JPH10321896A - アバランシェダイオード - Google Patents
アバランシェダイオードInfo
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- JPH10321896A JPH10321896A JP9127556A JP12755697A JPH10321896A JP H10321896 A JPH10321896 A JP H10321896A JP 9127556 A JP9127556 A JP 9127556A JP 12755697 A JP12755697 A JP 12755697A JP H10321896 A JPH10321896 A JP H10321896A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 リーク電流、暗電流及びホール増倍率を低減
し、且つ良好な量子効率を得ることのできるアバランシ
ェダイオードを提供すること目的とする。 【解決手段】 n型GaAs半導体基板と、p型GaA
s半導体層との間に、GaAs量子井戸層とAlAs障
壁層とが交互に積層されてなるi型の超格子構造を有す
るpin型のアバランシェダイオードにおいて、その量
子井戸層の厚さを22〜32原子層とし、且つ障壁層の
厚さを10〜24原子層とした。これによってその障壁
層のX点準位が、その障壁層のp型半導体層側に隣接し
ている量子井戸層の第1Γ点準位より低くなり、且つそ
の障壁層のn型半導体層側に隣接している量子井戸層
の、第1Γ点準位より高位の第2Γ点準位と共鳴するよ
うな値に逆バイアス電圧を設定することができ、電子を
第1Γ点−X点−第2Γ点−第1Γ点準位へと移動さ
せ、アバランシェ増倍を発生させる。
し、且つ良好な量子効率を得ることのできるアバランシ
ェダイオードを提供すること目的とする。 【解決手段】 n型GaAs半導体基板と、p型GaA
s半導体層との間に、GaAs量子井戸層とAlAs障
壁層とが交互に積層されてなるi型の超格子構造を有す
るpin型のアバランシェダイオードにおいて、その量
子井戸層の厚さを22〜32原子層とし、且つ障壁層の
厚さを10〜24原子層とした。これによってその障壁
層のX点準位が、その障壁層のp型半導体層側に隣接し
ている量子井戸層の第1Γ点準位より低くなり、且つそ
の障壁層のn型半導体層側に隣接している量子井戸層
の、第1Γ点準位より高位の第2Γ点準位と共鳴するよ
うな値に逆バイアス電圧を設定することができ、電子を
第1Γ点−X点−第2Γ点−第1Γ点準位へと移動さ
せ、アバランシェ増倍を発生させる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は半導体超格子を利
用したアバランシェダイオードに関する。
用したアバランシェダイオードに関する。
【0002】
【従来の技術】 従来、半導体超格子を利用したアバラ
ンシェダイオードとしては、特開平3―237765号
に記載のようなものがある。この構造において、アバラ
ンシェ増倍は、障壁層の伝導帯を流れる電子が量子井戸
内に落ちるときのエネルギー差によって電子にエネルギ
ーを与えることによって行なわれていた。また、電子と
ホールの増倍率に差を持たせるために、ホールが量子井
戸内に捕えられて抜け出さないように価電子帯の障壁の
高さを高くして抜け出しを防止していた。
ンシェダイオードとしては、特開平3―237765号
に記載のようなものがある。この構造において、アバラ
ンシェ増倍は、障壁層の伝導帯を流れる電子が量子井戸
内に落ちるときのエネルギー差によって電子にエネルギ
ーを与えることによって行なわれていた。また、電子と
ホールの増倍率に差を持たせるために、ホールが量子井
戸内に捕えられて抜け出さないように価電子帯の障壁の
高さを高くして抜け出しを防止していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来技術
においては、量子井戸内に一旦落ちた電子をこの量子井
戸層内から抜け出させるために、量子井戸層と障壁層と
の伝導帯の差を小さくする必要があった。これは、リー
ク電流及び暗電流を増加させるという問題があった。
においては、量子井戸内に一旦落ちた電子をこの量子井
戸層内から抜け出させるために、量子井戸層と障壁層と
