JPH1030736A - 二重シール弁 - Google Patents

二重シール弁

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JPH1030736A
JPH1030736A JP18488696A JP18488696A JPH1030736A JP H1030736 A JPH1030736 A JP H1030736A JP 18488696 A JP18488696 A JP 18488696A JP 18488696 A JP18488696 A JP 18488696A JP H1030736 A JPH1030736 A JP H1030736A
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annular packing
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 開弁状態から閉弁動作に移る時に主環状パ
ッキンの接液部分に作用する剪断力を極力軽減して、主
環状パッキンの耐用性を向上させること。 【解決手段】 上部流路1と下部流路2との連通路3に
弁座6を設け、弁座6に主環状パッキン12を介して摺
接係合する第1弁体7を第1弁軸8に、また弁座6の上
部側座面6bに副環状パッキン13を介して押接係合す
る第2弁体9を第2弁軸10に設けた二重シール弁にお
いて、主環状パッキン12は、第1弁体7のパッキンの
接液部分12bが開弁時における液体の圧力変動や温度
変化による膨張を抑制されるように、非接液部分12a
の断面積を接液部分12bの断面積に比べて十分大きく
すると共に、開弁時に接液部分12bの上端縁部が第2
弁体9の下広がりテーパ状内周面9bの下端部に係合す
るようにしたこと。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、食品製造、醸造等
の機械やプラントにおける液体流通ラインに使用される
二重シール弁に関するもので、流路を二重にシールする
ことにより二液の混合を防止する弁構造に関する。
【0002】
【従来の技術】従来におけるこの種の二重シール弁とし
て、上部流路と下部流路との間に形成した連通路に弁座
を設け、弁座の内周側座面に主環状パッキンを介して摺
接係合する第1弁体を第1弁軸に、また弁座の上部側座
面に副環状パッキンを介して押接係合する第2弁体を第
2弁軸にそれぞれ設け、第1弁軸及び2弁軸を弁開閉駆
動機構により適宜に駆動させることによって、第1弁体
及び第2弁体の開閉を行わせるようにしたものがある。
各環状パッキンはゴム製のもので、弁座との対向面に凹
設されたパッキン取付用嵌合溝に嵌合されて取り付けら
れている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記のような二重シー
ル弁において、副環状パッキンは、第2弁体の下動によ
って弁座の上部側座面に押接されて係合するので、閉弁
時に圧縮力が作用するだけで、剪断力はかからないが、
主環状パッキンの方は、第1弁体の上下動によってステ
ンレス鋼等からなる弁座の内周側座面に対し軸方向に摺
接して係合されるものであって、その摺接面に大きな摩
擦抵抗が働くために、パッキン取付用嵌合溝から突出す
るパッキン部分(以降、接液部分と云う)とその嵌合溝
に没入しているパッキン部分(以降、非接液部分と云
う)との境界部分に剪断力が生じ、その剪断力が過大に
なると、パッキンの破損につながる。
【0004】また、このような二重シール弁において、
各弁体のパッキンは、閉弁時には、弁座の座面に拘束さ
れて圧縮状態にあり、開弁時には拘束が解けて接液部分
が膨張状態となるが、この開弁時に、弁内を通過する液
体の圧力変動や温度変化によって接液部分の膨張度が著
しく大きくなる。しかして、第1弁体の主環状パッキン
にあっては、開弁状態から閉弁動作に移る時に、パッキ
ンの接液部分が上記のように大きく膨張した状態で弁座
の内周面に突入することによって、その接液部分は過大
な剪断力を受け、短期のうちに破損してしまう。
【0005】そこで本発明は、上記弁内を通過する液体
の圧力変動や温度変化に伴う接液部分の膨張度が非接液
