JPH10305377A - レーザ加工状態検出方法及びレーザ加工システム - Google Patents
レーザ加工状態検出方法及びレーザ加工システムInfo
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- JPH10305377A JPH10305377A JP9118940A JP11894097A JPH10305377A JP H10305377 A JPH10305377 A JP H10305377A JP 9118940 A JP9118940 A JP 9118940A JP 11894097 A JP11894097 A JP 11894097A JP H10305377 A JPH10305377 A JP H10305377A
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Abstract
ザの加工状態を直接的、かつ、インラインでリアルタイ
ムに検出し、管理することが可能なレーザ加工状態管理
方法及びそのための装置を提供する。 【解決手段】 レーザ照射により被加工物に加工を施す
レーザ加工における加工状態の検出方法において、前記
レーザの照射位置における前記被加工物の表面の温度を
測定することによりレーザ加工状態を検出する。
Description
分野に属し、特に、レーザの照射により加工が行われる
部分の加工状態を管理する技術に関する。
ムなどの加工にレーザ加工が用いられる。具体的には、
フィルムの切断、孔開けの他、フィルム上へ文字などを
記録するマーキング、多層フィルムの一部の層を溶融さ
せて切り溝を形成し、包装袋に易開封性を付与するいわ
ゆるハーフカットなどにおいて、レーザ加工が使用され
る。
に照射される状態、具体的にはレーザの強度、レーザの
集光の程度(照射点におけるレーザスポット径)などに
より加工の良否、精度が変化する。従って、精度のよい
良好な加工を継続的に行うためには上記加工状態を検
出、管理することが必要となる。従来、このレーザ加工
における加工状態の評価は、2種類の手法により行われ
ていた。
工状態の良否、精度などを観察し、評価する方法であ
る。また、第2の方法は、被加工物にレーザを集光照射
するとともに、集光手段以前の光路においてレーザ光の
一部をハーフミラー等により分岐させ、分岐したレーザ
を受光してその強度などを測定し、評価する方法であ
る。
法は事後的であり、測定、評価結果をレーザ加工装置側
に反映して良好な加工状態を得るまでに多数の不良品が
製造されることが避けられない。また、被加工物のある
数のサンプルについて加工部分を評価することとなるの
で、製造ラインの速度との関係からインラインにおいて
リアルタイムに全数の測定、評価を行うことは困難とな
る。
定目的のために分岐して使用することとなるので、レー
ザ出力の損失が生じる。また、レーザ光の光路中にレー
ザ光を分岐するためのハーフミラーなどの光学素子を必
要とするので、光学系の構成が複雑化する。更には、ミ
ラーの汚れなどにより分岐出力が低下すると測定精度が
低下し、ミラーのメインテナンスなども必要となる。ま
た、分岐したレーザ光の測定はあくまでも間接的であ
り、実際に被加工物に照射されているレーザの状態を直
接的に検出しているわけではない。よって、例えば、レ
ーザ光を被加工物に集光させるレンズに曇り、汚れ等が
生じて被加工物に照射されているレーザが不適当な状態
にあったとしても、分岐したレーザ光からはその不具合
を検知することはできない。
加工物に照射されるレーザ光の状態を直接的に、かつ、
インラインでリアルタイムに検出することはできなかっ
た。
であり、レーザ加工において、被加工物に対するレーザ
の加工状態を直接的、かつ、インラインでリアルタイム
に検出し、管理することが可能なレーザ加工状態管理方
法及びそのための装置を提供することを課題とする。
め、請求項1記載の発明は、レーザ照射により被加工物
に加工を施すレーザ加工における加工状態の検出方法に
おいて、前記レーザの照射位置における前記被加工物の
表面の温度を測定することによりレーザ加工状態を検出
するように構成する。
定された被加工物表面の温度がレーザ強度を含む加工状
態を表わすので、実際に加工が施される部分の加工状態
を直接的に検出することができる。
ーザ加工状態検出方法において、前記被加工物は、少な
くとも一層に所定のレーザ波長の吸収性を有する樹脂フ
ィルムであるように構成する。これにより樹脂フィルム
のハーフカットなどの種々の加工が可能となる。
