JPH10295285A - ワムシ餌料 - Google Patents
ワムシ餌料Info
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- JPH10295285A JPH10295285A JP9113902A JP11390297A JPH10295285A JP H10295285 A JPH10295285 A JP H10295285A JP 9113902 A JP9113902 A JP 9113902A JP 11390297 A JP11390297 A JP 11390297A JP H10295285 A JPH10295285 A JP H10295285A
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- chlorella
- suspension
- buffer
- sodium
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 保存時のクロレラの生存期間を長くすること
によって、長期保存が可能なワムシ餌料用のクロレラを
提供すること。 【解決手段】 ワムシ餌料用クロレラ懸濁液において、
前記懸濁液が有効量の制酸剤又は緩衝剤を含有すること
によりpHが維持されることを特徴とする懸濁液。
によって、長期保存が可能なワムシ餌料用のクロレラを
提供すること。 【解決手段】 ワムシ餌料用クロレラ懸濁液において、
前記懸濁液が有効量の制酸剤又は緩衝剤を含有すること
によりpHが維持されることを特徴とする懸濁液。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、海産魚の初期餌料
として重要なワムシを生産するためのクロレラに関する
ものである。
として重要なワムシを生産するためのクロレラに関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】植物プランクトンであるクロレラ(Chlor
ella)は、海産魚の初期餌料として重要なワムシ(Brach
ionus plicatilis, Brachionus rotundiformis等)の餌
料として使用されている。これは、クロレラが、クロレ
ラエキス、蛋白質、ビタミン、ミネラル、食物繊維、葉
緑素等のワムシの成長に有用な成分を含有していること
の外に、増殖能が高く、工業的な生産方法が確立されて
いるため、安定供給が可能なこと等によるものである。
ella)は、海産魚の初期餌料として重要なワムシ(Brach
ionus plicatilis, Brachionus rotundiformis等)の餌
料として使用されている。これは、クロレラが、クロレ
ラエキス、蛋白質、ビタミン、ミネラル、食物繊維、葉
緑素等のワムシの成長に有用な成分を含有していること
の外に、増殖能が高く、工業的な生産方法が確立されて
いるため、安定供給が可能なこと等によるものである。
【0003】現在、ワムシの餌料として商品化されてい
るクロレラの多くは、工場等で工業的に生産され、培養
を終了した段階での濃度よりも濃縮された懸濁液の状態
で種苗生産機関等に輸送後、ワムシに与えられている。
クロレラを餌料とするワムシは、死滅したクロレラを与
えられるとその増殖が著しく低下することが知られてい
る。したがって、クロレラは生きた状態でワムシに与え
ることが好ましい。
るクロレラの多くは、工場等で工業的に生産され、培養
を終了した段階での濃度よりも濃縮された懸濁液の状態
で種苗生産機関等に輸送後、ワムシに与えられている。
クロレラを餌料とするワムシは、死滅したクロレラを与
えられるとその増殖が著しく低下することが知られてい
る。したがって、クロレラは生きた状態でワムシに与え
ることが好ましい。
【0004】従来のワムシ餌料用クロレラは、濃縮懸濁
液の状態で0〜4℃の冷蔵保存されることにより、クロ
レラの生存化が図られ、製造から30日程度生存するこ
とができる。クロレラを低温環境下に置くことにより、
クロレラの代謝が押さえられるため、より長期間生存さ
せることができると考えられている。
液の状態で0〜4℃の冷蔵保存されることにより、クロ
レラの生存化が図られ、製造から30日程度生存するこ
とができる。クロレラを低温環境下に置くことにより、
