JPH10312947A - X線露光装置およびx線露光方法 - Google Patents

X線露光装置およびx線露光方法

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JPH10312947A
JPH10312947A JP9119592A JP11959297A JPH10312947A JP H10312947 A JPH10312947 A JP H10312947A JP 9119592 A JP9119592 A JP 9119592A JP 11959297 A JP11959297 A JP 11959297A JP H10312947 A JPH10312947 A JP H10312947A
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ray
mask
exposure
substrate
wafer
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JP9119592A
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Nobuo Shimazu
信生 島津
Akira Shimizu
彰 清水
Tomoaki Sakai
智昭 酒井
Haruo Tsuyusaki
晴夫 露嵜
Makoto Fukuda
真 福田
Seitaro Matsuo
誠太郎 松尾
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Original Assignee
Nippon Telegraph and Telephone Corp
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    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 X線露光において、簡素で信頼性が高く、安
価な方法を用いて、アライメントマーク検出結果に合わ
せてマスクパタンを高精度に転写できるようにする。 【解決手段】 X線マスク102を真空チャック103
により固定した状態で、発熱体106でX線マスク10
2を加熱して変形させることで、X線マスク102上の
4隅のアライメントマーク位置関係を補正する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、シンクロトロン
放射光(SOR光)などから発生したX線を用いて、X
線マスク上に形成したLSI等のパタンを、試料である
ウエハ上に転写するX線露光装置およびX線露光方法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】現在のエレクトロニクス、特にLSIの
製造においては、リソグラフィー技術が重要である。こ
のリソグラフィー技術の中で、光を用いてパタンを転写
するフォトリソグラフィ技術が、一般によく用いられて
いる。しかし、このフォトリソグラフィにより、マスク
上に形成されたLSI等のパタンをウエハ面上に転写す
る場合、光の回折現象という原理的な限界の存在によ
り、サブミクロンオーダの微細パタンの形成が困難にな
っている。実際、この限界近くまで微細なパタンを形成
しようとすると、光学系の焦点深度が浅くなり、パタン
を転写するレジスト膜厚の制御などに厳しい制限が発生
する。このため、レジスト塗布装置などの関連装置も含
めた全体の転写装置は、複雑になり高価なものとなって
いる。また、回折現象の限界により、光を用いた転写装
置では、将来必要な0.15μm未満の微細パタン形成
は非常に困難である。
【0003】この問題を回避するために、X線を用いた
リソグラフィーが注目されている。これは、これまで用
いられてきた光と比較して、波長が極めて短いX線を用
いてパタンを転写する方法である。このX線露光方法
で、現在最も実用性が高いと考えられているのが、X線
マスクをウエハに近接させてパタン転写をする1対1近
接露光法である。この露光方法では、ウエハ上のアライ
メントマーク検出結果を用いて、X線マスクとウエハと
の相対位置を機械的に制御し、ウエハ上に形成されてい
るパタンへの位置合わせを行っている。したがって、こ
のパタン位置合わせ転写精度の向上が、X線リソグラフ
ィーの実用化に最も必要とされている。この合わせ精度
向上に向けて、X線マスクのパタン位置精度(絶対位置
精度)向上の努力が行われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、その位置精度
向上のためには、X線マスクパタンを描画する電子ビー
ム(EB)装置の超高精度化が必要である。しかし、こ
れに見合うEB装置は現在は存在せず、将来開発できた
