JPH10318503A - 流動床式焼却炉の制御方法及びその装置 - Google Patents

流動床式焼却炉の制御方法及びその装置

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JPH10318503A
JPH10318503A JP12689797A JP12689797A JPH10318503A JP H10318503 A JPH10318503 A JP H10318503A JP 12689797 A JP12689797 A JP 12689797A JP 12689797 A JP12689797 A JP 12689797A JP H10318503 A JPH10318503 A JP H10318503A
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control
amount
vector
fluidized bed
superheated steam
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JP12689797A
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English (en)
Inventor
Nobuyuki Tomochika
信行 友近
Makiyuki Nakayama
万希志 中山
Tomoyuki Maeda
知幸 前田
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Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 過熱蒸気に関する複数の制御量を,それぞれ
の目標値に安定的に制御することが可能な流動床式焼却
炉の制御方法及び装置を提供する。 【解決手段】 本方法及び装置は,一次空気の吹き込み
により流動化された砂層内で可燃物を燃焼させ,その廃
熱による発生蒸気を上記砂層内に通すことによって過熱
蒸気を得る実プラントAにおいて,複数の操作量を要素
とする操作量ベクトルの実測値を,予め用意された操作
量ベクトルと上記制御量ベクトルとの関係を表す数値モ
デルM′に代入することにより現時点での上記制御量ベ
クトルの計算値ym (k)を求め,現時点での上記制御
量ベクトルの実測値y(k)に対する上記計算値y
m (k)の誤差Δy(k)を計算し,予め設定された目
標軌道yd と,上記誤差Δy(k)と,上記数値モデル
M′とに基づいて,予測制御手法により現時点での上記
操作量ベクトルu(k)を決定するように構成されてい
る。上記構成により,過熱蒸気に関する複数の制御量
を,それぞれの目標値に安定的に制御することができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,流動床式焼却炉の
制御方法及びその装置に係り,詳しくは,少なくとも,
一次空気の吹き込みにより流動化された砂層内で可燃物
を燃焼させ,その廃熱による発生蒸気を上記砂層内に循
環させて過熱蒸気を得る流動床式焼却炉の制御方法及び
その装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年ますます増大するエネルギーの有効
利用の要求に伴い,ごみ発電システム等の流動床炉を用
いた発電システムが増えつつある。これら発電システム
のプラントからより多くのエネルギーを回収するために
は,安定で効率的な操業を行うことが要求され,それを
実現させるための制御システムが必要である。しかし,
特に流動床式焼却炉等の内部循環型のエネルギー回収炉
においては,砂を激しく流動させながら燃焼する砂層部
から熱を回収するため,制御が不安定になりやすく,如
何に安定した制御を行うかが課題であった。そこで,ボ
イラから発生する蒸気の圧力依存で可燃物供給量や吹き
込み空気量を制御する方法(特開昭64−19208号
公報,以下従来技術1という)が知られている。これ
は,図5に示すような流動床式焼却炉,即ち,空気3
3,37の吹き込みにより流動化された砂層32内で,
