JPH10313907A - 高所作業用安全帯のバックル - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 既存のバックルに何も加工を施すことなくベ
ルトの誤挿入防止機能を付加できるようにする。 【解決手段】 バックル本体１に第１ベルト挿入孔３と
第２ベルト挿入孔４とを設けて両ベルト挿入孔３、４間
に胴締めベルト連結用の柱部５を形成する。第１ベルト
挿入孔３と対向する位置に設けた摺動体８を柱部５に対
して移動可能に支持する。柱部５に連結される胴締めベ
ルトによりその柱部５に誤挿入防止体１６を取付け、そ
の誤挿入防止体１６に摺動体８と柱部５間の空間を遮蔽
する一対の突片１９を設け、その突片１９によって上記
空間に胴締めベルトが誤挿入されるのを防止する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、高所作業用安全
帯のバックルに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】高所作業用安全帯は、胴締めベルトの端
部にバックルを取付けている。そのバックルは、普通、
バックル本体に第１ベルト挿入孔と第２ベルト挿入孔を
並列に形成して両ベルト挿入孔間にベルト連結用の柱部
を設け、上記第１ベルト挿入孔の一部を覆い、上記柱部
に対してスライド可能に設けられた摺動体をスプリング
により柱部から離反する方向に押圧し、その摺動体の前
縁と第１ベルト挿入孔の内周前縁とで、バックル本体の
内面側から第１ベルト挿入孔に挿入された胴締めベルト
を挟持して、胴締めベルトの弛みを防止するようにして
いる。

【０００３】ここで、第１ベルト挿入孔に挿入された胴
締めベルトは、摺動体の押圧による弛み止め後に、第２
ベルト挿入孔に挿入されるが、上記摺動体が第１ベルト
挿入孔の内周前縁とで挟持するとき、その摺動体と柱部
間に空間が形成されるため、その空間に胴締めベルトを
誤って挿入されるおそれがある。

【０００４】胴締めベルトが誤挿入された場合、胴締め
ベルトの保持に所定の保持強度が得られず、万一足を踏
み外した落下時、バックルから胴締めベルトが抜け出
し、墜落する危険がある。

【０００５】上記のような問題点を解決するため、摺動
体と柱部間の空間を遮蔽板によって遮蔽し、上記空間に
胴締めベルトが挿入されるのを防止したバックルが提案
されている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】ところで、遮蔽板によ
って胴締めベルトの誤挿入を防止するようにした従来の
バックルにおいては、その遮蔽板をリベットの加締めに
よってバックル本体に取付ける構成であるため、取付け
に非常に手間がかかり、しかも、バックル本体にはリベ
ット挿入用の孔を形成する必要があるため、既存のバッ
クルには取付けできず、バックルそのものを設計変更し
なければならないという不都合がある。

【０００７】この発明の課題は、既存のバックルにもベ
ルトの誤挿入防止機能を付加することができる高所作業
用安全帯のバックルを提供することである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、この発明においては、バックル本体に第１ベルト
挿入孔と第２ベルト挿入孔とを並列に形成して両ベルト
挿入孔間にベルト連結用の柱部を設け、上記第１ベルト
挿入孔と対向する位置に設けられた摺動体を柱部に対し
てスライド可能に設け、その摺動体の前縁と第１ベルト
挿入孔の内周前縁とでバックル本体の内面側から上記第
１ベルト挿入孔に挿入された胴締めベルトを挟持するよ
うにした高所作業用安全帯のバックルにおいて、前記第
１挿入孔の内周前縁側にスライドされた摺動体の背部と
柱部間の空間に胴締めベルトが誤挿入されるのを防止す
る誤挿入防止体を上記柱部で支持し、その誤挿入防止体
が、柱部の表面および第１挿入孔と対向する内側縁を覆
い、柱部に連結される胴締めベルトによってその柱部に
取付けられる取付部の両端に第１挿入孔の内周両側縁に
沿って摺動体の方向に延びる位置決め片を設け、各位置
決め片に突片を内向きに設けた構成とされ、上記突片の
後端と取付部との間に胴締めベルトの厚みに対応する間
隔を設けた構成を採用している。

【０００９】

【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を図
面に基づいて説明する。

【００１０】図示のように、バックル本体１の両側部に
は折曲片２が設けられている。また、バックル本体１に
は第１ベルト挿入孔３と第２ベルト挿入孔４が並列に形
成され、その両ベルト挿入孔３、４間にベルト連結用の
柱部５が設けられている。

【００１１】第１ベルト挿入孔３の前側部には、バック
ル本体１の表面側に膨出するテーパ状の案内壁６が設け
られている。一方、第２ベルト挿入孔４の後側部にも、
バックル本体１の表面側に膨出するテーパ状の案内壁７
が設けられている。

【００１２】バックル本体１には、第１ベルト挿入孔３
と対向位置に摺動体８が設けられている。摺動体８はバ
ックル本体１の外面側に重なり合う上板９と、バックル
本体１の内面側に重なり合う下板１０とから成り、上板
９には第１挿入孔３内に挿入される膨出部１１が形成さ
れ、その膨出部１１がリベットの加締めによる手段を介
して下板１０に結合され、上記膨出部１１と第１ベルト
挿入孔３の内周面側間に図４に示すように、空間１２が
設けられている。

