JPH10290121A - Fetミキサ - Google Patents

Fetミキサ

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JPH10290121A
JPH10290121A JP9625897A JP9625897A JPH10290121A JP H10290121 A JPH10290121 A JP H10290121A JP 9625897 A JP9625897 A JP 9625897A JP 9625897 A JP9625897 A JP 9625897A JP H10290121 A JPH10290121 A JP H10290121A
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JP
Japan
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fet
frequency
gate
signal
mixer
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JP9625897A
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Inventor
Junji Ito
順治 伊藤
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高い変換利得と、低い歪みとを共に最適化で
きるFETミキサを提供する。 【解決手段】 第1ゲートを有する第1FETと、第2
ゲートを有する第2FETと、第3ゲートを有する第3
FETとを備えたFETミキサであって、第1FETお
よび第2FETの高周波特性が、第3FETの高周波特
性と実質的に異なる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、受信機のフロント
エンド回路に含まれるミキサに関しており、特に電界効
果トランジスタを用いて周波数変換をおこなうFETミ
キサに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、携帯電話無線機における小型化、
軽量化および低価格化が進んでいる。小型な携帯機器を
実現するためには、部品の消費電力を下げることによっ
て、搭載する電池の大きさをできるだけ小さくするのが
効果である。これを実現するために低消費電流で優れた
高周波特性を有するガリウムひ素(「GaAs」とす
る)ショットキーゲート電界効果型トランジスタ(「M
ESFET」とする)を用いたミキサが広く用いられて
いる。
【0003】ミキサは例えば、アンテナから入力され、
高周波増幅器を通った高周波信号(「RF信号」とす
る)を、局部発振器から出力された信号(「LO信号」
とする)と混合することによって、RF信号より低い周
波数をもつ中間周波信号(「IF信号」とする)に変換
する。このようなミキサの増幅素子としては、デュアル
ゲートを有するGaAsMESFETがよく使用され
る。一般的には、デュアルゲートGaAsMESFET
は、その一方のゲートにおいてRF信号を、またその他
方のゲートにおいてLO信号を受け取り、そのドレイン
においてIF信号を出力する。
【0004】このようにデュアルゲートGaAsMES
FETを用いたミキサを改良したものとして、トリプル
ゲートGaAsMESFETを用いたミキサがある。例
えば、特開平第6−291556号公報は、トリプルゲ
ートGaAsMESFETを用いたミキサを開示してい
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし上記公報に記載
されたような従来技術によるミキサは、変換利得および
歪みの2つのパラメータを最適化することが困難であ
る。具体的には、従来技術によるミキサにおいては、I
F信号より高い周波数のRF信号およびLO信号につい
て変換利得を最適化すると、IF信号の歪みが最適化さ
れない。またミキサをRF信号およびLO信号について
最適化すると、IF信号が過度に増幅される結果、増幅
されたIF信号が、混合および周波数変換動作に悪影響
を与えることがある。
【0006】逆にIF信号の歪みを最適化すると、RF
信号およびLO信号の変換利得が最適化されない。
【0007】本発明は、上記課題を解決するためになさ
れたものであり、その目的は、高い変換利得と、低い歪
みとを共に最適化できるFETミキサを提供することに
ある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明によるFETミキ
サは、第1ゲートを有する第1FETと、第2ゲートを
有する第2FETと、第3ゲートを有する第3FETと
を備えたFETミキサであって、該第1FETおよび該
第2FETの高周波特性が、該第3FETの高周波特性
と実質的に異なり、そのことにより上記目的が達成され
る。
【0009】ある実施形態では、前記第1FETおよび
前記第2FETの電流利得遷移周波数の平均値に対す
る、前記第3FETの電流利得遷移周波数の比が約0.
