JP2004328014A - 投影露光装置、及び該投影露光装置を用いたパターン形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 レチクルステージが移動する際の加減速によって、レチクルステージに保持されたレチクルがずれることを防止する。
【解決手段】 回路パターンが形成されたマスク基板を載置して移動可能なマスクステージ上に、マスク基板と当接する当接部と、そのマスク基板を当接部に押圧する押圧部とを設ける。
【選択図】図5

Description

本発明は、半導体デバイスや液晶表示素子等を製造する際のリソグラフィ工程で使用されるマスク基板と、そのマスク基板を使って半導体ウェハやガラスプレート等の感光基板上に回路パターンを転写する投影露光装置に関し、さらにそのような露光装置を用いて感応基板上に回路パターンを形成する方法に関する。
超LSIの半導体デバイスや液晶表示デバイスの製造現場においては、それらのデバイスの回路パターンをレジストが塗布された半導体ウェハやガラスプレート等の感光基板上に露光転写するリソグラフィ工程を実施することが不可欠である。このリソグラフィ工程では、マスク基板(レチクル)に形成された回路パターンの像を縮小投影光学系または等倍投影光学系を介して感光基板上に投影露光する装置、いわゆるステッパーが主力装置として使用されている。その種のステッパーは良く知られているように、感光基板上のショット領域にレチクルの回路パターンの投影像が露光される度に、別のショット領域に対する露光のために感光基板を保持する2次元移動ステージを一定量だけ移動させることを繰り返すステップ・アンド・リピート方式で使用される。
また近年、より高い解像力と広い露光フィールドとを同時に確保するために、ショット露光時にはレチクルと感光基板とを投影光学系の視野に対して相対的に1次元走査し、非露光時には感光基板のみをステップ移動させるステップ・アンド・スキャン方式の投影露光装置も実用化されている(1989年、SPIE Vol.1088 の"Optical/Laser MicrolithographyII"の第424頁〜433頁)。
これらの投影露光装置においては、回路パターンが形成されたレチクルの主面が投影光学系の物体面と正確に合致して位置するように、レチクルが装置内のレチクルステージ上に真空吸着によって固定支持される。そして装着されたレチクルのパターン領域(通常は矩形)を露光用の照明光で照射することによって、そのパターン領域に形成されたパターンの像が投影光学系を介して投影される。通常のレチクルは、石英板の主面に蒸着された遮光性物質(クロム)の層を回路パターンの形状にエッチングして作られているが、位相シフトレチクルのうちのある種のものは、石英板の主面に形成された透過性物質によるシフター層を回路パターンの形状に応じてエッチングして作られる。
このようなレチクルは、デバイスの集積度の向上やデバイスサイズの大型化に伴って4インチ、5インチと大きくなり、現在では6インチレチクルが標準的に使われるようになった。また、等倍投影光学系を使って走査方式で回路パターンを露光する液晶デバイス用の露光装置では、マスクと感光基板(ガラスプレート)とが同寸法となり、大きいものでは40×40cm以上の大型マスクを使用することもある。
ところで、半導体デバイスの製造現場においては、現在64M・D−RAMの量産が開始されつつあり、試作レベルにおいては256M・D−RAMの量産化への研究開発、1G・D−RAMの試作研究が勢力的に行われている。このような256Mメモリや1Gメモリのデバイス量産には、依然として紫外光源を用いた投影露光装置が使われるものと予測されている。
一方で、そのようなデバイスを製造するための投影露光装置に要求される各種の機能の精度バジェットは益々厳しくなり、特に投影光学系に要求される結像精度と、レチクルと感光基板(ウェハ)とのアライメント精度にはほとんど限界的な要求が課せられる。このため、投影光学系の結像性能を理想的なものに近づけるような設計手法と製造手法とが必要になり、またアライメント精度を高めるための各種センサーの開発、改良が必要となる。
上記のような要求の下、アライメント精度を高めるための各種センサーの開発を行ない、極めて高精度にレチクルおよびウェハの位置を計測したとしても、位置計測後にレチクルが移動してしまい、その移動後の位置が不定となれば要求されたアライメント精度を達成することはできない。特に、上述したステップ・アンド・スキャン方式の投影露光装置では、レチクルを保持したレチクルステージが高速でスキャン動作を行なうため、スキャン動作時のレチクルステージの加速度によってレチクルが位置ずれを起こす恐れがある。
本発明は以上のような問題に鑑みてなされたものであり、レチクルステージが移動する際の加減速によってレチクルステージに保持されたレチクルがずれることを防止し、高いアライメント精度を維持することができる露光装置を提供することを目的とする。また、本発明は、レチクルステージに保持されたレチクルが、レチクルステージが移動する際の加減速によって位置ずれを起こすことなく、ウェハ上の所望の位置に正確に回路パターンを形成することができる回路パターンの形成方法を提供することを目的とする。
本願の第1の発明は、感光基板(W)上に転写される回路パターンが形成されたマスク基板(R)を載置して移動可能なマスクステージ(RST,RST’)を備える投影露光装置において、マスクステージ上に設けられ、該マスクステージ上に載置されたマスク基板と当接する当接部(37A、37B、37C、37D、37E、54A、54B、54C)と、その当接部と対向するようにマスクステージ上に設けられ、マスク基板を当接部に押圧する押圧部(36A、36B、36C、36D、36E、52A、52B、52C)とを有するものである。
この場合において、押圧部は、マスク基板をマスクステージに載置する際、および前記マスクステージに載置されたマスク基板を回収する際に、マスク基板から離間するものとすることが望ましい。また、当接部と押圧部との少なくとも一方は、マスク基板を押圧する押圧方向に関して弾性を有するものとすることができる。更に、押圧部と当接部とは、マスク基板の回路パターンが形成されていない領域で前記マスク基板と当接することが望ましく、その一例として、マスク基板の端面でマスク基板と当接するようにすることができる。
また、本発明は、マスク基板と感光基板とを相対的に走査させつつ回路パターンを感光基板上に転写する走査型投影露光装置に適用することができる。この場合、押圧部がマスク基板を押圧する押圧方向は、その走査する方向に沿った方向であることが望ましい。
本願の第2の発明は、回路パターンが形成されたマスク基板(R)をマスクステージ(MST,MST’)上に載置し、マスク基板を露光用の照明光で照射して感光基板(W)上に回路パターンを形成するパターン形成方法であって、マスク基板をマスクステージに載置する段階と、そのマスク基板をマスクステージに載置した後、そのマスク基板をマスクステージ上で、マスク基板に当接する当接部(37A、37B、37C、37D、37E、54A、54B、54C)とマスク基板をその当接部に押圧する押圧部(36A、36B、36C、36D、36E、52A、52B、52C)との間で挟持する段階とを有するものである。また、本発明の回路パターン形成方法は更に、押圧部のマスク基板に対する押圧を解く段階と、マスク基板が載置されたマスクステージから、マスク基板を回収する段階とを有するものとすることができる。
以上のように本発明の投影露光装置によれば、当接部と押圧部とによってマスク基板の保持力を強化することができるので、マスクステージの加減速によりマスクステージに保持されたマスク基板が位置ずれを起こすことはなく、高いアライメント精度を維持することができる。また、本発明の回路パターン形成方法によれば、マスクステージが加減速してもマスクステージに保持されたマスク基板が位置ずれを起こすことなく、感光基板上の所望の位置に正確に回路パターンを形成することができる。
