JPH10300837A - レーダシステム - Google Patents

レーダシステム

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JPH10300837A
JPH10300837A JP11211397A JP11211397A JPH10300837A JP H10300837 A JPH10300837 A JP H10300837A JP 11211397 A JP11211397 A JP 11211397A JP 11211397 A JP11211397 A JP 11211397A JP H10300837 A JPH10300837 A JP H10300837A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 デコイを降下させることでレーダ装置だけで
なく、デコイもARMによる破壊から防止するレーダシ
ステムにおいては、規模が大きなデコイの昇降装置が必
要で、またシステムの構成が複雑で高価である。 【解決手段】 レーダ装置1の内部のデータ処理器8に
より計算された各デコイ12、13からARMをデコイ
により誤誘導させ始めようとするときのARMの予想位
置までの距離のデータをもとに、ARMに対する2つの
デコイ12、13からの送信電波の振幅と位相がそれぞ
れ等しくなるように、振幅・位相制御器11により振幅
・位相の補償量を算出し、2つの振幅・位相調整器1
6、17に対してそれぞれの振幅と位相の設定の差分
が、この補償量と等しくなるように設定指示を行い、A
RMを2つのデコイ12、13の中間点近傍に誤誘導さ
せる。これにより、2つのデコイの昇降装置を不要にで
きる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はレーダシステムに係
り、特に電波ホーミングミサイル(ARM)の攻撃を回
避するための擬似電波発生装置(デコイ)を有するレー
ダシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、防衛用のレーダシステムにおい
て、脅威となっている電波ホーミングミサイル(AR
M:Anti Radiation Missile)に対処する手段の一つと
して、擬似電波発生装置(デコイ)をレーダ装置近辺に
配置することが行われている。図8は従来のレーダシス
テムにおけるARMの飛行経路の一例を示す。以下、図
8を用いて従来のレーダシステムの概要を説明する。
【0003】図8において、ARM100はレーダ装置
101の発射する電波S101を探知し、この到来方向
に向かって飛行する。一方、レーダ装置101側では飛
来するARM100の位置や速度等を検知し、デコイ1
02の発射する擬似電波S102の有効距離範囲にAR
M100が到来する予想時刻を計算する。ここで、有効
距離とは以下のような意味をもつ。一般に、ARMは母
機から発射される時に目標(レーダ)の方位、電波諸元
がインプットされている。従って、ARM100を欺瞞
するためには、ARM100が角度分解可能な距離に迫
る以前にレーダ装置101からデコイ102へ電波送信
を切り換える必要がある。また、その有効距離において
ARMの受信感度以上の充分な電波が届いている必要が
ある。
【0004】この予想時刻となったときに、レーダ装置
101の送信を停止すると共にデコイ102から擬似電
波S102を発射して、ARM100の進路をデコイ1
02の方向へ変更させる。上記のようにARM100の
進路を擬似電波で変更させることにより、重要かつ高価
なレーダ装置101がARM100により破壊されるの
を防止している。
【0005】また、従来のレーダシステムの他の例とし
ては、例えば特開平4−248486号公報で述べられ
ている技術が挙げられる。図9は、特開平4−2484
86号公報記載の発明の一例のブロック図を示す。図9
に示すレーダシステムは、レーダ装置201から発射さ
れる電波S201と擬似電波発生装置(デコイ)202
から発射される電波S202の送信を切り換えることに
より、レーダ装置201がミサイルにより破壊されるの
を防止する点では、先に図8を用いて説明した従来のレ
ーダシステムと全く同様であるが、デコイ202がミサ
イルにより破壊されるのを防ぐために、デコイ202を
昇降させるための昇降装置203と昇降タイミングを制
御する制御装置204を備えている点が図8の従来のレ
ーダシステムとは異なる。
【0006】以下に図9の従来のレーダシステムの概要
について述べる。制御装置204は、飛来するARMが
擬似電波S202の有効距離範囲に入った時に、レーダ
電波S201の発射を停止させ、同時にデコイ202を
地上最高位置に設定した状態で擬似電波S202を発射
させる。デコイ202は、制御装置204からの指示に
基づいて、しばらくの間、地上最高位置で擬似電波S2
02を発射した後に擬似電波S202の発射を停止す
る。
【0007】また、昇降装置203は、制御装置204
からの指示に基づきデコイ202が擬似電波S202の
発射を停止させるタイミングと同じタイミングでデコイ
202を地上最高位置から降下させ始め、制御装置20
4であらかじめ計算されたミサイルの予想着弾時刻に
は、デコイ202の地上最低位置までの降下を完了させ
る。これにより、ARMは、デコイ202の設置最高位
置を通過することになるので、この従来のレーダシステ
ムではレーダ装置201、デコイ202の双方をARM
の攻撃から回避させることができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかるに、図8に示し
た従来のレーダシステムでは、ARM100が擬似電波
S102の発射源であるデコイ102に向かって飛来す
ることになるが、デコイ102自身をARM100から
回避させる手段を持たないため、デコイ102が破壊さ
れること及び、設置したデコイ102の台数分だけしか
ARM100に対処できないという問題がある。
【0009】また、図9に示した従来のレーダシステム
では、ARMはデコイ202の設定最高位置に誘導され
ることになるため、レーダ装置201の安全を充分に図
るためには、設定最高位置が約150〜300m程度必
要であり、かつ、音速の数倍のスピードで迫り来るAR
Mをデコイが回避するために、設定最高位置から設定最
低位置にまで、わずかな時間(20秒程度)でデコイ2
02を降下させる能力を有する昇降装置203が必要と
なる。従って、この図9の従来のレーダシステムでは、
ARMをできるだけレーダ装置201から遠ざけた位置
に着弾させるようにするためには、デコイ202の昇降
装置203の規模が大きくなり、システムの構成が複雑
で高価になるという問題がある。
【0010】本発明は以上の点に鑑みなされたもので、
複雑高価な装置を用いることなく、電波ホーミングミサ
イル(ARM)の攻撃からデコイ装置も含めたシステム
全体を守ることのできるレーダシステムを提供すること
を目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は上記の目的を達