5以下である。
【0010】ある実施形態では、前記第1FETおよび
前記第2FETの最大発振周波数の平均値に対する、前
記第3FETの最大発振周波数の比が約0.5以下であ
る。
【0011】ある実施形態では、前記第3FETのメイ
ソンのユニラテラル電力利得が、前記第1FETおよび
前記第2FETのメイソンのユニラテラル電力利得の平
均値よりも約3dB以上小さい。
【0012】ある実施形態では、前記第1FETおよび
前記第2FETのゲート長の平均値に対する、前記第3
FETのゲート長の比が約1.5以上である。
【0013】ある実施形態では、前記第1、第2および
第3FETのドレイン電流が流れる向きに沿って、該第
3、該第2および該第1ゲートの順に配置されている。
【0014】ある実施形態では、前記第3ゲートに対向
する部分に実質的にp層が形成されていない。
【0015】
【発明の実施の形態】図面を参照しながら本発明の実施
の形態を説明する。図面において、同じ参照符号は同じ
構成要素を表す。本明細書において、高周波とは、典型
的には数100MHzから数GHzの範囲をいうが、こ
れには限られない。
【0016】図1は、本発明によるFETミキサMXの
回路図である。FETミキサMXは、3つのゲートを有
するFET(いわゆる「トリプルゲートFET」) Q
0を備えている。本実施の形態における「トリプルゲー
トFET」は、3つのゲートG1、G2およびG3にそ
れぞれ対応する3つのFETとして機能する部分を単一
のチップ上に備えている。これらの3つのFETは、別
個のパッケージに封入されているわけではないが、便宜
上、ゲートG1、G2およびG3に対応する部分を「F
ET Q1」、「FET Q2」および「FET Q
3」とよぶ。
【0017】ミキサMXは、ノードTRFにおいて、典
型的にはフロントエンド回路の高周波増幅器から出力さ
れたRF信号を受け取る。本実施の形態においては、R
F信号の周波数は、1.9GHzである。受け取られた
RF信号は、RF整合回路MRFに与えられる。RF整
合回路MRFは、ノードTRFにおいて接続される前段
の回路と、結合用のキャパシタCRF、後述するゲート
バイアス回路、およびゲートG2を含む後段の回路との
インピーダンス整合をとる。RF整合回路MRFは、R
F信号をキャパシタCRFを通してゲートG2に出力す
る。
【0018】ミキサMXは、ノードTLOにおいて、典
型的にはフロントエンド回路の局部発振器から出力され
たLO信号を受け取る。本実施の形態においては、LO
信号の周波数は、1.66GHzである。受け受け取ら
れたLO信号は、LO整合回路MLOに与えられる。L
O整合回路MLOは、ノードTLOにおいて接続される
前段の回路と、結合用のキャパシタCLO、後述するゲ
ートバイアス回路、およびゲートG1を含む後段の回路
とのインピーダンス整合をとる。RF整合回路MLO
は、LO信号をキャパシタCLOを通してゲートG1に
出力する。
【0019】ゲートG1は、ノードTG1において供給
される直流電圧を抵抗器RG1を通して受け取ることに
よって、所望のゲートバイアスを得る。キャパシタCG
1は、ノードTG1およびグラウンドの間に接続され
て、電源に含まれる不要な信号成分をグラウンドにバイ
パスする。同様にゲートG2は、ノードTG2において
供給される直流電圧を抵抗器RG2を通して受け取るこ
とによって、所望のゲートバイアスを得る。キャパシタ
CG2は、ノードTG2およびグラウンドの間に接続さ
れて、電源に含まれる不要な信号成分をグラウンドにバ
イパスする。
【0020】FET Q1およびQ2は、それぞれソー
ス接地された2つのFETがカスケード接続されている
とみなせる。FET Q1およびQ2による利得は、ふ
つう「変換利得」とよばれるもので、本実施の形態にお
いては、5dBである。本発明によるFETミキサは、
RF信号およびLO信号を混合し周波数変換するFET
Q1およびQ2の高周波特性が、IF信号を緩衝増幅
する(すなわち次段とのバッファとして機能する)FE
T Q3の高周波特性と実質的に異なる。したがって、
要求される変換利得を実現するために、混合・周波数変
