JPH10306365A - 表面硬化チタン材料およびチタン材料の表面硬化方法ならびにその製品 - Google Patents

表面硬化チタン材料およびチタン材料の表面硬化方法ならびにその製品

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JPH10306365A
JPH10306365A JP11679197A JP11679197A JPH10306365A JP H10306365 A JPH10306365 A JP H10306365A JP 11679197 A JP11679197 A JP 11679197A JP 11679197 A JP11679197 A JP 11679197A JP H10306365 A JPH10306365 A JP H10306365A
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titanium material
intermetallic compound
powder
hardening
gas
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JP11679197A
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English (en)
Inventor
Yasumasa Kusano
泰正 草野
Naoto Ogasawara
直人 小笠原
Shizue Itou
▲静▼枝 伊藤
Kotaro Ishiyama
康太郎 石山
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Citizen Watch Co Ltd
Original Assignee
Citizen Watch Co Ltd
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  • Solid-Phase Diffusion Into Metallic Material Surfaces (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 チタン材料製品の表面剥離を起こさずに簡便
に製品表面近傍の硬度を向上させるチタン材料の表面硬
化方法および製品を提供することである。 【解決手段】 チタン材料の表面に接触させる粉末とし
て、Al系粉末を用い、加熱処理工程中の温度および雰
囲気を制御することにより、粉末中のAlをチタン材料
表面に拡散させることによって、Ti3 Al、TiAl
相などのTi−Al系金属間化合物をチタン材料の表面
に生成した後、処理雰囲気としてTi−Al系金属間化
合物に対して、活性なガスを導入し、ガス中のC、O、
N、Hあるいはこれら2種類以上をTi−Al系金属間
化合物に固溶させ、表面硬度を向上させることを特徴と
するチタン材料の表面硬化方法およびそのチタン材料か
らなる製品。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はチタン材料を粉末に
接触させ、加熱処理することにより、チタン材料の表面
硬度を向上させることが可能な表面硬化方法に関するも
のであり、さらにその方法により表面を硬化させたチタ
ン材料を用いた製品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の純チタン材料は硬度が低いため表
面に傷がつきやすく、耐摩耗性も不充分であった。例え
ば純チタンの材料を時計外装材料として使用する場合、
上記の理由で長期間にわたって優れた外観品質を保つこ
とが困難となる。そこで、このチタン材料の表面を硬化
させる方法も種々検討がなされている。
【0003】従来のチタン材料の表面硬化方法として
は、酸化、窒化処理によるものがある。また他の方法と
して硬質Crメッキ法もある。
【0004】また特開平2−250951号公報にはチ
タン材料の表面にNi、Fe、Coなどを設置しチタン
とそれぞれの金属との共晶温度以上に加熱し、チタン材
料の表面を硬化させる方法が提案されている。
【0005】また、特開昭56−146875号公報に
はAl2 3 粉末中にチタン材料を埋没させ大気雰囲気
下で加熱保持し、チタン材料の表面に酸化硬化層とその
下に窒素が固溶した緻密層を形成させ、表面硬度と耐エ