成するため、デコイ装置を、外部からのタイミング制御
信号により送信タイミングが制御され、送信時に送信信
号を出力するデコイ送信機と、レーダ装置に対して遠ざ
けて配置され、それぞれレーダ装置の送信電波を模擬し
た擬似電波を送信する2つのデコイと、2つのデコイの
それぞれの入力信号系統中に、それぞれのデコイの送信
する擬似電波の振幅と位相を、外部制御信号に基づいて
可変する2つの振幅・位相調整器とを有する構成とし、
レーダ装置を、電波を送受信する送受信手段と、飛来す
る電波ホーミングミサイルの識別機能と、予め設定した
距離に電波ホーミングミサイルが到達する予想時刻及び
位置を算出する第1の算出機能と、第1の算出機能によ
り算出された位置から電波ホーミングミサイルと2つの
デコイまでの距離及び2つのデコイ間の中間位置まで電
波ホーミングミサイルが進む時間をそれぞれ算出する第
2の算出機能を少なくとも有するデータ処理手段と、デ
ータ処理手段により算出されたデータに基づいて、電波
ホーミングミサイルに対し、2つのデコイから送信する
擬似電波の振幅と位相がそれぞれほぼ等しくなるよう2
つの振幅・位相調整器を制御する外部制御信号を出力す
る振幅・位相制御器と、データ処理手段により算出され
た予想時刻に基づいて、電波の送信をレーダ装置から2
つのデコイに切り換えるためのタイミング制御信号をデ
コイ送信機及び送受信手段へ出力するタイミング制御器
とを有する構成としたものである。
【0012】この発明では、振幅・位相制御器により、
レーダ装置の内部のデータ処理器により計算された各デ
コイから電波ホーミングミサイル(ARM)をデコイに
より誤誘導させ始めようとするときのARMの予想位置
までの距離のデータをもとに、ARMに対する2つのデ
コイからの送信電波の振幅と位相がそれぞれ等しくなる
ように振幅・位相の補償量を算出し、2つの振幅・位相
調整器に対してそれぞれの振幅と位相の設定の差分が、
この補償量と等しくなるように設定指示を行う。
【0013】具体的には、ARMからより近い方に位置
するデコイの給電系統中に設けられた振幅・位相調整器
の振幅設定を補償量だけ減衰させ、位相設定を補償量だ
け遅らせる。この結果、レーダ装置からデコイ装置へと
電波の送信を切り換えた際に、レーダ装置から順次遠ざ
けて配置した2つのデコイから、レーダ装置に向かって
飛来するARMに対し、等振幅・等位相のレーダ電波を
模擬した擬似電波が発射され、ARMはこれら2つのデ
コイから等振幅・等位相の電波を受信することになるの
で、ARMは2つのデコイのほぼ中間に電波発射源が存
在するものとみなしてこの中間点に向かって飛来し、A
RMを本発明のレーダシステムに含まれるいかなる装置
も存在しない2つのデコイの中間点近傍に誤誘導させる
ことができる。
【0014】また、本発明は、2つ又は3つ以上の複数
のデコイから放射する擬似電波の振幅及び位相を制御す
ることで、ARMを本発明のレーダシステムに含まれる
いかなる装置も存在しない2つのデコイの中間点近傍に
誤誘導させるようにしているため、簡単な回路とソフト
ウェアの追加を必要とするが、デコイの高さ位置などを
制御する大規模なハードウェアを不要にできる。
【0015】
【発明の実施の形態】次に、本発明の各実施の形態につ
いて、図面と共に説明する。図1は、本発明になるレー
ダシステムの第1の実施の形態のブロック図を示す。同
図において、レーダシステムは、大別するとレーダ装置
1及びデコイ装置2から構成されている。
【0016】レーダ装置1は、レーダアンテナ3、送信
/受信切換器4、レーダ送信機5、受信機6、信号処理
器7、データ処理器8、表示器9からなる従来のレーダ
装置の構成とほぼ同様の構成に加えて、レーダ装置1と
デコイ装置2の電波発射タイミングの制御を行うための
タイミング制御器10と、デコイ装置2に用いられてい
るデコイ12及びデコイ13のそれぞれの発射電波の振
幅と位相を制御するための振幅・位相調整器11が設け
られている。
【0017】ここで、データ処理器8は、通常のレーダ
装置のデータ処理器が持つ目標検出、測角、追尾、航跡
管理、表示制御等の機能の他に、目標がARMであると
判断する識別機能やARMに関するデータの取得と必要
データを振幅・位相制御器11とタイミング制御器10
に伝達する機能を有する。
【0018】具体的には、データ処理器8は検出目標の
進路(レーダ装置1に向かうか否か)速度、距離に対す
るレーダ反射断面積(RCS)等から、目標がARM又
はそれ以外と判断する識別機能と、ARMをデコイによ
る擬似電波により誤誘導させ始めようとする距離にまで
ARMが到達する予想時刻(TX)及び位置(図2にX
で示す)を算出する機能と、その算出位置(X)(AR
Mが誤誘導され始めるときの位置)からデコイ12、デ
コイ13、デコイ12及び13の中間点Mまでのそれぞ
れの距離(図2にRAX、RBX、RMXで示す)を算出する
機能と、ARMが距離RMXを進むために要する時間tMX
を算出する機能と、距離RAX、RBXのデータを振幅・位
相制御器11に伝達し、また予想時刻TXと時間tMX
データをタイミング制御器10に伝達する機能とを有し
ている。
【0019】また、振幅・位相制御器11は、データ処
理器8から伝達された距離RAX、RBXのデータを元にA
RMがARMを誤誘導させ始めようとする位置Xに達し
たときに、デコイ12からの送信電波とデコイ13から
の送信電波が、それぞれほぼ等振幅・等位相でARMに
受信されるようにするための振幅及び位相の補償量の計
算を行うと共に、その補償量分だけ振幅・位相調整を行
うように指示する制御信号を、デコイ装置2内の第1の
振幅・位相調整器16及び第2の振幅・位相調整器17
に対し送出する機能を有している。
【0020】また、タイミング制御器10は、データ処
理器8から伝達されたARMが誤誘導され始める位置X
に到達する予想時刻TXと位置Xからデコイ12及び1
3の中間点MまでARMが進むために要する時間tMX
データを基に、予想時刻TXとなる瞬間にレーダ送信機
5に対し、送信停止を指示する信号を送出すると同時
に、デコイ装置2内のデコイ送信機14に対し、送信開
始を指示する信号を送出し、時刻がTX+tMXを過ぎた
時にレーダ送信機5に対し送信開始を指示する信号を送
出すると同時にデコイ送信機14に対し送信停止を指示
する信号を送出する機能を有している。
【0021】一方、デコイ装置2は、レーダ装置1のタ
イミング制御器10によりその送信タイミングが制御さ
れるデコイ送信機14と、デコイ送信機14からの送信
出力を等振幅・等位相で分配するための分配器15と、
レーダ装置1の中の振幅・位相制御器11からの指示信
号に基づきデコイ送信機14から分配器15を経由して
送られてくるそれぞれの信号の振幅と位相を調整するた
めの全く同一構成の第1及び第2の振幅・位相調整器1
6及び17を有している。
【0022】これらの振幅・位相調整器16及び17
は、位相については0〜360゜を等分割した設定(例
えば5ビット移相器を使用する場合、位相設定は11.
