JPH10317284A - 熱変色性繊維質シート及びその繊維質シートの変色方法 - Google Patents

熱変色性繊維質シート及びその繊維質シートの変色方法

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JPH10317284A
JPH10317284A JP9127548A JP12754897A JPH10317284A JP H10317284 A JPH10317284 A JP H10317284A JP 9127548 A JP9127548 A JP 9127548A JP 12754897 A JP12754897 A JP 12754897A JP H10317284 A JPH10317284 A JP H10317284A
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JP
Japan
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fibrous sheet
hollow particles
thermoplastic resin
color
sheet
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JP9127548A
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Tsukasa Shimura
司 志村
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Japan Vilene Co Ltd
Original Assignee
Japan Vilene Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 適用可能な色や厚さに制限がなく、また変色
前後の色の安定性にも優れた熱変色性繊維質シートを得
ること。 【解決手段】 有色染料及び/又は有色顔料により着色
された繊維質シートと、該繊維質シートに保持されかつ
無色気体によって内部が充満されている熱可塑性樹脂中
空粒子とを備えることを特徴とする熱変色性繊維質シー
ト。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、加熱により変色さ
せることが可能な繊維質シート、及びその繊維質シート
を加熱により変色させる方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、繊維質シートの変色方法として
は、加熱によって変色する染料や顔料を予め繊維質シー
ト中に添加しておき、加熱によりその染料又は顔料自体
を変色させることによって繊維質シートを変色せしめる
方法があった。
【0003】また、他の方法として、従来、熱可塑性樹
脂の発泡体からなるシートを使用し、その一部を加熱加
圧して発泡体を圧縮することによってその部分の色の濃
度を上げる方法があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、加熱に
よって変色させることが可能な染料や顔料はそれほど多
くは開発されておらず、したがって適用可能な色が限定
されてしまうという問題があった。さらに、加熱によっ
て変色する染料や顔料の安定性は必ずしも充分ではな
く、使用する染料や顔料によっては退色のおそれがある
という点でも充分ではなかった。
【0005】また、熱可塑性樹脂の発泡体からなるシー
トを使用する方法の場合は、発泡体を圧縮することによ
って色の濃度を上げているため、発泡体には1mm程度
以上のある程度の厚さが必要であり、したがって厚さの
薄いものには適用できないという問題があった。
【0006】本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑
みてなされたものであり、適用可能な色や厚さに制限が
なく、また変色前後の色の安定性にも優れた熱変色性繊
維質シートを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記目的を
達成すべく鋭意研究を重ねた結果、着色された繊維質シ
ートに内部が無色気体で充満されている熱可塑性樹脂中
空粒子を保持せしめることによって上記目的が達成され
ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】すなわち、本発明の熱変色性繊維質シート
は、有色染料及び/又は有色顔料により着色された繊維
質シートと、該繊維質シートに保持されかつ無色気体に
よって内部が充満されている熱可塑性樹脂中空粒子とを
備えることを特徴とするものである。
【0009】また、本発明の繊維質シートの変色方法
は、有色染料及び/又は有色顔料により着色された繊維
質シートと、該繊維質シートに保持されかつ無色気体に
よって内部が充満されている熱可塑性樹脂中空粒子とを
備える熱変色性繊維質シートの少なくとも一部を加熱
し、加熱された部分の熱可塑性樹脂中空粒子の中空構造
を破壊することによって該部分の明度を低下せしめるこ
とを特徴とする方法である。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しつつ本発明の
熱変色性繊維質シートの好適な実施形態について詳細に
説明する。尚、図面中、同一又は相当部分には同一符号
を付することとする。
【0011】本発明の熱変色性繊維質シート1において
は、図1に示すように、ベースとなる繊維質シート2に
熱可塑性樹脂中空粒子3が保持されている。本発明に使
用される繊維質シート2は、後述するように着色されか
つ熱可塑性樹脂中空粒子3を保持できるものであればよ
い。このような繊維質シート2としては、化学繊維及び
/又は天然繊維からなる不織布(例えば、水流絡合不織
布、ニードルパンチ不織布、ケミカルボンド不織布、サ
ーマルボンド不織布)、化学繊維及び/又は天然繊維か
らなる織布又は編物、これらの積層材、不織布又は織布
と合成樹脂との複合材(例えば、合成皮革、人工皮革)
等が挙げられ、中でもケミカルボンド不織布又は他の製
法とケミカルボンド法とを組み合わせた方法によって得
られた不織布が、繊維の結合と同時に熱可塑性樹脂中空
粒子3を固定できる点から好ましい。
【0012】繊維質シート2の厚みは特に制限されず、
得られる熱変色性繊維質シート1の用途等に応じて適宜
選択されるが、繊維質シート2の強度及び取扱いの容易
性等の観点から100μm〜2mm程度が好ましい。ま
た、繊維質シート2を構成する繊維の繊度、繊維質シー
ト2の面密度等の諸特性も特には制限されないが、繊度
は1〜3デニール程度、面密度は50〜150g/m2
程度が好ましい。繊度が上記範囲外では変色の鮮明さに
欠ける傾向にあり、面密度が上記下限より低いと繊維質
シート2が透けてしまう傾向にあり、面密度が上記上限
より高いと熱可塑性樹脂中空粒子3が過大に必要となる
傾向にあるからである。
【0013】上記本発明にかかる繊維質シート2は、有
色染料及び/又は有色顔料により着色されている必要が
ある。ここでいう有色とは、有彩色(赤色、黄色、青
色、緑色等)、及び白色以外の無彩色(黒色、灰色等)
のことをいう。本発明の熱変色性繊維質シート1におい
ては、後述するように、繊維質シート2の明度を高める
作用を奏する熱可塑性樹脂中空粒子3の中空構造を加熱
して破壊することによって繊維質シート2本来の色を発
現させるものであるため、繊維質シート2は白色以外の
有色に着色されている必要があるのである。有色染料及
び有色顔料としては、従来公知の黒色、黄色、橙色、褐
色、赤色、紫色、青色、緑色等の合成染料、天然染料、
合成顔料及び天然顔料が挙げられる。なお、これらの染
料及び顔料は、単一種類のものを単独で使用してもよ
く、複数種類のものを組み合わせて使用してもよい。
【0014】また、本発明にかかる上記着色された繊維
質シート2は、JIS Z 8721に規定された明度
スケールによる明度が7以下であることが好ましく、5
以下であることが特に好ましい。着色された繊維質シー
ト2の明度が7を超えている場合は、熱可塑性樹脂中空
粒子3による明度の向上の度合いが小さく、したがって
熱可塑性樹脂中空粒子3の中空構造を破壊しても明度の
変化が充分に得られない傾向にある。一方、着色された
繊維質シート2の明度が7以下であれば、熱可塑性樹脂
中空粒子3による明度の向上の度合いが大きく、したが
って熱可塑性樹脂中空粒子3の中空構造を破壊した際に
おける明度の変化が充分に得られる傾向にあり、明度が
5以下であれば上記明度の変化が特に顕著となる。
【0015】そして、上記の繊維質シート2には、熱可
塑性樹脂からなりかつ中空形状を有しており、内部が無