クロレラの代謝が押さえられるため、より長期間生存さ
せることができると考えられている。
【0005】しかしながら、クロレラは、冷蔵保存中に
もわずかではあるが代謝を行い、有機酸や炭酸ガスを細
胞外に排出する。このような代謝により排出される酸
は、クロレラ懸濁液のpH値を下げ得るものである。事
実、クロレラ懸濁液のpH値は、冷蔵保存開始後1〜2
日間で保存開始時のpHよりも下がり、6程度になる。
しかしながら、その後、クロレラの代謝は低下し、クロ
レラの懸濁液のpHは比較的安定であり、冷蔵保存中を
通してほぼ一定値を保つ。したがって、クロレラはpH
6の懸濁液で冷蔵保存され、約一カ月の間生存が可能で
あった( 実施例2、図1及び実施例3、図2)。
もわずかではあるが代謝を行い、有機酸や炭酸ガスを細
胞外に排出する。このような代謝により排出される酸
は、クロレラ懸濁液のpH値を下げ得るものである。事
実、クロレラ懸濁液のpH値は、冷蔵保存開始後1〜2
日間で保存開始時のpHよりも下がり、6程度になる。
しかしながら、その後、クロレラの代謝は低下し、クロ
レラの懸濁液のpHは比較的安定であり、冷蔵保存中を
通してほぼ一定値を保つ。したがって、クロレラはpH
6の懸濁液で冷蔵保存され、約一カ月の間生存が可能で
あった( 実施例2、図1及び実施例3、図2)。
【0006】このpH6という値は、クロレラが十分生
育することのできる値として広く知られている4〜9の
範囲内であり、クロレラの増殖の最適pHとされる6〜
7の範囲にも含まれる値である。
育することのできる値として広く知られている4〜9の
範囲内であり、クロレラの増殖の最適pHとされる6〜
7の範囲にも含まれる値である。
【0007】したがって、クロレラがpH6の懸濁液中
で冷蔵保存され、一カ月生存できるということは、クロ
レラ懸濁液の冷蔵保存状態では、生存に必要な栄養塩、
炭素源、酸素等の供給がないため、クロレラの寿命が一
カ月であると判断されており、保存中のpHが影響して
いるとは全く考えられていなかった。
で冷蔵保存され、一カ月生存できるということは、クロ
レラ懸濁液の冷蔵保存状態では、生存に必要な栄養塩、
炭素源、酸素等の供給がないため、クロレラの寿命が一
カ月であると判断されており、保存中のpHが影響して
いるとは全く考えられていなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記事情に
鑑みてなされたものであり、保存時のクロレラの生存期
間を長くすることにより、長期保存が可能なワムシ餌料
用のクロレラを提供することを課題とするものである。
鑑みてなされたものであり、保存時のクロレラの生存期
間を長くすることにより、長期保存が可能なワムシ餌料
用のクロレラを提供することを課題とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意研究した結果、濃縮懸濁液の状態
で長期間冷蔵保存されたクロレラが死滅するのは、従来
はその死滅とは関連があるとは考えられていないpHが
密接に関連することを見いだした。さらに、本発明者ら
は、クロレラが十分生育できるとして知られている懸濁
液のpH値の下限よりも高い値に懸濁液のpH値の下限
を維持することにより、クロレラを長期間生存させるこ
とができることを見いだし、本発明を完成するに至っ
た。
を解決するために鋭意研究した結果、濃縮懸濁液の状態
で長期間冷蔵保存されたクロレラが死滅するのは、従来
はその死滅とは関連があるとは考えられていないpHが
密接に関連することを見いだした。さらに、本発明者ら
は、クロレラが十分生育できるとして知られている懸濁
液のpH値の下限よりも高い値に懸濁液のpH値の下限
を維持することにより、クロレラを長期間生存させるこ
とができることを見いだし、本発明を完成するに至っ
た。
【0010】すなわち、本発明は、ワムシ餌料用クロレ
ラ懸濁液において、前記懸濁液が有効量の制酸剤又は緩
衝剤を含有することによりpHが維持されることを特徴
とする懸濁液を提供するものである。
ラ懸濁液において、前記懸濁液が有効量の制酸剤又は緩
衝剤を含有することによりpHが維持されることを特徴
とする懸濁液を提供するものである。
【0011】前記制酸剤として、カルシウム、マグネシ
ウム及びアルミニウムからなる群から選択される金属の
