JPH10302826A - 燃料電池 - Google Patents

燃料電池

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JPH10302826A
JPH10302826A JP9112629A JP11262997A JPH10302826A JP H10302826 A JPH10302826 A JP H10302826A JP 9112629 A JP9112629 A JP 9112629A JP 11262997 A JP11262997 A JP 11262997A JP H10302826 A JPH10302826 A JP H10302826A
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JP
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fuel
fuel gas
cooling plate
gas
fuel cell
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JP9112629A
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Kentaro Matsunaga
健太郎 松永
Taiji Kogami
泰司 小上
Hiroshi Chisawa
洋 知沢
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Toshiba Corp
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Toshiba Corp
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電池本体の冷却を簡易な構造で効率よく行う
ことができ、長期の運転時間にわたって良好な発電性能
を維持できる燃料電池を提供する。 【解決手段】 電池スタック3を4枚の単位電池1及び
2枚の冷却板5によって構成し、その周囲にガス流入排
出用のマニホールド9を設ける。改質器7を調節弁1
0、熱交換器81 ,82 を介して、電池スタック3の上
下にある冷却板5へ接続する。冷却板5のガス排出側に
熱交換器83 及び循環システム12を接続する。熱交換
器83 のガス排出側をマニホールド9に接続する。循環
システム12をポンプ13及び熱交換器84 にて構成
し、熱交換器84 のガス排出側を冷却板5のガス流入側
に接続する。温度センサー6、調整弁10、ポンプ13
及び熱交換器82 ,84 の冷却水量を、フィードバック
系11によって制御可能に設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、単位電池を複数積
層した電池スタックの冷却を、冷却媒体との熱交換によ
り行う燃料電池に係り、特に、冷却媒体として燃料ガス
を用いた燃料電池に関する。
【0002】
【従来の技術】燃料電池は、天然ガスなどの燃料を改質
して得られる水素と、空気中の酸素とを電気化学的に反
応させることにより、燃料のもつ化学エネルギーを直接
電気エネルギーに変換する装置である。この燃料電池
は、火力発電や水力発電のような熱エネルギーや運動エ
ネルギーの過程を経ない直接発電なので、小規模でも発
電効率が高い。また、燃料電池を用いた発電プラント
は、発電に伴って発生する熱が給湯や冷暖房として利用
しやすく、発電の熱効率が40〜50%にも達するた
め、火力発電などと比較しても極めて高効率である。さ
らに、燃料電池は、負荷変動に対する応答性が良いこと
の他に、公害要因であるSOX やNOX の排出量が極め
て少なく、燃焼サイクルを含まないので大量の冷却水を
要せず、振動音が小さいために、環境調和上非常に優れ
ているという長所を併せ持っている。このため、近年で
は、その実用化に向けての研究、開発が進められてい
る。
【0003】このような燃料電池のうち、電解質にリン
酸を用いたリン酸型燃料電池の一例を、図12を参照し
て以下に説明する。なお、図12は、燃料電池スタック
の一部分解斜視図である。すなわち、マトリックス層に
電解質であるリン酸を保持した電解質層1cが、燃料極
1a及び酸化剤極1bによって挟持されることにより、
単位電池1が構成されている。燃料極1a及び酸化剤極
1bは、ガス透過性の電極基材(多孔質炭素板)の一方
の面に、電極触媒層を形成したものであり、電解質層1
cはこの電極触媒層の間に挟持されている。かかる単位
電池1における燃料極1aに燃料ガス(水素と二酸化炭
素の混合ガス)を供給し、酸化剤極1bに酸化剤ガス
(空気)を供給すると、電気化学的反応により起電力が
得られる。各電極での反応は、それぞれ次の式1及び式
2の通りである。
【0004】
【数1】 酸化剤極:1/2O2 +2H+ +2e- →H2 O …式1
【数2】 燃料極 :H2 →2H+ +2e- …式2 ここで、通常のリン酸型燃料電池においては、1枚の単
位電池1当たりの出力電圧は0.7V前後と低い。この
ため、実際のプラントでは、必要とされる出力を得るた
めに、両極へ供給する反応ガスの混合を防ぐガス不透過
性のセパレータ2を介して、単位電池1を直列に積層す
ることにより、電池スタック3が構成されている。そし
て、かかる積層体である電池スタック3は、締付板Pに
よって上下から締付固定されている。
【0005】ところで、リン酸型燃料電池の動作温度と
しては200℃前後が望ましいが、上記の式1及び式2
で示した反応は発熱を伴う。この反応による発熱で電池
温度が過剰に上昇すると、電解質であるリン酸の蒸発や
構成材料の腐食などを引き起こし、電池の性能を劣化さ
せる原因となる。このため、通常のリン酸型燃料電池に
おいては、電池スタック3をいくつかのサブスタック4
と呼ばれる構成単位に分け、これらのサブスタック4間
に冷却板5を挿入し、外部から冷却媒体を通じて熱交換
することにより、電池スタック3全体を発電に適当な温
度に保っている。このような冷却方式としては、水冷方
式や空冷方式があるが、リン酸型燃料電池では運転温度
が比較的低温であるため、水冷方式が用いられることが