本発明の第1の実施形態としての投影露光装置の構成を図1、図2、図3を参照して説明する。図1は、ステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置の全体構成を模式的に示した図である。図1において、照明光学系ILは露光用の照明光を均一な照度分布でレチクルRの回路パターン領域に照射する。レチクルRはレチクルステージRST上の4ヶ所に突出して形成された載置部(当接部)10上に載置されるが、ここでは4ヶ所の載置部10のうち特定の1ヶ所または2ヶ所の載置部10のみが減圧吸着によりレチクルRを保持する。
アライメント系20A、20Bは、レチクルRの周辺の2ヶ所に形成されたレチクルアライメント用のマークを光電検出し、レチクルRを照明光学系ILまたは投影光学系PLの光軸AXに対して所定の精度で位置決めするために使用される。その位置決めは、レチクルステージRSTを光軸AXと垂直なXY平面内で並進移動させるとともにXY平面内で微小回転させる駆動系12によって行われる。
さらにレチクルステージRSTは、装置本体のコラム構造体の一部を構成するレチクルステージベース構造体CL1上に移動可能に保持され、駆動系12のモータ等もベース構造体CL1上に取り付けられる。そして本発明で特徴となるレチクル用干渉計システムIFRのビーム干渉部分(ビームスプリッタ等)もベース構造体CL1に取り付けられる。その干渉計システムIFRは、レチクルRの端面の一部に形成された鏡面部分に測長用ビームBMrを垂直に投射し、その反射ビームを受光してレチクルRの位置変化を計測する。
一方、レチクルRの回路パターンの像は、レチクルステージRSTの直下に配置された投影光学系PLを介して感光基板としてのウェハW上に1/4または1/5の縮小倍率で結像投影される。その投影光学系PLの鏡筒はコラム構造体の一部を構成するレンズベース構造体CL3に固定され、このレンズベース構造体CL3は複数本の支柱構造体CL2を介してレチクルベース構造体CL1を支持している。
尚、図1に示したレチクル用干渉計システムIFRでは測長用ビームBMrの反射ビームが投影光学系PLの上部に固定された参照鏡FRrで反射してきた参照ビームと干渉するような構成とするが、参照鏡をレチクルベース構造体CL1側に固定した構成の干渉計システムや参照鏡自体を内蔵した干渉計システムであってもよい。
さてレンズベース構造体CL3は、ウェハWを載置してXY平面に沿って2次元移動するウェハステージWSTが搭載されるウェハベース構造体CL4上に取り付けられる。このウェハステージWSTには、投影光学系PLの結像面にウェハWの表面が一致するようにウェハWを真空吸着するウェハホルダと、このウェハホルダをZ方向(光軸AX方向)に微小移動させるとともに微小傾斜させるレベリングテーブルとが設けられている。
そしてウェハステージWSTのXY平面内での移動座標位置とヨーイングによる微小回転量とは、ウェハ用干渉計システムIFWによって計測される。この干渉計システムIFWは、レーザ光源LSからのレーザビームをウェハステージWSTのレベリングテーブルに固定された移動鏡MRwと、投影光学系PLの最下部に固定された固定鏡FRwとに投射し、各鏡MRw、FRwからの反射ビームを干渉させてウェハステージWSTの座標位置と微小回転量(ヨーイング量)とを計測する。
またウェハステージWSTのレベリングテーブル上には、各種のアライメント系やフォーカスセンサー、レベリングセンサーのキャリブレーションとベースライン計測(レチクルRのパターン中心の投影点と各アライメント系の検出中心との位置関係の計測)とに使われる基準板FMも取付けられている。この基準板FMの表面には、露光波長の照明光のもとでレチクルRのマークとともにアライメント系20A、20Bで検出可能な基準マークも形成されている。
尚、基準板FMを使ったベースライン計測法については、例えば特開平4−45512号公報、特開平5−21314号公報に開示されており、また基準板FMを使ったフォーカスキャリブレーション法については例えば特公平6−16483号公報に開示されているので、ここではその詳細な説明は省略する。図2は、図1中のレチクルステージRST付近の様子を示した斜視図であり、ここではレチクルRが投影光学系PLの光軸AXに対して正しく位置合わせされているものとして示してある。レチクルステージRSTの中央には、レチクルRの矩形状に形成されたパターン領域PAと、このパターン領域PAを挟んでX方向の両側に形成された2つのマークM1、M2との投影光路を遮蔽しないような開口11が形成されている。その開口11の周辺の4ヶ所には、載置部10A、10B、10C、10D(ただし10C、10Dは図2中ではレチクルRの影になっている)が所定の高さで形成され、それによってレチクルRの裏面(パターンの形成される主面)の4隅付近が支持される。
図1に示したレチクルステージRSTの駆動系12は、具体的には図2のように3つの駆動ユニット12A、12B、12Cで構成される。駆動ユニット12AはステージRSTをX方向に微動させ、2つの駆動ユニット12B、12Cは互いに協同してステージRSTをY方向に微動させるとともに微小回転させる。これらの駆動ユニット12A、12B、12CはレチクルステージRSTの対応する部分を直線的に押圧するアクチュエータとして構成され、レチクルステージRSTのいくつかの部分の各々とレチクルベース構造体CL1との間にはレチクルステージRSTを各アクチュエータの方向に付勢するバネ13が設けられている。
さて、図2に示されるようにレチクルRの互いに直交した2辺の各端面部の表面には、レチクル用干渉計システムIFRからの測長ビームを受けるための反射部SX、SY、Sθが形成されている。これらの反射部はレチクルRの端面を研磨した後にアルミやクロム等の反射性金属物質、あるいは測長ビームの波長に対して高い反射率を有する誘電体薄膜を蒸着して作られる。この反射部SX、SY、Sθは、図2ではレチクルRの各端面の一部分のみに形成されているが、X方向に伸びた1つの端面の全体とY方向に伸びた1つの端面の全体とを反射面にしてもよい。
そして図1に示したレチクル用干渉計システムIFRは、具体的には図2のように、測長ビームBMrxを反射部SXに向けてX方向に投射する反射ミラーBR1を含むX方向干渉計IFRX、測長ビームBMryを反射部SYに向けてY方向に投射する反射ミラーBR2を含むY方向干渉計IFRY、及び測長ビームBMrθを反射部Sθに向けてY方向に投射する反射ミラーBR3を含むY方向干渉計IFRθで構成される。
ここで、反射部SXに達する測長ビームBMrxは投影光学系PLの光軸AXに垂直に向かうように配置され、反射部SYに達する測長ビームBMryと反射部Sθに達する測長ビームBMrθとは、X方向に所定の間隔を保って平行に配置されている。従って、干渉計IFRXの測長値によってレチクルRのX方向の位置変化が計測され、2つの干渉計IFRY、IFRθの各測長値の平均を演算することによってレチクルRのY方向の位置変化が計測され、そして2つの干渉計IFRY、IFRθの各測長値の差を演算することによってレチクルRの回転(θ)方向の位置変化が計測される。
そして干渉計IFRX、IFRY、IFRθの計測分解能は、レチクルRの線膨張係数、レチクルRの想定される温度変化範囲、レチクルRのサイズ(ここでは6インチ)に依存して決まる膨張量が検知できる程度に設定される。さらに各干渉計の測長ビームBMrx、BMry、BMrθの断面はレチクルRの各端面の反射部上で見ると、端面の延びる方向に偏平された楕円状またはスリット状に整形されている。また投影光学系PLの上部に固定された基準鏡FRrに投射される各基準ビームの断面も、各測長ビームの断面形状と同じ方向に偏平した楕円状またはスリット状に整形されている。
