になるようにした。これを、第4の実施の形態のように
計数処理を用いて、一般の継電器で行なわれているよう
に条件成立が複数回継続したとき識別信号をYとする、
条件不成立が複数回継続したとき識別信号をNとする、
条件の成立,不成立に応じてアップダウンカウンターを
応動させるなどして、応動をより安定にすることができ
る。
【0082】(第7の実施の形態)(変流器飽和対策の
追加、各請求項共通) 前記した各実施の形態では、外部事故で通過電流が大き
く変流器が飽和するような場合の誤動作防止対策につい
ては簡単のため説明を省略した。即ち、本発明は抑制力
を最小限にして、小電流の内部事故の検出感度を向上さ
せているため、変流器飽和のような場合に誤動作する恐
れがあり、別の誤動作防止対策を必要とする。
【0083】この対策は例えば公知の可変比率抑制のよ
うに、(55)式の抑制量QR ′を追加することにより容易
に実施し得る。
【数21】 QR ′=KR ′×(MIR−KC ′)→0 …………(55) 但し、KR ′,KC ′は正の定数。(MIR−KC ′)
→0 はMIR−KC ′の値をその値が負のときは0に修正
した値。
【0084】抑制量QR ′は抑制電流iR の振幅演算値
IRが定数KC ′より小さいときは0であり、KC ′よ
り大きくなると急に大きくなり、変流器誤差分の動作電
流iD を生じても誤動作を防止できる。この場合、抑制
量QR ′は本発明のように(6) 式の抑制電流iR から算
出するのででなく、(56)式のように従来と同様に各端子
電流の振幅算出値から算出することもできる。
【0085】
【数22】 QR ′=KR ′×[{(nS +nC )MI1,nC I2, n3 I3の和又は最大値}−KC ′]→0 …………(56)
【0086】(第8の実施の形態)(請求項5対応) 次に第5の実施の形態について説明する。本実施の形態
の構成は、第1の実施の形態における差動継電器への導
入電気量を、一次端子電流i1 ,二次端子電流i2 ,三
次端子電流i3 に代えて、新たに一次端子電流i1 ,三
次端子電流i3及び共通巻線を通して流れる電流iT
導入し、図1の処理2及び処理3の構成を図9の処理
2′及び処理3′のようにした他は、第1の実施の形態
と同じである。
【0087】この異なる部分を説明する。図2,図3の
変圧器の場合、一次端子電流i1 と二次端子電流i2
び共通巻線を通して流れる電流iT との間には、変圧器
内部に事故がない限り、iT =i1 +i2 の関係式が成
り立つことは明白である。このため、二次端子電流i2
に代えて共通巻線を通して流れる電流iT を、差動継電
器に導入することにより、(5) 式の動作電流iD 及び
(6) 式の抑制電流iR は、(31)式の動作電流iD 及び,
(32)式の抑制電流iR と等価となる。
【0088】図9における処理2′は動作電流データ取
得処理、3′は抑制電流データ取得処理で、各々先行処
理1で取得されている一次端子電流i1 ,三次端子電流
3及び共通巻線を通して流れる電流iT の瞬時値デー
タ、並びに直列,共通及び三次巻線の巻き回数nS ,n
C 及びn3 、並びに実数の定数KD を用いて、(31)式の
動作電流iD 及び(32)式の抑制電流iR の瞬時値データ
を算出する。
【0089】以降の処理は第1の実施の形態と同じであ
る。なお、第1の実施の形態に対して、各々変形した形
態を持つ第2〜第7の実施の形態についても、本実施の
形態の変形とすることが可能である。
【0090】(第9の実施の形態)(Δ電流への適用、
各請求項共通) 前記した各実施の形態では、3相変圧器のうち各相の巻
線毎の端子電流i1 ,i2 ,i3 を導入して、動作電流
D 及び抑制電流iR を取得していたが、本実施の形態
での導入電気量は、前記の電気量に代えて図10(簡略化
のため、タップ切り替え変圧器を省略している。なお、
図1と同じ記号は、同じ意味を示す。)に示す如く、変
圧器一次端子側及び二次端子側の変流器CT1及びCT
2の二次回路をΔ接続して得られる一次端子電流i1 Δ
及び二次端子電流i2 Δと、三次Δ巻線の外の端子電流
3 Δ(変流器CT3の二次回路の接続はY接続)を導
入電気量としたものである。なお、本Δ電流i1 Δ,i
2 Δ,i3 Δを差動継電器に導入して変圧器の差動保護
を行なうことは公知である。
【0091】図10の変圧器の三次Δ巻線の角変位が、例
えば30度遅れ(A相基準で(A−C)相)の場合、変
流器CT1,CT2の二次回路のΔ接続も30度遅れと
するため、各端子の導入電気量はA相にて表現すれば
(i1 Δ=i1A−i1C),(i2 Δ=i2A−i2C),
(i3 Δ=i3A−i3C)となる。
【0092】このため、変圧器内部に事故がない限り、
各端子のΔ電流は、第1の実施の形態で述べた各相の各
端子電流i1 ,i2 ,i3 とは比例関係にあるため、合
成電流(i1 +i2 )も(i1 Δ+i2 Δ)と比例す
る。この結果、第1の実施の形態で述べた(5) 式の動作
電流iD 及び(6) 式の抑制電流iR は、次の(57)式の動
作電流iD 及び(58)式の抑制電流iR に置き換えること
ができる。なお、ここではA相で表現したが、B,C相
も同様である。
【0093】
【数23】 iD =nS 1 Δ+(nC +KD ) (i1 Δ+i2 Δ)+n3 3 Δ ……(57) iR =i1 Δ+i2 Δ ……………………………(58)
【0094】タップ誤差分電流が(i1 +i2 )に比例