部分の体積に対する接液部分の体積の比率に関係し、非
接液部分の体積が接液部分の体積に比べて大きければ大
きい程、接液部分の膨張度が小さくなると云う点に鑑
み、更には開弁状態において主環状パッキンの接液部分
を部分的に拘束してやれば開弁時の接液部分の膨張を抑
制できることを考慮し、開弁状態から閉弁動作に移る時
に主環状パッキンの接液部分に作用する剪断力を極力軽
減し、もって主環状パッキンの耐用性を向上させるよう
にした二重シール弁を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めの請求項1に係る二重シール弁は、上部流路1と下部
流路2との間に形成した連通路3に弁座6を設け、弁座
6の内周側座面6aに主環状パッキン12を介して摺接
係合する第1弁体7を第1弁軸8に、また弁座6の上部
側座面6bに副環状パッキン13を介して押接係合する
第2弁体9を、第1弁軸8に摺動可能でばね11により
常時下向きに付勢されるように嵌装される第2弁軸10
にそれぞれ設けると共に、第1弁軸8を弁開閉駆動機構
28に連動連結し、開弁時に第1弁軸8の上動に伴って
第2弁体9が第1弁体7に追従移動する二重シール弁に
おいて、主環状パッキン12は、第1弁体7のパッキン
取付用嵌合溝7aから突出するパッキンの接液部分12
bが開弁時における液体の圧力変動や温度変化による膨
張を抑制されるように、前記パッキン取付用嵌合溝7a
に没入する非接液部分12aの断面積を接液部分12b
の断面積に比べて十分大きくすると共に、開弁時に接液
部分12bの上端縁部が第2弁体9の下広がりテーパ状
内周面9bの下端部に係合するようにしたことを特徴と
する。
【0007】請求項2は、請求項1に記載の二重シール
弁において、第1弁体7の主環状パッキン12は、ゴム
材にフッ素樹脂材を所要量混入したものから形成されて
いることを特徴とする。
【0008】請求項3は、請求項1または2に記載の二
重シール弁において、弁座6の内周側座面6aには、フ
ッ素樹脂材のコーティング層またはライニング層が形成
されていることを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】図1は、本発明に係る二重シール
弁の全体をa−a線で二分した下半分の縦断面図で、図
2は上半分を示している。これらの図において、1は上
部流路、2は下部流路で、これらの流路1,2は互いに
平行または交差方向に形成されていて、両流路1,2の
間には連通路3が形成され、また両流路1,2における
連通路3と同軸上に対向する部位に上部開口部4及び下
部開口部5が形成され、そして連通路3には弁座6が装
着されている。上部流路1及び下部流路2に、それぞれ
飲料液または洗浄液を流通させるようになっている。
【0010】7は、弁座6の内周側に係合する第1弁体
で、上部開口部4から連通路3を通って下部開口部5側
に挿入された第1弁軸8の中間軸部8bの下端部に一体
形成されている。この第1弁体7の下部には中空状の下
部軸部8cが同軸一体形成され、また中間軸部8bの上
部には上部軸部8aが、通常はねじ結合により同軸に連
設されている(図1及び図2には、中間軸部8bと上部
軸部8aとが一体に形成されたものとして図示してい
る)。これら上部軸部8aと中間軸部8bと下部軸部8
cとによって第1弁軸8が形成される。
【0011】9は、第1弁体7の上側に位置して弁座6
の上部側に上方より押接係合する第2弁体で、第1弁軸
8の上部軸部8aから中間軸部8bにわたって套嵌され
た第2弁軸10の下端部に一体に形成されており、この
第2弁軸10は、後述するようにコイルばねからなる第
1ばね11によって常時下向きに付勢され、それにより
第2弁体9を弁座6の上部側に押し付けている。尚、こ
の第2弁軸10は、上部軸部10aとこれにねじ結合さ
れた下部軸部10bとからなるもので、下部軸部10b
の下端部に第2弁体9が形成される。
【0012】図3以降の図面をも参照して明らかなよう
に、第1弁体7には、弁座6の内周側座面6aに摺動可
能に密接する主環状パッキン12がパッキン取付用嵌合
溝7aに嵌合されて取り付けられ、第2弁体9には、弁
座6の上部側座面6bに上方より密接する副環状パッキ
ン13がパッキン取付用嵌合溝9aに嵌合されて取り付