としても当然高価なものにならざるを得ない。さらに、
いかに高精度にマスクパタンを描画できても、X線が十
分透過できるようにされている薄膜上(1〜2μm厚)
に、X線マスクパタンが形成されるため、パタンが形成
されている膜の応力の不均一性によって、パタン位置精
度が損なわれるという問題がある。さらに、仮に理想的
な精度のX線マスクが製造できたとしても、パタンを転
写するウエハが、半導体製造プロセスを経ることにより
変形していた場合、あるいは、転写する前の層のパタン
位置が正規の位置からずれていた場合には、高精度な合
わせ転写は不可能となる。
【0005】ここで、前述のマーク検出結果を用い、合
わせ精度が向上する方向にX線マスクを変形させること
ができれば、高精度に合わせ転写を行うことができるよ
うになる。このため、X線マスクを保持し、その保持し
たX線マスクを伸ばしたり縮めたりするフレームを用
い、X線マスクを伸ばしたり縮めたりする方法が提案さ
れている。しかしながらこの方法は、フレームに複雑な
機構を必要とするという欠点に加えて、X線マスク1枚
毎にフレームを用意し、X線マスク周辺部をフレームに
接着する必要が生じる。この場合、X線マスクをフレー
ムに接着する過程でX線マスクが大きく変形してしまう
という問題が新たに発生する。そして、この問題を避け
ようとすると、フレームの高精度化が必要となり、フレ
ームが高価格となるという欠点があった。
【0006】この発明は、以上のような問題点を解消す
るためになされたものであり、X線露光において、簡素
で信頼性が高く、安価な方法を用いて、アライメントマ
ーク検出結果に合わせてマスクパタンを高精度に転写で
きるようにすることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】この発明のX線露光装置
は、X線マスクの露光領域を形成するX線透過膜を保持
する基板を1箇所で固定するマスク保持手段と、その基
板の部分的な温度制御を行う温度制御部からなるマスク
基板温度制御手段とを備えるようにした。したがって、
まず、X線マスクは、1箇所で固定されているので、面
方向に自由に変形できる状態となっている。そして、マ
スク基板温度制御手段により部分的に温度制御されるこ
とで、基板の温度を部分的に変化させることができる。
また、この発明のX線露光方法は、X線マスクの露光領
域を形成するX線透過膜を保持する基板の温度を、部分
的に変化させて露光領域を変形させてから露光を行うよ
うにした。すなわち、露光領域を変形させることで、X
線透過膜上に形成されているマスクパタンの配置関係
を、変更させてから露光を行うようにしている。
【0008】
【発明の実施の形態】以下この発明の実施の形態を図を
参照して説明する。 実施の形態1 図1は、この発明の第1の実施の形態における、X線露
光装置の構成を示す構成図である。図1(a)は平面
図、図1(b)は断面図である。また、(a)は(b)
のAA’面からみた状態を示している。このX線露光装
置は、まず、加熱保持部101が、X線マスク102を
真空チャック103により1箇所で固定保持している。
すなわち、X線マスク102は厚さ2mm程度のシリコ
ン基板に形成されており、このシリコン基板の外周部が
真空チャック103により吸着され、X線マスク102
が固定されている。なお、真空チャック103は、加熱
保持部101内部に形成された流路104を介して、真
空ポンプなどの真空排気系に接続している。
【0009】X線マスク102は、その中央部に正方形
の開口を有し、その開口部に露光領域を構成するX線透
過可能な薄膜(X線透過膜)105を備えている。そし
て、この薄膜105上にX線遮蔽材料で構成されたLS
I形成用のマスクパタンが配置している。すなわち、こ
のX線マスク102は、中央部に正方形のマスクパタン
形成領域(露光領域)を備えている。また、発熱体(マ
スク基板温度制御手段)106が、X線マスク102の
薄膜105外の領域の同心円上に位置する加熱保持部1
01上に均等に配置され、その表面がX線マスク102
に近接あるいは接触している。但し、接触していてもX
線マスク102を反らせたり、XY方向の熱変形を阻害
しない限りの接触力しか発生しないように配置してい
る。この、発熱体106は、例えば、セラミック材料か
らなる抵抗体から構成すればよい。パタンが転写される
ウエハ107は、XY方向に移動する縦型ウエハステー
ジ108上に、X線マスク102に近接して載置されて
いる。パタン転写毎に縦型ウエハステージ108がステ
ップ&リピートを繰り返し、ウエハ107全面にパタン
転写を行う。
【0010】パタン転写を高精度に行うため、X線が導
入されるビームライン109内には、マーク検出器11
0とマスク移動手段111が設置されている。マーク検
出器110は、ウエハ107との位置合わせ(アライメ
