JPH10285784A - 車両用電源供給装置 - Google Patents

車両用電源供給装置

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JPH10285784A
JPH10285784A JP9086742A JP8674297A JPH10285784A JP H10285784 A JPH10285784 A JP H10285784A JP 9086742 A JP9086742 A JP 9086742A JP 8674297 A JP8674297 A JP 8674297A JP H10285784 A JPH10285784 A JP H10285784A
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友康 寺田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 負荷ショートや電線ショートに起因する負荷
や電線の破損或いは損傷を簡易な構成により容易に防止
し得る車両用電源供給装置を提案する。 【解決手段】 データ格納手段304に各負荷53A、
53B、53Cの種類に応じた過電流閾値データTH
1、TH2、TH3を格納し、電流検出手段58、70
により検出した各電線200A、200B、200Cの
電流値D2A、D2B、D2Cと、これに対応する過電
流閾値データTH1、TH2、TH3とを比較し、電流
値D2A、D2B、D2Cが当該過電流閾値データTH
1、TH2、TH3よりも大きくなったときその電線2
00A、200B、200Cに過電流が流れていると判
定して、電流遮断及び又は異常表示を行うようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は車両用電源供給装置
に関し、例えば電源部と負荷とを接続する電源ライン上
にヒューズを用いなくても、負荷ショート及び電線ショ
ートに起因する負荷及び電線の破損を防止するようにな
されたヒューズレスの車両用電源供給装置に適用し得
る。
【0002】
【従来の技術】従来、この種のヒューズレスの車両用電
源供給装置では、一般に、図8に示すように、電源ライ
ンL1上にインテリジェントパワースイッチ(IPS)
と呼ばれるスイッチング回路1を設けるようにしてい
る。このIPS1は所定の過電流閾値を有し、電源ライ
ンL1にこの閾値を超えるような過電流が流れた場合に
当該電流を遮断することにより、ヒューズを用いた場合
のようにその微妙な溶断特性に左右されることなく、閾
値に応じた理想的な過電流保護ができるようになってい
る。
【0003】IPS1は、電源部2からの電源を半導体
スイッチでなる出力部3のドレインに与え、当該半導体
スイッチのゲートに印加する駆動電圧を変化させること
により、当該半導体スイッチのソースに接続された電線
を介して負荷4に駆動電圧に応じて選択的に電源電力を
供給するようになされている。
【0004】またIPS1はコンパレータ構成でなる保
護回路5を有し、保護回路5は出力部3を流れる電流の
電流値を所定の閾値と比較し、電流値が閾値以上になっ
たときにはこのことを表す論理値を入力部6及び診断部
7に送出する。
【0005】入力部6は保護回路5から出力部3の電流
値が閾値以上であることを示す論理値を入力すると、譬
えマイクロコンピュータ(マイコン)8から出力部3を
閉成動作させて負荷4に電源電力を供給する制御信号が
入力されている場合でも、駆動部9に、出力部3の半導
体スイッチが閉成動作するのに必要な駆動電圧を印加さ
せないことを指令する駆動制御信号を送出する。
【0006】これによりIPS1は、負荷4や出力部3
と負荷4を接続する電線にショートが発生し、出力部3
に過電流が流れると、自動的に出力部3を開放動作させ
ることができることにより、過電流に基づく負荷3や電
線の破損或いは損傷を未然に防止することができるよう
になされている。
【0007】またIPS1は出力部3に過電流が流れ出
力部3が開放動作されると、診断部7を介してマイコン
8にこのことを示す論理値(ダイアグ信号)を送出する
ことにより、このような異常状態を外部で検知し得るよ
うになっている。
【0008】図9に、IPS1の外観構成を示す。ここ
でIPS1は、上述した各回路が1つのパッケージ10
内に収められている。またパッケージ10からはグラン
ド端子T1、制御信号入力端子T2、電源入力端子T
3、ダイアグ端子T4及び出力端子T5が導出されてい
る。さらにパッケージ10には放熱フィン11が取り付
けられている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述したI
PS1の過電流遮断閾値は、図10のZ1に示すよう
に、負荷4に必要な負荷電流は遮断しないように負荷電
流Z2よりも高い値に選定されている。ここで曲線Z3
に示すような損傷特性(特に過電流で生じる熱が絶縁被
覆に蓄熱されて上昇する温度による絶縁被覆の破損或い
は損傷に関する特性)を有する比較的線径の細い電線を
使用しようとすると、IPS1の過電流遮断閾値Z1は
当該電線の損傷特性Z3を超えてしまうことにより、負
荷4や電線にショートが生じた場合、電線を十分に保護
できず、電線が破損或いは損傷するといった不都合が生
じる。
【0010】このため従来は損傷特性Z3を有するよう
な線径の細い電線に代えて、損傷特性Z4を有するよう
な線径の太い電線(すなわちIPS1の過電流遮断閾値
Z1よりも損傷特性の高い電線)を用いざるをえなかっ
た。しかしながら、車両では各負荷に対応させて非常に
多数の電線が必要となり、電線の線径を太くすると車両