このように測長ビームと基準ビームの各断面を楕円状またはスリット状にするのは、レチクルRのXY平面内での微小回転によって各測長ビームのレチクル端面での反射ビームの進行方向が微小に偏向されることによる干渉状態からの逸脱を、レチクルRのある回転範囲内で防止するためである。図3は、図2に示したレチクルステージRSTの上面部の平面図を表したものであり、レチクルRを4ヶ所で支持する載置部10A、10B、10C、10Dは、パターン領域PAとマークM1、M2の投影光路を遮蔽しないような開口11の4隅に設けられている。このうち、レチクル用干渉計システムの各測長ビームBMrx、BMry、BMrθで照射されるレチクルRの反射部SX、SY、Sθのいずれからも離れている載置部10Cの吸着面(当接面)は、他の3つの載置部10A、10B、10Dの吸着面に比べて大きく形成され、減圧吸着時の吸着力を高めてある。
また図3に示すように、レチクルステージRSTの周辺には各載置部10A、10B、10C、10Dの吸着面を減圧源(真空源)に接続するためのポート部15A、15B、15C、15Dが設けられている。従って各ポート部15A〜15Dに所定の減圧を供給することで、レチクルRの4隅をステージRSTに強固に吸着保持することも可能である。しかしながら本実施形態では、少なくとも複数枚のウェハWを連続的に露光処理している間、載置部10CのみがレチクルRを強力に減圧吸着し、他の載置部は単にレチクルRを自重で支持するように吸着が解除される。
このように載置部10CのみでレチクルRを強力に減圧吸着すると、レチクルRの温度変化による膨張は載置部10Cを基点として2つの端面に形成された反射部SX、SY、Sθの方向に自由に発生することになり、膨張に伴ってレチクルRに生じる応力が防止され、ほぼXY平面に沿った線膨張になる。このため、レチクルRの自由な膨張量に応じて各反射部SX、SY、SθはX方向、Y方向にそれぞれ微小変位し、その各微小変位は測長ビームBMrx、BMry、BMrθを介してレチクル用干渉計システムIFRX、IFRY、IFRθで計測される。
ところで、レチクルRは載置部10Cによる強固な吸着力に抗してステージRSTに対して微小にずれる場合も有り得る。その場合、レチクル用干渉計システムIFRX、IFRY、IFRθはそのずれ量とレチクルRの膨張量とを含んだ計測値を出力することになる。このため、レチクル用干渉計システムIFRX、IFRY、IFRθから得られる各計測値のみに基づいて、レチクルRの中心点CCの初期状態からの位置ずれ量(X、Y方向の変位)や微小回転量を算出しただけでは、その位置ずれ量や回転量がレチクルRの膨張によるものなのか、レチクルRがステージRST上でずれたものなのか、あるいはその両者の原因によるものなのかが正確に判別できない。
従って、レチクル用干渉計システムからの計測値のみに基づいて算出された位置ずれ量、回転量の値はそのままでは信頼性に乏しく、それに基づいて直ちにレチクルステージRSTの駆動ユニット12A、12B、12Cをフィードバック制御することはできない。そこで、レチクルRの中心点CCの初期位置からの変位誤差やレチクルRの回転誤差を正確に特定するために、本実施形態においてはレチクルRの温度を高分解能で計測する温度測定システムを設けるようにした。その温度測定システムとして熱電対タイプのセンサーを用いる場合は、レチクルRのパターン領域PAやマークM1、M2の形成領域を避けた複数ヶ所にセンサーを接触させる機構を設ける必要がある。また非接触方式のサーモセンサー(IR−CCDカメラ等)を用いる場合は、図1に示した照明光学系IL内のコンデンサーレンズ系を通してレチクルRのほぼ全面の温度変化(及び温度分布)を検出する光学系を設ける必要がある。
そして予め求められているレチクルRの透明平板(石英板)の線膨張係数と、計測されたレチクルRの基準温度(例えばレチクル製造時の設定温度)からの変化量と、載置部10CによるレチクルR上の支持点と各反射部SX、SY、Sθとの距離関係とに基づいて、レチクルRの膨張成分のみによる各反射部SX、SY、Sθの位置変化量Δmx、Δmy、Δmθを予測計算し、その計算結果に基づいてレチクルRの中心点CCの膨張成分のみによる位置変位量(ΔXt,ΔYt)やレチクル回転量ΔRtを決定する。
次に、レチクル用干渉計システムIFRX、IFRY、IFRθで実測される各反射部SX、SY、Sθの初期位置からの変化量ΔFx、ΔFy、ΔFθを読み取り、予測計算された変化量Δmx、Δmy、Δmθとの差分ΔMx、ΔMy、ΔMθを以下のように算出する。
ΔMx=ΔFx−Δmx (X方向成分)
ΔMy=ΔFy−Δmy (Y方向成分)
ΔMθ=ΔFθ−Δmθ (Y方向成分)
こうして算出された偏差分ΔMx、ΔMy、ΔMθの各々が許容範囲内で零に近似される場合は、レチクルRはステージRST上で位置ずれを起こしていないことになり、膨張成分のみによって予測計算された位置変位量(ΔXt,ΔYt)やレチクル回転量ΔRtが補正されるように、レチクルステージRSTの各駆動ユニット12A、12B、12Cをフィードバック制御すればよい。
一方、算出された偏差分ΔMx、ΔMy、ΔMθの各々が許容範囲以上の固有値を持つ場合は、その偏差分ΔMx、ΔMy、ΔMθの各々がレチクルRの位置ずれによって生じたことを表す。そこで、偏差分ΔMx、ΔMy、ΔMθに基づいてレチクルRの位置ずれによる中心点CCの位置変位量(ΔXs,ΔYs)やレチクル回転量ΔRsを以下のように決定する。ただし、Lkは図3に示すようにレチクル用干渉計の2つの測長ビームBMry、BMrRθのX方向の間隔である。
ΔXs=ΔMx
ΔYs=(ΔMy+ΔMθ)/2
ΔRs=(ΔMy−ΔMθ)/Lk
さらに、先に求めた膨張成分のみによる位置変位量(ΔXt,ΔYt)やレチクル回転量ΔRtと、レチクルRの位置ずれ成分のみによる位置変位量(ΔXs,ΔYs)やレチクル回転量ΔRsとを加算して、最終的に補正すべきレチクルRの中心点CCの位置ずれ量(ΔXs+ΔXt,ΔYs+ΔYt)と回転量(ΔRs+ΔRt)とを決定する。そして決定された中心点CCの位置ずれ量とレチクルRの回転量とが補正されるように、レチクルステージRSTの各駆動ユニット12A、12B、12Cが干渉計IFRX、IFRY、IFRθの各計測値に基づいてフィードバック制御される。
図4は、以上のような各種の計算と制御を実行するための制御系の模式的な構成を示す。図4において、先の図2、図3中の部材と同一の部材に関しては同じ符号を付けてある。まず、図4に示すようにレチクル用干渉計システムIFRX、IFRY、IFRθの各々には、各測長ビームの反射部SX、SY、Sθでの反射ビームと参照ビームの参照鏡での反射ビームとの干渉ビームを光電検出するためのレシーバー21X、21Y、21θが設けられている。
レシーバー21X、21Y、21θの各々からの信号はカウンタ回路ユニット22X、22Y、22θに入力して、各反射部SX、SY、Sθの計測方向の位置や位置変化に応じたデジタル値をリアルタイムに出力する。これらのデジタル値は、先に説明した各種の計算や制御を実行する中央演算処理回路(CPU)24に入力される。CPU24は先の説明のようにして決定されるレチクルRの中心点CCの位置ずれ誤差や回転誤差を算出し、その誤差を補正するための制御情報をインターフェイス回路26に出力する。このインターフェイス回路26は、3つの駆動ユニット12A、12B、12Cの各モータを駆動するサーボ回路28A、28B、28Cに最適な制御指令値を出力する。
そして図4の制御系には、レチクルR上の複数の位置の温度変化を接触式で計測する温度センサー30A、30Bが設けられ、そのセンサー30A、30Bからの信号は温度測定回路31A、31Bによってデジタル値に変換された後、CPU24に入力される。CPU24は、その温度情報に基づいて予めメモリ内に記憶されているレチクルRの線膨張係数とレチクルR上の各反射部SX、SY、Sθの位置関係を表す情報とを読み出して、各反射部SX、SY、Sθの計測方向の膨張による位置変化量Δmx、Δmy、Δmθを予測計算する。