の伝導帯の差を小さくする必要があった。これは、リー
ク電流及び暗電流を増加させるという問題があった。
【0004】また、ホールを束縛するために、障壁層の
価電子帯の高さを高くして、且つ障壁層の伝導帯の高さ
を低くする必要から、材料が限られ、バンドオフセット
の選択を必要とし性能を上げるのが困難であった。
価電子帯の高さを高くして、且つ障壁層の伝導帯の高さ
を低くする必要から、材料が限られ、バンドオフセット
の選択を必要とし性能を上げるのが困難であった。
【0005】更に、電子が一旦量子井戸層にトラップさ
れると、そこから抜け出すエネルギーを得るのに時間が
かかるため、速い応答速度が得られず、量子効率が悪い
という問題があった。
れると、そこから抜け出すエネルギーを得るのに時間が
かかるため、速い応答速度が得られず、量子効率が悪い
という問題があった。
【0006】本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてな
されたもので、リーク電流、暗電流及びホール増倍率を
低減し、且つ良好な量子効率を得ることのできるアバラ
ンシェダイオードを提供すること目的とする。
されたもので、リーク電流、暗電流及びホール増倍率を
低減し、且つ良好な量子効率を得ることのできるアバラ
ンシェダイオードを提供すること目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は、n型GaAs半導体基板とp型GaAs
半導体層との間に、GaAs量子井戸層とAlAs障壁
層とが交互に積層されてなるi型の超格子構造を有する
pin型のアバランシェダイオードであって、量子井戸
層の厚さを22〜32原子層とし、且つ障壁層の厚さを
10〜24原子層としたことを特徴としている。
に、本発明は、n型GaAs半導体基板とp型GaAs
半導体層との間に、GaAs量子井戸層とAlAs障壁
層とが交互に積層されてなるi型の超格子構造を有する
pin型のアバランシェダイオードであって、量子井戸
層の厚さを22〜32原子層とし、且つ障壁層の厚さを
10〜24原子層としたことを特徴としている。
【0008】上記本発明によると、任意の障壁層におい
て、その障壁層のX点準位が、その障壁層のp型半導体
層側に隣接している量子井戸層の第1Γ点準位より低く
なり、且つその障壁層のn型半導体層側に隣接している
量子井戸層の、第1Γ点準位より高位の第2Γ点準位と
共鳴するような値となる逆バイアス電圧を設定すること
が可能となる。
て、その障壁層のX点準位が、その障壁層のp型半導体
層側に隣接している量子井戸層の第1Γ点準位より低く
なり、且つその障壁層のn型半導体層側に隣接している
量子井戸層の、第1Γ点準位より高位の第2Γ点準位と
共鳴するような値となる逆バイアス電圧を設定すること
が可能となる。
【0009】上記のような逆バイアス電圧が設定される
と、電子は、上記第1Γ点準位から上記X点準位へと移
動し、更に共鳴によって上記X点準位から上記第2Γ点
準位へと移動する。そして上記第2Γ点準位へ移動した
電子は、サブバンド間遷移により同じ量子井戸層内の第
1Γ点準位へと緩和する。ここで、第1Γ点準位からX
点準位への散乱確率は非常に高いため、第1Γ点準位か
らX点準位への緩和時間は非常に速く、数100フェム
ト秒のオーダである。また第2Γ点準位から第1Γ点準
位への遷移もピコ秒のオーダである。更に、電子のなか
には第2Γ点準位からX点準位へと直接流れるものもあ
る。従って電子の移動が高速となり、アバランシェ増倍
が発生する。
と、電子は、上記第1Γ点準位から上記X点準位へと移
動し、更に共鳴によって上記X点準位から上記第2Γ点
準位へと移動する。そして上記第2Γ点準位へ移動した
電子は、サブバンド間遷移により同じ量子井戸層内の第
1Γ点準位へと緩和する。ここで、第1Γ点準位からX
点準位への散乱確率は非常に高いため、第1Γ点準位か
らX点準位への緩和時間は非常に速く、数100フェム
ト秒のオーダである。また第2Γ点準位から第1Γ点準
位への遷移もピコ秒のオーダである。更に、電子のなか
には第2Γ点準位からX点準位へと直接流れるものもあ
る。従って電子の移動が高速となり、アバランシェ増倍
が発生する。
【0010】また、ホールは障壁層によって量子井戸層
に閉じ込められるため、アバランシェ増倍を行なわな
