JPH10321152A - イオン加速電極板及びその製造方法 - Google Patents

イオン加速電極板及びその製造方法

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JPH10321152A
JPH10321152A JP9132525A JP13252597A JPH10321152A JP H10321152 A JPH10321152 A JP H10321152A JP 9132525 A JP9132525 A JP 9132525A JP 13252597 A JP13252597 A JP 13252597A JP H10321152 A JPH10321152 A JP H10321152A
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JP
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plate
copper
cooling
grooved
copper plate
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Application number
JP9132525A
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English (en)
Inventor
Sumiichi Shibuya
純市 澁谷
Koji Ichihashi
公嗣 市橋
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】安価な素材から成る電極板を十分低い加圧力で
密着接合する。 【解決手段】一面に複数の冷却溝2が形成された溝付き
銅板3の冷却溝形成面にチタン箔4を介して銅平板5を
積層して重合することにより重合板6を形成し、重合板
6を真空炉10、ヒータ12、重し15等を用いて拡散
接合することによりチタン箔4と溝付き銅板3及び銅平
板5との間で共晶溶融反応を発生させ、この共晶溶融反
応により晶出された融液を介して溝付き銅板3と銅平板
5とを接合して重合板6を一体化して複数の冷却溝2を
銅平板5で塞いで複数の冷却水通路2a(図3参照)を
形成し、複数の冷却水通路2aにおける隣接する冷却水
通路間にビーム引き出し孔17を加工形成してイオン加
速電極板1を得ている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、核融合装置の中性
粒子入射装置やイオンミキシング装置等に適用されるイ
オン源において、プラズマ中のイオンを加速して高速イ
オンビームを生成するイオン加速電極板及びその製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】核融合装置の中性子入射装置やイオンミ
キシング装置においては、プラズマから高速イオンビー
ムを生成するイオン源が用いられている。
【0003】例えば中性子入射装置のイオン源は、水素
等のガスが導入されたフィラメントを有するプラズマ生
成部において当該フィラメントを介してアーク放電を行
なうことによりプラズマを生成する。そして、このプラ
ズマ中のガスが電離したイオンを電極板に形成した電界
によりプラズマから引き出して加速し、高エネルギーを
有する高速イオンビームを発生するものである。
【0004】上述したイオン源におけるイオン加速電極
板は、当該電極板に多数形成されたイオンビーム引き出
し孔を介してプラズマからイオンビームを引き出すよう
になっており、当該イオン加速電極板が直接高温のイオ
ンビームと直接接触する構造となっている。したがっ
て、イオン加速電極板では、そのイオン加速電極板自体
の熱負荷を低減して耐久性能を維持するために、ビーム
引き出し孔間に冷却チャンネルを設けて冷却を行なって
いる。
【0005】図7(a)は、従来のイオン加速電極板の
構造を示す断面図、及び図7(b)は、図7(a)にお
ける一部を拡大して示す図である。
【0006】このイオン加速電極板40によれば、イオ
ンビーム引き出し用の多数のビーム引き出し孔41を有
する電極板本体40aのプラズマ43側の表面における
ビーム引き出し孔41間にそれぞれ溝42が設けられて
おり、この溝42に冷却パイプ44の約半分の領域が埋
め込まれ、ろう材45によりろう付けされている。そし
て、この冷却パイプ44に冷媒を流通させることによ
り、イオン加速電極板40の冷却を実行している。な
お、冷却パイプ44をプラズマ43側に設けるのは、そ
の反対側(ビーム引き出し側)には他の電極板(負電圧
が印加される抑制電極板等)が設置されるため、その電
極板とイオン加速電極板との間に形成される電界を冷却
パイプにより乱さないようにするため、及び当該電極板
間の距離が冷却パイプで制限されないようにするためで
ある。
【0007】しかしながら、上述したイオン加速電極板
40を用いてプラズマ43からイオンビームを引き出す
際には、冷却パイプ44及びろう材45が直接プラズマ
43にさらされるため、プラズマ43に起因したスパッ
タ作用や、プラズマ43中のイオン入射並びにプラズマ
43及びフィラメントからの熱輻射による加熱により、
ろう材45や冷却パイプ44を構成する物質が不純物と
してプラズマ43中に混入し、その不純物に含まれる不
要な元素がイオンビーム中に混在して、イオンビームの
純度が劣化するという問題が生じていた。
【0008】また、冷却パイプ44の全外周面が電極板