けられている。上部流路1の上部開口部4には、この上
部開口部4から上方へ突出する第2弁軸10の下部軸部
10bを摺動可能に支持する環状部材14が設けられ、
この環状部材14は、ヨーク15の基部15aと、これ
の下端部で下部軸部10bに密接するパッキン16を含
んで構成される。また、下部流路2の下部開口部5に
は、この下部開口部5から下方へ突出する第1弁軸8の
下部軸部8cを摺動可能に支持する環状部材17が設け
られ、この環状部材17は、スリーブ18の径大基部1
8aと、これの上端部で下部軸部8cに密接するパッキ
ン19を含んで構成される。
【0013】図1に示すように、第2弁軸10の下部軸
部10bには洗浄液供給口20が設けられ、この洗浄液
供給口20は、連通孔21を介して、第1弁軸8の中間
軸部8bに設けられた内部通路22に通じ、この内部通
路22は、中間軸部8bの下端部に放射状に設けられた
複数の洗浄液噴出孔23に通じている。しかして、洗浄
液供給口20より洗浄液を供給すると、その洗浄液は、
連通孔21より中間軸部8bの内部通路22に入り、下
端部の各洗浄液噴出孔23から、第1弁体7と第2弁体
9と弁座6との間に形成される環状室24内に噴出し
て、この環状室23の内部を洗浄した後、複数の通孔2
5を通って下部軸部8c内部の排出路26から外部に排
出される。尚、洗浄液供給口20には洗浄液ホース接続
用の口金27がヨーク15の窓15aを通して取り付け
られる。
【0014】また、図2を参照すると、この図において
28は、第1弁体7及び第2弁体9の開閉を司る第1の
弁開閉駆動機構であり、この弁開閉駆動機構28は、第
1弁軸8の上部軸部8aをピストンロッドとし、これに
固定したピストン29を固定シリンダ30内に嵌装した
エアシリンダからなるもので、固定シリンダ30内の上
部にばね受け31が配置され、このばね受け31とピス
トン29との間には、このピストン29と第2弁軸10
との間に介装された第1ばね11よりばね力の大きい第
2ばね32と、前記ピストンロッド8aに固定され且つ
前記ばね受け31に対し伸縮自在に連結されて、前記第
2ばね32の伸びを一定範囲に制限するばね制限ストッ
パー33とが介装され、そして固定シリンダ30には、
ピストン29を隔ててその上下両室30a,30bに対
しエアの給排を行うエア給排ポート34,35が設けら
れている。
【0015】前記ばね受け31は、第2ばね32の一端
部を受けるリング状のばね受け本体31oと、これと同
心状に一体形成された円筒部材31aとからなり、前記
ばね制限ストッパー33は、ピストンロッド(第1弁軸
8の上部軸部8a)に外嵌されて定位置に固定されると
共にばね受け31の円筒部材31aに摺動可能に内嵌さ
れる円筒部材33aからなるもので、常時は図2に示す
ように、第2ばね32の付勢力で両円筒部材31a,3
3aの先端係合部が互いに係合することによって、ばね
受け31とストッパー33とが最大に伸びた状態で連結
され、それにより第2ばね32がそれ以上伸びないよう
に制限されている。
【0016】従って、この第1の弁開閉駆動機構28に
よると、固定シリンダ30内の上下両室30a,30b
のいずれにも圧力エアが供給されていない時には、図2
に示すように、ピストン29と第2弁軸10の上部軸部
10aとの間に介装された第1ばね11の付勢力によ
り、第1弁軸8が上方へ、第2弁軸10が下方へそれぞ
れ付勢されて、第1弁体7が主環状パッキン12を介し
て弁座6の内周側座面6aに密接係合すると共に、第2
弁体9が副環状パッキン13を介して弁座6の上部側座
面6bに密接係合し、図3に示すような弁全閉状態とな
る。
【0017】そして、エア給排ポート35より固定シリ
ンダ30の下部室30bに圧力エアが供給されると、ピ
ストン29が第2ばね32の付勢力に抗して上昇し、こ
れに伴い前記ストッパー33の円筒状部材33aが収縮
作動して、第1弁軸8が上動を開始し、その途上で第1
弁体7の上端部が図4に示すように第2弁体9の内周側
下部に当接し、この当接状態で第1弁体7が第2弁体9
を押し上げて共上がりしながら、両弁体7,9が弁座6
から上方へ離間し、しかしてピストンロッド8aの上端
側に嵌装されたストローク設定リングRが固定シリンダ
30の上壁部30cに当接することで、ピストン29が
