JPH10318995A - 表面波による試験体の劣化度等評価方法 - Google Patents

表面波による試験体の劣化度等評価方法

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JPH10318995A
JPH10318995A JP9141005A JP14100597A JPH10318995A JP H10318995 A JPH10318995 A JP H10318995A JP 9141005 A JP9141005 A JP 9141005A JP 14100597 A JP14100597 A JP 14100597A JP H10318995 A JPH10318995 A JP H10318995A
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JP
Japan
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wave
deterioration
test object
probe
degree
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JP9141005A
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English (en)
Inventor
Takuichi Imanaka
拓一 今中
Yasukazu Yokono
泰和 横野
Shigeyuki Matsubara
重行 松原
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Non Destructive Inspection Co Ltd
Original Assignee
Non Destructive Inspection Co Ltd
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  • Investigating Or Analyzing Materials By The Use Of Ultrasonic Waves (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱脆化等の材料劣化や粒界腐食等の損傷を、
特に現場において非破壊的手法により評価することの可
能な劣化度等評価方法を提供すること。 【解決手段】 超音波を探触子21から試験体Sに入射
することにより試験体S表面に表面波P5を発生させ
る。探触子21が円弧状の振動子21aを有し、試験体
S表面から直接反射する反射波P2と表面波P5に起因
する漏洩波P4とを振動子21aにより受信し、これら
反射波P2及び漏洩波P4を比較することで、表面波P
5の音速を求める。この試験体の表面波P5音速によ
り、試験体Sの劣化又は損傷の程度を評価する。表面波
音速又はその代表値に実質的に超音波の波長を乗ずるこ
とで試験体表面の損傷の深さを推定することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鋼材等の試験体に
生じる熱脆化等の材料劣化の程度及び粒界腐食(IG
A)等の損傷の程度(以下、「劣化度等」という。)を
表面波により評価する方法、及び、その劣化度等を評価
する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】化学プラントや発電プラントにおける配
管、反応搭、タービン等の鋼材は、高温高圧環境下で酷
使され、熱脆化等の材料劣化や粒界腐食等の損傷が発生
する。かかる材料劣化等の進行程度を把握することで、
施設の各部位の寿命を推定する非破壊的手法の確立が嘱
望されていた。
【0003】ところで、鋼材等はその劣化や材料損傷に
よって音速の変化することが知られている。そして、実
験室レベルでは垂直探傷法や探触子を2つ用いた表面探
傷法を用いて劣化材等の音速を測定することも可能であ
る。
【0004】しかし、現実の現場では、配管等は腐食に
よりその肉厚が一定しておらず、また、表面探傷法にお
いても探触子間の距離を一定に保ちがたい。したがっ
て、材料劣化等に伴う僅かな音速の変化を正確に捉える
ことは困難であった。また、例えばIGAは溶接部近傍