尚、以上の実施形態ではレチクルRをレチクルステージRST上の1ヶ所の載置部10Cのみで吸着するとしたが、これは必ずしも必須のことではなく、レチクルRの自由な膨張を妨げない範囲であれば、他の3つの載置部10A、10B、10Dを緩く減圧吸着するようにしてもよい。さらに4ヶ所の載置部10A、10B、10C、10Dの全てをレチクルRの自由な膨張を妨げない範囲で一律に緩く減圧吸着するように制御してもよい。
以上のように本実施形態によれば、レチクルRを支持するレチクルステージRSTは、レチクルRを隅の1ヶ所の載置部10Cで吸着固定するか、緩く減圧吸着するので、レチクルRは温度変化によって自由に膨張することが可能となり、レチクルRに不要な応力を発生させることがなく、レチクルRのパターン面の変形が防止されることになる。このため、露光処理が連続して行われる間に投影像の質が徐々に劣化することが防止される。
次に、本発明の第2の実施形態について図5を参照して説明する。図5は、図1に示されたレチクルステージRSTの構造上の変形例を示す斜視図であり、レチクルRの4隅は図3と同様な4ヶ所の載置部10A、10B、10C、10Dの上に支持される。しかしながら本実施形態では、各載置部がレチクルRを単に自重で支えるだけで、減圧吸着は全く行われないか緩く行われる。
そして本実施形態では、レチクルRが各載置部上に支持された状態でレチクルRの4辺の各端面を弱く押圧する可動押圧部材36A、36B、36C、36D、36EがステージRSTの周辺に配置されている。この可動押圧部材36A〜36Eは、レチクルRが載置部10A〜10D上に搬送されてくるときは図5中の可動押圧部材36Eのように外側に開いた状態に設定される。そしてレチクルRが機械的なプリアライメントの精度(例えば±1mm以下)で載置部10A〜10D上に載置されると、5つの可動押圧部材36A〜36Eは垂直に起立して対応するレチクルRの端面をレチクル中心CCの方向に押圧する。
これによってレチクルRは、ステージRST上で正確に位置決めされる。このときレチクルRの回転方向の位置決め精度は、レチクル用干渉計システムの各測長ビームBMrx、BMry、BMrθが対応するレチクル端面の反射部SX、SY、Sθで正確に垂直に反射されて干渉計測が確実にできる程度に設定されている。
こうしてレチクルRの位置決めが完了すると、各可動押圧部材36A〜36Eのレチクル端面と対向する部分に設けられた弾性当接部37A、37B、37C、37D、37Eの各々がレチクル端面と緩く接触するように、各可動押圧部材36A〜36Eはわずかに外側に開いた状態で静止される。この状態で、レチクルRは正確に位置決めされるとともに、その後にレチクルRに膨張が生じた場合はレチクルRの端面が弾性当接部37A〜37Eをわずかに外側に変形させることになる。
以上のようにしてレチクルRがステージRST上にセットされると、図4中に示したカウンタ回路ユニット22X、22Y、22θを初期値にリセットし、CPU24、インターフェイス回路26、サーボ回路28A、28B、28Cによって直ちに駆動ユニット12A、12B、12Cの制御を開始する。それから、先の図1中に示したウェハステージWST上の基準板FMの基準マークを投影光学系PLの視野内に位置付け、アライメント系20A、20BによってレチクルR上のマークM1、M2と基準板FMの基準マークとを同時に検出して相対的な位置ずれ誤差量と回転誤差量とを計測し、それらの誤差が補正されるようにCPU24に指令を与える。
これによってレチクルステージRSTが微小移動され、レチクルRのマークM1、M2の各々と基準板FMの基準マークとの精密なアライメントが達成された状態で駆動ユニット12A、12B、12Cが停止し、CPU24はその時の各カウンタ回路ユニット22X、22Y、22θの計測値を読み取って、初期値として記憶する。この初期値はレチクルRの膨張前の各反射部SX、SY、Sθの位置を表すことになる。
次に、本発明の第3の実施形態について図6を参照して説明する。この実施形態では、4辺の各端面に反射部が一様に形成されたレチクルRを用いるとともに、レチクルRの温度変化による膨張量を専用の干渉計システムによって直接計測する構成とした。その干渉計システムは、レチクルRの互いに平行な辺と辺との間の距離、即ちレチクルRのX方向、またはY方向の寸法変化を直接計測するように構成される。
膨張量計測用の干渉計システムの1つは、レーザビームB0を2つのビームBx、Byに分割するビームスプリッタBS1と、ビームByをY方向に反射するミラーMRaと、そのミラーMRaからのビームByを入射してレチクルRのX方向に伸びた端面へ向かう透過ビームと上方のミラーMR2へ向かうビームとに分割するとともに、干渉部を構成するビームスプリッタBSaと、ミラーMR2からレチクルRの主面と平行にY方向に進むビームBTyをレチクルRの反対側で受けてレチクルRの端面39Aに向けて垂直に反射させるコーナーミラーMR4と、端面39Aで反射してコーナーミラーMR4、ミラーMR2を介してビームスプリッタBSaに戻った反射ビームと、ビームスプリッタBSa側のレチクルRの端面で反射してビームスプリッタBSaに戻った反射ビームとの干渉ビー
ムを受光するレシーバー40Yとで構成される。
レシーバー40Yで計測される情報は、レチクルRのY方向の寸法変化に応じたものとなる。一方、膨張量計測用の干渉計システムのもう1つも同様に構成され、ビームBxはミラーMRb、ビームスプリッタBSbを介してレチクルRのY方向に伸びた端面に入射するとともに、ミラーMR1、コーナーミラーMR3を介してレチクルRの反対側の端面39Bに入射し、ビームスプリッタBSbで干渉した各端面からの反射ビームはレシーバー40Xで受光される。従ってレシーバー40Xで計測される情報は、レチクルRのX方向の寸法変化に応じたものとなる。
以上のような干渉計システムにおいて、ビームスプリッタBS1、ミラーMRa、MRb、MR1〜MR4、干渉部としてのビームスプリッタBSa、BSb、及びレシーバー40X、40Yは、基本的には図3や図5に示したレチクルステージRST上に構築される。ただし、干渉部としてのビームスプリッタBSa、BSbに入射するビームBx、Byを単一モード光ファイバーで導き、ビームスプリッタBSa、BSbからの各干渉ビームを光ファイバーで導くようにした場合は、ミラーMRa、MRb、MR1〜MR4、ビームスプリッタBSa、BSbをレチクルステージRST上に取付け、その他のレシーバー40X、40Y等の部材は図1中のレチクルベース構造体CL1上に取り付けることができる。
また図6に示されたレチクルRは、先に説明した図3や図5のようなレチクルステージRSTの載置部10A〜10D上に、自由な膨張が拘束されないように支持される。そして、図1中のアライメント系20A、20Bと基準板FMとを使ってレチクルRがステージRST上に位置決めされた後に、レシーバー40X、40Yからの各計測情報をデジタル値に変換するカウンタ回路をリセットして計数を開始する。
その後、レチクルRに膨張が生じなければカウンタ回路の計数値は変化しないが、膨張が生じるとカウンタ回路の計数値はリセット時の値から変化するので、その変化値を読み取ればレチクルRのX方向とY方向の各膨張量が直ちにわかる。従って、その読み取った変化値に基づいて、レチクルRの中心点CCの膨張成分による位置ずれを精密に算出することが可能となる。
さらに、図1に示された投影露光装置に、投影光学系PLのみを介してウェハW上のマークを検出するTTLアライメント系や投影光学系PLの外部に固定されてウェハWのマークを検出するオフアクシス方式のウェハアライメント系が設けられている場合(例えば特開平5−21314号公報)は、レチクルRが装着された後にTTLアライメント系やオフアクシスアライメント系の各々のマーク検出中心点とレチクルRの中心CCの投影点との相対間隔(ベースライン)をウェハステージWST上の基準板FMを使って精密に計測する動作が必要となる。
