JPH10312806A - リチウムイオン二次電池用負極材料、及びその製造方法 - Google Patents

リチウムイオン二次電池用負極材料、及びその製造方法

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JPH10312806A
JPH10312806A JP9139248A JP13924897A JPH10312806A JP H10312806 A JPH10312806 A JP H10312806A JP 9139248 A JP9139248 A JP 9139248A JP 13924897 A JP13924897 A JP 13924897A JP H10312806 A JPH10312806 A JP H10312806A
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negative electrode
graphite
graphite particles
electrode material
particles
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Kenji Fukuda
憲二 福田
Yoichiro Hara
陽一郎 原
Tatsuo Umeno
達夫 梅野
Koji Sakata
康二 坂田
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Mitsui Mining Co Ltd
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Mitsui Mining Co Ltd
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  • Carbon And Carbon Compounds (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高結晶性、微粒子であることに加え、高い嵩
密度を有し、溶媒に対する濡れ性に優れたリチウムイオ
ン二次電池の負極製造用炭素材料、及びその製造方法を
提供する。 【解決手段】 結晶格子定数Co(002)が0.67
0〜0.673nmで、平均粒径が1〜50μmの黒鉛
粒子を圧縮減容して、嵩密度を0.3〜1.0g/cm
3にし、これを負極製造用の炭素材料とする。圧縮減容
圧力は0.2〜10kg/cm2が好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、大容量かつ高電位
で、充放電サイクル特性に優れたリチウムイオン二次電
池用負極材料、及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年の電子機器の小型軽量化に伴い、電
池の高エネルギー密度化の要求が高まり、また省資源の
面からも繰り返し充放電可能な二次電池の開発が急務に
なっている。この要求に答えるものとして、高エネルギ
ー密度、軽量、小型、かつ充放電サイクル特性に優れた
リチウムイオン二次電池の提案がある。リチウムイオン
二次電池は、リチウム金属二次電池の有する問題、即ち
急速充電性に劣る問題、サイクル寿命が短い問題、安全
性に劣る問題等を解決するために開発されたもので、リ
チウム金属二次電池の場合には負極に金属リチウムを用
いていたのに対し、リチウムイオン二次電池の場合には
負極に炭素材料を用いることにより、上記問題を解決し
ようとするものである。
【0003】このリチウムイオン二次電池においては、
リチウム化合物を正極とし、炭素材料を負極として電池
を構成し、この構成の電池に充電を行うと、負極におい
ては炭素材料にリチウムイオンのドーピングが起こり、
いわゆる炭素ーリチウム層間化合物を形成する。一方、
放電時には前記炭素材料の層間からリチウムイオンが脱
ドーピングし、リチウムイオンは再び正極のリチウム化
合物と結合する。これにより、繰り返し充放電可能な電
池を形成するものである。
【0004】リチウムイオン二次電池の負極の材料とし
て炭素材料である黒鉛、とりわけ天然黒鉛を用いる場
合、天然黒鉛は高い結晶性を有しており、ドーピング量
が多い利点を有するが、そのままでは黒鉛内部における
リチウムイオンの移動速度が小さい。このため、黒鉛内
にリチウムイオンを迅速に拡散させるには、天然黒鉛を
粉砕して微粒子とする必要がある。しかしながら、リチ
ウムイオンが迅速に拡散することのできる程度に微粉砕