多い。また、水冷方式では冷却効率が良く、排熱の利用
が比較的容易であるという利点がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のよう
に構成された水冷方式の燃料電池を長時間運転すると、
冷却板5の中に、水を流通させる冷却管から水が漏れ出
す場合がある。これは、電池の電解質であるリン酸が、
冷却板5の単位電池1に接する表面や冷却板5の側面か
ら冷却板5の内部に浸透し、冷却管を腐食させることが
原因である。この冷却管の材質としては、一般に、カー
ボンなどに比べて強度に富み熱伝導率に優れ、機械的な
加工も容易な金属材料が用いられるが、リン酸型燃料電
池の構成材料としては、その重さや耐リン酸性が問題と
なる。
【0007】このような現象を防ぐために、冷却板5と
単位電池1とが接する面及び冷却板5の側面に、リン酸
浸透を防止するための様々な対策が施すことが行われて
いる。しかし、燃料電池の運転条件下で、浸透防止効果
を長期間保つのは難しく、燃料電池の長期連続運転を行
うにあたっての改良を要する点となっている。
【0008】さらに、水冷方式の冷却板5では、冷却器
毎の電気的絶縁や、循環させる冷却水の純度の管理が必
要とされるなど、システムの複雑化を招くという問題が
ある。これに対処するため、空冷方式の冷却板5を用い
ることも考えられる。かかる空冷式によれば、冷却板5
自体の構造が簡略化され、冷却器の耐リン酸性の問題は
緩和されるが、冷却媒体である空気や水素の循環システ
ムが大型化する上に、排熱の利用が難しくなる。
【0009】本発明は、以上のような従来技術の問題点
を解決するために提案されたものであり、その目的は、
電池本体の冷却を簡易な構造で効率よく行うことがで
き、長期の運転時間にわたって良好な発電性能を維持で
きる燃料電池を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明は、燃料極及び酸化剤極によって電解質層
を挟持した単位電池とガス不透過性のセパレータとを交
互に複数枚積層することにより構成された電池スタック
と、各単位電池における燃料極及び酸化剤極に対してそ
れぞれ燃料ガス及び酸化剤ガスを供給又は排出するマニ
ホールドと、前記電池スタックに供給する燃料ガスの温
度を調整する熱交換器とを有する燃料電池において、以
下のような技術的特徴を有する。
【0011】すなわち、請求項1記載の発明は、内部に
燃料ガスを流通させて冷却を行う冷却板が、前記電池ス
タックに挿入され、前記熱交換器からの燃料ガスを前記
冷却板に供給した後、各単位電池の燃料極に供給する燃
料供給経路を備えたことを特徴とする。以上のような請
求項1記載の発明では、燃料ガスを冷却板に供給して電
池スタックの冷却に用いた後に、各単位電池の燃料極に
供給して発電を行うので、水冷方式の場合の冷却管の腐
食による水漏れなどの問題を排して寿命特性を向上さ
せ、簡易な構造で効率のよい冷却及び発電を行うことが
できる。
【0012】請求項2記載の発明は、請求項1記載の燃
料電池において、前記冷却板が金属製であり、前記冷却
板における単位電池と接する部分の表面に金メッキ処理
が施され、若しくは前記冷却板とこれに隣接する単位電
池との間に金箔が挟まれ、前記冷却板の側面に金メッキ
処理が施され、若しくは前記冷却板の側面にフッ素樹脂
被膜が形成されていることを特徴とする。以上のような
請求項2記載の発明では、冷却板の材質が金属であるた
めに、優れた熱伝導効率で良好な冷却特性を得ることが
できるとともに、加工が容易となる。また、冷却板の表
面には、金メッキ処理やフッ素樹脂被膜の形成がなされ
ているので、リン酸等の電解質による腐食が防止され
る。
【0013】請求項3記載の発明は、請求項1記載の燃
料電池において、前記冷却板における燃料ガスが通過す
る部分がカーボン多孔質体で構成され、前記冷却板にお
ける単位電池に接する面及び燃料ガスの入口及び出口以
外の前記冷却板の側面に、ガス不透過性のカーボン層が
設けられていることを特徴とする。以上のような請求項
3記載の発明では、冷却板の冷却媒体が通過する部分、
すなわち熱交換部がカーボン多孔質体であるため、冷却
媒体との接触面積が増加し、簡易な構造で優れた冷却効
率が得られる。また、カーボンは通常の燃料電池の電極
と同種の材料であるため、冷却板をカーボンとすること
により、各部材の熱膨張率が均一化され、運転状態にお
ける内部の歪みの発生が最小限に抑えられる。
【0014】請求項4記載の発明は、請求項3記載の燃
料電池において、前記冷却板における燃料ガスが通過す
るカーボン多孔質体の空隙の一部に電解質が含浸され、
前記カーボン多孔質体における電解質含浸部分に電解質
を補給する機構が、前記電池スタックに接続されている
ことを特徴とする。以上のような請求項4記載の発明で
は、冷却板内部に電解質が含浸されているので、電池ス
タックへの燃料ガスの供給とともに電解質が供給され、
電池スタック中の電解質の減少が抑制される。また、電
解質補給機構によって冷却板内部へ電解質が補給される
ので、冷却板内部の電解質の減少も防止される。従っ
て、電解質不足による電池スタックの寿命特性低下が防
止される。
【0015】請求項5記載の発明は、請求項1〜4のい
ずれか1項に記載の燃料電池において、前記冷却板内
に、燃料ガスが通過する複数の流路が設けられ、一部の
流路における単位断面積当たりの流量が、その他の部分
の流路における単位断面積当たりの流量よりも大きくな
るように形成されていることを特徴とする。以上のよう
な請求項5記載の発明では、電池温度の高くなる部分の
冷却媒体の流量を大きくして、他の部分よりも強く冷却
することができるので、単位電池の面内温度分布を均一
化し、局部的な特性の劣化を抑制することができる。
【0016】請求項6記載の発明は、前記熱交換器から
の燃料ガスを前記電池スタックの複数の単位電池におけ
る一部のグループの燃料極に供給した後、排出した燃料
ガスを残りのグループの単位電池の燃料極に供給する燃
料供給経路を備えたことを特徴とする。以上のような請
求項6記載の発明では、電池スタックを構成する単位電
池を2つのグループに分け、熱交換器によって冷却した
燃料ガスを、一方のグループで熱交換後、他方のグルー
プの単位電池に供給するので、冷却板を用いずに電池ス
