JPH10298651A - 磁束密度が極めて高い方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

磁束密度が極めて高い方向性電磁鋼板の製造方法

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JPH10298651A
JPH10298651A JP9104710A JP10471097A JPH10298651A JP H10298651 A JPH10298651 A JP H10298651A JP 9104710 A JP9104710 A JP 9104710A JP 10471097 A JP10471097 A JP 10471097A JP H10298651 A JPH10298651 A JP H10298651A
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JP
Japan
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rolling
grain
steel sheet
magnetic flux
flux density
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JP9104710A
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Ryutaro Kawamata
竜太郎 川又
Takeaki Wakizaka
岳顕 脇坂
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 磁束密度の極めて高い方向性電磁鋼板の製造
方法を提供する。 【解決手段】 重量%で、0.010%≦C≦0.14% 、0.010%
≦酸可溶性Al≦0.050%、0.0030% ≦N≦0.0150% 、を含
有し、残部Feおよび不可避的不純物からなるスラブを、
加熱、熱延した後、圧下率が50〜75%の最終冷延を含む
1回以上の冷延を行って最終板厚とし、脱炭焼鈍後、A
1 変態点以下の温度域で最終焼鈍する方向性電磁鋼板
の製造方法において、仕上熱延時に摩擦係数0.22以下の
低摩擦圧延を1パス以上行い、かつ前記低摩擦圧延を行
うパスの圧下率が20%以上であることを特徴とする磁束
密度の極めて高い方向性電磁鋼板の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁束密度が極めて
高い方向性電磁鋼板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】方向性電磁鋼板は二次再結晶により鋼板
の結晶粒を特定方位に高度に結晶粒を配向させた製品で
あることが特徴であり、圧延面に{110}面、圧延方
向に<100>軸を有するゴス方位を持つ結晶粒により
構成されている。また、方向性電磁鋼板の用途として
は、軟磁性材料として主にトランスその他の電気機器の
鉄心材料に使用されるもので、近年省エネルギーや省資
源への社会的要求がますます厳しくなっている事から、
一方向性電磁鋼板の鉄損低減、磁化特性改善への要求も
厳しくなってきている。このため磁気特性、特に良好な
励磁特性と鉄損特性が求められるようになってきてい
る。
【0003】方向性電磁鋼板の励磁特性を示す指標とし
ては、通常磁束密度B8 (磁場の強さ800A/mにお
ける磁束密度)が用いられている。また鉄損特性を示す
指標としては、W17/50 (50Hzで1.7Tまで磁化
させたときの単位重量あたりの鉄損)等が用いられてい
る。鉄損は渦電流損とヒステリシス損からなり、渦電流
損は鋼板の電気抵抗率、板厚、結晶粒度、磁区の形態、
鋼板表面の皮膜張力等の因子により支配されている。一
方、ヒステリシス損は磁束密度を支配する鋼板の結晶方
位、純度、内部歪等により支配される。
【0004】これらの因子を制御することによる鉄損を
低減させるために、鋼板の電気抵抗を大きくするために
Si含有量を高めることが行われてきた。しかしなが
ら、これに伴い飽和磁束密度が低下するため、これを従
来技術では二次再結晶方位の集積度を上昇させることで
補って高磁束密度方向性電磁鋼板を製造してきた。
【0005】このために、従来技術では、二次再結晶を
安定して発現させるとともにその方位集積度を高め、磁
束密度を向上させる因子として、インヒビターの役割が
重要である。この目的のため、従来技術ではMnS、A
lN、MnSe等がインヒビターとして用いられてきて
いる。
【0006】従来の方向性電磁鋼板の製造方法は、二次
再結晶方位制御に用いられるインヒビターの種類により
大きく3種類に大別される。まず第一に、M.F.Li
ttmannにより特公昭30−3651号公報に開示
されている。この公報に記載の製造方法はインヒビター
にMnSを用い、二回冷延法で製造することが特徴であ
る。次に、特公昭40−15644号公報に田口、坂倉
らにより開示された、MnSに加えてAlNをインヒビ
ターとする製造方法である。このインヒビターにAlN
を用いる方法により、方向性電磁鋼板の磁束密度は1.
