JPH10305516A - 摺動性複合材 - Google Patents

摺動性複合材

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JPH10305516A
JPH10305516A JP11587497A JP11587497A JPH10305516A JP H10305516 A JPH10305516 A JP H10305516A JP 11587497 A JP11587497 A JP 11587497A JP 11587497 A JP11587497 A JP 11587497A JP H10305516 A JPH10305516 A JP H10305516A
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JP
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fluorine
functional group
coating
metal oxide
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Application number
JP11587497A
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English (en)
Inventor
Takayuki Araki
孝之 荒木
Yoshito Tanaka
義人 田中
Masahiro Kumegawa
昌浩 久米川
Noritoshi Oka
憲俊 岡
Tetsuo Shimizu
哲男 清水
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Daikin Industries Ltd
Original Assignee
Daikin Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 摺動性のほか耐熱性、撥水性に優れ、かつ非
粘着性、耐傷付き性、透明性、撥水性に優れた高硬度な
被膜が強固に基材に接着されている摺動性複合材を提供
する。 【解決手段】 ヒドロキシ基、カルボキシル基、カルボ
ン酸塩およびカルボキシエステル基のうちの少なくとも
1種を有している官能基含有含フッ素エチレン性単量体
と官能基を有さない含フッ素エチレン性単量体を共重合
してえられる官能基含有含フッ素エチレン性重合体
(A)の微粒子が、金属酸化物(B)層中に分散してい
る被膜を基材表面に有する摺動性複合材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特に摺動性に優
れ、さらに非粘着性、耐熱性、透明性(意匠性)、防汚
性および撥水撥油性など、ならびに基材への接着性およ
び硬度に優れた、含フッ素重合体の微粒子が金属酸化物
層中に分散している被膜を基材表面に有する摺動性複合
材に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から家電製品の分野において、たと
えばアイロンの加熱面などは使用時に衣服などに押しつ
けながら摺り動かして用いるため、低摩擦性や耐摩耗性
などのいわゆる摺動性が求められており、摺動性に優れ
た材料をそうした部位に使用することが要請されてい
る。
【0003】こうした要請に対し、たとえば、低摩擦性
などの摺動性、耐熱性、耐薬品性、耐蝕性、耐候性、非
粘着性、電気絶縁性などに優れている含フッ素重合体が
アイロン加熱面などに適用されている。しかし含フッ素
重合体はその優れた非粘着性に起因して金属表面との接
着性が充分ではなく、(1)接着剤を用いるか、(2)
基材表面にサンドブラストや電気化学的な方法でエッチ
ングを行ない、表面に凹凸を設け、投錨(アンカー)効
果で接着を行なう必要がある。
【0004】しかし、(1)のように接着剤を用いる方
法では、耐熱性があって、透明で高い接着力を有する接
着剤がないため、また、(2)のように基材表面に凹凸
を設ける方法では凹凸の生成により表面を著しく荒らす
ことになり、ガラス基材の透明性や金属系基材の金属光
沢などの色調を活かすことができないという意匠性の問
題がある。さらに、仮に、透明な接着剤が開発されたと
しても、摺動面などの表面の被膜を構成する含フッ素重
合体は柔らかいため、たとえば長時間使用中摩擦・摩耗
により被膜に傷がついて透明性や意匠性が低下したり、
また摩耗することにより含フッ素重合体本来の摺動性
(低摩擦性)、非粘着性や撥水性が低下したりする。
【0005】これらを解決する試みとして含フッ素重合
体からなる被膜にガラス系やアルミニウム系などの無機
充填材を添加して硬さを付与することが行なわれている
が、被膜がもろくなったり、透明性や意匠性などを低下
してしまうという問題があった。
【0006】また、雨天時などに車のウインドウガラス
やサイドミラーに付着した水滴をはじき、視界を良好に
することを目的として、ガラスに撥水性を付与する検討
が種々行なわれており、これらを摺動性(低摩擦性)を
求める分野で利用することが考えられる。
【0007】たとえば、特開平4−124047号公
報、特開平4−325446号公報、特開平5−248
85号公報には、ガラスなどの基材上にフルオロアルキ
ル基(Rf基)を含有するシラン化合物を塗布すること
が記載されている。また、特開平4−359086号公
報、特開平5−170486号公報、特開平5−213
633号公報には、フルオロアルキル基含有シラン化合
物またはフルオロアルキル基含有シラン化合物を混合し
た金属アルコキシドを酸などにより部分加水分解、重縮
合(ゾル化)させ、ガラス基材上に塗布し、焼成して撥
水性酸化被膜を形成(ゲル化)することが記載されてい
る。
【0008】しかし、これらの処理法でえられた撥水性
ガラスは、撥水性基が被膜の最表面に分布しやすく、摩
耗によって低摩擦性、非粘着性や撥水性が低下するとい
った問題がある。また、フルオロアルキル基含有シラン
化合物やその縮合体自体は、耐熱性が不充分で、長期間
にわたって使用すると劣化して低摩擦性、非粘着性や撥
水性能が維持できないという問題がある。
【0009】これに対し、撥水性成分として官能基を有
していない含フッ素樹脂粒子を用い、いわゆるゾル−ゲ
ル法でえられる金属酸化物層中に含フッ素樹脂粒子を分
散させることによって、充分な硬さを有し、かつ撥水性
の被膜およびそれを施した撥水ガラスが開示されてい
る。たとえば特開平5−51238号、特開平6−32
9442号、特開平6−340451号、特開平7−1
02207号、特開平7−157335号各公報などに
は、金属アルコキシド系化合物をアルコールなどの溶媒
中で加水分解および脱水縮合させたゾル溶液にポリテト
ラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサ
フルオロプロピレン共重合体、含フッ素アクリル樹脂な
どの撥水性を有する含フッ素樹脂粒子(粉末またはディ
スパージョン)を混合することによってコーティング液
を作製し、塗布し、焼成(ゲル化)することによって、
撥水性粒子がゾル−ゲル膜中に分布した撥水性被膜をガ
ラスなどの基材上に形成させることが記載されている。
【0010】しかし、これらの方法では耐熱性において
は改善が期待できるが、つぎのような問題がある。
【0011】ゾル溶液に含フッ素樹脂粒子を混合して
作製したコーティング液中の含フッ素樹脂粒子の分散安
定性がわるく、含フッ素樹脂粒子が沈降しやすく、塗布
後の被膜が白濁したり透明性が著しく低下する。
【0012】見た目ではコーティング液が分散してい
ても、塗布し、焼成工程で塗膜が濃縮されるにしたがっ
て分散安定性が不充分なため、含フッ素樹脂粒子が凝集
し、白濁したり透明性のわるい被膜となる。
【0013】そもそも金属酸化物と含フッ素樹脂粒子
との界面親和性は低いため、えられた被膜中の含フッ素
樹脂粒子の分散性がわるく、被膜自体が強度的にもろく
なり、耐摩耗性がわるい被膜となる。
【0014】えられた被膜中の金属酸化物と含フッ素
樹脂粒子との界面接着力が弱く、耐摩耗性試験で含フッ
素樹脂粒子の脱落が起き、低摩擦性、非粘着性や撥水性
が低下する。
【0015】つまり、従来のゾル−ゲル法によっても、
透明性に優れ、かつ耐熱性、撥水撥油性、耐傷付き性、
ならびに低摩擦性および耐摩耗性などの摺動性に優れた
被膜はえられていない。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】叙上の事実に鑑み、本
発明の目的は、基本的にはゾル−ゲル法を採用するが、
特定の官能基含有含フッ素重合体を用いることにより、
その微粒子が均一に分散している金属酸化物層からなる
被膜を基材表面に有する摺動性複合材を提供することに
ある。
【0017】さらに本発明の目的は、特に耐傷付き性、
透明性(意匠性)に優れ、充分な硬さをもつ摺動性複合
材を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明は、(a)ヒドロ
キシル基、カルボキシル基、カルボン酸塩、カルボキシ
エステル基およびエポキシ基よりなる群から選ばれた少
なくとも1種の官能基を有する官能基含有含フッ素エチ
レン性単量体の少なくとも1種の単量体0.05〜50