載のレーザ加工状態検出方法において、前記被加工物の
表面の温度を非接触で検出するように構成する。これに
より、被加工物に影響を与えることなく加工が可能とな
る。
いずれかに記載のレーザ加工状態検出方法において、前
記レーザは炭酸ガスレーザにより構成する。これによ
り、樹脂フィルムのレーザ加工が容易に可能となる。
ムにおいて、レーザ照射により被加工物にレーザ加工を
施すレーザ加工装置と、前記レーザの照射位置における
前記被加工物の表面の温度を検出する温度検出装置と、
前記温度検出装置の出力に応じて前記レーザ加工装置を
制御する制御装置と、を備えるように構成する。
ば、測定された被加工物表面の温度がレーザ強度を含む
加工状態を表わすので、加工部分の加工状態を直接的に
検出し、これに応じてレーザ加工装置を適切に制御する
ことができる。
ザ加工システムにおいて、前記被加工物は、少なくとも
一層に所定のレーザ波長の吸収性を有する樹脂フィルム
であるように構成する。これにより樹脂フィルムのハー
フカットなどの種々の加工が可能となる。
載のレーザ加工システムにおいて、前記温度検出装置
は、前記被加工物の表面の温度を非接触で検出するよう
に構成する。これにより、被加工物に影響を与えること
なく加工が可能となる。
いずれかに記載のレーザ加工システムにおいて、前記レ
ーザは炭酸ガスレーザにより構成する。これにより、樹
脂フィルムのレーザ加工が容易に可能となる。
適な実施の形態について説明する。
態検出の原理について説明する。本発明においては、被
加工物の加工は、レーザの照射による被加工物表面の溶
融により行う。レーザ光の波長に吸収のある物体にレー
ザを照射すると、その物体はレーザのエネルギーにより
溶融、蒸発する。レーザ照射部分の発熱(温度)は照射
するレーザパワーにほぼ比例する。よって、レーザ照射
の対象となる被加工物表面の加工状態を、その部分の発
熱温度を検出することにより検出する。
エネルギーないしは電磁的性質を利用する方法で、非接
触方式により温度を測定する。非接触方式の利点として
は、測定対象物に影響を与えず、光学系の適切な設計
により微小面の測定が可能であること、動体の測定が
容易であること、応答が早いこと、などが挙げられ
る。
波長のエネルギーを放射している。この放射エネルギー
は様々な波長をもっており、さらに温度によってもその
放射強度は異なる。放射強度が最大となる波長は温度に
よって異なるため、そのピーク波長を検出することによ
り物体表面の温度測定が可能となる。本発明において
は、温度の測定装置は非接触のものであれば特に限定さ
れないが、常温〜1000℃の範囲では放射エネルギー
のピーク波長は赤外波長にあるため、赤外線カメラが好
適である。
は、上述のように非加工物の表面がレーザを吸収し、発
熱、溶融することにより加工が行われるのであるから、
その被加工物レーザを吸収する波長を考慮してレーザの
種類を決定すればよい。例として挙げれば、エキシマレ
ーザ、YAGレーザ、炭酸ガスレーザ、半導体レーザ、
アルゴンレーザなどが使用可能である。なお、以下に述
べる実施形態においては被加工物として樹脂フィルムを
使用しており、樹脂フィルムは波長10.6μm付近に
吸収があるため、炭酸ガスレーザを使用している。
は樹脂フィルムを採用しているが、それは単層であって
も多層であっても構わない。単層の樹脂フィルムの場合
は、レーザ加工の態様は切断、孔あけマーキングなどが
挙げられる。また、レーザ吸収性の異なる樹脂フィルム
を組み合わせた多層フィルムの場合は、包装袋などに易
開封性を付与するためのハーフカット加工(一部の層の
みを溶融させること)が挙げられる。なお、ポリエチレ
ン、ポリプロピレンなどの炭酸ガスレーザを殆ど透過す
るフィルムや、アルミ箔などの炭酸ガスレーザを殆ど反
射させる材料をレーザ吸収性の高いフィルムと組み合わ
せて使用することにより、種々の性質の包装材料におい
て所望のレーザ加工が可能となる。なお、以下の実施形
態においては、多層樹脂フィルムのハーフカット加工を
例にとって説明する。
加工装置及びそのライン管理装置の構成を模式的に示
す。図1において、被加工物である樹脂フィルム10
は、ロール状態で供給され、矢印の方向に搬送される。
樹脂フィルム10の表面には、図示しない光源から放射
されたレーザ光Lが対物レンズ4を通じて集光され、微
小なレーザスポットが形成される。
は、図2(A)に示すように、ONy(延伸ナイロン)
層とLLDPE(線状低密度ポリエチレン)層を有する
2層フィルムとし、このONy層側から発振波長10.