酸化物若しくは水酸化物、又は炭酸、ケイ酸及びリン酸
からなる群から選択される酸の塩を用いることができ
る。
ウム及びアルミニウムからなる群から選択される金属の
酸化物若しくは水酸化物、又は炭酸、ケイ酸及びリン酸
からなる群から選択される酸の塩を用いることができ
る。
【0012】前記緩衝剤として、炭酸ナトリウム及び炭
酸水素ナトリウムの混合物、又はリン酸二水素カリウム
及びリン酸水素二ナトリウムの混合物を用いることがで
きる。
酸水素ナトリウムの混合物、又はリン酸二水素カリウム
及びリン酸水素二ナトリウムの混合物を用いることがで
きる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明のワムシ餌料用クロ
レラ懸濁液について詳細に説明する。本発明で用いるこ
とのできるクロレラは、緑色植物門、緑藻綱、クロレラ
(Chlorella) 属に属する藻種(以下、単にクロレラとも
いう)であれば特に制限はない。クロレラの一例を挙げ
ると、クロレラ・ブルガリス(Chlorella vulgaris)、ク
ロレラ・ピレノイドサ(chlorella pyreno idosa)、クロ
レラ・レギュラリス(Chlorella regularis) 、クロレラ
・サッカロフィラ(Chlorella saccharophila)、クロレラ・ソロキ
ニアナ(Chlorella sorokiniana) がある。これらのクロレ
ラは、当業者が容易に入手することができるものであ
る。例えば、東京大学IAMカルチャーコレクションか
ら入手することができる。
レラ懸濁液について詳細に説明する。本発明で用いるこ
とのできるクロレラは、緑色植物門、緑藻綱、クロレラ
(Chlorella) 属に属する藻種(以下、単にクロレラとも
いう)であれば特に制限はない。クロレラの一例を挙げ
ると、クロレラ・ブルガリス(Chlorella vulgaris)、ク
ロレラ・ピレノイドサ(chlorella pyreno idosa)、クロ
レラ・レギュラリス(Chlorella regularis) 、クロレラ
・サッカロフィラ(Chlorella saccharophila)、クロレラ・ソロキ
ニアナ(Chlorella sorokiniana) がある。これらのクロレ
ラは、当業者が容易に入手することができるものであ
る。例えば、東京大学IAMカルチャーコレクションか
ら入手することができる。
【0014】本発明で用いるクロレラは、それ自体既知
の方法により培養することができる。一例を挙げると、
クロレラの培養には、ブリストール培地やソロキン・ク
ラウス培地(藻類実験法、南江堂、68〜104頁)の
ような一般的なものを培地として使用することができ
る。
の方法により培養することができる。一例を挙げると、
クロレラの培養には、ブリストール培地やソロキン・ク
ラウス培地(藻類実験法、南江堂、68〜104頁)の
ような一般的なものを培地として使用することができ
る。
【0015】培養方法としては、光照射下で炭酸ガスを
供給して光合成培養が可能である。また、上記の培地に
グルコースや酢酸などの有機炭素、ペプトン等の有機窒
素やビタミン類などを添加して、従属栄養培養あるいは
混合栄養培養を行うことも可能である。
供給して光合成培養が可能である。また、上記の培地に
グルコースや酢酸などの有機炭素、ペプトン等の有機窒
素やビタミン類などを添加して、従属栄養培養あるいは
混合栄養培養を行うことも可能である。
【0016】培養装置は、培養方法や培養スケールによ
って、様々なものが使用できる。小型培養では、振盪フ
ラスコ、偏平フラスコ、小型ジャーファメンター等が使
用できる。特に、工業生産の為には、通常、大規模な培
養が行なわれ、屋外大型池や大型ジャーファメンター等
を使用することができる。
って、様々なものが使用できる。小型培養では、振盪フ
ラスコ、偏平フラスコ、小型ジャーファメンター等が使
用できる。特に、工業生産の為には、通常、大規模な培
養が行なわれ、屋外大型池や大型ジャーファメンター等
を使用することができる。
【0017】培養の温度は、5〜40℃の範囲に設定す
ることができるが、生産性の観点から10〜37℃が望
ましい。培養液のpH値は、4〜9の範囲に設定するこ
とができるが、生産性の観点から5〜8が好ましい。
ることができるが、生産性の観点から10〜37℃が望