ロージョン性を向上させる方法が提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来技術の酸化、窒化
処理によって得られる酸化物層および窒化物層は、非常
に脆くかつ衝撃性に弱い。また硬質Crメッキ法は、廃
液処理の問題がある。
【0007】特開平2−250951号公報による表面
硬化方法では、液相が出現するため後工程で表面に残存
する反応生成物を除去するのに苦慮する。また人が使用
する装飾品や時計外装品として、このチタン材料を使用
する場合には、皮膚と表面処理されたチタン材料が直接
接触するため、金属表面に残存するNi、Fe、Coな
どが皮膚に対して、金属アレルギーを引き起こす可能性
がある。
【0008】また特開昭56−146875号公報によ
る表面硬化方法では、大気中で熱処理するため、チタン
材料の周囲にAl2 3 粉末が存在しても雰囲気中の酸
素による酸化が激しく起こり、表面のチタン酸化物硬化
層の厚み制御および酸素固溶量の制御をすることが困難
である。そのため、酸化物硬化層の厚み増大による剥離
および酸素固溶量の増大による材料の脆性劣化を引き起
こす可能性があった。更に、粒径が50μm以上のAl
2 3 粉末を用いるため、チタン材料との接触が不均一
となり、表面硬化層はまだら状になり、気孔性のある剥
離しやすい硬化層になる問題があった。
【0009】〔本発明の目的〕そこで、本発明の目的は
上記課題を解決して、チタン材料表面の剥離を起こさ
ず、表面の硬度を均一に向上させることにより、表面の
耐磨耗性の向上および傷つき防止が可能であり、金属ア
レルギーを引き起こすことが少ないチタン材料と安全且
つ効率的な表面硬化方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の表面硬化チタン材料は、下記記載の構成を
採用する。
【0011】チタン材料の表面付近にTi−Al系金属
間化合物が、チタンに対するAlおよびC、O、Nまた
はH、あるいはこれらC、O、NもしくはHの内2種類
以上の元素の濃度が表面から内部へ傾斜的に低くなるよ
うに形成されていることを特徴とする表面硬化チタン材
料である。
【0012】一方、上記目的を達成するために、本発明
のチタン材料の表面硬化方法は、下記記載の方法を採用
する。
【0013】本発明はチタン材料の表面に、Al系粉末
を接触させ、加熱処理して、チタン材料の表面にTi−
Al系金属間化合物を形成した後、Ti−Al系金属間
化合物に対して活性な雰囲気に変え、ガス中のC、O、
NまたはH、あるいはこれらC、O、NもしくはHの内
2種類以上の元素をTi−Al系金属間化合物内に拡散
固溶させることを特徴とする。
【0014】〔作用〕本発明は、チタン材料の表面にA
l系粉末を接触させ、所定の加熱処理温度で、保持する
ことにより、粉末中のAlをチタン材料表面から内部へ
拡散させ、チタン材料の表面近傍にTi3 Al、TiA
l相などの金属間化合物を生成させる。その後、処理雰
囲気を変え、ガス中のガス成分または水分をTi−Al
系金属間化合物表面から内部へ拡散固溶させることを特
徴とする表面硬化法である。したがって、それらによ
り、表面硬度が向上する。
【0015】本発明の製品は上記本発明のチタン材料の
表面硬化法により、表面硬化がなされたチタン材料の製
品である。また、得られる製品は、特に人の皮膚と接触
する機会の多い、ネックレスやイヤリングなどの装飾
品、または時計外装品として好適である。
【0016】
【発明の実施の形態】次に本発明を詳細に説明する。チ
タン材料表面にAl元素を含む粉末を接触させ、加熱す
ると粉末中のAl及び他の元素がチタン材料表面から内
部に傾斜的に拡散し、それによるAl及び他の元素の固
溶硬化を生じ、表面硬度が向上する。
【0017】更に、加熱処理温度を上昇させることによ
り、あるいは加熱処理時間を延長させることにより、表
面近傍のAl濃度が上昇するとAlのTi中への固溶状
態から、金属間化合物であるTi3 Al、TiAl相等
が生成し、硬度が上昇する。
【0018】ここでTi−Al系金属間化合物形成後、
処理雰囲気をTi−Al系金属間化合物に対して活性な
雰囲気に変え、加熱処理することにより、ガス中のガス
成分、例えばC、O、NまたはH、あるいはこれらC、
O、NもしくはHの内2種類以上の元素をTi−Al系
金属間化合物中に拡散固溶させることにより、更に硬度
が上昇する。
【0019】またガス中の露点を制御することによっ
