JPH1017961A - 高強度チタン合金およびその製品並びに該製品の製造方法 - Google Patents

高強度チタン合金およびその製品並びに該製品の製造方法

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JPH1017961A
JPH1017961A JP7236997A JP7236997A JPH1017961A JP H1017961 A JPH1017961 A JP H1017961A JP 7236997 A JP7236997 A JP 7236997A JP 7236997 A JP7236997 A JP 7236997A JP H1017961 A JPH1017961 A JP H1017961A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 装飾性および美麗性に優れ且つ疵やへこみ等
がつきにくく、しかも機械加工性も良好で、特に上記各
種の装身具の素材として有用な高強度チタン合金、およ
び該合金によって製造される上記の様な製品、並びにこ
のような製品を製造するための有用な方法を提供する。 【解決手段】 Fe:0.2〜1.0%、O:0.15
〜0.60%およびSi:0.20〜1.0%を夫々含
み、残部がTiおよび不可避不純物からなる。また素材
温度が(β変態点−200℃)以上の状態で熱間鍛造
し、その後冷却する工程を含んで操業することによっ
て、製品とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、時計ケース・バン
ド、ブレスレット、イヤリング、ペンダント、ネックレ
ス、メガネフレーム等の装身具の素材として有用な高強
度チタン合金、および該合金によって製造される上記の
様な製品、並びこのような製品を製造するための有用な
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】チタンは耐食性に優れ変色等の経時変化
もなく、しかも(強度/比重)比が高いことから、装身
具の様な身に着ける製品の素材に適した材料として期待
されている。特に近年では、装身具に使用される材料は
人体に対してアレルギーを起こさない生体適合性が要求
されており、こうした観点からしても、代表的ノンメタ
ルアレルギー材料でもあるチタンが装身具用素材として
注目され、ステンレス鋼等のこれまで使用されてきた金
属材料に代わって上記各種の装身具の素材としてその利
用が広まりつつある。
【0003】装身具はその性格上、表面の美麗さと複雑
精密な形状が要求される他、日常生活での使用中に傷つ
いて美麗さが失われない堅牢性も求められる。また装身
具の美麗性を得るには鏡面性が良好であることは勿論の
こと、鏡面にした後の各種の表面仕上げ加工性(例え
ば、後記実施例に示すヘアライン性)が良好であること
が必要である。しかも機械加工性の点からでは、例えば
多数の精密な微小孔明け加工性が良好であることが要求
される。
【0004】しかしながら、装身具の素材として用いら
れているチタンやチタン合金、或はこれらの素材から装
身具を製造する方法は、航空宇宙分野、化学工業および
原子力分野等の他の工業用途向けに開発されたものを流
用しているのが実情であり、装身具に求められる各種特
性が得られている訳ではない。
【0005】例えば、装身具に最もよく使用されている
JIS−1種やJIS−2種等の工業用純チタンは、日
常生活における接触や摩擦により疵ついたり、表面に施
された各種の仕上げが磨滅してしまい、装身具に不可欠
の美麗性や装飾性の点でステンレス鋼よりも劣ってい
る。
【0006】一方、チタン合金は合金元素を多量に添加
して強度が高くなっており、耐疵性の点では工業用純チ
タンよりも優れるものの、加工性に劣り装身具に要求さ
れる精密微妙な機械加工が困難であるので、造形デザイ
ンが制約されるという欠点がある。またほとんどのチタ
ン合金は、Al,Ni,V,Cr等の生体適合性の良く
ない合金元素を添加している。しかも、これらの合金元
素は、比較的高価であるので、素材コストが高いなると
いう欠点もある。
【0007】工業用純チタンの耐摩耗性やチタン合金の
機械加工性等の改善するための技術は、他の用途におい
ては様々開発されているが、これらの技術は装身具への
適用を考慮してなされたものではないので、これらの技
術を装身具の改良技術としてそのまま流用することはで
きない。例えば特公平7−62196号には、炭化チタ
ンを分散させてチタンの耐摩耗性を改善した耐摩耗チタ
ン合金が提案されているが、このチタン合金を装身具の
素材として用いても、炭化チタンがあまりにも硬く微小
な孔明け加工ではドリル寿命が著しく短くなるという機
械加工上の難点がある。また機械加工性や快削性を改善
するために、硫化物などの介在物を分散させた快削チタ