25゜刻み)ができればよいが、振幅についてはARM
がデコイ12と13の中間点Mから1NMほどの距離に
近づいた場合でさえ、デコイ12からの電波とデコイ1
3からの電波の振幅差は大きくても1dB程度にしかな
らないので、0〜−1dBの間で細かく振幅設定ができ
るような調整機能を有するものが供される。
【0023】また、デコイ装置2には、レーダ電波と全
く同じ電波諸元の電波を発射できる全く同一構成の第1
のデコイ12及び第2のデコイ13が含まれている。こ
れら2つのデコイ12及びデコイ13は、少しでもAR
Mをレーダ装置1から遠い場所に着弾させるため、図2
に示すようにそれぞれがレーダ装置1から順次遠ざけて
配置されている。デコイ12とデコイ13の間の距離は
ARMがその間に着弾したときに、デコイ12又はデコ
イ13が被害を受けないようにするため十分な距離をと
る必要がある。また、図2においてデコイ12とBの中
間点Mとレーダ装置1の距離RMは、ARM20をデコ
イ12からの送信電波23とデコイ13からの送信電波
24により中間点Mの方向へ誤誘導させ始めようとする
位置Xのレーダ装置1からの距離RX及びARM20が
持つと予測される測角精度θARMによりシステム的に決
定される。
【0024】図2において、位置Xに達したARM20
からレーダ装置1とデコイ12、13の中間点Mを見た
ときの見込み角をθXとすると、ARM20にレーダ装
置1と中間点Mの方向を分離認識させないことがARM
20を中間点Mの方向へと誤誘導させるための条件の1
つとなる。このためには、ARM20がどの方向から到
来する場合でも、位置Xにおける見込み角θXがARM
20の測角精度θARMより小さい値でなければならな
い。
【0025】θXが最も大きくなるようなARM20の
到来方向はレーダ装置1と中間点Mを結ぶ直線に対しほ
ぼ垂直となる方向であることから、距離RMは、次式を
満たさなければならない。
【0026】
【数1】 仮に、θARM=0.7°、RX=15NMとすると、距離
Mは約300m以下である必要がある。
【0027】また、ARM20を中間点Mの方向へ誤誘
導させるもう1つの条件として、デコイ12及びデコイ
13からの送信電波が、位置Xに達したARM20にお
いて受信、検出されるに十分な電力を持つことが挙げら
れる。この条件を満足するためには、デコイ12及び1
3のアンテナゲインをGA、デコイ送信機14の送信電
力をPt、ARM20の受信感度をPRminとすると、デ
コイ12及びデコイ13からの送信電波がそれぞれ単独
でもARM20に受信検出されるために次式を満たして
いなければならない。
【0028】 GA+(Pt−3)+Lp+Lf≧PRmin (2) ただし、(2)式中、Lpは位置Xからより遠い側のデ
コイの送信電波の空間損失、Lfはデコイ送信機14か
らデコイ12(又はデコイ13)までの給電損失(利
得)である。また、(2)式中の「3」は送信電力の分
配器15による2分配により、3dB低下を意味してい
る。
【0029】仮に、デコイ12、13のアンテナの指向
性を無指向性(GA=0dB)、LP=−130dB、L
f=10dB、PRmin=−60dBmとすると、デコイ
送信機14の送信電力Ptは(2)式から63dBm
(2kW)以上必要となる。
【0030】また、図1に示す構成により、デコイ送信
機14からデコイ12及びデコイ13に送信電力を供給
するためには、デコイ12とデコイ13が離れて配置さ
れているため、給電線路長がかなり長くなる。給電損失
をできるだけ小さく抑えるため、また、給電線路や給電
系統中に使用する機器(分配器15や振幅・位相調整器
16及び17)の耐電力性を高め、コストを低く抑える
ためには、デコイ送信機14の送信周波数を中間周波数
(IF)とし、デコイ12、デコイ13からできるだけ
近い位置にレーダ電波と同じRF周波数に周波数変換を
行うための周波数変換器18及び19を設ける必要があ
る。
【0031】なお、デコイ12及びデコイ13の中間点
Mとその周辺には、ARM20が着弾する可能性が極め
て高いため、本発明のいかなる構成要素をも配置させて
はならない。デコイ12及び13を除いたデコイ装置2
の機材及び給電系さらにデコイ装置2とレーダ装置1を
結ぶ通信系統はARM20の攻撃を回避するため、あら
かじめ地中等の安全な場所に設置されている必要があ
る。
【0032】次に、本発明の第1の実施の形態の動作に
ついて、図1及び図2を参照して詳細に説明する。
【0033】レーダ装置1では、敵か味方か不明の飛翔
体を探知した場合、その飛翔体の進路(レーダ装置1に
向かうか否か)速度、距離に対するRCS等から飛翔体
の識別(飛行機、ミサイル、不明)を行う。探知した飛
翔体がレーダ装置1に向かうミサイル(又は不明)と識
別されると、この飛翔体が電波ホーミングミサイル(A
RM)20であると判断し、これを回避するためにまず
ARM20に関するデータ取得動作を行う。以下にその
内容について述べる。
【0034】レーダ装置1では、図2に示すように、捜
索ビーム21による受信信号からARM20の位置、速
度、着弾予想時刻、予想航跡22をデータ処理器8にて
計算する。さらに、データ処理器8は、ARM20に関
する取得データから、ARM20がレーダ装置1から距
離RXとなる位置Xに到達する予想時刻TXを算出する。
ここで、前述したように、距離RXは、ARM20をシ
ステム的にレーダ装置1からデコイ12及びデコイ13
の中間点Mへと誤誘導させ始めるときのレーダ装置1か
らARM20までの距離のことであり、レーダシステム
が対処しようとするARM20の想定性能に応じてシス