870T以上に向上し、磁気特性の改善による省エネル
ギーに多大な貢献を果たした。第3に、特公昭51−1
3469号公報に今中等により開示されたMnSとSb
もしくはMnS、MnSeとSbを用い、二回冷延法に
より製造する方法である。
【0007】これらの製造方法においては本質的あるい
は良好な磁束密度を得るためにはインヒビターの析出制
御を目的として、高温スラブ加熱により一旦インヒビタ
ーを構成する析出物を溶体化し、これを熱延工程あるい
は特公昭46−23820号公報に開示されているよう
に熱延板焼鈍時に微細に析出させることが必要である。
このように従来法では製鋼段階での成分調整と熱延の段
階でほぼ製品の特性が決定されるため、上工程での材質
造り込みの安定性確立が重要な課題であった。
【0008】しかしながら近年では、ヨーク材料や、磁
気シールド材料のように、従来のトランス鉄心用途の方
向性電磁鋼板とは異なり、鉄損よりも高磁束密度を重視
する用途の方向性電磁鋼板の要求が高まってきており、
その製造技術の確立が急がれていた。高磁束密度を得る
ためには従来技術で重視されたように方位集積度を上げ
ることの他に、鉄そのものの材料中の含有量を高め、飽
和磁束密度を上げることが有効である。
【0009】発明者等は、この目的で、これまでに、特
公平7−122093号公報、特開平4−301053
号公報等でその高磁束密度の方向性電磁鋼板製造方法に
ついて開示を行ってきた。しかしながら、これらの製造
方法よる工事速報構成電磁鋼板によっても、ヨーク材料
等に要求されるような高磁場での磁束密度に対して、更
に高いものの要求が需要家から出ているのが現状であ
り、従来技術の高磁束密度方向性電磁鋼板を上回る製品
の開発が急がれていた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような昨
今の市場の要請に応え、磁束密度が極めて高い方向性電
磁鋼板の製造方法を提供することを目的とするものであ
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨とするとこ
ろは、以下の通りである。 (1) 重量%で、 0.010% ≦ C ≦0.14 %、 0.010% ≦酸可溶性Al≦0.050%、 0.0030%≦ N ≦0.0150% を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなるスラ
ブを、加熱、熱延した後、圧下率が50〜75%の最終
冷延を含む1回以上の冷延を行って最終板厚とし、脱炭
焼鈍後、Ac1 変態点以下の温度域で最終焼鈍する方向
性電磁鋼板の製造方法において、仕上熱延時に摩擦係数
0.22以下の低摩擦圧延を1パス以上行い、かつ前記
低摩擦圧延を行うパスの圧下率が20%以上であること
を特徴とする磁束密度の極めて高い方向性電磁鋼板の製
造方法。
【0012】(2) 低摩擦圧延を行う際に体積分率で
0.5〜20%の潤滑油をロール冷却水にエマルジョン
状態で混入することを特徴とする前記(1)記載の磁束
密度の極めて高い方向性電磁鋼板の製造方法。
【0013】(3) 低摩擦圧延を行う際にロール冷却
水に混入する潤滑油の動粘度が100cSt以上800
cSt以下であることを特徴とする前記(1)又は
(2)記載の磁束密度の極めて高い方向性電磁鋼板の製
造方法。
【0014】(4) スラブを粗圧延して得られたシー
トバーの先端部を先行するシートバーの後端部と接合し
て複数のシートバーを一体とし、この一体とした複数の
シートバーを連続的に仕上熱延に供することを特徴とす
る前記(1)、(2)又は(3)記載の磁束密度の極め
て高い方向性電磁鋼板の製造方法。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明者らは、従来技術での検討
の主眼とされたインヒビター制御技術以外の製造プロセ
ス上の検討課題として、熱延条件を制御し熱延板の造り
込みによる磁束密度の高い方向性電磁鋼板の製造法につ
いて鋭意検討した結果、仕上熱延時に潤滑条件を制御す
ることにより、仕上熱延時に摩擦係数0.22以下の低