ン合金も知られているが(例えば、特公平5−4249
0号)、上記介在物は軟らか過ぎて耐疵性の改善には役
立たないばかりか、粗大な介在物の存在は鏡面加工の妨
げにもなる。
【0008】一方、従来の製造技術による材質改善にお
いても、必ずしも装身具としての性能向上に繋るという
ものではない。例えば純チタンの表面に硬質のコーティ
ングを施して耐疵性を改善する技術が提案されているが
(例えば、特開平3−180478号)、この表面処理
によって本来の金属光沢が失われたり、製品の色調が暗
くなり装飾性の点で問題があり、装身具としての魅力を
減じてしまうという欠点がある。またこの技術では、母
材として用いられるチタン自体が疵つき易いものである
ので、表面処理前の加工時のハンドリング中に傷つきて
しまい、商品価値が低下してしまうことにもなる。
【0009】ところで、材料強度をより向上させるため
の製造方法として熱処理による方法もあるが、表面だけ
ではなく製品全体の硬さが増加してしまうため機械加工
性が悪化してしまう。またこのような熱処理は、合金元
素の多いβ型あるいはα+β型のチタン合金にしかその
有効性が発揮されない。また冷間加工を行なえば、加工
硬化によって硬度を増加できるが、冷間鍛造では全体の
硬さが増加してしまい、機械加工性が改善されないまま
である。この点からして、ショットピーニングのような
方法では、表面部にのみ歪みを与えることで表面だけの
硬さを向上できるが、微妙な形状の成形品に実施するが
できないという別の欠点がある。
【0010】こうしたことから、純チタンを装身具の素
材として用いるに際して、現状では耐疵性の低い工業用
純チタンをそのまま用いたり、装飾性をある程度犠牲に
して表面処理をしているのが実情である。工業用純チタ
ンと上記チタン合金の中間的な特性を有するTi−3A
l−2.5V系チタン合金が用いられる場合もあるが、
この合金は耐疵性、加工性およびコスト面で要求特性を
満足しているとは言えず、しかも生体適合性の点で難の
あるAlやVを使用している。また上記各欠点があるに
も拘らず、チタン合金が装身具の素材として使用される
場合もあるが、その使用例は極めて限られた部分であ
る。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】上記の様に、従来のチ
タンやチタン合金およびそれらの製造技術は、装身具用
途に真に適しているとは言えない。優れた材料特性を持
つチタンを、上記装身具ばかりでなく、装飾品用途や一
般日用品等により広く普及させる上でも、装飾性、堅牢
性、加工性、生体適合性およびコストの面のいずれをも
満足できる新たなチタン材料、およびそのチタン材料を
用いた製品製造技術の確立が望まれている。
【0012】本発明はこうした状況の下になされたもの
であって、その目的は、装飾性および美麗性に優れ且つ
疵やへこみ等がつきにくく、しかも機械加工性も良好
で、特に上記各種の装身具の素材として有用な高強度チ
タン合金、および該合金によって製造される上記の様な
製品、並びにこのような製品を製造するための有用な方
法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成し得た本
発明のチタン合金とは、Fe:0.2〜1.0%、O:
0.15〜0.60%およびSi:0.20〜1.0%
を夫々含み、残部がTiおよび不可避不純物からなる点
に要旨を有する高強度チタン合金である。
【0014】またこの合金においては、Fe,Oおよび
Siの夫々の好ましい範囲は、Fe:0.3〜0.7
%、O:0.20〜0.40%、Si:0.40〜0.
80%であり、要求される特性に応じてそれらの含有量
を適宜組み合わせて合金設計を行なえば良い。
【0015】上記チタン合金は強度が要求される各種製
品の素材として有用である。またこのチタン合金は、加
工性にも優れているので、前記製品が特に時計ケース・
バンド、ブレスレット、イヤリング、ペンダント、ネッ
クレス、メガネフレーム等の装身具であるときにその特
性が最も有効に発揮される。またこの製品は、その特性
を更に効果的に発揮させるためには、表面ビッカース硬
さが内部ビッカース硬さよりも20以上高いものである
ことが好ましい。
【0016】上記の高強度チタン製品を製造するに当た
っては、基本的には素材温度が(β変態点−200℃)
以上の状態で熱間鍛造し、その後冷却する工程を含んで
操業すれば良いが、表面ビッカース硬さを内部ビッカー
ス硬さよりも20以上高くするための具体的な製造方法
としては、下記の構成が挙げられる。即ち、素材温度が
(β変態点−200℃)以上の状態で、歪み速度:10
-1/秒以上の熱間鍛造を行なうと共に、下記(a)およ
び(b)の少なくともいずれかを満足する工程を含んで
操業すれば良い。 (a)500℃以下の金型を用いて上記熱間鍛造を行な
い、その後冷却する。 (b)熱間鍛造終了後、10秒以内に冷却速度:102
