JPH10288086A - 内燃機関用ピストン - Google Patents
内燃機関用ピストンInfo
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- JPH10288086A JPH10288086A JP10817197A JP10817197A JPH10288086A JP H10288086 A JPH10288086 A JP H10288086A JP 10817197 A JP10817197 A JP 10817197A JP 10817197 A JP10817197 A JP 10817197A JP H10288086 A JPH10288086 A JP H10288086A
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- internal combustion
- combustion engine
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-
- F—MECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
- F02—COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
- F02F—CYLINDERS, PISTONS OR CASINGS, FOR COMBUSTION ENGINES; ARRANGEMENTS OF SEALINGS IN COMBUSTION ENGINES
- F02F2200/00—Manufacturing
- F02F2200/04—Forging of engine parts
-
- F—MECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
- F05—INDEXING SCHEMES RELATING TO ENGINES OR PUMPS IN VARIOUS SUBCLASSES OF CLASSES F01-F04
- F05C—INDEXING SCHEME RELATING TO MATERIALS, MATERIAL PROPERTIES OR MATERIAL CHARACTERISTICS FOR MACHINES, ENGINES OR PUMPS OTHER THAN NON-POSITIVE-DISPLACEMENT MACHINES OR ENGINES
- F05C2201/00—Metals
- F05C2201/02—Light metals
- F05C2201/021—Aluminium
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- Pistons, Piston Rings, And Cylinders (AREA)
- Forging (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 内燃機関用ピストンにおいて、ヘッド部の外
周部やスカート部の肉厚を大きくしてピストン本体の軽
量化を妨げるようなことなく、ピストン本体の外周面の
変形に関連する外力の繰り返しに対して、スカート部の
亀裂破損や、リング溝まわりの変形や亀裂破損等を効果
的に防止する。 【解決手段】 接合界面で一体的に接合された強度の異
なる材質1A,1Bによりピストン本体1が構成されて
いる内燃機関用のピストンにおいて、ピストン本体1の
ヘッド部2あるいはスカート部3の少なくとも一方で、
その外周面側と軸心側では材質が異なるように形成する
と共に、外周面側となる強度の高い材質1Aの肉厚を、
一対のピンボス部4近傍では厚くなり、両ピンボス部4
の間の中間部では薄くなるように形成する。
周部やスカート部の肉厚を大きくしてピストン本体の軽
量化を妨げるようなことなく、ピストン本体の外周面の
変形に関連する外力の繰り返しに対して、スカート部の
亀裂破損や、リング溝まわりの変形や亀裂破損等を効果
的に防止する。 【解決手段】 接合界面で一体的に接合された強度の異
なる材質1A,1Bによりピストン本体1が構成されて
いる内燃機関用のピストンにおいて、ピストン本体1の
ヘッド部2あるいはスカート部3の少なくとも一方で、
その外周面側と軸心側では材質が異なるように形成する
と共に、外周面側となる強度の高い材質1Aの肉厚を、
一対のピンボス部4近傍では厚くなり、両ピンボス部4
の間の中間部では薄くなるように形成する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、2サイクルや4サ
イクルのガソリンエンジンおよびディーゼルエンジン等
のレシプロエンジンに使用される内燃機関用ピストンに
関する。
イクルのガソリンエンジンおよびディーゼルエンジン等
のレシプロエンジンに使用される内燃機関用ピストンに
関する。
【0002】
【従来の技術】2サイクルや4サイクルのガソリンエン
ジンおよびディーゼルエンジンのようなレシプロエンジ
ンに使用される内燃機関用ピストンでは、エンジンの高
出力化に対応して、高温での強度や耐摩耗性の向上が求
められると共に、ピストンの往復慣性力を小さくして出
力増大やエンジン振動の低減を図るために一層の軽量化
が求められることから、その材質については、材質自体
が軽量であり、且つ、薄肉に成形することが可能で、し
かも、薄肉に成形しても高温で永久変形が少なく、高温
での強度や耐摩耗性の高いことが要求されている。
ジンおよびディーゼルエンジンのようなレシプロエンジ
ンに使用される内燃機関用ピストンでは、エンジンの高
出力化に対応して、高温での強度や耐摩耗性の向上が求
められると共に、ピストンの往復慣性力を小さくして出
力増大やエンジン振動の低減を図るために一層の軽量化
が求められることから、その材質については、材質自体
が軽量であり、且つ、薄肉に成形することが可能で、し
かも、薄肉に成形しても高温で永久変形が少なく、高温
での強度や耐摩耗性の高いことが要求されている。
【0003】そのようなピストンの材質としては、従
来、例えば、軽量なアルミニウム(Al)を基材とし
て、耐摩耗性や耐焼付性を高めるためにシリコン(S
i)を添加すると共に、強度を高めるために銅(Cu)
およびマグネシウム(Mg)を添加したようなアルミ合
金が使用されており、そのようなアルミ合金を一般的に
は鋳造加工することによって、ピストン本体の一次成形
品が製造されている。
来、例えば、軽量なアルミニウム(Al)を基材とし
て、耐摩耗性や耐焼付性を高めるためにシリコン(S
i)を添加すると共に、強度を高めるために銅(Cu)
およびマグネシウム(Mg)を添加したようなアルミ合
金が使用されており、そのようなアルミ合金を一般的に
は鋳造加工することによって、ピストン本体の一次成形
品が製造されている。
【0004】一方、レシプロエンジンに使用される内燃
機関用ピストンでは、燃焼室に露出するヘッド部では特
に高い耐熱性が要求され、シリンダ内面に摺接するピス
トン外周面では特に高い耐摩耗性が要求されること、お
よび、材料費の節約や軽量化などから、ピストン本体の
全体を同じ材質で一様に強化するのではなく、部分的に
材質を変えて複合的にピストン本体を形成するというこ
とが従来から様々に提案されている。(例えば、特開昭
63−126661号公報,実開平2−107749号
公報,特開平3−267552号公報,特開平5−32
0788号公報等参照。)
機関用ピストンでは、燃焼室に露出するヘッド部では特
に高い耐熱性が要求され、シリンダ内面に摺接するピス
トン外周面では特に高い耐摩耗性が要求されること、お
よび、材料費の節約や軽量化などから、ピストン本体の
全体を同じ材質で一様に強化するのではなく、部分的に
材質を変えて複合的にピストン本体を形成するというこ
とが従来から様々に提案されている。(例えば、特開昭
63−126661号公報,実開平2−107749号
公報,特開平3−267552号公報,特開平5−32
0788号公報等参照。)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のよう
な従来の内燃機関用ピストンでは、エンジン運転中のピ
ストン本体に対して、燃焼室の爆発力がヘッド部に作用
すると共に、ピストンの往復動によるコンロッドからの
反力がピストンピン孔に作用し、また、シリンダ壁から
の反力(コンロッド反力の内のシリンダ軸心に対して直
角方向成分に対向する力)やシリンダ壁からの摩擦力等
が、ピストン本体の頂面周縁部からリング溝部の下方に
至るヘッド部の外周面と、該ヘッド部外周面の下方に連
なるスカート部の外周面とに作用することとなる。
な従来の内燃機関用ピストンでは、エンジン運転中のピ
ストン本体に対して、燃焼室の爆発力がヘッド部に作用
すると共に、ピストンの往復動によるコンロッドからの
反力がピストンピン孔に作用し、また、シリンダ壁から