【００１３】摺動体８は柱部５に対してスライド可能と
なり、上記上板９の両端にはスライド操作用の操作片１
３が設けられている。下板１０にはベルト挿入孔１０ａ
が設けられている。

【００１４】図３に示すように、バックル本体１の柱部
５には胴締めベルト１４が連結されている。胴締めベル
ト１４は、バックル本体１の内面側から第２ベルト挿入
孔４に挿入され、さらに、第１ベルト挿入孔３に挿入さ
れて折り返され、その折り返し端部１４ａが胴締めベル
ト１４に縫着されている。

【００１５】また、柱部５には、ばねホルダ１５と、胴
締めベルト１４の誤挿入を防止する誤挿入防止体１６と
が支持されている。ばねホルダ１５には図では省略した
がその両端部にばねが支持され、そのばねは摺動体８を
案内壁６に向けて押圧している。

【００１６】誤挿入防止体１６は、柱部５の表面および
第１ベルト挿入孔３と対向する一側面を覆う取付部１７
の両端に第１ベルト挿入孔３の内周両側面に沿って延び
る位置決め片１８を設け、その位置決め片１８の下縁か
ら内向きに突片１９を設けた金属板のプレス成形品から
成り、上記位置決め片１８および突片１９の先端部は案
内壁６に当接して停止する摺動体８の前記空間１２内に
挿入されている。

【００１７】また、突片１９の後端と取付部１７との間
には胴締めベルト１４の厚みに対応する間隔２０が設け
られている。

【００１８】上記誤挿入防止体１６は、柱部５に胴締め
ベルト１４を連結する前に柱部５に装着され、上記柱部
５に対する胴締めベルト１４の連結により、その胴締め
ベルト１４の柱部５を包み込む反転部１４ｂによって柱
部５から脱落するのが防止される。

【００１９】実施の形態で示すバックルは上記の構造か
ら成り、胴締めベルト１４の締付けに際しては、摺動体
８を柱部５に向けて後退させ、その摺動体８と案内壁６
との間に空間を形成し、バックル本体１の内面側から上
記空間に胴締めベルト１４を挿入したのち、上記摺動体
８をばねの弾力により案内壁６に向けてスライドさせ、
図６に示すように、その案内壁６とで胴締めベルト１４
を挟持する。

【００２０】摺動体８が胴締めベルト１４を挟持する状
態では、その摺動体８と柱部５間に空間２１が形成され
る。

【００２１】このとき、空間２１は誤挿入防止体１６の
一対の突片１９によってその両側部が遮蔽されるため、
上記空間２１に胴締めベルト１４を挿入することができ
ず、胴締めベルト１４が誤挿入されるのを防止すること
ができる。

【００２２】図７は、誤挿入防止体１６の他の例を示
す。この誤挿入防止体１６は柱部５に対する取付部２２
の断面形状をコの字形としてバックル本体１の表面側か
ら柱部５に嵌合し得るようにしている。

【００２３】上記のように、取付部２２を柱部５に対し
て嵌合可能とすることにより、誤挿入防止体１６をより
安定よく取付けることができる。

【００２４】

【発明の効果】以上のように、この発明においては、柱
部に取付けられる誤挿入防止体に、摺動体と柱部間を遮
蔽する突片を設けたので、胴締めベルトの誤挿入を防止
することができる。

【００２５】また、柱部に連結する胴締めベルトによっ
て、その柱部に誤挿入防止体を取付けるようにしたの
で、バックル本体には何も加工を必要とせず、既存のバ
ックル本体にベルトの誤挿入防止機能を付加することが
できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の実施の形態を示す正面図

【図２】同上のバックルの斜視図

【図３】図１のIII −III 線に沿った断面図

【図４】図１のIV−IV線に沿った断面図

【図５】同上バックルの分解斜視図

【図６】胴締めベルトの挿通状態を示す断面図

【図７】誤挿入防止体の他の例を示す断面図

【符号の説明】

１ バックル本体 ３ 第１ベルト挿入孔 ４ 第２ベルト挿入孔 ５ 柱部 ８ 摺動体 １４ 胴締めベルト １６ 誤挿入防止体 １７ 取付部 １８ 位置決め片 １９ 突片 ２０ 間隔 ２１ 空間

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 バックル本体に第１ベルト挿入孔と第２
   ベルト挿入孔とを並列に形成して両ベルト挿入孔間にベ
   ルト連結用の柱部を設け、上記第１ベルト挿入孔と対向
   する位置に設けられた摺動体を柱部に対してスライド可
   能に設け、その摺動体の前縁と第１ベルト挿入孔の内周
   前縁とでバックル本体の内面側から上記第１ベルト挿入
   孔に挿入された胴締めベルトを挟持するようにした高所
   作業用安全帯のバックルにおいて、前記第１挿入孔の内
   周前縁側にスライドされた摺動体の背部と柱部間の空間
   に胴締めベルトが誤挿入されるのを防止する誤挿入防止
   体を上記柱部で支持し、その誤挿入防止体が、柱部の表
   面および第１挿入孔と対向する内側縁を覆い、柱部に連
   結される胴締めベルトによってその柱部に取付けられる
   取付部の両端に第１挿入孔の内周両側縁に沿って摺動体
   の方向に延びる位置決め片を設け、各位置決め片に突片
   を内向きに設けた構成とされ、上記突片の後端と取付部
   との間に胴締めベルトの厚みに対応する間隔を設けたこ
   とを特徴とする高所作業用安全帯のバックル。