JP3765620B2 - 二重シール弁 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、食品製造、醸造等の機械やプラントにおける液体流通ラインに使用されるもので、流路を二重にシールすることにより二液の混合を防止する二重シール弁に関し、特に本発明は、大気と接触する弁軸部分の洗浄を行うための構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の二重シール弁は、上部流路と下部流路との間に形成した連通路に弁座を設け、弁座の内周側に係合する第1弁体を第1弁軸に、また弁座の上部側に押接係合する第2弁体を、第1弁体に摺動可能に套嵌される中空状の第2弁軸にそれぞれ設けると共に、第1弁軸を弁開閉駆動機構に連動連結し、開弁時に弁開閉駆動機構の作動による第1弁軸の上動に伴って第2弁体が追従移動するようになっている。
【0003】
このような二重シール弁において、下部流路から下方へ突出する第1弁軸部分及び上部流路から上方へ突出する第2弁軸部分はそれぞれ大気と接触している。このような大気と接触する弁軸部分は、第1弁体及び第2弁体を開閉させるべく上下動して、上部流路及び下部流路に対し出たり入ったりするから、大気との接触による汚染を防止するために洗浄を行う必要がある。しかして、このような大気接触軸部分の洗浄を行うようにした二重シール弁として、例えば特開平7−253168号公報に記載されたものがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記公報に記載の二重シール弁では、第1弁体及び第2弁体が閉弁状態にあるときでしか大気接触弁軸部分の洗浄が行えない構造となっているため、洗浄作業に時期的な制約を伴い、必要な時に直ちに洗浄を行えないと云う問題がある。即ち、弁軸部分が汚染した時は、即時に洗浄するのが効果的であり、時間が経つと凝固や固着が進行することになって、その後の洗浄作業が非常に厄介で面倒なことになる。
【0005】
本発明は、上記のような従来の二重シール弁の問題点に鑑み、あらゆるタイミングにおいて必要な時に即時に大気接触弁軸部分の洗浄が行えるようにすることを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するための請求項1に係る二重シール弁は、上部流路1と下部流路2との間に形成した連通路3に弁座6を設け、弁座6の内周側に係合する第1弁体7を第1弁軸8に、また弁座6の上部側に押接係合する第2弁体9を、第1弁軸8に摺動可能に套嵌される第2弁軸にそれぞれ設けると共に、第1弁軸8を弁開閉駆動機構28に連動連結し、開弁時に弁開閉駆動機構28の作動による第1弁軸8の上動に伴って第2弁体9が追従移動する二重シール弁において、下部流路2から下方へ突出する第1弁軸8部分の外周面と、当該軸部分を摺動可能に支持する環状部材17の内周面との間、及び下部流路2から上方へ突出する第2弁軸10部分の外周面と、当該軸部分を摺動可能に支持する環状部材14の内周面との間に、第1弁軸8及び第2弁軸10のそれぞれの最大ストロークよりも長さの長い洗浄用環状通路46,47をそれぞれ形成し、各環状通路46,47の下端部に径小の洗浄液供給口48,49を、また上端部に径大の洗浄液排出口50,51を設けてなることを特徴とする。
【0007】
請求項2は、請求項1に記載の二重シール弁において、前記洗浄用環状通路46,47には、環状通路46,47に供給された洗浄液を螺旋流とするための複数の螺旋溝52aを外周面に形成した螺旋流形成リング52を設けてなることを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明に係る二重シール弁の全体をa−a線で二分した下半分の縦断面図で、図2は上半分を示している。これらの図において、1は上部流路、2は下部流路で、これらの流路1,2は互いに平行または交差方向に形成されていて、両流路1,2の間には連通路3が形成され、また両流路1,2における連通路3と同軸上に対向する部位に上部開口部4及び下部開口部5が形成され、そして連通路3には弁座6が装着されている。上部流路1及び下部流路2に、それぞれ例えば飲料液または洗浄液を流通させるようになっている。