した黒鉛粒子の嵩密度は一般に0.3g/cm3未満
で、通常は0.05〜0.25g/cm3 程度である。
この嵩高い黒鉛粒子を、負極の製造前に、負極材料とし
ての基礎的な評価実験に用いる場合は、試料量は数10
mg〜数gしか必要としないので、その取扱いに何ら問
題は無く、またこれを用いて負極を製造する場合、実験
室規模では負極を製造することができ、更にこれを用い
る基礎物性評価の段階においては、製造した負極は十分
な性能を発現する。
【0005】しかし、実電池の生産工程では黒鉛粒子を
フィラーとし、バインダーを溶解した溶剤を用いて黒鉛
粒子のスラリーを形成し、この黒鉛粒子スラリーを集電
体金属上にコーティングし、更に乾燥後これをコイル状
に巻き取り負極を製造する工程を経る。
【0006】ところが、黒鉛粒子が嵩高い場合、黒鉛粒
子の嵩に比べ溶剤の嵩が極めて小さいので、多くの場合
黒鉛粒子の大部分が溶剤に濡れさえしないことがある。
このような場合には、高濃度の黒鉛スラリーを調製する
ことができず、このため、電池缶中に負極材料としての
黒鉛量を高密度に充填することができず、その結果、電
池に必要な高エネルギー密度化を行うことができない。
【0007】従って、このような低濃度のスラリーを用
いて製造した電池はエネルギー密度が低いものであっ
た。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、リチウ
ムイオン二次電池の負極材料の製造に適した炭素材料を
種々検討した結果、放電容量が大きく、充放電速度が大
きく、かつサイクル寿命の長い炭素材料は、黒鉛の理論
格子定数に近い理論格子定数を持つ高結晶性黒鉛であ
り、かつその平均粒子径は50μm以下、好ましくは2
0μm以下の微粒子であることを知得した。
【0009】更に、本発明者らは黒鉛粒子の嵩密度を高
くすることにより、黒鉛粒子と溶剤との混練性を改善で
き、従って負極成形時の黒鉛スラリー中の黒鉛濃度を高
くすることができ、これにより電池の高エネルギー密度
化を達成できることを知得した。
【0010】また、本発明者らは負極材料製造用の黒鉛
スラリーの高濃度化はスラリー調製装置の改良によって
も達成できるが、最も工程的に容易、かつ低コストな方
法は嵩密度の高い黒鉛を用いることにより達成できると
考えた。
【0011】本発明は上記知見に基づきなされたもの
で、その目的とするところは、高結晶性、微粒子である
ことに加え、高い嵩密度を有し、溶剤との混練性に優れ
たリチウムイオン二次電池用負極材料、及びその製造方
法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明は、(1) 結晶格子定数Co(002)が
0.670〜0.673nmの黒鉛粒子を圧縮減容して
なり、嵩密度が0.3〜1.0g/cm3であることを
特徴とするリチウムイオン二次電池用負極材料を提案す
るもので、(2) 黒鉛粒子の平均粒径が1〜50μm
であること、(3) 黒鉛粒子が天然黒鉛をシェアスト
レスにより粉砕して得られる黒鉛粒子であることを含
む。
【0013】また本発明は(4) 黒鉛を粉砕して得ら
れる嵩密度が0.3g/cm3 未満の黒鉛粒子を圧縮減
容して嵩密度を0.3〜1.0g/cm3 とするこを特
徴とするリチウムイオン二次電池用負極材料の製造方法
であり、(5) 黒鉛の結晶格子定数Co(002)が
0.670〜0.673nmであること、(6) 黒鉛
粒子の平均粒径が1〜50μmであること、(7) 黒
鉛粒子が天然黒鉛をシェアストレスにより粉砕して得ら
れる黒鉛粒子であること、(8) 圧縮減容圧力が0.
2〜10kg/cm2であることを含む。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0015】本発明のリチウムイオン二次電池用負極材
料は、黒鉛粒子の集合体(二次粒子化されたもの)で構
成された所定の性状の炭素材料である。
【0016】本発明の負極材料の製造に用いる炭素原料
は、高結晶性の黒鉛粒子である。この黒鉛粒子の002
面の結晶格子定数Co(002)は0.670〜0.6
73nmであることが望ましい。結晶格子定数Co(0
02)が0.673nmを超える場合、リチウムイオン
のドーピング量が低下し、十分な充電量が得られない結
果、リチウムイオン二次電池の放電電気容量が低下す
る。
【0017】本発明に用いる高結晶性黒鉛粒子として
は、天然黒鉛、人造黒鉛のいずれを用いても良いが、結
晶性の高さと、入手の容易さとから、天然黒鉛が好まし