ント)を行うときには、X線マスク102の薄膜105
上部にまで移動する。そして、マーク検出器110は、
レーザを光源とし、X線マスク102を介してウエハ1
07上のアライメント用パタンの位置を検出する。この
アライメント用パタン(アライメントマーク)の位置
は、例えば、LSIパタンを形成する1つのチップ領域
の4隅に配置されているものである。また、マスク移動
手段111は、X線マスク102をXYZ方向に移動さ
せ、また、回転させることで、ウエハ107とX線マス
ク102との相対的な位置関係を変化させるものであ
る。
【0011】以上示したX線露光装置によって、X線マ
スク102上のマスクパタンをウエハ107上に転写す
るときには、まず、ウエハ107上に形成されている4
つのアライメントマークと、X線マスク102上の対応
する4つのアライメントマークの相対位置を、マーク検
出器110により検出する。次に、それぞれのアライメ
ントマークの位置が一致するように、マスク移動手段1
11がX線マスク102の位置を変更する。そして、ウ
エハ107上に形成されている4つのアライメントマー
ク位置と、X線マスク102上の4つのアライメントマ
ーク位置との相対的な位置が一致したら、ビームライン
109を通してX線を照射し、X線マスク102上のマ
スクパタン像をウエハ107上に形成することで、パタ
ンの転写を行う。
【0012】しかし、実際には、ウエハ107上のアラ
イメントマークの配置関係は、X線マスク102上のア
ライメントマークの配置関係とは異なっている。例え
ば、ウエハ107上に形成されているチップ4隅のアラ
イメントマークの配置は、図2(a)に示すように、そ
れを頂点とする正方形201となっていても、マスク1
02上の4隅のアライメントマークは、4角形202a
の頂点で示される配置となってしまう。X線マスクは、
1〜2μmときわめて薄い窒化シリコンなどからなるX
線透過膜上に、タンタルなどの金属からなるX線遮断パ
タンを形成したものである。このように、X線マスクに
おいてはX線透過膜が応力の影響を受けやすいため、X
線透過膜上に形成される各パタンの絶対位置精度(誤
差)は5ppm程度となる。このため、前述したよう
に、X線マスク102上の4隅のアライメントマーク
は、4角形202aの頂点で示される配置となってしま
う。
【0013】したがって、この実施の形態1では、発熱
体106でX線マスク102を加熱して変形させること
で、X線マスク102上の4隅のアライメントマーク位
置関係が、図2(a)に示す正方形201の形状に一致
させるようにした。ここで、実際の補正では、図2
(b)に矢印で示すように、一様な伸びの補正量203
を与えるようにX線マスクを変形させれば、誤差を大幅
に低減できる。また、その一様な伸びに加えて、図2
(c)に示すように、XまたはY方向に伸びる補正量2
04を与えるように、長方形状に変形させることで、さ
らに誤差を低減することができる。そして、図2(d)
に示すように、回転方向にも補正量205a,205b
を与えて平行四辺形状に変形させることで、ほとんど誤
差がない状態を実現できる。
【0014】以上説明したように、この実施の形態1に
よれば、前述したようにフレームを用いることなく、合
わせ精度が向上する方向にX線マスクを変形させること
ができる。なお、上述したように、現状のX線マスクパ
タンの絶対位置精度は5ppm程度である。例えば、2
0mm角チップの場合、絶対値では100nmの絶対位
置誤差を持つ。このため、予め5ppm以上の割合で、
長寸法などを縮小させてX線マスクパタンを描画してお
けば、加熱で延ばすことによる熱変形だけで、その位置
誤差を補正でき、冷却収縮による熱変形が不要になる。
また、図2においては、それらのことを理由として、こ
の説明ではマスクパタンは予め5ppmだけ縮小して描
画されているものとしている。
【0015】次に、8箇所に配置した発熱体106でX
線マスク102を加熱した場合の、X線マスク102の
熱変形状態のシミュレーション結果を図3に示す。この
シミュレーションは、有限要素法を用いて行った。ま
ず、図3(a)は、変形前の正方形のマスクパタン形成
領域301の対角線方向および各辺の方向に配置された
8個全ての発熱体より、X線マスク102のシリコン基
板に発熱量Tmを与えた場合を示している。この場合、
シリコン基板(X線マスク102)は一様に変形し、マ
スクパタン形成領域301も一様に変形してマスクパタ
ン形成領域302となっている。
【0016】次に、図3(b)は、マスクパタン形成領
域301の一組の対辺方向の発熱体を除く6個の発熱体
より、X線マスク102のシリコン基板に発熱量Taを
与えた場合を示している。この場合、マスクパタン形成
領域301は、紙面上下方向に変形し、長方形のマスク
パタン形成領域303となる。また、図3(c)は、マ