【0009】
7は、弁座6の内周側に係合する第1弁体で、上部開口部4から連通路3を通って下部開口部5側に挿入された第1弁軸8の中間軸部8bの下端部に一体形成されている。この第1弁体7の下部には中空状の下部軸部8cが同軸一体形成され、また中間軸部8bの上部には上部軸部8aが、通常はねじ結合により同軸に連設されている(図1及び図2には、中間軸部8bと上部軸部8aとが一体に形成されたものとして図示している)。これら上部軸部8aと中間軸部8bと下部軸部8cとによって第1弁軸8が形成される。
【0010】
9は、第1弁体7の上側に位置して弁座6の上部側に上方より押接係合する第2弁体で、第1弁軸8の上部軸部8aから中間軸部8bにわたって套嵌された第2弁軸10の下端部に一体に形成されており、この第2弁軸10は、後述するようにコイルばねからなる第1ばね11によって常時下向きに付勢され、それにより第2弁体9を弁座6の上部側に押し付けている。尚、この第2弁軸10は、上部軸部10aとこれにねじ結合された下部軸部10bとからなるもので、下部軸部10bの下端部に第2弁体9が形成される。
【0011】
図3以降の図面をも参照して明らかなように、第1弁体7には、弁座6の内周側座面6aに摺動可能に密接する主環状パッキン12がパッキン取付用嵌合溝7aに嵌合されて取り付けられ、第2弁体9には、弁座6の上部側座面6bに上方より密接する副環状パッキン13がパッキン取付用嵌合溝9aに嵌合されて取り付けられている。上部流路1の上部開口部4には、この上部開口部4から上方へ突出する第2弁軸10の下部軸部10bを摺動可能に支持する環状部材14が設けられ、この環状部材14は、ヨーク15の基部15aと、これの下端部で下部軸部10bに密接するパッキン16を含んで構成される。また、下部流路2の下部開口部5には、この下部開口部5から下方へ突出する第1弁軸8の下部軸部8cを摺動可能に支持する環状部材17が設けられ、この環状部材17は、スリーブ18の径大基部18aと、これの上端部で下部軸部8cに密接するパッキン19を含んで構成される。
【0012】
図1に示すように、第2弁軸10の下部軸部10bには洗浄液供給口20が設けられ、この洗浄液供給口20は、連通孔21を介して、第1弁軸8の中間軸部8bにその中心軸線に沿って設けられた内部通路22に通じ、この内部通路22は、中間軸部8bの下端部に放射状に設けられた複数の洗浄液噴出孔23に通じている。更に図9を参照して明らかなように、第1弁軸8の中間軸部8b外周面と第2弁軸10の下部軸部10b内周面との間には、前記洗浄液供給口20より供給される洗浄液を前記連通孔21から内部通路22へ導入するのと並行して同時に積極的に導入し前記中間軸部8bの下端から排出するための洗浄用環状通液路44が形成されている。この洗浄用環状通液路44には、当該通液路44に導入された洗浄液を螺旋流とするための複数の螺旋溝45aを外周面に形成した螺旋流形成リング45が配設されている。この螺旋流形成リング45は、フッ素樹脂によってリング状に形成されたもので、図8に示すように、その外周面に複数の螺旋溝45aが周方向一定間隔おきに条設されている。
【0013】
