JPH1030097A - 熱間圧延用潤滑剤 - Google Patents
熱間圧延用潤滑剤Info
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- JPH1030097A JPH1030097A JP18454896A JP18454896A JPH1030097A JP H1030097 A JPH1030097 A JP H1030097A JP 18454896 A JP18454896 A JP 18454896A JP 18454896 A JP18454896 A JP 18454896A JP H1030097 A JPH1030097 A JP H1030097A
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- Japan
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- oxide
- lubricant
- roll
- hot rolling
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-
- B—PERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
- B21—MECHANICAL METAL-WORKING WITHOUT ESSENTIALLY REMOVING MATERIAL; PUNCHING METAL
- B21B—ROLLING OF METAL
- B21B45/00—Devices for surface or other treatment of work, specially combined with or arranged in, or specially adapted for use in connection with, metal-rolling mills
- B21B45/02—Devices for surface or other treatment of work, specially combined with or arranged in, or specially adapted for use in connection with, metal-rolling mills for lubricating, cooling, or cleaning
- B21B45/0239—Lubricating
- B21B45/0242—Lubricants
Landscapes
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Mechanical Engineering (AREA)
- Lubricants (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】熱間圧延用潤滑剤、特に孔型ロールを用いる熱
間圧延に用いて有効な熱間圧延用潤滑剤を提供する。 【解決手段】水または水を主体とする溶液中に、酸化硼
素、硼酸または硼酸化合物からなる第1の物質と、この
第1の物質とは異なる酸化鉄、酸化アルミニウム、酸化
クロム、酸化珪素および酸化チタンなどの第2の酸化物
とを分散させた潤滑剤。第1の物質と第2の酸化物の含
有量は、重量%で、それぞれ5〜30%、1〜10%と
するのが好ましい。また、第2の酸化物は、平均粒径が
10μm以下のものを用いるのが好ましい。 【効果】上記の潤滑剤は、優れた焼き付き、スリップお
よび疵発生防止を発揮する。このため、ミスロールによ
る生産性低下および疵発生減少による製品歩留まり向上
が図れるのみならず、表面性状の良好な製品が得られ
る。
間圧延に用いて有効な熱間圧延用潤滑剤を提供する。 【解決手段】水または水を主体とする溶液中に、酸化硼
素、硼酸または硼酸化合物からなる第1の物質と、この
第1の物質とは異なる酸化鉄、酸化アルミニウム、酸化
クロム、酸化珪素および酸化チタンなどの第2の酸化物
とを分散させた潤滑剤。第1の物質と第2の酸化物の含
有量は、重量%で、それぞれ5〜30%、1〜10%と
するのが好ましい。また、第2の酸化物は、平均粒径が
10μm以下のものを用いるのが好ましい。 【効果】上記の潤滑剤は、優れた焼き付き、スリップお
よび疵発生防止を発揮する。このため、ミスロールによ
る生産性低下および疵発生減少による製品歩留まり向上
が図れるのみならず、表面性状の良好な製品が得られ
る。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鋼材の熱間圧延用
潤滑剤、より詳しくは、孔型ロールを用いる熱間圧延に
用いて特に有効な熱間圧延用潤滑剤に関する。
潤滑剤、より詳しくは、孔型ロールを用いる熱間圧延に
用いて特に有効な熱間圧延用潤滑剤に関する。
【0002】
【従来の技術】鋼材の熱間圧延用潤滑剤としては、従来
から数多くの潤滑剤が開発提案されている。そのうち、
主としてロールと被加工材料間の焼き付きを防止するた
めの潤滑剤としては、水溶液中に0.5〜30重量%の
水溶性硼酸塩化合物を含有させた潤滑剤(特開平2−3
0312号公報)や、粘性水溶液中に1〜30重量%の
酸化鉄粉末あるいは水酸化鉄粉末を分散させた潤滑剤
(特開平1−83309号公報、同6−136380号
公報)などがある。
から数多くの潤滑剤が開発提案されている。そのうち、
主としてロールと被加工材料間の焼き付きを防止するた
めの潤滑剤としては、水溶液中に0.5〜30重量%の
水溶性硼酸塩化合物を含有させた潤滑剤(特開平2−3
0312号公報)や、粘性水溶液中に1〜30重量%の
酸化鉄粉末あるいは水酸化鉄粉末を分散させた潤滑剤
(特開平1−83309号公報、同6−136380号
公報)などがある。
【0003】しかし、上記の潤滑剤は、これを孔型ロー
ルを用いる熱間圧延に用いた場合、次のような欠点を有
していた。
ルを用いる熱間圧延に用いた場合、次のような欠点を有
していた。
【0004】すなわち、孔型ロールを用いる熱間圧延法
としては、例えば、マンネスマン−プラグミル方式、マ
ンネスマン−ピルガーミル方式あるいはマンネスマン−
