JPH10313860A - ウシ由来scfに対するモノクローナル抗体とそれを用いた定量法 - Google Patents

ウシ由来scfに対するモノクローナル抗体とそれを用いた定量法

Info

Publication number
JPH10313860A
JPH10313860A JP13143797A JP13143797A JPH10313860A JP H10313860 A JPH10313860 A JP H10313860A JP 13143797 A JP13143797 A JP 13143797A JP 13143797 A JP13143797 A JP 13143797A JP H10313860 A JPH10313860 A JP H10313860A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
scf
bovine
cells
monoclonal antibody
antibody
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP13143797A
Other languages
English (en)
Inventor
Michiharu Sakurai
通陽 櫻井
Kenka Shiyuu
建華 周
Masahito Ota
方人 大田
Kouichi Hikono
弘一 彦野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NORIN SUISAN SENTAN GIJUTSU SA
NORIN SUISAN SENTAN GIJUTSU SANGYO SHINKO CENTER
NORIN SUISANSYO KACHIKU EISEI
NORIN SUISANSYO KACHIKU EISEI SHIKENJO
Original Assignee
NORIN SUISAN SENTAN GIJUTSU SA
NORIN SUISAN SENTAN GIJUTSU SANGYO SHINKO CENTER
NORIN SUISANSYO KACHIKU EISEI
NORIN SUISANSYO KACHIKU EISEI SHIKENJO
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NORIN SUISAN SENTAN GIJUTSU SA, NORIN SUISAN SENTAN GIJUTSU SANGYO SHINKO CENTER, NORIN SUISANSYO KACHIKU EISEI, NORIN SUISANSYO KACHIKU EISEI SHIKENJO filed Critical NORIN SUISAN SENTAN GIJUTSU SA
Priority to JP13143797A priority Critical patent/JPH10313860A/ja
Publication of JPH10313860A publication Critical patent/JPH10313860A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 ウシ由来SCFと特異的に反応するモノ
クローナル抗体、該モノクローナル抗体を産生するハイ
ブリドーマ及び該モノクローナル抗体を用いてウシ由来
SCFを定量することを特徴とするウシ由来SCFの定
量方法である。 【効果】 ウシのSCFの動態・機能を調べることがで
きる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はウシ由来ステム・セ
ル・ファクター(stem cell factor, 以下「SCF」とい
う)に特異的に反応するモノクローナル抗体、該モノク
ローナル抗体を産生するハイブリドーマ及び該モノクロ
ーナル抗体を利用したウシ由来SCFの定量法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】SCF[特願平4-502628 (1992)、Cell
63, 195 (1990) ]は種々の血液細胞や生殖細胞などの
増殖を促進する活性を有するサイトカインである。SC
Fは、マスト細胞増殖因子(mast cell growth factor)
[cell 63, 23-25 (1990) ]、キット・リガンド(Kit
ligand) [Cell 63, 225 (1990) ]、又はスティール・
ファクター(steel factor) [Cell 63, 5 (1990) ]と
も呼ばれている。
【0003】SCFは、初めに、造血幹細胞やマスト細
胞の増殖を促進する分子量約25,000の可溶性糖タンパク
質として、ラットのバッファロー・ラット・リバー細
胞、マウスBalb/c3T3 細胞、又はマウスの骨髄ストロー
マ細胞の培養上清から精製された[特願平4-502628 (1
992)、Cell 63, 195 (1990) 、EMBO Journal 9, 3287
(1990) 、Cell 63, 167 (1990) ]。次いで、ヒト・ラ
ット・マウスのSCF遺伝子cDNAのクローニングが
報告されている[特願平4-502628 (1992)、Cell 63, 2
03 (1990) 、Cell 63, 235 (1990) ]。その結果、SC
Fは、そのアミノ末端側から順に、分泌シグナル配列、
細胞外領域、細胞膜貫通領域および細胞内領域からなる
細胞膜タンパク質であり、その細胞外領域の特定箇所に
おけるタンパク質切断の結果、細胞外領域の大部分が細
胞から遊離して可溶性SCFとなり、これがサイトカイ
ンとして機能することが示されている。これまでに、マ
ウス[特願平4-502628 (1992)、Cell 63, 203 (1990)
、Cell 63, 235 (1990) ]、ラット[特願平4-502628
(1992)、Cell 63, 203 (1990) ]、ヒト[特願平4-50
2628 (1992)、Cell 63, 203 (1990) ]及びイヌ[Exper
imental Hematology 20,1118 (1992) ]の可溶性SCF
が組換えDNA技術を用いて大腸菌等で生産され、それ
らを用いた研究によって、可溶性SCFがインビトロに
おいて、赤血球、顆粒球又はマスト細胞に対する前駆体
細胞(progenitor cells) の増殖を促進することが示さ
れている。さらに、その後の研究の結果、現在では、S
CFがヒトやマウスの体内で行われる造血過程(hemato