の反力(コンロッド反力の内のシリンダ軸心に対して直
角方向成分に対向する力)やシリンダ壁からの摩擦力等
が、ピストン本体の頂面周縁部からリング溝部の下方に
至るヘッド部の外周面と、該ヘッド部外周面の下方に連
なるスカート部の外周面とに作用することとなる。
【0006】そのようなエンジン運転中にピストン本体
の外周面にかかる外力について、摩擦力を他の力よりも
小さいと仮定すると、コンロッドからの反力(コンロッ
ド反力の内のシリンダ軸心に対して直角方向成分)と、
シリンダ壁から作用する反力(コンロッドからの反力に
対向する力)とが、ピストン本体のスカート部やリング
溝まわりの変形に関連する外力として働くこととなる。
の外周面にかかる外力について、摩擦力を他の力よりも
小さいと仮定すると、コンロッドからの反力(コンロッ
ド反力の内のシリンダ軸心に対して直角方向成分)と、
シリンダ壁から作用する反力(コンロッドからの反力に
対向する力)とが、ピストン本体のスカート部やリング
溝まわりの変形に関連する外力として働くこととなる。
【0007】すなわち、図10に示すように、ピストン
本体には、爆発燃焼時には、主に、ヘッド部の上面に爆
発圧力Pが作用し、ピストン本体の下方に配置されるク
ランク軸が右回転する場合、ピン孔部にはコンロッドか
らの反作用力Fが左下方から作用し、ピストン本体の右
半分の外周面に、シリンダからの反作用力が分布荷重f
として作用することとなる。
本体には、爆発燃焼時には、主に、ヘッド部の上面に爆
発圧力Pが作用し、ピストン本体の下方に配置されるク
ランク軸が右回転する場合、ピン孔部にはコンロッドか
らの反作用力Fが左下方から作用し、ピストン本体の右
半分の外周面に、シリンダからの反作用力が分布荷重f
として作用することとなる。
【0008】また、ピストン本体が下死点から上死点に
移動する行程においては、主に、ピン孔部にコンロッド
側からの駆動力F′が右下方から作用し、ピストン本体
の重心に慣性力Ma(ピストン本体の質量Mと加速度a
の積)が作用し、ピストン本体の左半分の外周面に、シ
リンダからの反作用力が分布荷重f′として作用するこ
ととなる。
移動する行程においては、主に、ピン孔部にコンロッド
側からの駆動力F′が右下方から作用し、ピストン本体
の重心に慣性力Ma(ピストン本体の質量Mと加速度a
の積)が作用し、ピストン本体の左半分の外周面に、シ
リンダからの反作用力が分布荷重f′として作用するこ
ととなる。
【0009】そして、エンジンを高出力にすると、爆発
力が大きくなって、ピストン本体の外周面の変形に関連
する外力も大きくなるのに対して、エンジンの高出力化
に対応してピストン本体を軽量化するためには、スカー
ト部の肉厚を大きくしたり、ヘッド部の外周部の肉厚を
大きくしたりするわけにはいかず、その結果、上記のよ
うなピストン本体の外周面の変形に関連する外力の繰り
返しにより、スカート部のうちのピストンピンとの連結
部近傍に亀裂破損が発生したり、リング溝まわりのラン
ド部が変形してリング溝が変形し、ピストンリングの固
着や、リング溝底角部からの亀裂が発生したりすること
となる。
力が大きくなって、ピストン本体の外周面の変形に関連
する外力も大きくなるのに対して、エンジンの高出力化
に対応してピストン本体を軽量化するためには、スカー
ト部の肉厚を大きくしたり、ヘッド部の外周部の肉厚を
大きくしたりするわけにはいかず、その結果、上記のよ
うなピストン本体の外周面の変形に関連する外力の繰り
返しにより、スカート部のうちのピストンピンとの連結
部近傍に亀裂破損が発生したり、リング溝まわりのラン
ド部が変形してリング溝が変形し、ピストンリングの固
着や、リング溝底角部からの亀裂が発生したりすること
となる。
【0010】本発明は、上記のような問題を解消するた
めに、内燃機関用ピストンにおいて、ヘッド部の外周部
やスカート部の肉厚を大きくしてピストン本体の軽量化
を妨げるようなことなく、ピストン本体の外周面の変形
に関連する外力の繰り返しに対して、スカート部の亀裂
破損や、リング溝まわりの変形や亀裂破損等を効果的に
防止することを課題とするものである。
めに、内燃機関用ピストンにおいて、ヘッド部の外周部
やスカート部の肉厚を大きくしてピストン本体の軽量化
を妨げるようなことなく、ピストン本体の外周面の変形
に関連する外力の繰り返しに対して、スカート部の亀裂
破損や、リング溝まわりの変形や亀裂破損等を効果的に
防止することを課題とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記のような
課題を解決するために、上記の請求項1に記載したよう
に、接合界面で一体的に接合された強度の異なる材質に
よりピストン本体が構成されている内燃機関用のピスト
ンにおいて、ピストン本体のヘッド部あるいはスカート
部の少なくとも一方で、その外周面側と軸心側では材質
が異なるように形成されていると共に、外周面側となる
強度の高い材質の肉厚が、一対のピンボス部近傍では厚
くなり、両ピンボス部の間の中間部では薄くなるように
形成されていることを特徴とするものである。
課題を解決するために、上記の請求項1に記載したよう
に、接合界面で一体的に接合された強度の異なる材質に
よりピストン本体が構成されている内燃機関用のピスト
ンにおいて、ピストン本体のヘッド部あるいはスカート
部の少なくとも一方で、その外周面側と軸心側では材質
が異なるように形成されていると共に、外周面側となる
強度の高い材質の肉厚が、一対のピンボス部近傍では厚
くなり、両ピンボス部の間の中間部では薄くなるように
形成されていることを特徴とするものである。
【0012】また、上記の請求項1に記載した内燃機関
用ピストンにおいて、上記の請求項2に記載したよう
に、強度の高い材質が、シリコン(Si)を10〜22
重量%の範囲で含み、初晶シリコンの平均粒径が10μ
m以下であるような、急冷凝固粉末を固化したアルミ合
金からなるもので、ピストン本体が、該材質と他の材質
とからなる複合素材を鍛造で一次成形することにより製
造されたものであることを特徴とするものである。
用ピストンにおいて、上記の請求項2に記載したよう
に、強度の高い材質が、シリコン(Si)を10〜22
重量%の範囲で含み、初晶シリコンの平均粒径が10μ
m以下であるような、急冷凝固粉末を固化したアルミ合
金からなるもので、ピストン本体が、該材質と他の材質
とからなる複合素材を鍛造で一次成形することにより製
造されたものであることを特徴とするものである。
【0013】また、上記の請求項2に記載した内燃機関
用ピストンにおいて、上記の請求項3に記載したよう
に、強度の高い材質が、シリコン(Si)よりも硬い非
金属成分粒子を、平均粒径が10μm以下の状態で、1
〜10重量%の範囲で含むような、急冷凝固粉末を固化
したアルミ合金からなるものであることを特徴とするも
のである。
用ピストンにおいて、上記の請求項3に記載したよう
に、強度の高い材質が、シリコン(Si)よりも硬い非
金属成分粒子を、平均粒径が10μm以下の状態で、1
〜10重量%の範囲で含むような、急冷凝固粉末を固化
したアルミ合金からなるものであることを特徴とするも
のである。
【0014】また、上記の請求項3に記載した内燃機関
用ピストンにおいて、上記の請求項4に記載したよう
に、シリコン(Si)よりも硬い成分粒子が、炭化シリ
コン(SiC)、酸化アルミニウム(Al2 O3 )、窒
化アルミニウム(AlN)のうちの何れか一つあるいは
複数からなることを特徴とするものである。
用ピストンにおいて、上記の請求項4に記載したよう
に、シリコン(Si)よりも硬い成分粒子が、炭化シリ
コン(SiC)、酸化アルミニウム(Al2 O3 )、窒
化アルミニウム(AlN)のうちの何れか一つあるいは
複数からなることを特徴とするものである。
【0015】さらに、上記の請求項2乃至4に記載した
内燃機関用ピストンにおいて、上記の請求項5に記載し
たように、強度の高い材質が、鉄(Fe)を1〜10重
量%の範囲で含み、その化合物の平均粒径が10μm以
下であるような、急冷凝固粉末を固化したアルミ合金か
らなるものであることを特徴とするものである。
内燃機関用ピストンにおいて、上記の請求項5に記載し
たように、強度の高い材質が、鉄(Fe)を1〜10重
量%の範囲で含み、その化合物の平均粒径が10μm以
下であるような、急冷凝固粉末を固化したアルミ合金か
らなるものであることを特徴とするものである。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の内燃機関用ピスト
ンの実施形態について、図面に基づいて説明する。
ンの実施形態について、図面に基づいて説明する。
【0017】図1は、本発明の内燃機関用ピストンの一
実施形態に係るピストン本体を示すもので、(A)は、
ピン孔の軸線方向から見た側面を示し、(B)は、上方
から見たヘッド部の上面を示し、(C)は、図(B)の
C−C線に沿った縦断面を示し、(D)は、図(A)の
D−D線に沿った横断面を示している。