マンドレルミル方式などに代表される継目無製管法にお
ける延伸圧延工程や縮径圧延工程などがある。
としては、例えば、マンネスマン−プラグミル方式、マ
ンネスマン−ピルガーミル方式あるいはマンネスマン−
マンドレルミル方式などに代表される継目無製管法にお
ける延伸圧延工程や縮径圧延工程などがある。
【0005】上記の延伸圧延工程は、2〜4個の孔型ロ
ールを組み込んだロールスタンドを1基または複数基連
続配置して構成されたプラグミル、ピルガーミルあるい
はマンドレルミルと称される圧延機により行われる。ま
た、上記の縮径圧延工程は、上記同様に、2〜4個の孔
型ロールを組み込んだロールスタンドを複数基連続配置
して構成されたサイザーあるいはストレッチレデューサ
ーと称される圧延機により行われる。
ールを組み込んだロールスタンドを1基または複数基連
続配置して構成されたプラグミル、ピルガーミルあるい
はマンドレルミルと称される圧延機により行われる。ま
た、上記の縮径圧延工程は、上記同様に、2〜4個の孔
型ロールを組み込んだロールスタンドを複数基連続配置
して構成されたサイザーあるいはストレッチレデューサ
ーと称される圧延機により行われる。
【0006】さらに、上記以外の孔型ロールを用いる熱
間圧延法としては、ビレット圧延やレール圧延あるいは
H型鋼圧延などに用いられる棒鋼圧延機や条鋼圧延機あ
るいは型鋼用圧延機などもある。
間圧延法としては、ビレット圧延やレール圧延あるいは
H型鋼圧延などに用いられる棒鋼圧延機や条鋼圧延機あ
るいは型鋼用圧延機などもある。
【0007】上記のような孔型ロールを用いる圧延で
は、孔型の溝底部とフランジ部近傍との周速差が大き
い。このため、ロール表面の圧延進行方向成分速度と被
圧延材の進行速度との相対速度差が溝底部とフランジ部
近傍とで大きくなり、滑り摩擦状態になる。
は、孔型の溝底部とフランジ部近傍との周速差が大き
い。このため、ロール表面の圧延進行方向成分速度と被
圧延材の進行速度との相対速度差が溝底部とフランジ部
近傍とで大きくなり、滑り摩擦状態になる。
【0008】また、管圧延の場合には、被圧延材が中空
で変形しやすいので、フランジ部での被圧延材の孔型円
周方向への滑りが大きくなる。さらに、その圧延が延伸
圧延である場合は、肉厚加工が施されるので、上記円周
方向への滑りが一層大きくなる傾向がある。
で変形しやすいので、フランジ部での被圧延材の孔型円
周方向への滑りが大きくなる。さらに、その圧延が延伸
圧延である場合は、肉厚加工が施されるので、上記円周
方向への滑りが一層大きくなる傾向がある。
【0009】このため、孔型ロールを用いる圧延では、
上記滑り摩擦に起因してロール表面に焼付きが発生し、
かつ被圧延材表面に疵が発生する。特に、被圧延材が大
きな変形抵抗を有するのみならず、潤滑物質となるスケ
ール発生の少ないステンレス鋼などでは、上記の焼付き
と疵の発生がより著しくなる。
上記滑り摩擦に起因してロール表面に焼付きが発生し、
かつ被圧延材表面に疵が発生する。特に、被圧延材が大
きな変形抵抗を有するのみならず、潤滑物質となるスケ
ール発生の少ないステンレス鋼などでは、上記の焼付き
と疵の発生がより著しくなる。
【0010】ところが、上記特開平2−30312号公
報に示される潤滑剤は、摩擦係数が低すぎるために、ロ
ールと被圧延材料との間にスリップが起こり、ミスロー
ルが生しやすいという欠点があった。ミスロールの発生
は、生産性を低下させるのみならず、寸法不良などの不
良品を発生させるので、製品歩留まりが低下する。
報に示される潤滑剤は、摩擦係数が低すぎるために、ロ
ールと被圧延材料との間にスリップが起こり、ミスロー
ルが生しやすいという欠点があった。ミスロールの発生
は、生産性を低下させるのみならず、寸法不良などの不
良品を発生させるので、製品歩留まりが低下する。
【0011】なお、上記のスリップは、当該潤滑剤の塗
布量を少なくすることにより防ぐことができるが、この
場合は十分な焼き付き防止効果が得られないことがあっ
た。また、特開平1−83309号公報および同6−1
36380号公報に示される潤滑剤は、十分に高い摩擦
係数を有しており、上記スリップが発生することはほと
んどない。しかし、その主成分がいわゆる酸化鉄粒子の
みであるために、被圧延材の表面にピット疵やアバタ疵
が発生しやすいという欠点があった。
布量を少なくすることにより防ぐことができるが、この
場合は十分な焼き付き防止効果が得られないことがあっ
た。また、特開平1−83309号公報および同6−1
36380号公報に示される潤滑剤は、十分に高い摩擦
係数を有しており、上記スリップが発生することはほと
んどない。しかし、その主成分がいわゆる酸化鉄粒子の
みであるために、被圧延材の表面にピット疵やアバタ疵
が発生しやすいという欠点があった。
【0012】従って、ロールと被加工材料間の焼き付き
と表面疵の発生を防止できることは勿論であるが、上記
スリップの発生をも同時に防ぐことのできる潤滑剤の開
発が望まれていた。
と表面疵の発生を防止できることは勿論であるが、上記
スリップの発生をも同時に防ぐことのできる潤滑剤の開
発が望まれていた。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の実情
に鑑みてなされたもので、その課題は、焼き付きと表面
疵およびスリップの発生を同時に防ぐことのできる熱間
圧延用潤滑剤を提供することにある。
に鑑みてなされたもので、その課題は、焼き付きと表面
疵およびスリップの発生を同時に防ぐことのできる熱間
圧延用潤滑剤を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、次の熱
間圧延用潤滑剤にある。
間圧延用潤滑剤にある。
【0015】酸化硼素、硼酸または硼酸化合物からなる
第1の物質と、この第1の物質とは異なる第2の酸化物
とが分散した水または水を主体とする溶液からなること
を特徴とする熱間圧延用潤滑剤。
第1の物質と、この第1の物質とは異なる第2の酸化物
とが分散した水または水を主体とする溶液からなること
を特徴とする熱間圧延用潤滑剤。
【0016】上記本発明の熱間圧延用潤滑剤にあって
は、第2の酸化物は、酸化鉄、酸化アルミニウム、酸化