スクパタン形成領域301の対角方向の2個の発熱体よ
り、X線マスク102のシリコン基板に発熱量Tpを与
えた場合を示している。この場合、マスクパタン形成領
域301は対角方向に変形し、平行四辺形のマスクパタ
ン形成領域304となる。
【0017】さて、図3を詳細に見ると、一様な伸びを
与えた場合には、同時にパタン領域が−Y方向に並行移
動、すなわちシフトしていることもわかる。また、長方
形の変形ではシフトに加えて一様な伸びも発生してい
る。さらに、平行四辺形状の変形を与えた場合には、そ
れらに加えて回転も発生している。これらは、熱を加え
ることによる補正に際し、副次的に発生する副作用であ
る。8つの発熱体の各々に独立した加熱量を設定するこ
とで、これらの副作用が現れないようにすることも原理
的には可能であるが、その場合、加熱量の全量が大とな
り、ウエハを含むX線露光装置の他の部分に有害な熱変
形を生じさせる。
【0018】そのシフトと加熱量との関係についても、
前述の有限要素法を用いたシミュレーションから明らか
となった。これを図4を用いて説明する。図4では、2
ppmの一様な伸びを生じさせる際に副次的に発生する
シフトを横軸に、このシフト補正と一様な伸びの両方を
加熱で補正する際の加熱点の最大温度を縦軸にとってい
る。図4より明らかなように、シフト補正量の絶対値が
大であるほど、加熱点の最高温度が大きくなることがわ
かる。図4では、一様な伸びについて示したが、図2
(d)のような平行四辺形状の変形を与える場合には、
シフトに加えて露光領域の回転も発生するため、この回
転も発熱体6の加熱により現れないようにしようとする
と、最大加熱量がさらに大きくなる。
【0019】さて、以上示したように、発熱体の各々に
加熱量を与えた場合に発生する上記シフトと伸びと回転
量は、予め、前述の有限要素法や実験により求めること
が可能である。一方、X線露光装置は、X線マスクを微
小量シフトさせたり、回転させたりする機能、すなわち
アライメント機能を既に有している。このため、位置誤
差の補正をする際に副次的に発生するシフトや回転は、
X線露光装置のアライメント機能を用いて補正するよう
に機能分担させれば、最小の加熱量で図2(b)、
(c)、(d)で示した補正を実現できる。このよう
に、X線マスクに温度勾配を与えるに際してはシフトな
どの副作用が発生するが、X線露光装置のウエハステー
ジおよびアライメント機構系により、そのシフトを除去
できる。
【0020】以下に、この補正方法を具体的に説明す
る。まず、図5は図1で示したX線露光装置の一部を示
す構成図である。図5に示すように、縦型ウエハステー
ジ108は、定盤501上に搭載され、縦型ウエハステ
ージ制御部502により、ステージ位置の制御がされて
いる。また、マスク移動手段111はマスク位置制御部
503に制御され、加熱保持部101の移動制御を行っ
ている。また、マーク検出部504は、マーク検出器1
10を制御してマーク検出を行うようにしている。ま
た、発熱体制御部505が、加熱保持部101の発熱体
106の温度制御を行っている。そして、それら縦型ウ
エハステージ制御部502,マスク位置制御部503,
マーク検出部504,および,発熱体制御部505は、
所定のプログラムによって動作している制御計算機50
6によって制御されている。
【0021】このX線露光装置の動作について説明する
と、縦型ウエハステージ108上にウエハ107が搭載
されると、マーク検出部504がマーク検出器110を
加熱保持部101のX線通過領域にまで移動させ、ウエ
ハ107上に形成されているチップ4隅のアライメント
マークと、X線マスク102上の対応する4つのアライ
メントマークの相対位置とを検出させる。また、マーク
検出部504は、その検出したアライメントマークの相
対位置など、検出結果を制御計算機506に送る。そし
て、アライメントマーク相互の相対位置を得た制御計算
機506は、図2に矢印で示した誤差補正量を算出す
る。
【0022】ここで、X線マスク上の点(x,y)を点
(x+dx,y+dy)への写像(関数)として誤差の
補正を考えれば、以下の数式で表現できる。 dx=c1+c2・x+c3・y ・・・(1) dy=d1+d2・x+d3・y ・・・(2) ここで、係数c1,c2,c3,d1,d2,d3は、
チップ4隅の座標と図2の矢印で示した誤差補正量よ
り、最小二乗法を用いて制御計算機22で算出する。
【0023】算出したこれらの係数において、(c1,
d1)は並行移動量、すなわちシフト量を与える。そし
て(c2+d3)/2は、図2(b)で示した一様な伸
びの補正量203を与える。また、(c2−d3)/2
は、図2(c)で示した長方形状の補正量204を与え
る。また、d2は図2(d)で示した傾きθxを、c3
は図2(d)で示した傾きθyを与える。なお、(d2
