JPH10309786A - フッ素系素材 - Google Patents

フッ素系素材

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JPH10309786A
JPH10309786A JP9135969A JP13596997A JPH10309786A JP H10309786 A JPH10309786 A JP H10309786A JP 9135969 A JP9135969 A JP 9135969A JP 13596997 A JP13596997 A JP 13596997A JP H10309786 A JPH10309786 A JP H10309786A
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JP
Japan
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fluorine
vinyl
copolymer
containing resin
film
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JP9135969A
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English (en)
Inventor
Tsuneo Yamashita
恒雄 山下
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Daikin Industries Ltd
Original Assignee
Daikin Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 殺菌、脱臭及び有機物分解作用を有する極め
て有用性の高い光触媒物質を効果的に存在させたフッ素
系素材を提供する。 【解決手段】 光触媒薄膜を表面に有してなるフッ素系
素材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、殺菌、脱臭及び有
機物分解作用を有するフッ素系素材に関する。
【0002】
【従来の技術】光触媒は、光を照射すると光励起により
伝導帯に電子を、価電子帯に正孔を生じ、この電子の持
つ還元力や正孔の持つ酸化力によって、殺菌、脱臭及び
有機物分解作用を生じることが知られている。このよう
な原理を応用して、光触媒作用を有する粒子を含有させ
た基材が、日常用品や建築建材等に広く活用されうる可
能性が示唆されている。
【0003】光触媒作用を有する粒子を基体上に接着さ
せ、又は、ある種のフッ素系ポリマーに光触媒粒子を固
定化させる方法は既に知られている。特開平4−284
851号公報には、光触媒粒子とフッ素系ポリマーとの
混合物を積層し圧着する方法が開示されている。特開平
4−334552号公報には、光触媒粒子をフッ素系ポ
リマーに熱融着する方法が開示されている。
【0004】しかしながら、これらの方法では、得られ
た塗膜が外圧によって剥がれやすい等接着強度が不充分
であり、また、高温で加熱する必要があるため、プラス
チック基材への適用が困難であったり、建築物への直接
適用が難しい等の欠点があった。更に、高温加熱処理に
伴い光触媒粒子の比表面積が低下してその機能が低下す
る欠点もあった。
【0005】特開平7−171408号公報には、難分
解性結着剤を介して光触媒粒子を基体上に接着させる技
術が開示されている。しかしながら、このようにして光
触媒粒子を基体中に接着させた場合、当該基体自体が光
触媒作用の対象となって劣化するという欠点があった。
【0006】特開平8−290516号公報には、フッ
素樹脂のフィルムに、光触媒作用を有する酸化チタン粒
子を熔射法により固定させる技術が開示されている。し
かしながら、フッ素樹脂フィルムにこのような熔射法に
より光触媒粒子を固定化させることは困難であることが
判っている。
【0007】光触媒作用物質が上述したような良好な効
果を有することは判っていたが、これをフッ素系素材に
含有させたときには、光触媒作用物質はまた当該フッ素
系素材自体をも侵すという本質的な問題をもっていた。
そこでフッ素系素材に対しては影響を与えず、しかも良
好な光触媒作用を維持する物質が待望されていた。
【0008】光触媒作用物質、特に酸化チタンについて
は、その薄膜を形成させる技術が、特開平3−1644
31号公報、特開平1−129032号公報等に開示さ
れているが、これらの技術をフッ素系素材に適用させる
ことによりフッ素系素材の有する優れた耐候性、耐熱
性、耐薬品性、絶縁性、非接着性等を活かしながら、か
つ殺菌作用や脱臭作用をも併せ有する素材についての技
術は存在しなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上記のような現状に鑑
み、本発明は、殺菌、脱臭及び有機物分解作用を有する
極めて有用性の高い光触媒物質を効果的に存在させたフ
ッ素系素材を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、光触媒薄膜を
表面に有してなることを特徴とするフッ素系素材であ
る。上記光触媒薄膜を構成する光触媒物質としては、光
触媒作用を有するものであれば特に限定されず、例え
ば、金属化合物等を挙げることができる。上記金属化合
物としては、例えば、TiO2 (酸化チタン)、CdS
e、SrTiO3 、SriO3 、TO2 、CdS、Cd
Te、CdSe、Si、WO3 、Fe2 3 、MO
2 、Al2 3 等を挙げることができ、これらの混合
物であってもよい。なかでも、酸化チタンが好ましく、
アナターゼ型であってもルチル型であってもよいが、ア
ナターゼ型がより好ましい。
【0011】上記光触媒薄膜の調製方法については、本
発明のフッ素系素材についての説明を終えた後に詳述す
ることとし、以下に、本発明のフッ素系素材について説
明する。本発明のフッ素系素材の第一は、フッ素系塗料
であり、第二は、フッ素樹脂成形体、特にフッ素系フィ
ルムであり、第三は、フッ素系テント膜である。以下、
それぞれについて説明する。
【0012】本発明のフッ素系素材の第一は、フッ素系
塗料である。上記フッ素系塗料は、フルオロオレフィン
を素材とし、これらの単独重合体、共重合体、これらと
共重合体可能なモノマーとの共重合体等を含むものであ
り、被膜形成性を有するものである。上記フルオロオレ
フィンとしては特に限定されず、例えば、フッ化ビニル
(VF)、ビニリデンフルオライド(VdF)、テトラ
フルオロエチレン(TFE)、トリフルオロエチレン
(TrFE)、クロロトリフルオロエチレン(CTF
E)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)等を挙げる
ことができる。
【0013】本発明のフッ素系塗料は、以下の四つに大
別できる。第一のフッ素系塗料(A)は、フッ素系樹脂
及びアクリル樹脂からなるフッ素含有樹脂、又は、フッ
素系樹脂のみからなるフッ素含有樹脂である。第二のフ
ッ素系塗料(B)は、含フッ素系重合体と硬化剤とを有
機溶媒に溶解せしめてなる組成物である。第三のフッ素
系塗料(C)は、VdF、TFE及びプロピレンを共重
合して得られるフッ素系エラストマーである。第四のフ
ッ素系塗料(D)は、ポリテトラフルオロエチレン(P
TFE)及び/又はTFE/HFP共重合(FEP)の
ディスパージョンである。以下に、第一のフッ素系塗料
(A)について説明する。上記フッ素系塗料(A)は、
フッ素系樹脂及びアクリル樹脂からなるフッ素含有樹
脂、又は、フッ素系樹脂のみからなるフッ素含有樹脂で
ある。上記フッ素含有樹脂とは、本明細書においては、
含フッ素樹脂水性分散体からなるか、又は、当該含フ
ッ素樹脂水性分散体とアクリル樹脂とから得られるフッ
素含有樹脂(1)、有機溶剤可溶性含フッ素樹脂その
ものか、又は、当該有機溶剤可溶性含フッ素樹脂にアク
リル樹脂を混合してなる有機溶剤可溶性フッ素含有樹脂
(2)、並びに、フルオロオレフィンと特定のビニル
単量体との共重合体からなるか、又は、当該共重合体に
アクリル樹脂を混合してなるフッ素含有樹脂(3)、の
三つに大別することができる。以下、上記三つのフッ素
含有樹脂について説明する。
【0014】含フッ素樹脂水性分散体からなるか、又
は、含フッ素樹脂水性分散体とアクリル樹脂とから得ら
れるフッ素含有樹脂(1) 上記フッ素含有樹脂の第一は、含フッ素樹脂水性分散体
からなるか、又は、当該含フッ素樹脂水性分散体とアク
リル樹脂とから得られるフッ素含有樹脂(1)である。
上記フッ素含有樹脂(1)は、以下の六つに大別するこ
とができる。アクリル樹脂をシード重合した含フッ素樹
脂水性分散体から得られるフッ素含有樹脂(1−1)。
上記フッ素含有樹脂(1−1)にアクリル樹脂を混合し
て得られるフッ素含有樹脂(1−2)。その他の含フッ
素樹脂水性分散体にアクリル樹脂を混合して得られるフ
ッ素含有樹脂(1−3)。上記フッ素含有樹脂(1−
1)の調製に用いられた含フッ素樹脂水性分散体であっ
てアクリル樹脂をシード重合していないものにアクリル
樹脂を混合して得られるフッ素含有樹脂(1−4)。上
記フッ素含有樹脂(1−3)の調製に用いられたその他
の含フッ素樹脂水性分散体からなるフッ素含有樹脂(1
−5)。上記フッ素含有樹脂(1−1)の調製に用いら
れた含フッ素樹脂水性分散体であってアクリル樹脂をシ
ード重合していないものからなるフッ素含有樹脂(1−
6)。上記フッ素含有樹脂(1)のうち、まず、フッ素
含有樹脂(1−1)について説明する。上記フッ素含有
樹脂(1−1)は、アクリル樹脂をシード重合した含フ
ッ素樹脂水性分散体から得られるフッ素含有樹脂であ
る。上記含フッ素樹脂水性分散体は、含フッ素樹脂粒子
の存在下に、アクリル系単量体により水性媒体中でフッ
素系複合樹脂を形成させることにより得られる。上記水
性媒体としては特に限定されず、水に後に詳述する添加
剤や溶剤等を添加したもの等を挙げることができる。
【0015】上記含フッ素樹脂粒子を構成する含フッ素
樹脂は、フルオロオレフィンの共重合体である。上記フ
ルオロオレフィンの共重合体は、水性媒体中においては
粒子状で分散されており、上記アクリル系単量体により
フッ素系複合樹脂を形成するときには、いわゆるシード
重合により重合される。本明細書においては、「シード
重合」とは、樹脂粒子の存在する水性媒体中において他
の単量体と重合する反応を意味する。上記フッ素系複合
樹脂は、従って、上記シード重合後のシード重合体を意
味し、上記樹脂粒子は、シード重合におけるシード粒子
を意味する。
【0016】上記フルオロオレフィンの共重合体として
は、VdF/TFE共重合体、VdF/CTFE共重合
体、VdF/HFP共重合体、TFE/CTFE共重合
体、TFE/HFP共重合体、CTFE/HFP共重合
体、VdF/TFE/CTFE共重合体、VdF/TF
E/HFP共重合体、TFE/CTFE/HFP共重合
体、VdF/CTFE/HFP共重合体、VdF/TF
E/CTFE/HFP共重合体等を挙げることができ
る。
【0017】上記シード粒子を構成するフルオロオレフ
ィンの共重合体としては、VdF系共重合体が好まし
く、更にVdFを70モル%以上含んでなる重合体が好
ましい。VdFが70モル%以上であると、シード粒子
とアクリル系単量体からなる重合体との相溶性がよくな
る。上記シード粒子の平均粒子径は、シード重合後のフ
ッ素系複合樹脂の平均粒子径と密接に関連しており、シ
ード重合後のフッ素系複合樹脂の平均粒子径を50〜3
00nmとするため、40〜290nmにすることが好
ましい。
【0018】上記シード粒子を構成する共重合体は、通
常の乳化重合法によって得ることができる。例えば、親
水性部位を有するフッ素系反応性乳化剤を水に対して
0.01〜1.0重量%、フッ素系乳化剤を0〜1.0
重量%それぞれ共存させて、フルオロオレフィンを含む
単量体混合物を乳化重合させることにより調製すること
ができる。また、水に対して1.0重量%以下、好まし
くは0.5重量%以下、より好ましくは0.2重量%以
下(下限は通常0.01重量%)のフッ素系界面活性剤
と水に対して0.001〜0.1重量%、好ましくは
0.01〜0.05重量%のノニオン性非フッ素系界面
活性剤との共存下にフルオロオレフィンを含む単量体混
合物を乳化重合させることにより調製することができ
る。これらの方法により得られた水性分散液は、平均粒
子径0.2μm以下のシード粒子を30〜50重量%の
高濃度で安定に含むことができる。
【0019】上記親水性部位を有するフッ素系反応性乳
化剤としては、例えば、CF2 =CF−(CF2 CF
X)n Y(式中、Xは、F又はCF3 、Yは、SO
3 M、COOM(Mは、水素原子、アミン、アンモニウ
ム又はアルカリ金属)、nは、整数を表す。)、CF2
=CF−O(CFX)n (式中、X、Y、nは前記と同
じ。)、CH2 =CF−CF2 −O(CF(CF3 )C
2 O)n −CF(CF3 )Y(式中、Y、nは、前記
と同じ。)、CF2 =CF−CF2 −O(CF(C
3 )CF2 O)n −CF(CF3 )Y(式中、Y、n
は、前記と同じ。)で表される構造を有するもの等を挙
げることができが、水への溶解性と界面活性の点から、
nは0〜3の範囲にあるものが好ましい。より具体的に
は、CF2 =CF−CF2 −O(CF(CF3 )CF2
O)n −CF(CF3 )COOHの構造で、nが0〜2
のものが用いられる。
【0020】重合温度は、20〜120℃、好ましくは
30〜70℃である。重合温度が20℃より低いと概し