て、ガス中のHまたはOをTi−Al系金属間化合物中
に拡散固溶させることにより、硬度は上昇する。
【0020】したがって、この表面硬化チタン材料は、
例えば粉末にTi−Al系粉末を使用し、処理雰囲気中
のガス種を窒素とした場合、図1に示すように、チタン
材料1の表面付近に、表面1aから内部1eへ向かっ
て、1b,1c,1d,1eで示すように複数の異なる
Ti−Al系金属間化合物が形成されている。
【0021】その第1の相1bはTiAlからなり、ア
ルミニウムの比率が最も高い。第2の相1cはTiAl
とTi3 Alからなり、アルミニウムの比率が次に高
い。第3の相1dはTi3 Alからなり、アルミニウム
の比率は第2の相1cより低い。第4の相1eはTi3
AlとTiからなり、アルミニウムの比率は最も低い。
それより内部1fは純チタン(Ti)である。
【0022】なお、これらの各Ti−Al系金属間化合
物1b,1c,1d,1eは明確に区別できるものでな
く、無段階的に変化して、チタンに対するアルミニウム
の濃度が表面1aから内部1fへ傾斜的に低くなるよう
に形成されている。
【0023】また、固溶硬化を引き出す窒素(N)の濃
度もアルミニウム(Al)と同様に表面1aから内部1
fへ傾斜的に低くなるように形成されている。
【0024】ここで単純にAl粉末を接触させた場合に
は、アルミニウムの融点は約660℃と比較的低いため
に、加熱処理温度に制約が設けられ、充分な硬化層を得
ることができない。また融点以上で加熱処理した場合、
加熱処理後の溶融したAlをチタン材料から除去するの
が非常に困難であり、本発明を達成することはできな
い。
【0025】従って、融点の高いAl系粉末を使用する
ことにより、Alの液相拡散反応を回避し、Alの固相
拡散反応をより高温下で実現することにより、硬度上昇
を促進することが可能になる。また、α安定化元素であ
るAlは、Fe、Nb、Crなどのβ安定化元素に比べ
て、容易に金属間化合物を形成しやすい。
【0026】使用するAl系粉末として、Ti−Al系
合金またはAl2 3 、AlNもしくはAl4 3 等の
各種Al系セラミックス粉末など、比較的入手しやすい
物が得策である。また粉末の平均粒径が、Ti−Al系
合金で0.1μm以上30μm以下、Al系セラミック
ス粉末で0.1μm以上50μm以下であることが好ま
しい。平均粒径がTi−Al系合金で30μm、Al系
セラミックス粉末で50μmよりそれぞれ大きいAl系
粉末を用いて加熱処理した場合には、処理するチタン材
料表面とAl系粉末との接触面積が小さくなり、粉末中
のAlがチタン材料表面に拡散しにくいため、金属間化
合物の生成が少なく、ガス中のC、O、NまたはH、あ
るいはこれらC、O、NもしくはHの内2種類以上の元
素が固溶することにより硬度は上昇するが、本発明の目
的を達成できず硬度を均一に上昇させることが困難にな
る。
【0027】また、Al系粉末の平均粒径が0.1μm
より小さい粉末を用いて加熱処理した場合には、かさ密
度が増加しチタン材料表面と粉末との間に雰囲気層がで
き、処理するチタン材料表面と粉末との接触面積が小さ
くなり、粉末中のAlがチタン材料表面に拡散しにくい
ため、金属間化合物の生成が少なく、ガス中のC、O、
NまたはH、あるいはこれらC、O、NもしくはHの内
2種類以上の元素が固溶することにより硬度は上昇する
が、本発明の目的を達成できず、硬度を均一に上昇させ
ることが困難になる。この回避策としては、チタン材料
表面に存在する粉末を一定圧力により圧粉し、接触面積
を増大することにより、チタン材料表面へのAlの拡散
を促進することは可能であるが、工業的手法としては処
理工数の増加を招き得策ではない。
【0028】Ti−Al系合金粉末の組成は、チタン材
料の表面へのAlの拡散を考慮すると、少なくともAl
濃度が30at%以上である組成が好ましい。それ未満
であるとチタン表面へのAlの拡散が不充分で、Ti−
Al系金属間化合物が生成せず、ガス中のC、O、Nも
しくはHの内2種類以上の元素が固溶することにより表
面硬度が向上するが、本発明の目的を達成できず均一に
硬度を上昇させることが困難になる。また、処理温度域
にα相が存在するため、加熱処理中にTi−Al系合金
粉末の焼結が進行し、処理後の粉末除去が困難になる。
更にAl濃度が80at%を越えると低温で液相を生じ
るため処理温度にかなり制約が設けられる。
【0029】Ti−Al系金属間化合物生成、および
C、O、NもしくはHの内2種類以上の元素を固溶させ