−c3)/2は図2(d)で示した、補正対象図形全体
の反時計方向への回転する補正量205aを与え、(d
2+c3)/2は頂角90°からの変化、すなわち平行
四辺形状への補正量を与える。
【0024】制御計算機506(図5)は、図2
(b)、(c)、(d)で示した補正を上記の補正量だ
け実行するのに先だって、これらの補正の結果で副次的
に発生するシフト量を、予め求めている実験式を用いて
算出し、これを(c1,d1)に加えたものを最終的な
シフト量とする。また、長方形状の補正ではシフトに加
えて副次的に発生した一様な伸び量も算出し、最終の伸
び補正量に反映させる。さらに、図2(e)の補正の場
合には、シフトや伸びの副次的な効果に加えて、長方形
状の副次的な効果も算出し、最終の長方形状の補正に反
映させる。そして、図2(d)では、回転量(d2−c
3)/2(補正量205a)も算出する。
【0025】以上に示したことによって算出したシフト
量を用い、制御計算機506は、縦型ウエハステージ制
御部502とマスク位置制御部503を制御する。同じ
く、算出した回転量(d2−c3)/2に基づく回転指
令をマスク位置制御部503に送出することで、制御計
算機506はX線マスクの回転補正を実行する。これら
の結果、X線マスク102とウエハ107は、制御計算
機503の指令通りのシフト、すなわち平行移動し、ま
た、回転する。そして、この動作に加えて、制御計算機
506は発熱体制御部505を制御し、前述の図2
(b),(c),(d)で示した補正に相当する加熱量
を発生させる。この結果、X線マスク102は必要な量
の熱変形をおこない、これらの結果位置誤差が補正され
る。
【0026】以下、その熱変形による位置誤差の補正に
関して、図6を用いてより詳細に説明する。図6は、発
熱量とそれに伴って副次的に発生するシフト量の関係を
示す相関図である。なお、一様な伸びの補正には、図1
で示した発熱体106の各々より、同一の発熱量を与え
ることを前提とする。最初に、点P0で示される所望と
する一様な伸びの補正量が与えられる。この値と、加熱
量Tと伸び量Yを現す関数「Y=Fm(T)」より、点
P1を得る。次に、これを下にたどることで、関数「Y
=Fsb(T)」により点P2を得る。これを、横にた
どってY軸との交点P3を得れば、これが副次的に発生
するシフトd1を与える。このシフトd1はX線マスク
あるいは縦型ウエハステージのシフト移動によって補正
されることは前述の通りである。
【0027】一方、点P2をさらに下にたどれば、X軸
との交点P4を得て、これにより、点P0で示す一様な
伸びの補正量、すなわち所期の補正を実行するために必
要な加熱量Tmがわかる。そして、図1で示した発熱体
6が、この量に相当する発熱を行えば、所望とする位置
誤差の補正が行える。以上は、一様な伸びの補正につい
て述べたが、図2(c)に示した長方形状の補正の場
合、副次的に発生するのは、シフトと一様な伸びであ
る。また、図2(d)に示した平行四辺形状への補正の
場合には、副次的に発生するのはシフトと一様な伸び、
および、回転である。以上の副次的な補正も図6で説明
したように予め得ている関数を用いて補正するが、以下
に、数式や記号を用いてこの過程を再度正確に述べる。
【0028】まず、記号の定義を次のとおりとする。S
b,Sc,Sdをそれぞれ、一様な伸び補正,長方形状
の補正,平行四辺形状の補正に伴って副次的に発生する
−Y方向のシフト量とする。また、Mc,Mdをそれぞ
れ、長方形状の補正,平行四辺形状の補正に伴って副次
的に発生する一様方向の伸びとする。そして、Adを平
行四辺形状の補正に伴って副次的に発生する長方形状の
変形とし、Rdを平行四辺形状の補正に伴って副次的に
発生する回転量とする。一方、シミュレーションや実験
で加熱量Tの関数として、予め求めた各種の関数の定義
を以下のようにする。まず、Fm(T)を一様な伸びを
与える関数、Fa(T)を長方形状の変形を与える関
数、Fp(T)を直角からの変形すなわち平行四辺形状
の変形を与える関数とする。ここで、変数Tは、図3
(a),(b),(c)で示したように,発熱体の各々
に与えるものとする。
【0029】次に、Fsb(T),Fsc(T),Fs
d(T)をそれぞれ、一様な伸び補正,長方形状の補
正,平行四辺形状の補正に伴って副次的に発生する、−
Y方向のシフト量を与える関数とする。また、Fmc
(T)およびFmd(T)をそれぞれ、長方形状の補正
および平行四辺形状の補正に伴って副次的に発生する、
一様な方向の伸びを与える関数とする。そして、Fad
(T)を平行四辺形状の補正に伴って副次的に発生する
長方形状の変形を与える関数とし、Frd(T)を平行
四辺形状の補正に伴って副次的に発生する回転量を与え
る関数とする。
【0030】以下、補正の過程を説明すると、まず、前