テム的に決定されるパラメータである。
【0035】距離RXを決定する際に考慮しなければな
らない2つの点を以下に記す。
【0036】(1)ARM20の到来方向がどの方向で
あっても、位置Xに到達したARM20がレーダ装置1
とデコイ12、13の中間点Mを見たときの見込み角θ
XがARM20の想定測角精度以下であること。
【0037】(2)レーダ装置1から距離RXとなる全
ての点において、デコイ12及び13の送信電波がAR
M20にて検出されること(ARM20の想定受信感度
以上の送信電波を位置Xに達したARM20に対し照射
できるようデコイ送信機14の出力を決定する)。
【0038】また、データ処理器8では、あらかじめ記
録されている第1のデコイ12、第2のデコイ13、中
間点Mの位置情報と位置Xの座標からデコイ12〜位置
Xの距離RAX、デコイ13〜位置Xの距離RBX、中間点
M〜位置Xの距離RMX、ARM20が距離RMXを進むた
めに要する時間tMXを算出し、RAX、RBXのデータを振
幅・位相制御器11に、また時間tMXのデータと、AR
M20が位置Xに到達する予想時刻TXをタイミング制
御器10に伝達する。
【0039】以上により、捜索ビーム21によるARM
20に関するデータの取得が終了する。続いて、取得し
たデータを使用して、デコイ12及び13からの送信電
波の振幅・位相制御動作とレーダ装置1とデコイ装置2
の送信タイミング切換制御動作を行う。
【0040】まず、デコイ送信電波の振幅・位相制御動
作について以下に述べる。振幅・位相制御器11は、デ
ータ処理器8から伝達された距離RAX、RBXのデータを
基に、ARM20が位置Xに達した瞬間に第1のデコイ
12からの送信電波23と第2のデコイ13からの送信
電波24がほぼ等振幅・等位相でARM20に受信され
るように振幅・位相調整器16及び振幅・位相調整器1
7の制御を行う。
【0041】振幅と位相の制御動作について以下に詳述
する。
【0042】振幅・位相制御器11は、まずデータ処理
器8から伝達される距離RAX、RBXのデータの大小を判
定し、さらにデコイ12及びデコイ13から等振幅・等
位相で擬似電波を発射した場合にARM20で受信され
るそれぞれの電波の振幅の差分△Aと位相の差分△φを
次式により算出する。
【0043】
【数2】 ただし、(3)式及び(4)式中、λ0はレーダ装置及
びデコイ12、13から発射される送信電波の自由空間
波長である。
【0044】次いで、距離RAX、RBXのうち小さい値の
方のデコイ(すなわち、よりARM20に近い方のデコ
イ)の接続系統中に設けられている振幅・位相調整器に
対し、振幅の差分△Aだけ振幅を減衰させ、位相の差分
△φだけ位相を遅らせるための制御信号を、また残るも
う一方の振幅・位相調整器には設定を初期状態にするた
めの制御信号を送出する。
【0045】一方、振幅・位相調整器16及び17は、
通常ではその設定が初期状態となっているが、振幅・位
相制御器11から振幅・位相調整器16及び17に対し
て送られるそれぞれの制御信号に基づき振幅・位相の設
定を行い、設定完了後、設定が完了したことを伝えるた
めの信号を振幅・位相制御器11に送出する。振幅・位
相制御器11では振幅・位相調整器16及び17の両方
の設定完了信号を受信後、タイミング制御器10に対
し、振幅・位相制御完了信号を送出する。以上により、
発射した捜索ビーム21に対応するデコイ装置2の電波
の振幅・位相設定が完了する。
【0046】一方、タイミング制御器10では、振幅・
位相制御器11から制御完了信号の受信を確認した後、
データ処理器8から伝達されたARM20が位置Xに到
達する予想時刻TXになるまでは、レーダ装置1内のレ
ーダ送信機5に対して送信指示命令を出し続け、予想時
刻TXになる瞬間にレーダ送信機5に対し送信停止命令
を送出すると同時に、デコイ送信機14に対しては送信
開始命令を伝達する。その後、時刻がTX+tMXとなる
までの間はレーダ装置1の送信動作をオフとし続け、デ
コイ12、13の送信をオンとし続け、時刻がTX+t
MXを過ぎると、再びレーダ送信機5に対し送信開始命令
を送出し、かつ、デコイ送信機14に対し送信停止命令
を出し通常の捜索モードに本レーダシステムを復帰させ
る。
【0047】なお、ARM20が位置Xに到達する予想
時刻TXとなる前に、次の捜索ビームがARM20をヒ
ットする場合や、レーダ装置1がARM20に対し追尾
ビームを発射できるアクティブフェーズドアレイレーダ
である場合には、ARM20に関するデータを常に最新
のデータに更新して、振幅・位相制御動作とタイミング
制御動作を行うものとする。
【0048】次に、以上に述べた本実施の形態のレーダ
システムの動作に対するARM20の動作を説明する。
一般に、ARM20では図3に示すようにレーダビーム
30に対しモノパルス測角方式を用いて、そのビーム放
射源方向にミサイルの機首を向けるよう飛翔方向制御を
行っている。
【0049】すなわち、ARM20は受信Σビーム31
と受信△ビーム32による受信レベルの比較(Δ/Σの
計算)を行い、ARM20にインプットされている角度
θ対Δ/Σ曲線(誤差感度曲線)からレーダビームの方
向θ1を検出し、ミサイル機首をθ1だけ方向変換させる
ように操舵する。つまり、図3(a)及び(b)に示す
ようにΔ/Σが0となる方向に常にミサイルの飛翔方向
の制御がなされる。
【0050】レーダ装置の送信を停止しない限りは、A
RM20は捜索ビームのメインローブやサイドローブを
受信することになるので、結果的にARM20はレーダ
ビームの放射源であるレーダ装置1へ誘導され、レーダ