ホッパ31から投入されたごみ等の可燃物を燃焼させ,
その廃熱によってボイラドラム34内で発生された蒸気
を上記砂層32内を通過するように配設された伝熱管3
5内に通して再びボイラドラム34内に戻して循環さ
せ,上記ボイラドラム34内の過熱蒸気を蒸気管36よ
り図示しないエネルギー変換手段に送出する流動床式焼
却炉の制御方法である。
【0003】この制御方法は,まず圧力調節計40にお
いて,上記蒸気管36上に設置された圧力計39により
得られる過熱蒸気圧力の実測値PV01とその目標値S
V01とに基づいて,可燃物を投入するモータ46の駆
動速度が調節される。これにより長期的にみて燃焼室内
の温度を上下させることができ,それにより上記過熱蒸
気圧力が調節される。また,上記圧力調節計40から信
号反転器41を介して温度調節計42に対して砂層32
内の温度目標値SV02が出力され,上記温度調節計4
2では,上記温度目標値SV02と温度計44により得
られる温度実測値PV02とに基づいて空気吹き込み口
38から吹き込まれる空気37の流量目標値SV03が
設定され,流量調節計43に出力される。上記流量調節
計43では,上記空気37の流量目標値SV03と流量
計47により得られる空気流量PV03とに基づいて流
量調節弁45の操作量MV03が設定され,該流量調節
弁45が操作される。それにより吹き込み空気37の流
量が変化すると,砂層32内の熱伝達係数が変化し,そ
れにより伝熱管35による熱回収量が変化する。これに
より,上記長期的な蒸気圧力の調節に先行して短期的な
蒸気圧力の調節が行われる。以上のような制御により,
蒸気圧力が目標値に制御される。また,予測制御手法を
用いて蒸気発生量の制御を行うことを特徴とする制御方
法(特開平9−79554号公報,以下従来技術2とい
う)が提案されている。これは,図7に示すような流動
床式焼却炉,即ち,一次空気15,16の吹き込みによ
り流動化された砂層12内で,ホッパ11から投入され
たごみ等の可燃物を燃焼させ,二次空気19の吹き込み
によりフリーボード17内の未燃ガスを燃焼させ,その
廃熱によって廃熱ボイラ21内で発生された蒸気を上記
砂層12内に配設された伝熱管22内に通して過熱蒸気
を得る流動床式焼却炉である実プロセスA(図6)の制
御方法である。
【0004】この制御方法は,蒸気発生量を制御量,一
次空気の吹き込み量を操作量として,図6に示すよう
に,直前の時点までの一次空気の吹き込み量の実測値
を,予め用意された一次空気の吹き込み量と蒸気発生量
との関係を表すモデルMに代入することにより,現時点
での蒸気発生量yM (k)を演算し,現時点での蒸気発
生量の実測値y(k)に対する上記演算値の誤差△y
と,目標とする蒸気発生軌道yd ( τ+k+L)と,過
去の一次空気の吹き込み量とに基づいて,予測制御手法
により現時点での一次空気の吹き込み量を決定するもの
である。ここに,上記モデルMは,
【数5】 で表され,更に上記予測制御手法は,
【数6】 により表される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術1に係る
制御方法では,蒸気圧力依存で可燃物投入量,炉内温
度,吹き込み空気流量を連鎖的に制御するため,各制御
量の干渉や制御遅れが生じて安定した制御が行えないと
いう問題点があった。図5に示す焼却炉では,過熱蒸気
が熱的慣性の大きいボイラドラム34に回収されるた
め,砂層部32からの回収熱量が変動してもその変動が
上記ボイラドラム34に吸収されるためにその影響は軽
減されるが,例えば図7に示す焼却炉のように砂層内を
通った過熱蒸気が直接タービンなどのエネルギー変換手
段へ送られる場合には,上記のような各制御量の干渉や
制御遅れがエネルギー回収効率に敏感に影響するため,
より安定した制御が要求される。また,上記従来技術2
に係る制御方法においても,1つの制御量(上記例では
蒸気発生量)を1つの操作量(上記例では一次空気の吹
き込み量)で補償する,いわゆる単入力単出力制御系で
あるため,ある制御量から他の制御量への影響を予め考
慮することができない。例えば,上記のように一次空気