モル%と(b)前記の官能基を有さない含フッ素エチレ
ン性単量体の少なくとも1種の単量体50〜99.95
モル%とを共重合してなる官能基含有含フッ素エチレン
性重合体(A)の微粒子が金属酸化物(B)層中に分散
している被膜を基材表面に有する摺動性複合材に関す
る。
【0019】また本発明は、前記官能基含有含フッ素エ
チレン性単量体(a)が式(1): CX2=CX1−Rf−Y (1) (式中、Yは−CH2OH、−COOH、カルボン酸
塩、カルボキシエステル基またはエポキシ基、Xおよび
1は同じかまたは異なり水素原子またはフッ素原子、
fは炭素数1〜40の2価の含フッ素アルキレン基、
炭素数1〜40の含フッ素オキシアルキレン基、炭素数
1〜40のエーテル基を含む含フッ素アルキレン基また
は炭素数1〜40のエーテル結合を含む含フッ素オキシ
アルキレン基を表す)で示される少なくとも1種の官能
基含有含フッ素エチレン性単量体である前記摺動性複合
材に関する。
【0020】また本発明は、前記官能基を有さない含フ
ッ素エチレン性単量体(b)が、テトラフルオロエチレ
ンである前記摺動性複合材に関する。
【0021】また本発明は、前記官能基を有さない含フ
ッ素エチレン性単量体(b)が、テトラフルオロエチレ
ン85〜99.7モル%と式(2): CF2=CF−Rf 1 (2) (式中、Rf 1はCF3またはORf 2(Rf 2は炭素数1〜
5のパーフルオロアルキル基)で示される単量体0.3
〜15モル%との混合単量体である前記摺動性複合材に
関する。
【0022】また本発明は、前記金属酸化物(B)がケ
イ素の酸化物である前記摺動性複合材に関する。
【0023】また本発明は、前記金属酸化物(B)がア
ルミニウムの酸化物である前記摺動性複合材に関する。
【0024】また本発明は、前記金属酸化物(B)がチ
タニウムの酸化物である前記摺動性複合材に関する。
【0025】また本発明は、前記基材が金属系基材であ
る前記摺動性複合材に関する。
【0026】また本発明は、前記基材がガラス基材であ
る前記摺動性複合材に関する。
【0027】また本発明は、前記基材が合成樹脂基材で
ある前記摺動性複合材に関する。
【0028】また本発明は、前記基材が陶磁器である前
記摺動性複合材に関する。
【0029】
【発明の実施の形態】本発明者らは前記目的を達成する
ため検討を重ねた結果、摺動性を有し、撥水性、非粘着
性、耐傷付き性を改善した被膜をうることができ、さら
にそれらが各種基材への接着性に優れていることを見出
した。
【0030】本発明の摺動性複合材は、(a)ヒドロキ
シル基、カルボキシル基、カルボン酸塩、カルボキシエ
ステル基およびエポキシ基よりなる群から選ばれた少な
くとも1種の官能基を有する官能基含有含フッ素エチレ
ン性単量体の少なくとも1種の単量体0.05〜30モ
ル%と(b)前記の官能基を有さない含フッ素エチレン
性単量体の少なくとも1種の単量体70〜99.95モ
ル%とを共重合してなる官能基を有する含フッ素エチレ
ン性重合体(A)の微粒子がマトリックスである金属酸
化物(B)層中に分散してなる被膜を基材表面に形成し
たものである。
【0031】本発明の複合材をうるために用いる官能基
含有含フッ素重合体(A)は、前記(a)の官能基含有
含フッ素エチレン性単量体を用いて、前記の官能基を有
さない含フッ素エチレン性単量体(b)と共重合し、含
フッ素重合体に官能基を導入することが重要であり、そ
れによって従来の含フッ素重合体の接着が不充分または
不可能であったマトリックスである金属酸化物中での含
フッ素重合体の分散性、含フッ素重合体と金属酸化物の
界面接着性を改善し、被膜および該被膜を施した複合体
に優れた透明性、耐久性、耐傷付き性を与えうる。つま
り、官能基含有含フッ素重合体であっても、非フッ素系
の官能基含有単量体を共重合したものに比べ耐熱性に優
れており、高温(たとえば200〜400℃など)での
加工時の熱分解などがより少なく抑えられ、着色や発
泡、それによるピンホール、レベリング不良などのない
透明性、意匠性に優れた被膜を基材上に形成することが
できる。また、複合材を高温で使用するばあいも、着
色、白化、発泡、ピンホールなどの被膜の欠陥が生じに
くい。
【0032】また、前記官能基含有含フッ素重合体
(A)は、それ自体、耐熱性だけでなく、含フッ素重合
体がもつ低摩擦性、非粘着性、耐薬品性、防汚性、耐候
性、撥水撥油性などの優れた特性をも有しており、これ
らの優れた特性を低下させずに与えうる。
【0033】つぎに、まず本発明の摺動性複合材の材料
である官能基含有含フッ素エチレン性共重合体(A)に
ついて説明する。
【0034】官能基含有含フッ素エチレン性重合体
(A)の官能基は、ヒドロキシル基、カルボキシル基、
カルボン酸塩、カルボキシエステル基およびエポキシ基
から選ばれる少なくとも1種であり、官能基の効果によ
り含フッ素重合体(A)が金属酸化物(B)からなるマ
トリックス中に良好な分散性を与え、さらに含フッ素重
合体(A)と金属酸化物の間に良好な界面接着性、親和
性を与えうるものである。官能基の種類や組合せはマト
リックスである金属酸化物(B)の種類、目的や用途に
より適宜選択されるが、耐熱性の面でヒドロキシル基を
有するものが最も好ましい。
【0035】本発明に用いることができる官能基含有含
フッ素エチレン性重合体(A)は、具体的には(a)式
(1): CX2=CX1−Rf−Y (1) (式中、YはCH2OHまたはCOOHもしくはカルボ
ン酸塩もしくはカルボキシエステル基、XおよびX1
同じかまたは異なりいずれも水素原子またはフッ素原
子、Rfは炭素数1〜40の2価の含フッ素アルキレン
基または炭素数1〜40のエーテル結合を含有している
2価の含フッ素アルキレン基を表わす)で示される少な
くとも1種の官能基含有含フッ素エチレン性単量体0.
05〜50モル%と(b)該官能基含有含フッ素エチレ
ン性単量体(a)と共重合可能な少なくとも1種の含フ
ッ素エチレン性単量体50〜99.95モル%を共重合
してえられる官能基含有含フッ素エチレン性重合体があ
げられ、耐熱性、撥水性の点で優れている。
【0036】官能基含有含フッ素エチレン性単量体
(a)は、具体的には式(3): CF2=CF−Rf 3−Y (3) [式中、Yは式(1)のYと同じ、Rf 3は炭素数1〜4
0の2価の含フッ素アルキレン基またはORf 4(Rf 4
炭素数1〜40の2価の含フッ素アルキレン基または炭
素数1〜40のエーテル結合を含む2価の含フッ素アル
キレン基)を表わす]、式(4): CF2=CFCF2−ORf 5−Y (4) [式中、Yは式(1)のYと同じ、Rf 5は炭素数1〜3
9の2価の含フッ素アルキレン基または炭素数1〜39
のエーテル結合を含む2価の含フッ素アルキレン基を表
わす]、式(5): CH2=CFCF2−Rf 6−Y (5) [式中、Yは式(1)のYと同じ、Rf 6は炭素数1〜3
9の2価の含フッ素アルキレン基、またはORf 7(Rf 7
は炭素数1〜39の2価の含フッ素アルキレン基または
炭素数1〜39のエーテル結合を含む2価の含フッ素ア
ルキレン基)を表わす]または式(6): CH2=CH−Rf 8−Y (6) [式中、Yは式(1)のYと同じ、Rf 8は炭素数1〜4
0の2価の含フッ素アルキレン基]で示される単量体な
どがあげられる。
【0037】式(3)〜式(6)で示される官能基含有
含フッ素エチレン性単量体が、含フッ素エチレン性単量
体(b)との共重合性が比較的良好な点で、また、共重
合してえられた共重合体の耐熱性、撥水性を著しく低下
させない理由で好ましい。
【0038】これらのなかでも、他の含フッ素エチレン
性単量体との共重合性や、えられた共重合体の耐熱性の
面より式(3)、式(5)で示される単量体が好まし
く、特に式(2)で示される単量体が好ましい。
【0039】式(3)で示される官能基含有含フッ素エ
チレン性単量体はさらに詳しくは
【0040】
【化1】
【0041】などが例示される。
【0042】式(4)で示される官能基含有含フッ素エ
チレン性単量体としては、
【0043】
【化2】
【0044】などが例示される。
【0045】式(5)で示される官能基含有含フッ素エ
チレン性単量体としては、
【0046】
【化3】
【0047】などが例示される。
【0048】式(6)で示される官能基含有含フッ素エ
チレン性単量体としては、
【0049】
【化4】
【0050】などが例示される。
【0051】その他の単量体としては、
【0052】
【化5】
【0053】などもあげられる。
【0054】官能基含有含フッ素エチレン性単量体
(a)と共重合可能なエチレン性単量体は、既知の単量
体より適宜選択することができるが、摺動性(低摩擦
性、耐摩擦性)のほか耐熱性、撥水性、耐薬品性を共重
合体に与えるためには、含フッ素エチレン性単量体
(b)から選ばれる。
【0055】具体的な含フッ素エチレン性単量体として
は、テトラフルオロエチレン、式(2): CF2=CF−Rf 1 (2) [式中、Rf 1はCF3またはORf 2(Rf 2は炭素数1〜
5のパーフルオロアルキル基)を表わす]、ヘキサフル
オロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン、ビニリ
デンフルオライド、フッ化ビニル、パーフルオロ(アル
キルビニルエーテル)類、ヘキサフルオロイソブテン、