しかして、洗浄液供給口20より洗浄液を供給すると、この供給された洗浄液の流量のうちの例えば70%が連通孔より中間軸部8bの内部通路22に導入され、30%が径大環状部44aを通じて洗浄用環状通液路44内へ同時に導入される。連通孔21より導入される洗浄液は、中間軸部8bの内部通路22に入り、下端部の各洗浄液噴出孔23から、第1弁体7と第2弁体9と弁座6との間に形成される環状室24内に噴出して、この環状室23の内部、即ち弁座6の内周部や弁体7,9の内側部を洗浄した後、複数の通孔25を通って第1弁軸8の下部軸部8c内部の排出路26から外部に排出される。一方、洗浄用環状通液路44に導入された洗浄液は、螺旋流形成リング45の螺旋溝45aを通ることにより螺旋流を形成して環状通液路44を通過し、その螺旋流によってその環状通液路44内部を完全に洗浄しながら、第1弁体7と第2弁体9と弁座6との間の環状室24へ排出され、更に第1弁軸8の下部軸部8c内部の排出路26から外部に排出される。尚、洗浄液供給口20には洗浄液ホース接続用の口金27がヨーク15の窓15aを通して取り付けられている。
【0014】
図1及び図9を参照して明らかなように、下部流路2から下方へ突出する第1弁軸8の下部軸部8c(第1弁軸部分)の外周面と、当該軸部分を摺動可能に支持する環状部材17の内周面との間、及び上部流路1から上方へ突出する第2弁軸10の下部軸部10b(第2弁軸部分)の外周面と、当該軸部分を摺動可能に支持する環状部材14の内周面との間には、第1弁軸8及び第2弁軸10のそれぞれ最大ストロークよりも長さの長い洗浄用環状通路46,47がそれぞれ形成されており、各洗浄用環状通路46,47の下端部には径小の洗浄液供給口48,49が設けられ、また上端部には径大の洗浄液排出口50,51が設けられている。各洗浄液供給口48,49には洗浄液供給ホース接続用の口金48a,49aが、また各洗浄液排出口50,51には洗浄液排出ホース接続用の口金50a,51aが取り付けられている。図9に示すように、下側の洗浄用環状通路46の長さはL1で、第2弁軸10の最大ストロークよりも長く、上側の洗浄用環状通路47の長さはL2で、第1弁軸8の最大ストロークよりも長い。
【0015】
図1及び図9は第1弁体7及び第2弁体9が閉じた弁全閉状態を示しているが、第1弁軸8の最大ストロークの下限は、図6に示すように第1弁体7のみが開いた弁部分開状態のときであり、その上限は図5に示すように両弁体7,9が開いた弁全開状態のときである。また、第2弁軸10の最大ストロークの下限は、各図に示すように第2弁体9が閉じた状態のときであり、その上限は図5に示すような弁全開状態のときである。しかして、各洗浄用環状通路46,47の下端及び上端は、上記のような第1弁体7及び第2弁体9の最大ストロークの下限及び上限のそれぞれよりも下位及び上位に位置するから、如何なる弁状態で第1弁軸8部分及び第2弁軸10部分が大気に接触しても、洗浄液供給口48,49より洗浄液を洗浄用環状通路46,47に供給することによって、弁軸8,10の大気接触部分を即時に洗浄して、汚染に対する迅速且つ的確な対応を図ることができる。
【0016】
また、各洗浄用環状通路46,47には、当該通液路46,47に導入された洗浄液を螺旋流とするための複数の螺旋溝52aを外周面に形成した螺旋流形成リング52が配設されている。この螺旋流形成リング52は、フッ素樹脂によってリング状に形成されたもので、図8に前記螺旋流形成リング45と同時に示すように、その外周面に複数の螺旋溝52aが周方向一定間隔おきに条設されている。
【0017】
しかして、第1弁軸8部分を洗浄するには、洗浄液供給口48より加圧洗浄液を供給すると、その洗浄液は洗浄用環状通路46を流通しながら第1弁軸8の下部軸部8c外周面を十分に洗浄し、洗浄液供給口48よりも径大な洗浄液排出口50から排出される。そして、この洗浄用環状通路を流通する洗浄液は、螺旋流形成リング52の螺旋溝52aを通ることにより螺旋流を形成するから、その螺旋流によって下部軸部8c外周面の洗浄を有効に行うことができる。また、第2弁軸10の洗浄も同様であって、洗浄液供給口49より加圧洗浄液を供給すると、その洗浄液は洗浄用環状通路47を流通しながら第2弁軸10の下部軸部10b外周面を十分に洗浄し、洗浄液供給口48よりも径大な洗浄液排出口50から排出され、また洗浄液が螺旋流形成リング52の螺旋溝52aを通ることにより螺旋流を形成し、その螺旋流によって下部軸部10b外周面の洗浄を有効に行うことができる。この場合、各洗浄液排出口50,51の径が各洗浄液供給口48,49の径より大きいため、各洗浄用環状通路46,47から洗浄液排出口50,51への洗浄液の排出を有効に行わせることができる。