ましい。培養液のpH値は、4〜9の範囲に設定するこ
とができるが、生産性の観点から5〜8が好ましい。
【0018】培養されたクロレラは、遠心分離機等を用
いて水洗する。水洗されたクロレラは、水を添加し、懸
濁液の状態にする。懸濁液中のクロレラの濃度は、任意
の値に設定することができる。例えば、実用上の観点か
ら1〜250g(乾燥重量)/リットルの範囲、好まし
くは、50〜200g(乾燥重量)/リットルの範囲、
より好ましくは100〜150g(乾燥重量)/リット
ルの範囲の濃度に設定することができる。
いて水洗する。水洗されたクロレラは、水を添加し、懸
濁液の状態にする。懸濁液中のクロレラの濃度は、任意
の値に設定することができる。例えば、実用上の観点か
ら1〜250g(乾燥重量)/リットルの範囲、好まし
くは、50〜200g(乾燥重量)/リットルの範囲、
より好ましくは100〜150g(乾燥重量)/リット
ルの範囲の濃度に設定することができる。
【0019】このようにして調製されたクロレラの懸濁
液は、そのpH値を6.5〜8.5の範囲に設定するこ
とが好ましい。このようにして調製されたクロレラ懸濁
液のpH値を6.0〜9.0、好ましくは、6.5〜
8.5、さらに好ましくは6.5〜7.0に維持するこ
とのできる試薬を添加する。
液は、そのpH値を6.5〜8.5の範囲に設定するこ
とが好ましい。このようにして調製されたクロレラ懸濁
液のpH値を6.0〜9.0、好ましくは、6.5〜
8.5、さらに好ましくは6.5〜7.0に維持するこ
とのできる試薬を添加する。
【0020】懸濁液のpH値を上記の範囲に維持するこ
とのできる試薬としては、クロレラの生存に悪影響を及
ぼさないかぎりいずれもの試薬を用いることができる。
例えば、制酸剤あるいは緩衝剤としてそれ自体は既知の
ものを用いることができる。
とのできる試薬としては、クロレラの生存に悪影響を及
ぼさないかぎりいずれもの試薬を用いることができる。
例えば、制酸剤あるいは緩衝剤としてそれ自体は既知の
ものを用いることができる。
【0021】制酸剤の一例を挙げると、カルシウム、マ
グネシウム及びアルミニウム等の金属の酸化物又は水酸
化物、並びに炭酸、ケイ酸及びリン酸のような弱酸の塩
がある。具体的には、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシ
ウム、ケイ酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、酸化
マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、水酸化マグネシウ
ム、炭酸マグネシウム、リン酸水素カルシウム等を用い
ることができる。
グネシウム及びアルミニウム等の金属の酸化物又は水酸
化物、並びに炭酸、ケイ酸及びリン酸のような弱酸の塩
がある。具体的には、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシ
ウム、ケイ酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、酸化
マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、水酸化マグネシウ
ム、炭酸マグネシウム、リン酸水素カルシウム等を用い
ることができる。
【0022】制酸剤の添加量は、懸濁液の量、クロレラ
の濃度、用いる制酸剤の種類、所望するpH値の範囲、
クロレラの生理条件等に応じて当業者が適宜設定するこ
とができる。例えば、100〜150g( 乾燥重量)/
リットルのクロレラを含有する懸濁液に炭酸水素ナトリ
ウムを添加する場合、pH維持の効果、経済性等を考慮
すると、3〜30%(重量/体積)程度の添加量が望ま
しい。
の濃度、用いる制酸剤の種類、所望するpH値の範囲、
クロレラの生理条件等に応じて当業者が適宜設定するこ
とができる。例えば、100〜150g( 乾燥重量)/
リットルのクロレラを含有する懸濁液に炭酸水素ナトリ
ウムを添加する場合、pH維持の効果、経済性等を考慮
すると、3〜30%(重量/体積)程度の添加量が望ま
しい。
【0023】制酸剤は、1種添加することも複数種添加
することもできる。緩衝剤としては、クロレラ懸濁溶液
中でそのpH値を6.5〜8.5の範囲に維持すること