【0056】
【化6】
【0057】(式中、X2はともに水素原子、フッ素原
子、塩素原子から選ばれる、nはともに1〜5の整数)
などがあげられる。
【0058】また、官能基含有フッ素エチレン性単量体
(a)と前記含フッ素エチレン性単量体(b)に加え
て、摺動性や耐熱性、撥水性を低下させない範囲でフッ
素原子を有さないエチレン性単量体を共重合してもよ
い。そのばあいフッ素原子を有さないエチレン性単量体
は、摺動性、耐熱性、撥水性を低下させないためにも炭
素数5以下のエチレン性単量体から選ばれることが好ま
しく、具体的にはエチレン、プロピレン、1−ブテン、
2−ブテンなどがあげられる。
【0059】本発明における被膜において、官能基含有
含フッ素エチレン性重合体(A)中の官能基含有含フッ
素エチレン性単量体(a)の含有率は、金属酸化物
(B)の種類、官能基含有含フッ素エチレン性重合体
(A)と金属酸化物(B)との組成比率、固形分濃度、
さらに目的や用途によって適宜選択されうるが、好まし
くは0.05〜50モル%、さらに好ましくは0.1〜
20モル%、特に好ましくは0.1〜10モル%であ
る。
【0060】前記官能基含有含フッ素エチレン性単量体
(a)の含有率が、0.05%未満であると、被膜中で
の分散が不均一となり、被膜が白化したりする。また、
被膜中の金属酸化物と被膜中に分散している官能基含有
含フッ素エチレン性重合体(A)との界面接着性が不充
分となり、摩擦などにより官能基含有含フッ素エチレン
性重合体(A)が脱落し、低摩擦性、非粘着性や撥水性
などを低下させることがある。
【0061】逆に、前記官能基含有含フッ素エチレン性
単量体(a)の含有率が、50モル%を超えると、官能
基含有含フッ素エチレン性重合体(A)が有している本
来の摺動性、撥水性が失われたり、耐熱性が低下し、高
温での焼成時に、熱分解し、着色、発泡、ピンホールな
どの塗膜不良や撥水性能の低下などをおこしやすい。
【0062】本発明で用いる摺動性を付与する官能基含
有含フッ素エチレン性重合体(A)の好ましいものを他
の特性と共につぎに例示する。
【0063】(I)官能基含有含フッ素エチレン性単量
体(a)0.05〜50モル%とテトラフルオロエチレ
ン50〜99.95モル%との重合体(I)(反応性P
TFE)。
【0064】この重合体は耐熱性、耐薬品性に最も優
れ、さらに低摩擦性に優れている。
【0065】(II)官能基含有含フッ素エチレン性単量
体(a)を単量体の全量に対して0.05〜50モル%
含み、さらに該単量体(a)を除く単量体の全量に対し
て、テトラフルオロエチレン85〜99.7モル%と前
記式(2): CF2=CF−Rf 1 (2) [Rf 1はCF3、ORf 2(Rf 2は炭素数1〜5のパーフ
ルオロアルキル基)から選ばれる]で示される単量体
0.3〜15モル%との重合体(II)。たとえば官能基
を有するテトラフルオロエチレン−パーフルオロ(アル
キルビニルエーテル)共重合体(反応性PFA)または
官能基を有するテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオ
ロプロピレン重合体(反応性FEP)。
【0066】この重合体は耐熱性、耐薬品性に優れ、撥
水性が良好である。
【0067】(III)官能基含有含フッ素エチレン性単
量体(a)を単量体の全量に対して0.05〜50モル
%含み、さらに該単量体(a)を除く単量体の全量に対
して、テトラフルオロエチレン40〜80モル%、エチ
レン20〜60モル%、その他の共重合可能な前記単量
体0〜15モル%との重合体(官能基を有するエチレン
−テトラフルオロエチレン重合体(III)(反応性ET
FE))。
【0068】この重合体は防汚性に優れ、さらに透明
性、機械的特性に優れている。
【0069】またこれらの具体例としてあげた官能基含
有含フッ素エチレン性重合体は、200℃以上の高い融
点をもち、官能基含有含フッ素エチレン性重合体(A)
の微粒子が分散されてなる、官能基含有含フッ素エチレ
ン性重合体(A)と金属酸化物(B)からなる被膜を作
製する際、高温での焼成においても溶融せず、被膜中で
微粒子の形態を保持することができることから好まし
い。
【0070】本発明に用いることができる官能基含有含
フッ素エチレン性重合体(A)は、前述の官能基含有含
フッ素エチレン性単量体(a)と、エチレン性単量体
(b)を周知の重合方法で共重合することによってうる
ことができる。その中でも主としてラジカル共重合によ
る方法が用いられる。すなわち重合を開始するには、ラ
ジカル的に進行するものであれば手段は何ら制限されな
いが、たとえば有機、無機ラジカル重合開始剤、熱、光
あるいは電離放射線などによって開始される。重合の種
類も溶液重合、バルク重合、懸濁重合、乳化重合などを
用いることができる。また、分子量は、重合に用いるモ
ノマーの濃度、重合開始剤の濃度、連鎖移動剤の濃度、
温度によって制御される。生成する共重合体の組成は、
仕込みモノマーの組成によって制御可能である。
【0071】本発明において被膜のマトリックスを形成
するることができる金属酸化物(B)は、たとえば金属
の有機化合物や金属の無機化合物を出発原料とし、後述
する被覆組成物中の溶剤(C)により加水分解、重縮合
によってえられるものなどが好ましい。
【0072】このようにしてえられる金属酸化物(B)
としては、目的や用途により種々のものを用いることが
できるが、たとえば元素周期表における Ia族:Li、Na、 Ib族:Cu、 IIa族:Ca、Sr、Ba、 IIb族:Zn、 IIIa族:Y、 IIIb族:B、Al、Ga、 IVa族:Ti、Zr、 IVb族:Si、Ge、 Va族:V、Ta、 Vb族:P、Sb、 VIa族:W、 ランタニド族:La、Nd などの金属(M)の酸化物があげられ、また、2価以上
の金属であって、アルキル基、含フッ素アルキル基、ア
ミノ基やエポキシ基、ヒドロキシル基などの官能基を有
しているアルキレン基などの有機基(R)が金属(M)
に直接結合した金属酸化物(R−MO)も用いることが
できる。より具体的な金属酸化物(B)としては、後記
するものがあげられる。
【0073】前記金属(M)は、目的、用途により種々
選択できるが、透明で硬度が高く、耐久性に富んだ被膜
を形成できる点からSi、Al、TiまたはZrから選
ばれるものが特に好ましい。
【0074】本発明における基材表面上の被膜中の官能
基含有含フッ素エチレン性重合体(A)と金属酸化物
(B)の割合(体積比)は、(A)/(B)が1〜85
/99〜15、特に透明性、被膜強度の点から5〜75
/25〜95であるのが好ましい。該重合体(A)が多
すぎると被膜の透明性が低下したり被膜がもろくなった
りする。逆に少なすぎると低摩擦性、撥水性、非粘着
性、防汚性といったフッ素樹脂本来の優れた性能が低下
する。
【0075】本発明における被膜を形成することのでき
る基材としては、金属系基材、セラミックス系基材、樹
脂系基材があげられる。
【0076】金属系基材の金属には金属および2種以上
の金属による合金類、金属酸化物、金属水酸化物、炭酸
塩、硫酸塩などの金属塩類も含まれる。そのなかでも金
属および金属酸化物、合金類が接着性においてより好ま
しい。
【0077】金属系基材の具体例としては、アルミニウ
ム、鉄、ニッケル、チタン、モリブテン、マグネシウ
ム、マンガン、銅、銀、鉛、スズ、クロム、ベリリウ
ム、タングステン、コバルトなど金属や金属化合物およ
びこれらの2種以上からなる合金類などがあげられる。
【0078】合金類の具体例としては炭素鋼、Ni鋼、
Cr鋼、Ni−Cr鋼、Cr−Mo鋼、ステンレス鋼、
ケイ素鋼、パーマロイなどの合金鋼、Al−Cl、Al
−Mg、Al−Si、Al−Cu−Ni−Mg、Al−
Si−Cu−Ni−Mgなどのアルミニウム合金、黄
銅、青銅(ブロンズ)、ケイ素青銅、ケイ素黄銅、洋
白、ニッケル青銅などの銅合金、ニッケルマンガン(D
ニッケル)、ニッケル−アルミニウム(Zニッケル)、
ニッケル−ケイ素、モネルメタル、コンスタンタン、ニ
クロムインコネル、ハステロイなどのニッケル合金など
があげられる。
【0079】さらにアルミニウム系金属については、純
アルミニウム、アルミニウムの酸化物、Al−Cu系、
Al−Si系、Al−Mg系およびAl−Cu−Ni−
Mg系、Al−Si−Cu−Ni−Mg系合金、高力ア
ルミニウム合金、耐食アルミニウム合金などの鋳造用ま
たは展伸用のアルミニウム合金を用いることができる。
【0080】さらにまた鉄系金属としては、純鉄、酸化
鉄、炭素鋼、Ni鋼、Cr鋼、Ni−Cr鋼、Cr−M
o鋼、Ni−Cr−Mo鋼、ステンレス鋼、ケイ素鋼、
パーマロイ、不感磁性鋼、磁石鋼、鋳鉄類などを用いる
ことができる。
【0081】また、金属の腐食防止などを目的として、
金属表面に電気メッキ、溶融メッキ、クロマイジング、
シリコナイジング、カロライジング、シェラダイジン
グ、溶射などを施して他の金属を被膜したり、リン酸塩
処理によりリン酸塩被膜を形成させたり、陽極酸化や加
熱酸化により金属酸化物を形成させたり、電気化学的防
食を施した基材へも接着できる。
【0082】さらに、接着性をさらに向上させることを
目的として、金属基材表面をリン酸塩、硫酸、クロム
酸、シュウ酸などによる化成処理を施したり、サンドブ
ラスト、ショットブラスト、グリットブラスト、ホーニ