て生成ラテックスの安定性が低くなり、重合温度が12
0℃より高いと連鎖移動による重合速度の失速が起こる
傾向がある。重合は、重合体の種類にもよるが、通常、
1.0〜50kgf/cm2 (ゲージ圧)の加圧下に5
〜100時間加熱されて行われる。上記シード粒子の乳
化重合に用いられる上記フッ素系乳化剤としては、構造
中にフッ素原子を含み界面活性能を有する化合物の1種
又は2種以上の混合物等を挙げることができる。例え
ば、X(CF2 n COOH(nは、6〜20の整数、
Xは、F又は水素原子を表す。)で表される酸及びその
アルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩又は第四ア
ンモニウム塩;Y(CH2 CF2 m COOH(mは、
6〜13の整数、Yは、F又は塩素原子を表す。)で表
される酸及びそのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、ア
ミン塩又は第四アンモニウム塩等を挙げることができ
る。より具体的には、パーフルオロオクタン酸のアンモ
ニウム塩、パーフルオロノナン酸のアンモニウム塩等を
挙げることができる。その他、公知のフッ素系界面活性
剤を使用することもできる。
【0021】シード粒子を得るときの乳化重合において
は、フッ素系界面活性剤の存在下少量のノニオン性非フ
ッ素系界面活性剤も用いることができ、その具体例とし
ては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオ
キシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシ
エチレンアルキルエステル類、ソルビタンアルキルエス
テル類、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステ
ル類、グリセリンエステル類及びその誘導体等を挙げる
ことができる。
【0022】より具体的には、ポリオキシエチレンアル
キルエーテル類としては、ポリオキシエチレンラウリル
エーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオ
キシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレン
オレイルエーテル、ポリオキシエチレンベヘニルエーテ
ル等を挙げることができ、ポリオキシエチレンアルキル
フェニルエーテル類としては、ポリオキシエチレンノニ
ルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェ
ニルエーテル等を挙げることができ、ポリオキシエチレ
ンアルキルエステル類としては、モノラウリル酸ポリエ
チレングリコール、モノオレイン酸ポリエチレングリコ
ール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール等を挙
げることができ、ソルビタンアルキルエステル類として
は、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モ
ノパルミチン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノス
テアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノオレイ
ン酸ポリオキシエチレンソルビタン等を挙げることがで
き、グリセリンエステル類としては、モノミリスチン酸
グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、モノオレイ
ン酸グリセリル等を挙げることができる。またこれらの
誘導体としては、ポリオキシエチレンアルキルアミン、
ポリオキシエチレンアルキルフェニル−ホルムアルデヒ
ド縮合物、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸
塩等を挙げることができる。特に好ましいものは、ポリ
オキシエチレンアルキルエーテル類及びポリオキシエチ
レンアルキルエステル類であって、HLB値が10〜1
8のものであり、具体的には、ポリオキシエチレンラウ
リルエーテル(EO:5〜20。EOはエチレンオキシ
ドユニット数を表す。)、モノステアリン酸ポリエチレ
ングリコール(EO:6〜10)である。
【0023】本発明に係る上記アクリル系単量体として
は特に限定されず、例えば、アルキル基の炭素数が1〜
18のアクリル酸アルキルエステル、アルキル基の炭素
数が1〜18のメタクリル酸アルキルエステル、これら
と共重合可能なエチレン性不飽和結合を有する単量体等
を挙げることができる。
【0024】上記アルキル基の炭素数が1〜18のアク
リル酸アルキルエステルとしては、例えば、アクリル酸
メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、
アクリル酸i−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アク
リル酸i−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸
2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アク
リル酸n−ヘキシル、アクリル酸t−ブチルシクロヘキ
シル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ラウリル等を
挙げることができる。
【0025】上記アルキル基の炭素数が1〜18のメタ
クリル酸アルキルエステルとしては、例えば、メタクリ
ル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プ
ロピル、メタクリル酸i−プロピル、メタクリル酸n−
ブチル、メタクリル酸i−ブチル、メタクリル酸t−ブ
チル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸
シクロヘキシル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリ
ル酸t−ブチルシクロヘキシル、メタクリル酸ステアリ
ル、メタクリル酸ラウリル等を挙げることができる。
【0026】また、耐溶剤性、耐水性向上の目的で、エ
チレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコ
ールジメタクリレート等の多官能性単量体を共重合する
こともできる。上記アクリル酸エステル、上記メタクリ
ル酸エステルと共重合可能なエチレン性不飽和結合を有
する単量体としては、下記(I)及び下記(II)等を
挙げることができる。
【0027】(I)反応性を有する官能基を持つ単量
体、例えば、マレイン酸、無水イタコン酸、無水コハク
酸、クロトン酸等のエチレン性不飽和カルボン酸類;ア
クリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリル
アミド、N−メチロールアクリルアミド、N−ブトキシ
メチルアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミ
ド、N−メチルメタクリルアミド、N−ブトキシメチル
メタクリルアミド等のアミド化合物;アクリル酸ヒドロ
キシエチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル
酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ヒドロキシプロピ
ル等の水酸基含有単量体;アクリル酸グリシジル、メタ
クリル酸グリシジル等のエポキシ基含有単量体;γ−ト
リメトキシシランメタクリレート、γ−トリエトキシシ
ランメタクリレート等のシラノール基含有単量体;アク
ロレイン等のアルデヒド基含有単量体;カプロラクトン
変性ヒドロキシアクリレート、カプロラクトン変性ヒド
ロキシメタクリレート。
【0028】(II)その他ビニル化合物、例えば、エ
チレン、プロピレン、イソブチレン等のαオレフィン
類;エチルビニルエーテル(EVE)、シクロヘキシル
ビニルエーテル(CHVE)、ヒドロキシブチルビニル
エーテル(HBVE)、ブチルビニルエーテル、イソブ
チルビニルエーテル、メチルビニルエーテル、ポリオキ
シエチレンビニルエーテル等のビニルエーテル類;ポリ
オキシエチレンアリルエーテル、エチルアリルエーテ
ル、ヒドロキシエチルアリルエーテル、アリルアルコー
ル、アリルエーテル等のアルケニル類;酢酸ビニル、乳
酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビ
ニル、VEOVA9、VEOVA10(シェル社製)等
のビニルエステル類;無水イタコン酸、無水コハク酸、
クロトン酸等のエチレン性不飽和カルボン酸類;スチレ
ン、αメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン
等の芳香族ビニル化合物類;アクリロニトリル等。
【0029】上記アクリル酸エステル、上記メタクリル
酸エステルと共重合可能なエチレン性不飽和結合を有す
る単量体として、親水性部位を含む低分子量のポリマー
又はオリゴマーを分子中に含む化合物を用いることもで
きる。上記親水性部位とは、親水性基を有する部位又は
親水性の結合を有する部位、及び、これらの組み合せか
らなる部位を意味する。上記親水性基は、イオン性、非
イオン性、両性及びこれらの組合せのいずれであっても
よいが、非イオン性、アニオン性の親水性基が好まし
い。また、公知の反応性乳化剤であってもよい。
【0030】上記アクリル酸エステル、上記メタクリル
酸エステルと共重合可能なエチレン性不飽和結合を有す
る単量体、反応性乳化剤としては、例えば、ポリエチレ
ングリコールメタクリレート、ポリプロピレングリコー
ルメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールメ
タクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、
ポリプロピレングリコールアクリレート、メトキシポリ
エチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコ
ールアリルエーテル、メトキシポリエチレングリコール
アリルエーテル、ポリエチレングリコールポリプロピレ
ングリコールモノメタクリレート、ポリエチレングリコ
ールポリテトラメチレングリコールモノメタクリレー
ト、ポリオキシエチレンアルキルアリルフェニルエーテ
ル、ポリオキシエチレンアルキルアリルフェニルエーテ
ル硫酸塩、スチレンスルホン酸塩、アリルアルキルスル
ホン酸塩、ポリエチレングリコールメタクリレート硫酸
塩、アルキルアリルスルホコハク酸塩、ビス(ポリオキ
シエチレン多環フェニルエーテル)メタクリレート化硫
酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエ
ーテルアクリル酸エステル、メタクリロイルオキシポリ
オキシアルキレン硫酸エステル塩、メタクリロイルオキ
シアルキレン硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンビニ
ルエーテル、ポリオキシエチレンビニルエステル等を挙
げることができる。
【0031】本発明において、上記アクリル系単量体を
含フッ素樹脂粒子の存在下にシード重合させると、まず
上記アクリル系単量体の含フッ素樹脂への膨潤が起こ
り、この時点で上記アクリル系単量体が均一溶解した含
フッ素共重合体の水性分散体の状態となる。その後、重
合開始剤を添加することによって上記アクリル系単量体
が重合し、分子鎖のからまりあった相溶体粒子が形成さ
れる。上記アクリル系単量体が多官能性である場合に
は、相互侵入網目構造(IPN)を形成することもでき
る。上記多官能性アクリル系単量体としては、例えば、
モノグリコールジメタクリレート、ジグリコールジメタ
クリレート等を挙げることができる。
【0032】上記アクリル系単量体のシード重合は、公
知の方法、例えば、含フッ素樹脂粒子の存在下に反応系
にアクリル系単量体の全量を一括して仕込む方法、アク
リル系単量体の一部を仕込み反応させた後、残りを連続
又は分割して仕込む方法、アクリル系単量体の全量を連
続して仕込む方法等によって行うことができる。また、
上記シード重合の重合条件は、通常の乳化重合と同様で
あって、例えば、含フッ素樹脂粒子を含む水性媒体中
に、界面活性剤、重合開始剤、連鎖移動剤、場合によっ
てはキレート化剤、pH調整剤及び溶剤等を添加し、1
0〜90℃の温度で0.5〜6時間反応を行うことによ
り重合することができる。
【0033】上記界面活性剤としては、アニオン性、ノ
ニオン性又はアニオン性−ノニオン性の組み合せを用い
ることができ、場合によっては両性界面活性剤を用いる
こともできる。上記アニオン性界面活性剤としては、例
えば、高級アルコール硫酸エステル、アルキルスルホン
酸ナトリウム塩、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウ
ム塩、コハク酸ジアルキルエステルスルホン酸ナトリウ
ム塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリ
ウム塩等の炭化水素系アニオン性界面活性剤のほか、フ
ルオロアルキルカルボン酸塩、フルオロアルキルスルホ
ン酸塩、フルオロアルキル硫酸エステル等の含フッ素ア
ニオン性界面活性剤等を挙げることができる。