実施形態に係るピストン本体を示すもので、(A)は、
ピン孔の軸線方向から見た側面を示し、(B)は、上方
から見たヘッド部の上面を示し、(C)は、図(B)の
C−C線に沿った縦断面を示し、(D)は、図(A)の
D−D線に沿った横断面を示している。
【0018】ピストン本体1は、燃焼室に上面が露出す
るヘッド部2と、シリンダ内面に側面が摺接するスカー
ト部3が、ピンボス部4のある側では肉厚が厚くなり、
ピンボス部4のない側ではピンボス部4よりも下方に向
って肉厚が徐々に薄くなるように、厚い円板状のピスト
ン素材から鍛造により一次成形されてから、不要な部分
を削り落としたりリング溝部5やピン孔部6を形成する
等の機械加工処理を施し、更に必要に応じてメッキ等の
表面処理を施すことで、最終製品として仕上げられてい
るものである。
るヘッド部2と、シリンダ内面に側面が摺接するスカー
ト部3が、ピンボス部4のある側では肉厚が厚くなり、
ピンボス部4のない側ではピンボス部4よりも下方に向
って肉厚が徐々に薄くなるように、厚い円板状のピスト
ン素材から鍛造により一次成形されてから、不要な部分
を削り落としたりリング溝部5やピン孔部6を形成する
等の機械加工処理を施し、更に必要に応じてメッキ等の
表面処理を施すことで、最終製品として仕上げられてい
るものである。
【0019】このピストン本体1は、接合界面で一体的
に接合された強度の異なる2種の材質1A,1Bにより
全体が構成されていて、本実施形態では、ピストン本体
1の軸心方向に沿って、ヘッド部2の上面からリング溝
部5まわりを経てスカート部3の下端まで、強度の高い
材質1Aが、ピストン本体1の周辺部(外周面側)を占
めるように分布し、それよりも強度の低い材質1Bが、
ピストン本体1の中央部(軸心側)を占めるように分布
している。
に接合された強度の異なる2種の材質1A,1Bにより
全体が構成されていて、本実施形態では、ピストン本体
1の軸心方向に沿って、ヘッド部2の上面からリング溝
部5まわりを経てスカート部3の下端まで、強度の高い
材質1Aが、ピストン本体1の周辺部(外周面側)を占
めるように分布し、それよりも強度の低い材質1Bが、
ピストン本体1の中央部(軸心側)を占めるように分布
している。
【0020】すなわち、ヘッド部2では、周辺部が強度
の高い材質1Aとなり、中央部が強度の低い材質1Bと
なると共に、スカート部3では、表面側が強度の高い材
質1Aとなり、内側が強度の低い材質1Bとなるように
構成されていて、ヘッド部2の上面からスカート部3の
下端にまで連続して延びる強度の高い材質1Aは、その
肉厚(ピストン本体1の径方向での厚さ)が、一対のピ
ンボス部4の近傍では厚くなり、両ピンボス部4の間の
中間部では薄くなっている。
の高い材質1Aとなり、中央部が強度の低い材質1Bと
なると共に、スカート部3では、表面側が強度の高い材
質1Aとなり、内側が強度の低い材質1Bとなるように
構成されていて、ヘッド部2の上面からスカート部3の
下端にまで連続して延びる強度の高い材質1Aは、その
肉厚(ピストン本体1の径方向での厚さ)が、一対のピ
ンボス部4の近傍では厚くなり、両ピンボス部4の間の
中間部では薄くなっている。
【0021】そのような材質1Aの円周方向に沿った肉
厚の相違については、図1(D)にも示すように、ピス
トン本体1の長手方向(ピストンの摺動方向)のどの位
置における横断面でも同じ傾向にあって、図1(B)に
示すように、該図上で、ピン孔部6の中心線Yの上方を
基点とした極座標を考えて時計方向にθをとるとき、θ
における材質1Aの肉厚t1A(θ)は、右半分におい
て、θが0°あるいは180°に近い程大きく、90°
に近いほど小さく、また、左半分においても同様に、θ
が180°あるいは360°に近い程大きく、270°
に近いほど小さくなっている。
厚の相違については、図1(D)にも示すように、ピス
トン本体1の長手方向(ピストンの摺動方向)のどの位
置における横断面でも同じ傾向にあって、図1(B)に
示すように、該図上で、ピン孔部6の中心線Yの上方を
基点とした極座標を考えて時計方向にθをとるとき、θ
における材質1Aの肉厚t1A(θ)は、右半分におい
て、θが0°あるいは180°に近い程大きく、90°
に近いほど小さく、また、左半分においても同様に、θ
が180°あるいは360°に近い程大きく、270°
に近いほど小さくなっている。
【0022】そのような本実施形態のピストン本体1
は、図3に示すような、強度の異なる2種の材質1A,
1Bを接合させた複合ピストン素材10から、図2に示
すように、鍛造により一次成形されるものであり、その
結果、ピストン本体1では、強度の高い材質1Aと、そ
れよりも強度の低い材質1Bとが、鍛造により接合界面
が延びることで、鍛造前よりも強固に一体化された状態
となっている。
は、図3に示すような、強度の異なる2種の材質1A,
1Bを接合させた複合ピストン素材10から、図2に示
すように、鍛造により一次成形されるものであり、その
結果、ピストン本体1では、強度の高い材質1Aと、そ
れよりも強度の低い材質1Bとが、鍛造により接合界面
が延びることで、鍛造前よりも強固に一体化された状態
となっている。
【0023】図2に示すような、複合ピストン素材10
からのピストン一次成形品の鍛造については、250〜
450℃の間に制御した状態で予熱した側型22aおよ
び底型22bからなる下型22と、同じく250〜45
0℃の間に制御した状態で予熱した上型(パンチ)21
とで鍛造するものであり、このように制御された温度に
予熱された上型21と下型22を用いた熱間鍛造によれ
ば、アルミ合金の延性を充分に利用して、寸法精度良く
ピストン本体の一次成形品を成形することができる。
からのピストン一次成形品の鍛造については、250〜
450℃の間に制御した状態で予熱した側型22aおよ
び底型22bからなる下型22と、同じく250〜45
0℃の間に制御した状態で予熱した上型(パンチ)21
とで鍛造するものであり、このように制御された温度に
予熱された上型21と下型22を用いた熱間鍛造によれ
ば、アルミ合金の延性を充分に利用して、寸法精度良く
ピストン本体の一次成形品を成形することができる。
【0024】なお、図2は、上記の鍛造の状態につい
て、図1(C)のように90°に開いた2面の縦断面を
展開して示すものであるが、該図の左半分に示すよう
に、一対のピンボス部4の近傍では、素材10が厚く短
く延ばされるのに対して、該図の右半分に示すように、
両ピンボス部4の間の中間部では、素材10が薄く長く
延ばされるため、複合ピストン素材10が、図3に示す
ような、材質1Bの外周に材質1Aを均等な厚さで同心
的に設けたようなものであっても、鍛造により、一対の
ピンボス部4の近傍では材質1Aの肉厚が厚くなり、両
ピンボス部4の間の中間部では材質1Aの肉厚が薄くな
るように形成されることとなる。
て、図1(C)のように90°に開いた2面の縦断面を
展開して示すものであるが、該図の左半分に示すよう
に、一対のピンボス部4の近傍では、素材10が厚く短
く延ばされるのに対して、該図の右半分に示すように、
両ピンボス部4の間の中間部では、素材10が薄く長く
延ばされるため、複合ピストン素材10が、図3に示す
ような、材質1Bの外周に材質1Aを均等な厚さで同心
的に設けたようなものであっても、鍛造により、一対の
ピンボス部4の近傍では材質1Aの肉厚が厚くなり、両
ピンボス部4の間の中間部では材質1Aの肉厚が薄くな
るように形成されることとなる。
【0025】なお、鍛造されるピストン本体1の形状や
金型等の関係により、場合によっては、図4に示すよう
な、ピンボス部4に相当する部分の材質1Aの肉厚を当
初から厚くした複合ピストン素材10を使用してもよ
い。
金型等の関係により、場合によっては、図4に示すよう
な、ピンボス部4に相当する部分の材質1Aの肉厚を当
初から厚くした複合ピストン素材10を使用してもよ
い。
【0026】ところで、上記のようなピストン本体1を
構成する強度の高い材質1Aとして、本実施形態では、
例えば、アルミニウム(Al)を基材として、全体中
に、シリコン(Si)を10〜22重量%,鉄(Fe)
を1〜10重量%,銅(Cu)を0.5〜5重量%,マ
グネシウム(Mg)を0.5〜5重量%,マンガン(M
n)を1重量%以下,ニッケル(Ni)を1重量%以
下,クロム(Cr)を1重量%以下,ジルコニウム(Z
r)を2重量%以下,モリブデン(Mo)を1重量%以
下の範囲で含むような、急冷凝固粉末を固化したアルミ
合金が使用されている。
構成する強度の高い材質1Aとして、本実施形態では、
例えば、アルミニウム(Al)を基材として、全体中
に、シリコン(Si)を10〜22重量%,鉄(Fe)
を1〜10重量%,銅(Cu)を0.5〜5重量%,マ
グネシウム(Mg)を0.5〜5重量%,マンガン(M
n)を1重量%以下,ニッケル(Ni)を1重量%以
下,クロム(Cr)を1重量%以下,ジルコニウム(Z
r)を2重量%以下,モリブデン(Mo)を1重量%以