クロム、酸化珪素および酸化チタンのうちのいずれか、
またはこれらのうちから選ばれた2種以上の混合物、も
しくはこれらの酸化物と、酸化ナトリウム、酸化カリウ
ム、酸化リチウムおよび酸化カルシウムのうちのいずれ
か1種または2種以上との複合酸化物であることが好ま
しい。
は、第2の酸化物は、酸化鉄、酸化アルミニウム、酸化
クロム、酸化珪素および酸化チタンのうちのいずれか、
またはこれらのうちから選ばれた2種以上の混合物、も
しくはこれらの酸化物と、酸化ナトリウム、酸化カリウ
ム、酸化リチウムおよび酸化カルシウムのうちのいずれ
か1種または2種以上との複合酸化物であることが好ま
しい。
【0017】また、第1の物質と第2の酸化物の量は、
それぞれ5〜30重量%、1〜10重量%とするのが好
ましい。
それぞれ5〜30重量%、1〜10重量%とするのが好
ましい。
【0018】さらに、上記複合酸化物のうちの液状のも
のを除く第2の酸化物は、その平均粒子径が10μm以
下であることが好ましい。
のを除く第2の酸化物は、その平均粒子径が10μm以
下であることが好ましい。
【0019】本発明者は、上記従来の潤滑剤の欠点であ
るスリップと疵発生防止対策、および耐焼付き性のさら
なる改善を図るために、種々成分組成の潤滑剤を対象
に、多くの実験を行った。その結果、次のことを知見
し、本発明をなすにいたった。
るスリップと疵発生防止対策、および耐焼付き性のさら
なる改善を図るために、種々成分組成の潤滑剤を対象
に、多くの実験を行った。その結果、次のことを知見
し、本発明をなすにいたった。
【0020】すなわち、孔型ロールを用いる熱間圧延で
顕著に発生する焼き付きを防止するためには、上記特開
平2−30312号公報に示される潤滑剤と同様に、主
剤として酸化硼素、硼酸または硼酸化合物を用いる必要
のあることを確認した。
顕著に発生する焼き付きを防止するためには、上記特開
平2−30312号公報に示される潤滑剤と同様に、主
剤として酸化硼素、硼酸または硼酸化合物を用いる必要
のあることを確認した。
【0021】また、上記酸化硼酸(含む硼酸および硼酸
化合物)を除く種々の酸化物について、摩擦係数の一般
的な測定方法であるリング圧縮試験法を用いてその摩擦
係数を調べる一方、耐焼付き性を調べた。その結果、上
記特開平1−83309号公報に示される潤滑剤主成分
の酸化鉄は勿論、酸化アルミニウム、酸化クロム、酸化
珪素および酸化チタンなどの酸化物、さらにはこれらの
酸化物と、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化リチウ
ムおよび酸化カルシウムのうちのいずれか1種または2
種以上との複合酸化物が耐焼き付き性を有することを見
いだした。
化合物)を除く種々の酸化物について、摩擦係数の一般
的な測定方法であるリング圧縮試験法を用いてその摩擦
係数を調べる一方、耐焼付き性を調べた。その結果、上
記特開平1−83309号公報に示される潤滑剤主成分
の酸化鉄は勿論、酸化アルミニウム、酸化クロム、酸化
珪素および酸化チタンなどの酸化物、さらにはこれらの
酸化物と、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化リチウ
ムおよび酸化カルシウムのうちのいずれか1種または2
種以上との複合酸化物が耐焼き付き性を有することを見
いだした。
【0022】そして、これら酸化鉄、酸化アルミニウ
ム、酸化クロム、酸化珪素および酸化チタンなどの酸化
物、もしくはこれらの酸化物と、酸化ナトリウム、酸化
カリウム、酸化リチウムおよび酸化カルシウムとの複合
酸化物と、上記酸化硼素、硼酸または硼酸化合物とを複
合させると、従来の潤滑剤にも増して一段と耐焼き付き
性が向上するのみならず、スリップ防止効果があり、か
つピット疵やアバタ疵の発生をより効果的に抑制可能な
潤滑剤が得られることを知見した。
ム、酸化クロム、酸化珪素および酸化チタンなどの酸化
物、もしくはこれらの酸化物と、酸化ナトリウム、酸化
カリウム、酸化リチウムおよび酸化カルシウムとの複合
酸化物と、上記酸化硼素、硼酸または硼酸化合物とを複
合させると、従来の潤滑剤にも増して一段と耐焼き付き
性が向上するのみならず、スリップ防止効果があり、か
つピット疵やアバタ疵の発生をより効果的に抑制可能な
潤滑剤が得られることを知見した。
【0023】すなわち、酸化硼素、硼酸または硼酸化合
物からなる第1の物質と、この第1の物質とは異なる第
2の酸化物とを水または水を主体とする溶液中に分散さ
せた潤滑剤とすればよいことを知見した。
物からなる第1の物質と、この第1の物質とは異なる第
2の酸化物とを水または水を主体とする溶液中に分散さ
せた潤滑剤とすればよいことを知見した。
【0024】
【発明の実施の形態】本発明の潤滑剤において、第1の
物質と第2の酸化物の含有量は特に限定されない。
物質と第2の酸化物の含有量は特に限定されない。
【0025】しかし、第1の物質の含有量が5重量%未
満で、かつ第2の酸化物の含有量が10重量%超である
と、十分な焼き付き防止効果とスリップ防止効果は得ら
れるものの、第2の酸化物が多すぎるために、これが被
圧延材の表面に転写されてピット疵やアバタ疵を発生さ
せやすく、十分な疵発生防止効果が得難くなる。
満で、かつ第2の酸化物の含有量が10重量%超である
と、十分な焼き付き防止効果とスリップ防止効果は得ら
れるものの、第2の酸化物が多すぎるために、これが被
圧延材の表面に転写されてピット疵やアバタ疵を発生さ
せやすく、十分な疵発生防止効果が得難くなる。
【0026】逆に、第1の物質の含有量が30重量%超
で、かつ第2の酸化物の含有量が1重量%未満である
と、十分な焼き付き防止効果と疵発生防止効果は得られ
るものの、第1の物質が多すぎるために、十分なスリッ
プ防止効果が得難くなる。
で、かつ第2の酸化物の含有量が1重量%未満である
と、十分な焼き付き防止効果と疵発生防止効果は得られ
るものの、第1の物質が多すぎるために、十分なスリッ
プ防止効果が得難くなる。
【0027】従って、十分な焼き付き防止効果、スリッ
プ防止効果および疵発生防止効果を確実に得るために
は、第1の物質と第2の酸化物の含有量は、それぞれ5
〜30重量%、1〜10重量%とするのが好ましい。