換をおこなうFET Q1およびQ2を最適化すること
ができる。
【0021】図1に示すように本実施の形態において
は、FET Q1、FET Q2およびFET Q3が
カスケード接続されている。FET Q1、FET Q
2およびFET Q3に共通なドレイン電流は、電源か
らノードVddおよびインダクタLDを通して供給され
る。キャパシタCDは、ノードVddおよびグラウンド
の間に接続されて、電源に含まれる不要な信号成分をグ
ラウンドにバイパスする。ソースSは、自己バイアス用
の抵抗器RSおよびバイパス用のキャパシタCSによっ
てグラウンドに接続されている。
【0022】FET Q1およびFET Q2は、ノー
ドTRFおよびTLOからそれぞれ入力されたRF信号
およびLO信号を混合し、混合された信号をカスケード
接続されたFET Q3に出力する。
【0023】FET Q3のゲートG3は、キャパシタ
CG3を通してグラウンドに接続される。ゲート接地さ
れたFET Q3は、低入力インピーダンスおよび高出
力インピーダンスをもつ。ゲート接地されたFET Q
3と、ソース接地されたFET Q1およびQ2とをカ
スケード接続することによって、FET Q1およびF
ET Q2のドレイン・ゲート間の帰還容量による効果
をなくすことができる。その結果、FET Q3の利得
は低いものの、周波数特性が改善され、低い歪みを実現
できる。ゲートG3は、ノードTG3において供給され
る直流電圧を抵抗器RG3を通して受け取ることによっ
て、所望のゲートバイアスを得る。
【0024】FET Q3は、混合された信号を増幅
し、結合用のキャパシタCIFを通して、ドレインDか
らIF整合回路MIFに出力する。FET Q3は、緩
衝増幅をおこなう。言い換えれば、FET Q3は、ノ
ードTIFにおいて接続される後段の回路、例えば中間
周波増幅器や中間周波フィルタとのアイソレーションを
確保するバッファ回路として機能する。ゲート接地を用
いることによって、FET Q3による利得は、例えば
周波数が1.9GHzにおいて、−5dB(すなわち増
幅率<1)であるが、その代わりに歪み特性の指標とな
る出力換算された3次相互変調歪みのインターセプト・
ポイントは、5dBmと高くできる。
【0025】IF整合回路MIFは、結合用のキャパシ
タCIF、前述したドレインバイアス回路、およびFE
T Q0を含む前段の回路と、ノードTIFにおいて接
続される後段の回路とのインピーダンス整合をとる。I
F整合回路MIFは、IF信号をノードTIFにおいて
出力する。本実施の形態においては、IF信号の周波数
は、240MHzである。
【0026】本発明によるFETミキサは、FET Q
1およびQ2の高周波特性が、FET Q3の高周波特
性と実質的に異なる。これにより、上述のように、RF
信号およびLO信号の混合・周波数変換をおこなうFE
T Q1およびQ2と、緩衝増幅をおこなうFET Q
3とをそれぞれ最適化することができる。具体的には、
FET Q1およびQ2が、RF信号およびLO信号の
周波数において所望の変換利得を得るように、かつFE
T Q3が、IF信号の周波数において所望の歪み特性
を得るように最適化できるという効果を有する。したが
って本発明によれば、FET Q1およびQ2の変換効
率を高くしながらも、FET Q3の歪み特性を改善す
ることによって、FETミキサの性能を全体として向上
させることができる効果が得られる。
【0027】本明細書において、「高周波特性が実質的
に異なる」とは、後述する条件1〜条件4のうちの少な
くとも1つを満たすことをいう。条件1〜条件4のうち
の複数の条件を満たすものも本発明の範囲に含まれる。
【0028】(条件1:電流利得遷移周波数fT)条件
1は、「FET Q1およびQ2の電流利得遷移周波数
の平均値に対する、FET Q3の電流利得遷移周波数
の比が約0.5以下である」という条件である。条件1
を満たすようなFET Q1、Q2およびQ3を用いる
ことによって、混合・周波数変換と、緩衝増幅とを効果
的に実現できる。
【0029】遷移周波数は、FETの電流利得|h21
が1(つまり0dB)になる周波数である。ところが後