の吹き込み量を操作して蒸気発生量を制御したあと,そ
の影響で変動した過熱蒸気やボイラドラムの圧力を制御
すべく,可燃物の供給量を操作することになる。その結
果,制御に遅れが生じ,安定してエネルギーを回収する
上での問題点となっていた。本発明は,上記事情に鑑み
てなされたものであり,その目的とするところは,過熱
蒸気に関する複数の制御量を,それぞれの目標値に安定
的に制御することが可能な流動床式焼却炉の制御方法及
び装置を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明の方法は,少なくとも,一次空気の吹き込みに
より流動化された砂層内で可燃物を燃焼させ,その廃熱
による発生蒸気を上記砂層内に通すことによって過熱蒸
気を得る流動床式焼却炉の制御方法において,上記過熱
蒸気に関する複数の制御量を要素とする制御量ベクトル
の目標値と実測値とに基づいて,該制御量ベクトルの目
標軌道を設定する目標軌道設定工程と,複数の操作量を
要素とする操作量ベクトルの実測値を,予め用意された
上記操作量ベクトルと上記制御量ベクトルとの関係を表
す数値モデルに代入することにより現時点での上記制御
量ベクトルの計算値を求め,現時点での上記制御量ベク
トルの実測値に対する上記計算値の誤差を計算する誤差
計算工程と,上記目標軌道設定工程で得られた目標軌道
と,上記誤差計算工程で得られた誤差と,上記数値モデ
ルとに基づいて,予測制御手法により現時点での上記操
作量ベクトルを決定する操作量決定工程とを具備してな
ることを特徴とする流動床式焼却炉の制御方法として構
成されている。上記制御量ベクトルを構成する複数の制
御量を,上記過熱蒸気の流量,圧力,及び温度とし,上
記操作量ベクトルを構成する複数の操作量を,上記可燃
物の投入量,上記一次空気の吹き込み量,及び上記過熱
蒸気の流量弁の操作量とすれば,上記6つのパラメータ
は制御の安定性に関して特に重要で且つ相互に密接に関
係しており,更に,上記3つの制御量により過熱蒸気の
状態をほぼ正確に表現できるため,最も安定的且つ効率
的なエネルギー回収が可能となる。上記数式モデルとし
ては,
【数7】 を用いることができる。
【0007】また,上記予測制御手法は,例えば
【数8】 で与えられる評価関数を最小にするΔuを求めるものが
考えられる。また,本発明の装置は,少なくとも,一次
空気の吹き込みにより流動化された砂層内で可燃物を燃
焼させ,その廃熱による発生蒸気を上記砂層内に通すこ
とによって過熱蒸気を得る流動床式焼却炉の制御装置に
おいて,上記過熱蒸気に関する複数の制御量を要素とす
る制御量ベクトルの目標値と実測値とに基づいて,該制
御量ベクトルの目標軌道を設定する目標軌道設定手段
と,複数の操作量を要素とする操作量ベクトルの実測値
を,予め用意された上記操作量ベクトルと上記制御量ベ
クトルとの関係を表す数値モデルに代入することにより
現時点での上記制御量ベクトルの計算値を求め,現時点
での上記制御量ベクトルの実測値に対する上記計算値の
誤差を計算する誤差計算手段と,上記目標軌道設定手段
で得られた目標軌道と,上記誤差計算手段で得られた誤
差と,上記数値モデルとに基づいて,予測制御手法によ
り現時点での上記操作量ベクトルを決定する操作量決定
手段とを具備してなることを特徴とする流動床式焼却炉
の制御装置として構成されている。また,上記制御方法
は全て本装置上で実現させることができる。
【0008】
【作用】本発明に係る流動床式焼却炉の制御装置では,
まず,目標軌道設定手段によって制御量ベクトルの目標
値と実測値とに基づいて制御量ベクトルの目標軌道が設
定される。次に,誤差計算手段により,予め同定された
操作量ベクトルと制御量ベクトルとの関係を表す多入力
多出力の数値モデルに,操作量ベクトルの実測値を代入
することにより現時点での上記制御量ベクトルの計算値
が求められ,更に現時点での上記制御量ベクトルの実測
値に対する上記計算値の誤差が計算される。そして,操
作量決定手段において,上記目標軌道と,上記誤差と,
上記数値モデルとに基づいて,予測制御手法により現時
点での上記操作量ベクトルが決定される。以上の処理が
制御周期ごとに繰り返され,実プロセスが制御される。