るための加熱処理温度としては、使用する各種Al系粉
末の焼結開始温度以下であることが好ましい。焼結開始
温度より高い温度で処理すると、加熱処理後のチタン表
面上の粉末除去が困難になる可能性がある。
【0030】また、Ti−Al系金属間化合物生成の加
熱処理時の雰囲気としては、減圧およびArガス等のチ
タン材料に対して出来るだけ不活性な雰囲気であること
が好ましい。更に、減圧時のバックグラウンドガスおよ
びArガス等の露点は一定に制御されたガスを用いるこ
とが好ましい。
【0031】Ti−Al系金属間化合物にC、O、Nま
たはHを固溶させるためのガス種としては、N2 、CO
2 、NH3 などのTi−Al系金属間化合物に対して、
活性なものが好ましい。
【0032】しかしTi−Al系金属間化合物生成工程
中から、前記に示される活性なガスを導入すると、ガス
中の成分がチタン表面あるいは粉末表面と反応し、粉末
中からチタン表面へのAlの拡散が抑制され、チタン表
面にTi−Al系金属間化合物が形成されにくくなる。
ここで、Ti−Al系金属間化合物にOまたはHを固溶
させるためのガス種として、Ar、Heなどの不活性ガ
スでも、ガスの露点を制御することにより、ガス中のO
またはHがTi−Al系金属間化合物に固溶し、表面硬
度が向上するので、使用することが可能である。すなわ
ち、Ar、Heなどの不活性ガスでも、ガスの露点を制
御することにより、処理雰囲気がTi−Al系金属間化
合物に対して活性な雰囲気に変わる。その結果、雰囲気
中のOまたはH、あるいはOおよびHがTi−Al系金
属間化合物に拡散固溶し、チタン材料の表面硬度が向上
する。
【0033】Ti−Al系金属間化合物にC、O、Nま
たはHを固溶させるために炉内に導入するガスの露点
は、Ti−Al系金属間化合物に対して、活性なガスの
場合は、10℃以下であることが好ましい。10℃を越
える露点を有するガスを用いると、過剰に固溶したOま
たはHにより、表面硬さは向上するが、表面変色、表面
剥離等の問題が生じる可能性があるので好ましくない。
この場合、ガスの露点が−30℃〜10℃の範囲にある
ことがさらに好ましい。 すなわち、ガスの露点をさら
に制御することによって、雰囲気中のOまたはH、ある
いはOおよびHも、CまたはNとともに、Ti−Al系
金属間化合物に拡散固溶し、チタン材料の表面硬度がさ
らに向上する。例えば粉末にTi−Al系粉末を使用
し、処理雰囲気中のガス種を窒素とした場合、図1に示
したように、固溶硬化を引き出す酸素(O)、水素
(H)の濃度も、窒素(N)の濃度とともに、アルミニ
ウム(Al)と同様に表面1aから内部1fへ傾斜的に
低くなるように形成されている。
【0034】また活性なガスとして大気を用いても、上
記と同様に、Ti−Al系金属間化合物表面に酸化物ス
ケールが生成し、表面変色、剥離が生じる可能性がある
ので好ましくない。
【0035】また炉内に導入するガスがAr、Heなど
の不活性ガスを用いる場合、ガスの露点は、−30℃〜
10℃の範囲が好ましい。−30℃より低い温度になる
と、ガス中の水分が希薄で、金属間化合物が硬化しない
可能性があるので好ましくない。
【0036】一般に人の皮膚に対してアレルギーを起こ
す金属は、元素として単体で存在している場合よりも金
属間化合物として存在している場合のほうが、アレルギ
ーを引き起こす可能性が少ない。たとえばAlも、単体
で存在するより、他の元素と金属間化合物として存在し
ている方が、アレルギーを引き起こす可能性が少ない。
よって、本発明に示すところの、純チタン表面にTi−
Al系金属間化合物が形成されているチタン材料からな
る製品は、人の皮膚と接触することの多いネックレスや
イヤリング等の装飾品、または時計外装品等に好適であ
る。
【0037】
【実施例】以下に本発明について実施例1〜9、比較例
1〜9で説明する。 (実施例1)φ10×1.5mmの円柱形状の純チタン
の材料の表面を平均粒径0.05μmのアルミナ粉末研
磨剤でバフ研磨し、鏡面化した純チタンの材料を、平均
粒径10μmのTi−50at%Al粉末で覆った。こ
の状態で高温炉内にセットし、10-4 〜10-5 Tor
rの減圧雰囲気にした後、昇温速度10℃/minで加
熱処理し、800℃にて2時間保持した後、以下に示す
ガス処理を行った。すなわち、高温炉内に露点−80℃
のN2 ガスを1L/minの割合で供給し、炉内圧力約
760Torr、温度800℃で2時間保持した。その