摩擦圧延を1パス以上行い、かつ前記低摩擦圧延を行う
パスの圧下率を20%以上とすることで、製品における
磁束密度が向上することを見いだした。
【0016】以下に本発明を詳細に説明する。まず、ス
ラブの含有成分について説明する。Cはその含有量が
0.010%未満になると二次再結晶が不安定となり、
磁束密度が著しく低下するので0.010%以上とす
る。一方、0.14%を超えると、脱炭焼鈍に要する時
間が長くなりすぎ、不経済であるので0.14%以下と
する。
【0017】酸可溶性AlはNと化合してインヒビター
であるAlNを形成する。その含有量が0.010%未
満であるとインヒビター析出量が不足し二次再結晶が不
安定となるので0.010%以上とする。一方、その含
有量が0.050%超となると析出状態が粗大化し、イ
ンヒビター効果が損なわれ磁束密度が低下するので、
0.050%以下とする。
【0018】Nは0.0030%以上0.0150%以
下にする必要がある。0.0150%を超えるとブリス
ターと呼ばれる鋼板表面の膨れが発生するとともに、一
次再結晶組織の調整が困難となるので0.0150%以
下とする。一方、N含有量が0.0030%未満である
と、インヒビターであるAlNの形成が不足し二次再結
晶の発現が困難になるのでN含有量は0.0030%以
上とする。
【0019】次に、本発明のプロセスについて説明す
る。本発明の電磁鋼スラブは、転炉または電気炉等の溶
解炉で鋼を溶製し、必要に応じて真空脱ガス処理し、次
いで連続鋳造により、あるいは造塊後分塊圧延すること
によって得られる。その後、熱間圧延に先立ちスラブ加
熱が行われる。本発明のプロセスにおいては、スラブの
加熱温度は適切に制御して主要インヒビターであるAl
Nを鋼中に再固溶させることが肝要である。
【0020】このスラブを熱延して所定の厚みの熱延板
とする。その際に、少なくとも1パスにおいて、鋼板と
ワークロール間の摩擦係数が0.22以下の低摩擦圧延
を施すことが重要である。この低摩擦圧延における摩擦
係数が0.22を超えると、二次再結晶方位の改善が不
十分であり、本発明が目的とする超高磁束密度方向性電
磁鋼板が得られない。従って、鋼板とロール間の摩擦係
数が0.22以下の低摩擦圧延を少なくとも1パスにお
いて施すこととする。同時に、そのパスの圧下率が20
%以上であることが必要である。
【0021】そして本発明では、低摩擦圧延を行う際に
体積分率で0.5〜20%の潤滑油をロール冷却水にエ
マルジョン状態で混入するようにしてもよい。ロール冷
却水中の潤滑油量が0.5%未満では摩擦係数低減効果
が得られず、20%を超えてもその効果が飽和し、不経
済である。そこで、ロール冷却水中の潤滑油量は0.5
〜20%とする。また、潤滑油とロール冷却水とが分離
すると、鋼板とロールとの間の摩擦係数が接触位置によ
り不均一になり、鋼板内の磁気特性のばらつきが大きく
なるので、潤滑油はロール冷却水にエマルジョン状態で
混入する。エマルジョン状態をより容易に得るために、
ロール冷却水に界面活性剤を加えてもよい。
【0022】また、潤滑油と冷却水とを別系統の配管で
ロール直近まで送り込み、同じスプレーノズル若しくは
個別のスプレーノズルから、潤滑油とロール冷却水とを
同時に圧延ロールに噴射することで両者をエマルジョン
状態にしてもよい。
【0023】ここで、低摩擦圧延を行う際にロール冷却
水に混入される潤滑油の動粘度を100cSt以上80
0cSt以下とするとよい。潤滑油の動粘度が100c
St未満では低摩擦圧延による磁束密度改善効果が十分
でないので、潤滑油の動粘度は100cSt以上とする
とよい。一方、潤滑油の動粘度が800cStを超える
と、その効果が飽和するとともに、粘度の高い潤滑油を
搬送する配管系に詰まりが生じやすくなり、また冷えた
潤滑油がロールやスタンドに付着してその除去のために
操業を頻繁に停止しなければならなくなるので、潤滑油
の動粘度は800cSt以下とするとよい。
【0024】なお本発明でいう潤滑油の動粘度とは、ロ
ール冷却水と混合した状態の温度で、実際にロールに噴
霧された時点での潤滑油の動粘度をいうものとする。こ