このように,多変数制御系により制御されるため,それ
ぞれの操作量からそれぞれの制御量への影響を勘案した
上で,各操作量の値が決定される。その結果,操作量ど
うしの干渉による制御量への悪影響を低減することがで
き,効率よく安定して過熱蒸気を得ることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下添付図面を参照して,本発明
の実施の形態及び実施例につき説明し,本発明の理解に
供する。尚,以下の実施の形態及び実施例は本発明を具
体化した一例であって,本発明の技術的範囲を限定する
性格のものではない。ここに,図1は本発明の実施の形
態に係る流動床式焼却炉の制御装置Z2の概略構成を示
すブロック図,図2は上記制御装置Z2を適用可能な流
動床式焼却炉の概略構成を示す模式図,図3は上記制御
装置Z2の動作手順を示すフロー図,図4は制御値の目
標軌道yd の設定方法の一例を示す図である。図1に示
す如く,本実施の形態に係る流動床式焼却炉の制御装置
Z2は,一次空気の吹き込みにより流動化された砂層内
でごみ等の可燃物を燃焼させ,二次空気の吹き込みによ
り未燃ガスを燃焼させ,その廃熱による発生蒸気を上記
砂層内に循環させて加熱する流動床式焼却炉である実プ
ロセスAの制御装置である。上記制御装置Z2におい
て,目標軌道設定部1では,制御量の目標値yr と実測
値y(k)とに基づいて制御量の目標軌道yd が設定さ
れる。誤差計算部2では,過去の操作量を,予め用意さ
れた操作量と制御量との関係を表す数値モデルM′に代
入することにより,現時点での制御量の計算値y
m (k)を求め,この現時点での制御量の計算値y
m (k)と実測値y(k)との誤差Δy(k)が計算さ
れる。操作量決定部3においては,上記目標軌道y
d と,上記誤差計算部2で求めた誤差△y(k)と,上
記数式モデルM′とに基づいて,予測制御手法(詳細は
後述する)により現時点における操作量の偏差量△u
(k)が決定され,直前の操作量u(k−1)に該偏差
量△u(k)を加えることによって現時点での操作量u
(k)が決定される。尚,上記制御量及び操作量は,そ
れぞれ所定の複数の制御量,操作量を要素とするベクト
ルである。
【0010】次に,上記制御装置を適用可能な流動床式
焼却炉について,その具体的な構造を図2を用いて説明
する。尚,該流動床式焼却炉の基本構成は上記従来技術
2で用いた流動床式焼却炉(図7)と同様であり,共通
する構成には同符号を用いている。図2において,ごみ
等の可燃物はホッパ11へ投入され砂層12に落下す
る。砂層12へは,弁13,14を操作することによっ
て一次空気15,16が複数部位に分けて送り込まれ,
それによって砂が流動するとともに,上記投入された可
燃物が砂層12内で一次燃焼し,発生したガスはフリー
ボード17へ流れてゆく。フリーボード17へは,弁1
8を操作することによって二次空気19が送り込まれ,
CO等の未燃ガスを完全燃焼し,排ガスは排ガス出口2
0へ送られる。その際,廃熱ボイラ21では,排ガスの
熱エネルギーによって飽和蒸気を発生し,該飽和蒸気
は,さらに砂層12内を通過する伝熱管22を通って過
熱され,より高温の過熱蒸気となって図示しないタービ
ン等のエネルギー変換手段へと送られる。その過熱蒸気
の流量は流量制御弁5により調整され,該過熱蒸気の温
度,圧力,流量はそれぞれ温度計6,圧力計7,流量計
8により測定される。本装置における主な操作量として
は,可燃物の投入量,一次空気量及び二次空気量,過熱
蒸気の流量制御弁の操作量等があり,主な制御量として
は,砂層部温度,炉頂部温度,排ガス温度,過熱蒸気温
度,過熱蒸気圧力,過熱蒸気流量等があるが,本実施の
形態では,操作量として,可燃物の投入量(操作量u
1),一次空気の吹き込み量(操作量u2),及び過熱
蒸気の流量弁の操作量(操作量u3)を用い,制御量と
して,過熱蒸気の流量(制御量y1),圧力(制御量y
2),及び温度(制御量y3)を用いる。なぜなら,過
熱蒸気発生系を考えた場合,制御の安定性に関しては上
記6つのパラメータが特に重要で且つ相互に密接に関係
しており,更に,上記3つの制御量により過熱蒸気の状