下の範囲で含むような、急冷凝固粉末を固化したアルミ
合金が使用されている。
【0027】その具体例としては、シリコン(Si)を
17重量%,鉄(Fe)を5重量%,銅(Cu)を1重
量%,マグネシウム(Mg)を0.5重量%,マンガン
(Mn)を0.01重量%,ニッケル(Ni)を0.0
1重量%,クロム(Cr)を0.01重量%,ジルコニ
ウム(Zr)を1重量%,モリブデン(Mo)を0.0
1重量%含むような急冷凝固粉末アルミ合金がある。
17重量%,鉄(Fe)を5重量%,銅(Cu)を1重
量%,マグネシウム(Mg)を0.5重量%,マンガン
(Mn)を0.01重量%,ニッケル(Ni)を0.0
1重量%,クロム(Cr)を0.01重量%,ジルコニ
ウム(Zr)を1重量%,モリブデン(Mo)を0.0
1重量%含むような急冷凝固粉末アルミ合金がある。
【0028】また、本実施形態では、強度の高い材質1
Aの他の例として、アルミニウム(Al)を基材とし
て、全体中に、シリコン(Si)を10〜22重量%,
鉄(Fe)を1〜10重量%,銅(Cu)を0.5〜5
重量%,マグネシウム(Mg)を0.5〜5重量%,マ
ンガン(Mn)を1重量%以下,ニッケル(Ni)を1
重量%以下,クロム(Cr)を1重量%以下,ジルコニ
ウム(Zr)を2重量%以下,モリブデン(Mo)を1
重量%以下の範囲で含むと共に、更に耐摩耗性を高める
ために、シリコン(Si)よりも硬い成分である炭化シ
リコン(SiC)を1〜10重量%の範囲で含むよう
な、急冷凝固粉末を固化したアルミ合金が使用されてい
る。
Aの他の例として、アルミニウム(Al)を基材とし
て、全体中に、シリコン(Si)を10〜22重量%,
鉄(Fe)を1〜10重量%,銅(Cu)を0.5〜5
重量%,マグネシウム(Mg)を0.5〜5重量%,マ
ンガン(Mn)を1重量%以下,ニッケル(Ni)を1
重量%以下,クロム(Cr)を1重量%以下,ジルコニ
ウム(Zr)を2重量%以下,モリブデン(Mo)を1
重量%以下の範囲で含むと共に、更に耐摩耗性を高める
ために、シリコン(Si)よりも硬い成分である炭化シ
リコン(SiC)を1〜10重量%の範囲で含むよう
な、急冷凝固粉末を固化したアルミ合金が使用されてい
る。
【0029】その具体例としては、シリコン(Si)を
17重量%,鉄(Fe)を5重量%,銅(Cu)を1重
量%,マグネシウム(Mg)を0.5重量%,マンガン
(Mn)を0.01重量%,ニッケル(Ni)を0.0
1重量%,クロム(Cr)を0.01重量%,ジルコニ
ウム(Zr)を1重量%,モリブデン(Mo)を0.0
1重量%含むと共に、更に、炭化シリコン(SiC)を
5重量%含むような急冷凝固粉末アルミ合金がある。
17重量%,鉄(Fe)を5重量%,銅(Cu)を1重
量%,マグネシウム(Mg)を0.5重量%,マンガン
(Mn)を0.01重量%,ニッケル(Ni)を0.0
1重量%,クロム(Cr)を0.01重量%,ジルコニ
ウム(Zr)を1重量%,モリブデン(Mo)を0.0
1重量%含むと共に、更に、炭化シリコン(SiC)を
5重量%含むような急冷凝固粉末アルミ合金がある。
【0030】なお、上記のような強度の高い材質1Aの
各例において、シリコン(Si)や炭化シリコン(Si
C)は、金属組織中に硬質の粒子を存在させることで耐
摩耗性および耐焼付性を高めるために添加されているも
のであり、鉄(Fe)は、金属組織を分散強化して20
0℃以上で高い強度を得るために添加されているもので
あり、また、銅(Cu)およびマグネシウム(Mg)
は、200℃以下での強度を高めるために添加されてい
るものであって、その添加量については、上記の範囲外
では所望の耐摩耗性や耐焼付性および高温での必要な強
度を得ることができない。
各例において、シリコン(Si)や炭化シリコン(Si
C)は、金属組織中に硬質の粒子を存在させることで耐
摩耗性および耐焼付性を高めるために添加されているも
のであり、鉄(Fe)は、金属組織を分散強化して20
0℃以上で高い強度を得るために添加されているもので
あり、また、銅(Cu)およびマグネシウム(Mg)
は、200℃以下での強度を高めるために添加されてい
るものであって、その添加量については、上記の範囲外
では所望の耐摩耗性や耐焼付性および高温での必要な強
度を得ることができない。
【0031】上記のような強度の高い材質1Aに対し
て、それと共にピストン本体1を構成する強度の低い材
質1Bとして、本実施形態では、従来から使用されてい
る鋳造を前提とした溶製材(連続鋳造材)のアルミ合
金、すなわち、アルミニウム(Al)を基材として、全
体中に、シリコン(Si)を10〜22重量%,鉄(F
e)を1重量%以下,銅(Cu)を0.5〜5重量%,
マグネシウム(Mg)を0.5〜2重量%,マンガン
(Mn)を1重量%以下,ニッケル(Ni)を1重量%
以下,クロム(Cr)を1重量%以下の範囲で含むよう
な溶製材(連続鋳造材)のアルミ合金が使用されてい
る。
て、それと共にピストン本体1を構成する強度の低い材
質1Bとして、本実施形態では、従来から使用されてい
る鋳造を前提とした溶製材(連続鋳造材)のアルミ合
金、すなわち、アルミニウム(Al)を基材として、全
体中に、シリコン(Si)を10〜22重量%,鉄(F
e)を1重量%以下,銅(Cu)を0.5〜5重量%,
マグネシウム(Mg)を0.5〜2重量%,マンガン
(Mn)を1重量%以下,ニッケル(Ni)を1重量%
以下,クロム(Cr)を1重量%以下の範囲で含むよう
な溶製材(連続鋳造材)のアルミ合金が使用されてい
る。
【0032】その具体例としては、シリコン(Si)を
12重量%,鉄(Fe)を0.2重量%,銅(Cu)を
4重量%,マグネシウム(Mg)を1重量%,マンガン
(Mn)を0.1重量%,ニッケル(Ni)を0.1重
量%,クロム(Cr)を0.1重量%含むような溶製材
のアルミ合金がある。
12重量%,鉄(Fe)を0.2重量%,銅(Cu)を
4重量%,マグネシウム(Mg)を1重量%,マンガン
(Mn)を0.1重量%,ニッケル(Ni)を0.1重
量%,クロム(Cr)を0.1重量%含むような溶製材
のアルミ合金がある。
【0033】なお、強度の高い材質1Aの各例として示
した上記の急冷凝固粉末アルミ合金については、例え
ば、まず、アルミ合金のインゴットを、約700℃以上
で溶解してから霧状に散布し、冷却速度100℃/se
c以上で急激に冷やして凝固させることで、平均粒径で
約100μm程度の急冷凝固粉末(パウダーメタル)と
してから、該アルミ合金の急冷凝固粉末に対して、更
に、必要な構成成分の粉末を混入する。
した上記の急冷凝固粉末アルミ合金については、例え
ば、まず、アルミ合金のインゴットを、約700℃以上
で溶解してから霧状に散布し、冷却速度100℃/se
c以上で急激に冷やして凝固させることで、平均粒径で
約100μm程度の急冷凝固粉末(パウダーメタル)と
してから、該アルミ合金の急冷凝固粉末に対して、更
に、必要な構成成分の粉末を混入する。
【0034】そして、そのようなアルミ合金の急冷凝固
粉末(各構成成分の粉末を含む)について、例えば、図
5に示すように、別途に用意した溶製材のアルミ合金を
加熱しつつ丸棒状に押し出すと共に、該溶製材アルミ合
金の丸棒の周囲を覆うように、上記のアルミ合金急冷凝
固粉末(各構成成分の粉末を含む)を加熱しつつ押し出
すことで、両者を一体的に固形化してから、そのような
中心部と外周部で材質が異なる複合体の円柱を所定の大
きさに切断することによって、図3や図4に示すような
鍛造用の複合ピストン素材10が形成される。
粉末(各構成成分の粉末を含む)について、例えば、図
5に示すように、別途に用意した溶製材のアルミ合金を
加熱しつつ丸棒状に押し出すと共に、該溶製材アルミ合
金の丸棒の周囲を覆うように、上記のアルミ合金急冷凝
固粉末(各構成成分の粉末を含む)を加熱しつつ押し出
すことで、両者を一体的に固形化してから、そのような
中心部と外周部で材質が異なる複合体の円柱を所定の大
きさに切断することによって、図3や図4に示すような
鍛造用の複合ピストン素材10が形成される。
【0035】そのような本実施形態で使用されている強
度の高い材質1Aの各例については、何れも、平均粒径
が約100μm程度に粉末化されたアルミ合金中に、シ
リコン(Si)や鉄(Fe)等の各構成成分が、平均粒
径が10μm以下の微細化された状態で分散されたもの
となっている。
度の高い材質1Aの各例については、何れも、平均粒径
が約100μm程度に粉末化されたアルミ合金中に、シ
リコン(Si)や鉄(Fe)等の各構成成分が、平均粒
径が10μm以下の微細化された状態で分散されたもの
となっている。
【0036】そのため、例えば、シリコン(Si)につ
いては、初晶シリコンの平均粒径が10μm以下の微細
化された状態でアルミ合金組織中に分散されていること
で、ピストン本体1の一次成形品を鍛造で成形する際
に、材質1Aが薄く引き延ばされるように鍛造されて
も、シリコン(Si)の粒子が割れて当該部分からクラ