℃/分以上の冷却を開始し、材料温度が500℃以下に
なるまで冷却を継続する。 尚熱間鍛造時の素材温度は(β変態点−200℃)以上
とする必要があるが、その上限は950℃であることが
好ましい。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明者らは、機械加工性を害さ
ずに耐疵性を改善する材料設計を行なうために、疵が発
生する条件、特に装身具の美麗性に係る肉眼によって認
められる疵発生に影響する材料因子について様々な角度
から検討した。そしてまず、日常生活での擦過による疵
は、ミクロ的には材料表面とその周辺の領域に大きな塑
性変形を伴い、肉眼には異物そのものによる疵だけでな
く、これら疵周囲の変形に伴う表面の凹凸を含めて表面
疵として認識されることが分かった。
【0018】そしてこのような疵(周辺の表面の凹凸領
域を含む)の大きさと各種材料因子との関係を詳細に調
査した結果、疵の凹凸の幅・深さは主要相の硬さや結晶
粒径に依存することを見出した。即ち、硬さが高いほど
および結晶粒径が細かいほど疵の凹凸領域は抑制された
のである。その理由は、結晶粒が硬いほど変形抵抗が増
大するので、押し込み等の塑性変形加工における結晶粒
の変形は小さくなり、疵が小さくなると考えられる。ま
た結晶粒の一部に疵が入ると、そこから生じた塑性変形
(すべり変形や双晶変形)は、その結晶全体に広がり易
いが、結晶粒径が小さいとそれだけ変形のおよぶ範囲が
狭まり、疵は小さくなると考えられ、こうした観点から
結晶粒径は10μm以下が望ましいことが分かった。
【0019】こうした知見に基づき本発明者らは、まず
合金設計として装身具が使用される室温で安定なα相を
主要相として強化する手段について検討した。β相を室
温で存在させるには多量のβ安定化元素の添加が必要で
あるため、材質的に硬く且つねばくなり過ぎて加工が困
難になる他、材料が高価になるという欠点がある。これ
に対し、α相が固溶強化し過ぎると、機械加工性、特に
時計などの装身具に必要とされる直径:1mm以下の微
小孔明け時のドリル寿命が低下してしまうことが明らか
となった。
【0020】一方、析出相による析出強化や分散強化に
よる強度増加では、ドリル寿命の低下は比較的少なかっ
た。しかしα相の場合、析出強化によって得られる強度
増加には限界がある。
【0021】そこで本発明者らは、α相を固溶強化する
元素を必要最小限にし、それ以上の強化は析出強化する
元素で補うことを考えた。またこの析出相は、α相の粒
成長を抑制して粒径を微細化する効果も同時に期待され
た。更に、添加元素の条件として、少ない添加量で大き
な効果が得られ且つ生体に対する安全性が高いこと、お
よび安価であるという前提で検討した。
【0022】その結果、α相を固溶強化する最適な元素
として、まず酸素(O)を選んだ。Oは強化能が高く且
つ酸化チタンのような形態で安価に入手可能であり、し
かも偏析の不安も少ない元素である。尚窒素(N)はO
と類似した効果を有することが予想されたが、偏析のし
易さやコストの点でOに劣っていた。またジルコニウム
(Zr)は固溶強化能が小さく且つ極めてコストが高い
点で問題があった。
【0023】ところで本発明者らは、他の化合物を形成
する元素として炭素(C)の添加についても試みてみ
た。しかしながらCの添加は、耐摩耗性を改善するとさ
れる炭化チタン(TiC)を形成するが、このTiCは
硬度がビッカース硬さ(Hv)が1000以上もあり、
細径ドリルの寿命を著しく損なうため採用できなかっ
た。また硫黄(S)の添加は快削性を向上するとされ、
チタン合金に利用される場合があるが、硫化物は軟らか
過ぎて耐疵性の向上が図れなかった。
【0024】これに対しOを添加することでチタン合金
の耐疵性は向上し、O含有量が0.2%以上のときに従
来材であるTi−3Al−2.5V系合金以上の耐疵性
が得られることが分かった。しかしながら、Oのみを
0.2%以上添加したときには、孔明け性の点でTi−
3Al−2.5V系合金よりも低下した。従って、Oの
みの添加ではTi−3Al−2.5V系合金よりも優れ
た耐疵性と加工性のコンビネーションは得られなかっ
た。
【0025】一方、α相を析出強化する最適な元素とし
て、鉄(Fe)とシリコン(Si)を選んだ。このうち
Feは、α相に固溶量が少なく且つβ相を形成して強化
する能力が高い上、生体安全性にも優れ、しかも極めて
低コストである。尚Ni、Cr、Cu等も類似した効果
を有することが予想されたが、強化能や生体適合性の点
でFeに及ばなかった。またSiは、α相に固溶量が少
なく且つTiと化合物(シリサイド)を形成し易い特徴
があり、α結晶粒の微細化効果も期待できる。このSi
は生体適合性にも優れる上、例えばフェロシリコン(F
eとSiの化合物)のような極めて安い形態で入手可能
である。即ち、Tiに対してOと同時にFeとSiを複
合添加すると、高強度化が実現でき、且つ微細なβ相の