することは前に説明したが、このことは(58)式の抑制電
流iR =(i1 Δ+i2 Δ)も、このタップ誤差分電流
と完全な比例関係にあることを意味し、動作電流iD
(57)式及び抑制電流iR を(58)式とする以外は第1の実
施の形態と同じ処理をすることにより、第1の実施の形
態と同じ作用をもたらすことができる。なお、第1の実
施の形態に対して、各々変形した形態をもつ第2〜第8
の実施の形態についても、本実施の形態の変形とするこ
とが可能である。
【0095】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば巻
線のタップを切り替える単巻き変圧器バンクの差動保護
において、タップ誤差分電流と完全に比例関係にあり、
かつ相似波形である電流を抑制電流とするので、効率の
よい抑制量とすることができる。このため、高感度かつ
高速度の保護を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態の処理手段の骨子を示すフロ
ー図。
【図2】タップ切り替え変圧器を有する変圧器バンクの
1相分の接続を示す図。
【図3】共通巻線に切り替えタップを有する変圧器バン
クの1相分の接続を示す図。
【図4】第2の実施の形態の処理4及び処理5の詳細を
示すフロー図。
【図5】第3の実施の形態の処理4及び処理5の詳細を
示すフロー図。
【図6】第4の実施の形態の処理4及び処理5の詳細を
示すフロー図。
【図7】第4の実施の形態の処理6の詳細を示すフロー
図。
【図8】第5の実施の形態の処理6の詳細を示すフロー
図。
【図9】第8の実施の形態の処理手段の骨子を示すフロ
ー図。
【図10】変圧器バンクの3相分の接続を示す図。
【符号の説明】
1 先行処理 2 動作電流データ取得処理 3 抑制電流データ取得処理 4 動作量算出処理 4a 振幅演算処理 4b,4d,4f 動作量完成処理 4c 絶対値演算処理 4e 変動幅演算処理 5 抑制量算出処理 5a 振幅演算処理 5b,5d,5f 抑制量完成処理 5c 絶対値演算処理 5e 変動幅演算処理 6 識別処理 6a 比較処理 6b 計数処理 6c 減算処理 6d 積分処理 6e 比較処理 7 信号処理 8 後続処理

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 直列に接続された直列巻線及び共通巻線
    並びにこれらの巻線から絶縁された三次巻線を有する単
    巻変圧器と励磁巻線及びタップ切り替え巻線を有するタ
    ップ切り替え変圧器とからなり、三次巻線と励磁巻線が
    並列に接続され、共通巻線が直列巻線が接続されない側
    でタップ切り替え巻線と直列に接続され、一次端子電流
    1 が直列巻線の共通巻線が接続されない側より直列巻
    線に流入し、二次端子電流i2 が直列巻線と共通巻線の
    接続点に流入し、三次端子電流i3 が三次巻線と励磁巻
    線の接続点に流入するように構成された変圧器バンクを
    保護する差動継電器において、動作量を(1) 式の動作電
    流iD より取得し、抑制量を(2) 式の抑制電流iR より
    取得し、動作量が抑制量に対して所定の関係より大きい
    とき動作するような構成を有することを特徴とする差動
    継電器。 【数1】 iD =nS 1 +(nC +KD )(i1 +i2 )+n3 3 …………(1) iR =(i1 +i2 ) ……………………………(2) 但し、nS ,nC ,n3 は各々直列,共通及び三次巻線
    の巻き回数、KD は0又は実数の定数(但し、共通巻線
    にタップがある場合は、nC はタップ切り替え位置が標
    準状態の場合の巻き回数)。
  2. 【請求項2】 動作量が動作電流の振幅演算値より取得
    され、抑制量が抑制電流の振幅演算値より取得され、か
    つ動作電流及び抑制電流の振幅演算値は各々動作電流及
    び抑制電流の瞬時値データをもとに同一アルゴリズムに
    より算出されたものであることを特徴とする請求項1記
    載の差動継電器。
  3. 【請求項3】 動作量が動作電流の瞬時値データの絶対
    値より取得され、抑制量が抑制電流の瞬時値データの絶
    対値より取得されることを特徴とする請求項1記載の差
    動継電器。
  4. 【請求項4】 動作量が動作電流の変動幅演算値より取
    得され、抑制量が抑制電流の変動幅演算値より取得さ
    れ、かつ動作電流及び抑制電流の変動幅演算値は各々動
    作電流及び抑制電流の瞬時値データをもとに同一アルゴ
    リズムにより算出されたものであることを特徴とする請
    求項1記載の差動継電器。
  5. 【請求項5】 導入電気量の一次端子電流i1 ,二次端
    子電流i2 ,三次端子電流i3 に代えて、新たに一次端
    子電流i1 ,三次端子電流i3 及び共通巻線を通して流
    れる電流iT を導入し、動作量を(3) 式の動作電流iD
    より取得し、抑制量を(4) 式の抑制電流iR より取得
    し、動作量が抑制量に対して所定の関係より大きいとき
    動作するような構成要素を有することを特徴とする請求
    項1記載の差動継電器。 【数2】 iD =nS 1 +(nC +KD )iT +n3 3 ………(3) iR =iT ……………………………(4)
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