全体としての重量が重くなってしまう欠点がある。
【0011】ここで図10から明らかなように、IPS
1の過電流遮断閾値Z1を大きく設定しなければならな
いのは、これを電源投入時の突入電流を遮断しないよう
な値に設定しなければならないからである。
【0012】そこで従来、、図10に一点鎖線で示すよ
うに、突入電流が流れるときだけ大きく、定常電流が流
れるときには小さな(すなわち多段の)過電流閾値Z5
をIPS1に持たせることにより、突入電流を遮断して
しまうといった誤動作を回避すると共に、線径の細い電
線を用いることができる(すなわち過電流閾値Z5は線
径の細い電線の損傷特性Z3よりも常に小さいので当該
線径の細い電線を用いることができる)インテリジェン
トパワースイッチが特開平1−301432号公報で提
案されている。
【0013】しかしながら、特開平1−301432号
公報で提案されているインテリジェントパワースイッチ
では、上記多段の過電流閾値Z5は実際上負荷ごとに異
なる上記負荷電流曲線Z2を考慮して選定されていない
ことにより、負荷電流によっては適切な過電流遮断がで
きない問題があった。例えば図10の負荷電流曲線Z2
よりも電流値の高い負荷電流曲線を有する電線に図10
の過電流閾値Z5を有するIPS1を接続すると、過電
流閾値Z5よりも負荷電流曲線のほうが大きくなること
により、負荷に十分な電流を供給できなくなる。
【0014】そこで、各IPSごとに、当該IPSが接
続されている電線に流れる負荷電流曲線に対応した多段
の過電流閾値を設定するようにすればよいと考えられる
が、このようにしようとした場合、各IPSの回路構成
をその負荷電流に応じて突入電流もを考慮して変更しな
ければならず、実際上困難な問題があった。
【0015】本発明は以上の点を考慮してなされたもの
で、負荷ショートや電線ショートに起因する負荷や電線
の破損或いは損傷を簡易な構成により容易に防止し得る
車両用電源供給装置を提案しようとするものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】かかる課題を解決するた
め本発明により成された請求項1に記載の車両用電源供
給装置は、図1の基本構成図に示すように、車両に搭載
された複数の負荷53A、53B、53Cにそれぞれ電
線200A、200B、200Cを介してバッテリ等の
電源部52からの電源を供給するようになされた車両用
電源供給装置において、各電線200A、200B、2
00Cを流れる電流の大きさを検出する電流検出手段5
8、70と、各負荷53A、53B、53Cの種類に応
じた過電流閾値データTH1、TH2、TH3が格納さ
れたデータ格納手段304と、電流検出手段58、70
により検出された電線200A、200B、200Cを
流れる電流値D2A、D2B、D2Cと、データ格納手
段304から読み出した当該電線200A、200B、
200Cに接続されている負荷53A、53B、53C
に対応した過電流閾値データTH1、TH2、TH3と
を比較し、当該電流値D2A、D2B、D2Cが当該過
電流閾値データTH1、TH2、TH3よりも大きくな
ったとき、その電線200A、200B、200Cに過
電流が流れていると判定する比較判定手段302−1
と、電線200A、200B、200C上に設けられ、
閉成状態のとき当該電線200A、200B、200C
を介して電源部52に接続されている負荷53A、53
B、53Cに電源を供給するスイッチ手段50A、50
B、50Cと、比較判定手段302−1により過電流が
流れていると判定された電線200A、200B、20
0C上に設けられたスイッチ手段50A、50B、50
Cを閉成状態から開放状態に制御し及び又は所定の表示
部400を制御して電線200A、200B、200C
に過電流が流れたことを表示させる制御手段302−2
とを備えるようにする。
【0017】以上の構成において、比較判定手段302
−1はある電線200A、200B又は200Cに過電
流が流れているか否かを検出する際、データ格納手段3
04に格納されている複数の過電流閾値データTH1、
TH2、TH3のうち当該電線200A、200B又は
200Cによって接続されている負荷53A、53B又
は53Cの種類に応じた過電流閾値データTH1、TH
2又はTH3を読み出し、当該過電流閾値データTH
1、TH2又はTH3と電流検出手段58、70により
検出されたその電線200A、200B又は200Cに
流れている電流値D2A、D2B又はD2Cとを比較す
る。この結果、比較判定手段302−1は各負荷53
A、53B、53Cの種類に応じた微妙な過電流判定処
理ができるようになる。
【0018】そして比較判定手段302−1により、そ
の電線200A、200B又は200Cに過電流が流れ
ていると判定されると、スイッチ手段50A、50B又
は50Cによってその電線200A、200B又は20
0Cの電流が遮断され及び又は表示部400に過電流が
流れていることが表示されるので、過電流による負荷5
3A、53B、53Cや電線200A、200B、20
0Cの破損或いは損傷が未然に防止される。
【0019】因みに、上記構成においては、電線200
A、200B、200Cに接続される負荷53A、53
B、53Cが別の負荷に取り換えられても、データ格納
手段304に当該取り換えられた負荷の種類に対応した
過電流閾値データを新たに格納し、又はデータ格納手段
304に当該取り換えられた負荷の種類に対応した過電
流閾値データが存在する場合には比較判定の際にその過
電流閾値データを読み出すだけで、これに対処できるこ
とにより、構成を代えることなく負荷の変更に応じた適