態をほぼ正確に表現できるため,このような3つの操作
量と3つの制御量を用いることによって後述する効果を
より大きく且つ効率的に得ることができると考えられる
からである。
【0011】次に,図3を参照して,流動床式焼却炉の
制御手順(ステップ)とその動作とを順を追って説明す
る。 (ステップS1) 制御量の目標値yr (図4参照)を
設定する。ここで,目標値yr は,上記制御量y1,y
2,y3のそれぞれの目標値を要素とするベクトルであ
る。以下,目標軌道yd ,実測値y(k),計算値
m ,予測値y(k+i)等も同様のベクトルとする。 (ステップS2) 上記制御量の目標値yr と実測値y
(k)とに基づいて,上記目標軌道設定部1において目
標軌道yd を設定する。該目標軌道yd の設定方法とし
ては,例えば図4に示すものがある。これは,現時点の
制御量の実測値y(k)と,目標値yr (k+i)とを
用いて,目標軌道yd を, yd (k+i)=(I−Ci )yr (k+i)+Ci y(k) …(1) (ここに,I:3×3単位行列, C:対角要素に0<Cj <1の実数が並ぶ3×3対角行
列) と定めるものであり,y(k)からyr (k+i)へ一
定割合で近づけていくものである。 (ステップS3) 上記誤差計算部2において,操作量
の実測値(上記操作量u1,u2,u3のそれぞれの実
測値を要素とするベクトル,以下同様)を数値モデル
M′に代入することにより現時点での制御量の計算値y
m (k)を求め,現時点での制御量の実測値y(k)に
対する上記計算値ym (k)の誤差Δy(k)を計算す
る。ここで,上記数値モデルM′は次式で表される。
【数9】 (ステップS4) 上記操作量決定部3の予測制御器4
において,上記誤差Δy(k)を外乱によるものと見做
し,この外乱が今後も続くと考えて,制御量の予測値y
(k+i)を, y(k+i)=ym (k+i)+Δy(k) …(3) とする。 (ステップS5) 上記制御量の予測値yが,上記目標
軌道yd と一致するような制御を行えばよいから,上記
予測制御器4において,次式で与えられる評価関数を最
小にするような操作量の偏差ベクトルΔu(k)を求め
る。
【数10】 この問題は,最小二乗問題として解かれ,次のように現
時点における操作量の偏差ベクトルΔu(k)が導出さ
れる。
【数11】 (ステップS6) 上記操作量決定部3において,上記
予測制御器4で求められた上記操作量の偏差ベクトルΔ
u(k)を,前操作量u(k−1)に加算することによ
って操作量u(k)を求める。 (ステップS7) 上記操作量u(k)を実プロセスA
に入力する。即ち,操作量u(k)に基づいて,可燃物
の投入量(操作量u1),一次空気の吹き込み量(操作
量u2),及び過熱蒸気の流量弁の操作量(操作量u
3)を操作する。また,上記操作量u(k)は,次の制
御周期における上記誤差計算部2への入力操作量とな
る。以上のステップS1〜S7の処理を,制御周期ごと
に繰り返す。
【0012】以上説明した本制御方法及び装置の特徴を
以下に示す。 (1)3×3の多変数制御系となっているため,それぞ
れの操作量からそれぞれの制御量への影響を勘案した上
で,各操作量の値が決定される。その結果,操作量どう
しの干渉による制御量への悪影響を低減することがで
き,効率よく安定して過熱蒸気を得ることができる。 (2)予測制御を用いているため,未来の変化を予測し
ながら予め操作しておくことができる。その結果,ボイ
ラ圧力ひいては過熱蒸気圧力などの比較的ゆっくりとし
た変動に対しても,遅れることなく目標値に制御するこ
とができる。以上のように,本実施の形態の流動床式焼
却炉の制御方法及び装置によれば,過熱蒸気の温度,圧
力,流量ともに制御遅れや干渉を引き起こすことなく安
定的に目標値に制御することができ,効率的なエネルギ
ー回収が実現できる。
【0013】
【実施例】上記実施の形態では,操作量として,可燃物
の投入量(操作量u1),一次空気の吹き込み量(操作
量u2),及び過熱蒸気の流量弁の操作量(操作量u
3)を用い,制御量として,過熱蒸気の流量(制御量y
1),圧力(制御量y2),及び温度(制御量y3)を