い。このため高い電子/ホール増倍率の比を得ることが
できる。
に閉じ込められるため、アバランシェ増倍を行なわな
い。このため高い電子/ホール増倍率の比を得ることが
できる。
【0011】更に、電子が量子井戸層から抜け出すの
に、障壁層上端を越える必要がないため、ホールに対す
る障壁層の高さも十分なものを用いることができる。よ
ってリーク電流や暗電流の発生が低減される。
に、障壁層上端を越える必要がないため、ホールに対す
る障壁層の高さも十分なものを用いることができる。よ
ってリーク電流や暗電流の発生が低減される。
【0012】ここで、本発明と類似の構造を有する、本
発明者らによる特願平9―36390号のダイオード
と、本発明との相違点について述べる。
発明者らによる特願平9―36390号のダイオード
と、本発明との相違点について述べる。
【0013】特願平9―36390号のダイオードは、
本発明と同様に、2つの電極間に障壁層と量子井戸層が
交互に積層された超格子層構造を有する真性半導体i層
を備えたヘテロ結合pin型ダイオードである。しか
し、このダイオードでは、所定の逆バイアス電圧を印加
した場合、電子が共鳴によって障壁層の第1X点準位か
ら量子井戸層の第2Γ点準位へ、トンネリング現象によ
って第2Γ点準位から障壁層の第1X点準位へと遷移す
るように障壁層と量子井戸層の厚さを設定している。従
って、量子井戸層の厚さはトンネリング現象を発生させ
るために薄くなくてはならず、この点で本発明と異なっ
ている。また、負性微分速度を有する、量子井戸層の第
2Γ点準位と障壁層中の第1X点準位との間の共鳴を起
こすようなエネルギー配列では、キャリアの走行が遅く
なるために、超格子部をアバランシェ増倍を発生するた
めに用いることはできず、この点でも本発明と異なって
いる。
本発明と同様に、2つの電極間に障壁層と量子井戸層が
交互に積層された超格子層構造を有する真性半導体i層
を備えたヘテロ結合pin型ダイオードである。しか
し、このダイオードでは、所定の逆バイアス電圧を印加
した場合、電子が共鳴によって障壁層の第1X点準位か
ら量子井戸層の第2Γ点準位へ、トンネリング現象によ
って第2Γ点準位から障壁層の第1X点準位へと遷移す
るように障壁層と量子井戸層の厚さを設定している。従
って、量子井戸層の厚さはトンネリング現象を発生させ
るために薄くなくてはならず、この点で本発明と異なっ
ている。また、負性微分速度を有する、量子井戸層の第
2Γ点準位と障壁層中の第1X点準位との間の共鳴を起
こすようなエネルギー配列では、キャリアの走行が遅く
なるために、超格子部をアバランシェ増倍を発生するた
めに用いることはできず、この点でも本発明と異なって
いる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施の形態
を添付図面に基づいて説明する。なお、同一部分には同
一符号を付すこととする。始めに図1〜図3を用いて本
実施形態の構成を説明する。図1は本実施形態に係るア
バランシェダイオード1を示す断面図である。このアバ
ランシェダイオード1は、電極として用いるためのAu
電極層11が片面に形成されているn型半導体基板12
の、Au電極層11と反対側の面に、以下の(a)〜
(f)層が、順次積層されて形成されたものである。な
お、このn型半導体基板12は、不純物としてSiが約
1×1018/cm3注入された、厚さが約300μmの
n−GaAs基板である。
を添付図面に基づいて説明する。なお、同一部分には同
一符号を付すこととする。始めに図1〜図3を用いて本
実施形態の構成を説明する。図1は本実施形態に係るア
バランシェダイオード1を示す断面図である。このアバ
ランシェダイオード1は、電極として用いるためのAu
電極層11が片面に形成されているn型半導体基板12
の、Au電極層11と反対側の面に、以下の(a)〜
(f)層が、順次積層されて形成されたものである。な
お、このn型半導体基板12は、不純物としてSiが約
1×1018/cm3注入された、厚さが約300μmの
n−GaAs基板である。
【0015】(a)n型不純物イオンとしてSiが約2
×1018/cm3注入されたn−GaAsからなる厚さ
約0.8μmのn型バッフア層13; (b)i−GaAsからなる厚さ約10μmのi型クラ
ッド層14; (c)超格子構造を有する厚さ約1μmの真性半導体層