poiesis)において最も重要なサイトカインの一つとして
機能していることが示されており[Blood 81, 2844 (19
93)、Advances in Immunology 55, 1 (1994) ]、上記
の組換えSCF及びそれに対する抗体、並びに抗体を用
いたSCFの定量法が、健康時や各種病態下での造血過
程におけるSCFの動態・機能を調べるための手段とし
て広く用いられている。また、可溶性SCFをげっし類
[特願平4-502628 (1992)、Blood 78, 961 (1991)]、
サル[特願平4-502628 (1992)、Blood 78, 1975 (199
1) ]及びヒト[Blood 82, 784 (1993)、British Journ
al of Hematology 85, 663 (1993)]に投与した実験か
ら、SCFが血液中の赤血球、血小板又は顆粒球の数を
増加させる活性を有することが示されている。
【0004】これらの結果から、ヒトSCFが、骨髄移
植や化学療法に伴って血液細胞数が減少した患者や、赤
血球等の血液細胞数の減少を主症状とする再生不良性貧
血症や骨髄異形成症候群の患者に対する治療手段として
有望であると期待されている。一方、健常人の血清中に
おいても3ng/ml 程度の濃度の可溶性SCFが存在して
いる[Blood 81, 656 (1993)]。さらに、SCF濃度が
正常人と比較して有意に低い例が再生不良性貧血症や骨
髄異形成症候群の患者のなかに見いだされること等[Bl
ood 81, 3259 (1993) 、British Journal of Hematolog
y 85, 63 (1993) ]が報告されており、血清中のSCF
濃度が血液細胞数の減少を伴うこれらの血液系疾患に対
する診断基準の一つとして使われている。
【0005】ヒト等のSCFに関するこれらの知見か
ら、ウシについても、SCFが造血系において主要な役
割を果しており、その動態や機能の解明がウシにおける
造血過程を明らかにする上において重要であると考えら
れる。さらに、血清中の可溶性ウシ由来SCF濃度の測
定が、赤血球数減少を主症状とする小型ピロプラズマ感
染症やトリパノゾーマ感染症などのウシの感染症の診断
法として有用であると考えられる。
【0006】ウシにおけるSCFの動態・機能を調べる
ためにはウシ由来SCFに対する特異性の高い抗体が必
要であり、特に、特異性・再現性の点で優れているモノ
クローナル抗体の作製が必要である。また、ウシ由来S
CF濃度を測定するためには、ウシ由来SCFの定量方
法の確立が必要である。しかし、ウシ由来SCFに対す
るモノクローナル抗体の作製及びウシ由来SCFの定量
方法については報告されていない。
【0007】
【本発明が解決しようとする課題】本発明は、ウシ由来
SCFと特異的に反応するモノクローナル抗体、該モノ
クローナル抗体を産生するハイブリドーマ及び該モノク
ローナル抗体を用いてウシ由来SCFを定量することを
特徴とするウシ由来SCFの定量方法を提供することを
目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題に
基づいて鋭意研究を行なった結果、ウシ由来SCFで免
疫された動物から得られた抗体産生細胞とミエローマ細
胞とを融合し、得られるハイブリドーマからウシ由来S
CFと特異的に反応するモノクローナル抗体を得ること
に成功し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発
明は、ウシ由来SCFと特異的に反応するモノクローナ
ル抗体である。
【0009】また、本発明は、上記モノクローナル抗体
を産生するハイブリドーマである。さらに、本発明は、
上記モノクローナル抗体を用いてウシ由来SCFを定量
することを特徴とするウシ由来SCFの定量方法であ
る。以下、本発明を詳細に説明する。
【0010】
【発明の実施の形態】
1.本発明のモノクローナル抗体の性質 本発明のモノクローナル抗体は、ウシ由来SCFと特異
的に反応し得るすべてのモノクローナル抗体を包含す
る。その中でも、ウシ由来SCFのサイトカインとして
機能し得る領域と特異的に反応するモノクローナル抗体
を好ましいものとして例示でき、後述するハイブリドー
マbS-2が産生するモノクローナル抗体を最も好ましいも
のとして例示できる。
【0011】2.本発明のモノクローナル抗体の作製 本発明のウシ由来SCFに特異的に反応するモノクロー
ナル抗体は、次の各工程を経て製造される。 (1) 抗原の調製 (2) 免疫及び抗体産生細胞の採取 (3) 細胞融合 (4) ハイブリドーマの選択及びクローニング (5) モノクローナル抗体の採取 以下、各工程について説明する。
【0012】(1) 抗原の調製 抗原とするウシ由来SCFの調製は、特定の方法には限
定されないが、ウシ由来SCFをコードするcDNAが
既に公知であるので[Biochimica Biophysica Acta 122
3,148-150(1994)] 、該cDNAを利用して抗原とする
ウシ由来SCFを調製するのが好ましい。該cDNAか
らのウシ由来SCFの調製は、ウシ由来SCFcDNA
を含む組換えベクターを作製し、該ベクターにより適当
な宿主細胞を形質転換し、これを培地で培養し、得られ
る培養物を精製することにより行い得る。ここで、使用
するcDNAは図1に示すウシ由来SCFをコードする
全領域であってもよいが、サイトカインとして機能する
ウシ由来SCF部分をコードする領域が好ましく、ウシ
由来SCFの可溶性部分をコードする領域が調製の容易
さから最も好ましい。また、組換えベクター及び宿主細
胞としては、組換えバキュロウイルス及び昆虫培養細胞
を使用するのが好ましい。
【0013】(2) 免疫及び抗体産生細胞の採取 上記のようにして得られたウシ由来SCFを免疫原とし
て、アジュバンドとともに哺乳類、鳥類等に投与する。
ここで、アジュバンドとしては、市販のフロイント完全
アジュバンド、フロイント不完全アジュバンド、BCG 、
ハンターズ、タイターマック、キーホールリンペットヘ
モシアニン含有オイル等を用いることができ、これらの
何れかを混合して用いてもよい。哺乳動物としては、ウ
マ、サル、イヌ、ブタ、ヤギ、ヒツジ、ウサギ、モルモ
ット、ハムスター、マウス等を用いることができ、鳥類
としては、ハト、ニワトリ等を用いることができるが、
特にマウス、ラット等を用いることが望ましい。投与の
方法としては、既知の何れの方法をも用いることができ
るが、静脈内、皮下、腹腔内投与が望ましい。抗原の免
疫量は1回にマウス1匹当たり10〜200μg 、好ましく
は25〜100μg である。免疫の間隔は 1〜4 週、好まし