装置1を破壊することになる。
【0051】ところで、この実施の形態のレーダシステ
ムによれば、ARM20がレーダ装置1から距離RX
なる位置Xに達したときに、ARM20に対して振幅と
位相がそれぞれほぼ等しいデコイ12からの送信電波2
3とデコイ13からの送信電波24を照射すると同時
に、レーダビームの送信を停止させることになる。この
ときのARM20が受信する電波の状況とARM20の
飛翔方向制御を図4に示す。
【0052】前述したようにデコイ12からの送信電波
23とデコイ13からの送信電波24はARM20に対
してほぼ等振幅・等位相で、かつ、デコイ12及び13
のアンテナパターンが同一(ここでは簡単のため、無指
向性とする)であることから、ARM20は図4(b)
に示す如く、その誤差感度曲線においてΔ/Σが0とな
る方向、すなわちデコイ12と13の中間点Mの方向へ
飛翔方向を修正することになる。
【0053】なお、図4(a)において、θXは位置X
の位置に達したARM20から見たレーダ装置1の方向
とデコイ12及び13の中間点Mの方向がなす角度であ
り、前述したようにθXは、ARM20の持つ測角精度
より小さい角度となっている。つまり、ARM20が位
置Xに達したときには、レーダ装置1の方向とデコイ1
2及び13の中間点Mの方向(ARM20からみたレー
ダ電波(実際には、擬似電波)の到来方向)をまだ分離
することができない為に、ARM20は、その受信ビー
ムがつくる誤差感度曲線上においてΔ/Σが0となる方
向、すなわち、デコイ12からの送信電波23とデコイ
13からの送信電波24がARM20の機軸方向に対
し、左右及び上下で同じ受信レベルでARM20に受信
される方向(ほぼデコイ12、13の中間点Mの方向に
等しくなる)に方向を修正し飛翔することになる。
【0054】デコイ12およびデコイ13からの送信電
波は、少なくとも、ARM20がデコイ12及び13の
中間点Mに着弾すると予想される時刻TX+tMXまで発
射されているので、結果的にARM20は、図2にZで
示すように中間点Mあるいはその近傍に着弾することに
なる。
【0055】以上に述べたように、本発明によれば、従
来のレーダシステムのようにデコイの設定高さを少なく
とも150m以上も調整するような大規模なハードウェ
アを用いることもなく、主としてデータ処理等のソフト
ウェアの追加とハードウェア的にはデコイを2つ用意
し、その給電系統中に電気信号により振幅と位相の設定
変更ができるIF周波数帯の減衰器と位相器を追加する
だけでデコイをも含めたシステム全体をARMの攻撃か
ら回避できるレーダシステムを提供することができる。
【0056】次に、本発明の第2の実施の形態について
図面を参照して詳細に説明する。図5は本発明になるレ
ーダシステムの第2の実施の形態のブロック図を示す。
同図中、図1と同一構成部分には同一符号を付してあ
る。図5に示すように、本発明の第2の実施の形態は、
デコイ12及びデコイ13として指向性を有するアンテ
ナを使用することと、デコイ12及びデコイ13をそれ
ぞれ回転させる機能を有する駆動機構51及び駆動機構
52、更に駆動機構51及び52の動作を制御する機能
を有するデコイ駆動制御器53が含まれている点で図1
に示した第1の実施の形態と異なる。
【0057】この実施の形態では、デコイ12及び13
として指向性を持つアンテナを使用することにより、デ
コイ12及び13のアンテナゲインの分だけデコイ送信
機14の送信出力を低下させてもARMに対するシステ
ム全体としての照射電力は変わらない。つまり、デコイ
装置2としては、本発明の第1の実施の形態と比較して
省電力で、かつ、耐電力マージンを大きくとることによ
る信頼性増加の効果が期待できる。
【0058】次に、図5に示した本発明の第2の実施の
形態の動作について説明する。同図中、図1と同一符号
の各機器の動作は、第1の実施の形態の動作とほぼ同一
であり、その説明は省略する。図5に示した実施の形態
の動作は、図1に示した実施の形態の動作の他に、図2
においてARM20が擬似電波により誤誘導され始める
位置Xに到達する前に、デコイ12及びデコイ13の持
つそれぞれの指向性ビームの水平面内のビームノーズ方
向が、デコイ12及び13から見た位置Xの方位となる
ように駆動機構51及び52の制御を行う動作が加わ
る。
【0059】すなわち、図5に示した実施の形態におい
ては、データ処理器8’はデコイ12及びデコイ13か
ら見た位置Xの方位を算出し、この結果とARM20が
位置Xに達する予想時刻TXをデコイ駆動制御器53に
伝達する。デコイ駆動制御器53は、データ処理器8’
から受けとったデータから駆動機構51及び駆動機構5
2に対し、予想時刻TXになる前にデコイ12とデコイ
13のビームノーズ方向を位置Xの方位とする駆動制御
信号を送出する。
【0060】駆動制御器51及び52は、デコイ駆動制
御器53からの駆動制御信号に基づき、デコイ12及び
デコイ13の駆動を行い、駆動終了後、デコイビーム方
向設定完了を知らせるための設定完了信号をデコイ駆動
制御器53に伝達する。デコイ駆動制御器53は、駆動
機構51及び52の両方から上記の設定完了信号を受信
すると、直ちにデコイ駆動制御完了を知らせる信号をタ
イミング制御器10に伝達し、デコイ12及びデコイ1
3が擬似電波を送信する準備が完了したことを知らせ
る。
【0061】以上述べた動作により、デコイ12及び1
3が指向性をもつアンテナである場合においても、図1
に示した第1の実施の形態の場合と同様にARM20に
対し、デコイ12及びデコイ13からほぼ等振幅・等位