切な過電流検出処理ができるようになる。
【0020】また本発明により成された請求項2に記載
の車両用電源供給装置は、請求項1のデータ格納手段3
04には、それぞれコイル系の負荷53A、ランプ系の
負荷53B及び抵抗系の負荷53Cに対応して、これら
各負荷53A、53B、53Cの正常時の負荷電流曲線
よりも若干大きな値でなりかつ正常時の各負荷53A、
53B、53Cの負荷電流曲線に沿った時間特性を有す
る過電流閾値データTH1、TH2、TH3が格納され
ているようにした。
【0021】以上の構成において、コイル系の負荷53
A、ランプ系の負荷53B及び抵抗系の負荷53Cは、
それぞれ負荷電流曲線の時間特性が大きく異なるため、
データ格納手段304には少なくともそれらの負荷電流
曲線に対応する過電流閾値データTH1、TH2、TH
3が格納するようにし、またその各過電流閾値データT
H1、TH2、TH3は正常時の各負荷電流曲線よりも
若干大きな値でかつ各負荷電流曲線に沿った時間特性と
されている。この結果、電線200A、200B又は2
00Cに流れる電流が当該正常時の負荷電流よりも若干
大きな値になると、比較判定手段302−1によりその
電線200A、200B又は200Cに過電流が流れて
いると判定されるようになる。
【0022】この結果、損傷特性が負荷電流曲線に近い
可能な限り細い電線を用いても、過電流による電線20
0A、200B、200Cの破損或いは損傷が生じなく
なることにより、車両全体の重量を軽くすることができ
るようになる。
【0023】また本発明により成された請求項3に記載
の車両用電源供給装置は、請求項2において、コイル系
の負荷53Aに対応した過電流閾値データTH1及びラ
ンプ系の負荷53Bに対応した過電流閾値データTH2
には、当該負荷53A、53Bへの電源の投入開始時に
電線200A、200Bに流れる突入電流を考慮して電
源投入直後のデータが定常電流時よりも大きな値でなる
時間的に階段状のデータが選定されており、抵抗系の負
荷53Cに対応した過電流閾値データTH3には、ほぼ
時間的に一定の値のデータが選定されているようにし
た。
【0024】以上の構成において、コイル系の負荷53
Aやランプ系の負荷53Bでは、電源投入開始直後に突
入電流が流れるため、これらの負荷53A、53Bに対
応した過電流閾値データTH1、TH2としては突入電
流を避けるようなデータが選定され、抵抗系の負荷53
Cは電源投入直後でも突入電流が流れないため、ほぼ時
間的に一定の過電流閾値データが選定されている。この
結果、コイル系の負荷53Aやランプ系の負荷53Bに
対応する電線200A、200Bに突入電流が流れたと
きに、比較判定手段302−1が誤って過電流が流れた
と判定することを回避でき、また抵抗系の負荷53Cに
ついては突入電流に対応する高い値の過電流閾値データ
を不要に選定していないので、一段と細い電線を使用で
きるようになる。
【0025】また本発明により成された請求項4に記載
の車両用電源供給装置は、請求項1、請求項2又は請求
項3の過電流閾値データTH1、TH2、TH3は、各
負荷53A、53B、53Cに接続されている電線20
0A、200B、200Cの損傷特性を考慮して選定す
るようにした。
【0026】以上の構成において、各過電流閾値データ
TH1、TH2、TH3を電線200A、200B、2
00Cの損傷特性を考慮して選定するようにすれば、具
体的には予め負荷53A、53B、53Cに接続される
電線200A、200B、200Cが決まっているよう
な場合に当該電線200A、200B、200Cの損傷
特性以上にはならずかつ正常時の負荷電線以下とはなら
ないように(すなわち正常時の負荷電流曲線と損傷特性
曲線との間に)過電流閾値データTH1、TH2、TH
3を選定するようにすれば、一段と確実に各電線200
A、200B、200Cの破損或いは損傷を防止できる
ようになる。
【0027】さらに本発明により成された請求項5に記
載の車両用電源供給装置は、請求項1、請求項2、請求
項3又は請求項4のスイッチ手段50A、50B、50
Cは、制御信号入力端子への制御信号の入力に応じて閉
成状態とされて電源を出力端子に電線200A、200
B、200Cを介して接続された負荷53A、53B、
53Cに供給する半導体スイッチと、当該半導体スイッ
チに過電流が流れた場合に当該半導体スイッチの制御信
号入力端子に信号を出力して当該半導体スイッチを開放
状態とすることにより当該半導体スイッチを過電流から
保護する過電流保護手段とを有する自己保護機能付きの
スイッチ手段であるようにした。
【0028】以上の構成において、電線200A、20
0B、200Cを流れる電流がスイッチ手段50A、5
0B、50Cの過電流保護手段で設定されている過電流
閾値を超えるような場合には当該スイッチ手段50A、
50B、50Cが自動的にオフすることにより電線20
0A、200B、200Cへの電流が遮断される。この
結果、比較判定手段302−1がデータ格納手段304
から過電流閾値データTH1、TH2、TH3を取り込
みかつ比較処理に要する時間の間にショート等に起因す
る大電流が流れた場合には、スイッチ手段50A、50
B、50Cの過電流保護手段によって過電流が遮断され
ため、過電流による負荷や電線の破損或いは損傷が一段
と確実に防止されるようになる。
【0029】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態の具体
例を図面を参照して説明する。 (1)車両用電源供給装置の概略構成 図2において、40は実施の形態による車両用電源供給
装置の概略構成を示し、ジャンクションボックス(J/