プ防止効果および疵発生防止効果を確実に得るために
は、第1の物質と第2の酸化物の含有量は、それぞれ5
〜30重量%、1〜10重量%とするのが好ましい。
【0028】上記第1の物質のうちの硼酸および硼酸化
合物としては、次のようなものを用いることができる。
合物としては、次のようなものを用いることができる。
【0029】まず、硼酸としては、オルト硼酸(H3 B
O3 (=B(OH)3 ))、メタ硼酸(HBO2 )、次
硼酸(H4 B2 O4 )を挙げることができる。なお、こ
れらのうち、コスト面からは、入手が容易で比較的安価
なオルト硼酸を用いるのが最も好ましい。
O3 (=B(OH)3 ))、メタ硼酸(HBO2 )、次
硼酸(H4 B2 O4 )を挙げることができる。なお、こ
れらのうち、コスト面からは、入手が容易で比較的安価
なオルト硼酸を用いるのが最も好ましい。
【0030】次に、硼酸化合物としては、水溶性の硼酸
塩化合物、すなわち硼酸のアルカリ塩である硼酸ナトリ
ウムや硼酸カリウム、硼酸アンモニウム塩、硼酸アルカ
ノールアミン塩、さらには硼酸と水溶性アミンの塩、例
えばテトラエチレンペンタミン、シクロヘキシルアミ
ン、ジエチレントリアミン、アルキルアミンなど、並び
に非水溶性の硼酸化合物、すなわちNa2 (B(OH)
4 )Cl、K(B(OH)4 )Cl、Mg3 (BO3 )
2 などを挙げることができる。
塩化合物、すなわち硼酸のアルカリ塩である硼酸ナトリ
ウムや硼酸カリウム、硼酸アンモニウム塩、硼酸アルカ
ノールアミン塩、さらには硼酸と水溶性アミンの塩、例
えばテトラエチレンペンタミン、シクロヘキシルアミ
ン、ジエチレントリアミン、アルキルアミンなど、並び
に非水溶性の硼酸化合物、すなわちNa2 (B(OH)
4 )Cl、K(B(OH)4 )Cl、Mg3 (BO3 )
2 などを挙げることができる。
【0031】これらの硼酸化合物のうち、コスト面から
は、入手が容易で比較的安価な硼酸アルカノールアミン
塩を用いるのが最も好ましい。
は、入手が容易で比較的安価な硼酸アルカノールアミン
塩を用いるのが最も好ましい。
【0032】なお、上記硼酸および硼酸化合物は、いず
れも800℃以上の高温域、すなわちその使用中には酸
化硼素(B2 O3 )となる。このため、本発明において
は、上記硼酸および硼酸化合物に代えて酸化硼素(B2
O3 )を第1の物質として用いてもよいのである。
れも800℃以上の高温域、すなわちその使用中には酸
化硼素(B2 O3 )となる。このため、本発明において
は、上記硼酸および硼酸化合物に代えて酸化硼素(B2
O3 )を第1の物質として用いてもよいのである。
【0033】第2の酸化物としては、FeOやFe2 O
3 (ヘマタイト)およびやFe3 04 (マグネタイト)
などの酸化鉄、α−Al2 03 やβ−Al2 03 などの
酸化アルミニウム、珪砂(Si02 )などの酸化珪素、
Cr2 O3 などの酸化クロム、TiO2 などの酸化チタ
ン、さらには酸化鉛、酸化銅、酸化亜鉛、メタ燐酸ナト
リウムなどの無機系燐化合物、硫酸ナトリウムなどの無
機系硫黄化合物、また更には、上記のうちの酸化鉄、酸
化アルミニウム、酸化珪素、酸化クロムおよび酸化チタ
ンなどの酸化物と、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸
化リチウムおよび酸化カルシウムとの複合酸化物(例え
ば、酸化珪素と酸化ナトリウムとの複合酸化物である珪
酸ソーダで、これに約30重量%の水分を加えた化合物
であるいわゆる水ガラスを含む)などを挙げることがで
きる。
3 (ヘマタイト)およびやFe3 04 (マグネタイト)
などの酸化鉄、α−Al2 03 やβ−Al2 03 などの
酸化アルミニウム、珪砂(Si02 )などの酸化珪素、
Cr2 O3 などの酸化クロム、TiO2 などの酸化チタ
ン、さらには酸化鉛、酸化銅、酸化亜鉛、メタ燐酸ナト
リウムなどの無機系燐化合物、硫酸ナトリウムなどの無
機系硫黄化合物、また更には、上記のうちの酸化鉄、酸
化アルミニウム、酸化珪素、酸化クロムおよび酸化チタ
ンなどの酸化物と、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸
化リチウムおよび酸化カルシウムとの複合酸化物(例え
ば、酸化珪素と酸化ナトリウムとの複合酸化物である珪
酸ソーダで、これに約30重量%の水分を加えた化合物
であるいわゆる水ガラスを含む)などを挙げることがで
きる。
【0034】しかし、上記第2の酸化物のうち、鉄に比
べて低融点金属の酸化物である酸化鉛、酸化銅、酸化亜
鉛および燐化合物や硫黄化合物は、被加工鋼材中に浸入
するほか、その表面に生成形成する安定酸化物被膜を破
壊し、得られた製品の表面見栄や耐食性および靱性を著
しく劣化させる恐れがある。
べて低融点金属の酸化物である酸化鉛、酸化銅、酸化亜
鉛および燐化合物や硫黄化合物は、被加工鋼材中に浸入
するほか、その表面に生成形成する安定酸化物被膜を破
壊し、得られた製品の表面見栄や耐食性および靱性を著
しく劣化させる恐れがある。
【0035】従って、第2の酸化物としては、上記のう
ち、酸化鉄、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化クロム
および酸化チタンのうちのいずれか1種を単独、または
2種以上を混合して用いるか、もしくはこれらの酸化物
と、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化リチウムおよ
び酸化カルシウムとの複合酸化物を用いるのが好まし
い。
ち、酸化鉄、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化クロム
および酸化チタンのうちのいずれか1種を単独、または
2種以上を混合して用いるか、もしくはこれらの酸化物
と、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化リチウムおよ
び酸化カルシウムとの複合酸化物を用いるのが好まし
い。
【0036】また、上記第2の酸化物で、複合酸化物の
うちの水ガラスに代表される液状以外の酸化物は、実際