ンク、ペーパースクラッチ、ワイヤースクラッチ、ヘア
ーライン処理などの表面粗面化処理を施してもよく、意
匠性を目的として、金属表面に、着色、印刷、エッチン
グなどを施してもよい。
【0083】また、さらに上記アルミニウムまたはアル
ミニウム合金系基材のばあい、その表面に防食、表面硬
化、接着性の向上などを目的に、苛性ソーダ、シュウ
酸、硫酸、クロム酸を用いた陽極酸化を行なって酸化皮
膜を形成させたもの(アルマイト)や、その他前述の表
面処理を施したものも用いることもできる。
【0084】さらに前述と同様に、表面に他の金属をメ
ッキしたもの、たとえば溶融亜鉛メッキ鋼板、合金化溶
融亜鉛メッキ鋼板、アルミニウムメッキ鋼板、亜鉛ニッ
ケルメッキ鋼板、亜鉛アルミニウム鋼板など、浸透法、
溶射法により他の金属を被膜したもの、クロム酸系やリ
ン酸系の化成処理または加熱処理により酸化被膜を形成
させたもの、電気的防食法を施したもの(たとえばガル
バニック鋼板)などでもよい。
【0085】セラミックス系基材としては、たとえばガ
ラス類、陶磁器などがあげられる。
【0086】ガラス類は特に組成は限定されず、石英ガ
ラス、鉛ガラス、アルカリガラス、無アルカリガラスな
どがあげられる。
【0087】樹脂系基材としては、たとえばアクリル樹
脂、ポリカーボネート、人工大理石、耐熱エンジニアリ
ングプラスチック、熱硬化性樹脂などがあげられる。
【0088】本発明の摺動性複合材の基材としては、前
記の基材のすべてが採用できるが、特に多く使用される
ものとしては、たとえば金属系基材として 冷延鋼板、 メッキ鋼板、たとえば、Znメッキ鋼板あるいはZn
合金メッキ鋼板、Alメッキ鋼板あるいはAl合金メッ
キ鋼板、Crメッキ鋼板(TFS)、Niメッキ鋼板、
Cuメッキ鋼板、ガルバニウム鋼板など、 アルミニウム板、 チタン板、 ステンレス板、 などのものがあげられる。
【0089】そのほか、透明性が要求される部分にセラ
ミックス系基材のガラス類、樹脂系基材のアクリル樹脂
やポリカーボネートなどが通常使用されている。
【0090】前記金属酸化物被膜の膜厚は、適用する機
器や器具の種類や部位により異なるが、0.01〜10
0μmであり、好ましくは0.01〜50μmであり、
特に好ましくは0.02〜20μmである。
【0091】本発明における被膜は、いわゆるゾル−ゲ
ル法で作製した金属酸化物被膜であって、前記官能基含
有含フッ素エチレン性重合体(A)の微粒子と前記金属
酸化物(B)の前駆体である金属酸化物ゾル(B−1)
(ゲル化前の低分子縮合体)と溶剤(C)とからなる被
覆用組成物を基材に適用することにより形成できる。
【0092】この被覆用組成物に用いることができる溶
剤(C)は、種々のものがあげられるが、金属酸化物ゾ
ル(B−1)を均質に調製することができる点から、メ
タノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノー
ル、ブタノール、イソブタノールなどのアルコール類、
また加水分解を促進するための水などから選ばれるもの
が主として用いられる。
【0093】なお、これらの溶剤(C)に不溶な金属化
合物を金属酸化物ゾル(B−1)(つまり金属酸化物被
膜)の出発原料として用いるばあい、エチレングリコー
ル、プロピレングリコール、トリエタノールアミン、キ
シレンなどを用いてもよい。また、被膜のき裂などを防
ぐためなどにホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジ
オキサン、シュウ酸などを使用してもよい。
【0094】かかる被覆用組成物において、官能基含有
含フッ素エチレン性重合体(A)、金属酸化物ゾル(B
−1)、溶剤(C)の各成分の組成比率は、調理機器の
種類や部位により適宜選択されうるが、官能基含有含フ
ッ素エチレン性重合体(A)と金属酸化物ゾル(B−
1)の合計量に対し、該重合体(A)1〜85容量%、
金属酸化物ゾル(B−1)15〜99容量%であり、該
重合体(A)5〜75容量%、金属酸化物ゾル(B−
1)25〜95容量%であることがさらに好ましい。
【0095】また、組成物全体に占める官能基含有含フ
ッ素エチレン性重合体(A)と金属酸化物の合計量は、
0.1〜70重量%であり、好ましくは0.5〜50重
量%である。
【0096】本発明に用いる被覆用組成物において、官
能基含有含フッ素エチレン性重合体(A)は、微粒子で
あることが好ましく、塗布後の金属酸化物被膜中に微粒
子の形態で、分散しており、特に摺動性、撥水性に優れ
た被膜を与えることができる。
【0097】官能基含有含フッ素エチレン性重合体
(A)の微粒子の平均粒子径は、0.01〜1.0μm
程度であり、好ましくは0.6μm以下であり、この範
囲内において特に透明性を必要とするばあい0.4μm
以下であることが好ましく、また、被覆用組成物の分散
安定性、貯蔵安定性、さらに被膜の透明性を必要とする
ばあい0.2μm以下であることがもっとも好ましい。
【0098】これらの官能基含有含フッ素エチレン性重
合体(A)の微粒子は、種々の方法で製造されるが、粒
子径を細かく、また均一に制御できることから、乳化重
合法によって製造することが好ましい。このばあい、乳
化重合によってえられた官能基含有含フッ素エチレン性
重合体(A)の水性ディスパージョンを、予め作製して
おいた金属酸化物ゾル(B−1)の溶液に直接混合する
か、または官能基含有含フッ素エチレン性重合体(A)
の水性ディスパージョンを含む溶剤中で出発原料の金属
化合物の加水分解、重縮合を行なうことにより、被覆用
組成物をうることができる。
【0099】なお、被覆用組成物には、たとえば界面活
性剤、顔料、染料、増粘剤などの添加剤を加えてもよ
い。
【0100】本発明において基材上に形成される被膜
は、前記官能基含有含フッ素エチレン性重合体(A)の
微粒子および金属酸化物ゾル(B−1)を含む被覆用組
成物(ゾル溶液)を、ガラスや金属などの基材に塗布
し、焼成(ゲル化)すること(すなわち、ゾル−ゲル
法)により、金属酸化物ゾル(B−1)の重縮合がさら
に進み、硬質で高強度の金属酸化物(B)の被膜が形成
され、その被膜中に含フッ素共重合体(A)が粒子状で
均一に分散した金属酸化物被膜となったものである。
【0101】本発明の金属酸化物被膜は、官能基含有含
フッ素エチレン性重合体(A)の微粒子が該被膜内部ま
で均一に分布しているため、該被膜表面が摩耗され、削
れたとしても、該被膜内部までフッ素樹脂の優れた摺動
性、撥水性などを発揮し、この特性が低下しないもので
ある。
【0102】前記焼成は、前記金属酸化物被膜中に粒子
状で均一に分散させるために、官能基含有含フッ素エチ
レン性重合体(A)の融点以下で行なうことが好まし
い。しかしながら、溶融粘度が高く溶融しないもの(た
とえばPTFEなど)を微粒子として用いるばあい、官
能基含有含フッ素エチレン性重合体(A)の分解温度を
超えない限り、融点以上でも焼成することができる。
【0103】かかる金属酸化物被膜は、たとえば金属ア
ルコキシド、金属アセチルアセテート、金属カルボキシ
レート、金属硝酸塩、金属塩化物よりなる群から選ばれ
た少なくとも1種を出発原料とし、加水分解および縮合
反応によりえられる金属酸化物ゾル(B−1)と乳化重
合法によりえられる前記官能基含有含フッ素エチレン性
重合体(A)の微粒子を含む水性ディスパージョンを用
いることによって製造でき、(1)該金属酸化物(B)
ゾルと該水性ディスパージョンを混合してコーティング
液を調製するコーティング液調製工程、(2)該コーテ
ィング液を基板に塗布して塗膜を形成する塗膜形成工程
および(3)該塗膜を焼成して該官能基含有含フッ素エ
チレン性重合体(A)の微粒子が分散してなる被膜を形
成する被膜形成工程をへる被膜の製法によりうることが
できる。
【0104】(金属酸化物ゾル溶液の調製)前記金属酸
化物ゾルは、相当する金属アルコキシド、金属アセチル
アセテート、金属カルボキシレート、金属硝酸塩、金属
塩化物またはこれらのうちの2種以上の加水分解、重縮
合により調製することができる。
【0105】これらのうちでも金属アルコキシドが、反
応性に富み、加水分解と重縮合反応を受けて、金属−酸
素結合を有している重合体(金属酸化物)を生成しやす
いため好ましい。
【0106】適当な金属アルコキシドがないばあい、す
なわち、合成が困難であったり、金属アルコキシドが一
般的に使用する水、アルコールなどの溶剤に不溶なばあ
い(たとえば銅のアルコキシドなど)、金属アセチルア
セテートや金属酢酸塩などのカルボン酸塩、オキシ酸塩
などを使用することができる。
【0107】さらに適当な金属アルコキシドやその他の
有機金属化合物がないばあい、金属硝酸塩や金属塩化
物、金属酸化物などの無機金属化合物を用いることがで
きる。
【0108】金属アルコキシドは、M(OR)n(式
中、Mは金属、Rはアルキル、nは該金属の原子価に相
当する数値である)で示される化合物であり、一般に金
属Mは、最終的にえられる相当する金属酸化物を含む被
膜の目的、用途により適宜選択することができ、アルキ
ル基Rは、溶剤に可溶であるかないか、加水分解反応
性、重縮合反応性などを左右するため、これらのことを
考慮して目的に応じて選択することができる。
【0109】金属アルコキシドは、具体的にはLiOC
3、NaOCH3、Cu(OCH32、Ca(OC