のできるいずれもの化合物を用いることができる。具体
的には、炭酸ナトリウムと炭酸水素ナトリウムの混合
物、リン酸二水素カリウムとリン酸水素二ナトリウムの
混合物などを用いることができる。
することもできる。緩衝剤としては、クロレラ懸濁溶液
中でそのpH値を6.5〜8.5の範囲に維持すること
のできるいずれもの化合物を用いることができる。具体
的には、炭酸ナトリウムと炭酸水素ナトリウムの混合
物、リン酸二水素カリウムとリン酸水素二ナトリウムの
混合物などを用いることができる。
【0024】緩衝剤の添加量は、懸濁液の量、クロレラ
の濃度、用いる緩衝剤の種類、所望するpH値の範囲、
クロレラの生理条件等に応じて当業者が適宜設定するこ
とができる。例えば、100〜150g( 乾燥重量)/
リットルのクロレラを含有する懸濁液に炭酸水素ナトリ
ウム及び炭酸ナトリウムを添加する場合、pH維持の効
果及び経済性等を考慮すると、懸濁液中の濃度がそれぞ
れ0.02〜0.5Mになるように添加することができ
る。
の濃度、用いる緩衝剤の種類、所望するpH値の範囲、
クロレラの生理条件等に応じて当業者が適宜設定するこ
とができる。例えば、100〜150g( 乾燥重量)/
リットルのクロレラを含有する懸濁液に炭酸水素ナトリ
ウム及び炭酸ナトリウムを添加する場合、pH維持の効
果及び経済性等を考慮すると、懸濁液中の濃度がそれぞ
れ0.02〜0.5Mになるように添加することができ
る。
【0025】pH値を所望する範囲に維持するように試
薬を添加されたクロレラの懸濁液は、通常、0〜30
℃、好ましくは0〜10℃、さらに好ましくは0〜4℃
に保存することが、クロレラを長期間生存させる観点か
ら好ましい。
薬を添加されたクロレラの懸濁液は、通常、0〜30
℃、好ましくは0〜10℃、さらに好ましくは0〜4℃
に保存することが、クロレラを長期間生存させる観点か
ら好ましい。
【0026】従来、クロレラの懸濁液は冷蔵保存に限ら
れていた。ところが、本発明の制酸剤又は緩衝剤を添加
されたクロレラ懸濁液により、室温を含む冷蔵庫外での
保存が可能となった。
れていた。ところが、本発明の制酸剤又は緩衝剤を添加
されたクロレラ懸濁液により、室温を含む冷蔵庫外での
保存が可能となった。
【0027】
(実施例1)ジャーファメンターを用い、クロレラ・ブ
ルガリス(Clorella vulgaris C-30東京大学IAMカル
チャーコレクションから入手) の培養を行った。培地
は、水道水1リットル当たり、尿素1.5g、リン酸二
水素カリウム0.5g、硫酸マグネシウム0.5g、E
DTA−鉄15mg、微量金属A5 溶液(「藻類実験
法」、田宮博、渡辺篤編集、南江堂、99頁)6ミリリ
ットル、グルコース20gを添加した。培養液量は、3
キロリットル、培養温度は、30℃の条件で通気攪拌培
養を行った。
ルガリス(Clorella vulgaris C-30東京大学IAMカル
チャーコレクションから入手) の培養を行った。培地
は、水道水1リットル当たり、尿素1.5g、リン酸二
水素カリウム0.5g、硫酸マグネシウム0.5g、E
DTA−鉄15mg、微量金属A5 溶液(「藻類実験
法」、田宮博、渡辺篤編集、南江堂、99頁)6ミリリ
ットル、グルコース20gを添加した。培養液量は、3
キロリットル、培養温度は、30℃の条件で通気攪拌培
養を行った。
【0028】培養を終了したクロレラは、遠心分離機を
用いて水洗し、細胞濃度135g乾燥重量/リットルの
懸濁液とした。上記のようにして調製した懸濁液に制酸
剤高く緩衝剤を加えた。
用いて水洗し、細胞濃度135g乾燥重量/リットルの
懸濁液とした。上記のようにして調製した懸濁液に制酸
剤高く緩衝剤を加えた。
【0029】制酸剤として、炭酸水素ナトリウム、炭酸
カルシウム、ケイ酸アルミニウム、水酸化アルミニウ
ム、酸化マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、水酸化マ
グネシウム、炭酸マグネシウム及びリン酸水素カルシウ
ムを用い、それぞれ5%( 重量/体積)となるようにク
ロレラ懸濁液に添加した。
カルシウム、ケイ酸アルミニウム、水酸化アルミニウ
ム、酸化マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、水酸化マ
グネシウム、炭酸マグネシウム及びリン酸水素カルシウ
