JPH10303494A - 半導体光機能素子 - Google Patents

半導体光機能素子

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JPH10303494A
JPH10303494A JP10860697A JP10860697A JPH10303494A JP H10303494 A JPH10303494 A JP H10303494A JP 10860697 A JP10860697 A JP 10860697A JP 10860697 A JP10860697 A JP 10860697A JP H10303494 A JPH10303494 A JP H10303494A
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JP
Japan
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layer
carrier injection
active layer
semiconductor optical
cladding layer
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Pending
Application number
JP10860697A
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English (en)
Inventor
Takuya Ishikawa
卓哉 石川
Akihiko Kasukawa
秋彦 粕川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Furukawa Electric Co Ltd
Original Assignee
Furukawa Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 半導体光増幅器素子にあっては利得の偏波依
存性が小さく、可視光又は赤外レーザにあっては活性層
からクラッド層への電子のオーバーフローを抑制して温
度特性の良好な半導体光機能素子を提供する。 【解決手段】 本半導体光増幅器10は、InP基板上
に作成した素子長600μm の半導体光増幅器であっ
て、圧縮歪量子井戸の活性層20と伸張歪量子井戸の活
性層24との間にクラッド層の導電型とは異なる導電型
のキャリア注入層22を有する層構造を備える。中央電
極34と上部電極32との間でキャリア注入層22、活
性層24及び上部クラッド層28を経由する電流通路を
形成し、また中央電極34と下部電極36との間でキャ
リア注入層22、活性層20及び下部クラッド層16を
経由する電流経路を形成している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体光増幅器素
子及び半導体レーザなどの半導体光機能素子に関し、更
に詳細には、半導体光増幅器素子にあっては信号利得の
偏波依存性を抑制し、半導体レーザにあっては温度特性
の良好な半導体光機能素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】本明細書で言う半導体光機能素子とは、
光検出機能を有する光素子を除く概念であって、主とし
て、半導体光増幅器素子及び半導体レーザ素子を意味す
る。
【0003】従来の半導体光増幅器素子 先ず、従来の半導体光増幅器素子について説明する。光
ファイバを光導波路とする光システム内で信号を忠実に
増幅するためには、光増幅器の光利得又は信号利得の偏
波依存性(又は偏波方向依存性)を抑制することが重要
である。信号利得の偏波依存性とは、特定の偏波方向の
光又は信号、例えばTEモードの信号に対する利得の方
が、他の偏波方向の光又は信号、例えばTMモードの信
号に対する利得よりも大きいことを言う。光増幅器の利
得を増大する有力な試みとして、半導体光増幅器素子に
量子井戸構造を導入するという試みが提案されている。
【0004】しかし、障壁層・井戸層の双方とも基板に
格子整合した通常の量子井戸構造では、TEモードに対
する利得の方が、TMモードに対する利得よりも大き
く、利得の偏波依存性が大きいという問題があった。こ
れは、以下の理由に因ると推測される。即ち、正孔を重