色気体によって充満されている粒子3が保持される。本
発明にかかる熱可塑性樹脂中空粒子3においては、内部
が無色気体によって充満されているため、中空粒子3に
入射した光は中空粒子の殻部と内部の無色気体との界面
で、両者の屈折率の違いにより散乱されて透過しにくく
なる。そのため、散乱反射光が増えるために不透明度が
高く、他の材質を白く隠蔽する効果を奏する。したがっ
て、熱可塑性樹脂中空粒子3を保持せしめることによっ
て繊維質シート2はその本来の明度よりも高い明度を有
することとなる。なお、上記の無色気体としては、空
気、プロパン、ブタン、ペンタン等が挙げられ、中でも
空気が好ましい。
【0016】中空粒子3を構成する熱可塑性樹脂は、中
空構造を維持している際には明度の向上に効率的に寄与
し、他方、中空構造が破壊された際には繊維質シート2
本来の色の発現にあまり影響を及ぼさないものが好まし
く、乳白色又は無色透明の熱可塑性樹脂が好ましい。こ
のような熱可塑性樹脂としては、スチレン−アクリル共
重合体、ポリスチレン、塩化ビニル、スチレン−塩化ビ
ニル共重合体、アクリル−塩化ビニル共重合体、ポリ酢
酸ビニル、アクリル−酢酸ビニル共重合体、スチレン−
酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。
【0017】また、中空粒子3を構成する熱可塑性樹脂
は、繊維質シート2を構成する繊維の軟化点よりも低い
軟化点を有することが好ましい。中空粒子3を構成する
熱可塑性樹脂の軟化点が繊維質シート2を構成する繊維
の軟化点よりも高いと、中空粒子3を加熱して中空構造
を破壊する際に繊維が溶融若しくは軟化してしまう傾向
にあるからである。したがって、例えば繊維質シート2
を構成する繊維がポリエステル繊維、ナイロン繊維、レ
ーヨン繊維等である場合は、中空粒子3を構成する熱可
塑性樹脂はスチレン−アクリル共重合体、ポリスチレン
等であることが好ましい。
【0018】本発明にかかる熱可塑性樹脂中空粒子3
は、後述するように加熱により破壊され得る中空構造を
有するものであればよく、形状等は特に制限されない
が、外径(平均外径)は0.2〜2μmであることが好
ましい。外径が上記上限を超えていると熱可塑性樹脂中
空粒子3が繊維質シート2から脱落しやすくなる傾向に
あり、他方、外径が上記下限未満では中空構造を形成す
ることが困難となる傾向にある。
【0019】また、熱可塑性樹脂中空粒子3のシェル厚
(殻層の平均の厚み)は0.05〜0.3μmであるこ
とが好ましい。シェル厚が上記上限を超えていると中空
構造を破壊しても明度の変化が充分に得られない傾向に
あり、他方、シェル厚が上記下限未満では加熱以外の物
理的応力によって中空構造が破壊されやすくなる傾向に
ある。さらに、熱可塑性樹脂中空粒子3の空隙率(平均
空隙率)は15%以上であることが好ましい。空隙率が
下限未満では熱可塑性樹脂中空粒子3の中空構造を破壊
しても明度の変化が充分に得られない傾向にある。
【0020】本発明の熱変色性繊維質シート1において
は、熱可塑性樹脂中空粒子3が繊維質シート2に保持さ
れるが、繊維質シート2の全体に中空粒子3が保持され
ている必要はなく、少なくとも片表面近傍に保持されて
いればよい。また、繊維質シート2が積層体である場合
は、全ての層に中空粒子3が保持されている必要はな
く、繊維質シート2の少なくとも片表面層に中空粒子3
が保持されていればよい。
【0021】繊維質シート2に保持される熱可塑性樹脂
中空粒子3の量は特に制限されないが、繊維質シート1
00重量部に対して中空粒子が10〜50重量部保持さ
れていることが好ましい。中空粒子3の保持量が上記下
限未満では中空粒子3による明度の変化が充分に得られ
ない傾向にあり、他方、中空粒子3の保持量が上記上限
を超えると中空粒子3の中空構造を破壊しても明度の変
化が充分に得られなくなる傾向にある。
【0022】本発明の熱変色性繊維質シート1において
は、熱可塑性樹脂中空粒子3がそれ自体で繊維質シート
2に保持されるのであれば特に他の成分を含む必要はな
いが、中空粒子3がより確実に保持されるようにバイン
ダーをさらに含んでいてもよい。かかるバインダーは、
中空粒子3による明度の向上及び繊維質シート2本来の
色の発現にあまり影響を及ぼすことなく、しかも熱可塑
性樹脂中空粒子3の加熱による中空構造の破壊を妨げな
いものであることが好ましい。このようなバインダーと