【0034】上記ノニオン性界面活性剤としては、例え
ば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキ
シエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエ
チレンアルキルエステル類、ポリオキシエチレンアルキ
ルフェニルエステル類、ソルビタンアルキルエステル
類、グリセリンエステル類及びその誘導体等を挙げるこ
とができる。上記両性界面活性剤としては、例えば、ラ
ウリルベタイン等を挙げることができる。
【0035】また、上記界面活性剤として、アクリル系
単量体と共重合可能な、いわゆる反応性乳化剤等を用い
ることができ、更に、このような反応性乳化剤と上記乳
化剤とを併用することもできる。上記界面活性剤の使用
量は、通常、アクリル系単量体100重量部あたり、
0.05〜5.0重量部である。
【0036】上記シード重合の際に用いる重合開始剤と
しては、水性媒体中でフリーラジカル反応に供し得るラ
ジカルを20〜90℃の間で発生するものであれば特に
限定されず、場合によっては、還元剤と組み合せて用い
ることも可能である。このようなものとして、通常水溶
性の重合開始剤としては、過硫酸塩、過酸化水素、還元
剤としては、ピロ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナト
リウム、L−アスコルビン酸ナトリウム、ロンガリット
等を挙げることができる。油溶性の重合開始剤として
は、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート(IP
P)、過酸化ベンゾイル、過酸化ジブチル、アゾビスイ
ソブチロニトリル(AIBN)等を挙げることができ
る。上記重合開始剤の使用量は、通常、アクリル系単量
体100重量部あたり、0.05〜2.0重量部であ
る。
【0037】上記シード重合の際に用いる連鎖移動剤と
しては、例えば、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲ
ン化炭化水素;n−ドデシルメルカプタン、tert−
ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン等の
メルカプタン類等を挙げることができる。上記連鎖移剤
の使用量は、通常、アクリル系単量体100重量部あた
り、0〜5.0重量部である。
【0038】上記溶剤は、作業性、防災安全性、環境安
全性、製造安全性を損なわない範囲内、例えば、20重
量%以下の範囲で用いられ、例えば、メチルエチルケト
ン、アセトン、トリクロロトリフルオロエタン、メチル
イソブチルケトン、シクロヘキサノン、メタノール、エ
タノール、プロパノール、ブタノール、エチルセロソル
ブ、ブチルセロソルブ、メチルカルビトール、エチルカ
ルビトール、ブチルカルビトール、ジオキサン、ブチル
カルビトールアセテート、テキサノール、酢酸エチル、
酢酸ブチル等を挙げることができる。このような溶剤の
添加によって含フッ素樹脂粒子へのアクリル系単量体の
膨潤性が改良されることがある。
【0039】本発明の含フッ素樹脂粒子の水性分散液中
での粒子径は、50〜300nmが好ましい。より好ま
しくは、50〜200nmである。上記粒子径が50n
m未満であると、濃度が実用的範囲である30%以上に
おいて含フッ素樹脂水性分散液の粘度が著しく増大し、
塗料化の作業に支障を来す。上記粒子径が300nmを
超えると、得られる含フッ素樹脂水性分散体の沈降安定
性が悪くなり、同じ組成の樹脂構成であっても、含フッ
素樹脂水性分散体の最低成膜温度の上昇を招くこととな
る。上記のようにして得られるフッ素含有樹脂(1−
1)中において、シード重合されたアクリル樹脂の総量
は、シード粒子を構成する樹脂100重量部に対して、
通常、10〜400重量部であり、好ましくは、5〜9
5重量部である。
【0040】以上でフッ素含有樹脂(1−1)の説明を
終えたので、次に、上記フッ素含有樹脂(1−1)にア
クリル樹脂を混合して得られるフッ素含有樹脂(1−
2)、その他の含フッ素樹脂水性分散体にアクリル樹脂
を混合して得られるフッ素含有樹脂(1−3)、上記フ
ッ素含有樹脂(1−1)の調製に用いられた含フッ素樹
脂水性分散体であってアクリル樹脂をシード重合してい
ないものににアクリル樹脂を混合して得られるフッ素含
有樹脂(1−4)、上記フッ素含有樹脂(1−3)の調
製に用いられたその他の含フッ素樹脂水性分散体からな
るフッ素含有樹脂(1−5)、及び、上記フッ素含有樹
脂(1−1)の調製で用いられた含フッ素樹脂水性分散
体であってアクリル樹脂をシード重合していないものか
らなるフッ素含有樹脂(1−6)について説明する。以
下、まず、その他の含フッ素樹脂水性分散体について説
明する。上記フッ素含有樹脂(1−3)を構成するその
他の含フッ素樹脂水性分散体は、水性媒体中に含フッ素
樹脂粒子が分散されてなる基本構造を有する。上記含フ
ッ素樹脂粒子を構成する含フッ素樹脂は、フルオロオレ
フィンとこれと共重合可能な単量体との共重合体からな
る含フッ素樹脂である。上記フルオロオレフィンとして
は特に限定されず、例えば、フッ化ビニル、VdF、T
FE、TrFE、CTFE、HFP等の炭素数2〜4程
度のフルオロオレフィン等を挙げることができる。
【0041】上記フルオロオレフィンと共重合可能な単
量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、イソブ
チレン等のオレフィン類;エチルビニルエーテル(EV
E)、シクロヘキシルビニルエーテル(CHVE)、ヒ
ドロキシブチルビニルエーテル(HBVE)、ブチルビ
ニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、メチルビニ
ルエーテル、ポリオキシエチレンビニルエーテル等のビ
ニルエーテル類;ポリオキシエチレンアリルエーテル、
エチルアリルエーテル、ヒドロキシエチルアリルエーテ
ル、アリルアルコール、アリルエーテル等のアルケニル
類;酢酸ビニル、乳酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸
ビニル、安息香酸ビニル、VEOVA9(シェル社
製)、VEOVA10(シェル社製)等のビニルエステ
ル類、無水イタコン酸、無水コハク酸、クロトン酸等の
エチレン性不飽和カルボン酸類等を挙げることができ
る。
【0042】上記フルオロオレフィンとこれと共重合可
能な単量体との共重合体としては特に限定されず、例え
ば、CTFE/ビニルエーテル共重合体、CTFE/ビ
ニルエステル共重合体、TFE/ビニルエーテル共重合
体、TFE/ビニルエステル共重合体、TFE/エチレ
ン共重合体、TFE/プロピレン共重合体、CTFE/
エチレン共重合体、CTFE/プロピレン共重合体、C
TFE/エチレン/ビニルエーテル共重合体、CTFE
/エチレン/ビニルエステル共重合体、及びそれらの共
重合体を少量の共重合可能な単量体により変性したもの
等を挙げることができる。
【0043】上記含フッ素樹脂水性分散体は、例えば、
溶剤中等で上記含フッ素樹脂粒子を構成する含フッ素樹
脂を重合して得た後、乳化剤の存在下、水中に分散し、
溶剤を留去する相転換法、上記含フッ素樹脂粒子を構成
する含フッ素樹脂の乳化重合を水性媒体中で行う方法等
を挙げることができが、溶剤の削減と工程の簡略化のた
めには、水性媒体中で乳化重合を行う方法が好ましい。
上記乳化重合は、通常行われる乳化重合と同様の方法に
より行うことができ、例えば、密閉容器中、水性媒体中
で、界面活性剤、重合開始剤、連鎖移動剤、場合によっ
てはキレート化剤、pH調整剤及び溶剤等の存在下、フ
ルオロオレフィン、フルオロオレフィンと共重合可能な
単量体等の単量体を10〜90℃の温度で0.5〜40
時間反応させることにより得ることができる。
【0044】上記界面活性剤としては、アニオン性、ノ
ニオン性又はアニオン性−ノニオン性の組み合せを用い
ることができ、場合によっては両性界面活性剤を用いる
こともできる。上記アニオン性界面活性剤としては、例
えば、高級アルコール硫酸エステル、アルキルスルホン
酸ナトリウム塩、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウ
ム塩、コハク酸ジアルキルエステルスルホン酸ナトリウ
ム塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリ
ウム塩等の炭化水素系アニオン性界面活性剤のほか、フ
ルオロアルキルカルボン酸塩、フルオロアルキルスルホ
ン酸塩、フルオロアルキル硫酸エステル等の含フッ素ア
ニオン性界面活性剤等を挙げることができる。
【0045】上記ノニオン性界面活性剤としては、例え
ば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキ
シエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエ
チレンアルキルエステル類、ポリオキシエチレンアルキ
ルフェニルエステル類、ソルビタンアルキルエステル
類、グリセリンエステル類及びその誘導体等を挙げるこ
とができる。上記両性界面活性剤としては、例えば、ラ
ウリルベタイン等を挙げることができる。また、上記界
面活性剤として、いわゆる反応性乳化剤等を用いること
ができ、更に、このような反応性乳化剤と上記乳化剤と
を併用することもできる。
【0046】上記乳化重合の際に用いる重合開始剤とし
ては、水性媒体中でフリーラジカル反応に供し得るラジ
カルを10〜90℃の間で発生するものであれば特に限
定されず、場合によっては、還元剤と組み合せて用いる
ことも可能である。このようなものとして、通常水溶性
の重合開始剤としては、過硫酸塩、過酸化水素、還元剤
としては、ピロ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリ
ウム、L−アスコルビン酸ナトリウム、ロンガリット等
を挙げることができる。油溶性の重合開始剤としては、
ジイソプロピルパーオキシジカーボネート(IPP)、
過酸化ベンゾイル、過酸化ジブチル、アゾビスイソブチ
ロニトリル(AIBN)等を挙げることができる。
【0047】上記乳化重合の際に用いる連鎖移動剤とし
ては、例えば、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン
化炭化水素;n−ドデシルメルカプタン、tert−ド
デシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン等のメ
ルカプタン類等を挙げることができる。
【0048】上記溶剤は、作業性、防災安全性、環境安
全性、製造安全性を損なわない範囲内、例えば、20重
量%以下の範囲で用いられ、例えば、メチルエチルケト
ン、アセトン、トリクロロトリフルオロエタン、メチル
イソブチルケトン、シクロヘキサノン、メタノール、エ
タノール、プロパノール、ブタノール、エチルセロソル
ブ、ブチルセロソルブ、メチルカルビトール、エチルカ
ルビトール、ブチルカルビトール、ジオキサン、ブチル
カルビトールアセテート、テキサノール、酢酸エチル、
酢酸ブチル等を挙げることができる。
【0049】以上で、その他の含フッ素樹脂水性分散体
の説明を終えた。フッ素含有樹脂(1)のうちのフッ素
含有樹脂(1−3)は、上記その他の含フッ素樹脂水性
分散体にアクリル樹脂を混合して得られる。また、フッ
素含有樹脂(1)のうちのフッ素含有樹脂(1−2)
は、既に説明を終えたフッ素含有樹脂(1−1)にアク
リル樹脂を混合して得られる。更に、含フッ素樹脂水性
分散体にアクリル樹脂を混合して得られるフッ素含有樹
脂(1−4)は、既にフッ素含有樹脂(1−1)の説明
箇所において詳述した「シード粒子」が水性媒体中に分
散されてなる基本構造を有するが、アクリル樹脂がシー
ド重合されたものではない。上記「シード粒子」は、既
に詳述したように、フルオロオレフィンの共重合体から
なるものであり、上記フルオロオレフィンとしては、V
dF、TFE、CTFE、HFP等を挙げることがで
き、上記フルオロオレフィンの共重合体としては、Vd
F/TFE共重合体、VdF/CTFE共重合体、Vd
F/HFP共重合体、TFE/CTFE共重合体、TF
E/HFP共重合体、CTFE/HFP共重合体、Vd
F/TFE/CTFE共重合体、VdF/TFE/HF
P共重合体、TFE/CTFE/HFP共重合体、Vd
F/CTFE/HFP共重合体、VdF/TFE/CT
FE/HFP共重合体等を挙げることができ、これらの
ものに関する詳細な説明も既に説明を終えている。
【0050】上記アクリル樹脂としては、主鎖がアクリ
ル酸及び/又はメタクリル酸に起因する炭化水素鎖で構
成されている重合体であれば特に限定されず、通常、ア
クリル系単量体の単独重合体、アクリル系単量体とこれ
と共重合体可能なエチレン性不飽和二重結合を有する他
の単量体との共重合体等を挙げることができる。上記ア
クリル系単量体としては、アクリル酸及び/又はメタク
リル酸(以下「(メタ)アクリル酸」ともいう)を含有
するものであれば特に限定されず、例えば、アクリル
酸、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸、メタ
クリル酸アルキルエステル等を挙げることができる。上
記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては特に限
定されず、例えば、アルキル基の炭素数が1〜18のア
クリル酸アルキルエステル、アルキル基の炭素数が1〜