15; (d)i−GaAsからなる厚さ約10μmのi型クラ
ッド層16; (e)p型不純物イオンとしてBeが約5×1018/c
m3注入されたp−GaAsからなる厚さ約50μmの
p型キャップ層17;及び (f)Au電極層18。
×1018/cm3注入されたn−GaAsからなる厚さ
約0.8μmのn型バッフア層13; (b)i−GaAsからなる厚さ約10μmのi型クラ
ッド層14; (c)超格子構造を有する厚さ約1μmの真性半導体層
15; (d)i−GaAsからなる厚さ約10μmのi型クラ
ッド層16; (e)p型不純物イオンとしてBeが約5×1018/c
m3注入されたp−GaAsからなる厚さ約50μmの
p型キャップ層17;及び (f)Au電極層18。
【0016】なお、Au電極層18は、堆積後にエッチ
ングによって中央部がエッチングされ、リング状になっ
ている。
ングによって中央部がエッチングされ、リング状になっ
ている。
【0017】更に、上記(c)の真性半導体層、すなわ
ちi層15について詳しく説明する。ここで図2は、図
1のi層15の部分を中心に囲んだ部分Aを拡大したも
のであり、図3は更に、図2の障壁層の部分を中心に囲
んだ部分Bを拡大したものである。i層15は、i型ク
ラッド層14上に、GaAsの量子井戸層21(1)か
ら、GaAsの量子井戸層とAlAsの障壁層22層と
を交互に、例えば100対繰り返された超格子層が積層
されたものである(図2)。図2中、21(1),22
(1)はそれぞれ第1対目の量子井戸層21,障壁層2
2を示し、21(m),22(m)はそれぞれ第m対目
の量子井戸層21,障壁層22を示し、21(10
0),22(100)はそれぞれ第100対目の量子井
戸層21,障壁層22を示している。
ちi層15について詳しく説明する。ここで図2は、図
1のi層15の部分を中心に囲んだ部分Aを拡大したも
のであり、図3は更に、図2の障壁層の部分を中心に囲
んだ部分Bを拡大したものである。i層15は、i型ク
ラッド層14上に、GaAsの量子井戸層21(1)か
ら、GaAsの量子井戸層とAlAsの障壁層22層と
を交互に、例えば100対繰り返された超格子層が積層
されたものである(図2)。図2中、21(1),22
(1)はそれぞれ第1対目の量子井戸層21,障壁層2
2を示し、21(m),22(m)はそれぞれ第m対目
の量子井戸層21,障壁層22を示し、21(10
0),22(100)はそれぞれ第100対目の量子井
戸層21,障壁層22を示している。
【0018】ここで図3に示すように、本実施形態によ
る障壁層21は18層であり、原子層301〜原子層3
18までの、18層のAlAs原子層が積層されたもの
である。また、量子井戸層22は、22層のGaAs原
子層が積層されたものである。
る障壁層21は18層であり、原子層301〜原子層3
18までの、18層のAlAs原子層が積層されたもの
である。また、量子井戸層22は、22層のGaAs原
子層が積層されたものである。
【0019】また、図1に示すように、電極18は逆バ
イアス電圧Vの可変電圧源19の負極に接続され、電極
11は、可変電圧源19の正極に接続されている。
イアス電圧Vの可変電圧源19の負極に接続され、電極
11は、可変電圧源19の正極に接続されている。
【0020】図4は、逆バイアス電圧を変化したとき
の、第m対目の量子井戸層の準位エネルギーを一定とし
た場合の、第m対目及び第m−1対目の第1X点準位の
相対的な準位エネルギーを示している。直線41は、量
子井戸層21(m)での第1Γ点準位であるΓ1(m)
の準位エネルギーを示し、直線42は量子井戸層21
(m)での第2Γ点準位である、Γ2(m)の準位エネ
ルギーを示している。また、点線43は障壁層22
(m)の第1X点準位であるX1(m)の準位エネルギ
ーを示し、点線44は障壁層22(m−1)の第1X点
準位であるX1(m−1)の準位エネルギーを示してい
る。ここで、逆バイアス電圧を増加させていくと、X1
(m)の相対的準位エネルギーは上昇し、X1(m−
1)の相対的準位エネルギーは下降する。
の、第m対目の量子井戸層の準位エネルギーを一定とし
た場合の、第m対目及び第m−1対目の第1X点準位の
相対的な準位エネルギーを示している。直線41は、量
子井戸層21(m)での第1Γ点準位であるΓ1(m)
の準位エネルギーを示し、直線42は量子井戸層21