B)51内に設けられた複数のインテリジェントパワー
スイッチ(以下、これをIPSと呼ぶ)50を介してバ
ッテリやオルタネータ等でなる電源部52からの電源を
負荷53A〜53Xに選択的に供給するようになってい
る。
【0030】ここで負荷53Aはモータ等のコイル系の
負荷を表し、負荷53Bはヘッドライト等のランプ系の
負荷を表し、負荷53Cはヒータ等の抵抗系の負荷を表
す。各IPS50A〜50Xと各負荷53A〜53Xは
電線200A〜200Xに電気的に接続されており、こ
の電線200A〜200Xを介して電源が供給される。
なお各電線200A〜200Xは一つに束ねられてハー
ネス200が形成されている。
【0031】IPS50A〜50Xは、半導体スイッチ
を有し該半導体スイッチのオンオフ動作に応じて電源5
2の電源を各負荷53A〜53Xに選択的に供給する半
導体スイッチ部54A〜54Xと、該各半導体スイッチ
部54A〜54Xに対応して設けられ半導体スイッチを
過電流や過熱から保護するように各半導体スイッチをオ
ンオフ制御する保護回路55A〜55Xと、電線200
A〜200Xそれぞれに流れる電流値を検出するための
シャント抵抗58A〜58Xとを有する。
【0032】インタフェース(I/F)59には、各負
荷53A、53B、53C、……、53Xに対応した操
作スイッチ(図示せず)からのスイッチング制御信号S
1(以下、これを単に制御信号S1と呼ぶ)が入力さ
れ、これがインタフェース59を介してマイコン60に
供給される。
【0033】マイコン60は各負荷53A、53B、5
3C、……、53Xに対応した操作スイッチからの制御
信号S1を、対応するIPS50A、……、50Xの保
護回路55A、……、55Xに送出する。ここでマイコ
ン60とIPS50Aとの関係は、マイコン60と他の
IPS50B、……、50Xとの関係とほぼ同様なの
で、以下の説明ではマイコン60とIPS50Aとの関
係のみを説明する。
【0034】半導体スイッチ部54A内の半導体スイッ
チは保護回路55Aからの駆動電圧によってオンオフが
制御されて、オン制御された場合にはノイズ除去回路6
3を介して入力した電源VBをそのまま出力する。半導
体スイッチ部54Aから出力された電源VBはシャント
抵抗58Aを介して負荷53Aに供給される。
【0035】ここでこの実施形態の場合、電源VBは1
2〔V〕であり、シャント抵抗58Aは例えば抵抗値が
10〔mΩ〕、抵抗許容値が±5〔%〕程度のものが用い
られており、ワンチップ化された拡散抵抗やポリシリコ
ン抵抗を用いることにより精度のよい電流検出を行うこ
とができるようになされている。
【0036】保護回路55Aはレギュレータ61から安
定化された電源電圧VDDを入力すると共にチャージポン
プ62によって昇圧された駆動電圧VCを入力し、マイ
コン60から入力される制御信号S1Aに応じて、駆動
電圧VCを半導体スイッチ部54A内の半導体スイッチ
のゲートに選択的に印加することによりその半導体スイ
ッチをオンオフ制御する。
【0037】また保護回路55Aは、半導体スイッチ部
54A内に設けられた温度検出回路から温度情報VTを
入力すると共に、シャント抵抗58Aから半導体スイッ
チから流出する電流の大きさを表す電流値情報SI0を入
力することにより、半導体スイッチが過熱状態にあるか
否かを検出すると共に、半導体スイッチに過電流が流れ
ているか否かを検出する。
【0038】そして、保護回路55Aは半導体スイッチ
が過熱状態にある場合、または半導体スイッチに過電流
が流れている場合には、マイコン60から半導体スイッ
チをオン制御することを表す制御信号S1Aが入力され
ている場合でも、半導体スイッチのゲートへの駆動電圧
VCの供給を停止することにより半導体スイッチをオフ
制御し、半導体スイッチを過熱及び過電流から保護す
る。
【0039】さらに保護回路55Aはシャント抵抗58
Aから得られる電流値情報SI0を電流検出信号S2Aと
してマイコン60に送出する。マイコン60は電流検出
信号S2Aと予め電線200Aに流れる負荷電流を考慮
して設定されている閾値データとを比較し、電流検出信
号S2Aが当該閾値よりも大きくなったときに、半導体
スイッチを強制的にオフ制御するための制御信号S1A
を保護回路55Aに出力すると共に、インターフェース
59を介して異常信号S4を出力することにより例えば
インジケータランプ等の異常表示部(図示せず)を点灯
させる。
【0040】これにより車両用電源供給装置40におい
ては、電線200A上にヒューズを設けなくても、負荷
ショートや電線ショートにより過電流が流れたときマイ
コン60によりIPS50Aがオフ制御されるので、負
荷ショートや電線ショートに起因する負荷53Aや電線
200Aの破損或いは損傷を防止し得るようになされて
いる。
【0041】(2)IPS50A〜50Xの詳細構成 次にIPS50A〜50Xの詳細構成を、図3を用いて
説明する。図3では、IPS50Aを他のIPS50B
〜50Xを代表して説明する。
【0042】この実施形態の場合、半導体スイッチ部5
4A、保護回路55A及びシャント抵抗58Aはそれぞ
れ別の半導体チップ上に形成することにより、半導体ス
イッチ部54Aから発生する熱による保護回路55Aへ
の悪影響を低減するようになっている。半導体スイッチ
部54Aを形成する半導体チップには、半導体スイッチ
としてパワーMOS FET110が形成されていると
共に温度検出回路111が形成されている。
【0043】保護回路55Aは、大きく分けて、シャン
ト抵抗58Aの両端電圧に基づいてパワーMOS FE
T110を流れる電流値(すなわち電線200Aを流れ
る電流値)I0 を検出する電流検出回路70と、電流検