述する最大発振周波数fmaxと同様に、遷移周波数を
実測することはできない。なぜなら現在、試作または市
販されているFETの遷移周波数は、例えば20GHz
のオーダーになるからである。したがって実際には、ま
ず最大発振周波数fmaxと同様に、実測されたスキャ
ッタリング・パラメータ(「Sパラメータ」とする)か
ら電流利得|h212を求める。次にこの|h2 12が6
dB/oct.で減少する直線を外挿して|h212
1(つまり0dB)の直線と交わる点の周波数を電流利
得遷移周波数fTとして用いる。
【0030】図2は、条件1を満たすFET Q1、Q
2およびQ3の電流利得遷移周波数fTを示すグラフで
ある。横軸は使用周波数f(単位:GHz)を示し、縦
軸は利得G(単位:dB)を示す。図2において、|h
212(Q1)、|h212(Q2)および|h21
2(Q3)は、使用周波数fが変化したときのそれぞれ
FET Q1、Q2およびQ3の電流利得|h212
変化を表すプロットである。また横軸にプロットされた
周波数fT1、fT2およびfT3は、それぞれFET
Q1、Q2およびQ3の電流利得遷移周波数を示す。
また周波数fT12は、周波数fT1およびfT2の平
均値を示す。
【0031】この条件1が満たされれば本発明の効果を
得ることができる。しかし条件1の代わりに、「FET
Q1およびFET Q2の電流利得遷移周波数の平均
値に対する、FET Q3の電流利得遷移周波数の比が
約0.3以下である」という条件1’が満たされても、
本発明の効果に近い効果が得られる。
【0032】なお、もしLO信号の周波数がRF信号の
周波数より高いなら、周波数fT1も周波数fT2より
高いのが好ましい。またLO信号の周波数がRF信号の
周波数に近接しているなら、周波数fT1も周波数fT
2に近接しているのが好ましい。
【0033】条件1を満たすことによって、FET Q
3がIF信号の周波数においては緩衝増幅のための所望
の利得をもち、RF信号およびLO信号の周波数におい
ては十分小さな利得しかもたないようにすることができ
る。これによりFET Q3は、選択的にIF信号だけ
を増幅することができる。またFET Q3が不要なL
O信号を後段の回路に漏洩することを防止できる。
【0034】なお電流利得遷移周波数fTは、fT=v
sat/2πLGとかけ、ここで、vsatは、GaA
s中の電子の飽和速度であり、LGは、ゲート長を表
す。この式は、電流利得遷移周波数fTがゲート長LG
に反比例することを示す。したがって電流利得遷移周波
数fTを変化させるためには、ゲート長LGを変化させ
ればよい。
【0035】(条件2:最大発振周波数fmax)条件
2は、「FET Q1およびQ2の最大発振周波数の平
均値に対する、FET Q3の最大発振周波数の比が約
0.5以下である」という条件である。条件2を満たす
ようなFET Q1、Q2およびQ3を用いることによ
って、混合・周波数変換と、緩衝増幅とを効果的に実現
できる。
【0036】最大発振周波数fmaxは、FETが発振
可能な最大の周波数である。FETが発振するためには
利得がなければならず、その意味で最大単方向電力利得
Gumaxが1(つまり0dB)となる周波数である。
ところが前述の遷移周波数と同様に、最大発振周波数f
maxを実測することはできない。したがって実際に
は、実測されたSパラメータから利得Gumaxを求め
る。次にこのGumaxが6dB/oct.で減少する
直線を外挿してGumax=1(つまり0dB)の直線
と交わる点の周波数を最大発振周波数fmaxとして用
いる。
【0037】図3は、条件2を満たすFET Q1、Q
2およびQ3の最大発振周波数fmaxを示すグラフで
ある。横軸は使用周波数f(単位:GHz)を示し、縦
軸は利得G(単位:dB)を示す。図3において、Gu
max(Q1)、Gumax(Q2)およびGumax
(Q3)は、使用周波数fが変化したときのそれぞれF
ET Q1、Q2およびQ3の最大単方向電力利得Gu
maxの変化を表すプロットである。また横軸にプロッ
トされた周波数fmax1、fmax2およびfmax