(m)での第2Γ点準位である、Γ2(m)の準位エネ
ルギーを示している。また、点線43は障壁層22
(m)の第1X点準位であるX1(m)の準位エネルギ
ーを示し、点線44は障壁層22(m−1)の第1X点
準位であるX1(m−1)の準位エネルギーを示してい
る。ここで、逆バイアス電圧を増加させていくと、X1
(m)の相対的準位エネルギーは上昇し、X1(m−
1)の相対的準位エネルギーは下降する。
【0021】図5、図6は、本実施形態を示す図7と比
較するため、それぞれ逆バイアス電圧0V、25Vを印
加した場合の各点の準位エネルギーの関係を示したもの
である。図4より、V=0の場合Γ2(m)>X1
(m)>Γ1(m)となるので、これらの関係を各層に
対応させて図で表すと図5に示すようになる。また、図
4より、V=25Vの場合(図中点Pの位置)、Γ2
(m)>X1(m)>Γ1(m)>X1(m−1)とな
るので、これらの関係を各層に対応させて図に表すと、
図6に示すようになる。図7は本実施形態に係るV=4
0Vの場合での各点の準位エネルギーの関係を示したも
ので、図4において点Qでは、X1(m)≒Γ2(m)
>Γ1(m)>X1(m−1)となっている。
較するため、それぞれ逆バイアス電圧0V、25Vを印
加した場合の各点の準位エネルギーの関係を示したもの
である。図4より、V=0の場合Γ2(m)>X1
(m)>Γ1(m)となるので、これらの関係を各層に
対応させて図で表すと図5に示すようになる。また、図
4より、V=25Vの場合(図中点Pの位置)、Γ2
(m)>X1(m)>Γ1(m)>X1(m−1)とな
るので、これらの関係を各層に対応させて図に表すと、
図6に示すようになる。図7は本実施形態に係るV=4
0Vの場合での各点の準位エネルギーの関係を示したも
ので、図4において点Qでは、X1(m)≒Γ2(m)
>Γ1(m)>X1(m−1)となっている。
【0022】この場合の電子の移動を示したものが図8
である。Γ1(m+1)より説明するが、まず、Γ1
(m+1)にいる電子は、Γ1(m+1)よりもX1
(m)の準位エネルギーが低いため、Γ1(m+1)か
らX1(m)へと移動し(101)、ここでトラップさ
れる。次に、X1(m)の準位エネルギーと、隣接して
いる量子井戸層のΓ2(m)の準位エネルギーとは、近
接しているために共鳴し、トラップされていた電子はX
1(m)からΓ2(m)へ移動102する。更にΓ2
(m)に移動した電子は、同じ量子井戸層内のΓ1
(m)へ、サブバンド間遷移103により緩和する。そ
してΓ1(m)の電子は、上述したΓ1(m+1)の電
子と同様に、隣接している障壁層のX1(m−1)へと
順次移動(104)していく。
である。Γ1(m+1)より説明するが、まず、Γ1
(m+1)にいる電子は、Γ1(m+1)よりもX1
(m)の準位エネルギーが低いため、Γ1(m+1)か
らX1(m)へと移動し(101)、ここでトラップさ
れる。次に、X1(m)の準位エネルギーと、隣接して
いる量子井戸層のΓ2(m)の準位エネルギーとは、近
接しているために共鳴し、トラップされていた電子はX
1(m)からΓ2(m)へ移動102する。更にΓ2
(m)に移動した電子は、同じ量子井戸層内のΓ1
(m)へ、サブバンド間遷移103により緩和する。そ
してΓ1(m)の電子は、上述したΓ1(m+1)の電
子と同様に、隣接している障壁層のX1(m−1)へと
順次移動(104)していく。
【0023】ここで、X点準位への散乱確率は非常に高
いため、Γ−X緩和時間は数100フェムト秒と非常に
速く、Γ点準位間のサブバンド間遷移もピコ秒オーダと
速い。さらに、Γ2−X1−Γ2−X1と流れる電子も
あるためキャリアの移動速度は急激に上昇する。よって
加速された電子はそれによって得た運動量エネルギーに
よってアバランシェ増倍を引き起こす。
いため、Γ−X緩和時間は数100フェムト秒と非常に
速く、Γ点準位間のサブバンド間遷移もピコ秒オーダと
速い。さらに、Γ2−X1−Γ2−X1と流れる電子も
あるためキャリアの移動速度は急激に上昇する。よって
加速された電子はそれによって得た運動量エネルギーに
よってアバランシェ増倍を引き起こす。
【0024】これに対して、ホールは高いバリアーによ
って量子井戸内に閉じ込められ、加速されないためアバ
ランシェ増倍は行なわれない。従って高い電子/ホール