相の擬似電波を送信することができる。
【0062】なお、デコイ12及びデコイ13の指向性
ビームが例えばペンシルビームのように鋭い場合、位置
Xの方向へのビームノーズの設定が困難になる。デコイ
12及びデコイ13を位置Xの方向に駆動後、固定する
運用方法をとる場合、ARM20がデコイの発射するビ
ームを常に受信できるようにするためには、デコイ12
及びBのアンテナゲインは約7dBi程度が望ましい。
【0063】更に、デコイのアンテナゲインを高くし
て、デコイ送信機14の送信機出力の負荷を軽減させた
い場合には、デコイ12及びB13のアンテナパターン
を水平面内で鋭く、仰角方向でビーム幅の広いファンビ
ームとする方法が考えられる。但し、水平面内のビーム
幅が狭い場合、ARM20がデコイ12、13の中間点
Mに向かう最中に、デコイ12及びデコイ13が発射す
るビームの存在しない空間に移動してくる可能性があ
る。
【0064】これを避けるためにはデコイ駆動制御器5
3が図5の実施の形態の動作に加え、デコイ12及びデ
コイ13が位置Xの方向へ水平面内のビームノーズを向
けたまま固定されるのではなく、デコイ12、13がそ
れぞれ同時刻に位置Xと、位置Xと中間点Mを結ぶ線上
の任意の点の方向にビームノーズの方向を指向させるよ
うに駆動機構51及び52の回転制御を行う機能を有し
ておればよい(このためには、デコイ12とデコイ13
の回転方向が逆方向である必要がある。)。この理由
は、図2において、ARM20が位置Xに達した後は、
位置Xと中間点Mを結ぶ線(距離RMX)にほぼ沿って飛
行すると考えられるからである。
【0065】以上によれば、ARM20は、ほぼデコイ
12及び13の回転周期毎にそれらのメインローブを受
信することになる。更に駆動機構51及び52の回転周
期(すなわちデコイ12、13の回転周期)をレーダ装
置1の捜索ビームの捜索周期とほぼ同じに設定しておく
ことにより、ARM20では、レーダ装置1が捜索を行
っているときに受信するレーダメインローブとレーダサ
イドローブの受信タイミングとほぼ同じタイミングでデ
コイ12及びデコイ13からのメインローブとサイドロ
ーブを受信することになる。
【0066】この方式によればARMに目標とするレー
ダ装置の捜索ビーム周期があらかじめインプットされて
おり、ARMが受信する電波の強弱の周期を計測してそ
の周期までも監視する機能、すなわち強弱がない電波発
射源や強弱の周期が異なる電波発射源はレーダ装置本体
ではないと判断できる機能を有する場合であっても、こ
れを欺瞞することが可能となる。
【0067】次に、本発明の第3の実施の形態について
説明する。図6は本発明になるレーダシステムの第3の
実施の形態のブロック図、図7は本発明になるレーダシ
ステムの第3の実施の形態の配置図を示す。両図中、図
1及び図5と同一構成部分には同一符号を付してある。
図1に示した本発明の第1の実施の形態においては、デ
コイを2個しか用いていないため、ARMの到来方向に
よっては、デコイ12及びデコイ13からの送信電波の
振幅と位相の調整が完全であったとしても、どちらか片
側のデコイの至近距離にARMが着弾する可能性があ
る。
【0068】すなわち、例えば、図2において、デコイ
12とデコイ13を結ぶ直線上のデコイ13の方向から
ARMが追まる場合、ARMがデコイ側に近づくにつ
れ、デコイ13からの送信電波の方がデコイ12からの
送信電波より強いレベルでARM20に受信されること
になるので、ARM20が位置Xに居た際の振幅の調整
結果はあまり有効でなくなり、ARM20は中間点Mで
はなく、デコイ13に近い方へ誘導されることになる。
【0069】この問題を解消するための本発明の実施の
形態の1つが図6及び図7に示す第3の実施の形態であ
る。図1の実施の形態と図6の実施の形態が異なる点
は、デコイ装置2内に設けられている図1では2つであ
ったデコイが65a〜65dと4つであり、それに伴い
デコイの給電系統(振幅・位相調整器62a〜62d、
周波数変換器64a〜64d)が4つになっていること
と、そのために分配器15の分配数が2から4になって
いること、更に各デコイの給電系統中にスイッチ(63
a〜63d)が設けられていることと、レーダ装置1内
には到来するARMの方向に応じて最適なデコイ2つを
選択し、各デコイ65a〜65dの給電系統中に設けら
れたスイッチ63a〜63dのオン/オフを制御するた
めのデコイ選択器61が設けられていることである。
【0070】また、本発明の第3の実施の形態において
は、図7に示すように、レーダ装置1から離れた位置に
デコイ65a〜デコイ65dの4つのデコイをほぼ正方
形となるように配置する。この正方形の一辺の距離は、
ARM20がその間に着弾した際に各デコイが被害を受
けないよう十分広くとる(100m以上)必要があるこ
とは言うまでもない。
【0071】また、各デコイ65a〜65dの周辺や、
4つのデコイ65a〜65dがなす正方形の内部領域は
ARM20が着弾する可能性が高いため、これらの領域
にはレーダ装置1やデコイ装置2の各機器を配置させて
はならない。
【0072】次に、図6と図7を用いて本発明の第3の
実施の形態の動作について詳しく述べる。図6に示した
機器の中で、図1にも示されているものの機能と動作は
本発明の第1の実施の形態の動作と全く同様であるため
説明は省略する。図6におけるデータ処理器8”は、図
1のデータ処理器8が持つ機能の他に、図7において位
置X(ARMをデコイの擬似電波により誤誘導させ始め
るときのARM20の予測位置)が象限AB、BC、C
D、DAの4つの象限のうちどの象限となるかを計算