こで、潤滑油の動粘度は温度上昇に対して指数関数的に
減少する。したがって、潤滑油の動粘度を制御するに
は、潤滑油そのものの温度のみならずロール冷却水の温
度をも適切に制御する必要がある。
【0025】また、粘度の高い潤滑油を搬送する配管系
の詰まりを防止するために、搬送系では潤滑油温度を高
めに設定して、粘度の低い状態で搬送し、これをロール
冷却水に混合することで潤滑油の温度を低下させ、ロー
ル冷却水と潤滑油が混合された状態での動粘度を制御し
てもよい。
【0026】ここで、ロール冷却水に混入する潤滑油と
しては、公知の圧延潤滑油を用いればよい。このような
潤滑油の例として、キュードール5149、キュードー
ル0B068、キュードール4B313(いずれも共同
油脂(株)商品名)が挙げられる。但し、本発明におい
て最も特徴的なのは、仕上熱延工程において摩擦係数
0.22以下の低摩擦圧延を少なくとも1パスにおいて
行い、かつそのパスの圧下率を20%以上とすることで
ある。したがって、本発明を実施する際に用いられる潤
滑油は上述した成分系により構成されるものに限られる
ものではない。
【0027】本発明の製造方法による製品の磁束密度向
上効果の詳細な理由は定かでないが、Met.Sci.vol.18,N
o.2,page57-65(1984) に指摘されているように、二次再
結晶の核形成に鋼板表層の変形組織が重要な役割を果た
すことから、摩擦係数の低下により、熱延鋼板表層の結
晶組織、集合組織が変化し、その結果二次再結晶粒の核
となる方位を制御できたことがその原因と推測できる。
【0028】摩擦係数の下限については特に定めない
が、摩擦係数が過度に小さくなると鋼板とロール間にス
リップが生じて圧延不能となる事態が生じるので、安定
して熱延を実施するためには、摩擦係数は0.05以上
であることが好ましい。
【0029】また、本発明のごとき低摩擦係数の仕上熱
延を行う際、単一のスラブを一本のシートバーに粗圧延
し、これを一本毎に圧延する場合には、ルーパーのみで
は張力制御が困難であり、圧延中にロールと鋼板の間で
スリップが生じやすくなる場合がある。この問題を解決
するには、圧延速度を落としてやる方法があるが、この
方法では生産性を著しく損なう。ここで、スラブを粗圧
延して得られたシートバーの先端部を先行するシートバ
ーの後端部と接合して複数のシートバーを一体とし、こ
の一体とした複数のシートバーを連続的に仕上熱延に供
することが特に有効である。すなわち、連続熱延により
仕上圧延時の圧延反力の変動を最小に抑制し、低摩擦係
数での仕上熱延を安定して行うことが可能である。
【0030】先行シートバーと後行シートバーを接合す
る方法としては、先行シートバーの後端部と後行シート
バーの先端とを突き合わせ、突合せ部を溶接する方法
や、突合せ部に押圧力を加えて圧接する方法や、突合せ
部を溶接した後に圧接する方法等がある。また、突合せ
部に押圧力を加えつつ溶接するようにしてもよい。な
お、突合せ部を溶接する方法としては、例えばレーザ溶
接法、誘導加熱による方法等があげられる。
【0031】シートバーを接合して仕上熱延する場合、
シートバーの溶接時間を確保し仕上熱延を連続的に行う
ため、粗圧延後のシートバーを一時的に巻き取ってもよ
い。そして、巻き取ったシートバーは外面部分の温度低
下を抑制するために保熱カバーに装入して保温や加熱を
行ってもよい。また、シートバーを直接コイルボックス
内に巻き取ってもよい。
【0032】シートバーを巻き取っている間に仕上熱延
停止を避け、仕上熱延の連続性を確保するべく、巻き取
ったシートバーを格納するコイルボックスを複数設け、
シートバーを順次格納して保温や加熱を行い、またこれ
を順次巻きもどして仕上熱延に供してもよい。
【0033】熱延以降の行程については、析出物制御を
目的として熱延板焼鈍を行っても良い。酸洗後、1回も
しくは中間焼鈍を含む2回以上の冷間圧延により最終板
厚とする。
【0034】ここで、高磁束密度を得るためには最終冷
延率の制御が重要である。すなわち、50〜75%であ
る必要がある。最終冷延率がこの範囲を外れると本発明
が目的とする超高磁束密度が得られないので、最終冷延