ックが発生するようなことが無く、その結果、鍛造され
たピストン本体1の疲労強度が高いものとなっている。
いては、初晶シリコンの平均粒径が10μm以下の微細
化された状態でアルミ合金組織中に分散されていること
で、ピストン本体1の一次成形品を鍛造で成形する際
に、材質1Aが薄く引き延ばされるように鍛造されて
も、シリコン(Si)の粒子が割れて当該部分からクラ
ックが発生するようなことが無く、その結果、鍛造され
たピストン本体1の疲労強度が高いものとなっている。
【0037】また、炭化シリコン(SiC)を含有させ
た例については、炭化シリコン(SiC)が微細化され
た状態でアルミ合金組織中に均等に分散されていること
により、高い耐摩耗性を得ることができるものとなって
いる。
た例については、炭化シリコン(SiC)が微細化され
た状態でアルミ合金組織中に均等に分散されていること
により、高い耐摩耗性を得ることができるものとなって
いる。
【0038】また、鉄(Fe)については、微細化され
分散された状態の鉄(Fe)を含む急冷凝固粉末アルミ
合金を鍛造により成形することで、鉄の粗大な化合物の
形成が阻止され、応力集中の原因となる鉄分の粗大化合
部のない均一な金属組織が得られるため、通常の鋳造工
程によりピストン本体を一次成形する場合よりも鉄(F
e)を多く添加することが可能となって、高温での強度
が高い合金を得ることが可能となる。
分散された状態の鉄(Fe)を含む急冷凝固粉末アルミ
合金を鍛造により成形することで、鉄の粗大な化合物の
形成が阻止され、応力集中の原因となる鉄分の粗大化合
部のない均一な金属組織が得られるため、通常の鋳造工
程によりピストン本体を一次成形する場合よりも鉄(F
e)を多く添加することが可能となって、高温での強度
が高い合金を得ることが可能となる。
【0039】これに対して、通常の鋳造工程によりピス
トン本体の一次成形を行う場合には、材質となるアルミ
合金中に鉄成分が多く添加されていると、鋳造後の冷却
により合金中に鉄の粗大な化合物が形成されて強度の低
下を招くこととなる。
トン本体の一次成形を行う場合には、材質となるアルミ
合金中に鉄成分が多く添加されていると、鋳造後の冷却
により合金中に鉄の粗大な化合物が形成されて強度の低
下を招くこととなる。
【0040】さらに、その他の構成成分についても、ア
ルミ合金粉末中に微細な粉末として含有され、そのよう
なアルミ合金粉末が成形固化や鍛造を経て緻密な結晶組
織となることで、該構成成分により結晶粒境での応力集
中による強度低下をきたすようなことが無くなるため、
それによっても疲労強度が高められることとなる。
ルミ合金粉末中に微細な粉末として含有され、そのよう
なアルミ合金粉末が成形固化や鍛造を経て緻密な結晶組
織となることで、該構成成分により結晶粒境での応力集
中による強度低下をきたすようなことが無くなるため、
それによっても疲労強度が高められることとなる。
【0041】本実施形態で使用されている、上記の強度
の高い材質1Aの各例と、それよりも強度の低い材質1
Bの一例について、耐摩耗性および疲労強度についてそ
れぞれ比較試験を行った結果については以下の通りであ
る。
の高い材質1Aの各例と、それよりも強度の低い材質1
Bの一例について、耐摩耗性および疲労強度についてそ
れぞれ比較試験を行った結果については以下の通りであ
る。
【0042】すなわち、図8は、耐摩耗性を比較するた
めに、強度の高い材質1Aの各例(SiCを含む例−A
1,および,SiCを含まない例−A2)と、強度の低
い材質1Bの一例(例−B)のそれぞれについて、試験
温度250℃で、フレッチング摩耗試験(試験材質をロ
ーターとし、このローターを揺動させながら所定材質の
ライダーを繰り返し押し付けて、接触面の摩耗痕の面積
を摩耗量とする)を行った結果を示すもので、これによ
って材質1A(例−A1,および,例−A2)の何れに
ついても、材質1B(例−B)と比べて、高温で高い耐
摩耗性を有することが示されている。
めに、強度の高い材質1Aの各例(SiCを含む例−A
1,および,SiCを含まない例−A2)と、強度の低
い材質1Bの一例(例−B)のそれぞれについて、試験
温度250℃で、フレッチング摩耗試験(試験材質をロ
ーターとし、このローターを揺動させながら所定材質の
ライダーを繰り返し押し付けて、接触面の摩耗痕の面積
を摩耗量とする)を行った結果を示すもので、これによ
って材質1A(例−A1,および,例−A2)の何れに
ついても、材質1B(例−B)と比べて、高温で高い耐
摩耗性を有することが示されている。
【0043】また、図9は、疲労強度を比較するため
に、強度の高い材質1Aの各例(SiCを含む例−A
1,および,SiCを含まない例−A2)と、強度の低
い材質1Bの一例(例−B)のそれぞれについて、25
℃,150℃,250℃の各試験温度で、繰返し荷重に
よる疲労試験(試験片に対して正弦波荷重を作用させ、
正弦波の一周期を単位に数えて破壊までの繰返し数を求
めることで、疲労限度を示す)を行った結果を示すもの
で、これによって材質1A(例−A1,および,例−A
2)の何れについても、材質1B(例−B)と比べて、
全ての温度で高い疲労強度を有することが示されてい
る。
に、強度の高い材質1Aの各例(SiCを含む例−A
1,および,SiCを含まない例−A2)と、強度の低
い材質1Bの一例(例−B)のそれぞれについて、25
℃,150℃,250℃の各試験温度で、繰返し荷重に
よる疲労試験(試験片に対して正弦波荷重を作用させ、
正弦波の一周期を単位に数えて破壊までの繰返し数を求
めることで、疲労限度を示す)を行った結果を示すもの
で、これによって材質1A(例−A1,および,例−A
2)の何れについても、材質1B(例−B)と比べて、
全ての温度で高い疲労強度を有することが示されてい
る。
【0044】以上に述べたような本実施形態の内燃機関
用ピストンによれば、ピストン本体1のヘッド部2の上
端からスカート部3の下端まで、ピストン本体1の長手
方向(ピストンの摺動方向)のどの位置でも、ピストン
本体1の外周面側の部分を構成する強度の高い材質1A
が、一対のピンボス部4の近傍で、両ピンボス部4の間
の中間部よりも、その肉厚が厚くなっているため、ピン
ボス部4のピン孔部6に挿通されるピストンピンの軸線
方向と直交する方向から加えられる力に対する剛性が高
いようなものとなっている。
用ピストンによれば、ピストン本体1のヘッド部2の上
端からスカート部3の下端まで、ピストン本体1の長手
方向(ピストンの摺動方向)のどの位置でも、ピストン
本体1の外周面側の部分を構成する強度の高い材質1A
が、一対のピンボス部4の近傍で、両ピンボス部4の間
の中間部よりも、その肉厚が厚くなっているため、ピン
ボス部4のピン孔部6に挿通されるピストンピンの軸線
方向と直交する方向から加えられる力に対する剛性が高
いようなものとなっている。
【0045】すなわち、図10に示したような、コンロ
ッドからの反力FX (コンロッド反力Fの内のシリンダ
軸心に対して直角方向成分)や、ピストン本体1の外周
面にシリンダ壁から作用する反力(分布荷重f、コンロ
ッドからの反力に対向する力)のような、ピストン本体
1の外周面の変形に関連する外力に対して剛性の高いも
のになっていると共に、そのような外力がスカート部3
を破損させるように働くスカート部3のピンボス部4近
傍については、強度の高い材質1Aが肉厚となっている
ため、スカート部3の全体の肉厚を特に大きくしなくて
も、上記のような外力の繰り返しによるスカート部3の
亀裂破損を効果的に防止することができる。
ッドからの反力FX (コンロッド反力Fの内のシリンダ
軸心に対して直角方向成分)や、ピストン本体1の外周
面にシリンダ壁から作用する反力(分布荷重f、コンロ
ッドからの反力に対向する力)のような、ピストン本体
1の外周面の変形に関連する外力に対して剛性の高いも
のになっていると共に、そのような外力がスカート部3
を破損させるように働くスカート部3のピンボス部4近
傍については、強度の高い材質1Aが肉厚となっている
ため、スカート部3の全体の肉厚を特に大きくしなくて
も、上記のような外力の繰り返しによるスカート部3の
亀裂破損を効果的に防止することができる。
【0046】なお、ピストン本体の長手方向(ピストン
の摺動方向)における任意の位置での横断面において、
外周面側となる強度の高い材質の肉厚を、一対のピンボ
ス部近傍では厚くなり、両ピンボス部の間の中間部では
薄くなるように形成しつつ、ピストン本体の長手方向
(ピストン摺動方向)ではヘッド部の側に近づく程スカ
ート部の材質1Aを肉厚にするのが良く、これにより、
スカート部の重量を軽減しつつ、シリンダ側からの反力
がスカート部に作用する時に、スカート部のうちのヘッ
ド部側に近くなる程大きくなる曲げモーメントに抗する
剛性,強度を保つことができる。
の摺動方向)における任意の位置での横断面において、
外周面側となる強度の高い材質の肉厚を、一対のピンボ
ス部近傍では厚くなり、両ピンボス部の間の中間部では