い正孔と軽い正孔とに区別して、電子と正孔間の遷移現
象を考察すると、重い正孔が関与する遷移は、TEモー
ドのみに対して入射光強度の3/2の利得を生じさせ、
一方、軽い正孔が関与する遷移はTEモードに対して入
射光強度の1/2の利得、TMモードに対して入射光強
度の2の利得を生じさせる。一方、正孔は、その有効質
量の違いによって量子化エネルギーが異なり、正孔の量
子化エネルギーの大きさは、おおよそその有効質量の逆
数に比例するので、重い正孔に対する量子化エネルギー
の方が軽い正孔に対する量子化エネルギーより小さい。
従って、通常の量子井戸構造では、電子と重い正孔間で
生じる遷移現象が生じ易くなり、電子と重い正孔間の遷
移では、上述のように、TEモードに対してのみ利得を
生じるため、通常構造の量子井戸では利得の偏波依存性
が大きくなるのである。
【0005】そこで、例えば特開平4−233783号
公報に開示されているように、歪量子井戸構造を用い
て、利得の偏波依存性を解消する方法が試みられてい
る。歪量子井戸構造は、大きな伸張歪の導入された井戸
と大きな圧縮歪の導入された井戸とを組み合わせて配置
するものである。前掲公報に開示の技術によれば、大き
な伸張歪が導入された井戸では、軽い正孔がバンド端不
連続となり、電子−軽い正孔の遷移のみが生じる。一
方、大きな圧縮歪が導入された井戸では、重い正孔がバ
ンド端不連続になり、電子−重い正孔の遷移のみが生じ
る。そこで、圧縮歪量子井戸と伸張歪量子井戸との間で
この遷移のエネルギーを等しくすることによって、TE
モードに対する利得は、圧縮歪井戸による強度の3/2
利得と伸張歪井戸による強度の1/2利得との和(3/
2+1/2=2)に、TMモードに対する利得は、伸張
歪井戸による強度の2利得になり、利得の偏波依存性が
解消されるというものである。
【0006】従来の半導体レーザ 次に、従来の半導体レーザ、特に可視光半導体レーザ及
び赤外半導体レーザについて説明する。大容量光ディス
ク、光計測機器等の各種レーザ応用機器の光学系の調整
を容易にするために、その光源として、600nm帯で
発振する可視光半導体レーザを採用しようとする試みが
進展しており、レーザ光のビーム集光性及び視感度性を
向上させるために、より短い波長で発振する可視光レー
ザが望まれている。600nm帯可視光レーザはGaA
s基板上にAlGaInP系の混晶半導体積層構造を形
成したレーザにより実現されており、伸張歪を導入した
GaInPの活性層、或いはAlを添加したAlGaI
nP活性層を用いたりしている。更には、活性層として
これらの物質の量子井戸構造を用いるなどして、発振波
長の短波長化が図られている。
【0007】しかし、AlGaInP系の可視光半導体
レーザでは、発振波長の短波長化に伴い、活性層からp
型クラッド層への電子のオーバーフローによる温度特性
の悪化が問題となっている。電子のオーバーフローを抑
制するためには、活性層とpクラッド層とのバンドギャ
ップ差を大きくするか、又はpクラッド層の高濃度ドー
ピングによりクラッド層のバンド端をシフトさせるかの
対策を施すことが有効であると言われている。ところ
で、AlGaInP系では、活性層とpクラッド層との
バンドギャップ差を大きくするために、クラッド層とし
て用いられるAlGaInP混晶中のAl組成比率を増
加させて、クラッド層のバンドギャップを大きくしよう
としても、(Al0.7Ga0.30.5 In0.5Pが直接遷
移型半導体と間接遷移型半導体との境界になり、これ以
上にAl組成比率を増加させても実質上は電子の閉じ込
め効果を増大させることができなくなる。従って、発振
波長が短波長化し、活性層のバンドギャップが大きくな
ればなるほど、活性層とクラッド層とのバンドギャップ
差が小さくなって、電子がpクラッド層にオーバーフロ
ーする現象を無視できなくなる。
【0008】そこで、電子に対する等価的な障壁の高さ
は、pクラッド層のドーパント濃度に依存し、ドーパン
ト濃度が高いほど等価的に電子に対する障壁が高くなる
という原理に基づいて、pクラッド層のドーピング濃度
を高くして、pクラッド層への電子のオーバーフロー現
象を抑制する試みが行われている。また、pクラッド層
のドーピングの高濃度化とは別の技術として、非常に薄
い多層膜を活性層とpクラッド層の間に挿入し、その多