用いる3入力3出力の多変数制御系の例を示した。これ
は,上述したように,過熱蒸気発生系を考えた場合,制
御の安定性に関しては上記6つのパラメータが特に重要
で且つ相互に密接に関係しており,更に,上記3つの制
御量により過熱蒸気の状態をほぼ正確に表現できるた
め,このような3つの操作量と3つの制御量を用いるこ
とによって上記効果をより大きく且つ効率的に得ること
ができると考えられるからである。もちろん,上記3入
力3出力のパラメータの中から適宜選択して,例えば2
入力2出力の制御系とすることもできる。この場合に
は,計算量が減少するという利点はあるが,当然それだ
け制御性能は低下するものと考えられる。また,上記3
入力3出力から更に入出力を増やすことも可能である
が,この場合には,計算量が増加する割に制御性能の向
上効果は小さいと考えられる。
【0014】
【発明の効果】本発明に係る流動床式焼却炉の制御方法
は,少なくとも,一次空気の吹き込みにより流動化され
た砂層内で可燃物を燃焼させ,その廃熱による発生蒸気
を上記砂層内に通すことによって過熱蒸気を得る流動床
式焼却炉の制御方法において,上記過熱蒸気に関する複
数の制御量を要素とする制御量ベクトルの目標値と実測
値とに基づいて,該制御量ベクトルの目標軌道を設定す
る目標軌道設定工程と,複数の操作量を要素とする操作
量ベクトルの実測値を,予め用意された上記操作量ベク
トルと上記制御量ベクトルとの関係を表す数値モデルに
代入することにより現時点での上記制御量ベクトルの計
算値を求め,現時点での上記制御量ベクトルの実測値に
対する上記計算値の誤差を計算する誤差計算工程と,上
記目標軌道設定工程で得られた目標軌道と,上記誤差計
算工程で得られた誤差と,上記数値モデルとに基づい
て,予測制御手法により現時点での上記操作量ベクトル
を決定する操作量決定工程とを具備してなることを特徴
とする流動床式焼却炉の制御方法として構成されている
ため,操作量どうしの干渉による制御量への悪影響を低
減することができ,効率よく安定して過熱蒸気を得るこ
とができ,効率的なエネルギー回収が実現できる。ま
た,上記制御量ベクトルを構成する複数の制御量を,上
記過熱蒸気の流量,圧力,及び温度とし,上記操作量ベ
クトルを構成する複数の操作量を,上記可燃物の投入
量,上記一次空気の吹き込み量,及び上記過熱蒸気の流
量弁の操作量とすれば,上記6つのパラメータは制御の
安定性に関して特に重要で且つ相互に密接に関係してお
り,更に,上記3つの制御量により過熱蒸気の状態をほ
ぼ正確に表現できるため,最も安定的且つ効率的なエネ
ルギー回収が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態に係る流動床式焼却炉の
制御装置Z2の概略構成を示すブロック図。
【図2】 上記制御装置Z2を適用可能な流動床式焼却
炉の概略構成を示す模式図。
【図3】 上記制御装置Z2の動作手順を示すフロー
図。
【図4】 制御値の目標軌道yd の設定方法の一例を示
す図。
【図5】 従来技術1に係る流動床式焼却炉及びその制
御装置の概略構成を示すブロック図。
【図6】 従来技術2に係る流動床式焼却炉の制御装置
Z1の概略構成を示すブロック図。
【図7】 上記制御装置Z1を適用可能な流動床式焼却
炉の概略構成を示す模式図。
【符号の説明】
1…目標軌道設定部 2…誤差計算部 3…操作量決定部 4…予測制御器 5…過熱蒸気の流量弁 6…流量計 7…圧力計 8…温度計 11…ホッパ 12…砂層部 13…弁 14…弁 15…一次空気 16…一次空気 17…フリーボード 18…弁 19…二次空気 20…排ガス出口 21…廃熱ボイラ 22…伝熱管 M,M′…数値モデル

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも,一次空気の吹き込みにより
    流動化された砂層内で可燃物を燃焼させ,その廃熱によ
    る発生蒸気を上記砂層内に通すことによって過熱蒸気を
    得る流動床式焼却炉の制御方法において,上記過熱蒸気
    に関する複数の制御量を要素とする制御量ベクトルの目
    標値と実測値とに基づいて,該制御量ベクトルの目標軌