分散状態が得られ、これによって高いレベルで強度と切
削性の良好なバランスが達成できたのである。
【0026】本発明のチタン合金は、Oと同時にFeと
Siを複合添加したものであり、これによって耐疵性と
孔明け性のいずれも著しく改善されたのである。即ち、
本発明の合金は、Fe:0.2〜1.0%、O:0.1
5〜0.60%およびSi:0.20〜1.0%を夫々
含み、残部がTiおよび不可避不純物からなる高強度チ
タン合金であり、この化学成分組成においてTi−3A
l−2.5V系合金よりも優れた耐疵性と加工性が得ら
れたのである。このチタン合金における化学成分組成の
範囲限定理由は、下記の通りである。
【0027】O:0.15〜0.60% Oの含有量が0.15%未満では耐疵性が劣り、0.6
0%を超えて添加すると加工性が目標値を下回る。また
後述する加工熱処理による表面硬化処理において、O含
有量が0.15%未満では表面硬さが十分に増加しな
い。尚O含有量の好ましい範囲は0.20〜0.40%
であり、この範囲においてO添加効果が最大限に発揮さ
れる。
【0028】Fe:0.2〜1.0% Feの含有量が0.2%未満では耐疵性と機械加工性の
改善効果が乏しく、1.0%を超えて添加してもこれら
の効果は飽和する他、Fe含有量が過剰になることによ
ってチタン合金の耐食性が低下し、該チタン合金に金メ
ッキ等の表面処理を行なって装身具を製造する場合に、
メッキ処理液によってチタン合金表面が浸食されるとい
う悪影響が生じた。またFe含有量が0.2%未満で
は、熱間加工における変形抵抗が大きくなり、装身具に
必要とされる精密な成形が困難になる。尚Fe含有量の
好ましい範囲は0.3〜0.7%であり、この範囲にお
いてFe添加効果が最大限に発揮される。
【0029】Si:0.20〜1.0% Siはβ相の微細化と強度の向上によって析出による耐
疵性を改善し、また耐疵性と加工性のコンビネーション
を向上させる作用を発揮する。Siの含有量が0.20
%未満では耐疵性と機械加工性の改善効果が乏しく、
1.0%を超えて添加してもこれらの効果は飽和する
他、Si含有量が過剰になることによって熱間加工性が
低下し、鍛造時等に割れ発生などの悪影響が生じる。尚
Si含有量の好ましい範囲は0.40〜0.80%であ
り、この範囲においてSi添加効果が最大限に発揮され
る。またSiには耐食性を改善し、且つFeに比べ拡散
しにくく熱的に安定であるので、Feを安定化させる作
用も発揮する。
【0030】上記の様な本発明のチタン合金材料を用い
て装身具等の製品を製造するに当たっては、基本的には
素材温度が(β変態点−200℃)以上の状態で熱間鍛
造し、その後冷却する工程を含んで操業すれば良いが、
本発明者らは、装飾性、美麗性を劣化させずに表面硬さ
のみを増加させる製造方法、より詳しくは加工熱処理に
よって表面層のみを硬化させることで、耐疵性を一層向
上させながら、内部材質の孔明け等の加工性を低下させ
ないための条件について検討した。そして表面の硬さに
及ぼす加工熱処理条件の影響を詳細に調査した結果、熱
間加工であっても加工の歪み速度が十分速くかつ加工に
より与えられた歪みが回復する前に急冷すれば加工硬化
状態が表面部に保持できることを見出した。例えば金型
温度が回復温度より低ければ、材料の変形とほぼ同時に
冷却され表面付近の材料温度が回復温度以下になり加工
硬化状態が凍結されると考えられる。或は金型温度が高
く加工時点では冷却されない場合でも回復による軟化が
十分進む前に冷却できれば実質的に表面部分の硬さを増
加できると考えられる。
【0031】こうした知見に基づき、熱間加工のみによ
る表面硬化を有効に実施できる製造条件は次のようにな
った。即ち、素材温度が(β変態点−200℃)以上の
状態で、歪み速度:10-1/秒以上の熱間鍛造を行なう
と共に、下記(a)および(b)の少なくともいずれか
を満足する工程を含んで操業すれば良い。 (a)500℃以下の金型を用いて上記熱間鍛造を行な
い、その後冷却する。 (b)熱間鍛造終了後、10秒以内に冷却速度:102
℃/分以上の冷却を開始し、材料温度が500℃以下に
なるまで継続する。
【0032】上記製造条件において、例えば金型温度が
500℃を超える温度であっても、歪み速度:10-1
秒以上の熱間鍛造を行ない、加工終了後10秒以内に冷
却速度:102 ℃/分以上の冷却を開始し、材料温度が
500℃以下になるまで冷却を継続すれば、金型温度が
500℃以下の場合よりも硬化量は少なくなるものの表
面を硬化することができる。また上記(a)および
(b)の少なくともいずれかを満足する工程を含んで操
業すれば、本発明の効果が得られるが、(a)および
(b)のいずれをも満足する製造条件で操業すれば、更
に効果的である。こうした製造条件を満足することによ
って、表面層に限定された領域の硬さを内部よりもビッ
カース硬さで20以上増加させることができる。