本体40aに接触していないため当該冷却パイプ44と
電極板本体40aとの接触面積が小さく、この結果大き
な冷却効率を望むことが難しかった。したがって、従来
のイオン加速電極板では、電極板本体40aとして使用
できる素材は、モリブデン等の熱的に安定な金属に限定
されたいたが、このような金属は高価であるため、イオ
ン加速電極板40自体のコストが増加するという問題が
有った。
【0009】さらに、冷却パイプ44を電極板本体40
aにろう付けする際、そのろう付け時の条件、例えば使
用するろう材の種類等によっては冷却パイプ44に冷媒
漏れの原因となる欠陥を発生させる恐れも生じていた。
【0010】そこで、ろう材や冷却パイプをプラズマに
対して直接さらすことなく、且つ冷却パイプと電極板間
の接触面積を増大させて冷却効率を向上させたイオン加
速電極板及びその製造方法が提案されている。
【0011】例えば、特開平2−244546号公報に
示すイオン加速電極板は、上下2枚の電極板間に冷媒流
通用の冷却パイプを挟み込み、その上下2枚の電極板及
び冷却パイプの間をろう付け(例えば真空中において銀
入りのろう材を用いて行なう)又は熱間当方圧加圧法
(熱間静水圧焼結法;Hot Isostatic Pressing,HIP
法)で接着して一体化している。
【0012】また、特開平3−129638号公報に示
すイオン加速電極板の製造方法によれば、高融点材料で
あるモリブデン板に冷却水通路用の溝を形成した溝付モ
リブデン板の溝表面にニッケルを被覆しておき、その上
にニッケルにより被覆されたモリブデン平板を重ね、拡
散接合により当該溝付モリブデン板とモリブデン平板と
を固着して一体化して、当該溝付モリブデン板の溝とモ
リブデン平板との間でニッケルにより被覆された冷却水
通路を形成する。そして、一体化されたモリブデン板に
対してビーム引き出し孔を加工形成してイオン加速電極
板を得ている。
【0013】さらに、特開平5−29093号公報に示
すイオン加速電極板及びその製造方法によれば、特開平
3−129638号公報に示すイオン加速電極板と同様
の溝付モリブデン板及びモリブデン平板を主体として構
成されたイオン加速電極板であって、当該イオン加速電
極板は、溝付モリブデン板及びモリブデン平板を拡散接
合により一体化して構成された重合板構造を成し、その
溝付モリブデン板の溝とモリブデン平板との間に形成さ
れた冷却水通路(冷却孔)の周面部をセラミックスの蒸
着に基づくセラミック被膜層で被覆してイオン加速電極
板を得ている。
【0014】そして、特開平6−314600号公報に
示すイオン加速電極板及びその製造方法によれば、溝付
タンタル板及びタンタル平板を、チタンをインサートメ
タルとした拡散接合により一体化することにより重合板
構造を成すイオン加速電極板を得ている。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平
2−244546号公報に開示されたイオン加速電極板
によれば、上下2枚の電極板及び冷却パイプの間(三者
間)をろう付け又はHIP法で接着し一体化しているた
め、以下に示す問題点を有している。
【0016】すなわち、ろう付けで上記三者間を接着し
た場合、その接着(接合)面積が400cm2 以上と一般
の接合面積から見て比較的大きな面積となるため、この
ような大きな接合面全体を均一且つ欠陥無くろう付けす
ることは、現在のろう付けに関する技術レベルから見て
も非常に困難である。
【0017】したがって、接合面にろう付けによる未接
合部分が顕在する場合、イオンビームによる高熱負荷を
除去するための上下電極板における熱伝導効率が未接合
部分の存在により低下してイオン加速電極板全体の冷却
効率を悪化させ、延いてはイオン加速電極板が加熱・変
形していた。このイオン加速電極板の加熱・変形により
ビーム引き出し孔の位置がズレ、当該イオン加速電極板
が加速用電極板としての機能を失うという問題が生じて
いた。
【0018】一方、HIP法を用いて上記三者間を接合
する場合には、HIP法による等圧加圧処理を行なう前
に接合面全周に亘って真空シールを溶接して接合面を真
空状態に密閉することが必要である。この真空シールは
真空中において電子ビーム溶接機を用いることにより容
易に溶接することができる。
【0019】しかしながら、イオン加速電極板は熱伝導
性の良い銅及び銅合金等から成り、その板厚は約5〜1
0mm程度と比較的薄く形成されているため、電子ビーム
溶接の条件として入熱を高めに設定しなければならず、
この高い入熱に起因して電極板には溶接中において熱変
形による曲りやうねりが発生していた。この結果、真空
シールの溶接後にHIP法により上下2枚の電極板及び
冷却パイプの間を接合して得られたイオン加速電極板に
も曲りやうねりが生じてしまう。
【0020】このように曲りやうねりが生じたイオン加
速電極板に対しては、HIP法による接合工程の後で修
正加工を施しているが、所定の形状や平坦度を出すこと
は難しく、この結果、ビーム引き出し孔の位置がズレ、
イオン加速電極板が加速用電極板としての機能を失うと
いう問題が生じていた。
【0021】一方、HIP法による接合を行なうために
は、ヘリウムリークディテクタを用いて接合面全周に亘
る真空シール溶接部分にヘリウムガスを吹き付けてリー
ク試験を行ない、高い気密性(1×10-9Torr・l /se
c 以下のリーク量)を有していることを確認する必要が
ある。また、上記リーク試験は静的な状態で行なわれる
が、接合面全周に亘る真空シール溶接部は、実際のHI
P法による高温・高雰囲気中における接合中においても