6μmの炭酸ガスレーザを集光照射してスポット径0.
004インチのレーザスポットを形成し、同時に、速度
30m/分で樹脂フィルム10を矢印の方向に搬送す
る。照射されるレーザ光のエネルギーによりONy層が
溶融し、ONy層に切り溝11が形成される。
2を有し、これによりレーザ光の照射される部分(レー
ザスポットの部分)の温度を検出する。この赤外線カメ
ラ2は、測定点(即ち、レーザスポット)との距離25
0mmの位置に配置し、測定視野φ10mmで測定す
る。
射による温度変化(発熱)の度合いに依存する。よっ
て、照射レーザ強度が不十分であると樹脂フィルム10
のONy層の溶融が不十分となり、切り溝が十分に形成
されない。そのため、この樹脂フィルムにより包装袋を
形成した場合、使用者が開封の際に当該切り溝に沿って
袋を切り裂こうとしても、切り溝に沿って正しくフィル
ムが切断されない。即ち、切り溝から外れてフィルムが
切り裂かれることが起き(「ガイド外れ」と呼ばれ
る)、包装袋の易開封性が確保されない。一方、照射レ
ーザが強すぎると樹脂フィルム10のONy層のみなら
ず、その下のLLDPE層までもが部分的に溶融してし
まう。従って、開封は容易となるものの、逆に包装袋と
しての耐衝撃性が弱くなり、内容物の漏れなどの恐れが
生じる。従って、レーザは、樹脂フィルム10表面の照
射部分において、ONy層が十分に溶融し、かつ、その
下のLLDPE層にまでは溶融が生じない程度の強度を
有することが必要となる。
るレーザ強度を変えて、照射レーザ強度と赤外線カメラ
2により検出される樹脂フィルム表面の温度と多層フィ
ルムの溶融状態とを比較検討した。図2(A)に示すよ
うに、レーザ光Lを対物レンズ4により樹脂フィルム1
0の表面にONy層側から照射し、レーザ光Lの強度を
2ワット(W)から10ワットの間で変化させた。
すように、照射レーザ出力が2ワットの場合は、ONy
層が十分に溶融せず、その結果形成される溝がONy層
とLLPDE層の境界まで達しない。従って、包装袋と
しての易開封性が不十分となる。
は、ONy層は十分に溶融し、LLDPE層との境界付
近にまで至る溝が形成された。なお、2ワットから8ワ
ットの範囲内では、レーザ強度が増加するにつれて形成
される溝の幅(加工幅、図3(B)参照)が増加する
が、LLDPE層までの溶融は生じない。従って、この
範囲内であれば包装袋としての易開封性は良好となる。
ると、LLDPE層の溶融が生じる。従って、包装袋と
しての強度、耐衝撃性などの面で問題が生じる。
y層の加工幅との関係を示し、図4(B)にレーザパワ
ーと加工深さ(図3(C)参照)との関係を示す。図4
(A)に示すように、ONy層においては、レーザパワ
ーが増加すると、加工幅はほぼ比例して増加する。ま
た、図4(B)に示すように、レーザパワーを変化させ
ると、4ワット付近でONy層がLLDPE層との境界
まで溶融する。その後8ワット付近までは加工深さは一
定のまま、即ち、LLDPE層までは溶融しない状態で
加工幅が増加する。更にレーザパワーを増加させると、
LLDPE層の溶融が始まる。
を施した多層フィルムから包装袋を製作し、開封試験及
び落下衝撃試験を行った。具体的には、上記のようにハ
ーフカット加工を施した多層フィルムのLLDPEフィ
ルム面を、形成された切り溝がパウチ表裏の同位置にな
るように対向させ、その周辺端部をシールして125m
m×250mmの包装袋を製作した。
て、形成された開封用切れ目を利用して開封し、その時
に切り口がガイド外れを起こした数を確認した。また、
落下衝撃試験として、製作した包装袋に内容物として水
500ミリリットルを充填し、口部をヒートシールして
包装体を製作した。そして、この包装体10個を120
cmの高さからコンクリート面に対して垂直に20回落
下させてハーフカット加工を施した部分が衝撃により破
れた包装体の個数を計数した。結果を図5(A)に示
す。
ラ2で測定された温度が2ワットの場合、開封試験にお
いて、10個の袋のうち、3個がガイド外れを起こし
た。これは、図3(A)に示すように、2ワットのレー
ザ照射では、ONy層が完全に溶融しないことによると