【0033】上記製造条件における各要件の限定理由
は、下記の通りである。上記β変態点とはα→βあるい
はα+β→βの変態温度であるが、熱間鍛造時の素材温
度は(β変態点−200℃)以上とする必要がある。素
材温度が(β変態点−200℃)未満では、素材の変形
抵抗が増大すると共に変形能が低くなり、装身具に求め
られる精密な成形が困難になる他、熱間鍛造等の熱間加
工時に表面割れ等の欠陥が生じ必要な表面硬度も得られ
ない。素材温度が高くなると変形抵抗は低下する傾向で
あり成形性は良好になるが、素材温度の上限は950℃
であることが好ましい。即ち、素材温度が950℃を超
える様な温度になると、素材表面の酸化が多くなり、成
形後の表面仕上げの際に行われる表面研磨に要する時間
が長くなる等の支障を来す。
【0034】金型温度が500℃を超える温度であって
も表面硬さ増加の効果が得られ、他の要件を満足すれば
表面の硬さを内部よりもビッカース硬さで20以上増加
させることができるが、金型温度が500℃以下である
場合において、金型による表面硬さは増加効果が得られ
る。鍛造時の歪み速度が10-1/秒以上で表面の硬さは
内部よりも高くなるが、10-1/秒未満の歪み速度で
は、表面硬さは内部と同レベルとなる。即ち、加工は短
時間で終了するが、歪み速度を10-1/秒以上とするこ
とによって、鍛造時に生じた加工硬化が加工中の回復現
象により失われないためと推定される。
【0035】鍛造終了後の冷却開始までの時間が10秒
を超えると、表面硬さは内部と同レベルとなる。しかし
ながら、鍛造終了後10秒以内に冷却速度:102 ℃/
分以上の冷却を開始し、材料温度を500℃以下となる
まで冷却を継続すれば、表面の硬さは内部よりも高くな
る。尚質量の小さな鍛造品では、積極的な冷却ではない
放冷においても102 ℃/分以上の冷却速度が得られる
場合があるので、上記「冷却」とは、鍛造後に単に放冷
されるような場合も含むものである。
【0036】上記の製造条件は、基本的には最終熱間鍛
造条件を想定したものであって、最終的に行なう熱間鍛
造が上記の条件を満足しさえすれば本発明の効果が得ら
れるのであるが、上記の熱間鍛造を行なう前に、予備的
な熱間加工(例えば、熱間圧延や熱間鍛造)を行なって
も良いのは勿論である。また上記の熱間鍛造加工で形状
出しを行なった後は、切削加工、孔明け加工等の第1次
機械加工する工程、研磨加工等の仕上げ加工する第2次
機械加工する工程を含んで製造することによって最終製
品となる。
【0037】以下本発明を実施例によって更に詳細に説
明するが、下記実施例は本発明を限定する性質のもので
はなく、前・後記の趣旨に徴して設計変更することはい
ずれも本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【0038】
【実施例】
実施例1 下記表1に示す成分組成のチタン合金から、直径:10
mmの棒材を作成した。棒材の製造は、プラズマ溶解に
よって溶製したインゴットをβ温度域で鍛造後、α+β
温度域で直径:10mmの棒材に鍛造し、これを700
℃で30分間焼鈍した。得られた棒材を試験片とし、耐
疵試験および孔明け加工試験に供し、その材質(耐疵性
および加工性)を評価した。このとき耐疵試験は、バフ
研磨した試験片表面に、ダイヤモンド圧子を荷重:50
〜200g、速度:75mm/分の条件で疵をつけ、そ
の疵の深さをTi−3Al−2.5V系合金(以下、
「従来材」と呼ぶ)と比較した。また孔明け試験は、孔
径:1mm、深さ:8mmの孔明け加工を実施し、ドリ
ルが折損して加工不能になるまでの孔明け数を比較し
た。
【0039】各試験の結果を、下記表1に併記する。耐
疵性の評価は、疵の深さの比(従来材の疵の深さ/試験
片の疵の深さ)で表し、加工性の評価は、孔明け数の比
(試験片の孔明け数/従来材の孔明け数)で表した。ま
た本発明のチタン合金における耐疵性は従来品の1.5
倍、加工性は従来品の同等以上を目標値とした。
【0040】
【表1】
【0041】この結果から、次の様に考察できる。まず
No.1は、O含有量が低過ぎる比較例であり、従来材
に比べ耐疵性が劣っている。No.2は、Fe含有量が
低過ぎる比較例であり、加工性が劣っている。No.3
は、O含有量が過剰な比較例であり、加工性が劣ってい
る。No.4は、Si含有量が過剰な比較例であり、鍛
造性が損なわれている。No.5は、Fe含有量が過剰
な比較例であり、耐食性が損なわれている。No.6
は、Si含有量が低過ぎる比較例であり、耐疵性および
加工性のいずれも劣っている。これらに対しNo.7〜
20のものは、本発明で規定する成分組成を満足する実
施例であり、耐疵性および加工性のいずれも従来材を上
回る特性を有している。
【0042】実施例2 O:0.30%,Fe:0.50%およびSi:0.7
0%を夫々含有し、残部がTiおよび不可避不純物から