し、その結果をデコイ選択器61に伝達する機能を有し
ている。
【0073】デコイ選択器61は、4つのデコイ65a
〜65dのうちデータ処理器8”から得られた位置Xの
象限データに基づいて使用する2つのデコイを決定し、
スイッチ63a〜63dのうち使用するとした2つのデ
コイの給電系統中に設けられた2つのスイッチをオン、
他の2つのスイッチをオフにする指示信号を各スイッチ
に伝達する。
【0074】ここで、位置Xが象限AB、BC、CD、
DAの場合、使用するデコイの組み合わせは、それぞれ
の象限の記号と同じものになる。例えば、位置Xが図7
に示すように、象限ABとなる場合については、使用す
るデコイの組み合わせはデコイ65a及びデコイ65b
となり、これに伴いスイッチ63aとスイッチ63bを
オン、スイッチ63cとスイッチ63dをオフとする。
【0075】振幅・位相制御器11は、データ処理器
8”から伝達された距離RA、RBのデータを基に、AR
M20が位置Xに達した瞬間に選択した2つのデコイ
(例えば65a、65b)からの送信電波がほぼ等振幅
・等位相でARM20に受信されるように振幅・位相調
整器62a〜62dの制御を行う。その後、タイミング
制御器10は、振幅・位相制御器11から制御完了信号
の受信を確認した後、データ処理器8”から伝達された
ARM20が位置Xに到達する予想時刻TXになるまで
は、レーダ装置1内のレーダ送信機5に対して送信指示
命令を出し続け、予想時刻TXになる瞬間にレーダ送信
機5に対し送信停止命令を送出すると同時に、デコイ送
信機14に対しては送信開始命令を伝達する。
【0076】これにより、デコイ送信機14の出力IF
信号が分配器15を介して4つの振幅・位相調整器62
a〜62dでそれぞれ振幅・位相調整されて対応するス
イッチ63a〜63dに供給されるが、そのうち選択さ
れた2つのデコイ(例えば65a及び65b)の給電系
の2つのスイッチのみがオンとされているので、オンと
されたスイッチ(例えば63a及び63b)のみを通し
て周波数変換器64a〜64dのうち2つの周波数変換
器(ここでは64a及び64b)でそれぞれRF信号に
周波数変換されてデコイ65a、65bに供給される。
他の非選択のデコイ65c及び65dにはRF信号は供
給されない。
【0077】デコイ65aおよびデコイ65bからの送
信電波は、少なくとも、ARM20がデコイ65a及び
65bの中間点に着弾すると予想される時刻TX+tMX
まで発射されているので、結果的にARM20は、この
中間点あるいはその近傍に着弾する。その後、時刻がT
X+tMXを過ぎると、再びレーダ送信機5に対し送信開
始命令を送出し、かつ、デコイ送信機14に対し送信停
止命令を出し通常の捜索モードに本レーダシステムを復
帰させる。
【0078】この実施の形態によれば、ARM20がど
の方向から到来した場合でもレーダ装置1とデコイ装置
2をARM20の攻撃から回避させることができるレー
ダシステムを提供することができる。
【0079】なお、本発明は以上の実施の形態に限定さ
れるものではなく、例えばデコイの数は図6及び図7で
は4つとしたが、3つ以上の複数とし、それらのうち一
対のデコイで区切られる領域を全部で複数とし、それら
のどの領域に属するかによりデコイを選択するようにす
ることも可能である。
【0080】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
ARMを2つのデコイの間に着弾するようにしたため、
レーダ装置のみでなくデコイをも含めたレーダシステム
全体をARMの攻撃から回避させることができ、よっ
て、度重なるARMの攻撃にも対処できるレーダシステ
ムの構築が可能となる。
【0081】また、本発明によれば、ハードウェア的に
は、デコイとその給電系統を2つ用意し、その給電系統
中に電気信号により振幅と位相の設定ができるIF周波
数帯の減衰器と移相器及びそれらの制御器を追加するだ
けで他の機能の大部分は一般的な防衛用レーダシステム
にソフトウェアの機能を追加させるだけで本発明のシス
テム構築ができるため、デコイがARMにより破壊され
ないようにするための特別な大規模なハードウェアを用
いることなく、安価で簡単な構成のシステムの構築がで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示すブロック図で
ある。
【図2】本発明の第1の実施の形態の動作を示す説明図
である。
【図3】レーダビーム発射源に対する電波ホーミングミ
サイル(ARM)の飛翔方向の制御を示す説明図であ
る。
【図4】本発明のデコイからの擬似電波に対するARM
の飛翔方向の制御を示す説明図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態を示すブロック図で
ある。
【図6】本発明の第3の実施の形態を示すブロック図で
ある。
【図7】本発明の第3の実施の形態の配置図である。
【図8】従来のデコイ装置を有するレーダ装置の一例の
説明図である。
【図9】従来のデコイ装置を有するレーダ装置の他の例
のブロック図である。
【符号の説明】
1 レーダ装置 2 デコイ装置 3 レーダアンテナ 4 送信/受信切換器 5 レーダ送信機 6 受信機 7 信号処理器 8、8’、8” データ処理器 9 表示器 10 タイミング制御器 11 振幅・位相制御器 12、13、65a〜65d デコイ 14 デコイ送信機 15 分配器 16、17、62a〜62d 振幅・位相調整器 18、19、64a〜64d 周波数変換器 20 電波ホーミングミサイル(ARM) 21 捜索ビーム 22 予想航跡 23 デコイ12からの送信電波 24 デコイ13からの送信電波 30 レーダビーム 31 ARM受信Σビーム 32 ARM受信△ビーム 51、52 駆動機構 53 デコイ駆動制御器 61 デコイ選択器 63a〜63d スイッチ