タックを発電に適当な温度に保つことができ、小形で寿
命特性が良好となる。
【0017】請求項7記載の発明は、請求項6記載の燃
料電池において、前記電池スタックの複数の単位電池に
おける一部のグループと残りのグループとの間の燃料供
給経路に、第2の熱交換器が設けられていることを特徴
とする。以上のような請求項7記載の発明では、一方の
グループの単位電池からの燃料ガスを熱交換器によって
冷却後、他方のグループの単位電池に供給するので、燃
料ガスの温度を、電池スタックの発電に適当な温度に正
確に保つことができ、寿命特性が向上する。
【0018】請求項8記載の発明は、請求項6又は請求
項7記載の燃料電池において、前記電池スタックに対す
る燃料ガスの入口と出口とを、逆に切り替える機構を備
えたことを特徴とする。以上のような請求項8記載の発
明では、先に燃料供給されるグループの単位電池と後に
燃料供給されるグループの単位電池との劣化速度に差異
が生じる場合であっても、入口と出口とを切り替えて、
両グループへの燃料供給順を逆にすることにより、単位
電池間の特性を均一に保つことができる。また、燃料ガ
スの流通方向を正逆入れ替えることにより、単位電池内
で電流密度が集中する部分を変化させることができるの
で、個々の単位電池の反応面における劣化箇所の偏りが
防止できる。
【0019】請求項9記載の発明は、請求項6〜8のい
ずれか1項に記載の燃料電池において、先に燃料ガスが
供給される単位電池のグループから排出される燃料ガス
中の二酸化酸素の分圧を減少させ、残りの他のグループ
の単位電池に供給する機構を備えたことを特徴とする。
以上のような請求項9記載の発明では、後のグループの
単位電池に供給される燃料ガスは、その二酸化炭素の分
圧が減少しているので、燃料ガスの水素濃度が高くな
り、各単位電池へ供給する燃料ガスの水素利用率を平均
化して、電池スタック全体の特性を向上させることがで
きる。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図面を参照
して以下に説明する。なお、図12で示した従来技術と
同様の部材は同一の符号を付し、説明を省略する。ま
た、電池スタックには上述のように空気と燃料ガスが供
給されるが、以下の系統図においては、説明の都合上燃
料ガスの供給ラインのみを示している。
【0021】(1)第1の実施の形態 請求項1記載の発明に対応する一つの実施の形態を第1
の実施の形態として、図1を参照して以下に説明する。
なお、図1は、本実施の形態のリン酸型燃料電池による
発電システムの模式的な系統図であり、図2は、冷却板
の縦断面の模式図を示す。
【0022】(構成)まず、本実施の形態の構成を説明
する。すなわち、電池スタック3は、4枚の単位電池1
及びこれらの単位電池1の上下に配設された2枚の冷却
板5によって構成されている。各単位電池1の間には、
ガス不透過性のセパレータ(図示せず)が介在してい
る。セパレータには温度センサー6が埋設され、運転中
の電池スタックの温度が検出可能に設けられている。そ
して、電池スタック3の周囲には、ガス供給用及び排出
用のマニホールド9が配設されている。
【0023】また、冷却板5は、図2に示すように、二
つのガス不透過性の稠密なカーボン材14が上下から接
合されることによって構成され、内部にガスが流通可能
な空間を有している。上下のカーボン材15を接合した
部分には、FEPフィルム15が挟まれて溶着されてい
る。冷却板5におけるガスが流通する内部には、その内
部を複数の部屋に仕切る隔壁16が、緻密なカーボン材
によって構成されるとともに、これらの各部屋に放熱板
17が多数均等に並設されている。さらに、冷却板5の
周囲は、FEPフィルム15′で覆われ、上下がセパレ
ータ2で挟まれて溶着されている。
【0024】このような燃料電池に対して燃料ガスを供
給するラインは、以下の通りである。すなわち、改質器
7は調節弁10、熱交換器81 ,82 を介して、電池ス
タック3の上下にある冷却板5へ接続されている。熱交
換器81 へは燃料ガスが供給可能に設けられ、熱交換器
2 には冷却水が循環可能に設けられている。なお、調
節弁10には、熱交換器81 及び82 を介さずに燃料ガ
スを冷却板5へ送るバイパスが接続されている。冷却板
5のガス排出側には、熱交換器83 が接続され、この熱
交換器83 のガス排出側は、電池すタック3の燃料ガス
供給側のマニホールド9に接続されている。
【0025】さらに、冷却板5のガス排出側には、循環
システム12が接続されている。この循環システム12
は、ガス流量調整用のポンプ13及び熱交換器84 にて
構成されている。熱交換器84 には、冷却水が循環可能
に設けられるとともに、そのガス排出側が冷却板5のガ
ス流入側に接続されている。そして、温度センサー6、
調整弁10、ポンプ13及び熱交換器82 ,84 の冷却
水量は、フィードバック系11によって制御される構成
となっている。
【0026】(作用)以上のような構成を有する本実施
の形態の作用は以下の通りである。すなわち、燃料ガス
は、改質器7から熱交換器81 ,82 を通って(バイパ
スからの経路の場合もあり、以下の実施の形態において
同様)、電池スタック3の上下にある冷却板5へ供給さ
れる。供給された燃料ガスは、冷却板5において熱交換
を行った後、熱交換器83 に送られて電池スタック3の
運転温度近くまで熱せられた後、マニホールド9を経て
電池スタック3を構成する単位電池1の燃料極に供給さ
れる。
【0027】ここで、単位電池1間に介在するセパレー
タ(図示せず)によって、隣接する単位電池1に供給さ
れる空気及び燃料ガスが混合することが防止される。ま
た、冷却板5の周囲はFEPフィルム15´で覆われ、
上下にセパレータ2が溶着されているので、冷却媒体で
ある燃料ガスが冷却板5の上下方向あるいは側面方向へ
漏れ出し、酸化剤である空気と直接反応することが防止
されるともに、電解質層に含浸されているリン酸の冷却
板5への移動が防止される。さらに、冷却板5の内部の
放熱板17によって燃料ガスとの接触面積が増え、熱交
換が効率よく行われるとともに、隔壁16によって冷却
板5の強度が確保される。
【0028】次に、冷却板5に供給する燃料ガスの温度