高い気密性を要求される。仮に、万が一真空シールが破
損した場合には、接合面に高温・高圧のガスが侵入し、
良好な接合を行なうことができなくなる。
【0022】このように、上記三者間をHIP法により
接合するためには、電極板に対して曲りやうねりを生じ
させずに、且つHIP法による接合中においても十分高
い気密性を維持できるような極めて難易度の高いシール
溶接技術が要求される。しかしながら、そのような難易
度の高いシール溶接を実現するためには、現在の技術レ
ベルでは、溶接機の高度化、溶接作業者の技能の向上
等、数多くの解決すべき課題を残していた。
【0023】一方、特開平2−244546号公報、特
開平3−129638号公報、特開平5−29093号
公報、及び特開平6−314600号公報に開示された
何れのイオン加速電極板も、高融点材料であるモリブデ
ンやタンタルから構成されており、モリブデン(タンタ
ル)から成る溝付き板とモリブデン(タンタル)から成
る平板とを拡散接合により一体化した構造を成している
ため、以下に示す問題点がある。
【0024】すなわち、前掲各公報に開示されたイオン
加速電極板では、電極板材料として高価なモリブデンや
タンタルを用いているため、イオン加速電極板の生産・
製造コストが増加して実用性を悪化させる要因の一つと
なっていた。
【0025】一方、上述した拡散接合は、高真空中ある
いはガス雰囲気中において溝付き板と平板とを密着させ
て(あるいは、チタンをインサートメタルとして接合面
に挟んで密着させて)、高温で一定時間加圧することに
より固相状態のままで溝付き板と平板とを接合するもの
であり、その接合温度、接合面の面荒さ、加圧力、及び
接合時間(高温状態維持時間・加圧時間)等が拡散接合
を良好に行なう重要なファクターとなっている。
【0026】拡散接合に必要な接合温度は、一般にその
接合材料の融点に対して0.7倍以上の温度、あるいは
その材料の再結晶温度以上の温度が必要といわれてい
る。また、加圧力については、接合面の面荒さや接合温
度に応じて適性圧力が定まるため、接合温度が高ければ
加圧力は小さく、接合温度が低ければ加圧力は高く設定
しなければならない。また、接合面の面荒さについて
は、接合面の凹凸が細かくて平滑であり、高い清浄度を
有していれば、接合温度を低く且つ加圧力を小さくして
も接合面は密着するが、接合面の凹凸が荒く低い清浄度
を有していれば、接合温度を高く且つ加圧力を高くしな
ければならない。さらに、接合時間については、接合温
度、加圧力等に依存される。例えば、接合温度が高く且
つ加圧力を高くすれば相互拡散が積極的に進み、接合時
間も短く設定できる。
【0027】この点、上述したモリブデン(タンタル)
から成る溝付き板とモリブデン(タンタル)から成る平
板とを拡散接合により一体化してイオン加速電極板を製
造する場合においては、当該溝付き板と平板とを容易且
つ強固に密着させるために、当該溝付き板及び平板の接
合面の平滑加工精度を通常の6Sよりも高い5S以下に
設定するためには、当該接合面を機械加工により平滑化
した後、さらにバフ研磨加工を行なうことが必要であっ
た。また、バフ研磨加工により平坦度及び清浄度の高い
接合面を得ても、その高平坦度及び高清浄度を維持する
ためには、加工中及び加工後において接合面の管理が必
要であった。
【0028】また、拡散接合により溝付きモリブデン板
とモリブデン平板とを固相状態のまま接合しているた
め、十分強固且つ気密性の高い接合を得るためには、1
120℃の高温において2.0kgf/mm2 の高い加圧力で
溝付きモリブデン板及びモリブデン平板の接合面全体を
均等に加圧する必要がある。さらに、拡散接合により溝
付きタンタル板とタンタル平板とをインサートメタルで
あるチタンを挟んで固相状態のまま接合しているため、
十分強固且つ気密性の高い接合を得るためには、100
0℃の高温において1.0kgf/mm2 の高い加圧力で溝付
きタンタル板及びタンタル平板の接合面全体を均等に加
圧する必要がある。
【0029】しかしながら、上述した1000℃以上の
高温状態において1.0kgf/mm2 以上の高い加圧力で接
合面を加圧接合する加圧装置を備えた拡散接合装置は、
国内においても数台しか存在しない程度の高価な装置で
あり、このような高価な拡散接合装置を用いて拡散接合
によりイオン加速電極板を製造するには、イオン加速電
極板の生産・製造コストが上昇して実用性を悪化させて
いた。
【0030】また、イオン加速電極板の材料である溝付
き板及び平板の板厚は約5〜10mm程度と比較的薄く形
成されているため、このような薄厚の溝付き板及び平板
の十分に広い接合面を高い加圧力で均等に加圧し、且つ
溝の変形を抑えるように加圧力を制御することは非常に
難しく、当該接合面の気密性を悪化させてその信頼性を
低下させる恐れがあった。そこで、可変可能な高加圧力
で広い接合面を均等に加圧できる加圧装置を有する拡散
接合装置を製作することが考えられているが、そのよう
な装置は非常に複雑且つ高価な装置となるため、実用性
に乏しかった。
【0031】すなわち、単純な拡散接合により溝付き板
と平板とを加圧接合してイオン加速電極板を生産・製造
していたのでは、当該イオン加速電極板の生産・製造コ
ストの上昇や接合面全体の気密性悪化及び信頼性の低下
を招く結果となっていた。
【0032】本発明は、上述した事情に鑑みてなされた
もので、その目的は、安価な素材から成る電極板を十分
低い加圧力で密着接合することにより、プラズマ中への
ろう材等の不純物の混入や冷媒漏れの恐れがなく且つ高
