JPH10296781A - トランスファ成形型装置におけるプランジャー構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ポットからプランジャーが引き抜かれる際、
ポットの底面とプランジャーの先端面との空間部に対し
エアーを導入することで、ポットとプランジャーとの引
き離しに要する力を可及的に軽減する。 【解決手段】 成形材料が投入されるポット２１と、そ
のポット２１に対し挿脱可能に嵌挿されるプランジャー
４０とを備える。ポット２１に対し成形材料が投入され
た後、プランジャー４０がポット２１に嵌挿され、その
プランジャー４０によって成形材料がポット２１のスプ
ルー孔２２よりキャビティ１２に充填されることで成形
品が成形されるトランスファ成形型装置において、ポッ
ト２１とプランジャー４０との間には、そのポット２１
の底面とプランジャー４０の先端面との間の空間部が負
圧になったときに、エアーを導入するエアー導入手段５
０が設けられている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、トランスファ成
形型装置におけるプランジャー構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】この種のトランスファ成形型装置におい
て、図６に示すように、本体フレーム１０２の上部に設
けられたシリンダー固定盤１０３には、その中央部にメ
インシリンダ１０４が取り付けられ、左右両側部には引
離し用シリンダ１０６が取り付けられている。前記左右
一対の引離し用シリンダ１０６のロッド１０７の下端部
には可動盤（熱盤）１２０が取り付けられ、その可動盤
１２０の上面には、成形材料が投入されるポット１２１
が設けられている。ポット１２１の底面には、上型１１
１の注入孔１１３に対応するスプルー孔１２２が形成さ
れている。

【０００３】一方、メインシリンダ１０４のロッド１０
５の下端にはプランジャベース１３０が取り付けられ、
そのプランジャベース１３０の下面には、図７に示すよ
うに、ポット１２１に対し挿脱可能に嵌挿されるプラン
ジャー１４０が締付ボルト１３１とノックピン１４２に
よって取り付けられている。前記可動盤１２０のポット
１２１に対し成形材料が投入され、その可動盤１２０が
型締め状態にある上型１１１の上面まで下降した後、メ
インシリンダ１０４によってプランジャベース１３０と
共にプランジャー１４０が下降される。これによって、
プランジャー１４０が前記ポット１２１に嵌挿される。
そして、前記プランジャー１４０の下降動作に基づい
て、前記ポット１２１の成形材料が加圧され、その成形
材料がスプルー孔１２２より上型１１１の注入孔を経て
上型１１１と下型１１０との間のキャビティ１１２に注
入されることで、所望とする成形品が成形される。

【０００４】その後、メインシリンダ１０４によってプ
ランジャベース１３０と共にプランジャー１４０が上昇
される。この際、可動盤１２０は、引離し用シリンダ１
０６によって、型締め状態にある上型１１１の上面に当
接する下降端位置に保持され、その可動盤１２０のポッ
ト１２１からプランジャー１４０が引き抜かれる。そし
て、プランジャー１４０は元の位置まで上昇された後、
可動盤１２０が引離し用シリンダ１０６によって元の材
料投入位置まで上昇されるようになっている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】ところで、前記したよ
うに構成されるトランスファ成形型装置において、図７
に示すように、プランジャー１４０の下降動作に基づい
て、可動盤１２０のポット１２１の成形材料が加圧され
る際、その成形材料の一部は、ポット１２１の内周面と
プランジャー１４０の外周面との間の僅かな隙間に侵入
して、その隙間を塞ぐ。前記したように、ポット１２１
とプランジャー１４０との間の隙間が塞がれた状態にお
いて、メインシリンダ１０４よってプランジャベース１
３０と共にプランジャー１４０が上昇され、可動盤１２
０のポット１２１からプランジャー１４０が引き抜かれ
る際、ポット１２１の底面とプランジャー１４０の先端
面との空間部は真空状態になる。このため、引離し用シ
リンダ１０６は、前記ポット１２１の底面とプランジャ
ー１４０の先端面との間の空間部に発生する真空に打ち
勝つだけの大きい力を有する油圧シリンダによって構成
する必要性がある。さらに、引離し用シリンダ１０６を
作動するためのポンプ、モータ等の油圧ユニットの容量
も大きくする必要性が生じることから、トランスファ成
形型装置の製作費やランニングコストが高くなる等の問
題点があった。