【0018】
図2を参照すると、この図において28は、第1弁体7及び第2弁体9の開閉を司る第1の弁開閉駆動機構であり、この弁開閉駆動機構28は、第1弁軸8の上部軸部8aをピストンロッドとし、これに固定したピストン29を固定シリンダ30内に嵌装したエアシリンダからなるもので、固定シリンダ30内の上部にばね受け31が配置され、このばね受け31とピストン29との間には、このピストン29と第2弁軸10との間に介装された第1ばね11よりばね力の大きいコイルばねからなる第2ばね32と、前記ピストンロッド8aに固定され且つ前記ばね受け31に対し伸縮自在に連結されて、前記第2ばね32の伸びを一定範囲に制限するばね制限ストッパー33とが介装され、そして固定シリンダ30には、ピストン29を隔ててその上下両室30a,30bに対しエアの給排を行うエア給排ポート34,35が設けられている。
【0019】
前記ばね受け31は、第2ばね32の一端部を受けるリング状のばね受け本体31oと、これと同心状に一体形成された円筒部材31aとからなり、前記ばね制限ストッパー33は、ピストンロッド(第1弁軸8の上部軸部8a)に外嵌されて定位置に固定されると共にばね受け31の円筒部材31aに摺動可能に内嵌される円筒部材33aからなるもので、常時は図2に示すように、第2ばね32の付勢力で両円筒部材31a,33aの先端係合部が互いに係合することによって、ばね受け31とストッパー33とが最大に伸びた状態で連結され、それにより第2ばね32がそれ以上伸びないように制限されている。
【0020】
従って、この第1の弁開閉駆動機構28によると、固定シリンダ30のピストン29を挟んでその上下両室30a,30bのいずれにも圧力エアが供給されていない時には、図2に示すように、ピストン29と第2弁軸10の上部軸部10aとの間に介装された第1ばね11の付勢力により、第1弁軸8が上方へ、第2弁軸10が下方へそれぞれ付勢されて、第1弁体7が主環状パッキン12を介して弁座6の内周側座面6aに密接係合すると共に、第2弁体9が副環状パッキン13を介して弁座6の上部側座面6bに密接係合し、図3に示すような弁全閉状態となる。
【0021】
そして、エア給排ポート35より固定シリンダ30の下部室30bに圧力エアが供給されると、ピストン29が第2ばね32の付勢力に抗して上昇し、これに伴い前記ストッパー33の円筒状部材33aがばね受け31の円筒部材31aに対し収縮作動して、第1弁軸8が上動を開始し、その途上で第1弁体7の上端部が図4に示すように第2弁体9の内周側下部に当接し、この当接状態で第1弁体7が第2弁体9を押し上げて共上がりしながら、両弁体7,9が弁座6から上方へ離間し、しかしてピストンロッド8aの上端側に嵌装されたストローク設定リングRが固定シリンダ30の上壁部30cに当接することで、ピストン29が上動限位置に至り、第1弁体7及び第2弁体9は、図5に示すような弁全開状態となる。
【0022】
また、上記の弁全開状態において固定シリンダ30の下部室30bの圧力エアを排出させることにより、ばね受け31が固定シリンダ30の上壁部30cに押し付けられたまま、ピストン29が第2ばね32の付勢力によって下降し、これに伴い第1弁軸8及び第2弁軸10が下動して、第1弁体7及び第2弁体9は図3に示すような弁全閉状態に戻る。尚、弁全閉状態(図3参照)と弁全開状態(図5参照)でのピストン29のストロークSaは、固定シリンダ30の上壁部30cに当接する上記ストローク設定リングRによって設定される。