増倍率比を得ることができる。
って量子井戸内に閉じ込められ、加速されないためアバ
ランシェ増倍は行なわれない。従って高い電子/ホール
増倍率比を得ることができる。
【0025】なお、ここで、図4より、Γ1(m)から
X1(m−1)への電子の移動は逆バイアス電圧が約1
7V以上で発生し、またΓ2(m)とX1(m)との共
鳴はΓ2(m)≒X1(m)となる約34V程度の逆バ
イアス電圧で発生し始めると予想され、これは図9に示
す実験によって検証された。以下にその実験結果につい
て述べる。図9は本発明の構造を有するアバランシェダ
イオードに逆バイアス電圧を印加した場合の、印加逆バ
イアス電圧と光電流の関係を示した実験値91、及びそ
の場合の暗電流の値92である。印加電圧が低いときに
は光電流の値は小さいが、約34V程度の電圧を越える
と光電流の値は急激に増大し始め、すなわちアバランシ
ェ増倍が発生していることがわかる。また、暗電流の値
は、図4に示すように光電流の値とオーダにおいて10
4異なっており、非常に小さいことがわかる。
X1(m−1)への電子の移動は逆バイアス電圧が約1
7V以上で発生し、またΓ2(m)とX1(m)との共
鳴はΓ2(m)≒X1(m)となる約34V程度の逆バ
イアス電圧で発生し始めると予想され、これは図9に示
す実験によって検証された。以下にその実験結果につい
て述べる。図9は本発明の構造を有するアバランシェダ
イオードに逆バイアス電圧を印加した場合の、印加逆バ
イアス電圧と光電流の関係を示した実験値91、及びそ
の場合の暗電流の値92である。印加電圧が低いときに
は光電流の値は小さいが、約34V程度の電圧を越える
と光電流の値は急激に増大し始め、すなわちアバランシ
ェ増倍が発生していることがわかる。また、暗電流の値
は、図4に示すように光電流の値とオーダにおいて10
4異なっており、非常に小さいことがわかる。
【0026】本実施例においては、GaAs量子井戸層
及びAlAs障壁層が、それぞれ22層及び18層の場
合について説明したが、これに限定されるものではな
い。例えば、GaAs層が24原子層でありAlAs層
が14原子層の場合、またGaAs層が32原子層であ
りAlAs層が20原子層の場合においてもX1点の準
位エネルギーと、Γ2点の準位エネルギーが共鳴するこ
とが検証されている。
及びAlAs障壁層が、それぞれ22層及び18層の場
合について説明したが、これに限定されるものではな
い。例えば、GaAs層が24原子層でありAlAs層
が14原子層の場合、またGaAs層が32原子層であ
りAlAs層が20原子層の場合においてもX1点の準
位エネルギーと、Γ2点の準位エネルギーが共鳴するこ
とが検証されている。
【0027】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、電子の
移動が高速に行なわれるため。アバランシェ増倍が発生
されるという効果がある。
移動が高速に行なわれるため。アバランシェ増倍が発生
されるという効果がある。
【0028】また、ホールは障壁層によって量子井戸層
に閉じ込められるため、アバランシェ増倍を行なわな
い、従って高い電子/ホール増倍率の比を得ることがで
きるという効果がある。
に閉じ込められるため、アバランシェ増倍を行なわな
い、従って高い電子/ホール増倍率の比を得ることがで
きるという効果がある。
【0029】更に、電子を量子井戸層から抜け出させる
のに障壁層上端を越えさせる必要がないため、ホールに
対する障壁層の高さも十分なものを用いることができ
る。よってリーク電流や暗電流の発生が低減されるとい
う効果がある。
のに障壁層上端を越えさせる必要がないため、ホールに
対する障壁層の高さも十分なものを用いることができ
る。よってリーク電流や暗電流の発生が低減されるとい
う効果がある。
【図1】本実施形態に係るアバランシェダイオードを示
す断面図である。
す断面図である。
【図2】図1の部分Aを拡大した図である。
【図3】図2の部分Bを拡大した図である。
【図4】逆バイアス電圧を変化した場合の相対的準位エ
ネルギーを示した図である。
ネルギーを示した図である。
【図5】逆バイアス電圧0Vの場合の各点の準位エネル
ギーを示した図である。
ギーを示した図である。
【図6】逆バイアス電圧25Vの場合の各点の準位エネ
ルギーを示した図である。