ムを用い、それぞれ5%( 重量/体積)となるようにク
ロレラ懸濁液に添加した。
【0030】緩衝剤として、1M炭酸水素ナトリウム・
炭酸ナトリウム溶液(pH8)、及び0.5Mリン酸二
水素ナトリウム・リン酸水素二ナトリウム溶液(pH
8)をそれぞれクロレラ懸濁液に対し1/10量( 体
積)添加した。
炭酸ナトリウム溶液(pH8)、及び0.5Mリン酸二
水素ナトリウム・リン酸水素二ナトリウム溶液(pH
8)をそれぞれクロレラ懸濁液に対し1/10量( 体
積)添加した。
【0031】また、比較の為に、制酸剤又は緩衝剤の代
わりに水酸化ナトリウムを懸濁液に加え、懸濁液のpH
を8に調整した。上記クロレラ懸濁液を冷蔵庫(1〜4
℃)にて保存し、35日後のクロレラ懸濁液のpH値の
変化及びクロレラの生細胞数の変化を調べた。得られた
結果を以下の表1に示す。
わりに水酸化ナトリウムを懸濁液に加え、懸濁液のpH
を8に調整した。上記クロレラ懸濁液を冷蔵庫(1〜4
℃)にて保存し、35日後のクロレラ懸濁液のpH値の
変化及びクロレラの生細胞数の変化を調べた。得られた
結果を以下の表1に示す。
【0032】
【表1】
【0033】上記表1の対照試料の結果から明らかなよ
うに、35日後のクロレラ懸濁液のpH値は6.0まで
下がり、クロレラは全て死滅した。また、水酸化ナトリ
ウムを添加することにより、保存開始時のpH値を8に
した場合も同様に、クロレラは全て死滅した。
うに、35日後のクロレラ懸濁液のpH値は6.0まで
下がり、クロレラは全て死滅した。また、水酸化ナトリ
ウムを添加することにより、保存開始時のpH値を8に
した場合も同様に、クロレラは全て死滅した。
【0034】これに対して、制酸剤又は緩衝剤を添加す
ることにより懸濁液のpH値を6.3よりも高く維持さ
れた試料は、35日経過時もクロレラが生存していた。
従来、クロレラ懸濁液のpHは、クロレラの死滅と関連
があるとは考えられていなかったところ、pH値が6.
3よりも高く維持されることによりクロレラが生存しつ
づけることは、全く予想外のことであった。
ることにより懸濁液のpH値を6.3よりも高く維持さ
れた試料は、35日経過時もクロレラが生存していた。
従来、クロレラ懸濁液のpHは、クロレラの死滅と関連
があるとは考えられていなかったところ、pH値が6.
3よりも高く維持されることによりクロレラが生存しつ
づけることは、全く予想外のことであった。
【0035】また、クロレラ生存の効果は、pHの調整
の為に一般に用いられる水酸化ナトリウムを用いても奏
されないが、制酸剤又は緩衝剤を用いることにより奏さ
れることも予想外の結果であった。
の為に一般に用いられる水酸化ナトリウムを用いても奏
されないが、制酸剤又は緩衝剤を用いることにより奏さ
れることも予想外の結果であった。
【0036】( 実施例2)実施例1と同様に製造したク
ロレラ懸濁液に、炭酸水素ナトリウム5%( 重量/体
積)を添加し、冷蔵庫(1〜4℃)にて保存し、クロレ
ラ懸濁液のpH値の変化及びクロレラの生細胞数の変化
を調べた。対照として、炭酸水素ナトリウムを添加しな
いこと以外は上記の試料と同じクロレラ懸濁液を調製し
た。
ロレラ懸濁液に、炭酸水素ナトリウム5%( 重量/体
積)を添加し、冷蔵庫(1〜4℃)にて保存し、クロレ
ラ懸濁液のpH値の変化及びクロレラの生細胞数の変化
を調べた。対照として、炭酸水素ナトリウムを添加しな
いこと以外は上記の試料と同じクロレラ懸濁液を調製し
た。
【0037】得られた結果を添付の図1に示す。図1に
おいて、(a)は、保存期間中のクロレラ生細胞数を表
すグラフであり、(b)は、保存期間中のクロレラ懸濁
液中のpHを表すグラフである。(a)、(b)の両者
とも○−○−○は、炭酸水素ナトリウムを添加したもの
を、□…□…□は、炭酸水素ナトリウムを添加していな
いものを表す。
おいて、(a)は、保存期間中のクロレラ生細胞数を表
すグラフであり、(b)は、保存期間中のクロレラ懸濁
液中のpHを表すグラフである。(a)、(b)の両者
とも○−○−○は、炭酸水素ナトリウムを添加したもの
を、□…□…□は、炭酸水素ナトリウムを添加していな
いものを表す。
【0038】図1に示される結果から、対照区のクロレ
ラが30日経過時に生細胞数が減少したのに対し、炭酸
水素ナトリウムを添加することによりそのpH値を6.