後5℃/minの冷却速度で冷却を行い、表面硬化処理
されたチタン材料を作製した。
【0038】(実施例2)ガスの露点を−30℃に変え
た以外は、実施例1と同様に行い、表面硬化処理された
チタン材料を作製した。
【0039】(実施例3)ガスの露点を10℃に変えた
以外は、実施例1と同様に行い、表面硬化処理されたチ
タン材料を作製した。
【0040】(実施例4)ガス種を露点−80℃のCO
2 ガスに変えた以外は、実施例1と同様に行い、表面硬
化処理されたチタン材料を作製した。
【0041】(実施例5)粉末を平均粒径1μmのAl
2 3 粉末に変えた以外は、実施例1と同様に行い、表
面硬化処理されたチタン材料を作製した。
【0042】(実施例6)粉末を平均粒径1μmのAl
N粉末に、ガス種を露点−80℃のCO2 ガスに変えた
以外は、実施例1と同様に行い、表面硬化処理されたチ
タン材料を作製した。
【0043】(実施例7)粉末を平均粒径1μmのAl
4 3 粉末に変え、ガス種を露点−80℃のNH3 ガス
に変えた以外は実施例1と同様に行い、表面硬化処理さ
れたチタン材料を作製した。
【0044】(実施例8)ガス種を露点−30℃のAr
ガスに変えた以外は、実施例1と同様に行い、表面硬化
処理されたチタン材料を作製した。
【0045】(実施例9)ガス種を露点10℃のArガ
スに変えた以外は、実施例1と同様に行い、表面硬化処
理されたチタン材料を作製した。
【0046】(比較例1)ガス処理をしなかった以外
は、実施例1と同様に行い、表面硬化処理されたチタン
材料を作製した。
【0047】(比較例2)ガス処理をしなかった以外
は、実施例5と同様に行い、表面硬化処理されたチタン
材料を作製した。
【0048】(比較例3)ガス処理をしなかった以外
は、実施例6と同様に行い、表面硬化処理されたチタン
材料を作製した。
【0049】(比較例4)ガス処理をしなかった以外
は、実施例7と同様に行い、表面硬化処理されたチタン
材料を作製した。
【0050】(比較例5)ガス種を露点30℃のN2
スに変えた以外は、実施例1と同様に行い、表面硬化処
理されたチタン材料を作製した。
【0051】(比較例6)ガス種を露点−80℃のAr
ガスに変えた以外は、実施例1と同様に行い、表面硬化
処理されたチタン材料を作製した。
【0052】(比較例7)ガス種を露点20℃のArガ
スに変えた以外は、実施例1と同様に行い、表面硬化処
理されたチタン材料を作製した。
【0053】(比較例8)ガス種を露点−80℃の大気
に変えた以外は、実施例1と同様に行い、表面硬化処理
されたチタン材料を作製した。
【0054】(比較例9)露点−80℃のN2 ガスを昇
温開始から用いた以外は、実施例1と同様に行い、表面
硬化処理されたチタン材料を作製した。
【0055】各実施例および比較例にて作製した表面硬
化処理されたチタン材料の表面硬度をビッカース硬度計
にて、荷重50gfで測定した。同時に表面硬化処理さ
れたチタン材料の表面性状を観察した。また、チタン材
料の表面をφ0.05mm×90°のダイヤモンド端子
を装備した引っかき試験機にてテーブルの送り75mm
/minの速度及び荷重50gfで引っかき、その引っ
かき幅を測定した。それらの結果を表1に示す。また、
表面硬化処理されたチタン材料表面をX線回折にて測定
し、表面生成相を同定した。
【0056】実施例1および比較例1より、Ti−Al
系金属間化合物生成後、N2 ガスを導入することによ
り、Ti−Al系金属間化合物にNが固溶し、表面のビ
ッカース硬さが向上し、それに対応して引っかき試験後
の引っかき幅も狭くなり、表面の傷つき易さが改良さ
れ、傷つきにくい表面になることがわかる。またX線回
折の結果から、Ti3 Al相が認められた。
【0057】また、実施例2、3が示すように、N2
スの露点を上げることにより、N2ガス中のO、HがN
とともにTi−Al系金属間化合物に固溶し、実施例1
より更にチタン材料表面のビッカース硬さが向上し、そ
れに対応して引っかき試験後の引っかき幅も狭くなり、
傷つきにくい表面になることがわかる。またこれもチタ
ン材料表面のX線回折の結果から、Ti3 Al相が認め
られた。しかし比較例5に示すように、露点が上がりす
ぎると、Ti−Al系金属間化合物中に過剰なO、Hが
固溶し、表面酸化と思われる変色およびビッカース硬さ
試験、引っかき試験後に割れが認められた。
【0058】また実施例4および比較例1より、ガス種