上動限位置に至り、第1弁体7及び第2弁体9は、図5
に示すような弁全開状態となる。
【0018】また、上記の弁全開状態において固定シリ
ンダ30の下部室30bの圧力エアを排出させることに
より、ばね受け31が固定シリンダ30の上壁部30c
に押し付けられたまま、ピストン29が第2ばね32の
付勢力によって下降し、これに伴い第1弁軸8及び第2
弁軸10が下動して、第1弁体7及び第2弁体9は図3
に示すような弁全閉状態に戻る。尚、弁全閉状態(図3
参照)と弁全開状態(図5参照)でのピストン29のス
トロークSaは、固定シリンダ30の上壁部30cに当
接する上記ストローク設定リングRによって設定され
る。
【0019】また、図1及び図2に示す弁全閉状態にお
いて、エア給排ポート34から固定シリンダ30の上部
室30aに圧力エアが供給されると、前記ばね制限スト
ッパー33によって第2ばね32の伸びが制限されてい
るから、上部室30aの圧力上昇によりピストン29が
下方に押されて下降し、それに伴い第1弁軸8が第1ば
ね11に付勢力に抗して下動し、第1弁体7の主環状パ
ッキン12が弁座6の内周側座面6aを下方へ摺動して
離間し、図6に示すように第1弁体7のみが僅かに開い
た弁部分開状態となる。このように、固定シリンダ30
の上部室30aに圧力エアを供給することにより、第1
弁軸8を単独で下動させて、第1弁体7のみを開弁状態
とすることができる。この場合、ピストン29は、図2
に示される位置から下降を開始し、後述する第2シリン
ダ37の上端に当接して停止する。従って、そのストロ
ークは同図に示すSbとなり、このストロークSb分だ
け第1弁軸8が第2弁軸10と独立して上下動すること
になる。
【0020】前記第1の弁開閉駆動機構28の下方に
は、同じくエアシリンダからなる第2の弁体開閉駆動機
構36が設けられている。この第2の弁体開閉駆動機構
36は、第1の弁開閉駆動機構28の固定シリンダ30
下部にこれと連通して連設された第2シリンダ37と、
この第2シリンダ37に内嵌されると共に第2弁軸10
の上部軸部10aに外嵌された状態で所定ストローク上
下動する第2ピストン38と、この第2ピストン38を
下動限位置に付勢する第3ばね39と、第2ピストン3
8の下部室30aに対するエアの給排を行うエア給排ポ
ート40とから構成されている。
【0021】図2において、41は第2ピストン38の
下動限位置を規制するストッパーで、第2シリンダ37
の下壁部側に形成され、また42は第2ピストン38の
上動限位置を規制するストッパーで、第2シリンダ37
の上壁部側に形成されている。しかして、第2ピストン
38は、下動限位置規制ストッパー41と上動限位置規
制ストッパー42との間において、ピストン38の外周
側上端部38aと上動限位置規制ストッパー42との間
隔に相当するストロークS1を上下動するが、第3ばね
39により下動限位置に付勢された第2ピストン38の
内周側上端部38bと、第1ばね11により閉弁位置に
付勢された第2弁軸10の上部軸部10aに突設された
ストッパー43との間に、前記ストロークS1よりも短
い軸方向の遊びS2が設けられていることから、この第
2ピストン38が下動限位置から上動限位置までストロ
ークS1上動することにより、第2弁軸10は、前記ス
トロークS1と前記軸方向遊びS2との差(S1−S
2)分だけ上動することになる。このように、第3ばね
39で下動限位置に付勢される第2ピストン38の内周
側上端部38bと、第2ばね32で閉弁位置に付勢され
る第2弁軸10側のストッパー43との間に、第2ピス
トン38のストロークS1より短い軸方向遊びS2を設
けることにより、第2ばね32の付勢力を第2弁軸10
に対して確実に作用させることができる。
【0022】この第2の弁開閉駆動機構36にあって
は、図2のように第2ピストン38が下動限位置に保持
されている状態から、エア給排ポート40より第2シリ
ンダ37の下部室37aに圧力エアが供給されると、第
2ピストン38が上動を開始するが、そのピストン38
の内周側上端部38bが第2弁軸10のストッパー42
に当たるまでは、第2弁軸10は第2弁体9を閉じる下
降位置に保持されたままである。しかして、第2弁軸1
0は、第2ピストン38の内周側上端部38bがストッ