32、Sr(OC252、Ba(OC252、Zn
(OC262、Y(OC493、B(OCH33、A
l(OCH33、Al(OC253、Al(iso−OC
373、Al(OC493、Ga(OC253、T
i(OCH34、Ti(OC254、Ti(iso−OC
374、Ti(OC494、Zr(OCH34、Zr
(OC254、Zr(OC374、Zr(OC49
4、Si(OCH34、Si(OC254、Si(iso
−OC374、Si(t−OC494、Ge(OC2
54、Pb(OC494、P(OCH33、Sb
(OC253、VO(OC253、Ta(OC37
5、W(OC256、La(OC373、Nb(OC2
53、La[Al(iso−OC3743、Mg[A
l(iso−OC3742、Mg[Al(sec−OC
4942、Ni[Al(iso−OC3742、(C3
7O)2Zr[Al(OC3742、Ba[Zr
2(OC2592などがあげられる。
【0110】さらに金属アルコキシドとしては、金属に
アルコキシル基のみが結合した化合物のみならず、アル
コキシル基の一部をメチル基、エチル基などのアルキル
基で置換した化合物、含フッ素アルキル基で置換した化
合物、アミノ基、エポキシ基、ヒドロキシル基、メルカ
プト基などの官能基を有しているアルキレン基で置換し
た化合物も用いることができる。
【0111】これらの具体例として、
【0112】
【化7】
【0113】などがあげられる。
【0114】その他、有機金属化合物としては、金属ア
セチルアセトネートたとえばZr(COCH2
34、In(COCH2COCH33、Zn(COC
2COCH32、金属カルボキシレートたとえばPb
(CH3COO)2、Y(C1735COO)3、Ba(H
COO)2などがあげられる。
【0115】また、無機金属化合物としては、金属硝酸
塩たとえばY(NO33・6H2O、Ni(NO32
3H2O、金属オキシ塩化物たとえばZrOCl2、Al
OCl、金属塩化物たとえばTiCl4などがあげられ
る。また、フュームドシリカなどの金属酸化物を用い
て、再びゾル化して、ゾル−ゲル法を適用することもで
きる。
【0116】金属酸化物ゾル溶液の調製は、まず目的の
金属酸化物の金属に相当する金属化合物を前記にあげた
化合物のうちから選択し、アルコール系の溶剤に溶解す
る。このばあい、金属化合物は前記溶剤に均一に溶解す
ることが望ましく、溶解する金属化合物を選択すること
が好ましい。
【0117】この金属化合物溶液に、水および酸または
アルカリを触媒として加えることにより、加水分解、重
縮合がおこり、金属酸化物の粒子が生成し、金属酸化物
ゾル(B−1)の溶液がえられる。
【0118】前記触媒としての酸は、たとえば塩酸、硫
酸、硝酸、酢酸、フッ酸などが一般的に用いられ、前記
触媒としてのアルカリは、たとえば処理後揮発によって
除去できるアンモニアが好ましく用いられる。
【0119】金属酸化物ゾル溶液を調製するときの反応
温度は、金属の種類、用いる金属化合物の種類、目標と
するゾルの重合度などによって異なるが、一般的に室温
〜100℃、好ましくは室温〜80℃程度であり、固形
分含量は0.5〜50重量%であることが好ましい。
【0120】また、ばあいによっては、水や触媒を加え
ないで、空気中の水分で除々に加水分解、重縮合させ、
金属酸化物ゾル(B−1)を調製することも可能であ
る。
【0121】(官能基含有含フッ素エチレン性重合体水
性ディスパージョンの調製)金属酸化物ゾル(B−1)
と混合する官能基含有含フッ素エチレン性重合体(A)
の微粒子は、種々の方法で製造できる。
【0122】具体的には、(イ)懸濁重合法などでえら
れた官能基含有含フッ素エチレン性重合体(A)の粉末
を微粉砕し、金属酸化物ゾル(B−1)溶液へ、界面活
性剤などとともに加えて均一に混合する方法(このばあ
い、ディスパージョンと同時に後記コーティン液ができ
る)、(ロ)乳化重合法により重合と同時に官能基含有
含フッ素エチレン性重合体の水性ディスパージョンを製
造する(このばあい、直接、金属酸化物ゾル(B−1)
溶液と混合することができる)方法などがあげられる
が、生産性や品質面(小粒径化や、均一粒径化)から、
乳化重合法により水性ディスパージョンを調製し、水性
ディスパージョンの状態で直接、金属酸化物ゾル(B−
1)溶液に混合することが好ましい。混合する官能基含
有含フッ素エチレン性重合体(A)の微粒子の水性ディ
スパージョンは、通常1〜70重量%の固形分含量を有
し、好ましくは5〜50重量%である。
【0123】(コーティング液の調製工程)官能基含有
含フッ素エチレン性重合体(A)の微粒子を含む金属酸
化物ゾル(B−1)溶液(コーティング液)を調製する
方法として、(ハ)官能基含有含フッ素エチレン性重合
体(A)の微粒子を含む水性ディスパージョンを含むア
ルコール溶液中で金属化合物を加水分解および重縮合さ
せ、金属酸化物ゾル(B−1)を形成し、コーティング
液を調製する方法、(ニ)予め加水分解、重縮合により
調製した金属酸化物ゾル(B−1)溶液と官能基含有含
フッ素エチレン性重合体(A)の微粒子を含む水性ディ
スパージョンを混合し、コーティング液を調製する方法
のいずれかを採用することができる。
【0124】本発明者らは、前記官能基含有含フッ素エ
チレン性重合体(A)の微粒子を含むディスパージョン
は、この重合体が有している官能基の効果により、アル
コール系や他の非水系溶剤に対し、高い分散安定性を有
し、前記いずれかの方法によるコーティング液の調製工
程においても、微粒子の沈降や凝析などを起こさないこ
とを見出している。また、塗布に先立ち、目標の膜厚、
基材の種類や形状により、コーティング液の固形分濃度
を調整したり、増粘剤の添加などによるコーティング液
の粘度の調整を行なってもよい。
【0125】(塗布工程)対象とする摺動性を要求する
機器の種類や部位に応じて、前記基材に塗布する。焼成
すると加工が難しいので、基材は最終製品の形状とする
のが好ましい。
【0126】塗布法としては、ディッピング、スピンコ
ート、スプレー、ハケ塗り、ロールコートなど公知の塗
布法が採用できる。
【0127】(焼成工程)塗膜を焼成して官能基含有含
フッ素エチレン性重合体(A)の微粒子が分散してなる
被膜を基材表面に形成する。通常、焼成に先立って水や
溶剤を除去する乾燥工程が行なわれる。乾燥は、通常室
温〜100℃、好ましくは室温〜80℃程度で行なう。
【0128】焼成は、目的、用途、官能基含有含フッ素
エチレン性重合体(A)の種類によって異なるが、10
0℃以上、官能基含有含フッ素エチレン性重合体(A)
の分解温度未満、好ましくは150℃以上、官能基含有
含フッ素エチレン性重合体(A)の融点未満で行なわれ
る。100℃以下で行なうと、金属酸化物の縮重合(ゲ
ル化)が充分に進行しないため、架橋が不充分であり、
高硬度、高強度の被膜がえられにくい。
【0129】また、官能基含有含フッ素エチレン性重合
体(A)の分解温度を超えると、発泡や着色のみでな
く、撥水性などのフッ素樹脂の優れた特性が失なわれ
る。
【0130】また、金属酸化物(B)と官能基含有含フ
ッ素エチレン性重合体(A)の微粒子からなる被膜中
に、官能基含有含フッ素エチレン性重合体(A)を粒子
状で分散させるために、焼成は官能基含有含フッ素エチ
レン性重合体(A)の融点以下で行なうことが好まし
い。しかしながら、溶融粘度が高く、溶融しないもの
(たとえばPTFEなどのようなもの)を微粒子として
用いるばあい、官能基含有含フッ素エチレン性重合体
(A)の分解温度を超えない限り、融点以上でも焼成す
ることができる。
【0131】かくして本発明の摺動性複合材を製造する
ことができる。
【0132】なお、摺動性複合材はさらに撥水性が要求
されることが多く、そのため官能基含有含フッ素エチレ
ン性重合体(A)の微粒子として、官能基含有含フッ素
エチレン性重合体(A)自体の対水接触角が80度以
上、特に95度以上のものを含む撥水性を併せもつ被覆
用組成物を用いるのが好ましい。また、金属酸化物
(B)と官能基含有含フッ素エチレン性重合体(A)の
撥水性微粒子からなる被膜中で、該撥水性微粒子の形状
を保持するためには、高温での焼成工程において、熱分
解や溶融しない含フッ素共重合体が好ましく、詳しくは
融点が150℃以上、好ましくは200℃以上、特に好
ましくは250℃以上のものが用いられる。
【0133】特に低摩擦性、非粘着性、撥水性に優れた
被膜を与える官能基含有含フッ素エチレン性重合体
(A)としては、具体的には前述のいわゆる反応性PT
FE、反応性PFA、反応性FEPなどが好ましくあげ
られる。
【0134】また、これらの官能基含有含フッ素エチレ
ン性重合体(A)中の官能基の含有率は、0.1〜10
モル%であることが特に好ましい。
【0135】前述のようにしてえられる本発明の複合材
は、第1に優れた摺動性を長期間維持できることから、
第2に官能基含有含フッ素エチレン性重合体(A)の微
粒子が良好な界面接着性をもって金属酸化物(B)から
なる被膜中で均一に分散し該被膜が充分な硬さ、透明性
および接着性を有することから、第3に官能基含有含フ
ッ素エチレン性重合体(A)の微粒子(B)からなる被
膜が良好な耐熱性、耐傷付き性、防汚性、撥水性および
抗菌性などを有することから、各種機器や器具などに用
いることができる。
【0136】本発明の摺動性複合材を用いることのでき