    道を設定する目標軌道設定工程と,複数の操作量を要素
    とする操作量ベクトルの実測値を,予め用意された上記
    操作量ベクトルと上記制御量ベクトルとの関係を表す数
    値モデルに代入することにより現時点での上記制御量ベ
    クトルの計算値を求め,現時点での上記制御量ベクトル
    の実測値に対する上記計算値の誤差を計算する誤差計算
    工程と,上記目標軌道設定工程で得られた目標軌道と,
    上記誤差計算工程で得られた誤差と,上記数値モデルと
    に基づいて,予測制御手法により現時点での上記操作量
    ベクトルを決定する操作量決定工程とを具備してなるこ
    とを特徴とする流動床式焼却炉の制御方法。
  2. 【請求項2】 上記制御量ベクトルを構成する複数の制
    御量が,上記過熱蒸気の流量,圧力,及び温度であり,
    上記操作量ベクトルを構成する複数の操作量が,上記可
    燃物の投入量,上記一次空気の吹き込み量,及び上記過
    熱蒸気の流量弁の操作量である請求項1記載の流動床式
    焼却炉の制御方法。
  3. 【請求項3】 上記数式モデルを, 【数1】 とした請求項1又は2記載の流動床式焼却炉の制御方
    法。
  4. 【請求項4】 上記予測制御手法が, 【数2】 で与えられる評価関数を最小にするΔuを求めるもので
    ある請求項1〜3のいずれかに記載の流動床式焼却炉の
    制御方法。
  5. 【請求項5】 少なくとも,一次空気の吹き込みにより
    流動化された砂層内で可燃物を燃焼させ,その廃熱によ
    る発生蒸気を上記砂層内に通すことによって過熱蒸気を
    得る流動床式焼却炉の制御装置において,上記過熱蒸気
    に関する複数の制御量を要素とする制御量ベクトルの目
    標値と実測値とに基づいて,該制御量ベクトルの目標軌
    道を設定する目標軌道設定手段と,複数の操作量を要素
    とする操作量ベクトルの実測値を,予め用意された上記
    操作量ベクトルと上記制御量ベクトルとの関係を表す数
    値モデルに代入することにより現時点での上記制御量ベ
    クトルの計算値を求め,現時点での上記制御量ベクトル
    の実測値に対する上記計算値の誤差を計算する誤差計算
    手段と,上記目標軌道設定手段で得られた目標軌道と,
    上記誤差計算手段で得られた誤差と,上記数値モデルと
    に基づいて,予測制御手法により現時点での上記操作量
    ベクトルを決定する操作量決定手段とを具備してなるこ
    とを特徴とする流動床式焼却炉の制御装置。
  6. 【請求項6】 上記制御量ベクトルを構成する複数の制
    御量が,上記過熱蒸気の流量,圧力,及び温度であり,
    上記操作量ベクトルを構成する複数の操作量が,上記可
    燃物の投入量,上記一次空気の吹き込み量,及び上記過
    熱蒸気の流量弁の操作量である請求項5記載の流動床式
    焼却炉の制御装置。
  7. 【請求項7】 上記数式モデルを, 【数3】 とした請求項5又は6記載の流動床式焼却炉の制御装
    置。
  8. 【請求項8】 上記予測制御手法が, 【数4】 で与えられる評価関数を最小にするΔuを求めるもので
    ある請求項5〜7のいずれかに記載の流動床式焼却炉の
    制御装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009192215A (ja) * 2009-06-04 2009-08-27 Kobelco Eco-Solutions Co Ltd 焼却炉の制御装置
JP2010230283A (ja) * 2009-03-27 2010-10-14 Metawater Co Ltd 汚泥焼却炉の温度制御装置および汚泥焼却炉の温度制御方法
CN108954376A (zh) * 2017-10-20 2018-12-07 Aix制程有限公司 用来控制系统内的过程,特别是锅炉或炉膛的燃烧过程的方法及其装置

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