薄くなるように形成しつつ、ピストン本体の長手方向
(ピストン摺動方向)ではヘッド部の側に近づく程スカ
ート部の材質1Aを肉厚にするのが良く、これにより、
スカート部の重量を軽減しつつ、シリンダ側からの反力
がスカート部に作用する時に、スカート部のうちのヘッ
ド部側に近くなる程大きくなる曲げモーメントに抗する
剛性,強度を保つことができる。
【0047】また、ヘッド部2の上端からリング溝部5
までのトップランドの部分が強度の高い材質1Aにより
形成されているため、エンジンの運転中においてトップ
ランドがシリンダ壁に強く押し付けられても、その力に
充分に耐えることができ、そのため、ヘッド部2の外周
部の長手方向(ピストン摺動方向)の肉厚を、あるい
は、ヘッド部2の外周部へのスカート部の結合部の肉厚
を、ピンボス部4の近傍においても小さくしつつ、トッ
プランドの変形やリング溝の変形を防止することができ
ると共に、リング溝底の角部からの亀裂の発生を確実に
防止することができる。
までのトップランドの部分が強度の高い材質1Aにより
形成されているため、エンジンの運転中においてトップ
ランドがシリンダ壁に強く押し付けられても、その力に
充分に耐えることができ、そのため、ヘッド部2の外周
部の長手方向(ピストン摺動方向)の肉厚を、あるい
は、ヘッド部2の外周部へのスカート部の結合部の肉厚
を、ピンボス部4の近傍においても小さくしつつ、トッ
プランドの変形やリング溝の変形を防止することができ
ると共に、リング溝底の角部からの亀裂の発生を確実に
防止することができる。
【0048】そして、そのようにトップランドが高い強
度を有することにより、トップランドの部分を小さくす
ることができることによって、トップランドとシリンダ
壁との隙間に残留する排気ガス量を減少させることがで
き、その結果、HCを減らすことができる。
度を有することにより、トップランドの部分を小さくす
ることができることによって、トップランドとシリンダ
壁との隙間に残留する排気ガス量を減少させることがで
き、その結果、HCを減らすことができる。
【0049】また、強度の高い材質1Aとして、上記の
各例として示したような構成成分の急冷凝固粉末アルミ
合金が使用されていることで、該材質1Aの耐摩耗性や
耐焼付性により、ピストン本体1の寿命を延ばすことが
でき、また、該材質1Aの熱膨張係数が小さいことによ
り、ピストン本体1の熱変形を小さくすることができ
る。
各例として示したような構成成分の急冷凝固粉末アルミ
合金が使用されていることで、該材質1Aの耐摩耗性や
耐焼付性により、ピストン本体1の寿命を延ばすことが
でき、また、該材質1Aの熱膨張係数が小さいことによ
り、ピストン本体1の熱変形を小さくすることができ
る。
【0050】また、ピストン本体1が、強度の異なる2
種の材質1A,1Bを一体的に接合した複合ピストン素
材10を鍛造することにより一次成形されていることか
ら、ピストン本体1における材質1Aと材質1Bの接合
界面が、鍛造によって延ばされることで、鍛造前よりも
強固に一体化された状態とされている。
種の材質1A,1Bを一体的に接合した複合ピストン素
材10を鍛造することにより一次成形されていることか
ら、ピストン本体1における材質1Aと材質1Bの接合
界面が、鍛造によって延ばされることで、鍛造前よりも
強固に一体化された状態とされている。
【0051】以上、本発明の内燃機関用ピストンの一実
施形態について説明したが、本発明は、上記のような実
施形態にのみ限定されるものではない。
施形態について説明したが、本発明は、上記のような実
施形態にのみ限定されるものではない。
【0052】すなわち、図6は、本発明の内燃機関用ピ
ストンの他の実施形態(第2実施形態)を示すもので、
上記の実施形態(第1実施形態)に係るピストン本体1
が、ピンボス部4の外側がスカート部3と一体化され
て、スカート部3全体が比較的長くなるように形成され
ている、2サイクルエンジンに使用するのに適したよう
なものであるのに対して、この第2実施形態に係るピス
トン本体1は、ピンボス部4の外側部分の大部分がスカ
ート部3になっておらず、スカート部3全体が比較的短
く形成されて全体の軽量化が図られている、4サイクル
エンジン用のものとなっている。
ストンの他の実施形態(第2実施形態)を示すもので、
上記の実施形態(第1実施形態)に係るピストン本体1
が、ピンボス部4の外側がスカート部3と一体化され
て、スカート部3全体が比較的長くなるように形成され
ている、2サイクルエンジンに使用するのに適したよう
なものであるのに対して、この第2実施形態に係るピス
トン本体1は、ピンボス部4の外側部分の大部分がスカ
ート部3になっておらず、スカート部3全体が比較的短
く形成されて全体の軽量化が図られている、4サイクル
エンジン用のものとなっている。
【0053】この第2実施形態では、ピストン本体1に
おいて、強度の高い材質1Aが、リング溝部5を含むヘ
ッド部2の外周部(外周面側)のみを占めるように分布
し、それよりも強度の低い材質1Bが、ヘッド部2の中
央部(軸心側)からスカート部3全体を占めるように分
布すると共に、ヘッド部2の外周部における強度の高い
材質1Aの肉厚(ピストン本体1の径方向での厚さ)
が、一対のピンボス部4の近傍では厚くなり、両ピンボ
ス部4の間の中間部では薄くなるように構成されてい
る。
おいて、強度の高い材質1Aが、リング溝部5を含むヘ
ッド部2の外周部(外周面側)のみを占めるように分布
し、それよりも強度の低い材質1Bが、ヘッド部2の中
央部(軸心側)からスカート部3全体を占めるように分
布すると共に、ヘッド部2の外周部における強度の高い
材質1Aの肉厚(ピストン本体1の径方向での厚さ)
が、一対のピンボス部4の近傍では厚くなり、両ピンボ
ス部4の間の中間部では薄くなるように構成されてい
る。
【0054】そのような第2実施形態のピストン本体1
については、図7に示すように、リング状の材質1A
(急冷凝固粉末アルミ合金)を材質1B(溶製材のアル
ミ合金)の上部に嵌合させた複合ピストン素材10によ
って、上記の実施形態と同様に、250〜450℃の間
に制御した状態で予熱した側型22aおよび底型22b
からなる下型22と、同じく250〜450℃の間に制
御した状態で予熱した上型(パンチ)21とによる熱間
鍛造で一次成形品として成形することにより、ヘッド部
2の外周部において、一対のピンボス部4の近傍では材
質1Aの肉厚が厚くなり、両ピンボス部4の間の中間部
では材質1Aの肉厚が薄くなるように形成される。
については、図7に示すように、リング状の材質1A
(急冷凝固粉末アルミ合金)を材質1B(溶製材のアル
ミ合金)の上部に嵌合させた複合ピストン素材10によ
って、上記の実施形態と同様に、250〜450℃の間
に制御した状態で予熱した側型22aおよび底型22b
からなる下型22と、同じく250〜450℃の間に制
御した状態で予熱した上型(パンチ)21とによる熱間
鍛造で一次成形品として成形することにより、ヘッド部
2の外周部において、一対のピンボス部4の近傍では材
質1Aの肉厚が厚くなり、両ピンボス部4の間の中間部
では材質1Aの肉厚が薄くなるように形成される。
【0055】さらに、本発明の内燃機関用ピストンにつ
いては、上記のような各実施形態に限らず、例えば、図
7(A)に示すような、リング状の材質1A(急冷凝固
粉末アルミ合金)を材質1B(溶製材のアルミ合金)の
上部に嵌合させた複合ピストン素材10により、図6に
示すようなスカート部の短いピストン本体に限らず、図
1に示すようなスカート部の長いピストン本体を製造し
てもよく、その場合、スカート部の軽量化はできなくて
も、ヘッド部の外周部について、リング溝まわりの剛
性,強度を高めつつ、軽量化することが可能となる。
いては、上記のような各実施形態に限らず、例えば、図
7(A)に示すような、リング状の材質1A(急冷凝固
粉末アルミ合金)を材質1B(溶製材のアルミ合金)の
上部に嵌合させた複合ピストン素材10により、図6に
示すようなスカート部の短いピストン本体に限らず、図
1に示すようなスカート部の長いピストン本体を製造し
てもよく、その場合、スカート部の軽量化はできなくて
も、ヘッド部の外周部について、リング溝まわりの剛
性,強度を高めつつ、軽量化することが可能となる。
【0056】また、ヘッド部の外周部を除くスカート部
のみについて、その表面側(外周面側)を強度の高い材
質1Aとし、該材質1Aの肉厚(ピストン本体1の径方
向での厚さ)を、一対のピンボス部4の近傍では厚くな
り、両ピンボス部4の間の中間部では薄くなるように構
成してもよく、その場合、ヘッド部周辺部のリング溝ま
わりについては軽量化はできなくても、スカート部のピ
ンボス部近傍の剛性,強度を高めつつ、軽量化すること
が可能となる。
のみについて、その表面側(外周面側)を強度の高い材
質1Aとし、該材質1Aの肉厚(ピストン本体1の径方
向での厚さ)を、一対のピンボス部4の近傍では厚くな
り、両ピンボス部4の間の中間部では薄くなるように構