い。黒鉛はそのまま粉砕して黒鉛粒子とすることができ
るが、公知の方法で一旦膨張黒鉛としてから、これを粉
砕して黒鉛粒子とすることもできる。
【0018】黒鉛の粉砕の方法としてはボールミル、振
動ボールミル、ハンマーミルのように黒鉛に衝撃を加え
て粉砕する方法があるが、これらの方法で黒鉛を粉砕す
ると、黒鉛の結晶格子定数が容易に0.763nmを超
える値になるため、これらの粉砕方法は好ましい粉砕方
法とはいえない。
【0019】黒鉛の好ましい粉砕方法としてはジェット
ミル、回転式円盤状砥石を粉砕メディアとするマイクロ
ミル、回転体を粉砕メディアとするターボミル等の如く
黒鉛にシェアストレスを与えながら粉砕する方法であ
り、この粉砕方法によれば黒鉛の結晶格子定数を変化さ
せることなく、即ち高い結晶性を破壊することなく黒鉛
を微粒子化することができる。
【0020】粉砕は乾式、湿式を問わず実施することが
できる。また膨張黒鉛を湿式で超音波を用いて粉砕する
方法も有効なものである。
【0021】上記方法等により粉砕して製造した黒鉛粒
子の好ましい平均粒子径は50μm以下、更に好ましく
は20μm以下であり、且つ1μm以上である。
【0022】黒鉛粒子径が50μmよりも大きくなる
と、これを用いて製造する負極材料の初期放電効率は高
いものの、放電量が低くなる傾向にある。また、粒子径
が1μmよりも小さくなると、放電量は大きくなるもの
の、初期放電効率が低下する傾向にある。
【0023】本発明の負極材料は、上記黒鉛粒子を軽度
に二次粒子化して減容することにより製造できる。
【0024】ここで、二次粒子化するとは、2以上の黒
鉛粒子が何らかの作用で集合体を形成している状態にす
ることを示し、粒子数の上限に特に制限は無い。
【0025】上記黒鉛粒子を軽度に二次粒子化し、嵩密
度の高い負極材料とする方法は、例えば上記黒鉛粒子を
粘結剤を用いることなく圧縮する方法や、粘結剤を用い
て造粒する方法等がある。本発明において最も好ましい
方法は、粘結剤を用いることなく黒鉛粒子を圧縮し減容
する方法である。なかでもロールコンパクター、ロール
プレス、プリケット機、及びタブレット機による圧縮減
容は効果的である。また、必要があればロールに彫り込
まれたパターン(ポケット)どおりに黒鉛粒子を圧縮減
容と同時に成形することも可能である。また、黒鉛粒子
間に存在する空気を排気し、真空プレスする方法も効果
的である。
【0026】圧縮圧力は0.2〜10kg/cm2が好
ましく、特に2〜5kg/cm2が好ましい。
【0027】黒鉛粒子を圧縮減容し、さらに必要により
成形する方法として、1軸又は多軸の押出成形機を用い
る方法、垂直押出造粒機、底部排出型のフレットミルを
圧縮減容成形機として用いることも可能である。さらに
は圧縮型錠剤成形機(打錠機)を用いることも有効であ
る。
【0028】また、フィツミル、スピードミル、ピング
ラニュレーターを用いて圧縮減容後、適当な形状、大き
さに破砕することにより造粒することもできる。
【0029】粘結剤を用いて造粒する方法においては、
公知の粘結剤を用いて公知の造粒方法を黒鉛粒子に適用
することにより、黒鉛粒子の減容化を図ることができ
る。
【0030】以上の方法のうち、粘結剤を用いることな
く黒鉛粒子を圧縮減容する方法により製造した負極材料
は特に好ましいもので、粘結剤を用いていないため、ス
ラリー調製時、特に容易に溶剤に分散させることができ
る。また圧縮減容時に加える圧力も0.2〜10kg/
cm2 程度であり、この圧力は結晶を破壊するほどには
大きくないため、高結晶性の黒鉛粒子が本来有する高い
放電量と高速充放電特性を併せ持ち、さらに負極の黒鉛
密度を高めることができるため、高いエネルギー密度の
リチウムイオン二次電池を製造することができ、特に好
ましいものである。
【0031】上記のようにして黒鉛粒子を減容すること
により、嵩密度が0.3〜1g/cm3、好ましくは
0.4〜0.9g/cm3の本発明負極材料を得ること
ができる。
【0032】上記の圧縮減容された黒鉛粒子からなる負
極材料を用いてリチウムイオン二次電池の負極を調製す
る方法は特に限定されないが、例えばバインダー(例え
ばPVDF)を溶解した溶剤(例えば1ーメチルー2ー
ピロリドン)に負極材料を加え、十分に混練することに
より、黒鉛粒子濃度60wt%以上の高濃度黒鉛粒子ス
ラリーを調製することができる。この黒鉛粒子スラリー
を金属箔からなる集電体に通常ドクターブレードを用い
て20〜100μmの厚みにコーティングする。金属箔