をN2 からCO2 に変更することにより、CO2 ガス中
のC、OがTi−Al系金属間化合物中に固溶し、実施
例1と同様にチタン表面のビッカース硬さが向上し、そ
れに対応して引っかき試験後の引っかき幅も狭くなり、
傷つきにくい表面になることがわかる。またチタン材料
表面のX線回折の結果から、Ti3 Al相が認められ
た。
【0059】実施例5、6、7および比較例2、3、4
より、Al2 3 、AlN、Al43 のような他のA
l含有粉末でも、ガスを導入することにより、チタン材
料表面の硬度が上昇し、傷つきにくくなることが認めら
れた。これらについてもX線回折の結果から、Ti3
l相が認められた。
【0060】実施例8、9および比較例1より、Ar、
Heなどの不活性ガスでも、ガスの露点を制御すること
により、ガス中のO、HがTi−Al系金属間化合物に
固溶し、表面硬度が向上することが認められた。しか
し、比較例6より導入ガスの露点が低く、水分量が微量
な場合は、O、HがTi−Al系金属間化合物にほとん
ど固溶せず、表面硬さは向上しなかった。また、比較例
7に示すように露点が20℃になると、ガス中の水分量
が増え、過剰なO、HがTi−Al系金属間化合物に固
溶し、表面硬度は向上するが、同時に変色が生じた。
【0061】比較例8に示すように、活性雰囲気として
大気ガスを導入した場合は、Ti−Al系金属間化合物
表面に酸化物が生成してしまい、表面変色および剥離が
生じた。また比較例9に示されるように、Ti−Al系
金属間化合物生成段階からN2 ガスを導入すると、粉末
中のAlがチタン表面に拡散する前に、Nが固溶し、窒
化物が生成するためにTi−Al系金属間化合物生成が
阻害され、表面の硬度にバラツキを生じ、本発明の目的
が達成できないことが認められた。
【0062】実施例のいずれにおいても表面硬化処理さ
れたチタン材料においては引っかき試験後の引っかき痕
の観察より、表面の割れおよび剥離は一切認められなか
った。
【0063】
【表1】
【0064】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明の
硬化方法を用いると、チタン材料の表面に、Al系粉末
を接触させ、加熱処理して、チタン材料の表面にTi−
Al系金属間化合物を形成した後、Ti−Al系金属間
化合物に対して活性な雰囲気に変え、ガス中のC、O、
NまたはH、あるいはこれらC、O、NもしくはHの内
2種類以上の元素をTi−Al系金属間化合物内に拡散
固溶させ、耐磨耗性および耐スクラッチ性に優れた硬質
の表面を形成する製品を得ることができる。また、純チ
タンの表面にTi−Al系金属間化合物が形成されてい
るチタン材料を、装飾品または時計外装品に用いること
によって、傷がつきにくく、人の皮膚に対して低アレル
ギーな製品を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】Ti−Al系粉末およびN2 ガスを使用した場
合に関する本発明による表面硬化チタン材料の実施形態
の表面付近を拡大して示す模式図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石山 康太郎 埼玉県所沢市大字下富字武野840番地 シ チズン時計株式会社技術研究所内

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 チタン材料の表面付近にTi−Al系金
    属間化合物が、チタンに対するAlおよびC、O、Nま
    たはH、あるいはこれらC、O、NもしくはHの内2種
    類以上の元素の濃度が表面から内部へ傾斜的に低くなる
    ように形成されていることを特徴とする表面硬化チタン
    材料。
  2. 【請求項2】 チタン材料の表面にAl元素を含有する
    粉末を接触させ、加熱処理して、チタン材料の表面にT
    i−Al系金属間化合物を形成した後、処理雰囲気をT
    i−Al系金属間化合物に対して活性な雰囲気に変え、
    雰囲気中のC、O、NまたはH、あるいはこれらC、
    O、NもしくはHの内2種類以上の元素をTi−Al系
    金属間化合物に拡散固溶させることを特徴とするチタン
    材料の表面硬化方法。
  3. 【請求項3】 Ti−Al系金属間化合物中にC、O、
    NまたはH、あるいはこれらC、O、NもしくはHの内
    2種類以上の元素を拡散固溶させる工程の雰囲気ガス