18のメタクリル酸アルキルエステル等を挙げることが
できる。
【0051】上記アルキル基の炭素数が1〜18のアク
リル酸アルキルエステルとしては、例えば、アクリル酸
メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、
アクリル酸i−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アク
リル酸i−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸
2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アク
リル酸n−ヘキシル、アクリル酸t−ブチルシクロヘキ
シル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ラウリル等を
挙げることができる。
【0052】上記アルキル基の炭素数が1〜18のメタ
クリル酸アルキルエステルとしては、例えば、メタクリ
ル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プ
ロピル、メタクリル酸i−プロピル、メタクリル酸n−
ブチル、メタクリル酸i−ブチル、メタクリル酸t−ブ
チル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸
シクロヘキシル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリ
ル酸t−ブチルシクロヘキシル、メタクリル酸ステアリ
ル、メタクリル酸ラウリル等を挙げることができる。上
記アクリル系単量体には、耐溶剤性、耐水性向上の目的
で、エチレングリコールジメタクリレート、プロピレン
グリコールジメタクリレート等の多官能性単量体を共重
合することもできる。上記アクリル酸エステル、上記メ
タクリル酸エステルと共重合可能なエチレン性不飽和結
合を有する単量体としては、下記(I)及び下記(I
I)等を挙げることができる。
【0053】(I)反応性を有する官能基を持つ単量
体、例えば、マレイン酸、無水イタコン酸、無水コハク
酸、クロトン酸等のエチレン性不飽和カルボン酸類;ア
クリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリル
アミド、N−メチロールアクリルアミド、N−ブトキシ
メチルアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミ
ド、N−メチルメタクリルアミド、N−ブトキシメチル
メタクリルアミド等のアミド化合物;アクリル酸ヒドロ
キシエチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル
酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ヒドロキシプロピ
ル等の水酸基含有単量体;アクリル酸グリシジル、メタ
クリル酸グリシジル等のエポキシ基含有単量体;γ−ト
リメトキシシランメタクリレート、γ−トリエトキシシ
ランメタクリレート等のシラノール基含有単量体;アク
ロレイン等のアルデヒド基含有単量体;カプロラクトン
変性ヒドロキシアクリレート、カプロラクトン変性ヒド
ロキシメタクリレート。
【0054】(II)その他ビニル化合物、例えば、エ
チレン、プロピレン、イソブチレン等のαオレフィン
類;エチルビニルエーテル(EVE)、シクロヘキシル
ビニルエーテル(CHVE)、ヒドロキシブチルビニル
エーテル(HBVE)、ブチルビニルエーテル、イソブ
チルビニルエーテル、メチルビニルエーテル、ポリオキ
シエチレンビニルエーテル等のビニルエーテル類;ポリ
オキシエチレンアリルエーテル、エチルアリルエーテ
ル、ヒドロキシエチルアリルエーテル、アリルアルコー
ル、アリルエーテル等のアルケニル類;酢酸ビニル、乳
酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビ
ニル、VEOVA9、VEOVA10(シェル社製)等
のビニルエステル類;無水イタコン酸、無水コハク酸、
クロトン酸等のエチレン性不飽和カルボン酸類;スチレ
ン、αメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン
等の芳香族ビニル化合物類;アクリロニトリル等。
【0055】上記アクリル酸エステル、上記メタクリル
酸エステルと共重合可能なエチレン性不飽和結合を有す
る単量体として、親水性部位を含む低分子量のポリマー
又はオリゴマーを分子中に含む化合物を用いることもで
きる。上記親水性部位とは、親水性基を有する部位又は
親水性の結合を有する部位、及び、これらの組み合せか
らなる部位を意味する。上記親水性基は、イオン性、非
イオン性、両性及びこれらの組合せのいずれであっても
よいが、非イオン性、アニオン性の親水性基が好まし
い。また、公知の反応性乳化剤であってもよい。
【0056】上記アクリル酸エステル、上記メタクリル
酸エステルと共重合可能なエチレン性不飽和結合を有す
る単量体、反応性乳化剤としては、例えば、ポリエチレ
ングリコールメタクリレート、ポリプロピレングリコー
ルメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールメ
タクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、
ポリプロピレングリコールアクリレート、メトキシポリ
エチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコ
ールアリルエーテル、メトキシポリエチレングリコール
アリルエーテル、ポリエチレングリコールポリプロピレ
ングリコールモノメタクリレート、ポリエチレングリコ
ールポリテトラメチレングリコールモノメタクリレー
ト、ポリオキシエチレンアルキルアリルフェニルエーテ
ル、ポリオキシエチレンアルキルアリルフェニルエーテ
ル硫酸塩、スチレンスルホン酸塩、アリルアルキルスル
ホン酸塩、ポリエチレングリコールメタクリレート硫酸
塩、アルキルアリルスルホコハク酸塩、ビス(ポリオキ
シエチレン多環フェニルエーテル)メタクリレート化硫
酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエ
ーテルアクリル酸エステル、メタクリロイルオキシポリ
オキシアルキレン硫酸エステル塩、メタクリロイルオキ
シアルキレン硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンビニ
ルエーテル、ポリオキシエチレンビニルエステル等を挙
げることができる。
【0057】上記アクリル樹脂を取得するため、上記ア
クリル系単量体の単独重合体、上記アクリル系単量体と
その他の共重合可能な単量体との共重合体を調製するた
めの重合方法としては特に限定されず、従来公知の方
法、例えば、乳化重合、懸濁重合、塊状重合等を適宜選
択して用いることができる。また、重合後の重合体の分
子量等についても、その用途を考慮して適宜選択するこ
とができる。
【0058】また、重合するにあたって用いる重合器、
重合方法、重合開始剤、重合禁止剤、その他の助剤、乳
化重合における乳化補助剤、界面活性剤、その他の添加
剤等についても、従来公知のものを適宜選択して用いる
ことができる。これらの選択にあたっては、取得される
アクリル樹脂が適切なものであれば、従来公知のいかな
るものも使用することができる。
【0059】上記フッ素含有樹脂(1−2)、上記フッ
素含有樹脂(1−3)及び上記フッ素含有樹脂(1−
4)を構成するために混合するアクリル樹脂の混合量
は、5〜80重量%がよく、特に好ましくは、10〜7
0重量%である。アクリル樹脂の混合量が低すぎると、
組成物全体の分散性、密着性が低下して本発明の目的を
達成することができず、混合量が多すぎると、耐候性が
悪くなる。
【0060】上記フッ素含有樹脂(1−2)、上記フッ
素含有樹脂(1−3)又は上記フッ素含有樹脂(1−
4)と上記アクリル樹脂とを上記水性媒体中で混合する
場合の混合割合は特に限定されず、通常、両樹脂合計の
固形分濃度が5〜90重量%程度、好ましくは20〜8
0重量%となるように混合することが好ましい。上記混
合方法としては特に限定されず、通常知られた方法を用
いることができる。
【0061】本発明のフッ素含有樹脂(1)には、被膜
形成組成物が形成する塗膜の耐久性、耐溶剤性を更に向
上させる目的で、所望により、硬化剤を添加させてもよ
い。上述したように、上記フッ素含有樹脂(1)が含有
しているアクリル樹脂は官能基を有するものである場合
があり、そのような場合には、当該フッ素含有樹脂
(1)は硬化剤と反応する官能基を有している。上記硬
化剤としては特に限定されず、例えば、イソシアネート
系硬化剤、メラミン系硬化剤等を挙げることができる。
以上で、フッ素含有樹脂(1−1)にアクリル樹脂を混
合して得られるフッ素含有樹脂(1−2)、その他の含
フッ素樹脂水性分散体にアクリル樹脂を混合して得られ
るフッ素含有樹脂(1−3)、上記フッ素含有樹脂(1
−1)の調製に用いられた含フッ素樹脂水性分散体であ
ってアクリル樹脂をシード重合していないものにアクリ
ル樹脂を混合して得られるフッ素含有樹脂(1−4)に
ついての説明を終えた。上記フッ素含有樹脂(1−3)
の調製に用いられたその他の含フッ素樹脂水性分散体か
らなるフッ素含有樹脂(1−5)とは、既に説明を終え
ているその他の含フッ素樹脂水性分散体のことである。
また、上記フッ素含有樹脂(1−1)の調製に用いられ
た含フッ素樹脂水性分散体であってアクリル樹脂をシー
ド重合していないものからなるフッ素含有樹脂(1−
6)とは、フッ素含有樹脂(1−1)の項で既に説明を
終えているアクリル樹脂のシード重合前の含フッ素樹脂
水性分散体のことである。
【0062】有機溶剤可溶性含フッ素樹脂そのもの
か、又は、有機溶剤可溶性含フッ素樹脂にアクリル樹脂
を混合してなる有機溶剤可溶性フッ素含有樹脂(2) 本発明に係るフッ素含有樹脂の第二は、有機溶剤可溶性
含フッ素樹脂又はこれとアクリル樹脂とを混合してなる
有機溶剤可溶性フッ素含有樹脂(2)である。上記有機
溶剤可溶性含フッ素樹脂としては、好ましくは、例え
ば、フルオロオレフィンの共重合体等を挙げることがで
きる。上記フルオロオレフィンは、VdF、TFE及び
CTFEの三つを挙げることができる。上記フルオロオ
レフィンの共重合体としては、VdF/TFE共重合
体、VdF/CTFE共重合体、TFE/CTFE共重
合体、VdF/TFE/CTFE共重合体等を挙げるこ
とができる。
【0063】上記有機溶剤可溶性含フッ素樹脂として
は、上述したもののほか、フルオロオレフィンの単独重
合体、上記以外のフルオロオレフィンの共重合体、フル
オロオレフィンとその他の単量体との共重合体等を挙げ
ることができる。これらのものとしては特に限定され
ず、例えば、VdFの単独重合体、TrFEの単独重合
体、TFEの単独重合体、CTFEの単独重合体、HF
Pの単独重合体、VdF/TrFE共重合体、VdF/
ビニルフルオラド(VF)共重合体、VdF/HFP共
重合体、TFE/TrFE共重合体、TFE/VF共重
合体、TFE/HFP共重合体、CTFE/TrFE共
重合体、CTFE/VF共重合体、CTFE/HFP共
重合体、VdF/TFE/TrFE共重合体、VdF/
TFE/VF共重合体、VdF/TFE/HFP共重合
体、VdF/CTFE/TrFE共重合体、VdF/C
TFE/VF共重合体、VdF/CTFE/HFP共重
合体、TFE/CTFE/TrFE共重合体、TFE/
CTFE/VF共重合体、TFE/CTFE/HFP共
重合体等を挙げることができる。
【0064】なかでも、VdFを含有するVdF系共重
合体が好ましい。また、有機溶剤への可能性を増すため
には、VdF50〜90モル%、TFE5〜30モル
%、CTFE5〜30モル%を含有するもの、及び、V
dF50〜90モル%、TFE5〜30モル%、HFP
5〜30モル%を含有するものがより好ましい。
【0065】上記有機溶剤可溶性含フッ素樹脂は、上記
した単量体を通常の重合法により重合させることにより
調製することができる。このような重合法としては、例
えば、上述のアクリル樹脂をシード重合した含フッ素
樹脂水性分散体から得られるフッ素含有樹脂(1−1)
の項におけるシード粒子を構成する含フッ素樹脂の重合
法の箇所において詳述した方法等を挙げることができ
る。
【0066】上記有機溶剤としては特に限定されない
が、溶解性の点からは、特に沸点が60〜250℃程度
のケトン類又はエステル類等が好ましく、例えば、アセ
トン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、
シクロヘキサノン、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸
メチルセロソルブ等を挙げることができる。これらは単
独で又は2種以上を併用して用いることができる。ま
た、これらのほか上記有機溶剤としては、例えば、テト
ラヒドロフラン(THF)、ジメチルホルムアミド(D
MF)等を挙げることができ、更に、トルエン、キシレ
ン等の芳香族有機化合物やアルコール類等が添加されて
いてもよい。これらの有機溶剤は、上記有機溶剤可溶性
含フッ素樹脂を良好に溶解して低濃度から高濃度までの
広い濃度範囲の組成物を得ることができ、被膜形成組成
物としての光沢及び耐候性が優れたものとなる。
【0067】上記有機溶剤可溶性含フッ素樹脂と混合す