等に局所的に発生するが、このような部分の局所的な音
速を表面探傷法により測定するには2つの探触子同士を
非常に近接させねばならず、測定誤差が拡大するばかり
でなく、探触子の接触自体が不可能となる場合も多い。
【0005】一方、湾曲した振動子を有する探触子から
試験体に超音波を入射し、直接反射波と表面波による漏
洩波とを比較することで、試験体の応力分布等を測定す
る手法については知られている。しかし、当該技術をも
って材料の劣化度等を評価する手法については未だ知ら
れていないし、その実用性も明かではなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】かかる従来の実状に鑑
みて、本発明の目的は、熱脆化等の材料劣化や粒界腐食
等の損傷を、特に現場において非破壊的手法により評価
することの可能な劣化度等評価方法を提供することにあ
る。
【0007】また、本発明の他の目的は、材料表面の損
傷の深さを推定することの可能な劣化度等評価方法及び
評価装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明にかかる表面波による試験体の劣化度等評価
方法の特徴は、超音波を探触子から試験体に入射するこ
とにより試験体表面に表面波を発生させると共に、この
探触子により前記表面波に起因する漏洩波を受信し、こ
の試験体の表面波音速により試験体の劣化又は損傷の程
度を評価することにある。
【0009】同特徴によれば、同一の探触子により超音
波の送信及び受信を行うので、試験体の肉厚や探触子間
の距離といった測定誤差の原因となる寸法的不確定要素
が払拭される。しかも、1つの探触子で試験体の表面波
音速を測定するので、1測定当たりの試験実施面積が非
常に少なくて、局所的な劣化部分や入り組んだ部分の試
験・評価を実施し易い。
【0010】本発明にかかる表面波による試験体の劣化
度等評価方法の他の特徴は、前記探触子が円弧状の振動
子を有し、前記試験体表面から直接反射する反射波と前
記表面波に起因する漏洩波とを前記振動子により受信
し、これら反射波及び漏洩波を比較することで、前記表
面波音速を求めることにある。
【0011】同特徴によれば、表面波の音速を求めるに
当たり、直接反射波及び表面波に起因する反射波の受信
時間の差、又は、いわゆるV(Z)曲線を用いる。した
がって、試験体表面に対する超音波の入射臨界角を直接
的に計測する必要がない。
【0012】上記他の目的を達成するため、本発明にか
かる表面波による試験体の劣化度等評価方法のさらに他
の特徴は、前記表面波音速又はその代表値に実質的に前
記超音波の波長を乗ずることで前記試験体表面の損傷の
深さを評価することにある。後述する発明者らの実験に
よれば、表面波の音速と、IGAの深さを表面波の波長
で除した値とはリニアな関係にあることが判明し、本特
徴はこの関係に基づくものである。
【0013】また、本発明を実施するに際しては、前記
試験体表面の損傷の深さが深いほど前記超音波の波長を
長くすることが望ましい。発明者らの実験によれば、I
GAの深さを表面波の波長で除した値が0.7を越える
と、表面波音速を代表する値は一定となることが判明
し、この制限を除去するためである。
【0014】
【発明の実施の形態】次に、図1〜図5を参照しなが
ら、本発明の第一の実施形態を説明する。図1に示すよ
うに本発明にかかる劣化度等評価装置1は、試験体S上
の二次元平面を走査するセンサーユニット20と駆動ユ
ニット30とパーソナルコンピュータ40とCRT装置
50とにより構成されている。パーソナルコンピュータ
40は、汎用品に特定機能を実現するためのソフトウェ
アを組み込んだものである。このパーソナルコンピュー
タ40の操作により、駆動ユニット30を介してセンサ
ーユニット20を制御し、超音波を送・受信する。そし
て、その受信波形をパーソナルコンピュータ40で処理
し、処理結果をCRT装置50に表示する。
【0015】先の駆動ユニット30は、探触子21から
超音波を発信させ、また、探触子21から受信した超音
波を受信するためのパルサー/レシーバー31と、三つ
の駆動モーター22を駆動させるためのモータードライ
バ32とを備えている。これらパルサー/レシーバー3
1及びモータードライバ32は、パーソナルコンピュー
タ40により制御される。パーソナルコンピュータ40
におけるトリガー41及びモーターコントローラ42