なるチタン合金から、直径:20mmの試験片を作成し
た。このとき試験片は、プラズマ溶解によって溶製した
インゴットをβ温度域で鍛造後、α+β温度域で直径:
22mmの棒材に鍛造し、これを機械加工によって直
径:20mm、長さ30mmの試験片に加工した。これ
を下記表2に示す条件により高周波加熱後、高さ:10
mmにプレス成形(熱間鍛造)し、その後冷却した。
【0043】熱処理後の試験片について、断面のビッカ
ース硬さ(Hv)をビッカース硬さ計により測定し、表
面部(表面直下から0.5mmの深さまでの領域)とそ
れより内部の硬さを比較し、硬さ増加量(表面の硬さ−
内部の硬さ)として評価した。その結果を、冷却条件と
共に下記表2に併記する。尚上記チタン合金のβ変態点
は935℃であった。
【0044】
【表2】
【0045】この結果から、次の様に考察できる。まず
No.1は、素材の加熱温度が低過ぎるので、プレス成
形時に割れが発生している。No.2は、金型温度は低
いものの、加工の歪み速度が遅過ぎるので表面の硬さの
増加量が少なくなっている。No.3は、金型温度が高
くまた加工の歪み速度が遅すぎるので、表面の硬さの増
加量が少なくなっている。No.4は、鍛造終了後から
冷却開始までの時間が長すぎるので、表面の硬さの増加
量が少なくなっている。No.5は、鍛造終了後の冷却
速度が遅いので、表面の硬さの増加量が少なくなってい
る。No.6は、材料温度が高い段階で冷却が中断され
たため、表面の硬さは内部と同レベルである。
【0046】これらに対し、No.7〜17のものは本
発明で規定する製造条件のいずれをも満足するものであ
り、いずれも表面のビッカース硬さは内部のビッカース
硬さよりも20以上増加していることが分かる。但し、
No.9,10のものは素材温度が好ましい上限(95
0℃)を超えているので、No.9では表面酸化がやや
多くなっており、No.10では表面酸化が顕著に増加
していた。
【0047】実施例3 下記表3に示す成分組成のチタン合金を用い、プラズマ
溶解により溶製したインゴットから圧延等の加工によっ
ての丸棒(直径:20mm)を作成した。得られたチタ
ン合金丸棒を、長さ:25mmに切断した。
【0048】次に、熱間鍛造機に時計ケース成形用金型
をセットし、金型を150〜250℃に加熱し、この金
型に高周波加熱により下記表3に示す所定温度に昇温
後、5〜10秒間保持した素材を乗せ1次鍛造を行なっ
た。このとき使用した鍛造機は、200トンのフリクシ
ョンプレスである。
【0049】次に、化学研磨によりスケールを除去した
1次鍛造品を、高周波加熱により下記表3に示す所定温
度に昇温後、5〜10秒間保持した素材を、仕上げ用の
2次鍛造を行なった。このとき使用した金型は、仕上げ
時計ケース成形用金型で200℃に加熱し、80トンの
鍛造機を用いて鍛造した。鍛造時間の歪み速度は、表3
に示す通りである。また加工終了後の冷却は、表3に示
す条件とした。
【0050】次に、バリ抜き加工(プレスにて)、バレ
ル加工(バリおよびスケールの除去)、化学研磨加工
(スケールの完全除去)を行なった2次鍛造品の内径
(モジュールが収納される裏側部分)、見切り部(文字
板が見える表側部)等を、NC切削加工機で切削すると
共に、バンドを取り付けるためのバネ棒孔と、巻芯を挿
入するための巻芯孔を明ける孔明加工の第1次機械加工
を行なった。孔明加工を行った後、2次鍛造品の表面に
所望の仕上げ品質を得るために、砥石や羽布を使用した
研磨による仕上げ加工を施す第2次機械加工を行ない、
時計ケースを製造した。
【0051】得られた時計ケース製品(本発明例と比較
例)について、表面と内部の硬さの差(硬さの増加
量)、耐疵性、孔明け加工性および鏡面性を調査し、従
来材であるTi−3Al−2.5V系合金を基準として
比較した。その結果を、下記表3に併記した。
【0052】このとき硬さは、ビッカース硬さ計により
荷重100gで測定した。耐疵性の評価は、ダイヤモン
ド圧子を荷重:200g、速度:75mm/分の条件
で、バフ研磨したサンプル表面に疵をつけその疵の幅を
比較し、疵幅の比(従来材の疵幅/得られた製品の疵
幅)で示した。孔明け加工性の評価は、孔径:1.5m
m、回転数:2000RPM、ドリル材質:SKH−9
により連続して加工できた孔明け数を測定し、実施例2
と同様に比較した。また鏡面性は、標準サンプルを基準
にし、ピット、疵、ゆがみ等がなく均一で平滑な鏡面性
を目視感能検査によって評価した。
【0053】
【表3】
【0054】この結果から、次の様に考察できる。まず
No.1〜3のものは、本発明材と本発明の加工方法と
による実施例であり、表面が内部よりも硬く、いずれの
材料特性も良好であり最も優れていた。またNo.4、
5のものは、本発明材と本発明の規定条件外の加工方法
とによる実施例であり、表面は内部より硬化していない
ものの、材質はNo.1〜3に次いで優れていた。