るアクリル樹脂としては特に限定されず、例えば、フッ
素含有樹脂(1)の項において詳述したアクリル樹脂と
同じもの等を挙げることができる。上記有機溶剤可溶性
含フッ素樹脂と混合するアクリル樹脂の混合量は、5〜
80重量%がよく、特に好ましくは、10〜70重量%
である。アクリル樹脂の混合量が低すぎると、組成物全
体の分散性、密着性が低下して本発明の目的を達成する
ことができず、混合量が多すぎると、耐候性が悪くな
る。
【0068】上記有機溶剤可溶性含フッ素樹脂と上記ア
クリル樹脂とを上記有機溶剤中で混合する場合の混合割
合は特に限定されず、通常、両樹脂合計の固形分濃度が
5〜90重量%程度、好ましくは20〜80重量%とな
るように混合することが好ましい。上記混合方法として
は特に限定されず、通常知られた方法を用いることがで
きる。
【0069】上記有機溶剤可溶性フッ素含有樹脂(2)
には、被膜形成組成物が形成する塗膜の耐久性、耐溶剤
性を更に向上させる目的で、所望により、硬化剤を添加
させてもよい。上述したように、上記有機溶剤可溶性フ
ッ素含有樹脂(2)が有するアクリル樹脂は官能基を有
するものである場合があり、そのような場合には、当該
有機溶剤可溶性フッ素含有樹脂(2)は硬化剤と反応す
る官能基を有している。上記硬化剤としては特に限定さ
れず、例えば、イソシアネート系硬化剤、メラミン系硬
化剤等を挙げることができる。
【0070】フルオロオレフィンと特定のビニル単量
体との共重合体、又は、当該共重合体にアクリル樹脂を
混合してなるフッ素含有樹脂(3) 上記フッ素含有樹脂の第三は、フルオロオレフィンと特
定のビニル単量体との共重合体又はこれとアクリル樹脂
との混合物であるフッ素含有樹脂(3)である。上記フ
ルオロオレフィンと特定のビニル単量体との共重合体を
構成するフルオロオレフィンは、式: CF2 =CFX00 (式中、X00は、水素原子、フッ素原子、塩素原子又は
トリフルオロメチル基を表す。)で表される。このよう
なフルオロオレフィンのうち好ましいものとしては、T
FE、CTFE、TrFE、HFPを挙げることができ
るが、本発明の耐久性撥水剤が、塩素フリーとなってよ
り耐久性に富んだ強靱な塗膜を形成することができる
点、及び、本発明の耐久性撥水剤のフッ素含有率が向上
して撥水性が向上する点からはTFEが好ましい。
【0071】上記フルオロオレフィンと共重合する特定
のビニル単量体は、(i)β−メチル−β−アルキル置
換−α−オレフィン、(ii)ビニル基含有エーテル、
及び、(iii)ビニル基含有エステル、の三つがあ
り、これら(i)、(ii)及び(iii)のうちのい
ずれかが上記フルオロオレフィンと共重合することによ
り上記フッ素系樹脂(3)を構成することになるが、こ
れらの2種以上を用いることもまた可能であり、更に、
これらが、カルボキシル基含有ビニル単量体であった
り、水酸基、エポキシ基、シリル基等の硬化反応性部位
を有するビニル単量体であったりする場合が好ましく、
もしこれらが、カルボキシル基も硬化反応性部位も有し
ない場合には、これらビニル単量体とは別に、カルボキ
シル基含有ビニル単量体;水酸基、エポキシ基、シリル
基等の硬化反応性部位を有するビニル単量体を上記フル
オロオレフィンと共重合する特定のビニル単量体として
挙げることが好ましい。
【0072】上記(i)β−メチル−β−アルキル置換
−α−オレフィンは、式: CH2 =CR0 (CH3 ) (式中、R0 は、炭素数1〜8のアルキル基を表す。)
で表される。このようなものとしては特に限定されず、
例えば、イソブチレン、2−メチル−1−ブテン、2−
メチル−1−ペンテン、2−メチル−1−ヘキセン等を
挙げることができるが、なかでも、イソブチレンが好ま
しい。上記(i)β−メチル−β−アルキル置換−α−
オレフィンの上記フルオロオレフィンと特定のビニル単
量体との共重合体中に占める含有割合は、5〜45重量
%が好ましい。5重量%未満であると、本発明の耐久性
撥水剤の耐候性が劣ることとなり、45重量%を超える
と該共重合体の調製が困難となる。
【0073】上記(ii)ビニル基含有エーテルは、
式; CH2 =CHR (式中、Rは、OR11又はCH2 OR11(R11は、炭素
数1〜8のアルキル基を表す。)を表す。)で表される
アルキルビニルエーテル又はアルキルアリルエーテルで
あり、これらがヒドロキシアルキルビニルエーテル又は
ヒドロキシアルキルアリルエーテルとして水酸基を有す
るものであれば(この場合、R11は水酸基を有するアル
キル基である。)、後述する硬化剤との反応部位として
当該水酸基が機能することとなり、好ましいものとな
る。上記(ii)ビニル基含有エーテルとしては特に限
定されず、例えば、エチルビニルエーテル、ブチルビニ
ルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシル
ビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテ
ル、3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒド
ロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシ−2−
メチルプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチル
ビニルエーテル、4−ヒドロキシ−2−メチルブチルビ
ニルエーテル、5−ヒドロキシペンチルビニルエーテ
ル、6−ヒドロキシヘキシルビニルエーテル、2−ヒド
ロキシエチルアリルエーテル、4−ヒドロキシブチルア
リルエーテル、グリセロールモノアリルエーテル等を挙
げることができる。なかでも、4−ヒドロキシブチルビ
ニルエーテルが好ましい。
【0074】上記(ii)ビニル基含有エーテルの上記
フルオロオレフィンと特定のビニル単量体との共重合体
中に占める含有割合は、1〜45重量%が好ましい。1
重量%未満であると本発明の耐久性撥水剤の硬化性が劣
ることとなり、45重量%を超えるとゲル化が生じやす
く貯蔵安定性に劣り、また得られる塗膜がもろくなる。
より好ましくは1〜30重量%、更に好ましくは、5〜
15重量%である。
【0075】上記(iii)ビニル基含有エステルは、
式; CHR21=CHR31 (式中、R21は、水素原子又はCOOR41を表す。R31
は、COOR41又はOCOR41を表す。R41は、炭素数
1〜10のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキ
ル基、炭素数1〜10のフルオロアルキル基、又は、炭
素数1〜8のアルキル基で置換されていてもよいフェニ
ル基を表す。R31がOCOR41の場合には、R21は水素
原子である。)で表される。より詳しくは、式; CH2 =CH(OCOR41) で表されるカルボン酸ビニル、式; (R41OOC)CH=CH(COOR41) で表されるマレイン酸ジエステル又はフマル酸ジエステ
ルが挙げられる。
【0076】上記カルボン酸ビニルとしては特に限定さ
れず、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸
ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプロン
酸ビニル、バーサチック酸ビニル、ラウリン酸ビニル、
ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、p−t−ブチル
安息香酸ビニル、サリチル酸ビニル、シクロヘキサンカ
ルボン酸ビニル、ヘキサフルオロプロピオン酸ビニル、
トリクロロ酢酸ビニル等を挙げることができる。また上
記マレイン酸ジエステル又はフマル酸ジエステルとして
は特に限定されず、例えば、マレイン酸ジメチル、マレ
イン酸ジエチル、マレイン酸ジプロピル、マレイン酸ジ
ブチル、マレイン酸ジフェニル、マレイン酸ジベンジ
ル、マレイン酸ジトリチル、マレイン酸ジトリフルオロ
メチル、マレイン酸ジトリフルオロエチル、マレイン酸
ジヘキサフルオロプロピル、フマル酸ジメチル、フマル
酸ジエチル、フマル酸ジプロピル、フマル酸ジブチル、
フマル酸ジフェニル、フマル酸ジベンジル、フマル酸ジ
トリチル、フマル酸ジトリフルオロメチル、フマル酸ジ
トリフルオロエチル、フマル酸ジヘキサフルオロプロピ
ル等を挙げることができる。なかでも、ピバリン酸ビニ
ルが好ましい。
【0077】上記(iii)ビニル基含有エステルの上
記フルオロオレフィンと特定のビニル単量体との共重合
体中に占める含有割合は、1〜45重量%が好ましい。
1重量%未満であると、溶解性と相溶性が劣り、ガラス
転移温度が低くなり、45重量%を超えると耐候性劣化
の原因となる。より好ましくは5〜40重量%、更に好
ましくは、10〜30重量%である。
【0078】上記(i)、(ii)、(iii)以外の
特定のビニル単量体として既に述べたカルボキシル基含
有ビニル単量体は、本発明のフッ素系樹脂(3)の分散
性、硬化反応性、本発明の耐久性撥水剤の基材への密着
性等を改善する。上記カルボキシル基含有ビニル単量体
としては、例えば、クロトン酸、マレイン酸、アクリル
酸、メタクリル酸、イタコン酸、ビニル酢酸等に由来す
るもの等を挙げることができる。上記カルボキシル基含
有ビニル単量体の全ビニル単量体に占める割合は、0.
01〜10モル%が好ましい。少なすぎると硬化剤との
相溶性が低下し、多すぎると耐水性が低下する。
【0079】上記(i)、(ii)、(iii)以外の
特定のビニル単量体として既に述べた硬化反応部位を有
するビニル単量体としては、当該硬化反応部位が水酸
基、エポキシ基、シリル基であるものである。上記硬化
反応部位が水酸基であるビニル単量体としては、既に上
記(ii)の箇所で述べたヒドロキシアルキルビニルエ
ーテル、ヒドロキシアルキルビニルエステル等を挙げる
ことができる。また、その他の硬化反応部位を有するビ
ニル単量体としては、例えば、特開平2−232250
号公報、特開平2−232251号公報に記載されてい
るエポキシ基含有ビニル単量体、特開昭61−1417
13号公報等に記載されているシリル基含有ビニル単量
体等を挙げることができる。上記エポキシ基含有ビニル
単量体としては、例えば、下記一般式で表されるエポキ
シビニル又はエポキシビニルエーテル等を挙げることが
できる。
【0080】
【化1】
【0081】これらの具体例としては、例えば、下記の
もの等を挙げることができる。
【0082】
【化2】
【0083】上記シリル基含有ビニル単量体の具体例と
しては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルト
リエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシラン、ビニ
ルメチルジメトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシ
ラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルトリス
(β−メトキシ)シラン、トリメトキシシリルエチルビ
ニルエーテル、トリエトキシシリルエチルビニルエーテ
ル、トリメトキシシリルブチルビニルエーテル、トリメ
トキシシリルエチルビニルエーテル、トリメトキシシリ
ルプロピルビニルエーテル、トリエトキシシリルプロピ
ルビニルエーテル、ビニルトリイソプロペニルオキシシ
ラン、ビニルメチルジイソプロペニルオキシシラン、ト
リイソプロペニルオキシシリルエチルビニルエーテル、
トリイソプロペニルオキシシリルプロピルビニルエーテ
ル、トリイソプロペニルオキシシリルブチルビニルエー
テル、ビニルトリス(ジメチルイミノオキシ)シラン、
ビニルトリス(メチルエチルイミノオキシ)シラン、ビ
ニルメチルビス(メチルジメチルイミノオキシ)シラ
ン、ビニルジメチル(ジメチルイミノオキシ)シラン、
トリス(ジメチルイミノオキシ)シリルエチルビニルエ
ーテル、メチルビス(ジメチルイミノオキシ)シリルエ
チルビニルエーテル、トリス(ジメチルイミノオキシ)
シリルブチルビニルエーテル、γ−(メタ)アクリロイ
ルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)ア
クリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−
(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシ
シラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリ
イソプロペニルオキシシラン、γ−(メタ)アクリロイ
ルオキシプロピルトリス(ジメチルイミノオキシ)シラ
ン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリス
(ジメチルイミノオキシ)シラン、アリルトリメトキシ
シラン等を挙げることができる。
【0084】上記硬化反応部位を有するビニル単量体の
全ビニル単量体に占める割合は、特に規定はないが、5
〜15モル%が好ましい。少なすぎると硬化性が不充分
となり、多すぎるとゲル化が生じやすく、貯蔵安定性が
悪くなる。
【0085】上記フルオロオレフィンと特定のビニル単
量体との共重合体は、上記した単量体を通常の重合法に
より重合させることにより調製することができる。この
ような重合法としては、例えば、上述のアクリル樹脂
をシード重合した含フッ素樹脂水性分散体(1−1)の
項におけるシード粒子を構成する含フッ素樹脂の重合法
の箇所において詳述した方法等を挙げることができる。