率は50%以上75%以下とする。
【0035】次に湿水素雰囲気などの雰囲気中で脱炭焼
鈍をする。次いで焼鈍分離材を塗布し仕上焼鈍を行い、
二次再結晶および引き続いて純化を行う。本発明の鋼は
αγ変態を有するため、良好な二次再結晶方位を維持す
るために仕上焼鈍温度はαγ変態点以下で行う。二次再
結晶完了後の純化焼鈍は水素雰囲気中で実施する。
【0036】以下、仕上熱延における摩擦係数及び圧下
率と成品磁束密度との関係について、実験結果に基づき
説明する。C:0.05%、酸可溶性Al:0.018
%、N:0.0065%を含有し、残部Feおよび不可
避的不純物からなるスラブを加熱後、粗圧延機により7
0mm厚のシートバーとした。その後、このシートバーを
仕上圧延機により2.3mm厚みの熱延板とした。その
際、仕上熱延機の冷却水中に潤滑油をエマルジョン状態
で混入させることにより、第3パスの鋼板とワークロー
ルとの摩擦係数を変化させると同時に、その圧下率も変
化させた。摩擦係数は実測の先進率より計算により求
め、各スタンドの計算値を平均したものを用いた。仕上
熱延は7スタンドで行い、第3パス以外のワークロール
と鋼板間の摩擦係数は冷却水中の潤滑油量を制御するこ
とにより、0.33に制御した。
【0037】得られた熱延板を酸洗し60%冷延し、8
30℃で2分焼鈍を行い、67.4%の最終冷延によ
り、0.30mm厚に仕上げた。これに830℃の湿水素
雰囲気中で5分間の脱炭焼鈍を施し、その後乾水素中で
890℃×10時間の仕上焼鈍を行った。仕上熱延時の
第3パスの鋼板とワークロールとの間の摩擦係数、圧下
率と磁界強度10000A/mの高磁場での磁束密度の
関係について図1に示す。
【0038】図1より、仕上熱延時の鋼板とワークロー
ルとの間の摩擦係数が0.22以下でかつ、圧下率30
%以上であれば高磁場での磁束密度B100 が2.10T
以上の良好な特性を有する方向性電磁鋼板が得られるこ
とがわかる。
【0039】
【実施例】
[実施例1]表1の成分を含有し、残部Feおよび不可
避的不純物からなるスラブを加熱後、粗圧延機により7
0mm厚のシートバーとした。その後、このシートバーを
仕上圧延機により2.5mmの厚みの熱延板とした。その
際、仕上熱延機のロール冷却水中に潤滑油をエマルジョ
ン状態で混入させることにより、鋼板と仕上熱延ロール
との摩擦係数を調整した。第3パスの圧下率を40%と
し、このパスの冷却水中の潤滑油量を変化させることに
より、鋼板とロール間の摩擦係数を変化させた。他のス
タンドの鋼板とワークロール間の摩擦係数は、0.34
に制御した。摩擦係数は実測の先進率より計算により求
めた。
【0040】
【表1】
【0041】得られた熱延板に825℃で2分の熱延板
焼鈍を施し、その後酸洗し56%の冷延を施し、1.1
mm厚に仕上げた。これを830℃の湿水素雰囲気中で脱
炭焼鈍を施した。その後最終冷延率63.6%の圧延に
より0.40mm厚まで冷延し、次いで830℃5分の脱
炭焼鈍を湿水素雰囲気中で実施した。その後890℃×
10時間の仕上焼鈍を行った。仕上熱延時の第3パスの
摩擦係数と仕上焼鈍後の磁気特性との関係を表2に示
す。表2より、仕上熱延時のワークロールと鋼板の間の
摩擦係数が0.22以下の場合に磁束密度が高くなって
いることがわかる。
【0042】
【表2】
【0043】[実施例2]表3の成分を含有し、残部F
eおよび不可避的不純物からなるスラブを加熱後、粗圧
延機により70mm厚のシートバーとした。その後、この
シートバーを仕上圧延機により2.5mmの厚みの熱延板
とした。その際、仕上熱延機の冷却水中に潤滑油をエマ
ルジョン状態で混入させることにより、鋼板と仕上熱延
ロールとの摩擦係数を調整した。第3パスの冷却水中の
潤滑油量を変化させることにより、鋼板とロール間の摩
擦係数を0.18とし、圧下率を種々変化させた。他の
スタンドの鋼板とワークロール間の摩擦係数は、0.3
4に制御した。摩擦係数は実測の先進率より計算により
求めた。
【0044】
【表3】
【0045】得られた熱延板に825℃で2分の熱延板
焼鈍を施し、その後酸洗し56%の冷延を施し、1.1