くは 2週であり、免疫の回数は 2〜5 回、好ましくは 3
〜4 回である。
【0014】最終免疫日から 1〜5 日後、好ましくは 3
日後に、抗体産生細胞を採集する。抗体産生細胞として
は、リンパ節細胞、脾臓細胞等が挙げられるが、好まし
くは足リンパ節細胞である。
【0015】(3) 細胞融合 抗体産生細胞と融合させるミエローマ細胞としては、マ
ウス、ラット、ヒト等の種々の動物に由来し、当業者が
一般に入手可能である株化細胞を使用できる。使用する
細胞株としては、薬剤抵抗性を有し、未融合の状態では
選択培地(例えば HAT培地)で生存できず、抗体産生細
胞と融合した状態でのみ選択培地で生存できる性質を有
するものが好ましい。一般的に8-アザグアニン耐性株を
用いることができる。この細胞株は、ヒポキサンチン−
グアニンホスフォリボシルトランスフェラーゼを欠損し
(HGPRT- ) 、HAT 培地で生育できない。
【0016】ミエローマ細胞としては、P3/X63-Ag8-U1
等のマウスミエローマ細胞株、210.RCY.Ag1.2.3 等のラ
ットミエローマ細胞株、SKO-007 等のヒトミエローマ細
胞株等を使用することができる。
【0017】細胞融合は、ミエローマ細胞と抗体産生細
胞とを、混合比 1:5〜1:10の割合で、RPMI1640培地等の
培地中で、融合促進剤存在下、室温で 2〜5 分間細胞同
士を接触させることによって効率的に融合反応を進める
ことができる。融合促進剤として、平均分子量1500〜40
00のポリエチレングリコール、ポリビニールアルコール
等を用いることができる。また、センダイウイルス等の
融合ウイルスを用いることもできる。
【0018】(4) ハイブリドーマの選択及びクローニン
グ 細胞融合後、目的とするハイブリドーマを選別する。選
別方法は、通常の方法に従えばよく、特に限定されな
い。選別方法として、例えば、次の方法を用いることが
できる。ウシ由来SCFを吸着させ、ブロックエース
(大日本製薬) 等でブロックしたマイクロプレートの各
ウェルにハイブリドーマの培養上清を加え、 37℃で 1
時間放置し、ウシ由来SCFとウシ由来SCFに特異的
に反応するモノクローナル抗体とを反応させる。生理的
食塩水で洗浄後、適当に希釈したアルカリフォスファタ
ーゼ結合ヤギ抗イムノグロブリンを加える。生理的食塩
水で洗浄後、ALP ローゼ( シノテスト社) を用いてアル
カリフォスファターゼの活性を測定し、アルカリフォス
フォターゼの呈色を有するウェルをウシ由来SCFに特
異的な抗体を産生する細胞を含むウェルとする。ハイブ
リドーマのクローニングは通常の方法に従えば良く、特
に限定されない。例えば、限界希釈法、軟寒天法、フィ
ブリンゲル法、蛍光励起セルソーター法等により行なう
ことができる。
【0019】(5) モノクローナル抗体の採取 取得したハイブリドーマからモノクローナル抗体を採取
する方法としては、通常の細胞培養法や腹水形成法等を
用いることができる。細胞培養法においては、ハイブリ
ドーマを10〜20% 仔ウシ血清含有RPMI-1640培地、MEM
培地、E-RDF 培地又は無血清培地等の動物細胞培地中
で、通常の培養条件( 例えば、37℃、5%CO2 濃度) で 3
〜7 日間培養し、その培養上清から抗体を取得できる。
【0020】腹水形成法においては、ミエローマ細胞由
来の哺乳動物と同種の動物の腹腔内にプリスタン(2,6,1
0,14- テトラメチルペンタデカン) 等の鉱物油を投与
し、その後ハイブリドーマ 1×106 〜 1×107 個、好ま
しくは 5×106 個を腹腔内に投与する。投与した哺乳動
物を 1〜4 週間、好ましくは 2週間、飼育した後、腹水
又は血清を採取する。
【0021】上記抗体の採取方法において、抗体の精製
が必要とされる場合は、硫酸塩分析法、DEAKD セルロー
ス等の陰イオン交換体を利用するイオン交換クロマトグ
ラフィ、プロテインAセファロース等を用いるアフィニ
ティークロマトグラフィー、分子量や構造によってふる
い分ける分子ふるいクロマトグラフィー等の公知の方法
を適宜に選択して、又はこれらを組み合わせることによ
り精製することができる。
【0022】3.本発明のモノクローナル抗体の使用 本発明のモノクローナル抗体は、ウシ由来SCFの定量
に使用することができる。本発明のウシ由来SCFの定
量方法は、上記モノクローナル抗体を用いる限り、いか
なる態様をもとることができ、例えばサンドウィッチ・
エライザ法を用いて次のように実施することができる。
【0023】(1) 本発明のモノクローナル抗体を固相(
例えば、化学発光測定用エライザプレート(FluoroNunc
M plate,ヌンク社) 等)に吸着させる。吸着は、例えば
室温 2時間放置することにより、十分に行なうことが好
ましい。 (2) 抗原が吸着していない固相表面を抗原と無関係なタ
ンパク質(例えば、ブロック・エース(大日本製薬))
で覆う。
【0024】(3) ウシ由来SCFを含む測定試料を加
え、ウシ由来SCFと上記モノクローナル抗体とを反応
させる。反応は、例えば室温で1 〜2 時間放置すること
により、十分進行させることが好ましい。 (4) 固相をPBS(ツイーン20を適量添加してもよい) 等で
洗浄する。洗浄は、特異的に反応した上記抗体と上記抗
原以外の物質が次の工程に持ち込まれないように十分に
行なうことが好ましい。
【0025】(5) 上記モノクローナル抗体とは種の異な
る動物種由来のウシ由来SCFに特異的に反応する抗体
を加え、ウシ由来SCFと反応させる。反応は、例えば
室温1〜2 時間放置することにより、十分に行なうこと
が好ましい。 (6) 固相をPBS(ツイーン20を適量添加してもよい) 等で
洗浄する。洗浄は、特異的に反応した上記抗体と上記抗
原以外の物質が次の工程に持ち込まれないように十分に
行なうことが好ましい。
【0026】(7) 上記(5) で用いる抗体の由来する動物
種の抗体又は免疫グロブリンに特異的な抗体を酵素標識
して添加し、上記(5) の抗体と反応させる。反応は、例
えば室温で 1〜2 時間放置することにより、十分進行さ
せることが好ましい。 (8) 固相をPBS(ツイーン20を適量添加してもよい) 等で
洗浄する。洗浄は、特異的に反応した上記抗体と上記抗
原以外の物質が次の工程に持ち込まれないように十分に
行なうことが好ましい。
【0027】(9) 酵素基質溶液( 例えば、化学発光基質
液(Lumi-Phos Plus,ルミジェン社) 等) を添加して、酵
素と反応させる。反応は、例えば、37℃で20〜30分間放
置することにより、十分進行させることが好ましい。 (10)酵素活性を測定する。例えば、酵素基質として化学