そのベースライン計測の動作は、1枚のレチクルRを露光装置に装着した直後だけでなく、連続して露光処理を実行する間の適当な時期毎に行われることがある。その場合は、ベースライン計測の動作のときに各レシーバー40X、40Yを介してカウンタ回路で計数されている値をCPUで読み取って初期値として記憶する。あるいはベースライン計測の動作のときに各レシーバー40X、40Yと接続されるカウンタ回路をリセットし直すようにしてもよい。
以上の図6に示した膨張量計測用の干渉計システムによれば、レチクルRのX方向の膨張量とY方向の膨張量とが直接計測されるため、干渉計システムIFRX、IFRY、IFRθの各測長ビームBMrx、BMry、BMrθが照射される各端面39A、39BからレチクルRの中心CCまでの距離変化を精密に計測することができる。従って、レチクルRの中心CCの投影点の位置変化をリアルタイムに精密に決定できるので、露光時のレチクルRとウェハWとのアライメント精度を精密に管理することが可能となる。
次に、本発明の第4の実施形態について図7を参照して説明する。本実施形態では先の各実施形態と異なり、図7に示されたレチクルステージRST’は図1中のレチクルコラム構造体CL1上に固定されるか、レチクル交換のときだけ露光位置と受け渡し位置との間を往復するように構成される。そして、レチクルRはステージRST’の4ヶ所の載置部10A、10B、10C、10D上に載置され、3つの直線アクチュエータ(ピエゾ素子、小型リニアモータ、ボイスコイル型モータ等)50A、50B、50CがレチクルRの対応する端面を直接押圧することでレチクルRを位置決めする。また本実施形態では4辺の全ての端面を研磨して反射部を形成したレチクルRを使うものとする。
レチクルRが機械的にプリアライメントされて載置部10A〜10D上に載置されると、アクチュエータ50Aの押圧子52AがレチクルRの端面39Aに向けてX方向に移動され、アクチュエータ50B、50Cの各押圧子52B、52CがレチクルRの端面39Bに向けてY方向に移動される。この押圧子52A、52B、52Cの各々のレチクルRの端面との接触部分には、摩擦係数をできるだけ小さくするような鋼球や合成樹脂のチップが設けられている。
そして2つの端面39A、39Bが各押圧子52A、52B、52Cで押圧されると、レチクルRはX、Y方向に微動して反対側の端面39C、39Dが弾性当接子54A、54B、54Cに当接する。この弾性当接子54Aは、レチクルRの端面39Dの中央部に点接触するとともに、所定の範囲(例えば数mm)でY方向に弾性的に変位するように構成され、弾性当接子54B、54Cは、レチクルRの端面39Cの両側部分に点接触するとともに、所定の範囲(例えば数mm)でX方向に弾性的に変位するように構成される。これらの弾性当接子54A、54B、54Cの弾性力は、レチクルRの自由な膨張を妨げない程度に設定されている。
こうして各アクチュエータ50A、50B、50Cの駆動によってレチクルRがX、Y方向に微動され、各弾性当接子54A、54B、54Cがそれらのストロークの中間程度まで弾性変位した時点で、レチクルRは機械的にほぼ正確にアライメントされたことになる。続いて図1中に示したアライメント系20A、20BとウェハステージWST上の基準板FMのマークとを使って、レチクルRのマークM1、M2が基準板FMに対してより精密にアライメントされるように、各アクチュエータ50A、50B、50Cを微小駆動し、レチクルRの中心CCをウェハステージWST側の座標系に対して精密にアライメントする。
本実施形態の場合も、レチクルRの膨張量に関する情報が図4のような温度計測法や図6のような干渉計システムによる直接計測法によって同様に与えられ、膨張によるレチクルRの中心CCの変位とレチクルRの回転誤差とが、レチクルRの載置部10A〜10Dに対するXY方向の位置ずれや回転ずれとともに補正される。尚、この補正のうちX、Y方向の補正はレチクル側のアクチュエータ50A、50B、50Cだけでなく、ウェハステージWSTで行ってもよい。
以上のように本実施形態では、レチクルRの端面に直接駆動力を作用させるように構成したので、レチクル用干渉計システムIFRX、IFRY、IFRθの各測長ビームBMrx、BMry、BMrθによる計測面と、複数のアクチュエータの駆動点を含む面とがほぼ一致し、載置部10A〜10DとレチクルRとの間のすべりの影響を受けることもなくサーボ制御系の制御精度が向上する。
次に、本発明の第5の実施形態について図8を参照して説明する。図8はレチクルRの膨張量を直接計測するためのファイバー干渉計システムの変形例を示し、この実施形態では、少なくとも1辺の端面に誘電体薄膜による光分割部が形成されたレチクルRが使われる。また図8において、先の各実施形態の部材と同じ機能の部材には同一の符号を付けてある。
図8に示すように、レチクルRはレチクルステージRSTの4つの載置部10A〜10D上に支持されるが、ここでは第1の実施形態と同様にいずれか1つの載置部がレチクルRを減圧吸着している。そのレチクルRの端面のうち、レチクル用干渉計システムIFRY、IFRθの各測長ビームBMry、BMrθが投射される端面39Aには反射部SY、Sθとともに反射部STが形成されている。この反射部STは平面研磨された端面39Aの表面に形成されているが、ここでは裏面反射鏡として使われる。従って、端面39Aの全面に反射層を蒸着してしまっても構わない。
さて、レチクルRの端面39Aと反対側の端面39Cには、誘電体薄膜による部分反射部SSが形成され、この部分反射部SSから膨張量計測用の測長ビームBMtがレチクルRの内部に主面と平行に入射される。この測長ビームBMtは、レーザ光源からの直線偏光のビームB0を入射する単一モードの光ファイバー60と、この光ファイバー60の射出端をレチクルステージRSTに対して固定する支持金具62と、レチクルステージRSTに固定されて干渉部として機能するビームスプリッタ64とを介して、レチクルRの端面39Cの部分反射部SSにほぼ垂直に投射される。尚、図8には図示していないが、ビームスプリッタ64と端面39Cとの間には1/4波長板が配置されている。
従って、部分反射部SSに投射されるビームは円偏光となり、その部分反射部SSで反射された一部のビームは1/4波長板によって元のビームB0と直交した直線偏光となってビームスプリッタ64に戻り、ここで反射されて受光用の光ファイバー66に入射してレシーバー(光電検出素子)まで導かれる。一方、部分反射部SSを透過した一部のビームは測長ビームBMtとなって反対側の端面39Aの反射部STに垂直に達し、ここで反射されたビームは測長ビームBMtと同じ光路を戻り、部分反射部SS、1/4波長板を介してビームスプリッタ64に戻る。その反射ビームはビームスプリッタ64で反射されて光ファイバー66に入射する。
このため、部分反射部SSからの反射ビームと端面39Aの反射部STからの反射ビームとは互いに干渉し合い干渉ビームBFとなってレシーバーに受光される。これによってレシーバーは、レチクルRの端面39Cの部分反射部SSと端面39Aの反射部STとの間のY方向の間隔変化を1/100μm以下の分解能で計測する。すなわち、ビームスプリッタ64とレシーバーとで構成される干渉計システムは、レチクルRのY方向の膨張量を直接計測する。
本実施形態の場合、レチクルRの端面39Cには部分反射部SSとなる薄膜層(多層膜)を望ましくは反射率33%、透過率67%で形成する必要がある。また図8の構成において、ビームスプリッタ64に入射されるビームB0は光ファイバー60から供給されるので、光ファイバー60の射出端のN.A.(開口数)はできるだけ小さくしてビームBMtの平行度を維持することが望ましい。さらにビームB0は光ファイバー60を使うことなく、レチクルベース構造体CL1(図1参照)側に固定された反射鏡を介してビームスプリッタ64に入射するようにしてもよい。