の塗布作業時に用いる潤滑剤噴射ノズルの噴射性を確保
したり、転着による疵発生を避ける観点から、その平均
粒径が10μm以下の粒子状ものを用いるのが好まし
い。
うちの水ガラスに代表される液状以外の酸化物は、実際
の塗布作業時に用いる潤滑剤噴射ノズルの噴射性を確保
したり、転着による疵発生を避ける観点から、その平均
粒径が10μm以下の粒子状ものを用いるのが好まし
い。
【0037】上記第1の物質と第2の酸化物は、溶液中
に混合分散させ、主としてポンプ揚力で配管を通して噴
射ノズルから被処理材(主として孔型ロール)に対して
供給使用される。このため、上記溶液としては水のみで
十分であるが、貯蔵性や配管供給性さらには展着性を考
慮し、分散剤や増粘剤(兼展着剤)などを添加した水を
主体とした水溶液とするのが望ましい。
に混合分散させ、主としてポンプ揚力で配管を通して噴
射ノズルから被処理材(主として孔型ロール)に対して
供給使用される。このため、上記溶液としては水のみで
十分であるが、貯蔵性や配管供給性さらには展着性を考
慮し、分散剤や増粘剤(兼展着剤)などを添加した水を
主体とした水溶液とするのが望ましい。
【0038】特に、第1の物質と第2の酸化物、なかで
も第2の酸化物の分散状態をできるだけ長期にわたって
維持するするためには、分散剤を添加するのが好まし
い。また、十分な配管供給性と非処理材に対する展着性
を確保するためには、増粘剤(兼展着剤)を添加してそ
の粘度を1000〜50000mPa・S(ミリパスカ
ル・セカンド)の範囲に調整して使用するのが好まし
い。
も第2の酸化物の分散状態をできるだけ長期にわたって
維持するするためには、分散剤を添加するのが好まし
い。また、十分な配管供給性と非処理材に対する展着性
を確保するためには、増粘剤(兼展着剤)を添加してそ
の粘度を1000〜50000mPa・S(ミリパスカ
ル・セカンド)の範囲に調整して使用するのが好まし
い。
【0039】上記分散剤としては、アクリル酸ソーダ、
アクリル酸アンモニウム塩、アクリル酸アミン塩などを
挙げることができる。そして、これらの分散剤を含有さ
せる場合、その含有量は、0.1〜5重量%とするのが
好ましい。すなわち、その含有量が0.1重量%未満で
はその効果が得られない。逆に、5重量%を超えて添加
してもその効果は飽和し、コストが上昇するのみであ
る。
アクリル酸アンモニウム塩、アクリル酸アミン塩などを
挙げることができる。そして、これらの分散剤を含有さ
せる場合、その含有量は、0.1〜5重量%とするのが
好ましい。すなわち、その含有量が0.1重量%未満で
はその効果が得られない。逆に、5重量%を超えて添加
してもその効果は飽和し、コストが上昇するのみであ
る。
【0040】また、上記増粘剤(兼展着剤)としては、
アクリル酸重合体、カルボキシビニールポリマー、メチ
ルセルロース、カルボキシルメチルセルロース、ポリビ
ニールアルコール、ポリエチレンオキサシドなどを挙げ
ることができる。そして、これらの増粘剤(兼展着剤)
を含有させる場合、その含有量は、0.1〜5重量%と
するのが好ましい。すなわち、その含有量が0.1重量
%未満ではその効果が得られない。逆に、その含有量が
5重量%を超えると、粘度が高くなりすぎて配管供給性
と噴射ノズルの噴射性が悪化するのみならず、噴射ノズ
ルが目詰まりしやすくなる。
アクリル酸重合体、カルボキシビニールポリマー、メチ
ルセルロース、カルボキシルメチルセルロース、ポリビ
ニールアルコール、ポリエチレンオキサシドなどを挙げ
ることができる。そして、これらの増粘剤(兼展着剤)
を含有させる場合、その含有量は、0.1〜5重量%と
するのが好ましい。すなわち、その含有量が0.1重量
%未満ではその効果が得られない。逆に、その含有量が
5重量%を超えると、粘度が高くなりすぎて配管供給性
と噴射ノズルの噴射性が悪化するのみならず、噴射ノズ
ルが目詰まりしやすくなる。
【0041】なお、本発明の潤滑剤は、孔型ロールを用
いる熱間圧延に限らず、孔型ロールを用いる温間圧延は
勿論、フラットロールを用いる薄板や厚板などの熱間
(含む温間)板圧延、さらには熱間(含む温間)鍛造加
工などの塑性加工用の潤滑剤としても適用できることは
いうまでもない。
いる熱間圧延に限らず、孔型ロールを用いる温間圧延は
勿論、フラットロールを用いる薄板や厚板などの熱間
(含む温間)板圧延、さらには熱間(含む温間)鍛造加
工などの塑性加工用の潤滑剤としても適用できることは
いうまでもない。
【0042】
(実施例1)表1に示す成分組成を有する13種類の潤
滑剤を準備した。
滑剤を準備した。
【0043】
【表1】
【0044】そして、これらの潤滑剤をマンネスマン−
マンドレルミル方式におけるマンドレルミルでの管圧延
に適用した。
マンドレルミル方式におけるマンドレルミルでの管圧延
に適用した。
【0045】この際、マンドレルミルとしては、孔型溝
底部のロール直径が450〜500mmの2ロールスタ
ンドを7基連設したもので、素管の温度が比較的高くて
焼き付きが発生しにくい反面強度が要求される1〜4番
目までと、孔型の溝底部分で焼き付きが最も発生しやす
い6番目のロールスタンドのロール材質を比較的焼き付
きが発生しやすいアダマイト製とし、素管の温度が低下
して焼き付きが発生しやすい5番目と7番目のロールス
タンドのロール材質を焼き付きが発生しにくいダクタイ
ル鋳鉄製としたものを用いた。
底部のロール直径が450〜500mmの2ロールスタ
ンドを7基連設したもので、素管の温度が比較的高くて
焼き付きが発生しにくい反面強度が要求される1〜4番
目までと、孔型の溝底部分で焼き付きが最も発生しやす
い6番目のロールスタンドのロール材質を比較的焼き付
きが発生しやすいアダマイト製とし、素管の温度が低下
して焼き付きが発生しやすい5番目と7番目のロールス
タンドのロール材質を焼き付きが発生しにくいダクタイ
ル鋳鉄製としたものを用いた。
【0046】そして、ロール表面から約100mm離間
した位置にノズル先端が位置するように配置した2本の
噴射ノズルを用い、孔型の溝底部分で焼き付きが最も発
生しやすい6番目のロールスタンドの2つの孔型ロール
の孔型部分に、10kgf/cm2 のエアーを混合した