出回路70から得られた電流に応じた電圧値とMOS
FET110の定格電流に対応した基準電圧とを比較す
ることによりMOS FET110に該MOS FET1
10が破損するような過電流が流れているか否かを検出
する過電流検出回路71と、過電流検出回路71の検出
結果と制御信号S1Aとの論理積に応じてMOS FET
110のゲートに駆動電圧を選択的に供給する論理積回
路72と、温度検出回路111から得られるMOS F
ET110の温度に応じた検出電圧(図3について上述
した温度情報VTに相当する)と基準電圧とを比較する
ことによりMOS FET110が熱破壊するような温
度まで達しているか否かを検出する過熱検出回路73
と、過熱検出回路73の検出結果が過熱を表すものであ
った場合MOS FET110のゲート電圧を強制的に
降下させてMOS FET110をオフ動作させる過熱
防止回路74とにより構成されている。
【0044】電流検出回路70はシャント抵抗58Aを
流れる電流値I0 をシャント抵抗58Aの両端電圧を基
に求める。すなわち電流検出回路70はシャント抵抗5
8Aの一端の電圧を分圧抵抗R1及びR2を介して差動
増幅回路75の非反転入力端に入力すると共に、シャン
ト抵抗58Aの他端の電圧を入力抵抗R3 を介して差動
増幅回路75の反転入力端に入力し、かつ差動増幅回路
75の反転入力端と出力端とを抵抗R4 を介して接続す
ることにより、MOS FET110からの出力電流値
I0 に応じた電圧値を出力できるようになっている。こ
の電流検出回路70の検出電圧(すなわち電流検出信号
S2A)は出力端子105を介してマイコン60に送出
される。
【0045】過電流検出回路71は、コンパレータ76
の非反転入力端に電流検出回路70からの検出電圧値を
入力すると共に反転入力端に基準電圧発生器77によっ
て生成されたMOS FET110の定格電流に対応し
た基準電圧値を入力し、検出電圧値が基準電圧値以上に
なったとき出力を正電位(以下、これを正論理と呼び、
零電位を負論理と呼ぶ)を出力する。そしてコンパレー
タ76の出力をインバータ78を介して論理積回路72
に出力する。かくして過電流検出回路71はMOS F
ET110に通常の電流が流れている場合には正論理を
出力し、これに対してMOS FET110が破損する
ような過電流が流れた場合には負論理を出力する。
【0046】論理積回路72は、論理積否定回路79に
制御信号入力端子100を介して制御信号S1Aを入力
すると共に過電流検出回路71からの論理値を入力し、
それらの論理積否定結果を求める。論理積否定回路79
の出力はインバータ80を介してバッファ81に供給さ
れる。そしてバッファ81の出力が抵抗R5 を介してM
OS FET110のゲートに供給される。
【0047】ここで論理積回路72は、例えば制御信号
S1Aが正論理(この実施形態では正論理が5〔V〕程
度に、負論理が0〔V〕に設定されている)であり、か
つ過電流検出回路71からの出力が正論理(過電流でな
いことを表す)であった場合には、インバータ80から
正論理の信号を出力する。これに対して制御信号S1A
が正論理であり、かつ過電流検出回路71からの出力が
負論理であった場合には、インバータ80から負論理の
信号を出力する。
【0048】このように論理積回路72は、過電流検出
回路71によってMOS FET110に過電流が流れ
たことを表す論理値が得られたとき、または制御信号S
1AがMOS FET110をオフ動作させるための信号
であったときに負論理の信号を出力する。
【0049】またバッファ81には端子102を介して
チャージポンプ62によって生成された駆動電圧VCが
供給され、これによりMOS FET110のゲートに
は該MOS FET110をオン動作させようとする場
合に必要な電圧値が確保される。すなわちこの例の場
合、インバータ80から出力された5〔V〕の正論理出
力はバッファ81によって12〔V〕だけレベルシフト
され、バッファ81からは17〔V〕の電圧が出力され
る。
【0050】従って、インバータ出力が正論理の場合に
はMOS FET110のゲートには17〔V〕の電圧
が印加されるためMOS FET110は正常にオン動
作する。これに対してインバータ出力が負論理の場合に
はバッファ81出力は接地電位とされ、この結果ゲート
−ソース間に電位差が得られないのでMOS FET1
10はオフ動作する。なおMOS FET110のゲー
ト及びソース間にはダイオード82及びツェナダイオー
ド83が接続されており、これによりゲートに必要以上
の過電圧が印加されようとした場合にこれをバイパスさ
せることができMOS FET110の損傷を防止する
ことができる。
【0051】過熱検出回路73はコンパレータ85の反
転入力端に半導体スイッチ部54Aの温度検出回路11
1が接続されていると共に非反転入力端に基準電圧発生
器86が接続されている。
【0052】従って過熱検出回路73では、MOS F
ET110の温度が高くなるに伴って温度検出回路11
1を構成するダイオードの抵抗値が低くなることにより
コンパレータ85の反転入力端の電位が下がっていき、
やがて反転入力端の電位が基準電位よりも低くなったと
きに、コンパレータ85から正論理を出力する。例えば
MOS FET110の温度が150〔°〕以上のとき
に正論理を出力するように設定されている。そしてこの
コンパレータ85の論理出力がインバータ87を介して
過熱防止回路74に送出される。
【0053】過熱防止回路74は、大きく分けて、過熱
検出回路73から与えられる論理値及び制御信号S1A
に基づいて動作するJKフリップフロップ88と、該J