しては、ポリウレタン、ポリアクリル酸エステル、スチ
レン−ブタジエンゴム、ニトリル−ブタジエンゴム、ニ
トリルゴム等が挙げられる。
【0023】本発明の熱変色性繊維質シート1がバイン
ダーを含む場合、繊維質シート100重量部に対してバ
インダーが5〜50重量部含まれることが好ましい。バ
インダーの含量が上記下限未満ではバインダーの添加効
果が充分に得られない傾向にあり、他方、バインダーの
含量が上記上限を超えると中空粒子3の中空構造の破壊
が妨げられるおそれが生じる傾向にある。
【0024】さらに、本発明の熱変色性繊維質シート1
は、熱可塑性樹脂中空粒子3の加熱による中空構造の破
壊及びその前後における明度の変化にあまり影響を及ぼ
さない範囲であれば他の添加成分、例えば撥水剤、撥油
剤、他の熱変色性顔料を含有していてもよい。
【0025】次に、本発明の熱変色性繊維質シートを製
造する方法の好適な実施形態について説明する。本発明
の熱変色性繊維質シートを製造する方法は、繊維質シー
ト2に熱可塑性樹脂中空粒子3を保持せしめることがで
きる方法であればよく、湿式又は乾式のいずれの方法で
あってもよい。以下、湿式の方法の一実施形態について
説明する。
【0026】先ず、上記の有色染料及び/又は有色顔料
により着色された繊維質シート2を得る。その際、予め
有色染料及び/又は有色顔料により着色された繊維を用
いて着色された繊維質シート2を得てもよく、あるいは
未着色の繊維質シート2を有色染料及び/又は有色顔料
により着色してもよい。
【0027】次に、上記の熱可塑性樹脂中空粒子3を含
有する懸濁液を調製し、上記着色された繊維質シート2
をその中に浸漬して所定量の懸濁液を含浸せしめる。ま
た、上記の懸濁液を着色された繊維質シート2上に噴
霧、塗布等することによって所定量の懸濁液を保持せし
めてもよい。その後、懸濁液を含浸(保持)せしめた繊
維質シート2を乾燥し、溶媒を除去することによって本
発明の熱変色性繊維質シート1が得られる。
【0028】なお、懸濁液の溶媒は、中空粒子3を溶解
することなく均一に分散させることができるものであれ
ばよく、水、有機溶媒等が適宜使用される。また、懸濁
液の濃度、温度等も特に制限されず、保持せしめるべき
中空粒子3の量等に応じて適宜選択される。また、熱変
色性繊維質シート1にバインダー等の他の成分を添加す
る場合は、懸濁液にこのような成分を添加してもよい。
さらに、繊維質シート2を乾燥する際の温度は、中空粒
子3を構成する熱可塑性樹脂の軟化点及び繊維質シート
2を構成する繊維の軟化点よりも低い温度である。前記
軟化点より高い温度で乾燥しては、乾燥工程において中
空粒子3の中空構造の破壊や繊維の融着が生じてしまう
からである。また、本発明にかかる熱可塑性樹脂中空粒
子3は市販されているものでもよく、比較的容易に入手
することが可能である。
【0029】次に、上記熱変色性繊維質シートを加熱に
より変色させる本発明の方法の好適な実施形態について
説明する。
【0030】上記熱変色性繊維質シート1の一部を加熱
すると、図2に示すように、加熱された部分1aの熱可
塑性樹脂中空粒子3aの中空構造は破壊される。この
際、熱変色性繊維質シート1を加熱する手段は特に制限
されず、アイロン、焼きゴテ、熱風、火炎等を適宜使用
することができる。また、加熱温度は、熱可塑性樹脂中
空粒子3を構成する熱可塑性樹脂の軟化点よりも高くか
つ繊維質シート2を構成する繊維の軟化点よりも低い温
度であることが好ましい。加熱温度が前記熱可塑性樹脂
の軟化点よりも低いと中空粒子3aの中空構造が充分に
破壊されない傾向にあり、他方、加熱温度が前記繊維の
軟化点よりも高いと繊維の融着が生じてしまう傾向にあ
るからである。
【0031】なお、ここでいう熱可塑性樹脂中空粒子の
中空構造の破壊とは、加熱により熱可塑性樹脂中空粒子
の中空部が消滅又は著しく減少することをいう。このよ
うな中空粒子の中空構造の破壊の態様としては、例え
ば、図3(a)に示すように熱可塑性樹脂の軟化及び熱
収縮によって中空粒子が潰れて中空構造が消滅する態様
や、図3(b)に示すように中空粒子内部の無色気体の
膨張によって中空粒子が破裂して中空構造が消滅する態
様や、図3(c)に示すように熱可塑性樹脂の熱収縮に
よって中空粒子が収縮して中空構造が消滅する態様が挙
げられる。
【0032】このように熱可塑性樹脂中空粒子の中空構