は、キーボード等の制御手段43からの入力により起動
する。トリガー41は、パルサー/レシーバー31から
超音波を発信させると共に、後述するゲートを設定する
ためのタイマー45を起動させる。モーターコントロー
ラ42は、モータードライバ32を介して駆動モーター
22を駆動させると共に、その座標信号をメモリ44に
送り込む。
【0016】パルサー/レシーバー31で受信された信
号は、A/Dコンバーター33でデジタル化された後に
メモリ44に蓄積され、図3に示す焦点Fを通過するZ
軸平行線と試験体S表面との交点Fsを代表する座標信
号と共に、処理結果が処理手段46を介してCRT装置
50に表示される。また、メモリ44に座標信号と共に
蓄えられた受信波は処理手段46を介して信号処理がな
され、分析結果が色調表示によりCRT装置50に表示
される。なお、タイマー45は、メモリ44に座標信号
と共に蓄えられた受信波をゲート毎に分別して処理する
場合に使用できる。
【0017】図2に示すように、本発明にかかるセンサ
ーユニット20は、大略、先の探触子21と、貯液手段
である水Wを蓄える水槽24と、探触子21を走査させ
るための走査機構25とより構成されている。この走査
機構25において、同図紙面垂直方向に配向した一対の
Y軸ガイド25a,25aが水槽24上に載置されてお
り、一対のY軸スライダー25b,25bが図示しない
第一の駆動モーター22により駆動されて各Y軸ガイド
25a上で摺動する。また、一対のY軸スライダー25
b,25bに跨る一本のX軸ガイド25cに沿ってX軸
スライダー25dが先の第二の駆動モーター22の駆動
により摺動する。Z軸スライダー25fに支持した探触
子21は、X軸スライダー25d上に設けられたZ軸ガ
イド25eに沿って先の第三の駆動モーター22により
Z軸方向に駆動する。
【0018】本実施形態に用いられる試験体Sは平板状
に形成されており、上面略水平な載置台24a上に載置
される。先のY軸ガイド25a及びX軸ガイド25c
は、試験体Sの表面ないし載置台24aの表面と平行を
保って載置される。そして、後述のゲート位置を合わせ
易いように、これら試験体S及び載置台24a上面とほ
ぼ平行を維持する状態で探触子21を走査させることが
できる。
【0019】図3に、本発明に使用する探触子21の拡
大図を示す。この探触子21は、側面視で焦点Fを中心
に円弧面をなす高分子ポリマ振動子21aを円弧面状の
凹部を有する基台21bに張り付けたものである。本実
施形態では、曲率半径5mm、開口角90度、幅2m
m、公称周波数10MHzのものを用いているが、これ
に限られるものではない。振動子21aから発信した超
音波は焦点Fに収束するように進行するが、それらのう
ち、振動子21aに受信されるものは2通りである。第
一のものは、試験体Sの表面に直交状に入射・反射する
直交入射波P1,直交反射波P2である。また、第二の
ものは、試験体Sの表面に直交する軸に対して一定の臨
界角icrで入射・反射する斜角入射波P3,漏洩波P
4である。斜角入射波P3は試験体Sの表面波音速によ
って定まる一定の臨界角icrをとる場合にのみ試験体
表面で漏洩弾性表面波P5になる。また、漏洩弾性表面
波P5は同じく一定の臨界角icrをもって試験体S表
面から振動子21a側に向かう。
【0020】このように、直交反射波P2及び漏洩波P
4は行程の違いから、探触子21(振動子21a)での
受信時間が異なる。振動子21aからの入射波を例えば
20波程度のバースト波とし、試験体Sの表面と焦点F
との距離をZ軸方向に例えば10μm程度の微小距離ず
つ変化させつつ、振動子21aで受信される直交反射波
P2及び漏洩波P4の干渉し合う合成波を観測し、図4
に示すV(Z)曲線を得る。このV(Z)曲線より共鳴
周期dZを求め、次式により、漏洩弾性表面波の音速V
rを求める。 Vr=(Vw2/(1−(1−Vw/(2f・dZ))2))1/2 (1) ここに、Vwは水中の音速、fは超音波の周波数であ
る。
【0021】図5に示すように、熱時効で破壊靭性値を
異ならせた各試験体A,Bの破壊靭性値と漏洩弾性表面
波の音速Vrとの間に相関がみられた。したがって、本
発明に係る評価方法により、熱時効等による材質劣化の
程度を推定し得ることが確認された。
【0022】次に、図6及び図7を参照しつつ、本発明
の第二の実施形態について説明する。なお、以下の各実