Kフリップフロップ88の出力に基づいてオンオフ動作
することによりメインのMOS FET110のゲート
電圧を変化させてパワーMOS FET110をオンオ
フ制御するMOS FET89とにより構成されてい
る。
【0054】因みに、パワーMOS FET110とM
OS FET89との容量を比較すると、パワーMOS
FET110の定格電流は10[A]程度に選定されて
いるのに対してMOS FET89の定格電流は10
[mA]程度に選定されており、その回路面積もパワー
MOS FET110を「1」とするとMOS FET8
9はその「1/1000」程度である。
【0055】過熱防止回路74を具体的に説明すると、
JKフリップフロップ88のクロック入力CLには過熱
検出回路73の論理出力が入力されていると共に、リセ
ット入力RにはトランジスタTr1 のコレクタが接続さ
れている。ここでトランジスタTr1 のベースには制御
信号S1Aがワンショットマルチバイブレータ90を介
して入力されるようになされており、制御信号S1Aが
負論理から正論理に変化すると、ワンショットマルチバ
イブレータ90の出力パルスが立ち上がることによりト
ランジスタTr1 のコレクタからエミッタに電流が流
れ、この結果リセット入力Rの電位が立ち下がることに
よりJKフリップフロップ88がリセットされる。また
JKフリップフロップ88のJ入力にはレギュレータ6
1によって安定化された電源電圧VDDが入力端子101
を介して入力されていると共に、K入力及びセット入力
Sは接地されている。
【0056】ここでJKフリップフロップ88の動作
を、図4を用いて説明する。すなわち時点t1 において
制御信号S1Aが正論理になると(図4(A))、ワン
ショットマルチバイブレータ90の出力パルスが立ち上
がってトランジスタTr1 のベース電位が上がることに
より出力パネルに応じたパルス幅のリセットパルス(図
4(C))がリセット入力Rに入力され、JKフリップ
フロップ88がリセット状態とされる。
【0057】この状態において、時点t2 でMOS F
ET110の温度が所定値以上となると、過熱検出回路
73からクロック入力CLに入力される論理出力が正論
理(図4(B))になり、この結果Q出力が正論理とな
る。次に時点t3 において入力制御信号S1Aが負論理
になったり、時点t4 で過熱検出回路73からクロック
入力CLに入力される論理出力が負論理になってもJK
フリップフロップ88はこの状態を保持しQ出力として
正論理を出力し続ける。やがて時点t5 において、再び
制御信号S1Aが負論理から正論理になり、リセット入
力Rにリセットパルスが入力されると、Q出力は正論理
から負論理に反転する(図4(D))。
【0058】このようにJKフリップフロップ88は、
制御信号S1Aが正論理の状態で過熱検出回路73の出
力が正論理となったとき初めて正論理のQ出力を出力
し、この後過熱検出回路73の出力が負論理になっても
この状態を維持する。ここで過熱防止回路74をラッチ
構成とし、一旦MOS FET110が所定温度以上に
なると次にMOS FET110をオン制御させるため
の制御信号S1Aが到来するまでMOS FET110を
オフさせ続けるのは次の理由による。
【0059】すなわち過熱防止回路74をラッチ構成と
せずに温度検出結果に基づき実時間でMOS FET1
10のオンオフを制御しようとすると、MOS FET
110が所定温度以上になりMOS FET110をオ
フ制御すると間もなくMOS FET110の温度が下
がるのでMOS FET110がオン制御される。そし
て再びMOS FET110の温度が上昇するとMOS
FET110がオフ制御される。そしてこのようなオン
オフが短時間の何度も繰り返されるようになると負荷5
3Aに対して不安定な電源が供給されることになるた
め、制御信号S1Aが一旦負論理とされ再び正論理とさ
れたときに初めてMOS FET110をオン状態に復
帰させるようになっている。
【0060】JKフリップフロップ88のQ出力は、上
述したバッファ81と同様にチャージポンプ62の出力
が供給され入力を12〔V〕だけレベルシフトさせるバ
ッファ91を介してMOS FET89のゲートに供給
される。この結果、Q出力が正論理(5〔V〕)の場合
にはMOS FET89のゲートには17〔V〕の電圧
が印加されるためMOS FET89はオン状態とされ
る。これに対してQ出力が負論理(0〔V〕)の場合に
はMOS FET89のゲートには接地電位しか印加さ
れないのでMOS FET89はオフ状態となる。
【0061】ここでMOS FET89がオン状態とさ
れたときにはMOS FET110のゲートは接地電位
となる結果、MOS FET110は論理積回路72か
らの論理出力に係わらず強制的にオフ状態にされる。こ
れに対してMOS FET89がオフ状態とされたとき
にはMOS FET110のゲート電位は論理積回路7
2からの論理出力に応じた値となる。
【0062】かくして過熱検出回路73及び過熱防止回
路74においては、少なくともMOS FET110の
温度が所定値以上になっている期間は、MOS FET
110を強制的にオフ制御することができることによ
り、MOS FET110の過熱による損傷を未然に回
避できる。
【0063】(3)マイコン60の構成 マイコン60は、図5に示すように構成されており、各
IPS50A〜50Xの出力端子105から出力される
各電線200A〜200Xの電流検出信号S2A〜S2
Xをアナログディジタル変換回路(A/D)300A〜
300Xによりディジタル信号に変換した後セレクタ3
01に送出する。
【0064】セレクタ301は入力された複数の電流検