い冷却効率を有するイオン加速電極板を製造することを
可能にして、当該イオン加速電極板の生産・製造コスト
を低減し、接合面全体の気密性及び信頼性を向上させる
ことにある。
【0033】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決する
ために、本発明のイオン加速電極板の製造方法は、請求
項1に記載したように、一面に冷媒流通用の複数の冷却
溝が形成された溝付き銅板の当該冷却溝形成面にチタン
箔を介して銅平板を積層して重合することにより重合板
を形成し、この重合板を拡散接合することにより前記チ
タン箔と前記溝付き銅板及び銅平板との間で共晶溶融反
応を発生させ、この共晶溶融反応により晶出された融液
を介して当該溝付き銅板と銅平板とを接合して当該重合
板を一体化することにより前記複数の冷却溝を前記銅平
板で塞いで複数の冷却水通路を形成し、これら複数の冷
却水通路における隣接する冷却水通路間にイオンビーム
引き出し用のビーム孔を加工形成している。
【0034】また、上述した課題を解決するために、本
発明のイオン加速電極板の製造方法は、請求項2に記載
したように、一面に冷媒流通用の複数の冷却溝が形成さ
れた溝付き銅板の当該冷却溝形成面に第1のチタン層を
コーティングし、銅平板の一面に第2のチタン層をコー
ティングし、前記溝付き銅板の第1のチタン層コーティ
ング面及び前記銅平板の第2のチタン層コーティング面
を重合することにより重合板を形成し、この重合板を拡
散接合することにより前記第1のチタン層と前記溝付き
銅板との間及び前記第2のチタン層と前記銅平板との間
で共晶溶融反応を発生させ、この共晶溶融反応によりそ
れぞれ晶出された融液を介して当該溝付き銅板と銅平板
とを接合して当該重合板を一体化することにより前記複
数の冷却溝を前記銅平板で塞いで複数の冷却水通路を形
成し、これら複数の冷却水通路における隣接する冷却水
通路間にイオンビーム引き出し用のビーム孔を加工形成
している。
【0035】特に、請求項3に記載したイオン加速電極
板の製造方法によれば、前記第1のチタン層コーティン
グ処理及び前記第2のチタン層コーティング処理をイオ
ンプレーティングを用いて行なうようにしている。
【0036】また特に、請求項4に記載したイオン加速
電極板の製造方法によれば、前記重合板を拡散接合して
一体化する工程は、当該重合板を真空炉内に入れ、当該
真空炉内の雰囲気を加熱してその炉内温度を前記共晶溶
融反応に必要な所定の温度以上に上昇させて所定時間維
持し、前記重合体における前記銅平板の上面に重しを載
置して前記溝付き銅板及び銅平板の接合面を前記所定時
間加圧することを含んでいる。
【0037】さらに、請求項5に記載したイオン加速電
極板の製造方法によれば、前記接合面加圧用の重しは前
記接合面と同等の面積を有する板状ブロックを均等の大
きさに分割して構成された分割ブロックであり、当該分
割ブロックを互いに接した状態で銅平板の上面に並べて
載置して当該接合面を加圧するようにしており、また、
請求項6に記載したイオン加速電極板の製造方法によれ
ば、前記分割ブロックそれぞれに前記真空炉内における
輻射熱を前記接合面に均一に作用させるための穴部を設
けている。
【0038】一方、上述した課題を解決するために、本
発明のイオン加速電極板は、請求項7に記載したよう
に、一面に冷媒流通用の複数の冷却溝が形成された溝付
き銅板及びこの溝付き銅板の前記冷却溝形成面にインサ
ートメタルとしてのチタン箔を介して積層された銅平板
を有し、前記溝付き銅板、チタン箔及び前記銅平板を拡
散接合に基づく共晶溶融反応に応じて晶出された融液に
より接合して成る重合板と、この重合板において前記溝
付き銅板の複数の冷却溝と前記銅平板との間に形成され
た複数の冷却水通路と、この複数の冷却水通路における
隣接する冷却水通路間に加工形成されたイオンビーム引
き出し用のビーム孔とを備えている。
【0039】また、上述した課題を解決するために、本
発明のイオン加速電極板は、請求項8に記載したよう
に、一面に冷媒流通用の複数の冷却溝が形成された溝付
き銅板及びこの溝付き銅板の前記冷却溝形成面にチタン
箔を介して積層された銅平板を有し、前記溝付き銅板、
チタン箔及び前記銅平板を拡散接合に基づく共晶溶融反
応に応じて晶出された融液により接合して成る重合板
と、この重合板において前記溝付き銅板の複数の冷却溝
と前記銅平板との間に形成された複数の冷却水通路と、
この複数の冷却水通路における隣接する冷却水通路間に
加工形成されたイオンビーム引き出し用のビーム孔とを
備えている。
【0040】
【発明の実施の形態】以下、本発明のイオン加速電極板
の実施の形態を図面に従って以下に説明する。
【0041】(第1の実施の形態)本発明の第1の実施
の形態を図1乃至図3に従って以下に説明する。
【0042】図1及び図2に示すように、本実施形態の
イオン加速電極板1を製造するには、まず、銅の平板の
一面(図中上面)に冷却水流通用の矩形状の冷却溝2を
互いに平行且つ所定間隔をおいて形成加工し、この溝付
き銅板3の上面(接合面)にインサートメタルとして厚
さ約10ミクロンのチタン箔4を積層する。次いで、こ
のチタン箔4の上面に銅の平板5をその下面を接合面と
して重合することにより、溝付き銅板3及び銅平板5の
接合面がチタン箔4を挟んで接した重合板6が形成され
る。なお、冷却溝2の寸法は幅及び深さがそれぞれ2mm
である。また、溝付き銅板3及び銅平板5の接合面の表
面加工精度は、通常の6Sである。
【0043】そして、この重合板6を拡散接合してイオ