成してもよく、その場合、ヘッド部周辺部のリング溝ま
わりについては軽量化はできなくても、スカート部のピ
ンボス部近傍の剛性,強度を高めつつ、軽量化すること
が可能となる。
【0057】なお、そのようなものについては、図7
(A)に示すような、リング状の材質1A(急冷凝固粉
末アルミ合金)を材質1B(溶製材のアルミ合金)の上
部に嵌合させた複合ピストン素材10によって、同様の
装置により材質1Aが底型22bの側になるようにして
鍛造することで、スカート部のみについて、その表面側
を強度の高い材質1Aとして成形することができる。
(A)に示すような、リング状の材質1A(急冷凝固粉
末アルミ合金)を材質1B(溶製材のアルミ合金)の上
部に嵌合させた複合ピストン素材10によって、同様の
装置により材質1Aが底型22bの側になるようにして
鍛造することで、スカート部のみについて、その表面側
を強度の高い材質1Aとして成形することができる。
【0058】また、ピン孔部を通る中心面でピストン本
体を左右に2分して見たときに、ピストン本体が下降行
程にある時、反コンロッド側となる方の材質1Aの肉厚
を、コンロッド側となる方の材質1Aの肉厚よりも厚く
しても良く、ピン孔部を通る中心面に対する対称位置に
おける材質1Aの肉圧を、反コンロッド側t1A( θ)>
コンロッド側t1A( θ) とすることにより、材質1Aを
減らして更に軽量化を図ることができる。
体を左右に2分して見たときに、ピストン本体が下降行
程にある時、反コンロッド側となる方の材質1Aの肉厚
を、コンロッド側となる方の材質1Aの肉厚よりも厚く
しても良く、ピン孔部を通る中心面に対する対称位置に
おける材質1Aの肉圧を、反コンロッド側t1A( θ)>
コンロッド側t1A( θ) とすることにより、材質1Aを
減らして更に軽量化を図ることができる。
【0059】また、軽量化によりピストンの慣性力Ma
が小さくなる場合には、反コンロッド側のみ、スカート
部あるいはヘッド部のうちの少なくとも一方について、
その外周面側と軸心側で材質が異なるように形成すると
共に、外周面側となる強度の高い材質の肉厚を、一対の
ピンボス部近傍では厚くなり、両ピンボス部の間の中間
部では薄くなるように形成しても良い。
が小さくなる場合には、反コンロッド側のみ、スカート
部あるいはヘッド部のうちの少なくとも一方について、
その外周面側と軸心側で材質が異なるように形成すると
共に、外周面側となる強度の高い材質の肉厚を、一対の
ピンボス部近傍では厚くなり、両ピンボス部の間の中間
部では薄くなるように形成しても良い。
【0060】さらにまた、本発明の内燃機関用ピストン
については、例えば、強度の異なる2種の材質1A,1
Bについては、上記の各実施形態で例示したような具体
的な各材質に限らず、それ以外の適当な材質を使用する
ことにより実施することも可能であり、また、ピストン
本体1を製造するための方法についても、上記の各実施
形態で例示したような具体的な鍛造方法に限らず、それ
以外の適当な方法により製造することも可能である。
については、例えば、強度の異なる2種の材質1A,1
Bについては、上記の各実施形態で例示したような具体
的な各材質に限らず、それ以外の適当な材質を使用する
ことにより実施することも可能であり、また、ピストン
本体1を製造するための方法についても、上記の各実施
形態で例示したような具体的な鍛造方法に限らず、それ
以外の適当な方法により製造することも可能である。
【0061】
【発明の効果】以上説明したような本発明の内燃機関用
ピストンによれば、ヘッド部の外周部やスカート部の肉
厚を大きくしてピストン本体の軽量化を妨げるようなこ
となく、ピストン本体の外周面の変形に関連する外力の
繰り返しに対して、スカート部の亀裂破損や、リング溝
まわりの変形や亀裂破損等を効果的に防止することがで
きる。
ピストンによれば、ヘッド部の外周部やスカート部の肉
厚を大きくしてピストン本体の軽量化を妨げるようなこ
となく、ピストン本体の外周面の変形に関連する外力の
繰り返しに対して、スカート部の亀裂破損や、リング溝
まわりの変形や亀裂破損等を効果的に防止することがで
きる。
【図1】本発明の内燃機関用ピストンの一実施形態(第
1実施形態)に係るピストン本体を示す(A)側面図,
(B)上面図,および(C)図BのC−C線に沿った縦
断面図。
1実施形態)に係るピストン本体を示す(A)側面図,
(B)上面図,および(C)図BのC−C線に沿った縦
断面図。
【図2】図1に示したピストン本体の一次成形品を複合
ピストン素材から鍛造するときの状態の一例を示す断面
説明図。
ピストン素材から鍛造するときの状態の一例を示す断面
説明図。
【図3】図1に示したピストン本体を鍛造により一次成
形するための複合ピストン素材の一例を示す(A)上面
図,および(B)図AのB−B線に沿った縦断面図。
形するための複合ピストン素材の一例を示す(A)上面
図,および(B)図AのB−B線に沿った縦断面図。
【図4】図1に示したピストン本体を鍛造により一次成
形するための複合ピストン素材の他の例を示す(A)上
面図,および(B)図AのB−B線に沿った縦断面図。
形するための複合ピストン素材の他の例を示す(A)上
面図,および(B)図AのB−B線に沿った縦断面図。
【図5】図3あるいは図4に示した複合ピストン素材を
製造するときの状態の一例を示す断面説明図。
製造するときの状態の一例を示す断面説明図。
【図6】本発明の内燃機関用ピストンの他の実施形態
(第2実施形態)に係るピストン本体を示す(A)側面
図,(B)上面図,および(C)図BのC−C線に沿っ
た縦断面図。
(第2実施形態)に係るピストン本体を示す(A)側面
図,(B)上面図,および(C)図BのC−C線に沿っ
た縦断面図。
【図7】図6に示したピストン本体の一次成形品を複合
ピストン素材から鍛造するときの状態の一例を示す断面
説明図。
ピストン素材から鍛造するときの状態の一例を示す断面
説明図。
【図8】ピストン本体を構成する2種の材質について、
強度の高い材質の各例(SiCを含む例−A1と、Si
Cを含まない例−A2)と、それよりも強度の低い材質
の一例(例−B)とについて、材質による耐摩耗性の差
異を示すグラフ。
強度の高い材質の各例(SiCを含む例−A1と、Si
Cを含まない例−A2)と、それよりも強度の低い材質
の一例(例−B)とについて、材質による耐摩耗性の差
異を示すグラフ。
【図9】ピストン本体を構成する2種の材質について、
強度の高い材質の各例(SiCを含む例−A1と、Si
Cを含まない例−A2)と、それよりも強度の低い材質
の一例(例−B)とについて、25℃,150℃,25
0℃の各温度において、材質による疲労強度の差異を示
すグラフ。
強度の高い材質の各例(SiCを含む例−A1と、Si
Cを含まない例−A2)と、それよりも強度の低い材質
の一例(例−B)とについて、25℃,150℃,25
0℃の各温度において、材質による疲労強度の差異を示
すグラフ。
【図10】エンジンの運転中にピストン本体に作用する
力について示す(A)側面説明図,および(B)上面説
明図。
力について示す(A)側面説明図,および(B)上面説
明図。
1 ピストン本体(内燃機関用ピストン) 1A 強度の高い材質 1B 他の材質(強度の低い材質) 2 ヘッド部 3 スカート部 4 ピンボス部
Claims (5)
- 【請求項1】 接合界面で一体的に接合された強度の異
なる材質によりピストン本体が構成されている内燃機関
用のピストンにおいて、ピストン本体のヘッド部あるい
はスカート部の少なくとも一方で、その外周面側と軸心
側では材質が異なるように形成されていると共に、外周
面側となる強度の高い材質の肉厚が、一対のピンボス部
近傍では厚くなり、両ピンボス部の間の中間部では薄く
なるように形成されていることを特徴とする内燃機関用
ピストン。 - 【請求項2】 強度の高い材質が、シリコン(Si)を
10〜22重量%の範囲で含み、初晶シリコンの平均粒
径が10μm以下であるような、急冷凝固粉末を固化し
たアルミ合金からなるもので、ピストン本体が、該材質
と他の材質とからなる複合素材を鍛造で一次成形するこ
とにより製造されたものであることを特徴とする請求項
1に記載の内燃機関用ピストン。 - 【請求項3】 強度の高い材質が、シリコン(Si)よ
りも硬い非金属成分粒子を、平均粒径が10μm以下の
状態で、1〜10重量%の範囲で含むような、急冷凝固
粉末を固化したアルミ合金からなるものであることを特
徴とする請求項2に記載の内燃機関用ピストン。 - 【請求項4】 シリコン(Si)よりも硬い成分粒子
が、炭化シリコン(SiC)、酸化アルミニウム(Al
2 O3 )、窒化アルミニウム(AlN)のうちの何れか
一つあるいは複数からなることを特徴とする請求項3に
記載の内燃機関用ピストン。 - 【請求項5】 強度の高い材質が、鉄(Fe)を1〜1
0重量%の範囲で含み、その化合物の平均粒径が10μ
m以下であるような、急冷凝固粉末を固化したアルミ合
金からなるものであることを特徴とする請求項2乃至4