3は、それぞれFET Q1、Q2およびQ3の最大発
振周波数を示す。また周波数fmax12は、周波数f
max1およびfmax2の平均値を示す。
【0038】この条件2が満たされれば本発明の効果を
得ることができる。しかし条件2の代わりに、「FET
Q1およびQ2の最大発振周波数の平均値に対する、
FET Q3の最大発振周波数の比が約0.3以下であ
る」という条件2’が満たされても、本発明の効果に近
い効果が得られる。
【0039】なお、もしLO信号の周波数がRF信号の
周波数より高いなら、周波数fmax1も周波数fma
x2より高いのが好ましい。またLO信号の周波数がR
F信号の周波数に近接しているなら、周波数fmax1
も周波数fmax2に近接しているのが好ましい。
【0040】(条件3:メイソンのユニラテラル電力利
得U)条件3は、「FET Q3のメイソンのユニラテ
ラル電力利得が、FET Q1およびQ2のメイソンの
ユニラテラル電力利得の平均値よりも約3dB以上小さ
い」という条件である。条件3を満たすようなFET
Q1、Q2およびQ3を用いることによって、混合・周
波数変換と、緩衝増幅とを効果的に実現できる。
【0041】メイソンのユニラテラル電力利得Uは、能
動素子の性能指標として広く用いられており、Sパラメ
ータを用いて表せば、数1および数2のようになる。数
1は、メイソンのユニラテラル電力利得Uを示す式であ
り、数2は、安定係数Kを示す式である。
【0042】
【数1】
【0043】
【数2】
【0044】本明細書において、数1および数2で定義
されるメイソンのユニラテラル電力利得Uは、RF信号
の周波数およびLO信号の周波数の平均の周波数を用い
て算出する。
【0045】この条件3が満たされれば本発明の効果を
得ることができる。しかし条件3の代わりに、「FET
Q3のメイソンのユニラテラル電力利得が、FET
Q1およびQ2のメイソンのユニラテラル電力利得の平
均値よりも約6dB以上小さい」という条件3’が満た
されても、本発明の効果に近い効果が得られる。
【0046】(条件4:ゲート長GL)条件4は、「F
ET Q1およびFET Q2のゲート長の平均値に対
する、FET Q3のゲート長の比が約1.5以上であ
る」という条件である。条件4を満たすようなFET
Q1、Q2およびQ3を用いることによって、混合・周
波数変換と、緩衝増幅とを効果的に実現できる。
【0047】図4は、条件4を満たす本発明によるFE
Tミキサに用いられるFET Q0の断面構造図であ
る。断面は、ドレイン電流のパスに平行であり、かつゲ
ートG1、G2およびG3が設けられている面に垂直で
ある。n型チャネル層40および高濃度n型層42は、
オーミック電極を接続する。p型バッファ層44は、ゲ
ート長が短いFET Q1およびFET Q2の短チャ
ネル効果を抑制するはたらきをする。GaAs絶縁性基
板46の上には、n型チャネル層40、高濃度n型層4
2およびp型バッファ層44が設けられている。
【0048】ゲートG3に対向する部分には、実質的に
p層が形成されていない。これにより、長いゲート長に
おいてFETの閾値の制御が用意になる。またイオン注
入してFETを形成する場合、p層を注入しないことに
よって結晶の劣化が少なくなり、その結果、RF特性の
劣化も防止することができるという効果が得られる。
【0049】図5は、条件4を満たすFET Q1、Q
2およびQ3の利得Gおよび出力換算された3次相互変
調歪みのインターセプト・ポイントOIP3を示すグラ
フである。横軸は使用周波数f(単位:Hz)を示し、
左の縦軸は利得G(単位:dB)を、右の縦軸は出力換
算された3次相互変調歪みのインターセプト・ポイント
OIP3(単位:dBm)を示す。図5において、G
(Q1)、G(Q2)およびG(Q3)は、使用周波数
fが変化したときのそれぞれFET Q1、Q2および
Q3の利得Gの変化を表すプロットであり、またOIP
3(Q1)、OIP3(Q2)およびOIP3(Q3)
は、使用周波数fが変化したときのそれぞれFET Q
1、Q2およびQ3の出力換算された3次相互変調歪み
のインターセプト・ポイントOIP3の変化を表すプロ