【0023】
また、図1及び図2に示す弁全閉状態において、エア給排ポート34から固定シリンダ30の上部室30aに圧力エアが供給されると、前記ばね制限ストッパー33によって第2ばね32の伸びが制限されているから、上部室30aの圧力上昇によりピストン29が下方に押されて、第2ばね32及びばね受け31と共に一体となって下降し、それに伴い第1弁軸8が第1ばね11に付勢力に抗して下動し、第1弁体7の主環状パッキン12が弁座6の内周側座面6aを下方へ摺動して離間し、図6に示すように第1弁体7のみが僅かに開いた弁部分開状態となる。このように、固定シリンダ30の上部室30aに圧力エアを供給することにより、第1弁軸8を単独で下動させて、第1弁体7のみを部分開状態とすることができる。この場合、ピストン29は、図2に示される位置から下降を開始し、後述する第2シリンダ37の上端に当接して停止する。従って、そのストロークは同図に示すSbとなり、このストロークSb分だけ第1弁軸8が第2弁軸10と独立して上下動することになる。
【0024】
前記第1の弁開閉駆動機構28の下方には、同じくエアシリンダからなる第2の弁体開閉駆動機構36が設けられている。この第2の弁体開閉駆動機構36は、第1の弁開閉駆動機構28の固定シリンダ30下部にこれと連通して形成された第2シリンダ37と、この第2シリンダ37に内嵌されると共に第2弁軸10の上部軸部10aに外嵌された状態で所定ストローク上下動する第2ピストン38と、この第2ピストン38を下動限位置に付勢するコイルばねからなる第3ばね39と、第2ピストン38の下部室30aに対するエアの給排を行うエア給排ポート40とから構成されている。図2から分かるように、第2シリンダ37は、前記第1弁開閉駆動機構28の固定シリンダ30の下端部にねじ結合により連結されていると共に、この第2シリンダ37の上部室37bと前記第1弁開閉駆動機構28における固定シリンダ30の下部室30bとが互いに連通するように形成されている。
【0025】
図2において、41は第2ピストン38の下動限位置を規制するストッパーで、第2シリンダ37の下壁部側に形成され、また42は第2ピストン38の上動限位置を規制するストッパーで、第2シリンダ37の上壁部側に形成されている。しかして、第2ピストン38は、下動限位置規制ストッパー41と上動限位置規制ストッパー42との間において当該ピストン38の外周側上端部38aと上動限位置規制ストッパー42との間隔に相当するストロークS1を上下動するが、第3ばね39により下動限位置に付勢された第2ピストン38の内周側上端部38bと、第1ばね11により閉弁位置に付勢された第2弁軸10の上部軸部10aに突設されたストッパー43との間に、前記ストロークS1よりも短い軸方向の遊びS2が設けられているため、この第2ピストン38が下動限位置から上動限位置までストロークS1を上動することにより、第2弁軸10は、実際には第2ピストン38のストロークS1と前記軸方向遊びS2との差(S1−S2)分だけ上動することになる。このように、第3ばね39で下動限位置に付勢される第2ピストン38の内周側上端部38bと、第2ばね32で閉弁位置に付勢される第2弁軸10側のストッパー43との間に、第2ピストン38のストロークS1より短い軸方向遊びS2を設けることにより、第2ばね32の付勢力を第2弁軸10に対して有効に作用させて、第2弁体9を弁座6の上部側座面6bに確実に押接係合させることができる。
【0026】