次に、本発明の第6の実施形態による投影露光装置について図9を参照して説明する。図9において、レチクルステージRST上には図8で示した膨張量計測用の干渉計システムを構成するビームスプリッタ64が固定され、端面39Aの反射部STと端面39Cの部分反射部SSとの各々で反射されたビームが光ファイバー66を通してレシーバー68で受光される。カウンタ回路やCPUを含む処理ユニット80はレシーバー68からの信号を入力して、レチクルRの初期状態からの膨張量をリアルタイムに算出する。本実施形態では、計測された膨張量のデータを使って、レチクルRの膨張で生じる回路パターン像のウェハW上での微小な寸法誤差(倍率誤差となって表れる)を補正するようにした。
そのために、投影光学系PLのテレセントリック部に配置されたフィールドレンズG1を光軸AX方向に平行移動させたり、傾斜移動させたりするような構造とし、それらの移動を行う複数のピエゾ素子70A、70Bを設ける。そして駆動制御回路72によって各ピエゾ素子70A、70Bの駆動量を制御することで、投影光学系PLの結像倍率や歪曲収差を微小変化させるようにする。
あるいは、投影光学系PL内の適当な空気間隔(空気レンズ)73を密封して、その内圧を圧力制御系74で調整することで、投影光学系PLの結像倍率を微小変化させるようにする。さらにフィールドレンズG1の位置調整、空気レンズ73の内圧調整によって副次的に生じる最良結像面の光軸AX方向の位置変化を補正するために、ウェハWの表面に斜めに結像光を投射してその反射光FLを受光してウェハWの光軸方向の位置を検出する検出系75と、検出されたウェハWの位置に基づいてウェハWを吸着するホルダーWHをZ方向に変位させる複数のアクチュエータ77と、それらのアクチュエータ77を駆動する駆動制御系76とで構成される斜入射オートフォーカス系を設ける。
以上の構成において、処理ユニット80は算出されたレチクルRの初期状態からの膨張量に基づいて、レチクルR上の回路パターン領域が中心CCを基点としてどれぐらいの比率(ppm)で拡大または縮小されているかを決定し、その比率に対応した補正が行われるような補正情報を、駆動制御回路72か圧力制御系74の少なくとも一方に出力する。これに応答してフィールドレンズG1の位置補正または空気レンズ73の内圧補正が実行され、投影像のウェハW上での寸法誤差が補正される。
尚、フィールドレンズG1の位置制御用の駆動制御回路72、空気レンズ73の内圧制御用の圧力制御系74、あるいは斜入射オートフォーカス系として機能する駆動制御系76は、例えば特開昭60−78454号公報や特開昭62−229838号公報に開示されているように、投影光学系PLの大気圧変化による結像特性の変動、露光時の照明エネルギーの一部吸収による結像特性の変動、またはレチクルを照明する照明光学系からの照明光の状態変化に応じた結像特性の変動を補正するための機能も備えている。
従って本実施形態のように、レチクルRの初期状態からの膨張量を干渉計システムによって時々刻々直接計測するようにすれば、レチクルRの膨張による見かけ上の倍率変化分もリアルタイムに補正することが可能となり、投影露光装置の結像光路(レチクルパターンからウェハ面まで)で生じる各種の結像誤差の全てに対する補正が可能となる。
ところで、以上の各実施形態ではレチクル(マスク基板)の熱蓄積による膨張を計測して、その膨張に伴って生じるアライメント位置や投影倍率等を補正することを主目的にしたが、レチクルステージRST上に載置されたレチクルRに向けて、精密に温度制御された空気を所定の流速で送風するダクトを配置し、レチクルRの熱蓄積による温度上昇を十分に低減できる場合は、レチクルRの温度を計測する温度センサーや膨張量を直接計測する干渉計システム等を省略することも可能である。
ただしその場合でも、レチクルRの端面に形成された反射部(鏡面部)を使ってレチクルRのX、Y、θ方向の各変位量を干渉計システムIFRX、IFRY、IFRθで計測し、その計測情報に基づいてレチクルRを微小移動させることが望ましい。それは、実際に位置決めすべき物体はレチクルRであり、従来のように微小移動用のレチクルステージRSTに干渉計用の反射鏡を固定した方式では、レチクルステージRST上に搭載されたレチクルRの微小なすべり(位置ずれ)が全く検知できないからである。
ところで、本発明の各実施形態で使用されるレチクルR(マスク基板)では、その端面の少なくとも一部が鏡面研磨され、そこに反射性物質による反射層が蒸着によって形成されている。このような反射層の形成は、レチクルRの母材となる石英基板の上に回路パターンを描画する前の段階で行なうのが望ましい。通常のレチクルRの製造工程では、母材となる石英基板(6インチで5mmの厚み)の両面の平行度が許容値以内になるように光学研磨を行なった後に、研磨された石英基板の片面全面に低反射クロムを蒸着し、さらにその上に電子ビーム露光(EB露光)用のレジストを塗布する。そしてレジストの塗布された石英基板をEB露光装置の試料ステージ上にプリアライメントされた状態で載置し、回路パターンやマークパターン等の描画を開始している。
露光された石英基板は、現像処理によってクロム層上に残ったレジスト像の部分をマスキングとしてエッチングされる。このエッチングによって、回路パターンのうちの透明となるべきクロム層の部分が除去されてレチクルRとなる。従ってレチクルRの端面に反射部や部分反射部を形成するためには、このような製造工程において、母材としての石英基板を研磨する段階で4つの端面の全てを併せて研磨しておき、石英基板の母材の全面にクロム層を蒸着する段階で、4辺の各端面の全て又はいくつかにクロム層(又は誘電体多層膜)を併せて蒸着しておけばよい。
そして、作成された石英基板上のレジストにEB露光を行う装置の試料ステージ上には、石英基板の直交する2辺の端面(例えば図6、図8中の39A、39B)と当接して石英基板を位置決めする基準ピン等を設け、この基準ピンに対して位置決めした状態で石英基板を試料ステージ上に載置してEB露光を行う。この場合、描画される回路パターンやアライメントマークは石英基板の2つの端面を基準として配置されることになる。
このため、回路パターンの配置は2つの端面から正確に規定されることになり、完成したレチクルR上のパターン配置の基準が先の各実施形態で説明した投影露光装置のレチクル用干渉計システムによる計測点と一致することになる。従って基準が一致することによって、レチクルR上のパターンの描画誤差(配置誤差)によるウェハWとの重ね合せ精度の低下も抑えることが可能となる。
またEB露光装置の試料ステージの周縁部には、レーザ干渉計による測長システムのための移動鏡が固定されている。そこで、EB露光装置の試料ステージ周辺の構成を図10のように改良した第7の実施形態について説明する。 図10に示すように、試料ステージ90上に載置される石英基板QPの端面39A、39Bの各々に測長ビームBex、Beyを投射する干渉計EIX、EIYを設け、この干渉計EIX、EIYの計測結果に応答して石英基板QPの各端面39A、39Bの反射面を基準とした試料ステージ90の移動制御を行なうのが望ましい。
ただし、石英基板QPの端面39A、39Bはその延設方向に関する平坦度がそれ程良くないのが一般的である。そこで、試料ステージ90の位置制御は試料ステージ90上に固定された従来と同様の移動鏡MRwx、MRwyを使った干渉計システムSIX、SIYによって行い、それとは別に設けた干渉計EIX、EIYは各端面39A、39Bの平坦度を計測するために使う。
尚、図10においてAX’はEB露光装置の電子レンズ系の光軸であり、PBFは描画用の電子ビーム(又は荷電粒子ビーム)であり、SAはビームPBFの偏向によって描画可能な1つのショット範囲である。この際、試料ステージ90を干渉計システムSIX、SIYからの各座標値に基づいて例えばX方向に直線移動させ、その移動中に干渉計EIYで計測される端面39Aの計測値を逐次サンプリングすることで、端面39Aの平坦度とX軸との平行度とが求められる。端面39Bの平坦度と平行度についても、試料ステージ90を干渉計システムSIX、SIYからの各座標値に基づいてY方向に直線移動させつつ、干渉計EIXの計測値を逐次読み取ることで求められる。