る好適な機器や器具およびその部分を以下に具体的に分
野別に列挙するが、これらのみに限られるものではな
い。
【0137】[1]OA関連機器 OA関連機器は紙を送る際に接触する部分など、耐摩耗
性や低摩耗性など優れた摺動性が求められる部分も多
い。以下、摺動性のほかに奏される効果に触れつつそれ
らの代表例をあげるが、これらのみに限られるものでは
ない。
【0138】(1)電子複写機、ファクシミリ 紙に接触して該紙を送るための部分の材料として好適で
ある。たとえばつぎのものがあげられる。
【0139】分離爪および定着軸受け(表面) 基材:耐熱性樹脂(たとえばポリフェニレンサルファイ
ト、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリオキ
シメチレン(POM)またはポリエーテルエーテルケト
ン(PEEK)など)からなるもの 官能基含有含フッ素重合体:反応性PTFEまたは反応
性PFAもしくはFEP 適用形態:塗料 この複合材を用いると、トナー非粘着性、耐摩耗性、紙
送り性に優れ、ロールを傷付けにくい分離爪および低摩
擦性、耐摩耗性、耐熱性に優れた定着軸受けをうること
ができ、官能基含有含フッ素重合体が接着性に接着性に
優れることからプライマー層を必要とせず製造加工性に
も優れる。
【0140】排紙コロおよび排紙ガイド 基材:樹脂(たとえばポリエーテルサルファイト、ポリ
アミドイミド、ポリエーテルイミド、POMまたはPE
EKなど)からなるもの 官能基含有含フッ素重合体:反応性PTFEまたは反応
性PFAもしくはFEP 適用形態:塗料 本発明の複合材を用いると、トナー非粘着性、耐摩耗性
に優れる排紙コロおよび排紙ガイドをうることができ、
官能基含有含フッ素重合体が接着性に優れるためにプラ
イマー層を必要とせず製造加工性にも優れる。
【0141】[2]家電製品 家電製品についても耐摩耗性などを含む摺動性が要求さ
れる部位(部品)などがある。以下、各家電製品につい
て、摺動性に加えて奏される効果に触れつつ例示する。
したがって本発明はこれら部品および家電製品にも関す
る。
【0142】アイロン 適用箇所:加熱面 基材:SUS、鋼板 官能基含有含フッ素重合体:反応性PTFE、反応性P
FA、FEP 適用形態:塗料 これらにおいては、本発明の複合材のもつ耐熱性、加工
性、意匠性を特に効果的に利用することができる。
【0143】[3]住宅設備機器 住宅設備機器についても、使用時の取扱い易さなどの要
請により、耐摩耗性、低摩耗性を含む摺動性が要求され
る部位(部品)などがある。以下、それら住宅設備機器
およびその部位について、摺動性に加えて奏される効果
に触れつつ例示する。したがって本発明はこれら住宅設
備機器およびその部位(部品)にも関する。
【0144】エスカレーター 適用箇所:スカート部の表面(巻き込み防止) 基材:SUS、鋼板 官能基含有含フッ素重合体:反応性PTFE、反応性P
FA、FEP 適用形態:塗料 これらにおいては、本発明の複合材のもつ加工性、意匠
性、耐候性を特に効果的に利用することができる。
【0145】[4]自動車 自動車用のエンジン、ギアなどの耐熱、耐薬品性を必要
とする部位(部品)が数多くある。
【0146】ロータリーエンジン 適用箇所:内壁 基材:アルミニウム、鋼板 官能基含有含フッ素重合体:反応性PTFE、反応性P
FA、FEP 適用形態:塗料 これらにおいては、本発明の複合材のもつ加工性、耐熱
性、非粘着性、防汚性を特に効果的に利用することがで
きる。
【0147】ピストン、ピストンリング 適用箇所:表面 基材:アルミニウム、鋼板 官能基含有含フッ素重合体:反応性PTFE、反応性P
FA、FEP 適用形態:塗料 これらにおいては、本発明の複合材のもつ加工性、耐熱
性を特に効果的に利用することができる。
【0148】スロットシャフト 適用箇所:表面 基材:アルミニウム、鉄系金属 官能基含有含フッ素重合体:反応性PTFE、反応性P
FA、FEP 適用形態:塗料 これらにおいては、本発明の複合材のもつ加工性、耐熱
性を特に効果的に利用することができる。
【0149】その他ステアリング、ヒンジピン、各種ギ
ア、ブレーキシュー、ベアリングテナーなどの表面に塗
料などの形態で塗布し摺動性を付与できる。
【0150】[5]その他 ボルトナット 適用箇所:表面 基材:鉄 官能基含有含フッ素重合体:反応性PTFE、反応性P
FA、FEP 適用形態:塗料 これらにおいては、本発明の複合材のもつ加工性、防錆
性、耐薬品性、低トルク施工性を特に効果的に利用する
ことができる。
【0151】ハサミ、ノコギリ、包丁などの刃物 適用箇所:刃表面 基材:鉄 官能基含有含フッ素重合体:反応性PTFE、反応性P
FA、FEP 適用形態:塗料 これらにおいては、本発明の複合材のもつ非粘着性、防
汚染性、加工性、低荷重での切断性を有し効果的に利用
することができる。
【0152】ポンプ部品 適用箇所:プランジャー内面・表面、ギア表面 基材:アルミニウム、鉄 官能基含有含フッ素重合体:反応性PTFE、反応性P
FA、FEP 適用形態:塗料、フィルム これらにおいては、本発明の複合材のもつ耐薬品性、加
工性、耐摩耗性を特に効果的に利用することができる。
【0153】エアコン部品(カーエアコン、ルームエ
アコン他) 適用箇所:ピストンリング 基材:アルミニウム、鉄 官能基含有含フッ素重合体:反応性PTFE、反応性P
FA、FEP 適用形態:塗料 これらにおいては、本発明の複合材のもつ加工性、耐薬
品性などを特に効果的に利用することができる。
【0154】その他、自動販売機部品、カメラ部品、医
薬機器部品(胃カメラ部品など)、時計部品、農機具部
品、機械工業用無給油軸受類などに用いることができ
る。
【0155】
【実施例】つぎに、本発明の摺動性複合材について実施
例に基づいてさらに具体的に説明するが、本発明はこれ
らのみに限定されるものではない。
【0156】製造例1 (ヒドロキシル基を有しているPFAからなる水性ディ
スパージョンの製造)撹拌機、バルブ、圧力ゲージ、温
度計を備えた3リットルガラスライニング製オートクレ
ーブに純水1500ml、パーフルオロオクタン酸アン
モニウム9.0g、パラフィン60gを入れ、窒素ガス
で充分置換したのち、真空にし、エタンガス20mlを
仕込んだ。
【0157】ついで、パーフルオロ−(1,1,9,9
−テトラハイドロ−2,5−ビストリフルオロメチル−
3,6−ジオキサ−8−ノネノール)(式(7))
【0158】
【化8】
【0159】の1.9g、パーフルオロ(プロピルビニ
ルエーテル)(PPVE)16.1gを窒素ガスを用い
て圧入し、系内の温度を70℃に保った。
【0160】撹拌を行ないながらテトラフルオロエチレ
ンガス(TFE)を内圧が8.5kgf/cm2Gとな
るように圧入した。
【0161】ついで、過硫酸アンモニウム0.15gを
水5.0gに溶かした溶液を窒素を用いて圧入して反応
を開始した。
【0162】重合反応の進行に伴って圧力が低下するの
で、7.5kgf/cm2Gまで低下した時点でテトラ
フルオロエチレンガスで8.5kgf/cm2まで再加
圧し、降圧、昇圧を繰り返した。
【0163】テトラフルオロエチレンの供給を続けなが
ら、重合開始からテトラフルオロエチレンガスが約40
g消費されるごとに、前記のヒドロキシ基を有している
含フッ素エチレン性単量体(前記式(7)で示される化
合物)の0.96gを計9回(計8.64g)圧入して
重合を継続し、重合開始よりテトラフルオロエチレンが
約400g消費された時点で供給を止めオートクレーブ
を冷却し、未反応モノマーを放出し、青みかかった半透
明の水性ディスパージョン1978gをえた。
【0164】えられた水性ディスパージョン中のポリマ
ーの濃度は21.1%、動的光散乱法で測定した粒子径
は97nmであった。
【0165】また、えられた水性ディスパージョンの一
部をとり凍結凝析を行ない、析出したポリマーを洗浄、
乾燥し白色固体を単離した。えられた共重合体の組成
は、19F−NMR分析、IR分析により、TFE/PP
VE/(式(7)で示されるヒドロキシル基を有してい
る含フッ素エチレン性単量体)=99.2/0.3/
0.5モル%であった。
【0166】また赤外スペクトルは3620〜3400
cm-1に−OHの特性吸収が観測された。
【0167】DSC分析により、Tm=313℃、DT
GA分析により1%熱分解温度Td=357℃であっ
た。高化式フローテスターを用いて2mm、長さ8mm
のノズルを用い、372℃で予熱5分間、荷重7kgf
/cm2でメルトフローレートを測定したところ1.5
g/10minであった。
【0168】製造例2(ヒドロキシル基を有しているP
FAからなる水性ディスパージョンの製造) 製造例1と同じオートクレーブに純水1500ml、パ
ーフルオロオクタン酸アンモニウム9.0g、パラフィ
ン60gを入れ、窒素ガスで充分置換したのち真空に
し、エタンガス20mlを仕込んだ。
【0169】ついで、パーフルオロ−(1,1,9,9
−テトラハイドロ−2,5−ビストリフルオロメチル−
3,6−ジオキサ−8−ノネノール)(式(7)で示さ
れる化合物)3.6g、パーフルオロ(プロピルビニル
エーテル(PPVE)16.5gを窒素ガスを用いて圧
入し系内の温度を70℃に保った。
【0170】撹拌を行いながらテトラフルオロエチレン