造が破壊されると、中空粒子の殻部と内部の無色気体の
界面で、両者の屈折率の違いにより散乱する光が消滅又
は著しく減少する。そのため、加熱により中空粒子の中
空構造が破壊された部分1aにおいては繊維質シート2
の本来の色が発現されることとなる。したがって、加熱
された部分1aは、加熱されていない部分1bの明度よ
りも低い明度に変色されることとなる。
【0033】このように、上記本発明において使用され
る有色染料及び有色顔料そのものは、加熱前後で変色す
る必要はない。したがって、本発明によれば、従来公知
の種々の有色染料及び有色顔料を使用することが可能と
なり、それゆえ加熱によって変色する特殊な染料や顔料
を使用していた従来の方法に比べて遥かに広範な染料や
顔料を使用することが可能となる。また、本発明によれ
ば、加熱によって変色しない安定性に優れた有色染料及
び有色顔料を使用することが可能となるため、染料や顔
料の退色が充分に防止され、変色(加熱)前後の色の安
定性が向上する。
【0034】さらに、上記本発明の熱変色性繊維質シー
トを用いた本発明の方法においては、繊維質シートの少
なくとも片表面近傍に保持された熱可塑性樹脂中空粒子
の中空構造を破壊することによって繊維質シートを変色
させることが可能であるため、熱変色性繊維質シートは
薄いものであってもよい。したがって、本発明によれ
ば、熱可塑性樹脂の発泡体からなるシートを使用してい
た従来の方法に比べて、厚さの薄い熱変色性繊維質シー
トが得られるようになる。
【0035】
【実施例】以下、実施例により、本発明の内容を更に具
体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定
されるものではない。
【0036】実施例1 青色顔料を練り込んだ繊度2デニール、繊維長51mm
のポリエステル繊維(軟化温度240℃)を100%使
用し、以下のようにして着色された不織布を得た。すな
わち、先ず、カード機により上記ポリエステル繊維の一
方向性繊維ウエブを形成した後、この一方向性繊維ウエ
ブをクロスレイヤーにより繊維ウエブの流れ方向に対し
て交差させて交差繊維ウエブを作製した。次いで、この
交差繊維ウエブの片面を圧力7MPa及び10MPaの
水流で絡合せしめた後、交差繊維ウエブの他面を圧力7
MPa及び10MPaの水流で絡合せしめて、面密度6
0g/m2、厚み0.5mmの不織布を得た。得られた
青色不織布の明度をJISZ 8721に規定された明
度スケールによって評価したところ、3.5であった。
【0037】他方、以下の組成を有する懸濁液を調製し
た。
【0038】(i)無色透明のスチレン−アクリル共重
合体(軟化温度120℃)からなる中空粒子(平均外径
1.0μm、平均シェル厚0.1μm、空隙率50%)
を含有する水エマルジョン(ローム・アンド・ハース・
ジャパン株式会社製、商品名:ローペイクHP−91、
不揮発分27.5%)50重量%、(ii)ポリエーテル
系ポリウレタン(軟化温度115℃)を含有する水エマ
ルジョン(大日本インキ化学工業株式会社製、商品名:
ボンディック1612NSC、不揮発分24〜26%)
20重量%、(iii)水30重量%。
【0039】次いで、上記不織布を上記懸濁液に浸漬
し、絞ることによって、上記不織布100重量部に対し
て150重量部の上記懸濁液を含浸せしめた。その後、
上記懸濁液を含浸せしめた不織布を110℃の雰囲気中
に10分間おいて乾燥せしめ、本発明の熱変色性繊維質
シートを得た。得られた熱変色性繊維質シートは、不織
布100重量部に対して20.6重量部のスチレン−ア
クリル共重合体中空粒子及び7.2〜7.8重量部のポ
リエーテル系ポリウレタンを不織布全体に含有するもの
であった。また、得られた本発明の熱変色性繊維質シー
トは、前記不織布よりも明度が高く、青白色であった。
【0040】このようにして得られた本発明の熱変色性
繊維質シートに150℃に加熱したアイロンを3秒間あ
てたところ、加熱された部分の明度が明らかに低下して
不織布本来の青色に変色した。加熱された部分及び加熱
されていない部分の明度をJIS Z 8721に規定
された明度スケールによって評価したところ、加熱され
た部分の明度は3.3であったのに対して、加熱されて
いない部分の明度は4.6であった。
【0041】実施例2 未着色の繊度3デニール、繊維長51mmのナイロン繊
維(軟化温度180℃)50mass%、未着色の繊度1.