ットである。また横軸にプロットされた周波数fLO、
fRFおよびfIFは、それぞれLO信号、RF信号お
よびIF信号の周波数を示す。
【0050】図5に示すように、ゲート長GLを長くす
れば、利得は減少するが、逆に相互変調歪みの特性は改
善される(つまり3次相互変調歪みのインターセプト・
ポイントが大きくなる)。
【0051】図4に示す実施の形態においては、FET
Q1およびQ2のゲート長が0.5μmであり、FE
T Q3のゲート長が1.0μmである。図4において
は、利得G(Q1)およびG(Q2)のプロットが互い
に同一であり、出力換算された3次相互変調歪みのイン
ターセプト・ポイントOIP3(Q1)およびOIP3
(Q2)のプロットが互いに同一であるが、これには限
られない。例えば、図2および図3に示されるように異
なるプロットであってもよい。
【0052】この条件4が満たされれば本発明の効果を
得ることができる。しかし条件4の代わりに、「FET
Q1およびFET Q2のゲート長の平均値に対す
る、FET Q3のゲート長の比が約2.0以上であ
る」という条件4’が満たされても、本発明の効果に近
い効果が得られる。
【0053】図4に示すFET Q0は、FET Q
1、Q2およびQ3のドレイン電流が流れる向きに沿っ
て、ゲートG1、G2およびG3の順に配置されてい
る。これにより、隣接するFET Q1およびQ2によ
って混合・周波数変換をおこなうことができるので、効
率よく周波数を変換できる。
【0054】図6は、条件4を満たすFET Q1、Q
2およびQ3の電流利得遷移周波数fTを示すグラフで
ある。横軸はFETのゲート長GLを示し、縦軸は電流
利得遷移周波数fTを示す。図6において、横軸にプロ
ットされたゲート長GL1、GL2およびGL3は、そ
れぞれゲートG1、G2およびG3のゲート長を示す。
また縦軸にプロットされた電流利得遷移周波数fT1、
fT2およびfT3は、それぞれFET Q1、Q2お
よびQ3の電流利得遷移周波数を示し、周波数fLO、
fRFおよびfIFは、それぞれLO信号、RF信号お
よびIF信号の周波数を示す。
【0055】図6においては、fIF<fT3<fLO
<fRF<fT1,fT2なる関係が満たされる。この
関係を満たすことによって、FET Q1およびQ2が
RF信号およびLO信号を十分な利得で増幅し、FET
Q3がIF信号だけを増幅するようにできる。なお、
図6においては、ゲート長GL1およびGL2が互いに
等しいために、周波数fT1=fT2であるがこれには
限られず、異なっていてもよい。しかし周波数fT1お
よびfT2のいずれも周波数fRFより大きいことが必
要である。
【0056】以上の実施の形態においては、本発明のF
ETミキサが携帯電話無線機のフロントエンド回路に用
いられるとして説明したが、使用周波数帯、無線機の用
途などはこれに限られない。また本発明のFETミキサ
は、受信機および送受信機のいずれのフロントエンド回
路にも利用できる。
【0057】本実施の形態においては、入力された信号
の混合・増幅をおこなう素子としてトリプルゲートFE
T Q0を用いたがこれには限られない。例えば、上述
の条件1〜条件4を満たすように、図7に示すように、
カスケード接続された1つのシングルゲートFETと、
1つのデュアルゲートFETとを用いてもよい。図7に
おいて、FET Q1およびQ2は、デュアルゲートF
ETに含まれる。また図8に示すように、カスケード接
続された3つのシングルゲートFETを用いてもよい。
【0058】上述の電流利得遷移周波数fT、最大発振
周波数fmaxおよびメイソンのユニラテラル電力利得
UをFET Q1、Q2およびQ3によって変化させる
ためには、例えば、ゲート長GLを変化させればよい。
例えば、条件1〜条件3の少なくともを満たすようにF
ET Q1およびQ2のゲート長よりもFET Q3の
ゲート長を長くすることによって、本発明の効果が得ら
れる。
【0059】本明細書のRF整合回路MRF、LO整合
回路MLOおよびIF整合回路MIF、およびFET
Q0のそれぞれの端子にバイアスを供給する回路は、F