の調節について説明する。燃料ガスの原料の改質反応を
十分に進行させるために、改質器7は高温に保たれてい
る。このため、改質器7から供給される燃料ガスは、6
00〜800℃程度の高温となっている。この燃料ガス
の全部または一部は、調節弁10から熱交換器81 及び
熱交換器82 に送られ、電池スタックの温度以下に冷却
される。
【0029】熱交換器81 の冷却媒体には、改質を行う
前の燃料ガスの原料である石油ガスや天然ガス、メタノ
ールなどを用いる。このような熱交換器81 において必
要な冷却効率が得られない場合には、さらに下流側の熱
交換器82 において、冷却水を流通させて冷却する。こ
のため、この熱交換器82 においては、冷却水によっ
て、燃料の改質反応で生じた熱を系外に回収することが
できる。
【0030】冷却板5に供給される燃料ガスの温度の調
整は、熱交換器81 及び82 に送るガスの流量の調節弁
10による調節、及び熱交換器82 における冷却水の流
量の調節などにより行う。すなわち、運転中の電池スタ
ック3の温度は、セパレータに埋設された温度センサー
6によって検出される。この情報と、運転中に電池に発
生する熱量、冷却板の熱伝達能、及び燃料ガスの比熱な
どのデータを基に、フィードバック系11で、電池スタ
ック3の冷却に適当な温度となるように、電池に供給す
る燃料ガスの温度を調整する。
【0031】さらに、熱交換器81 ,82 による燃料ガ
スの冷却だけでは電池スタック3を十分に冷却できない
場合には、循環システム12に余分の燃料ガスを循環さ
せ、冷却板5に流通させる燃料ガスの流量を増加させ
る。循環させる燃料ガスの流量は、ポンプ13により調
整され、熱交換器84 において循環ガスを必要な温度ま
で冷却し、系外へ熱を取り出す。
【0032】(効果)以上のような本実施の形態の効果
は以下の通りである。すなわち、本実施の形態において
は、冷却媒体として、冷却効率の良い水素ガスを含む燃
料ガスを用いるので、冷却媒体に空気などを用いた場合
と比較して、良好な冷却効率が得られる。
【0033】また、冷却に用いた燃料ガスをそのまま発
電に用いるので、冷却のための水素と発電に用いる燃料
ガスを各々別系統で流す方式と比較して、電池内部にお
いて冷却媒体を巡回させる必要がないため、より単純な
構造の電池を得ることができる。そして、水冷方式にお
ける複雑な冷却循環構造などの不具合の生じる原因とな
るような複雑な機構を持たないため、良好な寿命特性を
得ることができる。
【0034】(2)第2の実施の形態 請求項2記載の発明に対応する一つの実施の形態を第2
の実施の形態として、図3(A),(B)を参照して以
下に説明する。なお、図3は、本実施の形態における冷
却板の模式的な構造図であり、(A)は側面断面図、
(B)は平面断面図を示す。
【0035】(構成)まず、本実施の形態の構成を説明
する。すなわち、冷却板5は、上下の電池に接する面と
燃料ガスの流通方向に平行な側面からなる外枠を備え、
その内部には複数の波状の放熱板17が並置されてい
る。これらの外枠及び放熱板17は、SUS304など
の金属材料で形成されている。そして、放熱板17は波
型に整形され、上下のエッジの部分が外枠の上下の内壁
に固定されている。また、外枠の上下の電池に接する面
には、金メッキ処理Mが施され、側面には、PTFEな
どのフッ素樹脂の薄膜18が形成されている。
【0036】(作用効果)以上のような本実施の形態の
作用効果は以下の通りである。すなわち、上述のよう
に、金属材料は強度、熱伝導、加工性の点で優れている
が、重さや耐リン酸性に問題がある。本実施の形態にお
いては、金属製の冷却板内部の放熱板17が波型に整形
され、エッジの部分が冷却板5の内壁に固定されている
ので、簡単な加工で冷却板5の構造的な強度が確保さ
れ、軽量化を実現できるとともに、燃料ガスの流路にお
いて大きな接触面積が得られるため、冷却効率が向上す
る。さらに、金属製の冷却板5の表面には、金メッキや
フッ素樹脂によう表面処理が施されているので、耐リン
酸性が向上し、冷却板5の寿命特性が良好となる。
【0037】(3)第3の実施の形態 請求項3記載の発明に対応する一つの実施の形態を、図
4を参照して以下に説明する。なお、図4は、本実施の
形態における冷却板の模式的な構造を示す概略縦断面図
である。
【0038】(構成)まず、本実施の形態の構成を説明
する。すなわち、冷却板5の外形は、図4に示すよう
に、図2に示した第1の実施の形態と同様に、カーボン
材14を上下から接合し、FEPフィルム15を挟んで
溶着することにより構成されている。冷却板5における
燃料ガスが流通する内部は、空隙率約75%のカーボン
多孔質体19が複数配設されている。そして、各カーボ
ン多孔質体19の間には、稠密なカーボン材による隔壁
16が設けられている。さらに、冷却板5の周囲は、F
EPフィルム15′で覆われ、上下がセパレータ2で挟
まれて溶着されている。
【0039】(作用)以上のような本実施の形態の作用
は以下の通りである。すなわち、燃料ガスは、このカー
ボン多孔質体19の空隙を通過する間に、電池スタック
3との熱交換が行われる。また、FEPフィルム15′
とセパレータ2によって、電池に含浸されているリン酸
が冷却板へ吸収されることが防止されるとともに、冷却
媒体として冷却板内部に流通する燃料ガスが、冷却板5
の上下方向あるいは側面方向へ漏れ出して、酸化剤であ
る空気と直接反応することが防止される。そして、冷却
板5の内部の隔壁16によって、上下方向の締め付けに
耐える強度が保たれる。
【0040】(効果)以上のような本実施の形態の効果
は以下の通りである。すなわち、冷却板5の熱交換を行
う部分がカーボン多孔質体19なので、単純な構造で冷
却媒体である燃料ガスとの接触面積を大きくすることが
でき、冷却能力が向上する。
【0041】また、一般的な電極材料と同種の材料であ
るカーボンを主体として冷却板5を構成しているので、
各部材の熱膨脹率が均一化し、運転条件における内部の
歪みの発生が最小限に抑えられ、運転の安定性と良好な
寿命特性を得ることができる。
【0042】(4)第4の実施の形態 請求項4記載の発明に対応する一つの実施の形態を第4
の実施の形態として、図5を参照して以下に説明する。