5デニール、繊維長44mmのポリエステル繊維(軟化
温度240℃)25mass%、及び未着色の繊度2デニー
ル、繊維長38mmのポリエステル繊維とナイロン繊維
とからなりかつ水流により17本の繊維に分割可能な分
割性繊維25mass%を使用し、以下のようにして未着色
の不織布を得た。すなわち、先ず、上記繊維を混綿した
後、カード機により一方向性繊維ウエブを形成し、この
一方向性繊維ウエブをクロスレイヤーにより繊維ウエブ
の流れ方向に対して交差させて交差繊維ウエブを作製し
た。次いで、この交差繊維ウエブを実施例1と同様にし
て水流で絡合せしめた後、酸性黒色染料によりナイロン
成分のみを黒色に染色して、面密度140g/m2、厚
み0.7mmの不織布を得た。得られた不織布の明度を
JIS Z 8721に規定された明度スケールによっ
て評価したところ、4.9であった。
【0042】次いで、上記不織布を実施例1と同様の懸
濁液に浸漬し、絞ることによって、上記不織布100重
量部に対して150重量部の上記懸濁液を含浸せしめ
た。その後、上記懸濁液を含浸せしめた不織布を110
℃の雰囲気中に10分間おいて乾燥せしめ、本発明の熱
変色性繊維質シートを得た。得られた熱変色性繊維質シ
ートは、不織布100重量部に対して20.6重量部の
スチレン−アクリル共重合体中空粒子及び7.2〜7.
8重量部のポリエーテル系ポリウレタンを不織布全体に
含有するものであった。また、得られた本発明の熱変色
性繊維質シートは、前記不織布よりも明度が高く、灰白
色であった。
【0043】このようにして得られた本発明の熱変色性
繊維質シートに150℃に加熱したアイロンを3秒間あ
てたところ、加熱された部分の明度が明らかに低下して
不織布本来の灰色に変色した。加熱された部分及び加熱
されていない部分の明度をJIS Z 8721に規定
された明度スケールによって評価したところ、加熱され
た部分の明度は3.7であったのに対して、加熱されて
いない部分の明度は5.3であった。
【0044】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
適用可能な色や厚さに制限がなく、また変色前後の色の
安定性にも優れた熱変色性繊維質シートを得ることが可
能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の熱変色性繊維質シートの一実施形態を
示す模式断面図である。
【図2】図1に示す熱変色性繊維質シートの一部を加熱
した後の状態を示す模式断面図である。
【図3】(a)〜(c)はそれぞれ、本発明にかかる熱
可塑性樹脂中空粒子の中空構造の破壊の態様を示す模式
図である。
【符号の説明】
1…熱変色性繊維質シート、1a…熱変色性繊維質シー
トの加熱部分、1b…熱変色性繊維質シートの非加熱部
分、2…繊維質シート、3…熱可塑性樹脂中空粒子、3
a…加熱により中空構造が破壊された熱可塑性樹脂中空
粒子。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有色染料及び/又は有色顔料により着色
    された繊維質シートと、該繊維質シートに保持されかつ
    無色気体によって内部が充満されている熱可塑性樹脂中
    空粒子とを備えることを特徴とする熱変色性繊維質シー
    ト。
  2. 【請求項2】 前記熱可塑性樹脂中空粒子が、外径0.
    2〜2μm、シェル厚0.05〜0.3μm及び空隙率
    15%以上の中空構造を有していることを特徴とする、
    請求項1に記載の熱変色性繊維質シート。
  3. 【請求項3】 前記熱可塑性樹脂中空粒子が、前記繊維
    質シートを構成する繊維の軟化点よりも低い軟化点を有
    する熱可塑性樹脂により構成されていることを特徴とす
    る、請求項1又は2に記載の熱変色性繊維質シート。
  4. 【請求項4】 前記繊維質シート100重量部に対して
    前記熱可塑性樹脂中空粒子が10〜50重量部保持され
    ていることを特徴とする、請求項1〜3のうちのいずれ
    かに記載の熱変色性繊維質シート。
  5. 【請求項5】 前記繊維質シート100重量部に対して
    5〜50重量部のバインダーをさらに含むことを特徴と
    する、請求項1〜4のうちのいずれかに記載の熱変色性
    繊維質シート。
  6. 【請求項6】 有色染料及び/又は有色顔料により着色
    された繊維質シートと、該繊維質シートに保持されかつ
    無色気体によって内部が充満されている熱可塑性樹脂中
    空粒子とを備える熱変色性繊維質シートの少なくとも一
    部を加熱し、加熱された部分の熱可塑性樹脂中空粒子の
    中空構造を破壊することによって該部分の明度を低下せ
    しめることを特徴とする、繊維質シートの変色方法。
  7. 【請求項7】 前記熱変色性繊維質シートの少なくとも
    一部を、前記熱可塑性樹脂中空粒子を構成する熱可塑性
    樹脂の軟化点よりも高くかつ前記繊維質シートを構成す
    る繊維の軟化点よりも低い温度に加熱することを特徴と
    する、請求項6に記載の繊維質シートの変色方法。
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