ETQ0の適切な動作を確保するためのものであり、そ
れらの詳細な回路構成は、適宜、改変(省略または追
加)することができる。さらに別個の整合回路およびバ
イアス回路を単一の回路に統合してもよい。
【0060】
【発明の効果】本発明によれば、FETミキサを構成す
る3つのFETのうち、少なくとも2つのFETの高周
波特性を変えることによって、高い変換利得と、低い歪
みとを共に最適化できるFETミキサを提供することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるFETミキサMXの回路図であ
る。
【図2】条件1を満たすFET Q1、Q2およびQ3
の電流利得遷移周波数fTを示すグラフである。
【図3】条件2を満たすFET Q1、Q2およびQ3
の最大発振周波数fmaxを示すグラフである。
【図4】本発明によるFETミキサに用いられるFET
Q0の断面構造図である。
【図5】条件4を満たすFET Q1、Q2およびQ3
の利得Gおよび出力換算された3次相互変調歪みのイン
ターセプト・ポイントOIP3を示すグラフである。
【図6】条件4を満たすFET Q1、Q2およびQ3
の電流利得遷移周波数fTを示すグラフである。
【図7】FET Q0の他の例を示す概略図である。
【図8】FET Q0のさらに他の例を示す概略図であ
る。
【符号の説明】 Q0、Q1、Q2、Q3 電界効果トランジスタ TRF、TLO、TIF、TG1、TG2、TG3、V
dd ノード MRF RF整合回路 MLO LO整合回路 MIF IF整合回路 CRF、CLO、CIF、CG1、CG2、CG3、C
D、CS キャパシタ RG1、RG2、RG3、RS 抵抗器 LD インダクタ

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1ゲートを有する第1FETと、第2
    ゲートを有する第2FETと、第3ゲートを有する第3
    FETとを備えたFETミキサであって、 該第1FETおよび該第2FETの高周波特性が、該第
    3FETの高周波特性と実質的に異なるFETミキサ。
  2. 【請求項2】 前記第1FETおよび前記第2FETの
    電流利得遷移周波数の平均値に対する、前記第3FET
    の電流利得遷移周波数の比が約0.5以下である請求項
    1に記載のFETミキサ。
  3. 【請求項3】 前記第1FETおよび前記第2FETの
    最大発振周波数の平均値に対する、前記第3FETの最
    大発振周波数の比が約0.5以下である請求項1に記載
    のFETミキサ。
  4. 【請求項4】 前記第3FETのメイソンのユニラテラ
    ル電力利得が、前記第1FETおよび前記第2FETの
    メイソンのユニラテラル電力利得の平均値よりも約3d
    B以上小さい請求項1に記載のFETミキサ。
  5. 【請求項5】 前記第1FETおよび前記第2FETの
    ゲート長の平均値に対する、前記第3FETのゲート長
    の比が約1.5以上である請求項1に記載のFETミキ
    サ。
  6. 【請求項6】 前記第1、第2および第3FETのドレ
    イン電流が流れる向きに沿って、該第3、該第2および
    該第1ゲートの順に配置されている請求項1に記載のF
    ETミキサ。
  7. 【請求項7】 前記第3ゲートに対向する部分に実質的
    にp層が形成されていない請求項6に記載のFETミキ
    サ。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002164744A (ja) * 2000-11-28 2002-06-07 New Japan Radio Co Ltd 周波数変換回路
JP2009124679A (ja) * 2007-10-23 2009-06-04 Toshiba Corp ミキサ回路
WO2012111848A1 (ja) * 2011-02-16 2012-08-23 日本電気株式会社 ミキサ回路

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