出データD2A〜D2XのうちCPU(中央処理ユニッ
ト)302により指定されたいずれか一つの電流検出デ
ータをCPU302に送出する。このときCPU302
は制御信号S1により電源投入開始が指定された負荷5
3A、53B、……、又は53Xに対応する電線に流れ
ている電流値を示す電流検出データD2A、D2B、…
…、又はD2Xをセレクタ301から取り込む。なお同
時に電源投入が指定された負荷が複数あったときには、
例えば大電流を必要とする負荷に対応する電流検出デー
タから優先して取り込むようにする。
【0065】ここでROM(read only memory)303
には、CPU302が後述する過電流検出処理ルーチン
を実行するためのプログラムや、上述したセレクタ30
1から取り込み電流検出データを取り込む際の優先順位
情報等が格納されている。
【0066】またROM304には、図6に示すよう
に、各負荷53A〜53Xの負荷電流に応じた過電流閾
値データTH1、TH2、TH3、……が格納されてい
る。図6(A)で示す過電流閾値データTH1は、モー
タ等のコイル系の負荷53Aに対応して設定されたもの
で、当該コイル系の負荷53Aに電源を供給開始し始め
た直後に電線200Aに流れる突入電流を避けるように
階段状とされている。
【0067】またこの過電流閾値データTH1はコイル
系の負荷53AとIPS50Aとを繋ぐ電線200Aに
流れる負荷電流データD2A’(この負荷電流データD
2A’は実際の電流検出データD2Aとは異なり負荷5
3Aに正常な負荷電流が流れた場合の電流検出データD
2Aに対応したデータを表す)と、当該電線200Aの
損傷特性曲線F1との間に位置するように設定されてい
る。
【0068】また図6(B)に示す過電流閾値データT
H2は、ヘッドライト等のランプ系の負荷53Bに対応
して設定されたもので、当該ランプ系の負荷53Bに電
源を供給開始し始めた直後に電線200Bに流れる突入
電流を避けるように階段状とされている。またこの過電
流閾値データTH2はランプ系の負荷53BとIPS5
0B(図示せず)とを繋ぐ電線200Bに流れる負荷電
流データD2B’(この負荷電流データD2B’は実際
の電流検出データD2Bとは異なり負荷53Bに正常な
負荷電流が流れた場合の電流検出データD2Bに対応し
たデータを表す)と、当該電線200Bの損傷特性曲線
F2との間に位置するように設定されている。
【0069】ここでコイル系の負荷53Aとランプ系の
負荷53Bとを比較した場合、ランプ系の負荷53Bの
突入電流はコイル系の負荷53Aの突入電流に対して大
きな値であることにより、ランプ系の負荷53Bに対す
る過電流閾値データTH2はコイル系の負荷53Aに対
する過電流閾値データTH1よりも当該突入電流部分で
大きな値に設定されている。
【0070】また図6(C)に示す過電流閾値データT
H3は、ヒータ等の抵抗系の負荷53Cに対応して設定
されたもので、時間の経過に拘わらない一定値とされて
いる。これは抵抗系の負荷53Cには、負荷電流D2
C’(この負荷電流データD2C’は実際の電流検出デ
ータD2Cとは異なり負荷53Cに正常な負荷電流が流
れた場合の電流検出データD2Cに対応したデータを表
す)で示すように、突入電流が流れないためであり、当
該突入電流を考慮しなくてもよいためである。
【0071】ここでCPU302は、図7に示すような
過電流検出処理ルーチンRT1を実行することにより、
電源が投入された負荷53A〜53Xに対応する電線2
00A〜200Xに過電流が流れているか否かを検出す
ると共に、過電流が流れている場合にはIPS50A〜
50Xをオフ制御することにより当該過電流を遮断し及
び又は所定の異常表示部(図示せず)に過電流が流れて
いることを表示する。
【0072】すなわちCPU302は、RT1で当該過
電流検出処理ルーチンを開始すると、続くスイッチング
において検出対象の電線200A、200B、……、又
は200Xを選択する。このときCPU302は制御信
号S1に基づいて電源が供給され始めた電線200A、
200B、……、又は200X、又は現在電源が供給さ
れている電線200A、200B、……、又は200X
を選択する。ここで電源の投入が開始され始める電線又
は電源が供給されている電線が複数ある場合には、予め
ROM303に格納されている優先順位に基づいて検出
対象の電線を順次選択するようになっている。
【0073】ステップSP1で検出対象の電線200
A、200B、……、又は200Xが選択されると、次
にCPU302はステップSP2においてROM304
に格納されている複数の過電流閾値データTH1、TH
2、TH3、……のうち当該電線200A、200B、
……、又は200Xに接続されている負荷53A、53
B、……、又は53Xに対応した過電流閾値データを取
り込む。
【0074】すなわちコイル系の負荷53Aに接続され
ている電線200Aに流れる電流が検出対象となった場
合には過電流閾値データTH1を取り込み、ランプ径の
負荷53Bに接続されている電線200Bに流れる電流
が検出対象となった場合には過電流閾値データTH2を
取り込み、抵抗系の負荷53Cに接続されている電線2
00Cに流れる電流が検出対象となった場合は過電流閾
値データTH3を取り込む。
【0075】次にCPU302はステップSP3におい
てセレクタ301にセレクト信号を送出することにより
セレクタ301から検出対象となっている電線200
A、200B、……、又は200Xの電流検出データD
2A、D2B、……、又はD2Xを入力する。
【0076】続くステップSP4では、ステップSP2
で取り込んだ過電流閾値データTH1、TH2、TH