に記載の内燃機関用ピストン。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10817197A JPH10288086A (ja) | 1997-04-10 | 1997-04-10 | 内燃機関用ピストン |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10817197A JPH10288086A (ja) | 1997-04-10 | 1997-04-10 | 内燃機関用ピストン |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10288086A true JPH10288086A (ja) | 1998-10-27 |
Family
ID=14477793
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10817197A Pending JPH10288086A (ja) | 1997-04-10 | 1997-04-10 | 内燃機関用ピストン |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH10288086A (ja) |
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
USD726224S1 (en) | 2013-03-15 | 2015-04-07 | S.P.M. Flow Control, Inc. | Plunger pump thru rod |
USD791192S1 (en) | 2014-07-25 | 2017-07-04 | S.P.M. Flow Control, Inc. | Power end frame segment |
USD791193S1 (en) | 2015-07-24 | 2017-07-04 | S.P.M. Flow Control, Inc. | Power end frame segment |
US9695812B2 (en) | 2013-03-15 | 2017-07-04 | S.P.M. Flow Control, Inc. | Reciprocating pump assembly |
US10316832B2 (en) | 2014-06-27 | 2019-06-11 | S.P.M. Flow Control, Inc. | Pump drivetrain damper system and control systems and methods for same |
US10352321B2 (en) | 2014-12-22 | 2019-07-16 | S.P.M. Flow Control, Inc. | Reciprocating pump with dual circuit power end lubrication system |
US10436766B1 (en) | 2015-10-12 | 2019-10-08 | S.P.M. Flow Control, Inc. | Monitoring lubricant in hydraulic fracturing pump system |
-
1997
- 1997-04-10 JP JP10817197A patent/JPH10288086A/ja active Pending
Cited By (19)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
USD726224S1 (en) | 2013-03-15 | 2015-04-07 | S.P.M. Flow Control, Inc. | Plunger pump thru rod |
US9695812B2 (en) | 2013-03-15 | 2017-07-04 | S.P.M. Flow Control, Inc. | Reciprocating pump assembly |
US10316832B2 (en) | 2014-06-27 | 2019-06-11 | S.P.M. Flow Control, Inc. | Pump drivetrain damper system and control systems and methods for same |
US11181101B2 (en) | 2014-06-27 | 2021-11-23 | Spm Oil & Gas Inc. | Pump drivetrain damper system and control systems and methods for same |
US10393182B2 (en) | 2014-07-25 | 2019-08-27 | S.P.M. Flow Control, Inc. | Power end frame assembly for reciprocating pump |
US11204030B2 (en) | 2014-07-25 | 2021-12-21 | Spm Oil & Gas Inc. | Support for reciprocating pump |
US9879659B2 (en) | 2014-07-25 | 2018-01-30 | S.P.M. Flow Control, Inc. | Support for reciprocating pump |
US10087992B2 (en) | 2014-07-25 | 2018-10-02 | S.P.M. Flow Control, Inc. | Bearing system for reciprocating pump and method of assembly |
US11898553B2 (en) | 2014-07-25 | 2024-02-13 | Spm Oil & Gas Inc. | Power end frame assembly for reciprocating pump |
US11746775B2 (en) | 2014-07-25 | 2023-09-05 | Spm Oil & Gas Inc. | Bearing system for reciprocating pump and method of assembly |
US10520037B2 (en) | 2014-07-25 | 2019-12-31 | S.P.M. Flow Control, Inc. | Support for reciprocating pump |
US10677244B2 (en) | 2014-07-25 | 2020-06-09 | S.P.M. Flow Control, Inc. | System and method for reinforcing reciprocating pump |
USD791192S1 (en) | 2014-07-25 | 2017-07-04 | S.P.M. Flow Control, Inc. | Power end frame segment |
US10352321B2 (en) | 2014-12-22 | 2019-07-16 | S.P.M. Flow Control, Inc. | Reciprocating pump with dual circuit power end lubrication system |
US11421682B2 (en) | 2014-12-22 | 2022-08-23 | Spm Oil & Gas Inc. | Reciprocating pump with dual circuit power end lubrication system |
USD791193S1 (en) | 2015-07-24 | 2017-07-04 | S.P.M. Flow Control, Inc. | Power end frame segment |
USD870157S1 (en) | 2015-07-24 | 2019-12-17 | S.P.M. Flow Control, Inc. | Power end frame segment |
USD870156S1 (en) | 2015-07-24 | 2019-12-17 | S.P.M. Flow Control, Inc. | Power end frame segment |
US10436766B1 (en) | 2015-10-12 | 2019-10-08 | S.P.M. Flow Control, Inc. | Monitoring lubricant in hydraulic fracturing pump system |
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A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20070213 |