上の黒鉛粒子スラリーは乾燥することにより金属箔集電
体に固着する。必要があれば、加圧して密着性を高め、
かつコーティング層厚みを均一化することもできる。
【0033】バインダーは公知の材料、例えば各種ピッ
チ、ポリテトラフルオロエチレン等を用いることができ
るが、なかでもポリビニリデンフルオライド(PVD
F)が最適である。黒鉛粒子とバインダーの混合比(重
量比)は100:2〜100:10とすることが望まし
い。
【0034】電池の正極を構成する材料は特に限定され
ないがLiCoO2 ,LiNiO2,LiMn24等や
これらの混合物が好適である。粉末状の正極材料は、必
要があれば導電材を加え、バインダーを溶解した溶剤と
十分に混練後、集電体とともに成形して調製することが
できる。これらは公知の技術である。
【0035】またセパレーターについても、特に限定は
なく、公知の材料を用いることができる。
【0036】電池に用いる非水系溶媒としては、リチウ
ム塩を溶解できる非プロトン性低誘電率の公知の溶媒が
好ましい。例えば、エチレンカーボネイト、ジメチルカ
ーボネイト、プロピレンカーボネイト、ジエチレンカー
ボネイト、アセトニトリル、プロピオニトリル、テトラ
ヒドロフラン、γーブチロラクトン、2ーメチルテトラ
ヒドロフラン、1,3ージオキソラン、4ーメチルー
1,3ージオキソラン、1,2ージメトキシエタン、
1,2ージエトキシエタン、ジエチルエーテル、スルホ
ラン、メチルスルホラン、ニトロメタン、N,Nージメ
チルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の溶媒を、
単独で又は二種類以上を混合して用いることができる。
【0037】電池に用いる電解質としてのリチウム塩に
はLiCIO4,LiAsF5,LiPF6,LiBF4
LiB(C65 )、LiCI、LiBr,CH3SO3
Li,CF3SO3Li等があり、これらの塩を単独、あ
るいは二種以上を混合して用いることができる。
【0038】なお、各物性値は以下の方法で測定した。
【0039】嵩密度: 嵩密度は100mlのガラス製
メスシリンダーに黒鉛粒子を入れてタッピングし、試料
の容積が変化しなくなったところで試料容積を測定し、
試料重量を試料容積で除した値を嵩密度とした。
【0040】結晶格子定数Co(002):東芝製X線
回折装置XCー40Hを用い、CuーKα線をNiで単
色化し、高純度シリコンを標準物質として学振法で測定
した。
【0041】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に具体的に説
明する。
【0042】(実施例1)灰分0.4重量%の中国産鱗
片状黒鉛をコンダックス社製CGS16型ジェトミルで
粉砕した。得られた黒鉛粒子の平均粒子径は9.2μm
であった。同黒鉛粒子の結晶格子定数Co(002)は
0.6703nm、嵩密度は0.212g/cm3 であ
った。同黒鉛粒子を金属平板とゴムローラーとからなる
ロールプレス加圧シリンダーに入れ、一方向からプレス
して圧縮減容し、本発明負極材料を得た。最終圧力は2
kg/cm2であった. (実施例2)実施例1と同様にして本発明負極材料を得
た。但し、プレス最終圧力は9kg/cm2であった。
【0043】(実施例3)実施例1において粉砕して得
た黒鉛粒子を綾目ローラーコンペクターに入れ、一方向
から圧縮圧(線圧力)2.5ton/cmでプレスして
本発明負極材料を得た。なお、ロールギャップは0.5
mmであった。
【0044】(比較例1)実施例1で製造した圧縮減容
する前の黒鉛粒子をそのまま用いた。
【0045】黒鉛粒子を圧縮減容化して得た本発明の負
極材料(実施例1、実施例2、実施例3)と、圧縮減容
する前の黒鉛粒子(比較例1)との物性を表1に示し
た。
【0046】
【表1】 (比較例2)実施例1で製造した黒鉛粒子を、ナフタレ
ンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物(粘結剤)の20
重量%水溶液中に浸漬し、次いでこの水溶液と黒鉛粒子
とからなるスラリーを130℃で2時間撹拌しながら乾
燥させた。その後、1050℃で3時間炭化し、下記負
極材料を得た。
【0047】黒鉛80重量%、炭素20% 嵩密度 0.575g/cm3 二次粒子平均粒子径0.0354mm 実施例1〜3の黒鉛粒子を圧縮減容化した負極材料と、
比較例1の圧縮減容化する前の黒鉛粒子と、比較例2の
負極材料とを用いて電極を調製し、それぞれのリチウム