推測される。一方、落下衝撃試験においては、10ワッ
トのレーザパワーの場合、10個の袋のうち2個が落下
の衝撃によりハーフカット加工部から破裂が生じた。こ
れは、図3(C)に示すように、レーザパワーが強すぎ
てLLDPE層まで溶融が生じたために袋の耐衝撃性が
低下したためと推測される。
れる温度としては、摂氏90度から摂氏203度の範囲
内が良好であることが分かる。従って、図1に示すレー
ザ加工装置に樹脂フィルムにハーフ加工を行いつつ、赤
外線カメラ2で加工部の温度を検出し、検出温度が上記
範囲を逸脱した場合に、ライン管理装置5がこれを検知
して警告を発する、又はラインを自動的に停止するなど
の処置を行う。
同一の樹脂フィルムを、レーザ出力を5ワットに固定
し、搬送速度を10メートル(m)/分から50m/分
の範囲で変化させてハーフカット加工を行った。そし
て、得られたフィルムから上記と同様に包装袋を製作
し、同様の開封試験及び落下衝撃試験を実施した。その
結果を図5(B)に示す。図5(B)から分かるよう
に、搬送速度が10m/分の場合、落下衝撃試験におい
て10袋のうち6袋が衝撃に耐えられず破裂した。これ
は、搬送速度10m/分の場合は搬送速度が遅いために
フィルム表面の単位面積に加えられるレーザのエネルギ
ーが高く、LLDPE層まで溶融が生じたことが原因と
推測される。
工は、レーザの照射によるフィルムの溶融により行われ
るので、照射するレーザ強度に応じてレーザ照射部分の
温度は変化する。従って、レーザ強度を測定する代わり
に、照射位置の被加工物の温度を検出することにより、
レーザ加工状態を評価することが可能となる。
載の発明によれば、測定された被加工物の表面の温度が
レーザ強度を含む加工状態を表わすので、加工部分の加
工状態を直接的に検出することができる。
工物が一層にレーザの吸収を有する樹脂フィルムにより
構成されるので、樹脂フイルムのハーフカットなどの種
々の加工が可能となる。
工物の表面温度を非接触で検出するので、非加工物に影
響を与えることなく加工状態の検出が可能となる。
ザを炭酸ガスレーザにより構成するので、樹脂フィルム
のレーザ加工が容易に可能となる。
管理装置の概略図である。
示す図である。
物の状態との関係を示す図である。
試験及び落下衝撃試験の結果を示す図である。
Claims (8)
- 【請求項1】 レーザ照射により被加工物に加工を施す
レーザ加工における加工状態の検出方法において、前記
レーザの照射位置における前記被加工物の表面の温度を
測定することによりレーザ加工状態を検出することを特
徴とするレーザ加工状態検出方法。 - 【請求項2】 前記被加工物は、少なくとも一層に所定
のレーザ波長の吸収性を有する樹脂フィルムであること
を特徴とする請求項1記載のレーザ加工状態検出方法。 - 【請求項3】 前記被加工物の表面の温度を非接触で検
出することを特徴とする請求項1又は2記載のレーザ加
工状態検出方法。 - 【請求項4】 前記レーザは炭酸ガスレーザであること
を特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のレーザ
加工状態検出方法。 - 【請求項5】 レーザ照射により被加工物にレーザ加工
を施すレーザ加工装置と、 前記レーザの照射位置における前記被加工物の表面の温
度を検出する温度検出装置と、 前記温度検出装置の出力に応じて前記レーザ加工装置を
制御する制御装置と、を備えることを特徴とするレーザ
加工システム。 - 【請求項6】 前記被加工物は、少なくとも一層に所定
のレーザ波長の吸収性を有する樹脂フィルムであること
を特徴とする請求項5記載のレーザ加工システム。 - 【請求項7】 前記温度検出装置は、前記被加工物の表
面の温度を非接触で検出することを特徴とする請求項5
又は6記載のレーザ加工システム。 - 【請求項8】 前記レーザは炭酸ガスレーザであること
を特徴とする請求項5乃至7のいずれかに記載のレーザ
加工システム。
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