ン加速電極板1を生成する。すなわち、作業者は、重合
板6を真空炉10に内に入れて当該真空炉10内の下部
治具11上に載置する。真空炉10には、加熱して炉内
の温度を上昇させるとともに、その上昇温度を一定時間
維持可能なヒータ12と、真空炉10の炉壁に弁13を
介して取り付けられ、真空炉10内の空気を排気して当
該真空炉10内の雰囲気を真空にする排気装置14とが
それぞれ設置されている。
【0044】重合板6を真空炉10の下部治具11に載
置した状態において、作業者は、溝付き銅板3及び銅平
板5の接合面を密着させるための重し15を銅平板5の
上面に載置する。
【0045】この重し15は、例えばステンレス鋼等の
金属で形成した板状ブロックであり、その載置面が溝付
き銅板3及び銅平板5の接合面と同等の面積を有するよ
うに形成されており、この重し15の重量は、その重量
に基づく溝付き銅板3及び銅平板5の接合面に働く圧力
(加圧力)が150 gf/cm2 となり、且つその接合面に
対して均等に作用するように設定されている。
【0046】積層体6の銅平板5の上面に重し15を載
置した状態において、作業者は、弁13を開いて排気装
置14を駆動させて真空炉10内の空気を排気して炉内
の雰囲気を真空(真空度1×10-4Torr)にして弁13
を閉じる。
【0047】そして、作業者は、ヒータ12を駆動させ
て炉内を加熱し、その温度を930℃に上昇させる。次
いで、真空炉内を所定時間(0.5H)高温(930
℃)に維持することにより、当該高温状態において溝付
き銅板3と銅平板5とがチタン箔4を介して重し15に
より加圧され、溝付き銅板3の接合面及び銅平板5の接
合面との間で拡散接合が行なわれる。
【0048】このとき、重し15の加圧力により溝付き
銅板3の接合面と銅平板5の接合面とをチタン箔4を介
して密着させているため、チタン箔4が溝付き銅板3及
び銅平板5と反応して共晶溶融し、当該溝付き銅板3及
び銅平板5の各接合面は、共晶溶融により晶出された融
液である液相を介して接合される。なお、共晶溶融反応
は、真空炉10内の温度が約880℃に達してから開始
して液相が生じてくるため、本実施形態の接合温度(9
30℃)では十分な融液が生じており、上述した溝付き
銅板3及び銅平板5の各接合面の接合も容易且つ確実に
行なわれる。なお、使用しているチタン箔は約10ミク
ロンと極めて薄く、共晶溶融反応時に晶出する融液も極
めて少ない。したがって、その融液が溝付き銅板3の冷
却溝2を埋めて冷却効率を下げるようなデメリットはな
い。
【0049】このようにして、真空炉10内において溝
付き銅板3及び銅平板5とチタン箔4との間の共晶反応
により当該溝付き銅板3及び銅平板5との拡散接合が終
了すると、作業者は、真空炉10内から拡散接合した積
層体6を取り出す。このとき、溝付き銅板3の溝2が接
合部16を介して銅平板5と接合して塞がれるため、当
該溝2と銅平板5との間で互いに平行且つ所定間隔をお
いて多数の冷却水通路2aが形成される。
【0050】そして、図3に示すように、拡散接合した
積層体6における隣接する冷却水通路2a間に積層方向
に沿ってイオンビーム引き出し用のビーム引き出し孔1
7をそれぞれ穿設して、イオン加速電極板1を生成す
る。
【0051】以上述べたように、本構成のイオン加速電
極板1によれば、溝付き銅板3及び銅平板5を、チタン
箔4に基づく共晶反応を利用した拡散接合により一体化
して構成しており、隣接するビーム引き出し孔17の間
に冷却水通路2aを設けているため、当該冷却水通路2
aに冷却水を流通させてイオン加速電極板1を直接冷却
できる。したがって、従来の冷却パイプを埋め込むイオ
ン加速電極板と比べて冷却性能及び冷却効率が向上し、
このイオン加速電極板1を用いた中性子入射装置やイオ
ンミキシング装置を長期間連続運転することが可能にな
る。
【0052】また、冷却水通路2aは、銅板に対して溝
2を形成加工することにより得られるため、比較的加工
が容易であり、且つその形状や大きさを任意に選定(例
えば、矩形、円形、楕円形等)することができる。した
がって、本実施形態のように、隣接するビーム引き出し
孔17間の狭い間隙に対しても、当該ビーム引き出し孔
17に近接して冷却水通路2aを形成することが可能に
なり、冷却効率を向上させることができる。また、従来
のように冷却パイプを用いる必要がないため、イオン加
速電極板の生産・製造コストを低減することができる。
【0053】特に、本構成のイオン加速電極板1によれ
ば、安価な素材である銅板(溝付き銅板3と銅平板5)
を用いてイオン加速電極板を製造することができるた
め、モリブデン板やタンタル板等の高価な材料を用いる
必要がなく、イオン加速電極板の生産・製造コストを大
幅に低減することができる。
【0054】さらに、本構成のイオン加速電極板1によ
れば、チタン箔4を溝付き銅板3及び銅平板5と共晶反
応させて晶出された液相を介して当該溝付き銅板3及び
銅平板5を接合しているため、従来の固相状態のままで
電極板を接合した場合と比べてその接合性を数段に高め
ることができる。
【0055】そして、本構成のイオン加速電極板1で
は、上述したように、チタン箔4と溝付き銅板3及び銅
平板5との共晶反応により晶出された液相を介して当該
溝付き銅板3及び銅平板5を接合しているため、従来の
固相状態のままで電極板を接合した場合と比べて、その
加圧力を大幅に削減することができる。すなわち、従来
の溝付きモリブデン板とモリブデン平板との接合には、
1120℃の高温において2.0kgf/mm2 の高い加圧力