なお、図5は、本実施の形態のリン酸型燃料電池による
発電システムの模式的な系統図を示す。
【0043】(構成)まず、本実施の形態の構成を説明
する。すなわち、本実施の形態の基本構成は、循環シス
テム12(図1参照)を有しない他は、第1の実施の形
態と同様であり、電池スタック3に熱交換器81
2 ,83 が接続されている。但し、本実施の形態にお
ける電池スタック3には、冷却板5の端部のリン酸補充
口21を介してリン酸を補給するリン酸リザーバ20が
接続されている点に特徴を有する。そして、冷却板5の
内部において、冷却媒体である燃料ガスが流通して熱交
換を行う部分は、第3の実施の形態と同様に、カーボン
多孔質体19によって構成され、空隙の一部にはリン酸
が含浸されている。
【0044】(作用)以上のような構成を有する本実施
の形態の作用は、以下の通りである。すなわち、改質器
7から供給される燃料ガスは、第1の実施の形態で述べ
たように、熱交換器81 ,82 にて適当な温度まで冷却
され、冷却板5から熱交換器83 を経て電池スタック3
に達する。そして、燃料ガスが冷却板3内において熱交
換を行う際に、カーボン多孔質体19に含浸されたリン
酸の蒸気をガス中に取り込み、このリン酸蒸気を含んだ
ガスが電池スタック3に燃料として供給される。従っ
て、電池スタック3中のリン酸蒸気の蒸発が抑制され
る。
【0045】さらに、冷却板5中のカーボン多孔質体1
9に含浸されたリン酸は、運転中に燃料ガスによってリ
ン酸蒸気として徐々に搬出されるため、電池スタック3
の外部のリン酸リザーバ20から、冷却板5の端部のリ
ン酸補充口21を通じて、失われた分のリン酸が定期的
に補完される。
【0046】(効果)以上のような本実施の形態の効果
は以下の通りである。すなわち、燃料ガスとともにリン
酸蒸気が供給され、電池スタック3からのリン酸の減少
が抑制されるので、リン酸補給のための機構を特別にガ
ス流路に組み入れる必要がなく、簡易な構造で高い冷却
性能を実現できる。
【0047】また、冷却板5へのリン酸の補給が定期的
に行われ、冷却板5から電池スタック3へのリン酸補給
を長期にわたって継続することにより、リン酸不足によ
る電池スタックの劣化が防止でき、電池スタックの寿命
特性を向上させることができる。
【0048】(5)第5の実施の形態 請求項5に発明に対応する一つの実施の形態を、図6及
び図7を参照して以下に説明する。なお、図6は、一般
的なリン酸型燃料電池システムにおける単位電池へのガ
ス供給方向の模式図であり、図7は、本実施の形態にお
ける冷却板の縦断面の模式図である。
【0049】(構成)まず、本実施の形態の構成を説明
する。すなわち、第3の実施の形態と同様に、図7に示
すように、冷却板5内部の熱交換部分は、隔壁16によ
って3つに分割され、カーボン多孔質体19A及び19
Bを有している。但し、カーボン多孔質体19Aと19
Bとは、以下のように相違している。つまり、図6に示
すように、電池スタック3を構成する単位電池1に対し
ては、空気は燃料ガスと直交する方向から供給される。
本実施の形態では、多孔質体を2つの部分に分けて、空
気入口に近い部分では気孔率を残りの部分に比べて大き
く設定されている。すなわち、図6に示すように、Aの
部分では気孔率が約85%の材料であるカーボン多孔質
体19Aが用いられ、Bの部分では気孔率が約70%の
材料であるカーボン多孔質体19Bが用いられている。
【0050】(作用効果)以上のような構成を有する本
実施の形態の作用効果は以下の通りである。すなわち、
一般に、反応ガス(特に酸素)の濃度が高い部分では反
応が集中し、電流密度が高くなるため、他の部分に比べ
て電池温度が上昇する傾向がある。図6に示した単位電
池1においては、Aの部分は空気中の酸素利用率が小さ
く、電流密度が高くなる傾向にある部分、すなわち電池
平面内の温度分布において温度上昇が顕著な部分に相当
する。かかる電池温度の過度な上昇は触媒の劣化を招
き、電池の寿命特性にも悪影響を与える。
【0051】これに対して、本実施の形態においては、
図7に示した冷却板5におけるカー本多孔質体19Aの
部分では、カーボン多孔質体19Bの部分に比べて冷却
板5の熱交換部材の気孔率が高く、冷却媒体である燃料
ガスに対する流路抵抗が低い。従って、冷媒流路におけ
る単位断面積当たりの燃料ガスの流量を比較すると、カ
ーボン多孔質体19Aではカーボン多孔質体19Bより
燃料ガスの流量が大きい。このため、カーボン多孔質体
19Aの部分の冷却能は、カーボン多孔質体19Bの部
分の冷却能に比べて大きくなっている。これにより、電
池平面内における温度分布の偏りが解消され温度分布が
均一化するので、局部的な特性の劣化が押さえられ、電
池スタック3の寿命特性を向上させることができる。
【0052】(6)第6の実施の形態 請求項6及び請求項7記載の発明に対応する一つの実施
の形態を、図8を参照して以下に説明する。なお、図8
は、本実施の形態のリン酸型燃料電池による発電システ
ムの模式的な系統図である。
【0053】(構成)まず、本実施の形態の構成を説明
する。本実施の形態においては、電池スタック3が7枚
の単位電池1,1´によって構成され、各単位電池1,
1´の間には、第1の実施の形態と同様のガス不透過性
のセパレータ(図示せず)が介在している。かかる電池
スタック3に対して、第1の実施の形態と同様の熱交換
器81,82 ,83 、循環システム12が接続されてい
るが、熱交換器81 ,82 及び循環システム12からの
燃料ガスは、上下の各2枚の単位電池1´の燃料極へ供
給される構成となっている。
【0054】また、上下の単位電池1´から排出される
燃料ガスは、熱交換器83 を介して、中央の3枚の単位
電池1へ供給される構成となっている。なお、これらの
燃料ガスの供給排出は、電池スタック3の側面に設けら
れたマニホールド9を介して行われる。
【0055】(作用)以上のような構成を有する本実施
の形態の作用は、以下の通りである。すなわち、燃料ガ
スは、改質器7から熱交換器81 ,82 を通って電池ス
タック3の上下各2枚の単位電池1′の燃料極へ供給さ
れる。燃料ガスの温度は、第1の実施の形態と同様に、
温度センサー6で検出した電池スタック3の運転温度
と、運転中に電池で発生する熱量、冷却板5の熱伝達