(TFE)を内圧8.5kgf/cm2Gとなるように
圧入した。
【0171】ついで、過硫酸アンモニウム0.15gを
水5.0gに溶かした溶液を窒素を用いて圧入して反応
を開始した。
【0172】重合反応の進行に伴って圧力が低下するの
で、7.5kgf/cm2Gまで低下した時点で、テト
ラフルオロエチレンガスで8.5kgf/cm2Gまで
再加圧し、降圧、昇圧を繰り返した。
【0173】テトラフルオロエチレンの供給を続けなが
ら重合開始からテトラフルオロエチレンガスが40g消
費されるごとに、前記のヒドロキシル基を有している含
フッ素エチレン性単量体(式(7)で示される化合物)
の1.8gを計9回(計16.2g)を圧入して重合を
継続し、重合開始よりテトラフルオロエチレンが400
g消費された時点で供給を止めオートクレーブを冷却
し、未反応モノマーを放出した。水性ディスパージョン
1997gをえた。えられた水性ディスパージョン中の
ポリマーの濃度は22.1%、粒子径は141nmであ
った。
【0174】製造例1と同様にして、水性ディスパージ
ョンの一部をとり白色固体を単離した。
【0175】同様にしてえられた白色固体を分析したと
ころ、 TFE/PPVE/(式(7)で示されるヒドロキシル
基を有している含フッ素単量体)=98.2/0.7/
1.1モル% Tm=314℃ 1%熱分解温度Td=366℃ メルトフローレート:1.3g/10min なお、赤外スペクトルは3620〜3400cm-1に−
OHの特性吸収が観測された。
【0176】製造例3(ヒドロキシル基を有しているP
FAからなる水性ディスパージョンの製造) 製造例1と同じオートクレーブに純水1500ml、パ
ーフルオロオクタン酸アンモニウム9.0g、パラフィ
ン60gを入れ、窒素ガスで充分置換したのち真空に
し、エタンガス20mlを仕込んだ。
【0177】ついで、パーフルオロ−(1,1,9,9
−テトラハイドロ−2,5−ビストリフルオロメチル−
3,6−ジオキサ−8−ノネノール)(式(7)で示さ
れる化合物)3.6g、パーフルオロ(プロピルビニル
エーテル(PPVE)18.4gを窒素ガスを用いて圧
入し系内の温度を70℃に保った。
【0178】撹拌を行いながらテトラフルオロエチレン
(TFE)を内圧8.5kgf/cm2Gとなるように
圧入した。
【0179】ついで、過硫酸アンモニウム0.15gを
水5.0gに溶かした溶液を窒素を用いて圧入して反応
を開始した。
【0180】重合反応の進行に伴って圧力が低下するの
で、7.5kgf/cm2Gまで低下した時点で、テト
ラフルオロエチレンガスで8.5kgf/cm2Gまで
再加圧し、降圧、昇圧を繰り返した。
【0181】テトラフルオロエチレンの供給を続けなが
ら重合開始からテトラフルオロエチレンガスが40g消
費されるごとに、前記のヒドロキシル基を有している含
フッ素エチレン性単量体(式(7)で示される化合物)
の3.6gを計9回(計32.4g)を圧入して重合を
継続し、重合開始よりテトラフルオロエチレンが400
g消費された時点で供給を止めオートクレーブを冷却
し、未反応モノマーを放出した。水性ディスパージョン
1988gをえた。えられた水性ディスパージョン中の
ポリマーの濃度は22.3%、粒子径は85nmであっ
た。
【0182】製造例1と同様にして、水性ディスパージ
ョンの一部をとり白色固体を単離した。
【0183】同様にしてえられた白色固体を分析したと
ころ、 TFE/PPVE/(式(7)で示されるヒドロキシル
基を有している含フッ素単量体)=97.3/0.9/
1.8モル% Tm=314℃ 1%熱分解温度Td=371℃ メルトフローレート:1.1g/10min なお、赤外スペクトルは3620〜3400cm-1に−
OHの特性吸収が観測された。
【0184】製造例4(官能基を有していないPFAの
水性ディスパージョンの合成) 製造例1において、パラフィン、パーフルオロ−(1、
1、9、9−テトラハイドロ−2,5−ビストリフルオ
ロメチル−3,6−ジオキサ−8−ノネノール)(式
(7)で示される化合物)を用いなかったこと以外は、
製造例1と同様にして乳化重合を行い、官能基を含まな
いPFAの水性ディスパージョン1922gをえた。
【0185】水性ディスパージョン中のポリマーの濃度
は21.6%、粒子径は156nmであった。
【0186】製造例1と同様に白色固体を単離し、分析
した。
【0187】 TFE/PPVE=99.3/0.7mol% Tm=317℃ 1%熱分解温度Td=479℃ メルトフローレート=19.2g/10min なお、赤外スペクトルでは−OHの特性吸収は観測され
なかった。
【0188】実施例1 (1)金属酸化物ゾルの調製 テトラエトキシシラン54g、トリエトキシメチルシラ
ン46g、エタノール200gを500mlのビーカー
に入れ室温で1時間撹拌した。つぎに、0.1N塩酸水
溶液50gを加え50℃で3時間撹拌し、シリカゾル溶
液をえた。
【0189】(2)コーティング液の調製 製造例3でえられたPFAのディスパージョン44.8
gのなかに前記(1)でえられたシリカゾル溶液87.
5gを加え室温で1時間撹拌し、コーティング液をえ
た。
【0190】(3)塗布 前記(2)でえられたコーティング液を10milアプ
リケーターを用いてパイレックスガラス板上に塗布し、
ウェット塗膜を形成した。
【0191】(4)焼成 前記(3)でえられたウェット塗膜を室温にて風乾し、
ガラス基板上の水やエタノールを乾燥させた後、大気下
250℃にて60分間焼成し、約6μmの被膜を有する
試験板をえた。
【0192】(5)試験 実施例1においてえられたコーティング液および被膜に
ついてつぎの試験を行なった。
【0193】コーティング液の分散安定性 前記(2)でえられたコーティング液を室温で3時間静
置し、分散性を観察し、液全体が透明〜半透明のときを
「○」、液全体が白濁しているときを「△」、部分的に
含フッ素共重合体が沈降しているかまたは液全体が凝析
しているときを「×」として評価した。
【0194】被膜の透明性 前記(4)でえられた焼成後の被膜の透明性をヘイズー
メーターによりヘイズ値を測定した。
【0195】被膜の硬さ JIS K5401にしたがい、鉛筆引っかき試験によ
り室温での鉛筆硬度を測定した。
【0196】密着性 JIS K5400にしたがって、被膜上にクロスカッ
ト100目を作りクロスカット面にセロハン粘着テープ
を貼りつけ、これを被膜に対して垂直方向に強く引っぱ
り、被膜の剥離状態を観察し、被膜の残り数/100で
表示した。
【0197】非粘着性試験 測定は室温にて行なった。図1に非粘着性試験に用いる
試験片の概略斜視図を示す。試験板1は前述の(4)で
えられた試験板であり、長さaは150mm以上で、表
面の汚れは、アセトンでふきとった。まず、18mm幅
の粘着テープ2(JIS Z 1522)を300mm
切り取り、150mmの長さaの部分だけを試験板1の
上にのせ、テープ2の上から JIS S 6050の
消しゴムでこすり、圧着させて接着部分3をうる。残っ
た150mmの部分には紙をはり(図示せず)、取り扱
いしやすいようにした。圧着後約20分放置し、テープ
20を試験板1に馴染ませた。テープ2を試験板1の端
から幅b(25mm)のところまではがし、試験板1を
引張試験機の下側のつかみ具へ取り付けた。剥がしたテ
ープ2の先端を180°折り返し、上側つかみ具へ、テ
ープ2が真っ直ぐ剥がれるように取り付けた。引張速度
20mm/分で、試験機で試験板1からテープ2が剥が
れる力を測定した。値はテープ2が滑らかに剥がれてい
る部分の平均を測定値とした。
【0198】被膜の撥水性 接触角計で前記被膜の対水接触角を測定した。
【0199】耐摩耗試験 ネル布(綿300番)を用い1.5kg/4cm2の荷
重にて、前記被膜を3000回摩擦した後の対水接触角
を前記と同様にして測定した。
【0200】前記試験の結果を表1に示す。
【0201】実施例2 製造例2でえられた含フッ素共重合体(A)の水性ディ
スパージョンを用いて、表1に示す組成のコーティング
液を実施例1と同様により調製した。
【0202】このコーティング液を6milのアプリケ
ーターを用いて塗布したこと以外は、実施例1と同様に
して塗布、焼成、試験を行なった。結果を表1に示す。
【0203】実施例3 製造例1でえられた含フッ素共重合体(A)の水性ディ
スパージョンを用い、表1に示す組成のコーティング液
を調製したこと以外は、実施例2と同様にしてコーティ
ング液の調製、塗布、焼成、試験を行なった。結果を表
1に示す。
【0204】比較例1 製造例4でえられた官能基を有していない含フッ素共重
合体の水性ディスパージョンを用い、表1に示す組成で
コーティング液を調製したこと以外は、実施例1と同様
にしてコーティング液の調製、塗布、焼成、試験を行な
った。結果を表1に示す。
【0205】比較例2 含フッ素共重合体の水性ディスパージョンを添加してい
ないシリカゾル溶液のみを用いて、実施例1と同様にし
て塗布、焼成、評価を行なった。結果を表1に示す。
【0206】
【表1】
【0207】表1の結果から明らかなように、本発明の
被覆用組成物は分散安定性に優れ、該組成物からえられ
る被膜は硬く耐磨耗性、透明性、非粘着性、撥水性に優
れていることがわかる。
【0208】実施例4 実施例1においてパイレックスガラス板にかえて、アセ