が必要であり、溝付きタンタル板とタンタル平板との接
合には、1000℃の高温において1.0kgf/mm2 の高
い加圧力が必要であった。
【0056】しかしながら、本構成のイオン加速電極板
1によれば、溝付き銅板3と銅平板5との接合には、従
来よりも低温(930℃)において150 gf/cm2 の加
圧力しか必要としない。このように本構成のイオン加速
電極板1では、加圧力を従来よりも大幅に低減すること
ができるため、複雑且つ高価な加圧装置を有する拡散接
合装置等は必要なく、上述したように、安価な板状ブロ
ック等を加圧力発生用の重し15とした真空炉10内で
の加熱処理という安価且つ単純な拡散接合装置により容
易に拡散接合を実行することができる。
【0057】すなわち、本構成のイオン加速電極板1に
よれば、従来のモリブデン板やタンタル板等の電極板を
接合して製造されたイオン加速電極板と比べて、接合性
を数段に高めて接合面全体の気密性及び信頼性を大幅に
向上させるとともに、その拡散接合工程を容易にし、且
つ生産・製造コストを大幅に低減させることができる。
【0058】(第2の実施の形態)本発明の第2の実施
の形態を図4に従って以下に説明する。
【0059】図4に示すように、本実施形態のイオン加
速電極板を製造するには、まず、銅の平板の上面に冷却
水流通用の矩形状冷却溝20を互いに平行且つ所定間隔
をおいて形成加工し、この溝付き銅板21の上面(接合
面)にチタン材を例えばイオンプレーティングにより層
状にコーティングする。
【0060】次いで、銅の平板22を用意し、この銅平
板22の下面(接合面)にチタン材を例えばイオンプレ
ーティングにより層状にコーティングする。
【0061】このとき、溝付き銅板21及び銅平板22
にコーティングされたチタン層21a及び22aの厚み
は約5乃至20ミクロンであり、接合面に沿って均一に
形成されている。なお、イオンプレーティング法は、高
真空中で行なわれるために、チタン層21a及び22a
からガスが発生することがなく、また、その密着力も高
いこと等からチタンに限らず各種機能材のコーティング
処理に近年頻繁に用いられているコーティング処理方法
である。
【0062】チタン層コーティング処理が終了すると、
溝付き銅板21のチタン層21a上面に銅平板22をそ
のチタン層22a下面を接合面として重合することによ
り、溝付き銅板21及び銅平板22がチタン層21a及
び22aを挟んで接した重合板が形成される。
【0063】以下、第1実施形態と同様に、この重合板
を真空炉内でヒータ、重し等を用いて高温状態(930
℃)で加圧(150 gf/cm2 )することにより、チタン
層21a及び22aが溝付き銅板21及び銅平板22と
それぞれ反応して共晶溶融し、その共晶溶融によりそれ
ぞれ晶出した融液どうしが反応して溝付き銅板21及び
銅平板22の各接合面が拡散接合される。この後、第1
実施形態と同様に、隣接する冷却水路間にビーム引き出
し孔をそれぞれ穿設してイオン加速電極板を生成する。
【0064】なお、チタン層21a及び22aの厚みと
しては、薄すぎると共晶溶融反応により晶出される融液
の量が少なすぎて接合不十分となる恐れがあり、また、
チタン層21a及び22aの厚みが厚すぎても晶出され
る融液が多すぎ、余分の融液が冷却溝を埋めて電極板の
冷却機能を阻害する恐れがある。
【0065】実験の結果からは、それぞれのチタン層2
1a及び22aは、5乃至20ミクロン程度の厚みを有
するようにコーティング処理すれば、上述した融液量が
少ないことによる接合不十分や余分な融液による冷却溝
埋没等の不具合が起こらないことが確認できた。
【0066】以上述べたように、本構成のイオン加速電
極板によれば、溝付き銅板21及び銅平板22をチタン
層21a及び22aに基づく共晶反応を利用した拡散接
合により一体化して構成しており、隣接するビーム引き
出し孔の間に冷却水通路を設けているため、第1実施形
態と同様に、冷却性能及び冷却効率の向上並びにイオン
加速電極板の生産・製造コストを低減することができ
る。
【0067】また、本構成においても、溝付き銅板21
及び銅平板22を、その接合面上にコーティングしたチ
タン層21a及び22aに基づく共晶反応により晶出さ
れた液相を介して接合しているため、第1実施形態と同
様に、接合性を数段に高めて接合面全体の気密性及び信
頼性を大幅に向上させるとともに、その拡散接合工程を
容易にし、且つ生産・製造コストを大幅に低減させるこ
とができる。
【0068】(第3の実施の形態)本発明の第3の実施
の形態を図5に従って以下に説明する。なお、本実施形
態のイオン加速電極板の構成及びその製造工程は第1実
施形態と同様であるためその説明を省略し、当該第1実
施形態の構成と異なる溝付き銅板及び銅平板の接合面を
密着させるための重しの構造について以下に説明する。
【0069】図5に示すように、真空炉(図2参照)内
において銅平板5の上面に載置される重しとして、例え
ばステンレス鋼等の金属で形成した接合面と同等の面積
を有する板状ブロックを均等の大きさに分割した分割ブ
ロック25…25を用いている。すなわち、分割ブロッ
ク25…25を互いに接した状態で銅平板5の上面に並
べて載置し、各ブロック25…25によりその重量が溝
付き銅板3及び銅平板5の接合面に対して均等に作用す
るようになっている。本実施形態では、各分割ブロック
25は50乃至100mm角の大きさであり、接合面に働
く加圧力は、50乃至200 gf/cm2 となっている。
【0070】すなわち、本構成によれば、分割ブロック
25…25により溝付き銅板3の接合面と銅平板5の接