【０００６】この発明の目的は、前記従来の問題点に鑑
み、ポットからプランジャーが引き抜かれる際、ポット
の底面とプランジャーの先端面との空間部に対しエアー
を導入して、前記空間部が真空になることを解消するこ
とで、ポットとプランジャーとの引き離しに要する力を
可及的に軽減することができるトランスファ成形型装置
におけるプランジャー構造を提供することである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、請求項１の発明に係るトランスファ成形型装置にお
けるプランジャー構造は、成形材料が投入されるポット
と、そのポットに対し挿脱可能に嵌挿されるプランジャ
ーとを備え、前記ポットに対し成形材料が投入された
後、前記プランジャーが前記ポットに嵌挿され、そのプ
ランジャーによって前記成形材料が前記ポットのスプル
ー孔よりキャビティに充填されることで成形品が成形さ
れるトランスファ成形型装置において、前記ポットと前
記プランジャーとの間には、そのポットの底面とプラン
ジャーの先端面との間の空間部が負圧になったときに、
前記空間部にエアーを導入するエアー導入手段が設けら
れていること特徴とする。

【０００８】したがって、ポットからプランジャーが引
き抜かれる際、ポットの底面とプランジャーの先端面と
の間の空間部が負圧になると、エアー導入手段によって
前記空間部にエアーが導入される。このため、プランジ
ャーとポットとの引き離しに要する力が可及的に軽減さ
れることから、引離し用シリンダを力の小さい油圧シリ
ンダやエアーシリンダによって構成することが可能とな
るとともに、引離し用シリンダを用いることなく、コイ
ルスプリングのようなバネの弾発力に基づいてプランジ
ャーとポットとを引き離すことも可能となる。

【０００９】また、請求項２の発明に係るトランスファ
成形型装置におけるプランジャー構造は、請求項１に記
載のトランスファ成形型装置におけるプランジャー構造
において、プランジャーには、エアー導入手段を構成す
るエアー導入路と開閉弁とがそれぞれ設けられ、前記エ
アー導入路の一端側には、前記プランジャーの外周面に
開口するエアー取入孔が形成され、前記エアー導入路の
他端部には、前記プランジャーの先端面に開口する弁孔
が形成され、さらに、前記弁孔には、戻しバネの弾発力
によって閉じ状態に保持される開閉弁が開閉可能に組み
付けられ、前記ポットの底面とプランジャーの先端面と
の間の空間部が負圧になったときには前記戻しバネの弾
発力に抗して前記開閉弁が開放される構成にしてあるこ
とを特徴とする。

【００１０】したがって、ポットからプランジャーが引
き抜かれる際、ポットの底面とプランジャーの先端面と
の間の空間部が負圧になると、開閉弁が戻しバネの弾発
力に抗して開放される。これによって、エアー、例えば
外気がエアー導入路から前記空間部に導入される。この
ため、プランジャーとポットとの引き離しに要する力が
可及的に軽減されることから、引離し用シリンダを力の
小さい油圧シリンダやエアーシリンダによって構成する
ことが可能となるとともに、引離し用シリンダを用いる
ことなく、コイルスプリングのようなバネの弾発力に基
づいてプランジャーとポットとを引き離すことも可能と
なる。

【００１１】

【発明の実施の形態】この発明の実施の形態を図１〜図
５にしたがって説明する。図４において、トランスファ
成形型装置１の本体フレーム２の上部にはシリンダー固
定盤３が設けられ、本体フレーム２の下部には下型取付
台８が設けられている。下型取付台８には下型１０が取
り付けられ、その下型１０には図示しないヒンジ機構に
よって上型１１が型締め・型開き可能に組み付けられて
いる。そして、下型１０と上型１１との間には成形品に
対応するキャビティ１２が形成され、上型１１にはキャ
ビティ１２に通じる注入孔１３が形成されている。

【００１２】本体フレーム２のシリンダー固定盤３に
は、その中央部にメインシリンダ４が取り付けられ、左
右両側部には引離し用シリンダ６が取り付けられてい
る。前記左右一対の引離し用シリンダ６のロッド７の下
端部には可動盤（熱盤）２０が取り付けられ、その可動
盤２０の上面には、成形材料が投入されるポット２１が
設けられている。ポット２１の底面には、上型１１の注
入孔１３に対応するスプルー孔２２が形成されている。
前記メインシリンダ４のロッド５の下端にはプランジャ
ベース３０が取り付けられ、そのプランジャベース３０
の下面には、ポット２１に対し挿脱可能に嵌挿されるプ
ランジャー４０が組み付けられている。