【0055】これに対し、No.6〜10のものは、従
来材と本発明の加工方法とによる比較例であり、下記の
点で問題があった。 (a)No.6はO含有量が多過ぎ、孔穴明け加工性が
劣る。 (b)No.7はSi含有量が少な過ぎ、耐疵性および
鏡面性が劣る。 (c)No.8はO含有量が少な過ぎ、耐疵性および鏡
面性が劣る。 (d)No.9は、基準としたTi−3Al−2.5V
系合金の例である。 (e)No.10は合金元素が多く含まれ、熱処理(容
体化処理+時効)によって硬化可能なNearβ合金の
例であり、耐疵性は高いが孔明け加工性が劣っている。
【0056】本発明によるこれらの時計ケース、特に本
発明材と本発明加工方法とにより製造した時計ケース
は、機械加工性と耐疵性等のコンビネーション、および
美麗性において従来技術による時計ケースに対し優れて
いた。
【0057】即ち、Fe:0.2〜1.0%、O:0.
15〜0.60%、Si:0.20〜1.0%を夫々含
有し、残部が実質的にTiからなるチタン合金素材を加
熱し、時計ケース用金型を使用して熱間鍛造で形状出し
と、バレル加工、切削等の機械加工と、研磨等の仕上げ
加工とにより完成した時計ケースは、従来の素材で作ら
れたものより表面硬度が高いので、疵や凹みが付きにく
く、その上表面品質も従来では得られなかった鏡の様な
鏡面が得られ、軽くて非常に美しい気品のある質感が得
られていた。
【0058】実施例4 下記表4に示す成分組成のチタン合金を用い、プラズマ
溶解により溶製したインゴットから圧延等の加工によっ
て丸棒(直径:6.5mm)を作成した。得られたチタ
ン合金丸棒を、長さ:47mmに切断した。
【0059】次に、熱間鍛造機に時計バンド成形用金型
(2駒取り)をセットし、150〜250℃に加熱し、
この金型に高周波加熱により下記表4に示す所定温度に
昇温後、5〜10秒間保持した素材を乗せ1次鍛造を行
なった。このとき使用した鍛造機は、120トンのフリ
クションプレスである。
【0060】次に、化学研磨によりスケールの除去を行
なった鍛造品を、バリ抜き加工(プレスにて、バリ抜き
と2つの駒を1つの駒にするばらしを同時に行なう)、
バレル加工(バリおよびスケールの除去)、化学研磨加
工(スケールの完全除去)を行なった。次いで、ピン等
で連結するための孔明け加工を駒に施す第1次機械加工
を行なった。その後、所望の仕上げ品質を得るため、孔
明加工を行った駒の表面に、仕上げバレル研磨や羽布を
使用した研磨による仕上げ加工の第2次機械加工を行な
った。こうして得られた駒を、ピンにより連結し、時計
バンドを完成させた。
【0061】得られた時計バンド製品(本発明例と比較
例)の表面と内部の硬さの差(硬さの増加量)、耐疵
性、孔明け加工性およびヘアライン性を調査し、従来材
であるTi−3Al−2.5V系合金を基準として比較
した。その結果を、下記表4に併記した。
【0062】このとき硬さは、ビッカース硬さ計により
荷重100gで測定した。耐疵性の評価は、ダイヤモン
ド圧子を荷重:200g、速度:75mm/分の条件
で、バフ研磨したサンプル表面に疵をつけその疵の幅を
比較し、実施例3と同様にして評価した。孔明け加工性
の評価は、孔径:1.0mm、回転数:4000RP
M、ドリル材質:SKH−9により連続して加工できた
孔明け数を測定し、実施例2と同様に比較した。またヘ
アライン性は、標準サンプルを基準にし、ヘアラインの
乱れ、切れ、荒れ等のない均一な光沢性と規則的なヘア
ライン性を目視感能検査によって評価した。
【0063】
【表4】
【0064】この結果から、次の様に考察できる。まず
No.1〜3のものは、本発明材と本発明の加工方法と
による実施例であり、表面が内部よりも硬く、いずれの
材料特性も良好であり最も優れていた。またNo.4、
5のものは、本発明材と本発明の規定条件外の加工方法
とによる実施例であり、表面は内部より硬化していない
ものの、材質はNo.1〜3に次いで優れていた。
【0065】これに対し、No.6〜10のものは、従
来材と本発明の加工方法とによる比較例であり、下記の
点で問題があった。 (a)No.6はO含有量が多過ぎ、孔穴明け加工性が
劣る。 (b)No.7はSi含有量が少な過ぎ、耐疵性および
ヘアライン性が劣る。 (c)No.8はO含有量が少な過ぎ、耐疵性およびヘ
アライン性が劣る。 (d)No.9は、基準としたTi−3Al−2.5V
系合金の例である。 (e)No.10は合金元素が多く含まれ、熱処理(容
体化処理+時効)によって硬化可能なNearβ合金の
例であり、耐疵性は高いが孔明け加工性が劣っている。
【0066】本発明によるこれらの時計バンド、特に本
発明材と本発明加工方法とにより製造した時計バンド
は、機械加工性と耐疵性等のコンビネーション、および
美麗性において従来技術による時計バンドに対し優れて
いた。
【0067】即ち、Fe:0.2〜1.0%、O:0.