能、及び燃料ガスの比熱などのデータを基にフィードバ
ック系11において設定される。
【0056】そして、熱交換器81 ,82 の冷却能では
電池スタック3を十分冷却できない場合は、循環システ
ム12により冷却に用いる燃料ガスの流量を増加させ、
電池スタック3の温度を発電に適当な温度となるように
調節する。電池スタック3の上下各2枚の単位電池1′
において、発電及び電池スタックとの熱交換を行った燃
料ガスは、いったん出口側のマニホールド9へ排出さ
れ、熱交換器83 に送られて電池スタック3の運転温度
近くまで熱せられた後、残りの3枚の単位電池1の燃料
極に供給され、発電が行われる。
【0057】(効果)以上のような本実施の形態の効果
は以下の通りである。すなわち、冷却した燃料ガスを、
電池スタック3を構成する単位電池1,1´のうちの上
下の単位電池1´に供給することにより、電池スタック
3全体の冷却を行うので、冷却板5を用いない電池スタ
ック3を構成することができ、電池構造をより小形化
し、冷却機構に関係した不具合を起こりにくくすること
ができる。
【0058】さらに、冷却される電池には、少なくとも
電池スタック3を構成する電池全体で消費される分の燃
料ガスが供給されるため、熱伝達能の高い水素の流量が
大きく、冷却効率が高くなる。
【0059】(7)第7の実施の形態 請求項6及び7記載の発明に対応する他の一つの実施の
形態を第7の実施の形態として、図9に従って以下に説
明する。なお、図9は、本実施の形態のリン酸型燃料電
池による発電システムの模式図を示す。
【0060】(構成)まず、本実施の形態の構成を説明
する。すなわち、本実施の形態においては、電池スタッ
ク3が7枚の単位電池1,1´によって構成され、各単
位電池1,1´の間には、第1の実施の形態と同様のガ
ス不透過性のセパレータ(図示せず)が介在している。
かかる電池スタック3に対して、第1の実施の形態と同
様の熱交換器81 ,82 ,83 、循環システム12が接
続されているが、熱交換器81,82 からの燃料ガス
は、中央の3枚の単位電池1の燃料極へ供給される構成
となっている。そして、この中央の単位電池1への燃料
ガスの供給経路に温度センサー6´が設けられ、フィー
ドバック系11に接続されている。
【0061】また、中央の単位電池1から排出される燃
料ガスは、熱交換器83 を介して、上下の各2枚の単位
電池1´へ供給される構成となっている。これらの上下
の各2枚の単位電池1´から排出される燃料ガスの一部
は、循環システム12を介して再び上下の単位電池1´
に供給可能に設けられている。さらに、中央の単位電池
1のセパレータには、温度センサー6が埋設され、フイ
ードバック系11´に接続されている。そして、循環シ
ステム12及び熱交換器83 の冷却水量は、フィードバ
ック系11によって制御される構成となっている。な
お、電池スタック3への燃料ガスの供給排出は、電池ス
タック3の側面に設けられたマニホールド9を介して行
われる。
【0062】(作用)以上のような構成を有する本実施
の形態の作用は以下の通りである。すなわち、燃料ガス
は、改質器7から熱交換器81 ,82 を通って、中央の
3枚の単位電池1の燃料極に供給される。このとき燃料
ガスの温度は、電池スタック3の運転温度の設定値と同
じ温度に調節される。すなわち、温度センサー6′によ
って検出された燃料ガスの温度と電池スタック3の運転
温度の設定値との差が小さくなるように、フィードバッ
ク系11によって熱交換器82 の冷却水流量及び調節弁
10が調節される。
【0063】3枚の単位電池1から排出された燃料ガス
は、熱交換器83 へ導かれる。ここで、燃料ガスの温度
は、電池スタック3の冷却に適当な温度となるように調
節される。すなわち、温度センサー6で検出された電池
スタック3の運転温度と、運転中に電池で発生する熱
量、単位電池の熱伝達能、及び燃料ガスの比熱などのデ
ータを基にフィードバック系11′が熱交換器83 の冷
却水流量を調節する。
【0064】冷却された燃料ガスは、上下各2枚の単位
電池1´の燃料極へ供給される。熱交換器83 の冷却能
で電池スタック3を十分冷却できない場合は、循環シス
テム12により冷却に用いる燃料ガスの流量を増加さ
せ、電池スタック3の温度を発電に適当な温度となるよ
うに調節する。
【0065】(効果)以上のような本実施の形態の効果
は以下の通りである。すなわち、冷却した燃料ガスを、
電池スタック3を構成する単位電池のうちの上下の単位
電池1´に供給することにより、電池スタック全体の冷
却を行うので、冷却板5を用いない電池スタックの構成
が可能になり、電池構造をより小形化し、冷却機構に関
係した不具合を起こりにくくすることができる。
【0066】さらに、中央部の温度の比較的高い単位電
池1に、電池スタック3を構成する電池全体で消費され
る燃料ガスが供給されるため、これらの電池における水
素利用率は小さくなり、これらの電池でより高い特性を
得ることができる。
【0067】(8)第8の実施の形態 請求項8記載の発明に対応する一つの実施の形態を第8
の実施の形態として、図10を参照して以下に説明す
る。なお、図10は、本実施の形態のリン酸型燃料電池
による発電システムの模式的な系統図を示す。
【0068】(構成)まず、本実施の形態の構成を説明
する。すなわち、本実施の形態においては、電池スタッ
ク3が7枚の単位電池1,1´によって構成され、各単
位電池1,1´の間には、第1の実施の形態と同様のガ
ス不透過性のセパレータ(図示せず)が介在している。
かかる電池スタック3に対する熱交換器81 ,82 及び
バイパスからの供給経路には、バルブ22が設けられて
いる。バルブ22による燃料ガスの供給はA,Bの2つ
の方向に切り替え可能な構成となっている。A方向は中
央にある3枚の単位電池1へ接続され、B方向は上下に
ある各2枚の単位電池1´へ接続されている。さらに、
A方向の経路から分岐した経路には、排出バルブ23A
が設けられ、B方向の経路から分岐した経路には、排出
バルブ23Bが設けられている。
【0069】また、中央の単位電池1から排出される燃
料ガスは、熱交換器83 を介して、上下の各2枚の単位
電池1´へ供給される構成となっている。これらの上下