述したようにマーク検出結果から、式(1),(2)に
おける係数c1,c2,c3,d1,d2,d3を、最
小二乗法により算出する。これらより、まず、(d2−
c3)/2から回転の補正量R1を得る。次に、平行四
辺形状の補正量(d2+c3)/2に対して、関数Fr
d(T)を用いて、副次的に発生する回転量Rdを得
る。また、関数Fad(T)を用いて、副次的に発生す
る長方形状の変形Adを得る。また、関数Fmd(T)
を用いて、副次的に発生する一様な伸びMdを得る。さ
らに、関数Fsd(T)を用いて、副次的に発生するシ
フトSdを得る。そして、平行四辺形状の補正量(d2
+c3)/2と関数Fp(T)を用い、平行四辺形状の
補正を与えるための加熱量Tpを得る。
【0031】次に、長方形状への補正に関連しては、最
終的な補正量{(c2−d3)/2−Ad}に対して、
関数Fmc(T)を用いて、副次的に発生する一様な伸
びMcを得る。さらに、関数Fsc(T)を用いて、副
次的に発生するシフトScを得る。そして、長方形状の
最終補正量{(c2−d3)/2−Ad}と関数Fa
(T)とを用いて、長方形状の変形を与えるための加熱
量Taを得る。最後に、一様な伸び補正に関連しては、
最終的な補正量{(c2+d3)/2−Mc−Md}に
対して、関数Fsb(T)を用いて、副次的に発生する
シフトSbを得る。そして、一様な伸びの最終値である
{(c2+d3)/2−Mc−Md}と、関数Fm
(T)とを用い、一様な伸びを与えるための加熱量Tm
を得る。
【0032】以上の緒元を得て、制御計算機506(図
5)は、マスク位置制御部503と縦型ウエハステージ
制御部502におけるシフト量として、X方向において
はc1、Y方向においては、d1−(Sb+Sc+S
d)となるように制御する。また、制御計算機506
は、回転量がR1+Rdとなるようにそれらを制御す
る。平行四辺形状の補正に伴って発生するRdは小さな
値であるため、この回転補正で十分な精度が得られる。
そして、加熱による補正のために、制御計算機506
は、発熱体の温度がTm,Ta,Tpとなるように、発
熱体制御部505を制御する。以上の動作で、一様の伸
び、長方形状の変形、さらには任意の平行四辺形状の変
形を含む位置の補正が、最小の加熱量で実現できる。
【0033】実施の形態2 ところで、以上に説明した実施の形態1においては、X
線マスクパタンは予め一定の割合で収縮させて描画して
おき、誤差補正のためには、全て熱変形で膨張させるこ
とを前提としていた。これは、装置が簡単で低価格化が
図れるという長所を持つ。しかし、熱変形による膨張だ
けで誤差補正を行う場合、熱を加えるだけになるので、
描画対象のウエハも僅かながら膨張させてしまうという
問題がある。したがって、熱変形による膨張だけでな
く、吸熱(冷却)による収縮も用いて誤差補正を行うよ
うにすれば、ウエハが熱膨張することによる誤差も最小
にすることができる。
【0034】この実施の形態2では、図1に示した発熱
体106の箇所に吸熱手段も設置し、この箇所で発熱と
吸熱(冷却)の両方の作用を行わせるようにしたもので
ある。例えば、ペルチェ素子を用いればよく、この素子
は電流の方向に応じて発熱と吸収を行うことはよく知ら
れている。この場合の合わせ方法としては、X線マスク
パタンを設計通りの寸法で描画することを除いては、前
述した実施の形態1の通りである。この実施の形態2で
は、X線マスク102の基板部分に対して発熱と吸熱の
双方を行うため、熱変形のための全体の発熱量、あるい
は吸熱量をさらに小さくできる。その結果、描画対象の
ウエハの熱変形を極めて小さい値に抑制できる。
【0035】なお、以上では、X線マスクとウエハを大
気中で保持し、この状態で露光・転写を行うX線露光装
置について述べてきたが、これに限るものではない。上
述したX線マスクの誤差補正は、低圧のヘリウム雰囲気
中でX線マスクとウエハを保持し、この状態で露光・転
写を行う装置に対しても適用できるものである。この場
合には、静電チャックを用いてX線マスクを保持するよ
うにすればよい。また、その静電チャックは、図1で示
した真空チャック103の位置に配置すればよい。ま
た、低圧ヘリウム下では、熱伝導の効率が大幅に低下す
るため、発熱体を用いずに、半導体レーザを用いてX線
マスクの基板の所定位置を加熱するようにすればよい。
この場合、レーザ源である半導体レーザ部は、図1で示
した発熱体6の位置に配置すればよい。
【0036】なお、X線マスクには外周部の厚さを減じ
て薄くし、この薄い箇所においては、ウエハとの間隔が
大きくとれる構造のものがある。これは、メサ形X線マ
スクと呼ばれている。このメサ形X線マスクを用いる場
合には、そのX線マスクの基板外周部において、機械的
な保持機構を用いる余地がある。すなわち、図7に示す
ように、メサ型X線マスク102aは、基板周辺部が通