施形態について、先の実施形態と同様の部材には同様の
符号を付してある。
【0023】本実施形態では、基本的に第一実施形態と
同様の装置を用いている。但し、評価対象である試験体
Sには鋭敏化したステンレス鋼を用いており、材料損傷
の一例である粒界腐食(IGA)の程度を評価すること
を主眼としている。
【0024】先の実施形態では、試験体表面における漏
洩弾性表面波の音速Vrを求めるにあたり、V(Z)曲
線を用いたが、本実施形態では、図6に示すように、表
面エコーE1及び漏洩波エコーE2の現れる時間差dt
を用いている。したがって、入射する超音波としては、
直交反射波P2及び漏洩波P4が互いに干渉し合わない
ように波数の少ないパルスを用いることが望ましい。表
面エコーE1は直交反射波P2が振動子21aに、ま
た、漏洩波エコーE2は漏洩波P4が振動子21aにそ
れぞれ到達することにより発生している。漏洩弾性表面
波の音速Vrは次式により求められる。 Vr=Vw/(dtVw/Ld−(dt/(2Ld))21/2 (2) ここに、Ldは試験体Sの表面から探触子21の焦点F
までの距離である。
【0025】図7に示すように、IGAの亀裂の深さと
漏洩弾性表面波の音速Vrとの間には一定の相関がみら
れた。したがって、本発明に係る評価方法により、材料
鋭敏化によるIGA等材料損傷の程度を推定し得ること
が確認された。なお、IGA亀裂の深さは、試験体Sに
一定の曲げ応力を加えて変形させて表面に割れを発生さ
せ、このときの割れの最大深さをIGA深さとした。
【0026】次に、図8〜図11を参照しつつ、本発明
の第三実施形態について説明する。本実施形態では、図
8及び図9に示す如く、第一実施形態とは図1及び図2
のセンサユニット20の構成が異なっている。本実施形
態におけるセンサユニットでは、X軸スライダー25d
上に設けられた角調節部25g及び支持棒25hを介し
て探触子61を支持してある。この角調節部25gは、
第三の駆動モーター22により支持棒25fの角度を調
節し、所望の入射角iで超音波を矢印Pに示す如く試験
体Sに送信する。試験体Sには第二実施形態同様、鋭敏
化したステンレス鋼を用いており、粒界腐食の程度を評
価することを主眼としている。試験に際しては、試験体
Sの上面には、1〜2mm程度の小さな健全材よりなる
比較用試験片Cを載置しておく。
【0027】図9に示すように、探触子61から水Wを
介して試験体Sの表面に矢印Pの如く入射される超音波
は、次の式(1)の関係を満たす入射角iをとる場合、
表面波P5として試験体S内に入射する。 C1/Sin(i)=C2/Sin90° (3) ここに入射角iは探触子61からの超音波の入射角であ
り、C1は水W中における超音波の音速であり、C2は
Sにおける表面波の音速である。式(1)のC1=14
80(m/s)、Sin90°=1をそれぞれ代入して
整理すると、次式(2)が得られる。よって、入射角i
の大きさにより、表面波の音速C2が求められる。 C2=1480/Sin(i) (m/s) (4)
【0028】そして、表面波(漏洩弾性表面波)P5の
発生に伴い、この表面波P5の進行方向とは反対側に向
かって後方散乱波Prが発生する。この後方散乱波Pr
は、入射部Siを通って再び先の矢印P方向とは逆の矢
印R方向に漏洩波として向かい、探触子61により受信
される。入射角iの値が試験体Sの表面波音速にとって
最も適切な値となる場合に、受信される後方散乱波の強
度は最も高くなる。よって、選択されたゲートにおける
後方散乱波の受信強度が極大となる入射角iの値を求め
ることによって、試験体Sの表面波音速C2を求めるこ
とができ、さらに、試験体Sの表面の劣化度等ないしそ
の試験体全体の劣化度等を表面波の音速により評価する
ことが可能となる。
【0029】図9において、後方散乱波Prは表面反射
による受信波が観察される時間ti以降の部分に相当
し、この後方散乱波Prを選択的に受信するために、複
数のゲートG1〜G8が設定される。各ゲートG1〜G
8の間隔は、時間にして1μs、距離にして1.44m
m程度に相当するが、受信波形の状況に応じて適宜変更
する。時間tiの値は、グラフの観察によっても推定可
能であるが、水Wの音速C1及び探触子61と試験体S
との表面の距離が走査機構25ほぼ一定の既知の値であ
ることから、図1のトリガー41及びタイマー45によ
り把握可能であり、同様に各ゲートG1〜G8の間隔も