気液混合状態の潤滑剤を合計20リットル/hで供給し
た。一方、6番目以外のロールスタンドの孔型ロール
は、全て無潤滑とした。
した位置にノズル先端が位置するように配置した2本の
噴射ノズルを用い、孔型の溝底部分で焼き付きが最も発
生しやすい6番目のロールスタンドの2つの孔型ロール
の孔型部分に、10kgf/cm2 のエアーを混合した
気液混合状態の潤滑剤を合計20リットル/hで供給し
た。一方、6番目以外のロールスタンドの孔型ロール
は、全て無潤滑とした。
【0047】また、圧延は、それぞれの潤滑剤につい
て、SUS304製で、ピアサーで穿孔圧延した後、シ
ェルサイザーにより外径181mm、肉厚18mm、長
さ5500mmに寸法調整した素管各10本を、外径1
51mm、肉厚7mm、長さ16000mmに延伸圧延
した。この時、素管の内部挿入するマンドレルバーに
は、黒鉛系の潤滑剤を塗布した。
て、SUS304製で、ピアサーで穿孔圧延した後、シ
ェルサイザーにより外径181mm、肉厚18mm、長
さ5500mmに寸法調整した素管各10本を、外径1
51mm、肉厚7mm、長さ16000mmに延伸圧延
した。この時、素管の内部挿入するマンドレルバーに
は、黒鉛系の潤滑剤を塗布した。
【0048】マンドレルミル圧延後の管は、1000℃
に再加熱した後、ストレッチレデューサーに通して外径
114.3mm、肉厚6.5mmに仕上げ、長さ660
0mmの4本の製品に切断した。この時、ストレッチレ
デューサーとしては、孔型溝底部のロール直径が310
〜380mmの3ロールスタンドを24基連設したもの
で、1〜15番目までのロールスタンドでは焼き付きが
発生しないことからそのロール材質をチルド製とし、1
6〜24番目までのロールスタンドではロール材質がチ
ルド製であると素管の温度が低下して焼き付きが発生す
ることからそのロール材質を焼き付きの発生しにくいグ
レン製としたものを用いた。そして、全てのロールスタ
ンドの孔型ロールは、無潤滑とした。
に再加熱した後、ストレッチレデューサーに通して外径
114.3mm、肉厚6.5mmに仕上げ、長さ660
0mmの4本の製品に切断した。この時、ストレッチレ
デューサーとしては、孔型溝底部のロール直径が310
〜380mmの3ロールスタンドを24基連設したもの
で、1〜15番目までのロールスタンドでは焼き付きが
発生しないことからそのロール材質をチルド製とし、1
6〜24番目までのロールスタンドではロール材質がチ
ルド製であると素管の温度が低下して焼き付きが発生す
ることからそのロール材質を焼き付きの発生しにくいグ
レン製としたものを用いた。そして、全てのロールスタ
ンドの孔型ロールは、無潤滑とした。
【0049】そして、スリップの発生有無については、
上記マンドレルミルの6番目のロールスタンドの孔型ロ
ールの駆動用モータトルク値を観察して判定した。ま
た、焼き付きの発生有無については、ストレッチレデュ
ーサー圧延後の切断製品に酸洗処理を施し、その表面を
目視観察して焼き付き起因疵の有無を確認した。さら
に、ピット疵やアバタ疵については、目視観察では十分
に判別できないので、上記酸洗処理後の切断製品を蛍光
磁粉探傷試験に供してその発生有無を確認した。
上記マンドレルミルの6番目のロールスタンドの孔型ロ
ールの駆動用モータトルク値を観察して判定した。ま
た、焼き付きの発生有無については、ストレッチレデュ
ーサー圧延後の切断製品に酸洗処理を施し、その表面を
目視観察して焼き付き起因疵の有無を確認した。さら
に、ピット疵やアバタ疵については、目視観察では十分
に判別できないので、上記酸洗処理後の切断製品を蛍光
磁粉探傷試験に供してその発生有無を確認した。
【0050】なお、マンドレルミルの6番目を除く他の
ロールスタンドとストレッチレデューサーでの焼き付き
発生は、各素管の圧延終了後、その都度各孔型ロールの
表面を目視観察した結果、いずれの場合も認められなか
った。
ロールスタンドとストレッチレデューサーでの焼き付き
発生は、各素管の圧延終了後、その都度各孔型ロールの
表面を目視観察した結果、いずれの場合も認められなか
った。
【0051】また、上記の圧延とは別に、外径が19m
m、内径d0 が9mm、高さH0 が6mmのSUS30
4製の環状試験片を1100℃に加熱し、その両端面と
SKD6製の上下1対の押圧ダイスとの間に厚さ100
μmの潤滑剤層を介在させた状態でその高さを圧縮する
リング圧縮試験を行って各潤滑剤の摩擦係数μを調べ
た。
m、内径d0 が9mm、高さH0 が6mmのSUS30
4製の環状試験片を1100℃に加熱し、その両端面と
SKD6製の上下1対の押圧ダイスとの間に厚さ100
μmの潤滑剤層を介在させた状態でその高さを圧縮する
リング圧縮試験を行って各潤滑剤の摩擦係数μを調べ
た。
【0052】なお、摩擦係数μは、試験片の高さH0
(=6mm)を高さH(=4.2mm)に圧縮した後の
内径d(mm)を測定し、「Journal of Institute of
Metals1964.65, vol.93 のp40〜44」に掲載された下式
により求めた。
(=6mm)を高さH(=4.2mm)に圧縮した後の
内径d(mm)を測定し、「Journal of Institute of
Metals1964.65, vol.93 のp40〜44」に掲載された下式
により求めた。
【0053】E=m×ln(μ/0.055) ここで、 E={(d0 −d)/d0 }×100(%) m=exp{(0.044×Re)+1.06} Re={(H0 −H)/H0 }×100(%) これらの結果を、表1に併記して示した。
【0054】表1に示す結果から明らかなように、第1
の物質のみからなる従来の潤滑剤(前述の特開平2−3
0312号公報に示される潤滑剤)を用いた場合(No.
11および12)では、ピット疵もしくはアバタ疵が全
く発生しなかった。しかし、これらの潤滑剤は、摩擦係
数が低すぎるために、10本中8本および5本にスリッ
プが発生した。また、そのうち、No. 12の潤滑剤で
は、40本の製品中4本、換算すれば10本中1本の全
長にわたり焼き付き疵が発生した。
の物質のみからなる従来の潤滑剤(前述の特開平2−3
0312号公報に示される潤滑剤)を用いた場合(No.