イオン二次電池の負極としての基本的な性状を測定し
た。測定条件を表2に、またその測定結果を表3に示し
た。
【0048】
【表2】
【0049】
【表3】 表1、3から明らかなように、減容化前後により黒鉛粒
子の性状の変化が無いことがわかる。また、表3から明
らかなように、粘結剤を用いて造粒した比較例2の負極
材料は効率が低い。
【0050】(実電池の製作例)正極活物質としてLi
CoO2と導電材として人造黒鉛とを9:1(重量基
準)で混合し、PVDF5重量%溶液に分散させてLi
CoO2スラリーを調製した。同スラリーをドクタープ
レードを用いてアルミニウム箔上に厚さ50μmで塗布
した後、130℃で2時間乾燥して正極を調製した。
【0051】実施例3で製造した負極材料(本発明圧縮
減容化黒鉛粒子)をPVDF5重量%の1ーメチルー2
ーピロリドン溶液に分散させて、黒鉛濃度65重量%の
スラリーを調製した。得られた黒鉛粒子の高濃度スラリ
ーをドクターブレードを用いて銅箔上に厚さ50μmに
塗布し、130℃で2時間乾燥して負極を調製した。セ
パレーター(セラニーズ社製セルガード)を介して正極
と負極を巻き取り、これを負極のステンレス缶に入れ、
電解質として1M/l濃度のLiPF6を溶解したエチ
レンカーボネイトとジメチルカーボネイト(体積比2:
1)の溶液を負極缶に注入した後、正極蓋をし、リチウ
ムイオン二次電池を製作した。
【0052】本電池は200mAで4.2Vと2.7V
の間で充放電を行った。その結果、本電池の容積エネル
ギー密度は360wh/lであった。また、500回の
充放電を行った。500回目の放電量は初回の放電量の
85%であった。
【0053】一方、圧縮減容を行わなかった低嵩密度の
黒鉛粒子は、スラリー調製時に所定の黒鉛量を溶剤で濡
らすことができず、スラリー中の黒鉛濃度は20重量%
となり次工程に進めることができなかった。
【0054】
【発明の効果】リチウムイオン二次電池用負極材料とし
て用いられる炭素材料がC5Li なる理論値どおりの黒鉛
ーリチウム層間化合物を形成するためには、黒鉛の結晶
性は極めて高いことが望まれる。かつ迅速な充放電が行
われるためには黒鉛は微粒子であることが望ましい。本
発明負極材料においては、高い結晶性を損なうことなく
微粒子化した黒鉛粒子を減容することにより、黒鉛粒子
の嵩密度を高め、これにより溶媒に対する濡れ性を向上
させるものである。その結果、この負極材料を成形して
電極に用いると、ほぼ理論値どおりの放電量が得られ、
かつ二次電池用負極として用いた場合、負極の黒鉛濃度
を高くすることができるため、エネルギー密度の高いリ
チウムイオン二次電池を製造することが可能となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 坂田 康二 東京都中央区日本橋室町2丁目1番1号 三井鉱山株式会社内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 結晶格子定数Co(002)が0.67
    0〜0.673nmの黒鉛粒子を圧縮減容してなり、嵩
    密度が0.3〜1.0g/cm3であることを特徴とす
    るリチウムイオン二次電池用負極材料。
  2. 【請求項2】 黒鉛粒子の平均粒径が1〜50μmであ
    る請求項1に記載の負極材料。
  3. 【請求項3】 黒鉛粒子が天然黒鉛をシェアストレスに
    より粉砕して得られる黒鉛粒子である請求項1又は2に
    記載の負極材料
  4. 【請求項4】 黒鉛を粉砕して得られる嵩密度が0.3
    g/cm3 未満の黒鉛粒子を圧縮減容して嵩密度を0.
    3〜1.0g/cm3 とするこを特徴とするリチウムイ
    オン二次電池用負極材料の製造方法。
  5. 【請求項5】 黒鉛の結晶格子定数Co(002)が
    0.670〜0.673nmである請求項4に記載の負
    極材料の製造方法。
  6. 【請求項6】 黒鉛粒子の平均粒径が1〜50μmであ
    る請求項4又は5に記載の負極材料。
  7. 【請求項7】 黒鉛粒子が天然黒鉛をシェアストレスに
    より粉砕して得られる黒鉛粒子である請求項4乃至6の
    いずれかに記載の負極材料の製造方法。
  8. 【請求項8】 圧縮減容圧力が0.2〜10kg/cm
    2である請求項4乃至7のいずれかに記載の負極材料の
    製造方法。
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