層膜での電子の干渉効果を利用してpクラッド層に溢れ
出す電子を反射させ、活性層に効率よく電子を閉じ込め
て、等価的に障壁の高さを高くしようとする、いわゆる
多重量子障壁(MQB)構造も試みられている。
【0009】1300nm帯で発振する赤外レーザにつ
いても、同様に、電子のオーバーフロー現象による温度
特性の悪化は、次の理由から問題になっている。即ち、
この波長帯のレーザは光加入者系で用いられるため、実
用化するためには低コストのモジュール化を図ることが
重要であるとの認識から、コスト削減の一つとして、モ
ジュールから温度調整機能を省くことが試みられている
が、温度調整機能を省いたときに、600nm帯の可視
光レーザと同様に、活性層からp型クラッドへの電子の
オーバーフロー現象が発生し、しきい値電流増加の原因
となっている。そこで、この問題を解決するために種々
の試みがなされていて、その一例として、活性層を2分
割した活性層構造を有するDCC(Doulble Carrier Con
finement)レーザが提案されている。これは、活性層を
2分割して一層当たりのキャリア密度を小さくし、キャ
リアのオーバーフローを抑制することによって温度特性
を向上しようとするものである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述した従来
の技術により、(1)半導体光増幅器素子にあっては、
利得の偏波依存性を抑制し、(2)可視光レーザ及び赤
外レーザにあっては、電子のオーバーフロー現象を抑制
し、温度特性を向上させようとすると、以下に挙げるよ
うな問題があった。 (1)先ず、特開平4−233783号公報に開示の技
術に基づいて半導体光増幅器素子の利得の偏波依存性を
抑制しようとする際、伸張歪井戸と圧縮歪井戸のそれぞ
れで生じる遷移のエネルギーの大きさを極めて高い精度
で合わせない限り、意図したように利得の偏波依存性を
解消することができない。しかし、遷移のエネルギーの
大きさを高い精度で合わせることは、実際には、技術的
に極めて難しく、実用化に当たって問題となっていた。 (2)一方、AlGaInP系の600nm帯の可視レ
ーザでは、AlGaInP混晶のpクラッド層にp型ド
ーパントを高濃度にドープしようとしても、技術的に難
しく、せいぜい1x1018cm-3程度の濃度が上限であ
る。しかし、この程度のドーパント濃度では、障壁の高
さを等価的に高くする作用には限界があって、電子のオ
ーバフロー現象を抑制する効果には乏しかった。また、
多重量子障壁は理論的には非常に大きな効果を奏するこ
とが期待されているものの、実際には設計通りの超薄膜
多層構造を形成することが難しいことなどの製作的な理
由により、理論通りの効果が得られていないのが現状で
ある。即ち、従来技術の範囲では、AlGaInP系の
レーザ構造に特有の電子のオーバーフローという問題が
十分には解決されていなかった。また、1300nm帯
のレーザについても、同様に、従来、提案されている方
法では電子のオーバーフロー問題を十分には解決するこ
とが難しかった。例えば、従来技術の一例として挙げた
DCCレーザにおいては、活性層を2分割したために、
キャリアの濃度が2分割された活性層同士で相互に不均
一となり、注入電流が小さいときは2分割した活性層の
一方は吸収媒質となってしまい、その結果、確かに温度
特性は向上するものの、閾値電流値が著しく大きくな
り、実用には適さないという問題があった。
【0011】そこで、本発明の目的は、半導体光増幅器
素子にあっては利得の偏波依存性が小さく、可視光又は
赤外レーザにあっては活性層からクラッド層への電子の
オーバーフローを抑制して温度特性の良好な半導体光機
能素子を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、第一導電
型の上部及び下部クラッド層で挟まれた活性層中に第二
導電型のキャリア注入層を介在させて、活性層をそれぞ
れ独立の2個の活性層に分割し、かつ上部クラッド層及
び下部クラッド層のそれぞれにキャリア注入層から独立
にキャリアを注入できる構造の素子を着想し、研究を進
めて本発明を完成するに到った。
【0013】上記目的を達成するために、本発明に係る
半導体光機能素子は、それぞれが第一導電型の下部クラ
ッド層及び上部クラッド層と、下部クラッド層と上部ク