適宜設定変更が可能である。なお、先の比較用試験片C
を試験体Sの表面に載置したとしても、その厚みが1〜
2mm程度であれば、先のゲートの位置のずれも僅かで
あるため、特に後半部のゲートにおいて評価を行う場合
にはその誤差影響が非常に小さいものとなる利点があ
る。
【0030】上述の本劣化度等評価装置1により試験体
SのIGAの程度を評価するに当たっては、先の走査機
構25により探触子61をX−Y方向に移動させて、超
音波により試験体Sの表面をくまなく走査する。そし
て、所望のゲートG1〜G8毎にその選択されたゲート
の信号強度の最大値ないしそのゲートの信号強度の積分
値を、各データの座標値に連動させて記憶する。これら
最大値又は積分値の最大となる入射角iが先の臨界角i
crとなり、この臨界角の値を先の式(4)に代入する
ことで、表面波の音速を求めることができる。この音速
の算出は先の処理手段46によってなされ、先のX−Y
二次元座標に対応させて色調表示によりCRT装置50
または図示しないカラープリンター等に表示され、評価
に供される。なお、先の比較用試験片Cを試験体S上に
載置しておくことによって、劣化度等の評価がより確実
に行える。
【0031】図10は、IGA深さと臨界角icrとの
関係を示すグラフである。入射超音波の周波数を3.5
MHz,10MHz及び20MHzに変更し損傷程度の
異なる試験体を用いて試験を行った。同グラフによれ
ば、IGA深さが深くなるほど臨界角icrは増加し、
音速の低下していることが伺える。図11は図10の横
軸であるIGA深さの値dの代わりにこの値を入射超音
波の波長λで除した値を用い、グラフを規準化してい
る。この規準化により、d/λの値と臨界角icrとは
周波数に拘わりなくリニアとなる関係(比例関係)を有
していることが判明した。また、IGAの深さが波長λ
の0.7倍より大きくなると臨界角icrは一定となる
ことが判明した。さらに、発明者らの実験によれば、第
二実施形態の装置においても、IGAの深さが波長λの
0.7倍以下の領域で、同様の規準化によりd/λの値
と臨界角icrとは周波数に拘わりなくリニアとなる関
係を有していることが判明した。先の図7の結果もこれ
に該当している。
【0032】IGAの深さが波長λの0.7倍を越える
と測定不能となるわけであるから、その制限を払拭する
ために、深いIGAの場合ほど長い波長の超音波を使用
すればよいこととなる。但し、短い波長の超音波の方が
分解能の優れていることは実験より明かとなっている。
また、表面波の音速又はこれを代表する臨界角等に、補
正係数と共に超音波の波長λを実質的に乗じることで、
IGAの深さを直接求め得ることとなる。なお、「実質
的に乗じる」とは、例えば超音波の周波数で除する場合
をも含む趣旨である。
【0033】次に、本発明のさらに他の実施形態の可能
性について説明する。上記各実施形態においては水液手
段として水槽24を用いたが、この水槽24の代わりに
超音波を通し易いゴム膜を備えたタンクを貯液手段とし
て用い、先の走査機構25や探触子61を収納したポー
タブル型のセンサヘッドにより、試験体の表面を超音波
走査することも可能である。
【0034】上記各実施形態では、鋼材の熱脆化や粒界
腐食の程度を評価した。しかし、本発明は、粒界腐食以
外の損傷や、他の材料劣化の程度を評価できることが発
明者らによって確認されている。また、本発明における
「劣化度等」には、例えば酸化皮膜の形成、浸炭、窒
化、脱炭、元素の濃化のような表面改質等をも含むもの
とする。上記各実施形態においては、表面が平らな鋼材
に本発明を適用したが、鋼管等の表面が屈曲した種々の
形状や、鋼材以外の材料の試験体に対しても本発明は適
用可能である。
【0035】
【発明の効果】このように、上記本発明にかかる表面波
による試験体の劣化度等評価方法の特徴によれば、測定
誤差の原因となる寸法要素が払拭され、且つ、1測定当
たりの試験実施面積が非常に少なくて、局所的な劣化部
分の入り組んだ部分の試験・評価を実施し易くなった。
したがって、熱脆化等の材料劣化や粒界腐食等の損傷
を、特に現場において非破壊的手法により評価すること
が可能となった。
【0036】しかも、円弧状の振動子を用い、前記試験
体表面から直接反射する反射波と前記表面波に起因する
反射波とを比較することで、試験体表面に対する超音波