トンで脱脂した厚さ1.5mmの純アルミニウム板(A
1050P)を用いた以外は、実施例1と同様にしてコ
ーティング液の調整、塗布、焼成を行ない、アルミニウ
ム板上に被膜を形成した。透明で、下地のアルミが鮮か
に写った意匠性の良好な被膜がえられた。
【0209】前記塗装板を用い、実施例1と同様にし
て、被膜の厚さ、密着性、非粘着性、撥水性の試験を行
なった。さらに下記に示す方法で汚染性および耐候性試
験を行なった。
【0210】カーボン汚染試験 (カーボン溶液の調製)カーボン粉末(三菱化学(株)
製 MA100)10gをイオン交換水90gに加え、
ガラスビーズを用いて分散、混合し、カーボン分散液を
えた。
【0211】(カーボンの塗布)前記カーボン分散液を
スプレーにて前記塗装板に約50g/m2塗装し80℃
で2時間加熱して、黒色の試験板をえた。
【0212】(評価)えられた黒色の試験板を、流水に
さらしながら、ハケでなぞり洗浄した。ついで目視にて
汚染の度合を観察し、以下の基準で評価した。結果を表
2に示す。
【0213】○:洗浄により汚染の除去が可能であり、
ほぼ汚染試験前の塗装板にもどった。
【0214】△:洗浄により汚染の一部を除去できた
が、塗装板全面に灰色の汚れがしみ込んだように付着し
ており、その汚れは除去できなかった。
【0215】×:塗装板全面に黒色の汚れが残り、水洗
では除去できなかった。
【0216】耐候性試験 前記塗装板をアイスーパーUVテスター(岩崎電機
(株)製)に投入し、促進耐候性試験を行ない、500
時間試験後の塗装板の対水接着角を測定した。結果を表
2に示す。
【0217】比較例3 実施例4と同じアルミニウム板を80〜120メッシュ
のサンドブラスト処理した後、プライマー(ダイキン工
業(株)製、ポリフロンTFEエナメル EK−195
9 DGN)をスプレー塗装を行ない、赤外乾燥炉で9
0℃で乾燥させ、プライマー層を設けた。
【0218】前記プライマー層上にPFA粉体塗料(ダ
イキン工業(株)製、ネオフロン粉体塗料ACX−3
1)を静電塗装した後350℃で30分間焼成し、被膜
を形成したPFA粉体塗装板をえた。プライマーの灰褐
色の被膜がえられた。
【0219】また、前記PFA粉体塗装板を用いて、実
施例4と同様の試験を行った。結果を表2に示す。
【0220】比較例4 常温硬化型フッ素樹脂塗料用ワニスであるゼッフルGK
510(ダイキン工業(株)製、OH価60)100
g、イソシアネート硬化剤コロネートHX、(日本ポリ
ウレタン(株)製)10.5gおよび酢酸ブチル120
gを混合し、OH/NCO比=1:1に調整したクリア
塗装用塗料を作製した。
【0221】比較例3と同様にサンドブラスト処理をし
たアルミニウム板に、前記クリア塗装用塗料をスプレー
塗装した後、120℃で30分間焼成して被膜を形成し
た塗装板をえた。また、該塗装板を用いて実施例4と同
様の試験を行なった。結果を表2に示す。
【0222】比較例5 常温硬化型アクリル樹脂塗料用ワニスであるアクリディ
ックA801(大日本インキ(株)製、OH価100)
100gとイソシアネート硬化剤コロネートHX(比較
例4と同じ)17g、酢酸ブチル120gを混合し、O
H/NCO比=1:1に調整した塗料を作製した。この
塗料を用いて比較例4と同様にしてアルミニウム板にス
プレー塗装、焼成を行なって被膜を形成した塗装板をえ
た。
【0223】また、該塗装板を用いて実施例4と同様の
試験を行なった。結果を表2に示す。
【0224】
【表2】
【0225】
【発明の効果】本発明者らは、含フッ素共重合体に前記
特定の官能基を導入し、金属酸化物および溶剤と組み合
せることによってえられる被覆用組成物、それを用いて
えられる被膜について、つぎの効果を見出した。
【0226】フッ素樹脂は、本来水や溶剤に対する親
和性が低く、乳化剤を含む、フッ素樹脂微粒子のディス
パージョンにおいても、これを溶剤に添加することによ
り不安定となり凝析することが多いが、前記のように特
定の官能基を導入することによって、官能基含有含フッ
素エチレン性重合体(A)のディスパージョンの分散安
定性が向上し、本発明の被覆性組成物において用いるよ
うなアルコール系溶剤に対しても凝析などしない安定な
組成物をうることができた。
【0227】また、金属酸化物ゾル(B−1)溶液の
調製時や加水分解後の縮重合反応過程において、官能基
含有含フッ素エチレン性重合体(A)の官能基が金属酸
化物ゾル(B−1)と部分的にでも反応に関与し、金属
酸化物ゾル(B−1)と官能基含有含フッ素エチレン性
重合体(A)の分散安定性が向上した。
【0228】塗布後の焼成工程における金属酸化物
(B)の重縮合をさらに進める過程において、前記と
同様な反応が起き、結合により被膜中の官能基含有含フ
ッ素エチレン性重合体(A)と金属酸化物(B)(ゲ
ル)との分散性、界面接着性、さらには基材との接着性
が改善された。
【0229】以上のことにより、前記官能基含有含フッ
素エチレン性重合体(A)と金属酸化物(B)からなる
被膜はガラスのみならず金属、樹脂類、セラミックなど
種々のものにほどこすことができ、各種の基材に強固に
接着した複合材を与えるものである。
【0230】その結果、本発明の摺動性複合材は、密着
性の優れた被膜をその表面に有するものであり、摺動
性、撥水性、透明性のみならず、耐熱性、耐薬品性、低
屈折性、反射防止性などの性能を与えることができ、O
A関連、自動車、家電、化学工業用の各種の機器、材料
に多大な付加価値を与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例における非粘着性試験に供する
試験片の概略斜視図である。
【符号の説明】
1 試験板 2 粘着テープ 3 接着部分
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 久米川 昌浩 大阪府摂津市西一津屋1番1号 ダイキン 工業株式会社淀川製作所内 (72)発明者 岡 憲俊 大阪府摂津市西一津屋1番1号 ダイキン 工業株式会社淀川製作所内 (72)発明者 清水 哲男 大阪府摂津市西一津屋1番1号 ダイキン 工業株式会社淀川製作所内

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)ヒドロキシル基、カルボキシル
    基、カルボン酸塩、カルボキシエステル基およびエポキ
    シ基よりなる群から選ばれた少なくとも1種の官能基を
    有する官能基含有含フッ素エチレン性単量体の少なくと
    も1種の単量体0.05〜50モル%と(b)前記の官
    能基を有さない含フッ素エチレン性単量体の少なくとも
    1種の単量体50〜99.95モル%とを共重合してな
    る官能基含有含フッ素エチレン性重合体(A)の微粒子
    が金属酸化物(B)層中に分散している被膜を基材表面
    に有する摺動性複合材。
  2. 【請求項2】 前記官能基含有含フッ素エチレン性単量
    体(a)が式(1): CX2=CX1−Rf−Y (1) (式中、Yは−CH2OH、−COOH、カルボン酸
    塩、カルボキシエステル基またはエポキシ基、Xおよび
    1は同じかまたは異なり水素原子またはフッ素原子、
    fは炭素数1〜40の2価の含フッ素アルキレン基、
    炭素数1〜40の含フッ素オキシアルキレン基、炭素数
    1〜40のエーテル基を含む含フッ素アルキレン基また
    は炭素数1〜40のエーテル結合を含む含フッ素オキシ
    アルキレン基を表す)で示される少なくとも1種の官能
    基含有含フッ素エチレン性単量体である請求項1記載の
    摺動性複合材。
  3. 【請求項3】 前記官能基を有さない含フッ素エチレン
    性単量体(b)が、テトラフルオロエチレンである請求
    項1または2記載の摺動性複合材。
  4. 【請求項4】 前記官能基を有さない含フッ素エチレン
    性単量体(b)が、テトラフルオロエチレン85〜9
    9.7モル%と式(2): CF2=CF−Rf 1 (2) (式中、Rf 1はCF3またはORf 2(Rf 2は炭素数1〜
    5のパーフルオロアルキル基)で示される単量体0.3
    〜15モル%との混合単量体である請求項1または2記
    載の摺動性複合材。
  5. 【請求項5】 前記金属酸化物(B)がケイ素の酸化物
    である請求項1〜4のいずれかに記載の摺動性複合材。
  6. 【請求項6】 前記金属酸化物(B)がアルミニウムの
    酸化物である請求項1〜4のいずれかに記載の摺動性複
    合材。
  7. 【請求項7】 前記金属酸化物(B)がチタニウムの酸
    化物である請求項1〜4のいずれかに記載の摺動性複合
    材。
  8. 【請求項8】 前記基材が金属系基材である請求項1〜
    7のいずれかに記載の摺動性複合材。
  9. 【請求項9】 前記基材がガラス基材である請求項1〜
    7のいずれかに記載の摺動性複合材。
  10. 【請求項10】 前記基材が合成樹脂基材である請求項
    1〜7のいずれかに記載の摺動性複合材。
  11. 【請求項11】 前記基材が陶磁器である請求項1〜7
    記載の摺動性複合材。
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