ラッド層との間に挟まれ、クラッド層よりも禁制帯幅の
小さい活性層と、活性層中に中間層として介在する第二
導電型の膜厚の薄いキャリア注入層とを備え、活性層
が、キャリア注入層と下部クラッド層とに挟まれた下側
活性層と、キャリア注入層と上部クラッド層とに挟まれ
た上側活性層とにそれぞれキャリア注入層により分割さ
れ、キャリア注入層と上部クラッド層との間、及びキャ
リア注入層と下部クラッド層との間にそれぞれ電流経路
が形成されていることを特徴としている。
【0014】本発明の半導体光機能素子を半導体光増幅
器素子に適用する実施態様では、下側活性層及び上側活
性層が、それぞれ、伸張歪量子井戸構造及び圧縮歪量子
井戸構造のうちの一方及び他方として構成され、キャリ
ア注入層と上部クラッド層との間の電流経路を流れる電
流及びキャリア注入層と下部クラッドとの間の電流経路
を流れる電流により、各量子井戸を駆動する。
【0015】図1は、本発明に係る半導体光機能素子の
構成を半導体光増幅器素子に適用した際の層構造とその
機能を説明する模式図である。本発明に係る半導体光増
幅器素子では、図1に示すように、活性層は、中間層と
して存在するキャリア注入層により、上側活性層と下側
活性層との分割され、上側活性層が伸張歪量子井戸構造
として、下側活性層が圧縮歪量子井戸構造としてそれぞ
れ構成され、キャリア注入層と上部クラッド層との間の
電流経路を流れる電流及びキャリア注入層と下部クラッ
ドとの間の電流経路を流れる電流により、各量子井戸を
駆動するようになっている。以上の構成により、上側活
性層では主にTMモードに対する利得を実現し、下側活
性層では主にTEモードに対する利得を実現する活性層
構造となっている。更に、キャリア注入層と上部クラッ
ドとの間の電流1によりTMモード利得の大きさを制御
し、一方、キャリア注入層と下部クラッドとの間の電流
2により、TMモード利得とは独立して、TEモード利
得の大きさを独立に制御できる。従って、利得の偏波依
存性を完全に解消することができる。また、従来の半導
体光増幅器素子とは異なり、2種類の活性層の組成、膜
厚などに多少ばらつきがあったとしても、注入電流の強
度を調節することにより、ばらつきの効果を補償するこ
とができるので、半導体光増幅器の製作の際の品質管理
が容易になり、従って、歩留まりが飛躍的に向上する。
【0016】本発明の半導体光機能素子を半導体レーザ
として適用する実施態様では、第一導電型がn型、第二
導電型がp型であって、キャリア注入層の厚さが100
nm以下である。
【0017】図2は、本発明に係る半導体光機能素子を
半導体レーザに適用した際の層構造とその機能を説明す
る模式図である。図2の半導体レーザは、上部クラッド
層及び下部クラッド層の双方ともその導電型はn型であ
り、キャリア注入層の導電型はp型である。また、キャ
リア注入層で隔てられた活性層の組成は、同じであっ
て、上部クラッド層と下部クラッド層とを電気的に短絡
して、キャリア注入層と上部・下部クラッドとの間の電
流を各々独立に制御することはしない。以上の構成によ
り、n型の上部及び下部クラッドから注入された電子の
うち、大部分は活性層で再結合するが、注入レベルの高
いとき或いは温度の高いときには、前述のようにキャリ
ア注入層にオーバーフローする。しかし、キャリア注入
層は十分に薄いため、オーバーフローした電子は反対側
の活性層へ容易に到達し、その活性層で再結合に寄与す
る。従って、注入電流の無効分が激減し、温度特性の非
常に良好な半導体レーザが実現される。オーバーフロー
した電子がこのように反対側の活性層へ容易に到達する
ためには、キャリア注入層の厚さは100nm以下が望
ましい。本発明の構造では、キャリアは、2つの活性層
どちらにも均一に注入され、活性層は初めから本来的に
利得媒質として働くため、DCCレーザに見られたよう
な閾値電流の増大もなく、しかも温度特性を向上させる
ことができる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下に、添付図面を参照し、実施
例を挙げて、本発明の実施の形態を具体的かつ詳細に説
明する。実施例1(半導体光増幅器素子の実施例 ) 本実施例は、本発明に係る半導体光機能素子を半導体光
増幅器素子に適用した例であって、図3は本実施例の半
導体光増幅器の断面図である。本実施例の半導体光増幅