発光基質を用いた場合には、酵素活性を化学発光量とし
て測定する。 (11)予め段階希釈した組換えウシ由来SCF溶液につい
て測定を行い標準曲線を作製しておき、この標準曲線か
ら試料中のウシ由来SCF濃度を決定する。
【0028】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的
に説明する。但し、本発明はこれら実施例に限定される
ものではない。
【0029】〔実施例1〕 モノクローナル抗体の作製 (1) 抗原の調製 ウシ由来SCFのcDNAはすでに発明者らによっでク
ローニングされ、塩基配列が決定されている[Biochimi
ca Biophysica Acta 1223、148-150 (1994)](図
1)。ウシ由来SCF遺伝子cDNAの塩基配列[Bioc
himica BiophysicaActa 1223、148-150 (1994)](図
1)から、ウシ由来SCFが 274個のアミノ酸残基から
なり、その配列がヒト・マウスの配列と比べてそれぞれ
84.7%、79.6%の相同性を有することが示されている。
また、ヒトSCF、マウスSCF及びラットSCFの配
列との比較から、ウシ由来SCFが、アミノ末端側から
順に、分泌シグナル配列( -25から -1番目のアミノ酸
残基)、細胞外領域( +1から190番目のアミノ酸残
基)、細胞膜貫通領域( 191から 213番目のアミノ酸残
基)、及び細胞内領域( 214から 249番目のアミノ酸残
基)の各領域を有すること、並びにウシ由来SCFの +
1から 165番目あるいは 166番目までのアミノ酸残基か
らなる領域が、可溶性ウシ由来SCFとして機能する領
域であることが推測された(図2)。そこで、可溶性ウ
シ由来SCFを大量に生産・精製する目的で、ウシ由来
SCFの-25 番目から 165番目までのアミノ酸残基を含
むタンパク質(以下、短縮型ウシ由来SCFと呼ぶ)を
コードするcDNAを作製し、これを既知の方法[Viru
s Research 21, 123 (1991) 、Nucleic Acids Research
15, 10233 (1987) ]を用いてウシ由来SCFを含む組
換え体を作製し、該組換え体によって形質転換された形
質転換体を培養した。培養液中に可溶性ウシ由来SCF
が分泌されると考えられるので、培養液から通常の方法
によってウシ由来SCFを精製した。以下、その詳細を
述べる。
【0030】ウシ由来SCFを生産する組換えバキュ
ロウイルスの作製 以下において別段の記載のない限り、標準的な方法又は
条件とは、モレキュラー・クローニング第2版に記載さ
れた方法又は条件である。まず、短縮型ウシ由来SCF
をコードするcDNAを作製するため、ウシ由来SCF
遺伝子cDNAを有するプラスミドpbSCF1[Biochimica
Biophysica Acta1223 、111-222 (1994)]を鋳型とし
て、2種の合成オリゴヌクレオチドA(図3)およびB
(図3)をプライマーとしてポリメラーゼ連鎖反応(P
CR)を行った。プラスミドpbSCF1は、ウシ由来SCF
cDNA(図1)がプラスミドpBluescriptTM SK(-)
(ストラタジーン社)の制限酵素BamHI 切断部位とXbaI
切断部位との間に挿入され、そのBamHI 切断部位とcD
NAの1番目の塩基の間に16塩基の配列〔(5')-CAGCGCT
GCCTTTCCT-(3')〕が挿入されているベクターである。
お、プラスミドpbSCF1を組み込んだ大腸菌を工業技術院
生命工学工業技術研究所に FERM P-16232 として寄託し
た(寄託日:平成 9年 5月19日)。プライマーAの塩基
配列中、5’側から9番目から24番目の配列はpbSCF1中
の16塩基の挿入配列と同一である。プライマーBの塩基
配列中5’側から10番目から25番目の配列はウシ由来S
CFcDNAの塩基番号571 番〜556 番と相補的であ
る。しかし、それ以降の塩基配列はcDNAの配列とは
異なっており、特に、7 番目から9 番目までの配列(TT
A)がタンパク質合成終始コドンTAA と相補的な配列にな
っている。また、3 番目から8 番目までの配列(AAGCTT)
は制限酵素HindIII による切断部位配列である。PCR
は一般的な反応条件の下で行なった。すなわち、PCR
は、2μg/mlのpbSCF 、各1μM のオリゴヌクレオチド
プライマー、1×PCR緩衝液(パーキン・エルマー・
ABI社)並びに各0.2mM のデオキシアデノシン−5'−
3リン酸、デオキシグアノシン−5'−3リン酸、デオキ
シシチジン−5'−3リン酸及びチミジン−5'−3リン酸
からなる反応液 100μl と、DNAサーマルサイクラー
480 (パーキン・エルマー・ABI社)とを用い、94℃
で1分、52℃で1分及び72℃で2分を1サイクルとし
て、これを15サイクル行った。
【0031】PCRによって増幅した約 600塩基対の長
さのDNA断片を標準的な条件でアガロースゲル電気泳
動によって精製したのち、制限酵素BamHI およびHindII
I で消化した。消化物を標準的な条件で、大腸菌T4リガ
ーゼを用いて、予め制限酵素BamHI およびHindIII で消
化したプラスミドpBluescript SK(-) (ストラタジーン
社)と連結させて、プラスミドpBSbSCF を調製した。こ
のプラスミドを用いて大腸菌JM109 [Gene 33,103-119(1
985)] を形質転換した後、標準的な方法で、プラスミド
pBSbSCF を増幅した。
【0032】次いで、pBSbSCF を制限酵素HindIII およ
びSmaIで消化してcDNA断片を調製し、標準的な方法
に従って、その両末端を大腸菌DNAポリメラーゼIで
平滑化した後、プラスミドpAcYM1[Virus Research 21,
123 (1991) ]のSmaI切断部位に挿入して、トランスフ
ァーベクターpAcbSCF を作製した。
【0033】pAcbSCF およびバキュロウイルスBakPAK6
のゲノムDNA(ストラタジーン社)を昆虫培養細胞IP
LB-SF-21AE株(以下、SF21AE細胞という) [In vitro 1
3, 213 (1977) ]に共形質導入(cotransfection) する
[Virus Research 21, 123 (1991) 、Nucleic Acids Re
search 15, 10233 (1987) ]ことにより、ウシ由来SC
Fを生産する組換えバキュロウイルスAcSCF 株を作製し
た。すなわち、pAcbSCF 10ngおよび予め制限酵素Eco81I