そして、実際にパターンを描画する際には、求められた各端面39A、39Bの平坦度と平行度との誤差分で生じる描画位置の誤差を、試料ステージ90の送り位置や描画ビームPBFの偏向位置の修正により微小補正すればよい。このようにすると、レチクルRの端面39A、39Bを基準にして回路パターンが精密に配置された状態で描画される。
次に、本発明の第8の実施形態について図11を参照して説明する。図11はレチクルRを4ヶ所の載置部10A〜10D上で支持するレチクルステージRST、そのレチクルステージRSTをレチクルベース構造体CL1上でX、Y、θ方向に移動させる駆動ユニット12A〜12C、及びレチクルRのXY方向の位置を直接計測するレチクル用干渉系システムの配置を示す平面図である。
本実施形態においては、2つ角部を斜め45°に切り落として研磨された端面103A、103Bを有するレチクルRを用いる。さらに、このレチクルRの残りの2つの角部105A、105Bの各々を規定する互いにXY方向に延びた端面には、反射層が形成される。そして本実施形態の干渉系システムは、レチクルRの2つの角部105A、105Bの各々の45°方向の位置変化成分を計測することによって、レチクルRのX、Y方向の変位とθ方向の回転とを計測するように構成される。
まず第1の干渉系システムにおいて、測長用のレーザビームLBaはXY座標系に対して45°方向からレチクルベース構造体CL1上に固定されたビームスプリッタ100Aに入射する。ビームLBaのうちビームスプリッタ100Aで部分反射されたビームは、レチクルベース構造体CL1上に固定された基準ミラー101Aに垂直入射し、ここで正規反射されたビームはビームスプリッタ100Aとガラスブロック(直方体)102Aとを透過する。
一方、ビームLBaのうちビームスプリッタ100Aを透過したビームは、レチクルRの斜め45°の端面103AからレチクルR内に平行に入射され、対向する角部105A近傍の直交した2つの端面に形成された反射層で裏面反射されて、再び斜め45°の端面103Aから射出してガラスブロック102Aの全反射面106Aに達する。そして全反射面106Aで反射されたビームは元の光路に沿って逆進して端面103Aから射出し、ビームスプリッタ100Aで反射されてガラスブロック102Aを透過して、基準ミラー101Aからの反射ビームと合成されて干渉ビームIBaとなる。
この干渉ビームIBaは第1の干渉系システムのレシーバーで光電検出され、その信号は後段のカウンタ回路に接続されている。この第1の干渉系システムは、ガラスブロック102Aの全反射面106Aに対するレチクルRの角部105A(頂点)の斜め45°方向の位置変化を計測することになる。第2の干渉系システムも全く同様に構成され、測長用のビームビームLBbはビームスプリッタ100Bで2つに分割され、その一方のビームは基準ミラー101Bで正規反射されて、ビームスプリッタ100Bとガラスブロック102Bとを透過する。ビームスプリッタ100Bで分割された他方のビームは、レチク
ルRの斜め45°の端面103BからレチクルR内に平行に入射し、対向する角部105B近傍の直交した2つの端面に形成された反射層で反射されて、再び斜め45°の端面103Bから射出してガラスブロック102Bの全反射面106Bに達する。
そして全反射面106Bで反射されたビームは元の光路に沿って逆進して端面103Bから射出し、ビームスプリッタ100Bで反射されてガラスブロック102Bを透過して、基準ミラー101Bからの反射ビームと合成されて干渉ビームIBbとなって、レシーバーに受光される。この第2の干渉系システムは、ガラスブロック102Bの全反射面106Bに対するレチクルRの角部105Bの斜め45°方向の位置変化を計測することになる。
以上のように構成された第1、第2の干渉系システムを用いると、レチクルRの2つの角部105A、105Bが一種のコーナーミラーとして働くため、レチクルRをXY平面内で回転させても、各ガラスブロック102A、102Bの全反射面106A、106Bからビームスプリッタ100A、100Bに戻ってくる反射ビームの位置がずれないと言った利点がある。
また以上の第1、第2の干渉系システムの場合、レチクルRの2つの角部105A、105Bの各々の45°方向の位置変化を計測することになるので、X方向とY方向の各変位量を知るためには座標変換の演算が必要となる。しかしながら、レチクルRが比較的大きく(例えば2°〜3°程度)回転した状態でレチクルステージRST上に載置されたときでも、その状態からレチクルRの端面を利用した干渉系システムを正常に機能させることが可能となる。
このため、レチクルRをレチクルステージRST上に載置する前の機械的なプリアライメント精度が緩和され、高速なプリアライメントが可能となるから、レチクルRの交換時間を短縮できると言った効果が得られる。
次に、本発明の第9の実施形態について図12を参照して説明する。図12はステップ・アンド・スキャン方式の投影露光装置に好適なレチクルベース構造体CL1とレチクルステージRSTとの構成を示す斜視図である。ステップ・アンド・スキャン方式の場合、レチクルRは図12のようなレチクルステージRST上に載置され、レチクルステージRSTはレチクルRの寸法(例えば6インチ)に対応したストロークでベース構造体CL1上をY方向に1次元移動するように構成される。
その移動は、レチクルステージRSTの両側にY方向に伸びて配置されたリニアモータユニット200A、200Bによって行われる。このリニアモータユニット200A、200Bの各々は全体的にカバーで覆われ、モータコイルの発熱で温められた各モータユニット200A、200B内の空気は極力外部に流出しないように排気ダクト201A、201Bによって強制的に排気される。
また、レチクルステージRSTのX方向の一端にはY方向に延びた移動鏡203が固定され、この移動鏡203にはベース構造体CL1に固定されたX方向計測用のレチクル干渉計IFRXからの3本の測長ビームBMrxが垂直に投射される。その干渉計IFRXはレチクルステージRSTのX方向(非走査方向)の微小位置変化と微小回転誤差とを計測する。尚、リニアモータユニット200Bのカバーの測長ビームBMrxの直下部分には、複数のメッシュ状開口部200C、200Dが設けられ、排気ダクト201Bによって測長ビームBMrxの周囲の空気が各開口部200C、200Dへ吸引されるような流れを作る。これによって、モータユニット200Bのカバーが温まることによって生じる測長ビームBMrxの光路揺らぎが防止される。
レチクルRはステージRST上の4ヶ所の載置部10A〜10D上に載置される(載置部10CはレチクルRの影になっているため図12では省略)。しかしながら本実施形態においては、レチクルRが走査露光時のステージRSTの加減速によってY方向(走査方向)にずれることを防止するために、レチクルRの対角部分に位置する端面をY方向に緩い付勢力で押圧するように載置部10Bと10Dの一部には突出部分が形成されている。また、本実施形態では載置部10A〜10Dの全てが緩い減圧吸着力でレチクルRを保持するか、あるいは載置部10Bと10Dのいずれか一方のみが強い減圧吸着力でレチクルRを保持するように構成される。
さらにレチクルRのX方向に延びた1辺の2ヶ所には、レチクルRの主面内で正確に90°で加工されたノッチコーナー部CM1、CM2が形成されている。そしてコーナー部CM1、CM2の各々の斜面は光学研磨され、その表面には反射層が蒸着される。従って、コーナー部CM1、CM2は一種のコーナーミラーとして作用し、ベース構造体CL1に固定されたY方向計測用のレチクル干渉計IFRY、IFRθの各々からの測長ビームBMry、BMrθを反射する。これらの測長ビームBMry、BMrθは、それぞれコーナー部CM1、CM2の一方の斜面に入射して他方の斜面から入射光路と平行に干渉計IFRY、IFRθへ戻る。これによって各干渉計IFRY、IFRθは2ヶ所のコーナー部CM1、CM2の各々の頂点のY方向の位置を計測する。