合面とをチタン箔4を介して密着させているため、接合
面の位置(周辺部や中央部)に関係なく均等な加圧力が
得られる。また、各分割ブロック25自体の大きさは板
状ブロックに比べて小さいため、接合中の加熱による熱
変形(反り等)の影響を必要最小限に抑えることができ
る。
【0071】仮に、溝付き銅板3及び銅平板5の接合面
全体の表面積が大きくなると、板状ブロックの表面積も
増大するため、その板状ブロックの周辺部が接合中の加
熱により熱変形(反り等)を起こし、接合面の周辺部に
対して当該接合面の中央部と均等な加圧力が作用しなく
なり、当該周辺部において接合不良を起こす恐れが生じ
ていたが、本構成の分割ブロック25…25を加圧力発
生用の重しとして用いることにより、溝付き銅板3及び
銅平板5の接合面全体の表面積が大きくなっても、熱変
形を受けることなく溝付き銅板3及び銅平板5の接合面
全体を略均等な加圧力で加圧できるため、第1実施形態
の効果に加えて、当該溝付き銅板3及び銅平板5の接合
部の気密性及び信頼性をさらに高めることができる。
【0072】(第4実施形態)本発明の第4の実施の形
態を図6に従って以下に説明する。なお、本実施形態の
イオン加速電極板の構成及びその製造工程は第1実施形
態と同様であるためその説明を省略し、当該第1実施形
態の構成と異なる溝付き銅板及び銅平板の接合面を密着
させるための重しの構造について以下に説明する。
【0073】図6に示すように、真空炉(図2参照)内
において銅平板5の上面に載置される重しとして、第3
実施形態と同様に、例えばステンレス鋼等の金属で形成
した接合面と同等の面積を有する板状ブロックを均等の
大きさに分割した分割ブロック30…30を互いに接し
た状態で銅平板5の上面に並べて載置し、各ブロック3
0…30によりその重量を溝付き銅板3及び銅平板5の
接合面に対して均等に作用させている。
【0074】そして、本構成では、の分割ブロック30
…30に対して、当該ブロック30…30の対向する両
側面を貫通するように輻射熱伝達用の穴部30a…30
aを加工形成している。
【0075】すなわち、本構成によれば、溝付き銅板3
の接合面と銅平板5の接合面とを均等に加圧して密着さ
せる分割ブロック30…30に穴部30a…30aをそ
れぞれ加工形成しているため、拡散接合時に真空炉内の
ヒータからの輻射熱が当該穴部30a…30aを介して
伝わり接合面に作用するため、当該接合面における接合
温度を略均等にすることができる。
【0076】仮に、溝付き銅板3及び銅平板5の接合面
全体の表面積が大きくなる(例えば、厚さ8mm、幅20
0mm、及び長さ600mm)と、真空炉内(真空雰囲気)
においては熱伝導が悪いため、分割ブロック30…30
による接合温度のばらつきが生じて接合不良を起こす可
能性があったが、本構成の穴部30a…30aを有する
分割ブロック30…30を加圧力発生用の重しとして用
いることにより、溝付き銅板3及び銅平板5の接合面全
体の表面積が大きくなっても、ヒータからお輻射熱を利
用して接合面における接合温度を略均等にすることがで
きるため、第1実施形態の効果に加えて、当該溝付き銅
板3及び銅平板5の接合部の気密性及び信頼性をさらに
高めることができる。
【0077】
【発明の効果】本発明のイオン加速電極板及びその製造
方法によれば、安価な材料である銅を素材とした溝付き
銅板及び銅平板を、チタン箔やチタン層に基づく共晶反
応を利用した拡散接合により一体化し、隣接するビーム
引き出し孔の間に冷却水通路を設けているため、冷却水
通路に冷却水を流通させてイオン加速電極板を直接冷却
できる。したがって、従来の冷却パイプを埋め込むイオ
ン加速電極板と比べて冷却性能及び冷却効率が向上す
る。この結果、熱変形が小さく、イオン加速電極板とし
ての高寿命化が図れる。また、冷却パイプを用いること
なく冷却水通路を形成し、且つモリブデン板やタンタル
板等の高価な材料を用いることなくイオン加速電極板を
生産・製造することができるため、イオン加速電極板の
生産・製造コストを大幅に低減することができる。
【0078】特に、本発明のイオン加速電極板によれ
ば、チタン箔やチタン層と溝付き銅板及び銅平板との共
晶反応により晶出された融液(液相)を介して溝付き銅
板及び銅平板を接合しているため、従来の固相状態のま
まで電極板を接合した場合と比べて、その加圧力を大幅
に削減しながら、接合力を従来に比べて数段に高めるこ
とができる。この結果、イオン加速電極板の接合面全体
の気密性及び信頼性が大幅に向上する。また、加圧力を
大幅に低減させることができるため、拡散接合に必要な
加圧力を、大きな加圧力を有する高価且つ複雑な加圧装
置を用いることなく、板状ブロック等の重しを用いて簡
単に得ることができるため、イオン加速電極板の生産・
製造コストを大幅に低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係わるイオン加速
電極板(重合板)の製造工程を示す分解構成図。
【図2】重合体を真空炉中に入れて拡散接合する工程を
説明する図。
【図3】拡散接合した重合板にビーム引き出し孔を穿設
して得られたイオン加速電極板を示す図。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係わるイオン加速
電極板(重合板)の製造工程を示す分解構成図。
【図5】本発明の第3の実施の形態に係わる重合板に載
置された重しを示す図。
【図6】本発明の第4の実施の形態に係わる重合板に載
置された重しを示す図。