の各2枚の単位電池1´から排出される燃料ガスの一部
は、循環システム12を介して再び上下の単位電池1´
に供給可能に設けられている。さらに、中央の単位電池
1のセパレータには、温度センサー6が埋設され、フイ
ードバック系11に接続されている。そして、循環シス
テム12及び熱交換器83 の冷却水量は、フィードバッ
ク系11によって制御される構成となっている。なお、
電池スタック3への燃料ガスの供給排出は、電池スタッ
ク3の側面に設けられたマニホールド9を介して行われ
る。
【0070】(作用)以上のような構成を有する本実施
の形態の作用は以下の通りである。すなわち、燃料ガス
は、改質器7から熱交換器81 及び82 、さらにバルブ
22を経て電池スタック1又は1´に供給される。ここ
で、燃料ガスの温度は、熱交換器81及び82 によっ
て、電池スタック3の運転温度とほぼ同じ温度に調節さ
れる。
【0071】そして、本実施の形態においては、バルブ
22によって、燃料ガスの供給はA,Bの2つの方向に
切り替えることができる。まず、バルブ22をA方向に
開いて燃料ガスをA方向に流す場合には、排出バルブ2
3Aを閉じ排出バルブ23Bを開く。すると、全体の構
造は、図9で示した第8の実施の形態と同様となる。つ
まり、燃料ガスは、まず電池スタック3の中央にある3
枚の単位電池1の燃料極に供給される。前記の3枚の単
位電池1から排出された燃料ガスは、次に熱交換器83
によって電池スタック3の冷却に適当な温度まで冷却さ
れた後、残りの上下各2枚の単位電池1´の燃料極へ供
給される。電池スタック3から最終的に排気された燃料
ガスは、排出バルブ23Bから系外に排出される。
【0072】次に、バルブ22をB方向に開いて燃料ガ
スをB方向に流す場合には、排出バルブ23Aを開き排
出バルブ23Bを閉じる。すると、全体の構造は、図8
で示した第7の実施の形態とほぼ同様となる。つまり、
燃料ガスは、まず電池スタック3の上下各2枚の単位電
池1´へ供給され、熱交換器83 を経て電池スタックの
冷却に適当な温度まで冷却された後、中央の3枚の単位
電池1に至る。残りの燃料ガスは、排出バルブ23Aか
ら最終的に外部へ排出される。
【0073】(効果)以上のような本実施の形態の効果
は以下の通りである。すなわち、運転温度や水素利用率
など運転条件の異なる電池では電池特性の劣化の速度も
異なるため、比較的温度の高い電池スタック3の中央3
枚の単位電池1と、温度の低くなる上下各2枚の単位電
池1´とでは、長時間の運転によって特性に格差が生じ
ることが考えられる。しかし、本実施の形態において
は、バルブの操作により、電池スタック3の中央部の3
枚の単位電池1と上下各2枚の単位電池1´との運転条
件を入れ替えることができるので、単位電池1及び1´
間の特性を均一に保つことができ、電池スタック3全体
として長期にわたって安定した特性を得ることができ
る。
【0074】また、燃料の流れる方向がを正逆入れ替え
ることにより、単位電池1,1´における反応平面内に
おいて、電流密度が集中する部分を変化させることがで
きるため、反応平面における特性劣化箇所が偏ることを
防ぐことができ、このことによっても長期にわたる安定
性を確保できる。
【0075】(9)第9の実施の形態 請求項9記載の発明に対応する一つの実施の形態を第9
の実施の形態として、図11に従って以下に説明する。
なお、図11は、本実施の形態のリン酸型燃料電池によ
る発電システムの模式図を示す。
【0076】(構成)まず、本実施の形態の構成を説明
する。すなわち、本実施の形態は、基本的には、図9に
示した第7の実施の形態と同様の構成である。但し、熱
交換器83 と上下の2枚の各単位電池との間に、バブラ
ー24が設けられている点が異なる。このバブラー24
は、内部にアルカリ性の水溶液が保持され、この水溶液
に燃料ガスを通過させることにより、二酸化炭素を溶解
させる装置である。このバブラー24には、アルカリ性
水溶液を補充する補充口26と、排出用のドレン25が
設けられている。
【0077】(作用)以上のような構成を有する本実施
の形態の作用は以下の通りである。すなわち、燃料ガス
は、改質器7から熱交換器81 及び82 を通って、中央
にある3枚の単位電池1の燃料極に供給される。このと
き、燃料ガスの温度は、第7の実施の形態と同様に、電
池スタック3の運転温度とほぼ同じ温度に調節される。
そして、3枚の単位電池1から排出された燃料ガスは、
熱交換器83 へ導かれる。ここで、燃料ガスの温度は、
第7の実施の形態と同様に、電池スタック3の冷却に適
当な温度となるように調節される。このように冷却され
た燃料ガスは、さらにバブラー24へ導かれる。
【0078】すると、バブラー24内部において、燃料
ガス中の二酸化炭素の一部が、バブリングの際にアルカ
リ性の水溶液と反応して溶液中に溶解するので、燃料ガ
ス中の二酸化炭素が吸収され、燃料ガスの水素濃度が高
くなる。このようにバブラー24を通って水素濃度が高
くなった燃料ガスは、電池スタック3の上下各2枚の単
位電池1´の燃料極へ供給され、発電及び電池スタック
3との熱交換を行う。一方、二酸化炭素の溶解によって
アルカリ性が中和されたバブラー24内の水溶液は、ド
レン25から適宜排出され、新しい溶液が補充口26か
ら補充される。
【0079】(効果)以上のような本実施の形態の効果
は以下の通りである。すなわち、本実施の形態において
は、バブラー24によって燃料ガスの水素濃度を再び高
くして、単位電池1´へ供給するので、電池スタック3
を構成する各電池へ供給する燃料ガスの水素利用率が平
均化され、電池スタック3全体の特性を向上させること
ができる。また、バブラー24中のアルカリ性水溶液
は、随時交換されるので、長期にわたって上記の効果を
維持することができる。従って、電池スタック全体の発
電性能を向上させ、長期間にわたって発電性能を良好に
維持することができる。
【0080】(10)その他の実施の形態 本発明は上記のような実施の形態に限定されるものでは
ない。例えば、請求項2記載の発明に対応する他の実施
の形態として、第2の実施の形態の冷却板の側面の処理
を金メッキ処理としたものも構成可能であり、これによ
っても耐リン酸性を確保することができる。また、請求