このように本実施形態では、レチクルRの1辺にコーナー部CM1、CM2を形成するようにしたので、レチクルRの回転によって生じる測長ビームBMry、BMrθの各反射ビームの角度変化が防止され、各干渉計IFRY、IFRθでの干渉状態がレチクルRのある回転範囲内で許容されるといった利点がある。このような利点を享受するために、干渉計IFRY、IFRθの各測長ビームBMry、BMrθのX方向の間隔Lkと、レチクルRに形成されるコーナー部CM1、CM2のX方向の間隔とを一致させておく必要がある。このことは場合によっては装置製造メーカー毎に専用レチクルを用意しなければならないことを意味するが、そのようなレチクル用の石英板の規格を決めてしまえば、露光装置製造メーカー側ではそれに容易に対応可能である。
ところで、図12に示したステージRSTはエアベアリングを介してベース構造体CL1上に支持され、リニアモータユニット200A、200Bによって非接触で移動される。また2つの干渉計IFRY、IFRθの各々で計測されるコーナー部CM1、CM2の各Y方向の位置座標をYc1、Yc2とすると、レチクルRの初期状態からの回転変化量Δθcは、(Yc1−Yc2)/Lkの計算によって求められ、走査露光時のレチクルRのY方向の座標位置Yrは、(Yc1+Yc2)/2の計算によって求められる。
この座標位置Yrに基づいて、リニアモータユニット200A、200Bを同一の推力で制御することでレチクルステージRSTをY方向に所定の速度で移動させ、計測された回転変化量Δθcが常に一定値(例えば零)、あるいは固有の傾向で変化する値になるように、リニアモータユニット200A、200Bの推力に差を与えることでレチクルステージRSTを微小回転させればよい。尚、図12においてAXは投影光学系PLの光軸であり、光軸AXを中心としたX方向に延びた長方形の領域LEは走査露光時の照明光の照射領域である。
以上の実施形態によれば、レチクルRはほぼ対角位置にある載置部10B、10Dの突出部分によってY方向の変位を規制されているので、レチクルRの膨張による影響は図12中でレチクルRの時計回りの微小回転となって現れる。しかしながら、本実施形態ではレチクルRの端部にコーナーミラー部CM1、CM2を形成したので、レチクルRの膨張成分と載置部10A〜10D上でのずれ成分とで生じるレチクルRの総合的な回転変化を比較的大きな範囲に渡って正確に計測することが可能となる。
従って、レチクルRとウェハWとを投影光学系の結像倍率と等しい速度比でY方向に相対移動させ、ウェハWのショット領域上に照明光LEで照射されたレチクルRのパターン領域の部分の像を走査露光する際、その相対速度比を正確な結像倍率の値からレチクルRの膨張量に対応した量だけ微小調整することによって、投影されたパターン領域の全体像の走査方向のサイズ(倍率)を調整することができる。
また投影されたパターン領域の全体像の非走査方向(X方向)に関するサイズ調整は、先の図9で説明したようにレチクルRの膨張量に応じて投影光学系PL自体の結像倍率を微小変化させることで対応すればよい。さらに本実施形態は、投影光学系が等倍の結像倍率を有し、マスク基板と感光基板とを共通のキャリッジ上に保持して等倍の投影光学系に対して1次元走査することで大型の液晶表示デバイスを製造する露光装置、例えば特開平7−57986号公報に開示されているようなマルチレンズ方式の投影露光装置にも全く同様に適用できる。
また本実施形態では、特にレチクルRの膨張量を計測するための温度センサーやレチクル寸法計測用の干渉計等を設けていないが、必要によっては先の各実施形態のように膨張量を間接的または直接的に計測する測定系を設けてもよい。
本発明の実施形態として好適な投影露光装置の全体的な構成を模式的に示す図。 本発明の第1の実施形態によるレチクルステージの構成と干渉計システムの配置を示す斜視図。 図2に示されたレチクルステージの構成を示す平面図。 本発明の第1の実施形態によるレチクルステージの制御系の構成を示すブロック図。 本発明の第2の実施形態によるレチクルステージの構成を示す斜視図。 本発明の第3の実施形態によるレチクルステージの構成を示す斜視図。 本発明の第4の実施形態によるレチクルステージの構成を示す斜視図。 本発明の第5の実施形態による膨張量計測用の干渉計システムの構成を示す平面図。 本発明の第6の実施形態による投影露光装置の模式的な構成を示す図。 本発明の第7の実施形態によるレチクル製造方法が実施されるEB露光装置の試料ステージの構成を模式的に示す斜視図。 本発明の第8の実施形態によるレチクル用干渉計システムの構成を示す平面図。 本発明の第9の実施形態による投影露光装置のレチクルステージRSTの構造を示す斜視図。
符号の説明
R ・・・レチクル
W ・・・ウェハ
PL ・・・投影光学系
RST ・・・レチクルステージ
WST ・・・ウェハステージ
CL1、CL2、CL3、CL4 ・・・コラム構造体
SX、SY、Sθ ・・・レチクル端面の反射部
IFRX、IFRY、IFRθ ・・・レチクル用干渉計システム
10、10A、10B、10C、10D ・・・載置部
12、12A、12B、12C ・・・レチクル駆動系

Claims (9)

  1. 感光基板上に転写される回路パターンが形成されたマスク基板を載置して移動可能なマスクステージを備える投影露光装置において、
    前記マスクステージ上に設けられ、該マスクステージ上に載置された前記マスク基板と当接する当接部と、
    前記当接部と対向するように前記マスクステージ上に設けられ、前記マスク基板を前記当接部に押圧する押圧部とを有する投影露光装置。
  2. 前記押圧部は、前記マスク基板を前記マスクステージに載置する際、および前記マスクステージに載置された前記マスク基板を回収する際に、前記マスク基板から離間する請求項1記載の投影露光装置。
  3. 前記当接部と前記押圧部との少なくとも一方は、前記マスク基板を押圧する押圧方向に関して弾性を有する請求項1または2に投影露光装置。
  4. 前記押圧部と前記当接部とは、前記マスク基板の前記回路パターンが形成されていない領域で前記マスク基板と当接する請求項1から請求項3の何れか一項に記載の投影露光装置。
  5. 前記押圧部と前記当接部とは、前記マスク基板の端面で前記マスク基板と当接する請求項4記載の投影露光装置。
  6. 前記投影露光装置は、前記マスク基板と前記感光基板とを相対的に走査させつつ前記回路パターンを前記感光基板上に転写する走査型投影露光装置である請求項1から請求項5の何れか一項に記載の投影露光装置。
  7. 前記押圧部が前記マスク基板を押圧する押圧方向は、前記走査する方向に沿った方向である請求項6記載の投影露光装置。
  8. 回路パターンが形成されたマスク基板をマスクステージ上に載置し、前記マスク基板を露光用の照明光で照射して感光基板上に前記回路パターンを形成するパターン形成方法であって、
    前記マスク基板を前記マスクステージに載置する段階と、
    前記マスク基板を前記マスクステージに載置した後、前記マスク基板を前記マスクステージ上で、前記マスク基板に当接する当接部と前記マスク基板を前記当接部に押圧する押圧部との間で挟持する段階とを有するパターン形成方法。
  9. 前記押圧部の前記マスク基板に対する押圧を解く段階と、
    前記マスク基板が載置された前記マスクステージから、前記マスク基板を回収する段階とを有する請求項8記載のパターン形成方法。
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