パー42に当たった後、第2ピストン38の上動に伴っ
て押し上げられ、このピストン38の外周側上端部38
aが上動限位置規制ストッパー42に当たるまで上動
し、それにより図7に示すように第2弁体9のみが僅か
に開いた弁部分開状態となる。また、上記下部室37a
の圧力エアを抜くことにより、第2ピストン38が第3
ばね39により押し下げられると共に、第2弁軸10は
第2ばね32により下動し、第2弁体9は閉弁状態とな
る。また、第2シリンダ37の上部室37bと前記第1
弁開閉駆動機構28における固定シリンダ30の下部室
30bとは互いに連通している。
【0023】次に、本発明の特徴である第1弁体7及び
これに取り付けられる主環状パッキン12について図8
によって説明すると、主環状パッキン12は、開弁時の
断面構造を示す図8の(A)から分かるように、第1弁
体7のパッキン取付用嵌合溝7aに没入する非接液部分
12aの断面積が当該嵌合溝7aから突出する接液部分
12bの断面積に比べて十分大きくなるようにパッキン
取付用嵌合溝7aに取り付けられている。この場合、非
接液部分12aの断面積は接液部分12bの断面積の8
〜10倍とされる。図8(B)は、弁全開状態において
主環状パッキン12が弁座6の内周側座面6aに密接係
合している状態を示すもので、この主環状パッキン12
は、内周側座面6aに拘束されて圧縮される。
【0024】開弁時において弁内を通過する液体の圧力
変動や温度上昇に伴う接液部分の膨張度は非接液部分の
体積に対する接液部分の体積の比率に関係し、非接液部
分の体積が接液部分の体積に比べて大きければ大きい
程、接液部分の膨張度が小さくなることから、上記のよ
うに主環状パッキン12の非接液部分12aの断面積を
接液部分12bの断面積に比べて十分大きくとることに
よって、接液部分の膨張度を小さくすることが可能とな
る。従って、図5に示すような開弁状態にある第1弁体
7が下動して図3及び図8(A)に示すような閉弁状態
に移る際、弁内を通過する液体の圧力変動や温度上昇に
伴う接液部分12bの膨張度が極力小さく制限されてい
るため、主環状パッキン12が弁座6の内周側座面6a
に突入係合するときに接液部分12bに作用する剪断力
が極力軽減され、それにより主環状パッキン12の損傷
や破損が防止される。
【0025】図8(C)は、閉弁状態にあった第1弁体
7が第2弁体9を押し上げて共上がりしながら、両弁体
7,9が弁座6から上方へ離間して弁全開状態となると
きの主環状パッキン12の断面形状を示すもので、第1
弁軸の上動に伴い第1弁体7の上端部7bが、第2弁体
9の下広がりテーパ状内周面9bの下部に当接すると共
に、主環状パッキン12の接液部分12bの上端縁部が
同図のように第1弁体上端部7bの下側でテーパ状内周
面9bに係合するようになっている。このように弁全開
時に接液部分12bの上端縁部が第2弁体9のテーパ状
内周面9bに係合することによって、この接液部分12
bがテーパ状内周面9bにより部分的に拘束された状態
となり、それによって弁内を通過する液体の圧力変動や
温度上昇に伴う接液部分12bの膨張を抑制することが
できる。また、接液部分12bの上端縁部が図8(C)
の実線図示のように第2弁体9のテーパ状内周面9bに
係合した状態において接液部分12bが液体による加熱
や加圧作用を受けると、接液部分12bの上端縁部がテ
ーパ状内周面9bに沿って拘束力の弱まる上向きへ逃げ
るように変形し、それにより接液部分12b全体が同図
仮想線図示のようにパッキン径方向に膨出変形すること
を阻止することができる。
【0026】上記のようにパッキン取付用嵌合溝7aに
没入する主環状パッキン12の非接液部分12aの断面
積を接液部分12bの断面積に比べて十分大きくすると
共に、開弁時に接液部分12bの上端縁部が第2弁体9
のテーパ状内周面9bの下端部に係合するように構成し
たことによって、弁全開状態状態から閉弁動作に移る時
に主環状パッキン12の接液部分12bに作用する剪断
力を極力軽減し、もって主環状パッキン12の耐用性を
向上させることができる。
【0027】また、第1弁体7の主環状パッキン12
を、ゴム材にフッ素樹脂材を所要量混入したものから形
成することによって、主環状パッキン12の摺動摩擦抵
