JPH1029065A - 補修溶接用シールドボックス - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 補修溶接部のシールド性の向上可能な装置を
実現する。 【解決手段】 溶接トーチ６と溶接ワイヤ８が挿入され
母材１の補修溶接部上に配設されるシールドボックス本
体２と、同本体２の側部に設けられ同本体２を母材１に
固定する吸盤３と、上記本体２の下端全周に設けられた
耐熱シート４と、上記本体２の内部に設けられたシール
ドガス供給管５を備えたことによって、外部からの風等
の影響を防ぐことができ、シールドガスで満された空間
で補修溶接を施工することができるため、良好な補修溶
接が可能になるとともに、溶接時のアーク光を遮蔽する
ことができるため、作業環境の改善が可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、タービンのロータ
材等の局部補修溶接に適用される補修溶接用シールドボ
ックスに関する。

【０００２】

【従来の技術】タービンのロータ材等の大型鍛造品は、
厳格な品質基準が要求され、それらに欠陥が発見された
場合、その部分に補修溶接が行われる。

【０００３】従来のタービンのロータ材等の大型鍛造品
の局部補修溶接においては、一般に、市販の溶接トーチ
が用いられ、ティグ溶接により補修部分の溶接が行われ
ていた。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】従来の補修溶接におい
ては、前記のように市販の溶接トーチが用いられていた
が、市販の溶接トーチ本体からのシールドガスのみで
は、溶接中に空気を巻き込んでブロホール等の溶接欠陥
発生することがあり、時によってはくり返し補修しなけ
ればならなかった。また、この補修溶接は作業能率が悪
いため、工数を増大させていた。

【０００５】そのため、補修溶接部のシールド性を向上
させる簡易な可搬式の装置の開発が望まれていた。本発
明は、上記の課題を解決しようとするものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】請求項１に記載の発明に
係る補修溶接用シールドボックスは、上面にティグ溶接
用の溶接トーチと溶接ワイヤが挿入される挿入口と監視
窓が設けられ下面が開口し溶接補修部を有する母材上に
搭載されるシールドボックス本体、同シールドボックス
本体の側部に設けられ同本体を母材上に固定する吸盤、
上記シールドボックス本体の下端の全周に設けられた耐
熱シート、および上記シールドボックス本体の内部に設
けられシールドガスを噴出するシールドガス供給管を備
えたことを特徴としている。

【０００７】上記において、欠陥を補修溶接する場合、
シールドボックス本体を母材上に搭載し、補修溶接部を
シールドボックス本体により囲んだ後、シールドボック
ス本体を吸盤により母材上に固定する。

【０００８】次に、溶接トーチと溶接ワイヤを挿入口よ
りシールドボックス本体内に挿入し、シールドガス供給
管よりシールドガスを噴出させ、シールドボックス本体
内をシールドガスにより充満させた後、欠陥の補修のた
めのティグ溶接を施工する。

【０００９】本発明においては、シールドボックス本体
とその下端の全周に設けられた耐熱シートにより外気の
影響を受けない空間を形成し、この空間にシールドガス
を充満させて、シールドボックス本体により覆われた補
修溶接部の溶接を行うため、良好な補修溶接が可能とな
る。

【００１０】

【発明の実施の形態】本発明の実施の一形態に係る補修
溶接用シールドボックスについて、図１により説明す
る。なお、本実施形態は、補修溶接が図２に示すタービ
ンのロータ本体１ａの溶接継手１０の上部の一部に適用
された場合である。

【００１１】図１において、２は補修溶接が施工される
母材１上に搭載されるシールドボックス本体であり、上
面に溶接トーチ６を挿入するための挿入口２ａが設けら
れ、下面が開口している。

【００１２】３はシールドボックス本体２の側部の４個
所に配設された吸盤で、これによりシールドボックス本
体２が母材１上に固定される。４はシールドボックス本
体２の下端の全周に設けられた耐熱シートであり、５は
シールドボックス本体２内に設けられた銅パイプのシー
ルドガス供給管で、これよりシールドガスを噴出し、ボ
ックス本体２内は完全にシールドされるとともに、予熱
による上昇気流も防止される。