【0086】上記有機溶剤としては特に限定されない
が、溶解性の点からは特に沸点が60〜250℃程度の
ケトン類又はエステル類等が好ましく、例えば、アセト
ン、メチルエチルケトン、メチルi−ブチルケトン、シ
クロヘキサノン、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸メ
チルセロソルブ等を挙げることができる。これらは単独
で又は2種以上を併用して用いることができる。またこ
れらのほか上記有機溶剤としては、例えば、テトラヒド
ロフラン(THF)、ジメチルホルムアミド(DMF)
等を挙げることができ、更に、トルエン、キシレン等の
芳香族有機化合物やアルコール類等が添加されていても
よい。これらの有機溶剤は、上記有機溶剤可溶性含フッ
素樹脂を良好に溶解して低濃度から高濃度までの広い濃
度範囲の組成物が得られ、被膜形成組成物としての光沢
及び耐候性が優れたものとなる。
【0087】上記フルオロオレフィンと特定のビニル単
量体との共重合体に混合されるアクリル樹脂としては、
特に限定されず、例えば、上述のフッ素含有樹脂(1)
の項において詳述したアクリル樹脂と同じもの等を挙げ
ることができる。上記フルオロオレフィンと特定のビニ
ル単量体との共重合体と混合するアクリル樹脂の混合量
は、5〜80重量%がよく、特に好ましくは、10〜7
0重量%である。アクリル樹脂の混合量が低すぎると、
組成物全体の分散性、密着性が低下して本発明の目的を
達成することができず、混合量が多すぎると、耐候性が
悪くなる。
【0088】上記フルオロオレフィンと特定のビニル単
量体との共重合体と上記アクリル樹脂とを上記有機溶剤
に混合する場合の混合割合は特に限定されず、通常、樹
脂合計の固形分濃度が5〜90重量%程度、好ましくは
20〜80重量%となるように混合することが好まし
い。上記混合方法としては特に限定されず、通常知られ
た方法を用いることができる。
【0089】上記フルオロオレフィンと特定のビニル
単量体との共重合体又は当該共重合体にアクリル樹脂を
混合してなるフッ素含有樹脂(3)には、被膜形成組成
物が形成する塗膜の耐久性、耐溶剤性を更に向上させる
目的で、所望により、硬化剤を添加させてもよい。上に
詳述したように、上記フッ素含有樹脂(3)中のフルオ
ロオレフィンと特定のビニル単量体との共重合体は、そ
の構成要素として(ii)ビニル基含有エーテルを有
し、このものが必ず水酸基を含有するものであるので、
硬化剤と反応する官能基を有している。上記硬化剤とし
ては特に限定されず、例えば、イソシアネート系硬化
剤、メラミン系硬化剤等を挙げることができる。
【0090】以上で本発明のフッ素系塗料(A)の説明
を終えたので、以下に本発明のフッ素系塗料(B)を詳
述する。本発明の第二のフッ素系塗料(B)は、含フッ
素系重合体と硬化剤とを有機溶媒に溶解せしめてなる組
成物である。上記含フッ素系重合体は、フルオロオレフ
ィン、シクロヘキシルビニルエーテル、アルキルビニル
エーテル、ヒドロキシアルキルビニルエーテルを必須構
成成分とする共重合体であって、上記共重合体中のフル
オロオレフィン、シクロヘキシルビニルエーテル、アル
キルビニルエーテル、ヒドロキシアルキルビニルエーテ
ル及びその他の単量体に基づく単位の含有量がそれぞれ
40〜60モル%、5〜45モル%、5〜45モル%、
3〜15モル%及び0〜30モル%であり、未硬化状態
でTHF中で30℃で測定される固有粘度が0.03〜
0.1dl/gであり、かつ、上記硬化剤が水酸基と反
応性を有する多官能性化合物であるものである。
【0091】上記フルオロオレフィンとしては、パーフ
ルオロオレフィン、特にCTFE、TFEが好ましい。
上記アルキルビニルエーテルとしては、炭化水素2〜8
の直鎖状又は分岐状のアルキル基を有するもの、特にア
ルキルの炭化水素が2〜4であるものが好ましい。これ
らフルオロオレフィン、アルキルビニルエーテルは、そ
れぞれ単独のものであってもよく、2種以上の混合物で
あってもよい。
【0092】上記共重合体は、30モル%を超えない範
囲内において他の単量体に基づく単位を含有することが
できる。上記単量体としては特に限定されず、例えば、
エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン
類、塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロオレフィン
類、(メタ)アクリル酸エステル等の不飽和カルボン酸
エステル類、酢酸ビニル、n−酪酸ビニル等のカルボン
酸ビニル類等を挙げることができる。
【0093】上記共重合体は、所定割合の単量体混合物
に重合触媒の存在下又は非存在下に重合開始剤又は電離
性放射線等の重合開始源を作用せしめて反応を行わせる
ことによって製造することができる。上記重合開始剤と
しては、重合形式又は重合媒体に応じて、水溶性のもの
又は油溶性のものが適宜使用可能である。上記水溶性開
始剤としては、過硫酸カリウム等の過硫酸塩、過酸化水
素又はこれらと亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリ
ウム等の還元剤との組み合わせからなるレドックス開始
剤、これらに少量の鉄、第一鉄塩、硝酸銀等を共存させ
た系等の無機系開始剤、又は、ジコハク酸パーオキシ
ド、ジグルタール酸パーオキシド、モノコハク酸パーオ
キシド等の二塩基酸酸化物、アゾビスイソブチルアミジ
ン二塩酸塩等の有機系開始剤等を挙げることができる。
上記油溶性開始剤としては、t−ブチルパーオキシイソ
ブチレート、t−ブチルパーオキシアセテート等のパー
オキシエステル型過酸化物、ジイソプロピルパーオキシ
ジカーボネート等のジアルキルパーオキシジカーボネー
ト、ベンゾイルパーオキシド、アゾビスイソブチロニト
リル等を挙げることができる。
【0094】上記重合開始剤の使用量は、種類、反応条
件等に応じて適宜変更することができるが、通常は共重
合されるべき単量体全量に対して、0.005〜5重量
%、特に0.05〜0.5重量%がよい。上記共重合反
応は特に限定されず、例えば、塊状重合、懸濁重合、乳
化重合、溶液重合等を挙げることができるが、重合反応
操作の安定性等から、水性媒体中での乳化重合、又は、
t−ブタノール等のアルコール類、エステル類、1個以
上のフッ素原子を含む飽和ハロゲン化炭化水素類、キシ
レン等の芳香族炭化水素類等を溶媒とする溶液重合等が
好ましい。
【0095】上記含フッ素系重合体とともに用いる硬化
剤としては、上記共重合体中に硬化部位として含有され
るヒドロキシアルキルビニルエーテル単位に基づく水酸
基と反応性を有する官能性化合物である必要がある。上
記硬化剤としては、メラミン硬化剤、尿素樹脂硬化剤、
多塩基酸硬化剤等の加熱硬化型のもの等を挙げることが
できる。上記メラミン硬化剤としては、例えば、ブチル
化メラミン、メチル化メラミン、エポキシ変性メラミン
等を挙げることができ、用途に応じて0〜6の各種変性
度のものを挙げることができる。上記尿素樹脂として
は、例えば、メチル化尿素、ブチル化尿素等を挙げるこ
とができる。上記多塩基酸硬化剤としては、例えば、長
鎖脂肪酸ジカルボン酸類、芳香族多価カルボン酸類又は
その酸無水物、ブロック多価イソシアネート類等を挙げ
ることができる。上記メラミン又は尿素樹脂の使用にあ
たっては、酸性触媒の添加によって硬化を促進すること
ができる。
【0096】上記硬化剤としては、更に、多価イソシア
ネート類等の常温硬化型のものも用いることができる。
上記多価イソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイ
ソシアネート、イソホロンジイソシアネート等及びその
付加物等を挙げることができる。上記イソシアネート類
を用いて常温硬化を行わせる場合には、ジブチルチンジ
ラウレート等の触媒の添加によって硬化を促進させるこ
とができる。
【0097】上記含フッ素系重合体と上記硬化剤とを溶
解させる有機溶媒としては特に限定されず、例えば、キ
シレン、トルエン等の芳香族炭化水素類、n−ブタノー
ル等のアルコール類、酢酸ブチル等のエステル類、メチ
ルイソブチルケトン等のケトン類、エチルセロソルブ等
のグリコールエーテル類のほか、市販の各種シンナー等
を挙げることができる。これらは単独で又は2種以上を
併用して用いることができる。
【0098】含フッ素系重合体と硬化剤とを有機溶媒に
溶解せしめてなる組成物の調合に際しては、ボールミ
ル、ペイントシェーカー、サンドミル、ジェットミル、
三本ロール、ニーダー等の通常の塗料化に用いられる機
器等を用いることができる。この際、顔料、分散安定
剤、粘度調整剤、レベリング剤、ゲル化防止剤、紫外線
吸収剤等を添加することができる。
【0099】以上で本発明のフッ素系塗料(B)の説明
を終えたので、以下に本発明のフッ素系塗料(C)を詳
述する。第三のフッ素系塗料(C)は、VdF、TFE
及びプロピレンを共重合して得られるフッ素系エラスト
マーである。
【0100】上記フッ素系エラストマーとしては、例え
ば、VdF/TFE/プロピレン3元共重合体と、TF
E/プロピレン2元共重合体との混合物に、更に、有機
過酸化物、不飽和多官能性化合物等を配合したもの等を
挙げることができる。
【0101】上記フッ素系エラストマーに含有されるV
dF/TFE/プロピレン3元共重合体は、主鎖に炭素
−炭素二重結合を有するものが好ましいが、実質的に主
鎖に炭素−炭素二重結合を有しないものであってもよ
い。また、上記フッ素系エラストマーは、更に、2価の
金属水酸化物及び2価の金属酸化物のうち少なくとも1
種、並びに、有機オニウム化合物を含有するものが好ま
しい。
【0102】上記有機オニウム化合物としては、例え
ば、一般式; R71727374N−HSO4 (式中、R71、R72、R73、R74は、同一又は異なっ
て、炭素数1〜20の置換若しくは無置換の1価の脂肪
族炭化水素基を表す。)で表される有機四級アンモニウ
ム塩等を挙げることができる。
【0103】上記フッ素系エラストマーは、乳化重合法
により、VdF、TFE、プロピレンの各単位が適当な
モル比となるように配合して共重合させてラテックスを
得、これを凝集し、洗浄し、乾燥することにより得るこ
とができる。上記モル比は、VdFとTFEとが同程度
の量であってプロピレンがそれより少し少ない量である
ことが好ましく、例えば、VdF/TFE/プロピレン
=35/40/25程度である。
【0104】以上で本発明のフッ素系塗料(C)の説明
を終えたので、以下に本発明のフッ素系塗料(D)を詳
述する。本発明の第四のフッ素系塗料(D)は、ポリテ
トラフルオロエチレン(PTFE)及び/又はTFE/
HFP共重合体(FEP)のディスパージョンである。
【0105】以下PTFEを例にとって、フッ素系塗料
(D)のディスパージョンについて更に詳しく説明す
る。上記PTFEは、パーフルオロオレフィン単独重合
体としての強固なH−F結合を有する樹脂として優れた
特性を有することが良く知られている。PTFEは、種
々の用途に適用するためディスパージョンとする。
【0106】このようなディスパージョンとしては、コ
ア部とその周囲のシェル部とからなる粒子を分散させた
ディスパージョンであって、コア部は、PTFE又はフ
ルオロアルキルビニルエーテルで変性させたPTFEか
らなるものであり、シェル部は、CTFEを含有し、シ
ェル部が粒子全体の重量の50重量%を超えない変性P
TFE粒子を液状担体に分散させてなるもの等を挙げる
ことができる。上記粒子は、更に、コア部が粒子全体に
対して0.01〜0.15重量%のフルオロアルキルビ
ニルエーテルを含有することが好ましい。また、このよ
うな粒子には、導電性物質等の固体塗膜改質剤を含有さ
せることが好ましい。
【0107】上記コア部に含有されるフルオロアルキル
ビニルエーテルの量は、粒子全体に対して0.01〜
0.15重量%、好ましくは、0.02〜0.04重量
%である。この場合、シェル部は、コア部よりも高い濃
度で変性した構造としておいた方が好ましい。上記フル
オロアルキルビニルエーテルとしては、例えば、下記一
般式; X1 (CF2 7nOCF=CF2 (式中、X1 は、水素、フッ素又は塩素原子、7nは1
〜6の整数を表す。)で表される化合物、又は、下記一
般式; C3 7 (OCF2 CF2 CF2 7m[OCF(C
3 )CF2 7tOCF=CF2 (式中、7mは、0〜2の整数、7tは、0〜2の整数
を表す。)で表される化合物等を挙げることができる。
【0108】コア部とシェル部との重量比は、例えば、
50:50〜98:2、好ましくは、70:30〜9
5:5である。また、上記変性PTFEとしては、例え
ば、特開昭63−56532号公報記載のもの等を挙げ
ることができ、他の変性PTFEも、当該公報に記載の
方法又はそれを修飾した方法によって製造することがで
きる。
【0109】コア部を純PTFEとするには、TFEの
重合反応を行うに際して、反応初期には変性剤を仕込ま
ずに重合反応を開始し、重合すべきTFEの少なくとも
50重量%が消費された後に、反応系にCTFEを導入
するようにすればよい。また、上記液状担体としては、
水又はトルエン、キシレン、エチレングリコール等の有
機液体を用いることができる。ディスパージョン全体に
おける変性PTFEの割合は、概ね10〜60重量%で
あることが好ましい。
【0110】上記ディスパージョンがFEPからなるも
のである場合であっても、上記PTFEと同様の方法に
より得ることができる。FEPディスパージョンにより
得られる塗膜は、耐熱性がPTFEに比較して若干劣る
ものの、耐薬品性、電気的特性、非粘着性等はPTFE