【００１３】前記ポット２１とプランジャー４０との間
には、そのポット２１の底面とプランジャー４０の先端
面との間の空間部が負圧になった時にその空間部にエア
ーを導入するエアー導入路５１と、開閉弁６０とを備え
たエアー導入手段５０が配設されている。この実施の形
態おいて、図１に示すように、プランジャー４０は、上
方に開口する内室５２を有して有底筒状に形成されたプ
ランジャー本体４３と、そのプランジャー本体４３の上
方開口部を覆蓋する蓋板を兼務する止め金具４１とを主
体として構成されている。前記止め金具４１は、プラン
ジャベース３０の取付孔の上方から挿通された締付ボル
ト３１に締め付けられてプランジャベース３０の下面に
取り付けられている。そして、プランジャー本体４３
は、前記止め金具４１とノックピン４２によってプラン
ジャベース３０の下面に取り付けられている。なお、止
め金具４１の外周面と、プランジャー本体４３の内室５
２の内周面上部には、相互に螺合する雄ネジと雌ネジと
がそれぞれ形成されている。

【００１４】前記プランジャー本体４３の外周面には、
その内室５２を外部に開口して内室５２を常圧に保持す
るエアー取入孔５３が形成されている。さらに、プラン
ジャー本体４３には、その内室５２の底面からプランジ
ャー本体４３の下面に向けて弁軸孔５５と弁孔５７とが
連通して形成されている。図１〜図３に示すように、弁
軸孔５５の周壁面には内室５２と弁孔５７とを連通する
連通路５６が形成されている。そして、前記エアー取入
孔５３、内室５２、連通路５６及び弁孔５７によってエ
アー導入路５１が構成されている。

【００１５】前記エアー導入路５１を開閉する開閉弁６
０は、プランジャー本体４３の内室５２、弁軸孔５５及
び弁孔５７にわたって組み付けられている。前記開閉弁
６０は、弁孔５７の周面に形成されたテーパ状の弁座５
８に対し接離可能に当接して弁孔５７を閉じるテーパ状
の弁部６２と、弁軸孔５５に移動可能に挿通された弁軸
部６３とを一体に備えている。さらに、図２に示すよう
に、開閉弁６０は、その弁部６２の上端部に締め付けら
れた座付ナット６４と内室５２の底面との間に介装され
たコイルスプリングよりなる戻しバネ６５の弾発力によ
って閉じ位置に保持され、その弁部６２の下面は、プラ
ンジャー本体４３の下面と同一面をなしている。また、
ポット２１の底面とプランジャー本体４３の下面との間
の空間部が負圧になったときには、戻しバネ６５の弾発
力に抗して開閉弁６０が開放されるようになっている。

【００１６】この実施の形態のトランスファ成形型装置
におけるプランジャー構造は、上述したように構成され
る。したがって、図４に示すように、材料投入位置に配
置された可動盤２０のポット２１に対し成形材料が投入
される。その後、引離し用シリンダ６によって可動盤２
０が型締め状態にある上型１１の上面まで下降した後、
メインシリンダ４によってプランジャベース３０と共に
プランジャー４０が下降され、ポット２１に嵌挿され
る。引き続くプランジャー１４０の下降動作に基づい
て、ポット２１の成形材料が加圧され、図２に示すよう
に、成形材料がスプルー孔２２より上型１１の注入孔を
経て上型１１と下型１０との間のキャビティ１２に注入
されることで、所望とする成形品が成形される。

【００１７】その後、メインシリンダ４によってプラン
ジャベース３０と共にプランジャー４０が上昇される。
この際、図１に示すように、可動盤２０は、引離し用シ
リンダ６によって、型締め状態にある上型１１の上面に
当接する下降端位置に保持され、その可動盤２０のポッ
ト２１からプランジャー４０が引き抜かれる。そして、
プランジャー４０は元の位置まで上昇された後、可動盤
２０が引離し用シリンダ６によって元の材料投入位置ま
で上昇される。

【００１８】さて、前記したように、メインシリンダ４
よってプランジャベース３０と共にプランジャー４０が
上昇され、可動盤２０のポット２１からプランジャー４
０が引き抜かれる際、ポット２１の底面とプランジャー
４０の先端面との間の空間部が負圧になると、前記空間
部とプランジャー４０の内室５２との圧力差に基づい
て、図１に示すように、開閉弁６０が戻しバネ６５の弾
発力に抗して開放される。すると、エアー（外気）がエ
アー導入路５１、内室５２、連通路５６及び弁孔５７を
順に経て前記空間部に流入する。