常よりも薄く形成されている。
【0037】このため、露光領域である薄膜105とウ
エハ107とを必要な距離にまで近設させても、メサ型
X線マスク102a周辺部では、ウエハ107とある程
度間隔があいた状態となる。したがって、マスク押さえ
機構701の押さえバネ701aのバネ力により、メサ
型X線マスク102aをはさむようにすることで、加熱
保持部101に一箇所で固定保持することが可能とな
る。なお、図7において、図1と同一の符号で示した部
分は図1と同様である。そして、このマスク押さえ機構
は、X線マスクやウエハを大気中に配置する装置におい
ても、それらを例えば低圧ヘリウム中に配置する装置に
おいても適用できる。
【0038】なお、上記実施の形態1,2においては、
発熱体の配置を、X線マスクの正方形の露光領域に対し
て、その対角線上の同一円周上に4つ、その対辺の中心
を通る線上の同一円周上に4つ配置し、合計8つを配置
するようにした。これは、4つずつ異なる半径の円周上
に配置されている状態である。これに対して、8つの発
熱体を同一円周上に均等に配置するようにしてもよい。
この場合、図8に示すように、正方形の露光領域801
に対して、その対辺の中心を通る線および対角線の延長
線と22.5°の角度を有する線上に、8つの発熱体8
02が配置されることになる。このように配置すること
で、正方形の露光領域801の対角線延長線上に発熱体
が配置されないので、露光領域801を広げることが可
能となる。
【0039】
【発明の効果】以上説明したように、この発明では、X
線マスクの露光領域を形成するX線透過膜を保持する基
板を1箇所で固定するマスク保持手段と、その基板の部
分的な温度制御を行う温度制御部からなるマスク基板温
度制御手段とを備えるようにした。したがって、まず、
X線マスクは、1箇所で固定されているので、面方向に
自由に変形できる状態となっている。そして、マスク基
板温度制御手段により部分的に温度制御することで、基
板の温度を部分的に変化させることができる。すなわ
ち、この発明によれば、X線マスクの基板温度を部分的
に変化させてこれを熱変形させることができ、結果とし
てX線透過膜上に形成されているマスクパタンの配置関
係を変更させることが可能となる。このため、この発明
によれば、X線マスク上のマスクパタンの配置関係を例
えば、ウエハ上に形成されているパタンの配置関係に合
わせることができるので、アライメントマーク検出結果
に合わせてマスクパタンを高精度に転写できるようにな
る。
【0040】また、この発明のX線露光方法は、X線マ
スクの露光領域を形成するX線透過膜を保持する基板の
温度を、部分的に変化させて露光領域を変形させてから
露光を行うようにした。すなわち、露光領域を変形させ
ることで、X線透過膜上に形成されているマスクパタン
の配置関係を変更させてから、露光を行うようにしてい
る。したがって、この変更によりX線マスク上のマスク
パタンの配置関係を例えば、ウエハ上に形成されている
パタンの配置関係に合わせるようにすれば、アライメン
トマーク検出結果に合わせてマスクパタンを高精度に転
写できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の第1の実施の形態における、X線
露光装置の構成を示す構成図である。
【図2】 X線マスクとウエハ上のアライメントマーク
相互の相対誤差を示す説明図である。
【図3】 X線マスクの熱変形状態のシミュレーション
結果を示す説明図である。
【図4】 加熱することで副次的に発生するシフトと、
このシフト補正と一様な伸びの両方を加熱で補正する際
の加熱点の最大温度との関係を示す相関図である。
【図5】 図1で示したX線露光装置の一部を示す構成
図である。
【図6】 発熱量とそれに伴って副次的に発生するシフ
ト量の関係を示す相関図である。
【図7】 この発明のX線露光装置の他の形態を示す構
成図である。
【図8】 8つの発熱体の配置関係を示す平面図であ
る。
【符号の説明】
101…加熱保持部、102…X線マスク、103…真
空チャック、104…流路、105…薄膜、106…発
熱体、107…ウエハ、108…縦型ウエハステージ、
109…ビームライン、110…マーク検出器、111
…マスク移動手段。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 露嵜 晴夫 東京都新宿区西新宿三丁目19番2号 日本 電信電話株式会社内 (72)発明者 福田 真 東京都新宿区西新宿三丁目19番2号 日本 電信電話株式会社内 (72)発明者 松尾 誠太郎 東京都新宿区西新宿三丁目19番2号 日本 電信電話株式会社内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 露光領域を形成するX線透過膜と、この