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 飛来する飛翔体が電波ホーミングミサイ
    ルであることを検出するレーダ装置と、あらかじめ設定
    した距離に前記電波ホーミングミサイルが達する時に、
    電波の送信を前記レーダ装置に代えて開始し、前記電波
    ホーミングミサイルの飛来方向を前記レーダ装置から回
    避させる少なくとも2つのデコイを含むデコイ装置とか
    らなるレーダ装置において、 前記デコイ装置は、 外部からのタイミング制御信号により送信タイミングが
    制御され、送信時に送信信号を出力するデコイ送信機
    と、 前記レーダ装置に対して遠ざけて配置され、それぞれ前
    記レーダ装置の送信電波を模擬した擬似電波を送信する
    2つのデコイと、 前記2つのデコイのそれぞれの入力信号系統中に、それ
    ぞれのデコイの送信する前記擬似電波の振幅と位相を、
    外部制御信号に基づいて可変する2つの振幅・位相調整
    器とを有し、 前記レーダ装置は、 電波を送受信する送受信手段と、 飛来する前記電波ホーミングミサイルの識別機能と、予
    め設定した距離に該電波ホーミングミサイルが到達する
    予想時刻及び位置を算出する第1の算出機能と、該第1
    の算出機能により算出された位置から該電波ホーミング
    ミサイルと前記2つのデコイまでの距離及び該2つのデ
    コイ間の中間位置まで該電波ホーミングミサイルが進む
    時間をそれぞれ算出する第2の算出機能を少なくとも有
    するデータ処理手段と、 前記データ処理手段により算出されたデータに基づい
    て、前記電波ホーミングミサイルに対し、前記2つのデ
    コイから送信する擬似電波の振幅と位相がそれぞれほぼ
    等しくなるよう前記2つの振幅・位相調整器を制御する
    前記外部制御信号を出力する振幅・位相制御器と、 前記データ処理手段により算出された前記予想時刻に基
    づいて、電波の送信を前記レーダ装置から前記2つのデ
    コイに切り換えるためのタイミング制御信号を前記デコ
    イ送信機及び前記送受信手段へ出力するタイミング制御
    器とを有することを特徴とするレーダシステム。
  2. 【請求項2】 前記2つのデコイは、それぞれ指向性を
    有し、かつ、それぞれ駆動機構により互いに独立して回
    転される、擬似電波を放射するアンテナであり、前記レ
    ーダ装置は、前記2つのデコイの持つそれぞれの指向性
    ビームの水平面内のビームノーズ方向が、前記予想時刻
    になる前に前記2つのデコイから見た前記予め設定した
    距離に前記電波ホーミングミサイルが到達する予想位置
    の方位となるように、前記駆動機構を制御する駆動制御
    器を有することを特徴とする請求項1記載のレーダシス
    テム。
  3. 【請求項3】 前記駆動制御器は、前記2つのデコイの
    ビームノーズ方向が、前記予想位置と前記2つのデコイ
    の中間点とを結ぶ線上の任意の点に同時刻で指向するよ
    うに前記駆動機構を回転制御することを特徴とする請求
    項3記載のレーダシステム。
  4. 【請求項4】 前記デコイ装置は、前記レーダ装置に対
    して離れた位置に配置され、それぞれ前記レーダ装置の
    送信電波を模擬した擬似電波を送信する3つ以上の複数
    のデコイと、前記複数のデコイのそれぞれの入力信号系
    統中に、それぞれのデコイの送信する前記擬似電波の振
    幅と位相を、外部制御信号に基づいて可変する複数の振
    幅・位相調整器と、前記複数の振幅・位相調整器からの
    各出力信号を前記複数のデコイのうち対応するデコイへ
    供給又は遮断する全部で複数のスイッチとを有し、 前記データ処理手段は、前記複数のデコイのうち一対の
    デコイを結ぶ線上で区切られた複数の領域のうちのどの
    領域に前記予め設定した距離に前記電波ホーミングミサ
    イルが到達する予想位置が属するかを判別する機能を更
    に有し、前記レーダ装置は、該データ処理手段により判
    別された領域情報に応じて前記複数のスイッチのうちオ
    ンとするスイッチを選択する選択手段を設けたことを特
    徴とする請求項1記載のレーダシステム。
  5. 【請求項5】 前記デコイ送信機は中間周波数を出力
    し、前記2つ又は複数の入力側のそれぞれに中間周波数
    を無線周波数帯へ互いに独立して別々に周波数変換する
    周波数変換器を更に設けたことを特徴とする請求項1乃
    至4のうちいずれか一項記載のレーダシステム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN111537963A (zh) * 2020-05-15 2020-08-14 扬州宇安电子科技有限公司 一种军事训练用雷达电子诱饵系统
KR102197087B1 (ko) * 2019-07-25 2020-12-30 엘아이지넥스원 주식회사 라디오미터 센서를 구비한 호밍 시스템 및 작동 방법

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