器10(以下、簡単に光増幅器10と言う)は、InP
基板上に作成した素子長600μm の半導体光増幅器で
あって、図3に示すように、圧縮歪量子井戸の活性層2
0と伸張歪量子井戸の活性層24との間にクラッド層の
導電型とは異なる導電型のキャリア注入層22を有する
層構造を備え、中央電極34と上部電極32との間でキ
ャリア注入層22、活性層24及び上部クラッド層28
を経由する電流通路を形成し、また中央電極34と下部
電極36との間でキャリア注入層22、活性層20及び
下部クラッド層16を経由する電流経路を形成してい
る。
【0019】以下に、更に詳しく、光増幅器10の構造
を説明する。光増幅器10は、図3に示すように、p型
InP基板12、p型InP基板12上にエピタキシャ
ル成長させ、次いでエッチングして中央にストライプ状
に開口したn−InP電流阻止層14、その上に順次エ
ピタキシャル成長させたp−InP下部クラッド層1
6、i−GaInAsP−SCH層18、圧縮歪が+
1.0%で井戸4周期のi−GaInAsP多重量子井
戸(MQW)活性層20、n−InPキャリア注入層2
2、伸張歪が−1.2%で井戸3周期のi−GaInA
sP多重量子井戸(MQW)活性層24、i−GaIn
AsP−SCH層26、p−InP上部クラッド層2
8、及び、p−GaInAsコンタクト層30を有す
る。上部のコンタクト層30、上部クラッド層28、S
CH層26及び活性層24は、一部領域のキャリア注入
層22を露出するようにエッチングされて、更に、コン
タクト層30及び上部クラッド層28はエッチングされ
てリッジ形状に形成されている。コンタクト層30上に
は上部電極32、露出したキャリア注入層22上には中
央電極34及び基板12の下面には全面に下部電極36
が設けてある。
【0020】以下に、本実施例の光増幅器10を製作す
る方法を簡単に説明する。先ず、基板12上に、MOC
VD法により電流阻止層14を成長し、フォトリソグラ
フィ及び化学エッチングにより電流阻止層14を除去し
て、中央に基板12をストライプ状に露出させる。続い
て、2回目のMOCVD成長により、基板12及び電流
阻止層14上に、順次、下部クラッド層16、SCH層
18、活性層20、キャリア注入層22、活性層24、
SCH層26、上部クラッド層28、及びコンタクト層
30を成長させる。次いで、フォトリソグラフィ及び化
学エッチングによりコンタクト層30、上部クラッド層
28、SCH層26及び活性層24の一部領域をキャリ
ア注入層22まで除去して、キャリア注入層22を露出
させる。更に、フォトリソグラフィ及び化学エッチング
をコンタクト層30及び上部クラッド層28に施して、
リッジを形成する。次いで、コンタクト層30上に上部
電極32、露出したキャリア注入層22上に中央電極3
4、基板12裏面に下部電極36を形成し、更に、長さ
600μmに劈開し、両端面にSiNの低反射コーティ
ングを施して光増幅器10を完成する。
【0021】光増幅器10の特性を評価するために、上
部電極32と中央電極34、中央電極34と下部電極3
6との間で独立に電流注入し、伸張歪量子井戸構造の上
側活性層24及び圧縮歪量子井戸構造の下側活性層20
を独立に駆動する方式で、光増幅器10の特性を測定し
た。波長1.31μm では、上部電極側の電流が85m
A、下部電極側の電流が70mAの時、利得は、TEモ
ード及びTMモードの偏波に対して双方とも15.3d
Bとなり、完全に一致させることができた。また、上部
電極側の電流が120mA、下部電極側の電流が95m
Aの時、利得はTEモード、TMモード両方の偏波に対
して21.0dBに利得に一致させることができた。
【0022】次いで、比較のために、上部電極32と下
部電極36を電気的に短絡し、中央電極34との間に電
流を流して素子の特性を測定したところ、波長1.31
μmでの利得は、注入電流150mAのときはTEモー
ドに対して15.5dB、TMモードに対して13.9
dBであり、注入電流200mAの時はTEモードに対
して20.7dB、TMモードに対して17.5dBで
あった。この結果、キャリア注入層により活性層を圧縮
歪量子井戸と伸張歪量子井戸との分離した場合でも、別
個に独立に駆動しない限り、偏波依存性が残っているこ
とが判った。
【0023】以上の評価試験から、本実施例の半導体光