11および12)では、ピット疵もしくはアバタ疵が全
く発生しなかった。しかし、これらの潤滑剤は、摩擦係
数が低すぎるために、10本中8本および5本にスリッ
プが発生した。また、そのうち、No. 12の潤滑剤で
は、40本の製品中4本、換算すれば10本中1本の全
長にわたり焼き付き疵が発生した。
【0055】また、第2の酸化物粒子のみからなる従来
の潤滑剤(前述の特開平1−83309号公報に示され
る潤滑剤)を用いた場合(No. 13参照)では、スリッ
プおよび焼き付き疵は全く発生しなかった。しかし、こ
の潤滑剤は、硬質の粒子のみからなるために、40本の
製品全数、換言すれば10本全部の全長にわたってピッ
ト疵もしくはアバタ疵が発生した。
の潤滑剤(前述の特開平1−83309号公報に示され
る潤滑剤)を用いた場合(No. 13参照)では、スリッ
プおよび焼き付き疵は全く発生しなかった。しかし、こ
の潤滑剤は、硬質の粒子のみからなるために、40本の
製品全数、換言すれば10本全部の全長にわたってピッ
ト疵もしくはアバタ疵が発生した。
【0056】これに対し、本発明の潤滑剤を用いた場合
(No. 1〜10)では、第2の酸化物の平均粒径が大き
いすぎる潤滑剤(No. 3)で40本の製品中1本、換言
すれば1本の管の1/4の長さ部分のみにピット疵が発
生し、また第1の物質の含有量が多すぎる潤滑剤(No.
9)で10本中3本にスルップが発生した以外は、極め
て良好な結果が得られた。
(No. 1〜10)では、第2の酸化物の平均粒径が大き
いすぎる潤滑剤(No. 3)で40本の製品中1本、換言
すれば1本の管の1/4の長さ部分のみにピット疵が発
生し、また第1の物質の含有量が多すぎる潤滑剤(No.
9)で10本中3本にスルップが発生した以外は、極め
て良好な結果が得られた。
【0057】(実施例2)表2に示す成分組成を有する
8種類の潤滑剤を準備した。
8種類の潤滑剤を準備した。
【0058】
【表2】
【0059】そして、これらの潤滑剤を実施例1と同じ
マンネスマン−マンドレルミル方式におけるストレッチ
レデューサーでの仕上げ圧延に適用した。
マンネスマン−マンドレルミル方式におけるストレッチ
レデューサーでの仕上げ圧延に適用した。
【0060】この際、ストレッチレデューサーとして
は、孔型溝底部のロール直径が310〜380mmの3
ロールスタンドを24基連設したもので、1〜15番目
までのロールスタンドでは焼き付きが発生しないことか
らそのロール材質をチルド製とし、ロール材質がチルド
製であると素管の温度が低下して焼き付きが発生する1
6〜24番目までのロールスタンドのうち、16〜19
番目までのロールスタンドのロール材質を焼き付きの発
生しにくいグレン製にする一方、20〜24番目のロー
ルスタンドのロール材質を焼き付きやすいチルド製とし
たものを用いた。そして、孔型の溝底部分で焼き付きが
最も発生しやすい20〜24番目のロールスタンドの3
つの孔型ロールの孔型部分に、ロール表面から約50m
m離間した位置にノズル先端が位置するように配置した
3本の噴射ノズルを用い、10kgf/cm2 のエアー
を混合した気液混合状態の表2に示す各潤滑剤を合計
0.3リットル/minで供給した。なお、他のロール
スタンドの孔型ロールは、無潤滑とした。
は、孔型溝底部のロール直径が310〜380mmの3
ロールスタンドを24基連設したもので、1〜15番目
までのロールスタンドでは焼き付きが発生しないことか
らそのロール材質をチルド製とし、ロール材質がチルド
製であると素管の温度が低下して焼き付きが発生する1
6〜24番目までのロールスタンドのうち、16〜19
番目までのロールスタンドのロール材質を焼き付きの発
生しにくいグレン製にする一方、20〜24番目のロー
ルスタンドのロール材質を焼き付きやすいチルド製とし
たものを用いた。そして、孔型の溝底部分で焼き付きが
最も発生しやすい20〜24番目のロールスタンドの3
つの孔型ロールの孔型部分に、ロール表面から約50m
m離間した位置にノズル先端が位置するように配置した
3本の噴射ノズルを用い、10kgf/cm2 のエアー
を混合した気液混合状態の表2に示す各潤滑剤を合計
0.3リットル/minで供給した。なお、他のロール
スタンドの孔型ロールは、無潤滑とした。
【0061】また、マンドレルミルは、孔型溝底部のロ
ール直径が450〜500mmの2ロールスタンドを7
基連設したもので、素管の温度が比較的高くて焼き付き
が発生しにくい反面強度が要求される1〜4番目までの
ロールスタンドのロール材質をアダマイト製とし、素管
の温度が低下して焼き付きが発生しやすい5〜7番目の
ロールスタンドのロール材質を焼き付きが発生しにくい
ダクタイル鋳鉄製としたものを用いた。そして、全ロー
ルスタンドの孔型ロールは、無潤滑とした。
ール直径が450〜500mmの2ロールスタンドを7
基連設したもので、素管の温度が比較的高くて焼き付き
が発生しにくい反面強度が要求される1〜4番目までの
ロールスタンドのロール材質をアダマイト製とし、素管
の温度が低下して焼き付きが発生しやすい5〜7番目の
ロールスタンドのロール材質を焼き付きが発生しにくい
ダクタイル鋳鉄製としたものを用いた。そして、全ロー
ルスタンドの孔型ロールは、無潤滑とした。
【0062】なお、圧延は、ストレッチレデューサーで
の仕上げ寸法を外径63.5mm、肉厚6.5mmと
し、製品切断本数を6本とした以外の被圧延材の材質と
寸法、各潤滑剤当たりの圧延対象本数は実施例1と同じ
とした。
の仕上げ寸法を外径63.5mm、肉厚6.5mmと
し、製品切断本数を6本とした以外の被圧延材の材質と
寸法、各潤滑剤当たりの圧延対象本数は実施例1と同じ
とした。
【0063】そして、スリップの発生有無については、
ストレッチレデューサーによる圧延の場合、スリップが
発生すると圧延後の管長さ短くなるので、圧延後の管長
さを測定してその実測長さが目標長さよりも1000m
m以上短い場合を、スリップ発生ありとして評価した。
また、焼付き疵とアバタ疵もしくはピット疵の発生有
無、および摩擦係数の調査は、実施例1と同じ方法によ
り行った。
ストレッチレデューサーによる圧延の場合、スリップが
発生すると圧延後の管長さ短くなるので、圧延後の管長
さを測定してその実測長さが目標長さよりも1000m
m以上短い場合を、スリップ発生ありとして評価した。
また、焼付き疵とアバタ疵もしくはピット疵の発生有
無、および摩擦係数の調査は、実施例1と同じ方法によ
り行った。
【0064】なお、ストレッチレデューサーの20〜2
4番目を除く他のロールスタンドとマンドレルミルでの
焼き付き発生は、各素管の圧延終了後、その都度各孔型
ロールの表面を目視観察した結果、実施例1の場合と同
様、いずれの場合も認められなかった。
4番目を除く他のロールスタンドとマンドレルミルでの
焼き付き発生は、各素管の圧延終了後、その都度各孔型
ロールの表面を目視観察した結果、実施例1の場合と同
様、いずれの場合も認められなかった。
【0065】これらの結果を、表2に併記して示した。
【0066】表2に示す結果から明らかなように、第1
の物質のみからなる従来の潤滑剤(前述の特開平2−3
0312号公報に示される潤滑剤)を用いた場合(No.