抗を軽減し、耐用性を向上させることができる。また、
弁座6の内周側座面6aに、フッ素樹脂材のコーティン
グ層またはライニング層を形成することによって、内周
側座面6aの耐用性の向上を図ることができる。
【0028】以上のような構成を有する二重シール弁の
使用において、第1の弁開閉駆動機構28における固定
シリンダ30の下部室30bに圧力エアが供給されてい
ない状態のときには、図1〜図3に示すように、第1弁
体7が主環状パッキン12を介して弁座6の内周側座面
6aに密接係合すると共に、第1ばね11により押し下
げる第2弁軸10によって第2弁体9が副環状パッキン
13を介して弁座6の上部側座面6bに押接係合して、
第1弁体7及び第2弁体9が共に閉じた弁全閉状態とな
り、しかして上部流路1と下部流路2とを連通する連通
路3は、下部流路2側の第1弁体7と上部流路1側の第
2弁体9とによって二重シールされた状態で閉塞され、
上部流路1を流れる液体と下部流路2を流れる液体との
混合が防止される。
【0029】そして、上記固定シリンダ30の下部室3
0bに圧力エアが供給されると、図4に示すように第1
弁体7が第2弁体9を押し上げて共上がりしながら、両
弁体7,9が弁座6から上方へ十分に離間して図5に示
すような弁全開状態となり、これにより連通路3が開通
し、この連通路3を介して上部流路1と下部流路2とを
連通させることができる。
【0030】また、粘性の高い液体等のように洗浄のし
難い液体を使用する時は、第1弁体7及び第2弁体9の
一方を閉じ、他方を僅かに開けて、開けた方のパッキン
部分を洗浄液により洗浄しながら、その洗浄液を排出す
る。例えば、上部流路1に高粘性の飲料水を流通させ、
下部流路2に洗浄液を流通させる場合には、固定シリン
ダ30の上部室30aに圧力エアを供給すると、上部室
30aの圧力上昇によりピストン29が伸びを制限され
ている第2ばね32と共に下降し、それに伴い第1弁軸
8が下動して、第1弁体7の主環状パッキン12が弁座
6の内周側座面6aを下方へ摺動して離間し、図6に示
すように第1弁体7のみが僅かに開いた弁部分開状態と
なる。しかして、下部流路2からの洗浄液は、図6の矢
印で示すように、第1弁体7と弁座6との間の間隙を通
って、第1弁体7と第2弁体9と弁座6との間に形成さ
れる環状室24内に導入され、その間に第1弁体7の主
環状パッキン12部分及び環状室2の内部を洗浄し、そ
の後第1弁軸8の下部軸部8c内部の排出路26を通っ
て外部に排出される。
【0031】また、下部流路2に高粘性の飲料水を流通
させ、上部流路1に洗浄液を流通させる場合には、第2
の弁開閉駆動機構36における第2シリンダ37の下部
室37aに圧力エアを供給すると、第2ピストン38が
上動する途上でこのピストン38にて第2弁軸10が押
し上げられ、第2ピストン38が所定ストローク(S1
−S2)上動することにより、第2弁軸10が同じスト
ロークだけ上動して、図7に示すように第2弁体9のみ
が僅かに開いた弁部分開状態となる。しかして、上部流
路1からの洗浄液は、図7の矢印で示すように、第2弁
体9と弁座6の上部側座面6bとの間の間隙を通過し更
に第1弁体7と第2弁体9と弁座6との間に形成される
環状室24内を巡回して、第1弁体7の副環状パッキン
13部分及び環状室2の内部を洗浄した後、第1弁軸8
の下部軸部8c内部の排出路26を通って外部に排出さ
れる。
【0032】
【発明の効果】請求項1に係る二重シール弁によれば、
第1弁体に取り付けられる主環状パッキンの非接液部分
の断面積を接液部分の断面積に比べて十分大きくとるこ
とによって、弁内を通過する液体の圧力変動や温度上昇
に伴う接液部分の膨張度が極力小さく制限され、このた
め開弁状態から閉弁状態に移る際、主環状パッキンが弁
座の内周側座面に突入係合するときに、主環状パッキン
の接液部分に作用する剪断力が極力軽減され、それによ
り主環状パッキンの損傷や破損が防止される。
【0033】また、開弁時に前記接液部分の上端縁部が
第2弁体の下広がりテーパ状内周面の下端部に係合する
ようになっているため、この接液部分がテーパ状内周面
により部分的に拘束された状態となり、それによって弁
内を通過する液体の圧力変動や温度上昇に伴う当該接液
部分の膨張を抑制することができ、また接液部分の上端