と同様に極めて優れたものとなるため、本発明に極めて
効果的に用いることができる。
【0111】上記ディスパージョンは、上記変性PTF
Eの水性又は有機液体分散体に界面活性剤を加え、充分
に攪拌を行って均一化することにより調製することがで
きる。上記界面活性剤としてしは、非イオン系界面活性
剤、陰イオン系界面活性剤等を挙げることができる。上
記界面活性剤の量は、上記変性PTFE100重量部に
対して5〜10重量部であることが好ましい。
【0112】上記ディスパージョンには、塗膜の性質を
改良するために、固体塗膜改質剤、例えば、帯電防止機
能を付与するために、銀、アルミニウム、カーボンブラ
ック、カーボンファイバー等の導電性物質を加えること
ができる。上記導電性物質の量は、組成物全体に対して
0.1〜20重量%、好ましくは2〜20重量%であ
る。
【0113】上記ディスパージョンには、更に、雲母粒
子又はフレークのような添加物を加えることができる。
更に、着色のために、酸化クロム、酸化チタン、カーボ
ンブラック等の顔料を添加することができ、基材との接
着性や塗膜の平滑性を改良するために、溶融性フッ素樹
脂、アクリル樹脂、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポ
リアリレンサルファイド、ポリエーテルスルフォン等の
有機高分子化合物等を添加することができる。
【0114】以上で本発明のフッ素系塗料(A)、
(B)、(C)及び(D)のそれぞれについての説明を
終えた。
【0115】上記のようにして調製されたフッ素系塗料
は、例えば、建築資材、内外装用資材、特に、殺菌や脱
臭等の効果が必要な病院用、厨房用等の資材に適用する
ことができ、また、船底、海洋建造物、魚網等にも適用
することができる。上記フッ素系塗料を適用するにあた
っては、通常の塗布方法を採用することができ、例え
ば、スプレーコーティング、フローコーティング、スピ
ンコーティング、ディップコーティング、ロールコーテ
ィング、その他のコーティング方法等を採用することが
できる。上記塗布後には、上記フッ素系塗料が焼付け型
である場合には、必要な加熱等を行うことにより焼付け
を行い、上記フッ素系塗料が常温硬化型である場合に
は、常温にて静置することにより、塗膜とすることがで
きる。
【0116】以上で、フッ素系素材のうちフッ素系塗料
についての説明を終えたので、フッ素系素材のうち、フ
ッ素系成形体、特にフッ素系フィルムについて、以下に
説明する。
【0117】上記フッ素系成形体は、ポリフルオロオレ
フィンからなる。上記ポリフルオロオレフィンとしては
特に限定されず、例えば、フッ化ビニル(VF)、ビニ
リデンフルオライド(VdF)、テトラフルオロエチレ
ン(TFE)、トリフルオロエチレン(TrFE)、ク
ロロトリフルオロエチレン(CTFE)、ヘキサフルオ
ロプロピレン(HFP)、パーフルオロアルキルビニル
エーテル等の単独重合体、共重合体等を挙げることがで
き、更にこれらと共重合体可能な単量体との共重合体等
を挙げることができる。上記ポリフルオロオレフィンと
しては特に限定されず、例えば、TFE/パーフルオロ
アルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、TFE/
HFP共重合体(FEP)、TFE/エチレン共重合体
(ETFE)、TFE単独重合体(PTFE)、VdF
単独重合体(PVdF)、CTFE単独重合体(PCT
FE)等を挙げることができる。
【0118】上記ポリフルオロオレフィンを成形するに
あたっては、通常の成形方法を採用することができ、例
えば、射出成形、圧縮成形等を挙げることができる。溶
融不可能であるPTFEの場合等においては、適宜、圧
縮成形及び焼成等により成形することができる。
【0119】上記フッ素系フィルムは、例えば、押出成
形法、インフレーション成形法、スカイブ法、カレンダ
ー法等の方法により調製することができ、二次加工性や
生産性を考えると、押出成形法が好ましい。上記フッ素
系フィルムの厚さは、通常、10〜250μm、好まし
くは、50〜150μmである。厚さが10μm未満で
は破れやすくシワになりやすくなり、250μmを超え
ると展張時の作業性や透明性が悪くなる。
【0120】上記のようにして調製された本発明のフッ
素系成形体、特にフッ素系フィルムは、例えば、アルミ
ニウム等の金属の表面にラミネートすることにより、食
器、OA機器用容器、半導体製造用高純度容器等として
活用することができる。また、ロール表面に接着するこ
とにより、非粘着性、耐熱性、耐食性に加えて、抗菌性
及び脱臭性をも兼ね備えたOA機器等を製造することが
できる。また、屋外用被覆材、農業用被覆材、屋根材等
に適用することにより、優れた資材を製造することがで
き、更に、エレクトロニクス分野における素材として
も、充分に活用することができる。特に農業用被覆材
は、本発明の防汚効果を特に必要とするので重要であ
る。
【0121】以上で、本発明のフッ素系素材のうちフッ
素系成形体、特にフッ素系フィルムについての説明を終
えたので、フッ素系素材のうちフッ素系テント膜につい
て説明する。上記フッ素系テント膜に用いられるテント
膜は、繊維状基材を編み込むことにより製造することが
でき、例えば、ガラスクロス、炭素繊維クロス等を挙げ
ることができる。このようなテント膜の表面をポリフル
オロオレフィン等の被膜で覆うことによりフッ素系テン
ト膜を構成することができる。上記ポリフルオロオレフ
ィンとしては特に限定されず、例えば、PTFE、FE
P等を挙げることができ、このようなポリフルオロオレ
フィンは、ディスパージョンの形で提供されるものを用
いることができる。上記PTFE及び/又はFEPのデ
ィスパージョンについては、既にフッ素系塗料の項で説
明を終えている。
【0122】本発明のフッ素系テント膜は、まず、例え
ば、ガラスクロスに上記光触媒フィラーを含有するディ
スパージョンを含浸させ、その後乾燥した後焼成し冷却
することにより得ることができる。
【0123】例えば、上記ポリフルオロオレフィンがP
TFE及びFEPである場合には、ガラスクロスに、光
触媒フィラーを含有するPTFEディスパージョンを含
浸、乾燥、焼成、冷却した後、その上に、光触媒フィラ
ーを含有するFEPディスパージョンを含浸、乾燥、焼
成、冷却することにより製造することができ、更にま
た、これらを繰り返すか又は逆の順序で行うことにより
所望の形態の本発明のフッ素系テント膜を構成すること
ができる。
【0124】本発明のフッ素系テント膜は、耐熱性、耐
低温性、化学的安定性、電気的絶縁性、非粘着性、低摩
擦性等のフッ素系素材が有する基本的性質を有している
ので、ドーム球場等の大型テント、サーカスや催事場等
用のテント、リクリエーション用に海辺や山間で用いる
テント、仮設住宅用のテント等の各種の屋外用テントに
広く用いることができる。
【0125】以上で、本発明のフッ素系素材についての
説明を終えた。以下に、上記本発明のフッ素系素材につ
いて、更に付記する。上記フッ素系塗料、フッ素系成形
体、特にフッ素系フィルム、及び、フッ素系テント膜等
の本発明のフッ素系素材は、すべてフルオロオレフィン
をモノマーとする単独重合体、共重合体及び/又はその
他のモノマーとの共重合体であってそれぞれ上に詳述し
たものを原料とするものであるが、これら上に詳述した
ものに加えて、以下に述べるような、ヒドロキシル基、
カルボキシル基、カルボン酸基、カルボキシエステル
基、エポキシ基等の官能基を有するフッ素系ポリマーを
もその原料とすることができる。上記フッ素系ポリマー
としては、例えば、一般式: C(X992 =CX90−Rf−Y99 (式中、Y99は、−CH2 OH、−COOH、カルボン
酸基、カルボキシルエステル基、又は、エポキシ基を表
す。X99、X90は、同一又は異なって、水素原子又はフ
ッ素原子を表す。Rfは、炭素数1〜40の2価の含フ
ッ素アルキレン基、又は、炭素数1〜40のエーテル基
を含む含フッ素オキシアルキレン基を表す。)で表され
る少なくとも1種の官能基含有含フッ素エチレン性単量
体0.05〜30モル%と;上記官能基を有しない含フ
ッ素エチレン性単量体(例えば、TFE、HFP等)の
少なくとも1種の単量体70〜99.95モル%と;を
共重合してなる官能基含有含フッ素エチレン性重合体等
を挙げることができる。
【0126】以上で本発明のフッ素系素材のそれぞれに
ついての説明を終えたので、以下に本発明の光触媒薄膜
について説明する。本発明のフッ素系素材は、その表面
に光触媒薄膜を有する。上記光触媒薄膜の膜厚は、通
常、100〜5000Å程度であるが、これに限定され
ず、薄膜とすることによって奏する独特の効果が発揮で
きる膜厚であればよい。上記光触媒薄膜は、光触媒作用
物質で構成される。上記光触媒作用物質については既に
述べたが、例えば、酸化チタンを例にとって光触媒薄膜
の成膜方法等について以下に説明する。上記酸化チタン
薄膜は、従来のディップ法、スプレー法、CVD法等に
より行うことができるが、これらの方法では、フッ素系
素材に適用した場合には高い光触媒活性を得ることが困
難であることがあるので、本発明においては、有機チタ
ン化合物を利用する金属酸化物薄膜形成用組成物を用い
る方法、In、Sn化合物溶液を超音波でミスト化した
後熱分解するパイロゾル法、光触媒薄膜の下層として酸
化ケイ素を主成分とするプレコート膜を設ける方法等に
より形成することが好ましい。これらのうち、高温焼付
け型のコーティング剤は、ディップ用NDTシリーズ
(日本曹達社製)、スプレー用NSTシリーズ(同)等
として市販されており、また、低温乾燥型のコーティン
グ剤であって60〜120℃の温度で塗布可能なもの
は、ディップ用NDCシリーズ(日本曹達社製)、スプ
レー用NSCシリーズ(同)等として市販されており、
金属酸化物薄膜形成用組成物は、日曹アトロン(日本曹
達社製)として市販されている。以下、これらについて
詳述する。
【0127】上記金属酸化物薄膜形成用組成物は、対T
i原子比が、0.001≦M/Ti≦0.3(式中、M
は、Si、Sn、Sb及びTaよりなる群から選択され
る少なくとも1種の金属を表す。)の有機溶剤可溶性の
チタン化合物と有機溶剤可溶性のSi、Sn、Sb及び
Taよりなる群から選択される少なくとも1種の金属化
合物との混合物及び/又はそれらの間の反応生成物を含
有し、有機溶剤可溶性のリン化合物及び/又はホウ素化
合物を酸化物に換算して上記金属化合物の酸化物基準で
10重量%以下を含有していてもよい有機溶剤溶液から
なる。
【0128】上記有機溶剤可溶性のチタン化合物として
は、例えば、一般式: Ti(ORX 4 で表され、式中のRX が、炭素数1〜18の1価の炭化
水素基の同種又は異種であるテトラメトキシチタン、テ
トラエトキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テ
トラブトキシチタン、ジエトキシジイソプロポキシチタ
ン、ジメトキシジブトキシチタン、テトラ(2−エチル
ヘキソキシ)チタン、テトラフェノキシチタン等のチタ
ンアルコキシドモノマー;上記チタンアルコキシドモノ
マーの加水分解縮合物(チタンアルコキシドポリマ
ー);上記チタンアルコキシドモノマーとチタンアルコ
キシドポリマーとの混合物が使用される。
【0129】また、上記チタンアルコキシドモノマー、
チタンアルコキシドポリマー及びこれらの混合物と、酢
酸、プロピオン酸、酪酸、高級脂肪酸等の有機カルボン
酸等のアシル化剤及び/又はアセチルアセトン、ベンゾ
イルアセトン等のβ−ジケトン類;アセト酢酸、プロピ
オニル酪酸等のケト酸類;ケト酸の低級アルキルエステ
ル類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、ト
リエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロ
ピレングリコール、ポリプロピレングリコール、オクチ
レングリコール等のジオール類;グリコール酸、乳酸等
のオキシ酸類及びそれらの低級エステル類;ジエタノー
ルアミン、トリエタノールアミン等のアミンアルコール
類等の、Ti原子とキレート環を形成することができる
キレート化剤とを反応させて得られるチタン化合物類等
が使用される。
【0130】また、添加金属化合物として、有機溶剤可
溶性の金属化合物、例えば、上記チタン化合物と同様の
置換基を有するアルコキシド類;上記アルコキシド類と
上記アシル化剤及び/又は添加金属原子とキレート環を
形成することができるキレート化剤とを反応させて得ら
れる金属化合物が使用される。
【0131】チタン化合物と添加金属化合物との間の反
応生成物は、チタンアルコキシドモノマー及び/又はチ
タンアルコキシドポリマーと添加金属のアルコキシドと
を加水分解、共縮合して得られる共重合体であり、この
共重合体もアシル化及び/又はキレート化されていても
よい。
【0132】溶剤として、上記した金属化合物類を溶解
することができるものが、特に制限なく使用される。例
えば、低級アルコール類、エステル類、ケトン類、脂肪
族炭化水素類、芳香族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素
類及びそれらの混合物が使用され、好ましくは、沸点が
180℃以下の単独溶剤又は混合溶剤が使用される。
【0133】上記金属酸化物薄膜形成用組成物は、有機
溶剤可溶性の無機又は有機のリン化合物及び/又はホウ
素化合物を含有していてもよい。これらのリン化合物及
び/又はホウ素化合物は、酸化物基準で複合金属酸化物
に換算した合計に対して10重量%以下、好ましくは1