で切断したBakPAK6 ウイルスゲノムDNA 100ngをリボ
フェクチン(ギブコ−BRL社) 5μg と混合し、混合
物を3.5 cmの培養ディッシュで培養されたSF21AE細胞
(1×106 細胞)の培養液中に加え、28℃で6時間培養
した。その後、最終濃度10%となるようにウシ胎児血清
を加えて、さらに3日間培養した。培養上清を回収し、
TC100 培養液で段階希釈した後、それぞれ 0.1 ml の希
釈液を、3.5 cmディッシュで培養した106 のSF21AE細胞
に1時間吸着させた後、培養上清を除いた。このSF21AE
細胞に1.5 %のアガロースを含むTC100 培地 2mlを加
え、3日間培養した。その後、10μg/mlの5−ブロモ−
4−クロロ−3−インドイル−β−D−ガラクトピラノ
シド(和光純薬)を含むTC100 培地1mlを重層し、さら
に1日間培養した。出現したプラークのうち、青色に染
まらないプラークを複数個採取し、それぞれをTC100 培
地 0.3mlに懸濁して各組換えウイルスクローンの原液と
した。3.5ml のディッシュに培養したSF21AE細胞にそれ
ぞれの懸濁液を感染させ、4日間培養することによって
組換えウイルスを含む培養液を得た。レムリー法[Natu
re 227, 680 (1970)]に従い、培養液の一部( 各10μl)
をSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(以下、S
DS−PAGE)し、泳動後ゲルをクマシー・ブリリア
ント・ブルーで染色して、培養液中の分子量約20,000の
ウシ由来SCFの有無を検討した。一方、ウイルス感染
細胞から標準的方法に従って高分子量DNAを調製し、
このDNAを制限酵素BamHI で消化した後、標準的な方
法に従ってアガロースゲル電気泳動し、32P標識したウ
シSCFcDNA をプローブとしたサザンブロットハイブリダ
イゼーションで分析し、組換えウイルス各クローンのゲ
ノムDNA中におけるSCFcDNA の有無を調べた。この結
果、期待された通りにSCFcDNA を含み、かつ培養上清中
にウシ由来SCFを分泌する組換えバキュロウイルスク
ローンAcbSCF株を得た。このクローンの培養上清をさら
に多量のSF21AE細胞に感染させることにより、約200ml
のウイルス液を得た。このウイルス液中のウイルス感染
価は 2×107 プラーク形成単位(PFU)/mlだった。
【0034】組換えバキュロウイルスを用いた組換え
ウシ由来SCFの生産および精製 75ml培養用プラスチックボトル(ヌンク社)内に培養さ
れた 1×107 個のTn-5細胞に、実施例1で得られたウイ
ルス液(1×106 PFU)を接種し、接種後細胞を10mlのTC
100 培養液中で28℃、4日間培養した。その培養上清を
回収後、ゲル濾過カラム(PD-10 カラム、ファルマシア
社)を用いて塩交換し、10mMトリス(ヒドロキシル)ア
ミノメタン塩酸(以下、トリス塩酸と略称する)溶液
(pH8.0)とした。これを流速1ml/分で陰イオン交換カ
ラム(MonoQ カラム、ファルマシア社)に吸着させた
後、10mMトリス塩酸緩衝液(pH8.0)存在下、 0〜1 M ま
でのNaCl濃度勾配によってタンパク質を溶出させた。各
1mlづつの溶出画分の一部をレムリー法によるPAGE
で分析してウシ由来SCFを含む画分を探し、これを集
めて、 PD-10カラムで塩交換し、10mM酢酸ナトリウム溶
液(pH4.6)とした。これを流速1ml/分で陽イオン交換
カラム(MonoS カラム、ファルマシア社)に吸着させた
後、10mM酢酸ナトリウム(pH4.6)存在下、0から1M の
NaCl濃度勾配でタンパク質を溶出させた。各溶出画分の
一部をPAGEで分析したところ、約0.5MのNaCl濃度で
溶出される画分がウシ由来SCFのみを含んでいること
がわかったので、これを集め精製組換えウシ由来SCF
標品とした。これをSDS−PAGEで分析した結果、
組換えウシ由来SCFの分子量が19000 から23000 であ
ることが示された(図4)。精製されたウシ由来SCF
の重量を定量的アミノ酸分析によって決定した。その結
果、約400ml の培養上清から約2mgの精製ウシ由来SC
Fが得られた。
【0035】(2) 免疫及び抗体産生細胞の採取 免 疫 メスのBalb/cマウス( 8週令、日本クレア社)のフット
パッド内に完全フロイントアジュバンド中のウシ由来S
CF25μg を2週おきに3回注射した。さらに1週間後
に同一マウスのフットパッド内に生理食塩水中のウシ由
来SCF30μgを注射した。計4匹のマウスを免疫し
た。
【0036】 細胞融合 最終免疫より3日後のマウスの足リンパ節を取り出し、
単一細胞の懸濁液とした。マウス一匹につき1×108
のリンパ節細胞を1×107 個の8−アザグアニン耐性骨
髄腫細胞P3/X63-Ag8-U1 [Current Topics in Microbiol
ogy and Immunology 81,1-7(1978)]とを50%ポリエチレ
ングリコール(平均分子量1540、ベーリンガーマンハイ
ム社・ドイツ)を用いて融合した。細胞は96穴プレート
に100 μlずつ分注した。HAT培地を1日後、2日
後、3日後に各 100μlずつ加えて、HAT耐性細胞、
すなわち、ハイブリドーマを増殖させた。
【0037】 ハイブリドーマの選択及び単クローン
化 ウシ由来SCFを吸着させ、ブロックエース(大日本製
薬)でブロック済みのマイクロプレートの各ウエルにハ
イブリドーマの培養上清50μlを加え、37℃、1時間反
応させた。生理食塩水で洗浄後、適当に希釈したアルカ
リファスファターゼ結合ヤギ抗マウスイムノグロブリン
50μlを加え37℃1時間反応させた。生理食塩水で洗浄
後、ALPローゼ(シノテスト)を用いてアルカリファ
スファターゼの活性を測定した。アルカリファスファタ
ーゼの呈色のあるところをウシ由来SCFに特異的な抗
体産生細胞を含むウエルとした。抗体産生細胞の単クロ
ーン化は、選択したハイブリドーマをフィーダ細胞とし
てマウス腹腔内マクロファージを用いて限界希釈法に3
回かけることによりなされた。
【0038】以上のようにして確立されたハイブリドー
マクローンを「bS-2」と命名し、これを工業技術院生命
工学工業技術研究所に FERM P-16231 として寄託した(
寄託日; 平成 9年 5月19日)。なお、bS-2により産生さ
れた抗体(以下「bS-2抗体」という)のサブクラスはIg
G1であった。
【0039】 モノクローナル抗体の採取 予めプリスタン(2, 6, 10, 14−テトラメチルペンタデ