増幅器素子10は、光増幅器利得の偏波依存性を完全に
解消することができたと評価できる。
【0024】実施例2(可視光半導体レーザの実施例) 本実施例は、本発明に係る半導体光機能素子を600n
m帯で発振する可視光半導体レーザに適用した例であっ
て、図4は本実施例の半導体レーザの断面図である。本
実施例の半導体レーザ40は、GaAs基板上に作成し
たAlGaInP系の素子長400μm の半導体レーザ
であって、図3に示すように、活性層50と活性層54
との間にクラッド層の導電型とは異なる導電型のキャリ
ア注入層52を有する層構造を備え、中央電極64と上
部電極62との間でキャリア注入層52、活性層54及
び上部クラッド層58を経由する電流通路を形成し、ま
た中央電極64と下部電極66との間でキャリア注入層
52、活性層50及び下部クラッド層46を経由する電
流経路を形成している。
【0025】以下に、更に詳しく、半導体レーザ40の
構造を説明する。半導体レーザ40は、図4に示すよう
に、基板上部にストライプ状に基板領域を保持するよう
にしてその両側にp−GaAs電流阻止層44を有する
n−GaAs基板42と、基板42上に、順次、エピタ
キシャル成長により成膜されたn−AlGaInP下部
クラッド層46、i−AlGaInP−SCH層48、
i−GaInP活性層50、p−AlGaInPキャリ
ア注入層52、i−GaInP活性層54、i−AlG
aInP−SCH層56、n−AlGaInP上部クラ
ッド層58及びn−GaAsコンタクト層60を有す
る。上部のコンタクト層60、上部クラッド層58、S
CH層56及び活性層54は、一部領域のキャリア注入
層52を露出するようにエッチングされて、更に、コン
タクト層60及び上部クラッド層58はエッチングされ
てリッジ形状に形成されている。コンタクト層60上に
は上部電極62、露出したキャリア注入層52上には中
央電極64及び基板42の下面には全面に下部電極66
が設けてある。
【0026】以下に、半導体レーザ40の製作方法を簡
単に説明する。先ず、基板42上にスパッタ法によりZ
nO、SiO2 を堆積し、堆積したZnO、SiO2
フォトリソグラフィ及び化学エッチングにより除去して
基板42をストライプ状に露出させ、続いて熱処理を施
してZnを基板42内に拡散して電流阻止層44を形成
する。次いで、MOCVD成長により、基板42上に、
順次、下部クラッド層46、SCH層48、活性層5
0、キャリア注入層52、活性層54、SCH層56、
上部クラッド層58及びコンタクト層60を成長させ
る。次いで、フォトリソグラフィ及び化学エッチングに
よりコンタクト層60、上部クラッド層58、SCH層
56及び活性層54の一部領域をキャリア注入層52ま
で除去して、キャリア注入層52を露出させる。更に、
フォトリソグラフィ及び化学エッチングをコンタクト層
60及び上部クラッド層58に施して、リッジを形成す
る。次いで、コンタクト層60上に上部電極62、キャ
リア注入層52上に中央電極64、基板42裏面に下部
電極66を形成し、更に、長さ400μm に劈開して半
導体レーザ40を完成する。
【0027】半導体レーザ40を評価するために、上部
電極62と下部電極66を電気的に短絡し、中央電極6
4との間で電流を流して測定したところ、閾値電流は3
0mA、発振波長は650nmであった。閾値電流の温
度依存性を評価するために、特性温度T0を求めたとこ
ろ、T0は200Kとなり、通常構造の130Kと比較
して、大きな値となり、良好な温度特性を有すると評価
できる。このことから、本発明の素子構造を用いること
により、オーバーフローによる電子の無効成分が減少し
ていることが明らかである。
【0028】実施例3(赤外半導体レーザの実施例) 本実施例は、本発明に係る半導体光機能素子を1300
nm帯で発振する赤外半導体レーザに適用した例であっ
て、図5は本実施例の半導体レーザの断面図である。本
実施例の半導体レーザ70は、InP基板上に作成した
InP系の長さ300μm の半導体レーザであって、図
5に示すように、双方とも圧縮歪量子井戸である活性層
80と活性層84との間にクラッド層の導電型とは異な
る導電型のキャリア注入層82を有する層構造を備え、
中央電極94と上部電極92との間でキャリア注入層8
2、活性層84及び上部クラッド層88を経由する電流