    X線透過膜を保持する基板と、前記X線透過膜上に形成
    されたX線を遮断するマスクパタンとからなるX線マス
    クを用い、X線を光源としてウエハ上に露光を行うX線
    露光装置において、 前記基板を1箇所で固定するマスク保持手段と、 前記基板の部分的な温度制御を行う温度制御部からなる
    マスク基板温度制御手段とを備えたことを特徴とするX
    線露光装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のX線露光装置において、 前記マスク保持手段は、前記基板をはさむことで前記X
    線マスクを固定することを特徴とするX線露光装置。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載のX線露光装置に
    おいて、 前記マスク基板温度制御手段は前記基板を加熱する加熱
    手段から構成されていることを特徴とするX線露光装
    置。
  4. 【請求項4】 請求項3記載のX線露光装置において、 前記マスク基板温度制御手段は前記基板の温度を下げる
    吸熱手段から構成されていることを特徴とするX線露光
    装置。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4いずれか1項記載のX線露
    光装置において、 前記マスク基板温度制御手段の温度制御部は、前記X線
    マスクの露光領域の中心を中点とした同心円上の8箇所
    に、それぞれ均等配置されていることを特徴とするX線
    露光装置。
  6. 【請求項6】 請求項1〜4いずれか1項記載のX線露
    光装置において、 前記マスク基板温度制御手段の温度制御部は、前記X線
    マスクの露光領域の中心を中点とした第1の同心円上の
    4箇所と、前記X線マスクの露光領域の中心を中点とし
    た前記第1の同心円とは異なる半径の同心円上の4箇所
    とに、それぞれ均等配置されていることを特徴とするX
    線露光装置。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6いずれか1項記載のX線露
    光装置において、 前記X線マスクと前記ウエハとの相対位置関係を制御す
    る位置合わせ手段を備えたことを特徴とするX線露光装
    置。
  8. 【請求項8】 請求項7記載のX線露光装置において、 前記位置合わせ手段は、 前記ウエハを載置して移動するウエハステージと、 前記X線マスクを移動させるマスク位置制御手段と、 前記ウエハ上および前記X線マスク上に形成されている
    アライメントマーク位置をそれぞれ検出するマーク検出
    手段と、 前記マーク検出手段が検出した前記ウエハ上に形成され
    ているアライメントマーク位置と前記X線マスク上に形
    成されているアライメントマーク位置とが所定の位置関
    係となるように、前記ウエハステージと前記マスク位置
    制御手段とを制御する制御計算機とから構成されている
    ことを特徴とするX線露光装置。
  9. 【請求項9】 露光領域を形成するX線透過膜と、この
    X線透過膜を保持する基板と、前記X線透過膜上に形成
    されたX線を遮断するマスクパタンとからなるX線マス
    クを用い、X線を光源として露光を行い、予め所望のパ
    タンが形成されているウエハ上に、前記マスクパタンを
    転写するX線露光方法において、 前記基板の温度を部分的に変化させて前記露光領域を変
    形させてから露光を行うことを特徴とするX線露光方
    法。
  10. 【請求項10】請求項9記載のX線露光方法において、 前記ウエハ上に形成されているアライメントマークの配
    置関係に、前記X線マスク上に形成されているアライメ
    ントマークの配置関係を合わせるように、前記基板の温
    度を部分的に変化させて前記露光領域を変形させてから
    露光を行うことを特徴とするX線露光方法。
JP9119592A 1997-05-09 1997-05-09 X線露光装置およびx線露光方法 Pending JPH10312947A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009116307A (ja) * 2007-11-07 2009-05-28 Samsung Electro-Mechanics Co Ltd 基板製造装置及びその方法
JP2015111708A (ja) * 2011-10-14 2015-06-18 キヤノン株式会社 インプリント装置、インプリント方法、及びデバイス製造方法

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