    が、N2 、CO2 、NH3 などTi−Al系金属間化合
    物に対して活性であることを特徴とする請求項2に記載
    のチタン材料表面硬化方法。
  4. 【請求項4】 Ti−Al系金属間化合物中にC、O、
    NまたはH、あるいはこれらC、O、NもしくはHの内
    2種類以上の元素を拡散固溶させる工程の雰囲気ガスの
    露点が10℃以下であることを特徴とする請求項2また
    は請求項3に記載のチタン材料表面硬化方法。
  5. 【請求項5】 Ti−Al系金属間化合物中にOまたは
    H、あるいはOおよびHを拡散固溶させる工程の雰囲気
    ガスが不活性ガスでかつガスの露点が−30〜10℃の
    範囲にあることを特徴とする請求項2に記載のチタン材
    料表面硬化方法。
  6. 【請求項6】 Ti−Al系金属間化合物を形成する工
    程の処理雰囲気が減圧または、不活性雰囲気であること
    を特徴とする請求項2、請求項3、請求項4または請求
    項5に記載のチタン材料の表面硬化方法。
  7. 【請求項7】 チタン材料の表面に接触させる粉末が、
    平均粒径30μm以下でAl濃度30at%以上、70
    at%以下のTi−Al系合金粉末であることを特徴と
    する請求項2、請求項3、請求項4、請求項5または請
    求項6に記載のチタン材料表面硬化方法。
  8. 【請求項8】 チタン材料の表面に接触させる粉末が、
    平均粒径50μm以下のAl2 3 粉末であることを特
    徴とする請求項2、請求項3、請求項4、請求項5また
    は請求項6に記載のチタン材料の表面硬化方法。
  9. 【請求項9】 チタン材料の表面に接触させる粉末が、
    平均粒径50μm以下のAlN粉末であることを特徴と
    する請求項2、請求項3、請求項4、請求項5または請
    求項6に記載のチタン材料の表面硬化方法。
  10. 【請求項10】 チタン材料の表面に接触させる粉末
    が、平均粒径50μm以下のAl4 3 粉末であること
    を特徴とする請求項2、請求項3、請求項4、請求項5
    または請求項6に記載のチタン材料の表面硬化方法。
  11. 【請求項11】 Ti−Al系金属間化合物形成工程お
    よびTi−Al系金属間化合物中にC、O、Nまたは
    H、あるいはこれらC、O、NもしくはHの内2種類以
    上の元素を拡散固溶させる場合の処理温度がチタン材料
    の表面に接触させる各粉末の焼結開始温度以下であるこ
    とを特徴とする請求項2、請求項3、請求項4、請求項
    5、請求項6、請求項7、請求項8、請求項9または請
    求項10に記載のチタン材料の表面硬化方法。
  12. 【請求項12】 請求項1から請求項11のいずれか1
    項に記載の表面硬化方法により表面硬化されたチタン材
    料からなる製品。
  13. 【請求項13】 請求項1から請求項11のいずれか1
    項に記載の表面硬化方法により表面硬化されたチタン材
    料からなる時計外装品。
  14. 【請求項14】 請求項1から請求項11のいずれか1
    項に記載の表面硬化方法により表面硬化されたチタン材
    料からなる装飾品。
  15. 【請求項15】 純チタンの表面にTi−Al系金属間
    化合物を形成し、かつ金属間化合物中にC、O、Nまた
    はH、あるいはこれらC、O、NもしくはHの内2種類
    以上の元素を固溶しているチタン材料からなる時計外装
    品。
  16. 【請求項16】 純チタンの表面にTi−Al系金属間
    化合物を形成し、かつ金属間化合物中にC、O、Nまた
    はH、あるいはこれらC、O、NもしくはHの内2種類
    以上の元素を固溶しているチタン材料からなる装飾品。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2003074752A1 (en) * 2002-02-28 2003-09-12 Swagelok Company Case hardening of titanium
JP2013036070A (ja) * 2011-08-05 2013-02-21 Masuda Sanso Kogyosho:Kk 金属間化合物層の形成方法および溶融金属処理部材

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