通路を形成し、また中央電極94と下部電極96との間
でキャリア注入層82、活性層80及び下部クラッド層
76を経由する電流経路を形成している。
【0029】以下に、更に詳しく、半導体レーザ70の
構造を説明する。半導体レーザ70は、図5に示すよう
に、基板上部にストライプ状に基板領域を保持するよう
にして両側にp−Inp電流阻止層74を有するn−I
nP基板72と、基板72上に、順次、n−InP下部
クラッド層76、i−GaInAsP−SCH層78、
圧縮歪が+1.0%で井戸3周期のi−GaInAsP
多重量子井戸(MQW)活性層80、p−InPキャリ
ア注入層82、圧縮歪が+1.0%で井戸3周期のi−
GaInAsP多重量子井戸(MQW)活性層84、i
−GaInAsP−SCH層86、n−InP上部クラ
ッド層88、及びn−GaInAsコンタクト層90を
有する。上部のコンタクト層90、上部クラッド層8
8、SCH層86及び活性層84は、一部の領域のキャ
リア注入層82を露出するようにエッチングされて、更
に、コンタクト層90及び上部クラッド層88はエッチ
ングされてリッジ形状に形成されている。コンタクト層
90上には上部電極92、露出したキャリア注入層82
上には中央電極94及び基板82の下面には全面に下部
電極96が設けてある。
【0030】以下に、半導体レーザ40の製作方法を簡
単に説明する。先ず、基板72上にスパッタ法によりZ
nO、SiO2 を堆積し、堆積したZnO、SiO2
フォトリソグラフィ及び化学エッチングにより除去して
基板72をストライプ状に露出させ、続いて熱処理を施
してZnを基板72内に拡散して電流阻止層74を形成
する。次いで、MOCVD成長により、基板72上に、
順次、下部クラッド層76、SCH層78、活性層8
0、キャリア注入層82、活性層84、SCH層86、
上部クラッド層88及びコンタクト層90を成長させ
る。次いで、フォトリソグラフィ及び化学エッチングに
よりコンタクト層90、上部クラッド層88、SCH層
86及び活性層84の一部領域をキャリア注入層82ま
で除去し、キャリア注入層82を露出させる。更に、フ
ォトリソグラフィ及び化学エッチングをコンタクト層9
0及び上部クラッド層88に施して、リッジを形成す
る。次いで、コンタクト層90上に上部電極92、キャ
リア注入層82上に中央電極94、基板72裏面に下部
電極96を形成し、更に、長さ300μm に劈開して半
導体レーザ70を完成する。
【0031】半導体レーザ70を評価するために、上部
電極92と下部電極96を電気的に短絡し、中央電極9
4との間で電流を流して測定したところ、閾値電流は1
5mA、発振波長は1310nmであった。閾値電流の
温度依存性を評価するために、特性温度T0を求めたと
ころ、T0は約180Kとなり、通常構造の1300n
m帯のレーザでの80Kと比較して大きな値となり、良
好な温度特性を有すると評価できる。このことから、本
発明の素子構造を用いることにより、オーバーフローに
よる電子の無効成分が減少していることが明らかとなっ
た。
【0032】
【発明の効果】本発明の構成によれば、半導体光増幅器
素子にあっては、キャリア注入層と下部クラッド層とに
挟まれた下側活性層と、キャリア注入層と上部クラッド
層とに挟まれた上側活性層とに活性層をキャリア注入層
により分割し、下側活性層及び上側活性層をそれぞれ伸
張歪量子井戸構造及び圧縮歪量子井戸構造のうちの一方
及び他方として構成することにより、利得の偏波依存性
を完全に解消することができる。また、キャリア注入層
と上部クラッド層との間の電流経路を流れる電流及びキ
ャリア注入層と下部クラッドとの間の電流経路を流れる
電流によって、各量子井戸を駆動することにより、2種
類の活性層の組成、膜厚などに多少ばらつきがあったと
しても、注入電流の強度を調節してばらつきの効果を補
償することができるので、素子歩留まりが飛躍的に向上
する。また、AlGaInP系600nm帯半導体レー
ザ又はInP系1300nm帯半導体レーザにあって
は、クラッド層の導電型をn型に、キャリア注入層の導
電型をp型にし、キャリア注入層の厚さが100nm以
下にすることにより、オーバーフローによる注入電子の
無効分の発生を抑制し、温度特性の良好な半導体レーザ
素子を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る半導体光機能素子を半導体光増幅