カン)を腹腔内に注射したBalb/cマウスの腹腔内に、上
記ハイブリドーマを注射した。注射されたマウスを 2週
間飼育すると、マウス体内にハイブリドーマによる腫瘍
が形成されそれに伴い腹水内に高濃度の抗体が生成して
くるので、マウスの腹水を採取した。抗体の精製は、50
%飽和硫酸アンモニウムで分画後、DEAE−セファセ
ルカラム(ファルマシア社)を用いて行った。
【0040】〔実施例2〕 モノクローナル抗体を用い
ての、ウシ血清中からのウシ由来SCFの精製 5mgの精製されたモノクローナル抗体bS-2を、生産者に
よって示された条件に従ってHitrap-NHSカラム(カラム
体積5ml、ファルマシア社)にカップリングすることに
よりアフィニティカラムを作製した。これに、PBSで
2倍に希釈したウシ胎児血清(ハイクローン社)1リッ
トルを流速1ml/分で吸着させ、ついで、カラムを10ml
の洗浄液[10mMトリス塩酸緩衝液(pH8.0)、150mM NaC
l、0.1%ツイーンX100]で洗浄した後、5ml の50mMグ
リシン塩酸緩衝液(pH2.4)でウシ由来SCFを溶出し
た。ついで、溶出液中のウシ由来SCFを検出するた
め、モノクローナル抗体bS-2を用いたウエスタンブロッ
ト解析を行った。すなわち、溶出液10μlをレムリー法
[Nature 227, 680 (1970)]に従いポリアクリルアミド
ゲル電気泳動した後、ゲル中のタンパク質を電気泳動的
にナイロン膜上(イモビロン膜、ミリポア社・)に転写
した。ナイロン膜を5%のスキムミルクを含むPBS中
に室温1時間放置したのち、2.5μg/mlのbS-2抗体を含
むPBSに入れ、1時間放置した。これをPBSで洗浄
した後、4000倍希釈したアルカリファスファターゼ結合
抗マウスIgG(タゴ社)を含むPBS中に室温1時間放置
した。これをPBSで洗浄後、膜表面上のアルカリフォ
スファターゼ活性を、生産者が示す条件に従い発色基質
ニトロ・ブルー・テトラゾリウムおよび5−ブロモ−4
−クロロ−3−インドリルリン酸(ギブコ−BRL社)
を用いて検出した。その結果、精製されたウシ由来SC
Fは約27000 から32000 の分子量を有する複数のバンド
として検出された(図5)。この分子量はすでに報告さ
れているヒト血清中のヒトSCFの分子量[Blood 81,
656 (1993)]と近似する。また、精製されたウシ由来S
CFを実施例5で述べるエライザ法によって定量したと
ころ、血清1リットルから約30ngのウシ由来SCFが得
られたことがわかった。
【0041】〔実施例3〕 ウシ骨髄細胞のコロニー形
成試験 マウスやヒトのSCFが、マウス又はヒト骨髄細胞を用
いた半固形培地内でのコロニー形成試験において、赤血
球系の細胞からなるコロニーであるバースト・フォーミ
ング・ユニット・エリスロイド(burst forming unit-e
rythroid、以下「BFU-E」と略称する) や、顆粒球およ
びマクロファージ系の細胞からなるコロニーである顆粒
球−マクロファージ・コロニー(granulocyte-macropha
ge colony、以下「GMコロニー」と略称する)の増殖を
促進することがすでに報告されている[特願平4-50262
8 (1992), Cell, 63, 195 (1990), Experimental Hemat
ology 19, 143 (1991), Experimental Hematology 19,
226 (1991)]。実施例2で作製した組換えウシ由来SC
F及び実施例2で精製したウシ血清由来ウシ由来SCF
の生理活性を調べるために、既に報告されている方法
[Experimental Hematology 18, 195 (1990)]に準じ
て、ウシ骨髄細胞を用いたコロニー形成試験を行った。
すなわち、20日令のホルスタイン種のウシを屠殺し、そ
の大たい骨から骨髄細胞を採取した。これから、フィコ
ール・バック液(ファルマシア社)を用いた密度勾配遠
心によって単核細胞(mononuclear cells)画分を得た。
この細胞をコロニー形成試験用培養液に1×105 /ml の
濃度に懸濁し、その1mlを35mlのプラスティックデイッ
シュにまき、これを5%炭酸ガス存在下、37℃で培養し
た。30%ウシ胎児血清、0.92%メチルセルロース(ナカ
ライテスク)、1%ウシ血清アルブミン(シグマ社)、
1ユニット/ml ヒト・エリスロポイエチン(ジェンザイ
ム社)、0.1mM βメルカプトエタノール、2mMグルタミ
ン、2.5ユニット/mlアンフォテリシンB(シグマ
社)、 100ユニット/ml ペニシリン(ギブコ−BRL
社)、及び100 μg/mlストレプトマシイン(ギブコ−B
RL社)を含むイスコープ培地(ギブコ−BRL社)を
コロニー形成試験用培養液とした。ウシ由来SCFの効
果を調べるためこの培養液に種々の濃度のウシ由来SC
Fを加えて試験を行った。培養開始から10日後に各デイ
ッシュ中に生成したBFU−EおよびGMコロニーの数
を数えた。
【0042】その結果、図6に示したように、組換えウ
シ由来SCFについてはその濃度が1ng/ml 以上の場合
において、BFU-E 及びGMコロニーともにその数が、SC
Fを添加しない場合に比べて有意にかつ容量依存的に増
加した。また、血清中から精製したSCFを2ng/ml の
濃度で培地に添加した場合においても、SCFを添加し
ない場合に比べ、BFU-E 及びGMコロニーともにその数が
有意に増加した。この結果から、組換えウシ由来SC
F、およびウシ血清中から精製したウシ由来SCFのど
ちらもが、ヒトやマウスのSCFに関して報告されてい
るのと同様の生理活性を有することが示された。
【0043】〔実施例4〕 ウシ由来SCFと大腸菌マ
ルトース結合タンパク質との融合タンパク質に対する家
兎抗血清の作製と精製 ウシ由来SCFと大腸菌マルトース結合タンパク質
(以下、bSCF-Malと略称する)との融合タンパク質の作
製と精製 まず、ウシ由来SCFの2番目から 165番目までのアミ
ノ酸残基をコードするcDNAを得るため、プラスミド
pbSCF1を鋳型とし、2種の合成オリゴヌクレオチドプラ
イマーB( 図3)およびC(図3)を用い、実施例1に
記述した条件に準じてPCRを行った。プライマーBは
実施例1において用いたものである。プライマーCの塩
基配列のうち5'側から8番目から24番目までの配列はウ
シSCFcDNA 中の80番目から96番目の配列と同一である。
しかし、7番目までの配列はcDNAの配列と異なって
おり、特に、3番目から8番目までの配列は制限酵素Nc
oIによる切断部位配列になっている。PCRによって増
幅されたDNA断片を、標準的な方法で、アガロースゲ