この第2の弁開閉駆動機構36にあっては、図2のように第2ピストン38が下動限位置に保持されている状態から、エア給排ポート40より第2シリンダ37の下部室37aに圧力エアが供給されると、第2ピストン38が上動を開始するが、そのピストン38の内周側上端部38bが第2弁軸10のストッパー42に当たるまでは、第2弁軸10は第2弁体9を閉じる下降位置に保持されたままである。しかして、第2弁軸10は、第2ピストン38の内周側上端部38bがストッパー42に当たった後、第2ピストン38の上動に伴って押し上げられ、このピストン38の外周側上端部38aが上動限位置規制ストッパー42に当たるまで上動し、それにより図7に示すように第2弁体9のみが僅かに開いた弁部分開状態となる。また、上記下部室37aの圧力エアを抜くことにより、第2ピストン38が第3ばね39により押し下げられると共に、第2弁軸10は第2ばね32により下動し、第2弁体9は閉弁状態となる。
【0027】
以上のような構成を有する二重シール弁の使用において、第1の弁開閉駆動機構28における固定シリンダ30の下部室30bに圧力エアが供給されていない状態のときには、図1〜図3に示すように、第1弁体7が主環状パッキン12を介して弁座6の内周側座面6aに密接係合すると共に、第1ばね11により押し下げる第2弁軸10によって第2弁体9が副環状パッキン13を介して弁座6の上部側座面6bに押接係合して、第1弁体7及び第2弁体9が共に閉じた弁全閉状態となり、しかして上部流路1と下部流路2とを連通する連通路3は、下部流路2側の第1弁体7と上部流路1側の第2弁体9とによって二重シールされた状態で閉塞され、上部流路1を流れる液体と下部流路2を流れる液体との混合が防止される。
【0028】
そして、上記固定シリンダ30の下部室30bに圧力エアが供給されると、図4に示すように第1弁軸8の上動に伴って第1弁体7が第2弁体9を押し上げて共上がりしながら、両弁体7,9が弁座6から上方へ十分に離間して図5に示すような弁全開状態となり、これにより連通路3が開通し、この連通路3を介して上部流路1と下部流路2とを連通させることができる。
【0029】
また、粘性の高い液体等のように洗浄のし難い液体を使用する時は、第1弁体7及び第2弁体9の一方を閉じ、他方を僅かに開けて、開けた方のパッキン部分を洗浄液により洗浄しながら、その洗浄液を排出する。例えば、上部流路1に高粘性の飲料水を流通させ、下部流路2に洗浄液を流通させる場合には、固定シリンダ30の上部室30aに圧力エアを供給すると、上部室30aの圧力上昇によりピストン29が伸びを制限されている第2ばね32と共に下降し、それに伴い第1弁軸8が下動して、第1弁体7の主環状パッキン12が弁座6の内周側座面6aを下方へ摺動して離間し、図6に示すように第1弁体7のみが僅かに開いた弁部分開状態となる。しかして、下部流路2からの洗浄液は、図6の矢印で示すように、第1弁体7と弁座6との間の間隙を通って、第1弁体7と第2弁体9と弁座6との間に形成される環状室24内に導入され、その間に第1弁体7の主環状パッキン12部分及び環状室2の内部を洗浄し、その後第1弁軸8の下部軸部8c内部の排出路26を通って外部に排出される。
【0030】
また、下部流路2に高粘性の飲料水を流通させ、上部流路1に洗浄液を流通させる場合には、第2の弁開閉駆動機構36における第2シリンダ37の下部室37aに圧力エアを供給すると、第2ピストン38が上動する途上でこのピストン38にて第2弁軸10が押し上げられ、第2ピストン38が所定ストロークS1上動することにより、第2弁軸10が前記軸方向遊びS2分を差し引いたストローク(S1−S2)だけ上動して、図7に示すように第2弁体9のみが僅かに開いた弁部分開状態となる。しかして、上部流路1からの洗浄液は、図7の矢印で示すように、第2弁体9と弁座6の上部側座面6bとの間の間隙を通過し更に第1弁体7と第2弁体9と弁座6との間に形成される環状室24内を巡回して、第1弁体7の副環状パッキン13部分及び環状室2の内部を洗浄した後、第1弁軸8の下部軸部8c内部の排出路26を通って外部に排出される。
【0031】
【発明の作用及び効果】