mm厚に仕上げた。これを830℃の湿水素雰囲気中で脱
炭焼鈍を施した。その後最終冷延率63.6%の圧延に
より0.40mm厚まで冷延し、次いで830℃5分の脱
炭焼鈍を湿水素雰囲気中で実施した。その後890℃×
10時間の仕上焼鈍を行った。仕上熱延時の第3パスの
圧下率と仕上焼鈍後の磁気特性との関係を表4に示す。
表4より、第3パスの圧下率が20%以上の場合に磁束
密度が高くなっていることがわかる。
【0046】
【表4】
【0047】[実施例3]表5の成分を含有し、残部F
eおよび不可避的不純物からなるスラブを加熱後、粗圧
延機により60mm厚のシートバーとした。その後、この
シートバーを仕上圧延機により2.5mmの厚みの熱延板
とした。その際、仕上熱延機の冷却水中に潤滑油をエマ
ルジョン状態で混入させることにより、鋼板と仕上熱延
ロールとの摩擦係数を調整し、全パスにおいて0.22
以下とした。摩擦係数は実測の先進率より計算により求
めた。また、低摩擦熱延を安定して実施するために粗圧
延後、先行のシートバーに後行のシートバーを接続し、
仕上熱延を連続して行った。
【0048】
【表5】
【0049】得られた熱延板に825℃2分の熱延板焼
鈍を施し、その後酸洗し一回目の冷延を施し、これを8
30℃の湿水素雰囲気中で脱炭焼鈍を施した。その後最
終冷延率を変えて仕上げ板厚にし、次いで脱炭焼鈍を湿
水素雰囲気中で実施した。その後890℃×10時間の
仕上焼鈍を行った。最終冷延率と仕上焼鈍後の磁気特性
との関係を表6に示す。表6より、最終冷延率が50%
以上75以下の範囲において高磁場での磁束密度B100
の値が2.10T以上と高くなっていることがわかる。
【0050】
【表6】
【0051】
【発明の効果】このように本発明によれば、磁束密度が
極めて高い方向性電磁鋼板を製造することが可能であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】仕上熱延時の鋼板とワークロール間の摩擦係
数、圧下率と製品の磁束密度の関係を示すものである。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、 0.010% ≦ C ≦0.14 %、 0.010% ≦酸可溶性Al≦0.050%、 0.0030%≦ N ≦0.0150% を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなるスラ
    ブを、加熱、熱延した後、圧下率が50〜75%の最終
    冷延を含む1回以上の冷延を行って最終板厚とし、脱炭
    焼鈍後、Ac1 変態点以下の温度域で最終焼鈍する方向
    性電磁鋼板の製造方法において、仕上熱延時に摩擦係数
    0.22以下の低摩擦圧延を1パス以上行い、かつ前記
    低摩擦圧延を行うパスの圧下率が20%以上であること
    を特徴とする磁束密度の極めて高い方向性電磁鋼板の製
    造方法。
  2. 【請求項2】 低摩擦圧延を行う際に体積分率で0.5
    〜20%の潤滑油をロール冷却水にエマルジョン状態で
    混入することを特徴とする請求項1記載の磁束密度が極
    めて高い方向性電磁鋼板の製造方法。
  3. 【請求項3】 低摩擦圧延を行う際にロール冷却水に混
    入する潤滑油の動粘度が100cSt以上800cSt
    以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の磁束
    密度が極めて高い方向性電磁鋼板の製造方法。
  4. 【請求項4】 スラブを粗圧延して得られたシートバー
    の先端部を先行するシートバーの後端部と接合して複数
    のシートバーを一体とし、この一体とした複数のシート
    バーを連続的に仕上熱延に供することを特徴とする請求
    項1又は2記載の磁束密度が極めて高い方向性電磁鋼板
    の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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