20)では、ピット疵もしくはアバタ疵、および焼き付
きは全く発生しなかった。しかし、これらの潤滑剤は、
摩擦係数が低すぎるために、圧延後の管長さの実測値が
目標長さよりも1000mm以上短く、10本全数にス
リップが発生した。
の物質のみからなる従来の潤滑剤(前述の特開平2−3
0312号公報に示される潤滑剤)を用いた場合(No.
20)では、ピット疵もしくはアバタ疵、および焼き付
きは全く発生しなかった。しかし、これらの潤滑剤は、
摩擦係数が低すぎるために、圧延後の管長さの実測値が
目標長さよりも1000mm以上短く、10本全数にス
リップが発生した。
【0067】また、第2の酸化物粒子のみからなる従来
の潤滑剤(前述の特開平1−83309号公報に示され
る潤滑剤)を用いた場合(No. 21参照)では、スリッ
プおよび焼き付き疵は全く発生しなかった。しかし、こ
の潤滑剤は、硬質の酸化物粒子のみからなるために、6
0本の製品全数、換言すれば10本全部の全長にわたっ
てにピット疵もしくはアバタ疵が発生した。
の潤滑剤(前述の特開平1−83309号公報に示され
る潤滑剤)を用いた場合(No. 21参照)では、スリッ
プおよび焼き付き疵は全く発生しなかった。しかし、こ
の潤滑剤は、硬質の酸化物粒子のみからなるために、6
0本の製品全数、換言すれば10本全部の全長にわたっ
てにピット疵もしくはアバタ疵が発生した。
【0068】これに対し、本発明の潤滑剤を用いた場合
(No. 14〜19)では、第2の酸化物の平均粒径が大
きいすぎる潤滑剤(No. 16)で60本の製品中6本、
換算すれば1本の管の全長にわたりアバタ疵が発生した
以外は、極めて良好な結果が得られた。
(No. 14〜19)では、第2の酸化物の平均粒径が大
きいすぎる潤滑剤(No. 16)で60本の製品中6本、
換算すれば1本の管の全長にわたりアバタ疵が発生した
以外は、極めて良好な結果が得られた。
【0069】
【発明の効果】本発明の潤滑剤は、焼き付き、スリップ
および疵発生防止効果に優れている。このため、ミスロ
ールによる生産性の低下およぼ疵発生と仕上げ圧延での
伸び長さ不足に起因する歩留低下を防ぐことができるの
みならず、表面性状の良好な製品が得られる。また、焼
き付きやすい安価な材質の孔型ロールを用いることが可
能で、ロール原単位の低減が図れる。
および疵発生防止効果に優れている。このため、ミスロ
ールによる生産性の低下およぼ疵発生と仕上げ圧延での
伸び長さ不足に起因する歩留低下を防ぐことができるの
みならず、表面性状の良好な製品が得られる。また、焼
き付きやすい安価な材質の孔型ロールを用いることが可
能で、ロール原単位の低減が図れる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C10N 10:02 10:04 10:06 10:08 10:12 10:16 20:06 40:24
Claims (4)
- 【請求項1】酸化硼素、硼酸または硼酸化合物からなる
第1の物質と、この第1の物質とは異なる第2の酸化物
とが分散した水または水を主体とする溶液からなること
を特徴とする熱間圧延用潤滑剤。 - 【請求項2】上記第2の酸化物が、酸化鉄、酸化アルミ
ニウム、酸化クロム、酸化珪素および酸化チタンのうち
のいずれか、またはこれらのうちから選ばれた2種以上
の混合物、もしくはこれらの酸化物と、酸化ナトリウ
ム、酸化カリウム、酸化リチウムおよび酸化カルシウム
のうちのいずれか1種または2種以上との複合酸化物で
あることを特徴とする請求項1に記載の熱間圧延用潤滑
剤。 - 【請求項3】上記第1の物質と第2の酸化物の量が、そ
れぞれ5〜30重量%、1〜10重量%であることを特
徴とする請求項1または2に記載の熱間圧延用潤滑剤。 - 【請求項4】複合酸化物中、液状のものを除く上記酸化
物の平均粒子径が、10μm以下であることを特徴とす
る請求項1ないし3のいずれかに記載の熱間圧延用潤滑
剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18454896A JPH1030097A (ja) | 1996-07-15 | 1996-07-15 | 熱間圧延用潤滑剤 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18454896A JPH1030097A (ja) | 1996-07-15 | 1996-07-15 | 熱間圧延用潤滑剤 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1030097A true JPH1030097A (ja) | 1998-02-03 |
Family
ID=16155132
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP18454896A Pending JPH1030097A (ja) | 1996-07-15 | 1996-07-15 | 熱間圧延用潤滑剤 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH1030097A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2009088036A1 (ja) * | 2008-01-11 | 2009-07-16 | Sumitomo Metal Industries, Ltd. | 熱間加工用潤滑剤および継目無鋼管の製造方法 |
CN109370759A (zh) * | 2018-11-05 | 2019-02-22 | 淮阴工学院 | 用于钛合金机械加工的水基润滑剂及其制备方法 |
-
1996
- 1996-07-15 JP JP18454896A patent/JPH1030097A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2009088036A1 (ja) * | 2008-01-11 | 2009-07-16 | Sumitomo Metal Industries, Ltd. | 熱間加工用潤滑剤および継目無鋼管の製造方法 |
US8024953B2 (en) | 2008-01-11 | 2011-09-27 | Sumitomo Metal Industries, Ltd. | Lubricant for hot working and method for producing seamless steel pipe |
CN109370759A (zh) * | 2018-11-05 | 2019-02-22 | 淮阴工学院 | 用于钛合金机械加工的水基润滑剂及其制备方法 |
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