【００１９】このため、プランジャー４０とポット２１
との引き離しに要する力が可及的に軽減される。すなわ
ち、可動盤２０のポット２１からプランジャー４０が引
き抜かれる際の引離し用シリンダ６による可動盤２０の
保持力は、従来のポット１２１の底面とプランジャー１
４０の先端面との間の空間部が真空となる場合と比べ
て、可及的に小さくすることができる。この結果、引離
し用シリンダ６を力の小さい油圧シリンダやエアーシリ
ンダによって構成することが可能となり、トランスファ
成形型装置１の製作費やランニングコストを低減するこ
とができる。

【００２０】また、プランジャー４０とポット２１との
引き離しに要する力が可及的に軽減されることで、図５
の（Ａ）及び（Ｂ）に示すように、引離し用シリンダ６
を用いることなく、プランジャベース３０と可動盤２０
との間にコイルスプリングのようなバネ７６を介装し、
そのバネ７６の弾発力に基づいてプランジャー４０とポ
ット２１とを引き離すことも可能となり、トランスファ
成形型装置１の製作費やランニングコストをより一層低
減することができる。また、プランジャー４０のエアー
取入孔５３を圧縮エアーの供給源に接続することで、エ
アー導入路５１に対し圧縮エアーを積極的に供給するよ
うに構成することも可能である。

【００２１】なお、前記実施の形態においては、下型１
０に対し、ヒンジ機構によって上型１１が型締め・型開
き可能に組み付けられている場合を例示したが、これに
限るものではなく、可動盤２０の下面に対し上型１１が
取り付ける形式のトランスファ成形型装置であってもよ
い。

【００２２】

【発明の効果】以上述べたように、この発明によれば、
プランジャーとポットとの引き離しに要する力を可及的
に軽減することができるため、引離し用シリンダを力の
小さい油圧シリンダやエアーシリンダによって構成する
ことが可能となる。さらに、引離し用シリンダを用いる
ことなく、コイルスプリングのようなバネの弾発力に基
づいてプランジャーとポットとを引き離すことも可能と
なり、トランスファ成形型装置の製作費やランニングコ
ストの低減に効果が大きい。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の実施の形態のトランスファ成形型装
置におけるプランジャー構造を示し、ポットとプランジ
ャーとが引き離される状態を示す断面図である。

【図２】同じくポットに対しプランジャーが下降端まで
下降して成形材料がキャビティに注入された状態を示す
断面図である。

【図３】同じくポットとプランジャーとの組付け関係を
示す横断面図である。

【図４】同じくトランスファ成形型装置の全体を一部破
断して示す正面図である。

【図５】この発明の他の実施態様を示す説明図である。

【図６】従来のトランスファ成形型装置の全体を一部破
断して示す正面図である。

【図７】同じく従来のトランスファ成形型装置における
プランジャー構造を示す断面図である。

【符号の説明】

１ トランスファ成形型装置 ６ 引離し用シリンダ １０ 下型 １１ 上型 １２ キャビティ ２０ 可動盤 ２１ ポット ２２ スプルー孔 ３０ プランジャベース ４０ プランジャー ４３ プランジャー本体 ５０ エアー導入手段 ５１ エアー導入路 ５３ エアー取入孔 ５７ 弁孔 ６０ 開閉弁 ６２ 弁部 ６５ 戻しバネ

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 成形材料が投入されるポットと、そのポ
   ットに対し挿脱可能に嵌挿されるプランジャーとを備
   え、前記ポットに対し成形材料が投入された後、前記プ
   ランジャーが前記ポットに嵌挿され、そのプランジャー
   によって前記成形材料が前記ポットのスプルー孔よりキ
   ャビティに充填されることで成形品が成形されるトラン
   スファ成形型装置において、 前記ポットと前記プランジャーとの間には、そのポット
   の底面とプランジャーの先端面との間の空間部が負圧に
   なったときに、前記空間部にエアーを導入するエアー導
   入手段が設けられていること特徴とするトランスファ成
   形型装置におけるプランジャー構造。
2. 【請求項２】 請求項１に記載のトランスファ成形型装
   置におけるプランジャー構造において、プランジャーに
   は、エアー導入手段を構成するエアー導入路と開閉弁と
   がそれぞれ設けられ、 前記エアー導入路の一端側には、前記プランジャーの外
   周面に開口するエアー取入孔が形成され、前記エアー導
   入路の他端部には、前記プランジャーの先端面に開口す
   る弁孔が形成され、 さらに、前記弁孔には、戻しバネの弾発力によって閉じ
   状態に保持される開閉弁が開閉可能に組み付けられ、前
   記ポットの底面とプランジャーの先端面との間の空間部
   が負圧になったときには前記戻しバネの弾発力に抗して
   前記開閉弁が開放される構成にしてあることを特徴とす
   るトランスファ成形型装置におけるプランジャー構造。