請求項1に係る発明によれば、下部流路から下方へ突出する第1弁軸部分の外周面と、当該軸部分を摺動可能に支持する環状部材の内周面との間、及び上部流路から上方へ突出する第2弁軸部分の外周面と、当該軸部分を摺動可能に支持する環状部材の内周面との間に、第1弁軸及び第2弁軸のそれぞれの最大ストロークよりも長さの長い洗浄用環状通路をそれぞれ形成し、各環状通路の下端部に径小の洗浄液供給口を、また上端部に径大の洗浄液排出口を設けたことにより、各洗浄用環状通路の下端及び上端を、第1弁体及び第2弁体のそれぞれの最大ストロークの下限及び上限よりもそれぞれ下位及び上位に位置させることができ、従って如何なる弁状態で第1弁軸部分及び第弁軸部分が大気に接触しても、洗浄液供給口より洗浄液を洗浄用環状通路に供給するだけで、弁軸の大気接触部分を即時に洗浄することができる。また、各洗浄液排出口の径が各洗浄液供給口の径より大きいため、各洗浄用環状通路から洗浄液排出口への洗浄液の排出を有効に行わせることができる。
【0032】
従って、この発明によれば、あらゆるタイミングにおいて必要な時に即時に大気接触弁軸部分の洗浄を行うことができ、汚染に対する迅速且つ的確な対応を図ることができる。
【0033】
請求2の発明によれば、洗浄用環状通路に供給された洗浄液は、螺旋流形成リングを通ることにより螺旋流を形成するから、その螺旋流によって弁軸部分外周面の洗浄を有効に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る二重シール弁の下半分を示す縦断面図であり、a−a線が上半分との分割線である。
【図2】 同二重シール弁の上半分を示す縦断面図である。
【図3】 弁全閉状態にある二重シール弁中心部を示す縦断面図である。
【図4】 弁全閉状態から開弁状態に移行している状態を示す二重シール弁の中心部の縦断面図である。
【図5】 弁全開状態にある二重シール弁中心部を示す縦断面図である。
【図6】 第1弁体が僅かに開いた弁部分開状態を示す縦断面図である。
【図7】 第2弁体が僅かに開いた弁部分開状態を示す縦断面図である。
【図8】 螺旋流形成リングを示す斜視図である。
【図9】 各弁軸の外周面と環状部材の内周面との間に形成される洗浄用環状通路部分の構造を示す拡大詳細断面図である。
【符号の説明】
1 上部流路
2 下部流路
3 連通路
6 弁座
7 第1弁体
8 第1弁軸
9 第2弁体
10 第2弁軸
11 第1ばね
14 環状部材
17 環状部材
20 洗浄液供給口
22 内部通路
23 洗浄液噴出孔
24 環状室
26 排出路
28 第1の弁開閉駆動機構
32 第2ばね
36 第2の弁開閉駆動機構
39 第3ばね
46 洗浄用環状通路
47 洗浄用環状通路
48 洗浄液供給口
49 洗浄液供給口
50 洗浄液排出口
51 洗浄液排出口
52 螺旋流形成リング
52a 螺旋溝
Claims (2)
- 上部流路と下部流路との間に形成した連通路に弁座を設け、弁座の内周側に係合する第1弁体を第1弁軸に、また弁座の上部側に押接係合する第2弁体を、第1弁軸に摺動可能に套嵌される第2弁軸にそれぞれ設けると共に、第1弁軸を弁開閉駆動機構に連動連結し、開弁時に弁開閉駆動機構の作動による第1弁軸の上動に伴って第2弁体が追従移動する二重シール弁において、下部流路から下方へ突出する第1弁軸部分の外周面と、当該軸部分を摺動可能に支持する環状部材の内周面との間、及び上部流路から上方へ突出する第2弁軸部分の外周面と、当該軸部分を摺動可能に支持する環状部材の内周面との間に、第1弁軸及び第2弁軸のそれぞれの最大ストロークよりも長さの長い洗浄用環状通路をそれぞれ形成し、各環状通路の下端部に径小の洗浄液供給口を、また上端部に径大の洗浄液排出口を設けてなることを特徴とする二重シール弁。
- 前記洗浄用環状通路には、環状通路に供給された洗浄液を螺旋流とするための複数の螺旋溝を外周面に形成した螺旋流形成リングを設けてなることを特徴とする請求項1に記載の二重シール弁。
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