ル電気泳動で精製後、制限酵素NcoIおよびHindIIIで消
化し、さらに大腸菌DNAポリメラーゼで末端を平滑化
した後、あらかじめ制限酵素EcoRI で切断され、末端を
平滑化されたプラスミドベクターpMAL-c2 (ニュー・イ
ングランド・バイオラブズ社)に連結することにより、
プラスミドpMALbSCFを作製した。このプラスミドは、大
腸菌マルトース結合タンパク質のC末端にウシ由来SC
Fの2番目から、 165番目までのアミノ酸残基が連結し
ている融合タンパク質、bSCF-Mal、をコードしている。
ついで、pMAL-c2 の生産者によって示されている方法に
従い、大腸菌JM109 株を宿主としてbSCF-Malを生産し
た。bSCF-Malを生産している大腸菌液1リットルから菌
体を回収し、これを50mlの50mMトリス塩酸緩衝液(pH8.
0)に懸濁後、超音波処理によって菌体を破砕した。これ
を遠心分離して上清を回収した。5mlのアミロース・レ
ジン(ニュー・イングランド・バイオラブズ社)をつめ
たカラムに吸着させた後、10mMマルトース水溶液で溶出
することにより、bSCF-Malを粗精製した。ついで、これ
を陰イオン交換樹脂カラム(MonoQ カラム、ファルマシ
ア社・スエーデン)に吸着させた後、10mMトリス塩酸緩
衝液(pH8.0)存在下、0から1M のNaCl直線濃度勾配に
よってタンパク質を溶出させた。各溶出画分をPAGE
で分析した結果、約0.5MのNaCl濃度で溶出される画分に
bSCF-Malのみが含まれることがわかったので、これを回
収し、精製bSCF-Mal標品とした。この結果、約6mgのbS
CF-Malが精製された。SDS−PAGEによって見積も
られたbSCF-Malの分子量は約59,000であり、これはbSCF
-Malのアミノ酸配列から計算された分子量(60,314) と
一致していた。
【0044】 bSCF-Malに対する抗血清の作製 1回につき 200μg のbSCF-Malを完全にフロイントアジ
ュバンドと混和後、メスのウサギの皮下に2週おきに4
回注射した。最終免疫から1週間後に全血を採取し、一
般的な方法に従い血清を作製した。
【0045】 アフィニティーカラムを用いた抗血清
の精製 1mgのbSCF-Malを、生産者によって示された条件に従っ
てHitrap-NHSカラム(ファルマシア社・スエーデン)に
カップリングすることによりアフィニティーカラムを作
製した。これにリン酸バッファー緩衝生理食塩水(以
下、PBS)で10倍に希釈した抗血清20mlを吸着し、カ
ラムを10mlの洗浄液[10mMトリス塩酸緩衝液(pH8.0)、
150mM NaCl]で洗浄したのち、2mlの0.1Mグリシン緩衝
液(pH2.7)で抗bSCF-Mal抗体を溶出させた。ついでこの
溶出画分をPD-10 カラムを用いて塩交換し、PBS溶液
として、以下の実施例5においてアフィニティー精製抗
ウシbSCF-Mal抗体として用いた。
【0046】〔実施例5〕 モノクローナル抗体を用い
たエライザ法によるウシ由来SCFの定量 ウシ由来SCF濃度を定量するためのサンドウイッチ・
エライザ法を実施した。この方法によってウシ血清やウ
シ細胞培養上清等の生物試料中のウシ由来SCF濃度を
測定することができる。すなわち、まず、化学発光測定
用エライザプレート(Fluoro Nunc M plate ,ヌンク
社)の各ウエルに 150μlのモノクローナル抗体bS-2溶
液(5μg/ml) を入れ室温、一晩放置して抗体を吸着さ
せた。ついで、ブロック・エース(第日本製薬)で各ウ
エルをブロックした後、 100μlの測定試料を入れ室温
2時間放置した。プレートを0.05%ツイーン20を添加し
たPBS(以下、PBS−Tと略称する) 300μlで3
回洗浄後、PBSで 160倍希釈したアフィニティ精製抗
ウシbSCF-Mal抗体(実施例4で作製)を 100μl加え、
室温、2時間放置した。プレートを 300μlのPBS−
Tで3回洗浄後、PBSで16,000倍希釈したアルカリフ
ォスファターゼ標識抗ウサギIgG 抗体(タゴ社)を 100
μl加え、室温、1時間放置した。プレートを 300μl
のPBS−Tで3回洗浄後、 100μlの化学発光基質液
(Lumi-Phos Plus、ルミジェン社)を加え、37℃、30分
放置した。ついで、各ウエルにおけるアルカリフォスフ
ァターゼ活性を化学発光量として測定した。同時に、5
pg/ml から1200pg/ml の範囲で段階希釈した組換えウシ
由来SCF溶液について測定を行い、その結果から標準
曲線を作製し、これから試料中のウシ由来SCF濃度を
決定した。ウシ血清中のSCF濃度を測定する場合に
は、血清中のタンパク質の影響を相殺するため、実施例
2で作製したアフィニティカラムを用いてウシ血清中の
SCFを吸収することによってウシ由来SCFを含まな
いウシ血清を調製し、これを希釈液として組換えウシ由
来SCFを希釈したものを測定することにより標準曲線
を作製した。このように作製した標準曲線の例を図7に
示した。この結果、5pg/ml から300pg/mlまでのウシ由
来SCF濃度範囲においてSCF濃度と化学発光量との
間に良好な直線関係が得られ、この濃度範囲でのウシ由
来SCFの定量を行うことができた。応用例として、図
8には市販されているウシ胎児血清中のウシ由来SCF
濃度を定量した結果を示す。この結果ウシ胎児血清中の
ウシ由来SCF濃度は約30pg/ml から80pg/ml の間であ
ることがわかった。
【0047】
【発明の効果】本発明は、新規なモノクローナル抗体及
びそれを用いた定量方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【図1】ウシ由来SCFの塩基配列を示す図である。
【図2】ウシ由来SCFのアミノ酸配列の各領域を示す
図である。
【図3】PCRに用いた合成オリゴヌクレオチドプライ
マーの塩基配列を示す図である。
【図4】精製された組換えウシ由来SCFのSDS−ポ
リアクリルアミド電気泳動の結果を示す図である。
【図5】ウシ胎児血清中から精製されたウシ由来SCF
のウエスタンブロット分析の結果を示す図である。
【図6】ウシ骨髄細胞のコロニー形成試験の結果を示す
図である。
【図7】ウシ由来SCF定量のためのエライザの標準曲
線を示しす図である。
【図8】市販されているウシ由来胎児血清中のSCF定
量の結果を示す図である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成9年5月27日
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図4