項9記載の発明に対応する他の実施の形態として、第9
の実施の形態のバブラー24を、水素ガスの膜分離装置
などで代用させたものも構成可能である。
【0081】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
電池本体の冷却を簡易な構造で効率よく行うことがで
き、長期の運転時間にわたって良好な発電性能を維持可
能な燃料電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の燃料電池の第1の実施の形態を示す模
式的な系統図である。
【図2】本発明の燃料電池の第1の実施の形態における
冷却板の模式的な構造を示す概略縦断面図である。
【図3】本発明の燃料電池の第2の実施の形態における
冷却板の模式的な構造を示す側面断面図(A)、平面断
面図(B)である。
【図4】本発明の燃料電池の第3の実施の形態における
冷却板の模式的な構造を示す概略縦断面図である。
【図5】本発明の燃料電池の第4の実施の形態を示す模
式的な系統図である。
【図6】一般的な燃料電池の単位電池へのガス供給方向
を示す模式図である。
【図7】本発明の燃料電池の第5の実施の形態における
冷却板の模式的な構造を示す概略縦断面図である。
【図8】本発明の燃料電池の第6の実施の形態を示す模
式的な系統図である。
【図9】本発明の燃料電池の第7の実施の形態を示す模
式的な系統図である。
【図10】本発明の燃料電池の第8の実施の形態を示す
模式的な系統図である。
【図11】本発明の燃料電池の第9の実施の形態を示す
模式的な系統図である。
【図12】一般的なリン酸型燃料電池の電池スタックを
示す一部分解斜視図である。
【符号の説明】
1…単位電池 1a…燃料極 1b…酸化剤極 1c…電解質層 2…セパレータ 3…電池スタック 4…サブスタック 5…冷却板 6…温度センサー 7…改質器 8…熱交換器 9…マニホールド 10…調節弁 11…フィードバック系 12…循環システム 13…ポンプ 14…緻密なカーボン材 15…FEPフィルム 16…隔壁 17…放熱板 18…フッ素樹脂の薄膜 19…カーボン多孔質体 20…リン酸リザーバ 21…リン酸補給口 22…バルブ 23…排出バルブ 24…バブラー 25…ドレン 26…補充口

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 燃料極及び酸化剤極によって電解質層を
    挟持した単位電池とガス不透過性のセパレータとを交互
    に複数枚積層することにより構成された電池スタック
    と、各単位電池における燃料極及び酸化剤極に対してそ
    れぞれ燃料ガス及び酸化剤ガスを供給又は排出するマニ
    ホールドと、前記電池スタックに供給する燃料ガスの温
    度を調整する熱交換器とを有する燃料電池において、 内部に燃料ガスを流通させて冷却を行う冷却板が、前記
    電池スタックに挿入され、 前記熱交換器からの燃料ガスを前記冷却板に供給した
    後、各単位電池の燃料極に供給する燃料供給経路を備え
    たことを特徴とする燃料電池。
  2. 【請求項2】 前記冷却板が金属製であり、 前記冷却板における単位電池と接する部分の表面に金メ
    ッキ処理が施され、若しくは前記冷却板とこれに隣接す
    る単位電池との間に金箔が挟まれ、 前記冷却板の側面に金メッキ処理が施され、若しくは前
    記冷却板の側面にフッ素樹脂被膜が形成されていること
    を特徴とする請求項1記載の燃料電池。
  3. 【請求項3】 前記冷却板における燃料ガスが通過する
    部分がカーボン多孔質体で構成され、 前記冷却板における単位電池に接する面及び燃料ガスの
    入口及び出口以外の前記冷却板の側面に、ガス不透過性
    のカーボン層が設けられていることを特徴とする請求項
    1記載の燃料電池。
  4. 【請求項4】 前記冷却板における燃料ガスが通過する
    カーボン多孔質体の空隙の一部に電解質が含浸され、 前記カーボン多孔質体における電解質含浸部分に電解質
    を補給する機構が、前記電池スタックに接続されている
    ことを特徴とする請求項3記載の燃料電池。
  5. 【請求項5】 前記冷却板内に、燃料ガスが通過する複
    数の流路が設けられ、 一部の流路における単位断面積当たりの流量が、その他
    の部分の流路における単位断面積当たりの流量よりも大
    きくなるように構成されていることを特徴とする請求項
    1〜4のいずれか1項に記載の燃料電池。
  6. 【請求項6】 燃料極及び酸化剤極によって電解質層を
    挟持した単位電池とガス不透過性のセパレータとを交互
    に複数枚積層することにより構成された電池スタック
    と、各単位電池における燃料極及び酸化剤極に対してそ
    れぞれ燃料ガス及び酸化剤ガスを供給又は排出するマニ
    ホールドと、前記電池スタックに供給する燃料ガスの温
    度を調整する熱交換器とを有する燃料電池において、 前記熱交換器からの燃料ガスを前記電池スタックの複数
    の単位電池における一部のグループの燃料極に供給した
    後、排出した燃料ガスを残りのグループの単位電池の燃
    料極に供給する燃料供給経路を備えたことを特徴とする
    燃料電池。
  7. 【請求項7】 前記電池スタックの複数の単位電池にお
    ける一部のグループと残りのグループとの間の燃料供給
    経路に、第2の熱交換器が設けられていることを特徴と
    する請求項6記載の燃料電池。
  8. 【請求項8】 前記電池スタックに対する燃料ガスの入
    口と出口とを、逆に切り替える機構を備えたことを特徴
    とする請求項6又は請求項7記載の燃料電池。
  9. 【請求項9】 先に燃料ガスが供給される単位電池のグ
    ループから排出される燃料ガス中の二酸化酸素の分圧を
    減少させ、残りのグループの単位電池に供給する機構を
    備えたことを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に
    記載の燃料電池。
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