5よりも高く維持された試験区のクロレラは、91日経
過時も生存していた。
ラが30日経過時に生細胞数が減少したのに対し、炭酸
水素ナトリウムを添加することによりそのpH値を6.
5よりも高く維持された試験区のクロレラは、91日経
過時も生存していた。
【0039】制酸剤を添加されることによりpH値が低
下することを妨げられた試験区のクロレラが91日を越
える長期間にわたり生存し続けることは、全く予想外の
結果である。
下することを妨げられた試験区のクロレラが91日を越
える長期間にわたり生存し続けることは、全く予想外の
結果である。
【0040】( 実施例3)実施例1と同様に製造したク
ロレラ懸濁液に、0.5Mリン酸二水素ナトリウム・リ
ン酸水素二ナトリウム溶液(pH8)をクロレラ懸濁液
に対し1/10量( 体積)添加し、冷蔵庫(1〜4℃)
にて保存し、クロレラ懸濁液のpH値の変化及びクロレ
ラの生細胞数の変化を調べた。
ロレラ懸濁液に、0.5Mリン酸二水素ナトリウム・リ
ン酸水素二ナトリウム溶液(pH8)をクロレラ懸濁液
に対し1/10量( 体積)添加し、冷蔵庫(1〜4℃)
にて保存し、クロレラ懸濁液のpH値の変化及びクロレ
ラの生細胞数の変化を調べた。
【0041】得られた結果を添付の図2に示す。図2に
おいて、(a)は、保存期間中のクロレラ生細胞数を表
すグラフであり、(b)は、保存期間中のクロレラ懸濁
液中のpHを表すグラフである。(a)、(b)の両者
とも○−○−○は、リン酸二水素ナトリウム・リン酸水
素二ナトリウム溶液を添加したものを、□…□…□は、
リン酸二水素ナトリウム・リン酸水素二ナトリウム溶液
を添加していないものを表す。
おいて、(a)は、保存期間中のクロレラ生細胞数を表
すグラフであり、(b)は、保存期間中のクロレラ懸濁
液中のpHを表すグラフである。(a)、(b)の両者
とも○−○−○は、リン酸二水素ナトリウム・リン酸水
素二ナトリウム溶液を添加したものを、□…□…□は、
リン酸二水素ナトリウム・リン酸水素二ナトリウム溶液
を添加していないものを表す。
【0042】図2の結果から明らかなように、懸濁液の
pHを維持するための試薬が何も添加されていない対照
区において30日経過時にクロレラの生細胞数が減少し
たのに対し、緩衝剤を添加されることによりpH値が
6.4よりも高く維持された試験区では60日を越えて
もクロレラが生存していた。
pHを維持するための試薬が何も添加されていない対照
区において30日経過時にクロレラの生細胞数が減少し
たのに対し、緩衝剤を添加されることによりpH値が
6.4よりも高く維持された試験区では60日を越えて
もクロレラが生存していた。
【0043】緩衝剤を添加することによりその懸濁液の
pH値が低下することを妨げられた試験区のクロレラが
60日を越える長期間にわたり生存し続けることは、全
く予想外の結果である。
pH値が低下することを妨げられた試験区のクロレラが
60日を越える長期間にわたり生存し続けることは、全
く予想外の結果である。
【0044】上記実施例2と3との結果を比較すると、
制酸剤を添加されたクロレラ懸濁液の方が緩衝剤を添加
されたものよりもクロレラの生存期間が長い。このこと
から、少なくとも実施例の条件下では、制酸剤を添加さ
れたものが好ましいことが分かる。
制酸剤を添加されたクロレラ懸濁液の方が緩衝剤を添加
されたものよりもクロレラの生存期間が長い。このこと
から、少なくとも実施例の条件下では、制酸剤を添加さ
れたものが好ましいことが分かる。
【0045】
【発明の効果】以上説明したように、クロレラ懸濁液中
のクロレラの生存期間は、制酸剤又は緩衝剤を添加し、
pHを調整することにより顕著に長くなる。これは、従
来、pHはクロレラの生死とは関連があるとは考えられ
ていなかったことを鑑みると、全く予想外の効果であ
る。このような本発明のクロレラ懸濁液により、長期保
存が可能なワムシ餌料用のクロレラを提供することがで
きる。
のクロレラの生存期間は、制酸剤又は緩衝剤を添加し、
pHを調整することにより顕著に長くなる。これは、従
来、pHはクロレラの生死とは関連があるとは考えられ
ていなかったことを鑑みると、全く予想外の効果であ
る。このような本発明のクロレラ懸濁液により、長期保
存が可能なワムシ餌料用のクロレラを提供することがで
きる。
【図1】図1は、保存期間中のクロレラ生細胞数とクロ
レラ懸濁液中のpHの変化を表すグラフである。
レラ懸濁液中のpHの変化を表すグラフである。