器に適用した際の層構造とその機能を説明する模式図で
ある。
【図2】本発明に係る半導体光機能素子を半導体レーザ
に適用した際の層構造とその機能を説明する模式図であ
る。
【図3】実施例1の半導体光増幅器の層構造を示す断面
図である。
【図4】実施例2の半導体レーザの層構造を示す断面図
である。
【図5】実施例3の半導体レーザの層構造を示す断面図
である。
【符号の説明】
10 実施例1の半導体光増幅器 12 p型InP基板 14 n−InP電流阻止層 16 p−InP下部クラッド層 18 i−GaInAsP−SCH層18 20 圧縮歪+1.0%井戸4周期のi−GaInAs
P多重量子井戸(MQW)活性層 22 n−InPキャリア注入層 24 伸張歪−1.2%井戸3周期のi−GaInAs
P多重量子井戸(MQW)活性層 26 i−GaInAsP−SCH層 28 p−InP上部クラッド層 30 p−GaInAsコンタクト層 32 上部電極 34 中央電極 36 下部電極 40 実施例2の半導体レーザ 42 n−GaAs基板 44 p−GaAs電流阻止層 46 n−AlGaInP下部クラッド層 48 i−AlGaInP−SCH層 50 i−GaInP活性層 52 p−AlGaInPキャリア注入層 54 i−GaInP活性層 56 i−AlGaInP−SCH層 58 n−AlGaInP上部クラッド層 60 n−GaAsコンタクト層 62 上部電極 64 中央電極 66 下部電極 70 実施例3の半導体レーザ 72 n−InP基板 74 p−Inp電流阻止層 76 n−InP下部クラッド層 78 i−GaInAsP−SCH層 80 圧縮歪+1.0%井戸3周期のi−GainAs
P多重量子井戸(MQW)活性層 82 p−InPキャリア注入層 84 圧縮歪+1.0%井戸3周期のi−GaInAs
P多重量子井戸(MQW)活性層 86 i−GaInAsP−SCH層 88 n−InP上部クラッド層 90 n−GaInAsコンタクト層 92 上部電極 94 中央電極 96 下部電極

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 それぞれが第一導電型の下部クラッド層
    及び上部クラッド層と、 下部クラッド層と上部クラッド層との間に挟まれ、クラ
    ッド層よりも禁制帯幅の小さい活性層と、 活性層中に中間層として介在する第二導電型の膜厚の薄
    いキャリア注入層とを備え、 活性層が、キャリア注入層と下部クラッド層とに挟まれ
    た下側活性層と、キャリア注入層と上部クラッド層とに
    挟まれた上側活性層とにそれぞれキャリア注入層により
    分割され、 キャリア注入層と上部クラッド層との間、及びキャリア
    注入層と下部クラッド層との間にそれぞれ電流経路が形
    成されていることを特徴とする半導体光機能素子。
  2. 【請求項2】 下側活性層及び上側活性層が、それぞ
    れ、伸張歪量子井戸構造及び圧縮歪量子井戸構造のうち
    の一方及び他方として構成され、 キャリア注入層と上部クラッド層との間の電流経路を流
    れる電流及びキャリア注入層と下部クラッドとの間の電
    流経路を流れる電流により、各量子井戸を駆動するよう
    にしたことを特徴とする請求項1に記載した半導体光機
    能素子。
  3. 【請求項3】 第一導電型がn型、第二導電型がp型で
    あって、キャリア注入層の厚さが100nm以下である
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載した半導体光機
    能素子。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100489042B1 (ko) * 2002-08-30 2005-05-11 엘지이노텍 주식회사 고출력 led를 위한 역피라미드형 플립 칩
JP2007294787A (ja) * 2006-04-27 2007-11-08 Ricoh Co Ltd 面発光レーザ素子、面発光レーザアレイ、光走査装置、画像形成装置及び光通信システム

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