ルギーを示した図である。
【図7】本実施形態による、逆バイアス電圧40Vの場
合の各点の準位エネルギーを示した図である。
合の各点の準位エネルギーを示した図である。
【図8】本実施形態による、逆バイアス電圧を印加した
場合の各点の準位エネルギー及び電子の流れを示した図
である。
場合の各点の準位エネルギー及び電子の流れを示した図
である。
【図9】印加逆バイアス電圧と光電流の関係を示した図
である。
である。
1…アバランシェダイオード、11…Au電極層、12
…n型半導体基板、13…i型クラッド層、14…i型
クラッド層、15…真性半導体層、16…i型クラッド
層、17…p型キャップ層、18…Au電極層、19…
可変電圧源、21…量子井戸層、22…障壁層。
…n型半導体基板、13…i型クラッド層、14…i型
クラッド層、15…真性半導体層、16…i型クラッド
層、17…p型キャップ層、18…Au電極層、19…
可変電圧源、21…量子井戸層、22…障壁層。
Claims (1)
- 【請求項1】 n型GaAs半導体基板とp型GaAs
半導体層との間に、GaAs量子井戸層とAlAs障壁
層とが交互に積層されてなるi型の超格子構造を有する
pin型のアバランシェダイオードであって、 前記量子井戸層の厚さを22〜32原子層とし、且つ前
記障壁層の厚さを10〜24原子層としたことを特徴と
するアバランシェダイオード。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9127556A JPH10321896A (ja) | 1997-05-16 | 1997-05-16 | アバランシェダイオード |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9127556A JPH10321896A (ja) | 1997-05-16 | 1997-05-16 | アバランシェダイオード |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10321896A true JPH10321896A (ja) | 1998-12-04 |
Family
ID=14962947
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP9127556A Pending JPH10321896A (ja) | 1997-05-16 | 1997-05-16 | アバランシェダイオード |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH10321896A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2003174187A (ja) * | 2001-12-07 | 2003-06-20 | Sumitomo Chem Co Ltd | 薄膜半導体エピタキシャル基板及びその製造方法 |
JP2011077474A (ja) * | 2009-10-02 | 2011-04-14 | Kyocera Corp | 光電変換素子および光電変換方法 |
JP2022119886A (ja) * | 2018-07-11 | 2022-08-17 | エスアールアイ インターナショナル | 過剰雑音の出ないフォトダイオード |
-
1997
- 1997-05-16 JP JP9127556A patent/JPH10321896A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2003174187A (ja) * | 2001-12-07 | 2003-06-20 | Sumitomo Chem Co Ltd | 薄膜半導体エピタキシャル基板及びその製造方法 |
JP2011077474A (ja) * | 2009-10-02 | 2011-04-14 | Kyocera Corp | 光電変換素子および光電変換方法 |
JP2022119886A (ja) * | 2018-07-11 | 2022-08-17 | エスアールアイ インターナショナル | 過剰雑音の出ないフォトダイオード |
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