【図2】図2は、保存期間中のクロレラ生細胞数とクロ
レラ懸濁液中のpHの変化を表すグラフである。
レラ懸濁液中のpHの変化を表すグラフである。
Claims (3)
- 【請求項1】 ワムシ餌料用クロレラ懸濁液において、
前記懸濁液が有効量の制酸剤又は緩衝剤を含有すること
によりpHが維持されることを特徴とする懸濁液。 - 【請求項2】 前記制酸剤が、カルシウム、マグネシウ
ム及びアルミニウムからなる群から選択される金属の酸
化物若しくは水酸化物、又は炭酸、ケイ酸及びリン酸か
らなる群から選択される酸の塩である請求項1のクロレ
ラ懸濁液。 - 【請求項3】 前記緩衝剤が、炭酸ナトリウム及び炭酸
水素ナトリウムの混合物、又はリン酸二水素カリウム及
びリン酸水素二ナトリウムの混合物である請求項1のク
ロレラ懸濁液。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9113902A JPH10295285A (ja) | 1997-05-01 | 1997-05-01 | ワムシ餌料 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9113902A JPH10295285A (ja) | 1997-05-01 | 1997-05-01 | ワムシ餌料 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10295285A true JPH10295285A (ja) | 1998-11-10 |
Family
ID=14624034
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP9113902A Pending JPH10295285A (ja) | 1997-05-01 | 1997-05-01 | ワムシ餌料 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH10295285A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2004283001A (ja) * | 2000-12-08 | 2004-10-14 | Bicom:Kk | 独立栄養細菌を高濃度に培養するための促進剤 |
KR100978849B1 (ko) | 2010-01-22 | 2010-08-30 | 대상 주식회사 | 연잎 추출물을 함유하는 수산사료용 클로렐라 현탁액 |
WO2014148943A1 (en) * | 2013-03-22 | 2014-09-25 | Kunitsin Mikhail Vladislavovich | Use of a chlorella plankton strain as dietary biologically active supplement |
-
1997
- 1997-05-01 JP JP9113902A patent/JPH10295285A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2004283001A (ja) * | 2000-12-08 | 2004-10-14 | Bicom:Kk | 独立栄養細菌を高濃度に培養するための促進剤 |
KR100978849B1 (ko) | 2010-01-22 | 2010-08-30 | 대상 주식회사 | 연잎 추출물을 함유하는 수산사료용 클로렐라 현탁액 |
WO2011090343A3 (ko) * | 2010-01-22 | 2011-12-15 | 대상 주식회사 | 연잎 추출물을 함유하는 수산사료용 클로렐라 현탁액 |
CN102711515A (zh) * | 2010-01-22 | 2012-10-03 | 大象株式会社 | 含有荷叶提取物的用于水产饲料的小球藻悬浮液 |
WO2014148943A1 (en) * | 2013-03-22 | 2014-09-25 | Kunitsin Mikhail Vladislavovich | Use of a chlorella plankton strain as dietary biologically active supplement |
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