【補正方法】変更
【補正内容】
【図4】
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図5
【補正方法】変更
【補正内容】
【図5】
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI //(C12P 21/08 C12R 1:91) (72)発明者 大田 方人 茨城県つくば市松代5丁目16番地517−301 (72)発明者 彦野 弘一 茨城県つくば市竹園3丁目301−514

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ウシ由来ステム・セル・ファクターに特
    異的に反応するモノクローナル抗体。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のモノクロナール抗体を産
    生するハイブリドーマ。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のモノクローナル抗体を用
    いてウシ由来ステム・セル・ファクターを定量すること
    を特徴とするウシ由来ステム・セル・ファクターの定量
    方法。
JP13143797A 1997-05-21 1997-05-21 ウシ由来scfに対するモノクローナル抗体とそれを用いた定量法 Pending JPH10313860A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP13143797A JPH10313860A (ja) 1997-05-21 1997-05-21 ウシ由来scfに対するモノクローナル抗体とそれを用いた定量法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP13143797A JPH10313860A (ja) 1997-05-21 1997-05-21 ウシ由来scfに対するモノクローナル抗体とそれを用いた定量法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH10313860A true JPH10313860A (ja) 1998-12-02

Family

ID=15057951

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP13143797A Pending JPH10313860A (ja) 1997-05-21 1997-05-21 ウシ由来scfに対するモノクローナル抗体とそれを用いた定量法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH10313860A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2728968B2 (ja) Tnf結合タンパク質
JP2952750B2 (ja) モノクローナル抗体
JPH03139293A (ja) ヒトインタ―ロイキン―6レセプターに対する抗体
JPH05502228A (ja) インテグリン―リガンド結合を阻害するペプチドおよび抗体
BG99246A (bg) Молекули на рекомбинантна дезоксирибонуклеинова киселина (днк), кодиращи ензими аминопептидаза,и приложението им за получаването на ваксини против хелминтни инфекции
JP3001969B2 (ja) 中和配座エピトープを認識するm―csfモノクローナル抗体
EP0851030A1 (en) PROTEIN SPECIFIC TO HUMAN Th2, GENE (B19) ENCODING THE SAME, AND TRANSFORMANT, RECOMBINANT VECTOR AND MONOCLONAL ANTIBODY RELATING THERETO
JPH0356499A (ja) 新規なサイトカイン
AU706833B2 (en) A prostaglandin D synthase-specific monoclonal antibody
UA78489C2 (en) Monoclonal antibody, chimeric antibody, completely humanized antibody, antibody to antiidiotypic antibody or fragment thereof to receptor of lipoproteins of low density (lpld) of human, a method for obtaining and use thereof
US5644035A (en) Method for purifying secreted Mac-2-binding glycoprotein
JPH05505943A (ja) コラーゲン結合タンパク質およびその製造方法
JP3847257B2 (ja) Hbvの検出又は測定方法
JP2001190288A (ja) ボルナ病ウイルスの配列、神経系疾患のための診断薬および治療薬
JP3231262B2 (ja) ヒトTh1特異的タンパク質及びこれをコードする遺伝子、並びにこれに関連する形質転換体、組換えベクター及び抗体
JPH10313860A (ja) ウシ由来scfに対するモノクローナル抗体とそれを用いた定量法
JPH09235300A (ja) ヒトtimp−3及び抗ヒトtimp−3モノクローナル抗体並びにその用途
JP3122963B2 (ja) モノクローナル抗体
CA2387576C (en) Immuno-interactive fragments of the .alpha.c subunit of inhibin
JPH0659231B2 (ja) 単一クローン抗体
JPS59172496A (ja) モノクロ−ナル抗体
JP2997770B2 (ja) ウシ由来c−Kitタンパク質に対するモノクローナル抗体とそれを用いた細胞分離法
AU782490B2 (en) Immuno-interactive fragments of the alphaC subunit of inhibin
JPH06501850A (ja) チャイニーズハムスター卵巣細胞のレトロウイルス様粒子
JPH06125784A (ja) モノクローナル抗体,ハイブリドーマ,その製造法および用途