【００１３】７はジャバラで、溶接トーチ６とシールド
ボックス本体２の間に設けられ、溶接士が溶接トーチ６
を若干動かすことができるものとしている。８は溶接ト
ーチ６に供給される溶接ワイヤで、シールドボックス本
体２の前方から送給される。９はシールドボックス本体
２の上面に設けられた監視窓９で、これによりシールド
ボックス本体２の内部を見ることができる。

【００１４】次に、本実施形態に係る補修溶接用シール
ドボックスを用いて行う補修溶接について、その要領を
説明する。まず、シールドボックス本体２を補修対象個
所に配設し、シールドボックス本体２の四方に設けられ
た吸盤３によってこれを固定する。

【００１５】次に、シールドボックス本体２の挿入口２
ａから溶接トーチ６と溶接ワイヤ８を挿入し、シールド
ガス供給管５よりシールドボックス本体２内にシールド
ガスを供給開始した後、溶接士が監視窓９より内部を見
ながら溶接トーチ６を手でコントロールして溶接する。

【００１６】本実施形態においては、シールドボックス
本体２とその下端の全周に取付けた耐熱シート４により
外気の影響を受けない空間を形成し、この空間にシール
ドガス供給管５から供給するシールドガスを充満させる
ため、溶接部のシールドが十分になされ、良好な補修溶
接を行うことができた。

【００１７】なお、上記補修溶接は、溶接継手１０の欠
陥補修工程の中の一工程であり、以下に欠陥補修の全工
程について図３により説明する。図３（ａ）に示す形状
の開先を溶接して形成した図３（ｂ）に示す溶接継手１
０の上部に欠陥があった場合、まず、図３（ｃ）に示す
ように局部的に欠陥部分を削除する。

【００１８】その後、その欠陥部分を削除した母材１の
部分に本実施形態に係るシールドボックス２を固定して
補修溶接を行い、図３（ｄ）に示すように補修溶接部１
１を形成する。

【００１９】以上、溶接継手上部の補修溶接に用いる場
合について説明したが、本実施形態のシールドボックス
は、母材自身の欠陥や、深い部分にある欠陥に対する補
修溶接にも適用することができる。

【００２０】

【発明の効果】本発明の補修溶接用シールドボックス
は、溶接トーチと溶接ワイヤが挿入され母材の補修溶接
部上に配設されるシールドボックス本体と、同本体の側
部に設けられ同本体を母材に固定する吸盤と、上記本体
の下端全周に設けられた耐熱シートと、上記本体の内部
に設けられたシールドガス供給管を備えたことによっ
て、外部からの風等の影響を防ぐことができ、シールド
ガスで満された空間で補修溶接を施工することができる
ため、良好な補修溶接が可能になるとともに、溶接時の
アーク光を遮蔽することができるため、作業環境の改善
が可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施の一形態に係るシールドボックス
の説明図で、（ａ）は正断面図、（ｂ）は平面図であ
る。

【図２】上記一実施形態に係るタービンのロータ本体の
断面図である。

【図３】上記一実施形態に係る欠陥補修の説明図であ
る。

【符号の説明】

１ 母材 ２ シールドボックス本体 ２ａ 挿入口 ３ 吸盤 ４ 耐熱シート ５ シールドガス供給管 ６ 溶接トーチ ７ ジャバラ ８ 溶接ワイヤ ９ 監視窓 １０ 溶接継手 １１ 補修溶接部

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 城 克英 兵庫県高砂市荒井町新浜２丁目１番１号 三菱重工業株式会社高砂製作所内

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 上面にティグ溶接用の溶接トーチと溶接
   ワイヤが挿入される挿入口と監視窓が設けられ下面が開
   口し溶接補修部を有する母材上に搭載されるシールドボ
   ックス本体、同シールドボックス本体の側部に設けられ
   同本体を母材上に固定する吸盤、上記シールドボックス
   本体の下端の全周に設けられた耐熱シート、および上記
   シールドボックス本体の内部に設けられシールドガスを
   噴出するシールドガス供給管を備えたことを特徴とする
   補修溶接用シールドボックス。