の入射臨界角の直接的測定が不要となった。したがっ
て、表面角度の不明なことが多い配管等を検査する場合
にも本発明は非常に適している。
【0037】また、本発明のさらに他の特徴によれば、
表面波の音速又はその代表値に実質的に超音波の波長を
乗ずることで、規格化がなされ、試験体表面の損傷の深
さをより性格に評価することが可能となった。
【0038】さらに、試験体表面の損傷の深さが深いほ
ど超音波の波長を長くすることで、損傷の深い試験体で
あっても、その深さを評価することが可能となった。
【0039】なお、特許請求の範囲の項に記入した符号
は、あくまでも図面との対照を便利にするためのものに
すぎず、該記入により本発明は添付図面の構成に限定さ
れるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施形態にかかる劣化度等評価装
置の論理ブロック図である。
【図2】センターユニットの概略を示す水槽の一部を切
り欠いた側面図である。
【図3】探触子と試験体表面との関係を示す側面図であ
る。
【図4】探触子焦点及び試験体表面の距離と受信強度と
の関係を示すいわゆるV(Z)曲線を表すグラフであ
る。
【図5】試験体の表面波音速と破壊靭性値との関係を示
すグラフである。
【図6】第二実施形態にかかる探触子による受信信号強
度と時間軸と関係を示すグラフである。
【図7】第二実施形態にかかるIGA深さと試験体の表
面波音速との関係を示すグラフである。
【図8】本発明の第三実施形態にかかる図2相当図であ
る。
【図9】探触子から試験体に入射される表面波と後方散
乱波との関係を示す説明図である。
【図10】IGA深さと臨界角との関係を示すグラフで
ある。
【図11】規準化されたIGA深さと臨界角との関係を
示すグラフである。
【符号の説明】
1 劣化度等評価装置 20 センサーユニット 21 探触子 21a 振動子 21b 基台 22 駆動モーター 24 水槽(貯液手段) 24a 載置台 25 走査手段 25a Y軸ガイド 25b Y軸スライダー 25c X軸ガイド 25d X軸スライター 25e Z軸ガイド 25f Z軸スライダー 25g 角調節部 25h 支持棒 30 駆動ユニット 31 パルサー/レシーバー 32 モータードライバ 33 A/Dコンバーター 40 パーソナルコンピュータ 41 トリガー 42 モーターコントローラ 43 制御手段 44 メモリ 45 タイマー 46 処理手段 50 CRT装置 61 探触子 icr 臨界角 P1 直交入射波 P2 直交反射波 P3 斜角入射波 P4 漏洩波 P5 漏洩弾性表面波 E1 表面エコー E2 漏洩波エコー F 焦点 Pr 後方散乱波 S 試験体 Si 入射部 W 水

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 超音波を探触子(21,61)から試験
    体(S)に入射することにより試験体(S)表面に表面
    波(P5)を発生させると共に、この探触子(21,6
    1)により前記表面波(P5)に起因する漏洩波(P
    4,R)を受信し、この試験体(S)の表面波(P5)
    音速により試験体(S)の劣化又は損傷の程度を評価す
    ることを特徴とする表面波による試験体の劣化度等評価
    方法。
  2. 【請求項2】 前記探触子(21)が円弧状の振動子
    (21a)を有し、前記試験体(S)表面から直接反射
    する反射波(P2)と前記表面波(P5)に起因する漏
    洩波(P4)とを前記振動子(21a)により受信し、
    これら反射波(P2)及び漏洩波(P4)を比較するこ
    とで、前記表面波音速を求めることを特徴とする請求項
    1に記載の表面波による試験体の劣化度等評価方法。
  3. 【請求項3】 前記表面波音速又はその代表値に実質的
    に前記超音波の波長を乗ずることで前記試験体(S)表
    面の損傷の深さを評価することを特徴とする請求項1に
    記載の表面波による試験体の劣化度等評価方法。
  4. 【請求項4】 前記試験体(S)表面の損傷の深さが深
    いほど前記超音波の波長を長くすることを特徴とする請
    求項1に記載の表面波による試験体の劣化度等評価方
    法。
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