縁部が第2弁体のテーパ状内周面に係合した状態におい
て接液部分が液体による加熱や加圧作用を受けると、接
液部分の上端縁部がテーパ状内周面に沿って拘束力の弱
まる上向きへ逃げるように変形し、それにより接液部分
全体がパッキン径方向に膨出変形することを阻止するこ
とができる。
【0034】上記のように、主環状パッキンの非接液部
分の断面積を接液部分の断面積に比べて十分大きくする
と共に、開弁時に接液部分の上端縁部が第2弁体のテー
パ状内周面の下端部に係合するように構成しているた
め、開弁状態から閉弁動作に移る時に主環状パッキンの
接液部分に作用する剪断力を極力軽減し、もって主環状
パッキンの耐用性を向上させることができる。
【0035】請求項2によれば、第1弁体の主環状パッ
キンを、ゴム材にフッ素樹脂材を所要量混入したものか
ら形成することによって、主環状パッキンの摺動摩擦抵
抗を軽減し、耐用性を向上させることができる。
【0036】請求項3によれば、弁座の内周側座面に、
フッ素樹脂材のコーティング層またはライニング層を形
成することによって、内周側座面の耐用性の向上を図る
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る二重シール弁の下半分を示す縦
断面図であり、a−a線が上半分との分割線である。
【図2】 同二重シール弁の上半分を示す縦断面図であ
る。
【図3】 弁全閉状態にある二重シール弁中心部を示す
縦断面図である。
【図4】 弁全閉状態から開弁状態に移行している状態
を示す二重シール弁の中心部の縦断面図である。
【図5】 弁全開状態にある二重シール弁中心部を示す
縦断面図である。
【図6】 第1弁体が僅かに開いた弁部分開状態を示す
縦断面図である。
【図7】 第2弁体が僅かに開いた弁部分開状態を示す
縦断面図である。
【図8】 (A)は開弁状態での第1弁体の主環状パッ
キンを示す拡大縦断面図、(B)は閉弁状態での第1弁
体の主環状パッキンを示す拡大縦断面図、(C)は閉弁
時に主環状パッキンの上端縁部が第2弁体のテーパ状内
周面に係合した状態を示す拡大縦断面図である。
【符号の説明】
1 上部流路 2 下部流路 3 連通路 6 弁座 6a 内周側座面 6b 上部側座面 7 第1弁体 7a パッキン取付用嵌合溝 8 第1弁軸 9 第2弁体 10 第2弁軸 11 第1ばね 12 主環状パッキン 12a 非接液部分 12b 接液部分 13 副環状パッキン

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 上部流路と下部流路との間に形成した連
    通路に弁座を設け、弁座の内周側座面に主環状パッキン
    を介して摺接係合する第1弁体を第1弁軸に、また弁座
    の上部側座面に副環状パッキンを介して押接係合する第
    2弁体を、第1弁軸に摺動可能でばねにより常時下向き
    に付勢されるように嵌装される第2弁軸にそれぞれ設け
    ると共に、第1弁軸を弁開閉駆動機構に連動連結し、開
    弁時に第1弁軸の上動に伴って第2弁体が第1弁体に追
    従移動する二重シール弁において、主環状パッキンは、
    第1弁体のパッキン取付用嵌合溝から突出するパッキン
    の接液部分が開弁時における液体の圧力変動や温度変化
    による膨張を抑制されるように、前記パッキン取付用嵌
    合溝に没入する非接液部分の断面積を前記接液部分の断
    面積に比べて十分大きくすると共に、開弁時に前記接液
    部分の上端縁部が第2弁体の下広がりテーパ状内周面の
    下端部に係合するようにしたことを特徴とする二重シー
    ル弁。
  2. 【請求項2】 第1弁体の主環状パッキンは、ゴム材に
    フッ素樹脂材を所要量混入したものから形成されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の二重シール弁。
  3. 【請求項3】 弁座の内周側座面には、フッ素樹脂材の
    コーティング層またはライニング層が形成されているこ
    とを特徴とする請求項1または2に記載の二重シール
    弁。
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