15〜0.60%、Si:0.20〜1.0%を夫々含
有し、残部が実質的にTiからなるチタン合金素材を加
熱し、時計バンド用金型を使用して熱間鍛造で形状出し
と、バレル加工、孔明け等の機械加工と、研磨等の仕上
げ加工とにより完成した駒を、ピン等により連結して作
成された時計バンドは、従来の素材で作られたものより
表面硬度が高いので、疵や凹みが付きにくく、その上表
面品質も従来では得られなかった微細なヘアライン目付
けが得られ、軽くて非常に美しく気品のある質感が得ら
れていた。
【0068】尚上記実施例3および実施例4において
は、時計ケースや時計バンドを製造する場合を示した
が、その他ブレスレット、イヤリング、ペンダント、ネ
ックレス、メガネフレームなどの装身具、更に装飾品や
一般日用品等の他の製品に実施しても同様の結果が得ら
れていた。
【0069】
【発明の効果】本発明は以上の様に構成されており、装
飾性および美麗性に優れ且つ疵やへこみ等がつきにく
く、しかも機械加工性も良好で、特に上記各種の装身具
の素材として有用な高強度チタン合金、および該合金に
よって製造される上記の様な製品、並びにこのような製
品を製造するための有用な方法が実現できた。また本発
明の技術は、装身具に適用したときにその効果が最も有
効に発揮されるものであるが、装身具と同様に美麗性が
重要視される装飾品の他、自転車部品、ゴルフ、釣り用
具等のスポーツ用途、更には建材、家電製品等の幅広い
製品への適用が期待される。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C22F 1/00 630 8719−4K C22F 1/00 630C 673 8719−4K 673 683 8719−4K 683 684 8719−4K 684A 692 8719−4K 692A 8719−4K 692B 694 8719−4K 694B 8719−4K 694Z (72)発明者 橋本 範夫 東京都田無市本町6丁目1番12号 シチズ ン時計株式会社内 (72)発明者 田口 秀夫 東京都田無市本町6丁目1番12号 シチズ ン時計株式会社内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Fe:0.2〜1.0%(質量%の意
    味、以下同じ)、O:0.15〜0.60%およびS
    i:0.20〜1.0%を夫々含み、残部がTiおよび
    不可避不純物からなることを特徴とする高強度チタン合
    金。
  2. 【請求項2】 Fe:0.3〜0.7%、および/また
    はO:0.20〜0.40%、および/またはSi:
    0.40〜0.80%である請求項1に記載のチタン合
    金。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載のチタン合金か
    らなるものである高強度チタン製品。
  4. 【請求項4】 前記製品が、装身具である請求項3に記
    載の製品。
  5. 【請求項5】 表面のビッカース硬さが内部のビッカー
    ス硬さよりも20以上高いものである請求項3または4
    に記載の高強度チタン製品。
  6. 【請求項6】 請求項3または4に記載の製品を製造す
    るに当たり、素材温度が(β変態点−200℃)以上の
    状態で熱間鍛造し、その後冷却する工程を含んで操業す
    ることを特徴とするの高強度チタン製品の製造方法。
  7. 【請求項7】 素材温度が950℃以下である請求項6
    に記載の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項5に記載の製品を製造するに当た
    り、素材温度が(β変態点−200℃)以上の状態で、
    歪み速度:10-1/秒以上の熱間鍛造を行なうと共に、
    下記(a)および(b)の少なくともいずれかを満足す
    る工程を含んで操業することを特徴とする高強度チタン
    製品の製造方法。 (a)500℃以下の金型を用いて上記熱間鍛造を行な
    い、その後冷却する。 (b)熱間鍛造終了後、10秒以内に冷却速度:102
    ℃/分以上の冷却を開始し、材料温度が500℃以下に
    なるまで冷却を継続する。
  9. 【請求項9】 素材温度が950℃以下である請求項8
    に記載の製造方法。
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