〜5重量%の範囲で添加される。上記金属酸化物薄膜形
成用組成物により形成される薄膜は、上記フッ素系素材
の表面に上記金属酸化物薄膜形成用組成物を均一な厚さ
に塗布して乾燥し、450℃以上の温度下で1秒〜3時
間加熱して有機物を熱分解することにより形成すること
ができる。
【0134】上記金属酸化物薄膜形成用組成物の塗布方
法としては、均一な膜厚の塗膜を形成することができる
方法が用いられ、例えば、浸漬引き上げ法、スプレー
法、ロールコート法、カレンダーコート法、ドクターブ
レード法、印刷法等が採用でき、特に膜厚の均一性が要
求される場合には、浸漬引き上げ法が好ましい。上記方
法により得られる薄膜と低屈折率の金属酸化物薄膜、例
えば、SiO2薄膜とを、交互にそれぞれ所定の厚さに
積層して多層膜とすることもできる。例えば、フッ素系
素材の表面に、Sb含有TiO2 /SiO2 /Sb含有
TiO2三層膜、Sb含有TiO2 /SiO2 /Sb含
有TiO2 /SiO2 /Sb含有TiO2 五層膜等、又
はSb含有TiO2 薄膜層に代えてSn、Si、Taの
単独又はSbを含めた上記添加金属の2種以上を含有す
るTiO2 薄膜を形成することもできる。
【0135】SiO2 薄膜は、有機ケイ素化合物、例え
ば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テ
トライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、ジ
エトキシジイソプロポキシシラン、ジクロルジメトキシ
シラン等のシランアルコキシド及び/又はそれらの加水
分解縮合体を含有する溶液を用い、上記した薄膜形成方
法と同様の方法でフッ素系素材の表面に形成することが
できる。
【0136】本発明の金属酸化物薄膜は、ゾル・ゲル法
等によって得ることができる。上記ゾル・ゲル法により
薄膜を得る方法に用いられる原料としては、金属塩、金
属アルコキシド、金属含有ゾル等を挙げることができ
る。なかでも、比較的低温で分解して酸化物被膜とする
ことができ、ガラス表面のOH基と反応してぬれ性及び
密着性に優れている等の利点から、金属アルコキシドは
本発明には好適である。上記金属アルコキシドとして
は、例えば、TiO2 −遷移金属酸化物、TiO2−S
iO2 、TiO2 −SiO2 とその他の金属酸化物との
混合物等を挙げることができる。
【0137】ゾル・ゲル法による具体的成膜法のうち、
透明導電膜を形成する方法としては、例えば、化学的方
法として、スプレー法、CVD法、ディップ法等を挙げ
ることができ、物理的方法として、真空蒸着法、スパッ
タ法等を挙げることができる。また、ITO膜を形成す
る方法としては、真空蒸着法、スパッタ法等のドライプ
ロセスではなく、プロセスの連続化が容易であり、低抵
抗、高透過率の膜が得られ、エッチング性が良好とな
り、大型基板への成膜も容易である等の利点からゾル・
ゲル法によるウェットプロセスを用いる。強誘電体薄膜
を形成する方法としても、上記利点から、ゾル・ゲル法
によるウェットプロセスを用いる。
【0138】パイロゾル成膜法とは、チタンアルコキシ
ド等の金属種を含む溶液を超音波パワーによりエアゾル
(液滴)化し、予め加熱された基板近傍に移送して、化
学蒸着する成膜法であり、液滴の粒径分布が狭いためス
プレー法に比べて均一で良質な膜を得ることができる利
点がある。例えば、チタンテトライソプロポキシド等の
有機溶剤溶液を原料に用いて、400〜500℃に加熱
した基板上に透明TiO2 膜を成膜することができる。
成膜の膜厚は、成膜する時間を加減することにより調整
することができる。ディップ成膜法においては、上記し
た金属酸化物薄膜形成用組成物を用いることにより行う
ことができる。
【0139】ゾル・ゲル法による薄膜形成方法に用いら
れる組成物としては、従来から、例えば、TiO2 アル
コキシド等が用いられ、テトラアルコキシチタンを加水
分解して得られるポリチタノキサンにより成膜されるも
のとされている。このようなポリチタノキサンは、下記
一般式: (R′O)2 Ti−(−O−Ti(OR′)2 −)ss−
O−Ti(OR′)3 (式中、R′は、1価の炭化水素基を表す。ssは、1
〜20の正数を表す。)で表される鎖状ポリチタノキサ
ンである。しかしながら、鎖状ポリチタノキサンは、式
中のssが大きくなるとゲル化し、有機溶剤に不溶とな
るし、これを用いてゾル・ゲル法により酸化チタン薄膜
を製造しようとすると、テトラアルコキシチタン溶液を
用いた場合よりは緻密な薄膜が得られるものの、その緻
密度は電気・電子グレードや光学グレードとしては不充
分となる。そこで、有機溶剤可溶型であり、かつ−Ti
−O−Ti−結合密度が高いポリチタノキサンを用いる
必要がある。このような要請に応えるのが、下記一般式
で表されるラダー状構造を有するポリチタノキサンであ
る。
【0140】
【化3】
【0141】式中、RY は、水素原子及び炭素数1〜1
8の1価の炭化水素基よりなる群から選択される少なく
とも1種(ただし、水素原子は、全RY の15%を越え
ない。)であり、nY、mYは、1〜80の正数であ
る。炭素数1〜18の1価の炭化水素基としては、直鎖
又は分岐を有する飽和又は不飽和の脂肪族炭化水素基、
アルキル基又はアルコキシ基で置換されていてもよい環
状脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、アリル基等を
挙げることができ、更に具体的には、メチル基、エチル
基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチ
ル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オ
クチル基、2−エチルヘキシル基、デシル基、ドデシル
基、ステアリル基等の脂肪族炭化水素基、フェニル基、
メチルフェニル基、エトキシフェニル基、ベンジル基等
の芳香族炭化水素基が例示できる。これらは1種の単独
でもよく、2種以上であってもよい。
【0142】上記RY として水素原子を含有する場合に
は、水素原子は全RY の15%を越えることはない。R
Y 中の水素原子が過大となると、ポリチタノキサン中の
水素原子と炭化水素基とが反応してより複雑なポリマー
構造を形成して極めて不安定となり、有機溶剤に不溶と
なる。nY、mYは、ラダー状ポリチタノキサンの縮合
度を表し、縮合度が1〜80の範囲では有機溶剤に可溶
である。上記一般式で表されるラダー状ポリチタノキサ
ンは、RY の種類により異なるが、白色固体物質又は粘
稠液体物質であり、各種の有機溶剤に可溶である。この
ものは、下記一般式: Ti(OR′′)4 (式中、R′′は、炭素数1〜18の1価の炭化水素基
を表す。)で表されるテトラアルコキシチタンを、1.
0倍モル以上1.7倍モル以下の水を用いて20〜90
℃の温度下において加水分解し、ついで低沸物を留去す
ることにより製造することができる。上記R′′とし
て、上記ラダー状ポリチタノキサンの構造式中のRY
して例示した炭素数1〜18の炭化水素基等を挙げるこ
とができる。
【0143】ラダー状ポリチタノキサンの合成の容易さ
を考慮すると、原料テトラアルコキシチタンとして、上
記式中のR′′が炭素数1〜6の低級アルキル基である
テトラアルコキシチタンを使用するのが好ましく、さら
に好ましくは入手の容易なテトライソプロポキシチタン
又はテトラブトキシチタンを用いるのがよい。R′′と
して、更に大きな炭素数の炭化水素基を導入する場合に
は、R′′が低級アルキル基であるテトラアルコキシチ
タンを用いて加水分解を行った後、常法によりエステル
変換を行うことにより、目的とする置換基を有するラダ
ー状ポリチタノキサンを得ることができる。
【0144】上記構造を有するラダー状ポリチタノキサ
ンは、分子量が20000にも達するにもかかわらず各
種有機溶剤に可溶で、かつ、分子中の−Ti−O−Ti
−結合密度が鎖状ポリチタノキサンに比較して大きいた
め、ゾル・ゲル法用のチタン原料として好適である。ま
た、上記ラダー状ポリチタノキサンの製造方法におい
て、ポリチタノキサンのラダー化は、テトラアルコキシ
チタンの加水分解反応後の低沸物の留去操作により進行
するものと思われる。
【0145】本発明の光触媒薄膜を構成するために、例
えば、当該薄膜がTiO2 /SiO2 /TiO2 の三層
で構成する場合には、真空蒸着法やスパタリング法等の
これまでの方法に代えて、有機チタンポリマー溶液で処
理し、乾燥後有機ケイ素化合物溶液で処理し、乾燥し、
更に有機チタンポリマー溶液で処理し、次に350〜7
00℃の温度で加熱処理する方法を採用することができ
る。上記有機チタンポリマーとしては、例えば、下記一
般式:
【0146】
【化4】
【0147】(式中、RZ は、炭素数1〜18、好まし
くは炭素数2〜4のアルキル基を表す。nZは、2〜1
0の正数を表す。)で表されるものを用いることができ
る。上記一般式で表される有機チタンポリマーは、例え
ば、テトラアルキルチタンを水により重合させることに
より得ることができる。有機チタンポリマー用の溶剤と
しては、炭素数8以下のアルコール類、エステル類、エ
ーテル類、炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類等を挙げ
ることができ、これらの溶剤中にアセチルアセトン、ベ
ンゾイルアセトン等のβ−ケトン類;アセト酢酸、プロ
ピオニル酪酸、ベンゾイルギ酸、ベンゾイル酢酸等のケ
トン酸類;該ケトン酸類のエステル類、乳酸、グリコー
ル酸、α−オキシ酪酸、サリチル酸等のオキシ酸類、該
オキシ酸類のエステル類、ジアセトンアルコール、アセ
トイン等のオキシケトン類;グリシン、アラニン等のα
−アミノ酸類及びアミノエチルアルコール等のアミノア
ルコール類等を、溶質が加熱処理されてTiO2 となっ
たときのTiO2 換算でその1〜10倍モル、好ましく
は1.5〜3倍モル含有するものが溶液の宛正において
優れており、また塗膜の白濁防止効果の点でも好まし
い。溶剤の使用量は、上記TiO2 換算濃度が1〜10
重量%になるに相当する量である。これよりTiO2
算濃度が大き過ぎると被膜が厚くなりすぎて、加熱処理
時にクラックが入る可能性が高くなり、小さすぎると充
分な膜厚が得られない。
【0148】上記有機ケイ素化合物溶液としては、Ti
2 被膜を有する基板上に塗布し、乾燥後加熱処理せし
めることによりSiO2 薄膜を形成することができるも
のであればよく、アルコキシシランを低級アルコール及
び酢酸による希釈下、微量の鉱酸を触媒として重合せし
めて得られるシロキサン化合物溶液が好ましい。有機ケ
イ素化合物の溶媒としては、上記有機チタンポリマーの
溶媒と同種のものが使用できる。溶液の濃度としてはS
iO2 換算濃度で1〜12重量%である。これより大き
いと膜厚が厚くなりすぎて加熱処理時にクラックが入る
可能性が高くなり、また小さすぎると充分な膜厚が得ら
れない。第三層のTiO2 膜形成用有機チタンポリマー
溶液は、上記第一層用のものと同種のものが用いられ
る。
【0149】上記したようにして成膜された光触媒薄膜
は、熱安定性に優れたものであり、かつ、積層すること
により所望に応じてその膜厚を調整することもできるの
で、極めて応用範囲の広いものとなる。また、上記光触
媒薄膜は、薄くて追随性がよく、透明で剥がれない特性
を有するので、撥水性や非粘着性の高いフッ素系素材に
対しても良好な効果を得ることができる。以上で本発明
の光触媒薄膜の原料及びその成膜方法についての説明を
終えた。本発明のフッ素系素材は、その表面に、上に詳
述した本発明の光触媒薄膜を有していることにより、既
に述べた種々の用途に極めて効果的に適用することがで
きる。例えば、農業用フィルムに適用することにより、
防汚性に優れ、手入れ不要の極めて作業性に富んだ農業
用フィルムを得ることができる。また、建造物等の窓ガ
ラスに適用することにより、全く窓ふきが不要となるメ
ンテナンスフリーの窓ガラスを製造することができる。
【0150】
【発明の効果】本発明のフッ素系素材は、その表面に、
光触媒薄膜を有していることにより、フッ素系素材の有
する優れた耐候性、耐熱性、耐薬品性、絶縁性、非接着
性等の性質を全く低下させることなく、それらに加え
て、殺菌、脱臭、有機物分解等の極めて有用性の高い効
果を併せ有する塗料、成形体、特にフィルム、及び、テ
ント膜である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C09D 5/00 C09D 5/00 Z 127/12 127/12 133/00 133/00

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光触媒薄膜を表面に有してなることを特
    徴とするフッ素系素材。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1273692A4 (en) * 2000-02-08 2009-08-26 Nippon Soda Co TENT CANVAS, COATED WITH A PHOTOCATALYST, AND PROCESS FOR PRODUCING THE SAME
JP2011214215A (ja) * 2011-07-19 2011-10-27 Taiyo Kogyo Corp 光触媒シートの製造方法
JP2012208206A (ja) * 2011-03-29 2012-10-25 Olympus Corp 反射防止膜および光学素子

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