【図7】(a)は、従来のイオン加速電極板の構造を示
す断面図、(b)は、図7(a)における一部拡大図。
【符号の説明】
1 イオン加速電極板 2、20 冷却溝 2a 冷却水通路 3、21 溝付き銅板 4 チタン箔 5、22 銅平板 6 重合板 10 真空炉 11 下部治具 12 ヒータ 13 弁 14 排気装置 15 重し 16 接合部 17 ビーム引き出し孔 21a、22a チタン層 25、30 分割ブロック 30a 穴部

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一面に冷媒流通用の複数の冷却溝が形成
    された溝付き銅板の当該冷却溝形成面にチタン箔を介し
    て銅平板を積層して重合することにより重合板を形成
    し、この重合板を拡散接合することにより前記チタン箔
    と前記溝付き銅板及び銅平板との間で共晶溶融反応を発
    生させ、この共晶溶融反応により晶出された融液を介し
    て当該溝付き銅板と銅平板とを接合して当該重合板を一
    体化することにより前記複数の冷却溝を前記銅平板で塞
    いで複数の冷却水通路を形成し、これら複数の冷却水通
    路における隣接する冷却水通路間にイオンビーム引き出
    し用のビーム孔を加工形成したことを特徴とするイオン
    加速電極板の製造方法。
  2. 【請求項2】 一面に冷媒流通用の複数の冷却溝が形成
    された溝付き銅板の当該冷却溝形成面に第1のチタン層
    をコーティングし、銅平板の一面に第2のチタン層をコ
    ーティングし、前記溝付き銅板の第1のチタン層コーテ
    ィング面及び前記銅平板の第2のチタン層コーティング
    面を重合することにより重合板を形成し、この重合板を
    拡散接合することにより前記第1のチタン層と前記溝付
    き銅板との間及び前記第2のチタン層と前記銅平板との
    間で共晶溶融反応を発生させ、この共晶溶融反応により
    それぞれ晶出された融液を介して当該溝付き銅板と銅平
    板とを接合して当該重合板を一体化することにより前記
    複数の冷却溝を前記銅平板で塞いで複数の冷却水通路を
    形成し、これら複数の冷却水通路における隣接する冷却
    水通路間にイオンビーム引き出し用のビーム孔を加工形
    成したことを特徴とするイオン加速電極板の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記第1のチタン層コーティング処理及
    び前記第2のチタン層コーティング処理をイオンプレー
    ティングを用いて行なうようにした請求項2記載のイオ
    ン加速電極板の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記重合板を拡散接合して一体化する工
    程は、当該重合板を真空炉内に入れ、当該真空炉内の雰
    囲気を加熱してその炉内温度を前記共晶溶融反応に必要
    な所定の温度以上に上昇させて所定時間維持し、前記重
    合体における前記銅平板の上面に重しを載置して前記溝
    付き銅板及び銅平板の接合面を前記所定時間加圧するこ
    とを含む請求項1又は2記載のイオン加速電極板の製造
    方法。
  5. 【請求項5】 前記接合面加圧用の重しは前記接合面と
    同等の面積を有する板状ブロックを均等の大きさに分割
    して構成された分割ブロックであり、当該分割ブロック
    を互いに接した状態で銅平板の上面に並べて載置して当
    該接合面を加圧するようにした請求項4記載のイオン加
    速電極板の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記分割ブロックそれぞれに前記真空炉
    内における輻射熱を前記接合面に均一に作用させるため
    の穴部を設けた請求項5記載のイオン加速電極板の製造
    方法。
  7. 【請求項7】 一面に冷媒流通用の複数の冷却溝が形成
    された溝付き銅板及びこの溝付き銅板の前記冷却溝形成
    面にチタン箔を介して積層された銅平板を有し、前記溝
    付き銅板、チタン箔及び前記銅平板を拡散接合に基づく
    共晶溶融反応に応じて晶出された融液により接合して成
    る重合板と、この重合板において前記溝付き銅板の複数
    の冷却溝と前記銅平板との間に形成された複数の冷却水
    通路と、この複数の冷却水通路における隣接する冷却水
    通路間に加工形成されたイオンビーム引き出し用のビー
    ム孔とを備えたことを特徴とするイオン加速電極板。
  8. 【請求項8】 一面に冷媒流通用の複数の冷却溝が形成
    され且つ当該冷却溝形成面に第1のチタン層がコーティ
    ングされた溝付き銅板,及び一面に第2のチタン層がコ
    ーティングされた銅平板を有し、前記溝付き銅板の第1
    のチタン層コーティング面及び前記銅平板の第2のチタ
    ン層コーティング面を重合して拡散接合に基づく共晶溶
    融反応に応じて晶出された融液により接合して成る重合
    板と、この重合板において前記溝付き銅板の複数の冷却
    溝と前記銅平板との間に形成された複数の冷却水通路
    と、この複数の冷却水通路における隣接する冷却水通路
    間に加工形成されたイオンビーム引き出し用のビーム孔
    とを備えたことを特徴とするイオン加速電極板。
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