3、……と、ステップSP3で取り込んだ電流値検出デ
ータD2A、D2B、……、又はD2Xとを比較し、電
流検出データが過電流閾値データ未満の場合にはこの電
線には過電流でない正常な電流が流れていると判断し
て、再びステップSP3に戻る。CPU302はステッ
プSP3での電流検出データの入力及びステップSP4
での過電流閾値データとの比較を例えば1〔msec〕ごと
に行う。
【0077】CPU302はステップSP4で肯定結果
が得られた場合、すなわち電流検出データが過電流閾値
データ以上になった場合、ステップSP5移る。ステッ
プSP5では、当該電線200A、200B、……、又
は200Xに対応するIPS50A、50B、……、又
は50Xをオフ制御させるための制御信号S1A、S1
B、……、又はS1Xを送出することにより当該電線2
00A、200B、……、又は200Xを遮断し及び又
は所定の異常表示部(図示せず)に異常信号S4を送出
することにより当該電線に過電流が流れたことを示す異
常表示をさせる。
【0078】例えばヘッドライトのように車両走行に非
常に重要な負荷についてはたとえ過電流が流れたという
検出結果が得られたとしても、すぐに電流を遮断してし
まったのでは走行時の安全性が確保できなくなるため、
ステップSP5では、このような負荷に対しては過電流
が検出されたとしてもすぐには電流を遮断せずに、異常
表示のみに止めるようにする。CPU302はステップ
SP5の処理の後、ステップSP6に移り当該過電流検
出処理ルーチンRT1を終了する。
【0079】なおこの実施形態においては、各IPS5
0A、50B(図示せず)、50C(図示せず)は、図
6に示す過電流閾値データTH1、TH2、TH3のう
ち電源投入開始直後の過電流閾値データAR1、AR
2、AR3に対応する過電流閾値を保護回路55A、5
5B(図示せず)、55C(図示せず)の過電流閾値と
している。具体的には、各保護回路55A、55B(図
示せず)、55C(図示せず)の過電流検出回路71
(図3)のコンパレータ76の反転入力端に基準電圧発
生器77からAR1、AR2、AR3に対応した基準電
圧を入力させるようにしている。
【0080】この結果、各負荷への電源投入直後に電線
に過電流が流れた場合には、マイコン60によって当該
過電流が遮断されるのではなく、IPSの過電流保護機
能により当該過電流が遮断されるようになされている。
このようにしたのは、上述したマイコンによる過電流検
出及び保護処理においては、過電流検出対象の電線が選
択されてから、ROM304から当該電線が接続されて
いる負荷に対応した過電流閾値データを取り込んでから
実際の閾値判定を行うまでに若干の時間が必要となるた
め、図6に示すような電源投入が開始されてから10
〔msec〕程度の間はマイコン60による過電流保護は有
効に機能しない。そこで、この電源投入開始直後はIP
Sによる過電流保護を有効に利用するようにしている。
【0081】(4)実施形態の動作及び効果 以上の構成において、車両用電源供給装置40は、制御
信号S1に基づいて例えばIPS50Aをオン制御し、
電線200Aを介してコイル系の負荷53Aに電源を供
給する場合、CPU302がROM304に格納されて
いる複数の過電流閾値データTH1、TH2、TH3の
中からコイル系の負荷53Aに対応する過電流閾値デー
タTH1を取り込むと共に、セレクタ301から電流検
出データD2Aを取り込む。
【0082】そして、過電流閾値データTH1と電流検
出データD2Aとを比較し、電流検出データD2Aが過
電流閾値データTH1よりも大きくなったときIPS5
0Aに当該IPS50Aをオフ制御するための制御信号
S1Aを送出することにより負荷53Aへの電源供給を
停止させる。この結果、負荷53Aや電線200Aのシ
ョートによる負荷53Aや電線200Aの破損或いは損
傷を防止できる。
【0083】ここで車両用電源供給装置40では、図6
(A)及び図6(B)に示すような突入電流を避けた多
段の過電流閾値データTH1及びTH2をROM304
に格納するだけで、ハード構成を考えることなく、容易
に各負荷の負荷電流に対応した所望の過電流閾値を設定
できる。
【0084】またROM304に各負荷の種類に応じた
過電流閾値データTH1、TH2、TH3を格納するよ
うにしたことにより、負荷電流曲線の近傍に過電流閾値
を設定できるようになる。この結果、負荷電流曲線の近
くに損傷特性がくるような、細い電線を使用しても過電
流による電線の損傷が回避されるようになるため、可能
な限り細い電線を用いることができるようになり、車両
全体を軽量化できるようになる。
【0085】また例えばコイル系の負荷53Aをランプ
系の負荷に変更するような場合でも、ROM304に格
納する過電流閾値データを当該変更したランプ系の負荷
に応じて変更するだけで所望の過電流閾値を設定できる
ので、負荷の変更に応じてハード構成を代えることな
く、容易に変更した負荷に応じた過電流閾値を再設定で
きる。また場合によっては、コイル系の負荷53Aをラ
ンプ系の負荷に変更した場合、予めROM304に格納
されているランプ系の負荷53Bについての過電流閾値
データTH2をCPU302での過電流判定に代用して
用いることもできる。
【0086】また車両用電源供給装置40においては、
CPU302によって過電流判定を行おうとする際、R
OM304からこれから過電流判定を行おうとする負荷
に対応する過電流閾値データTH1、TH2又はTH3
を取り込み、比較処理を行うまでに若干の時間が必要と
なるが、この期間の間はIPS50A〜50Xによる過
電流保護機能が働くので、この期間にショート等に起因
する大電流が流れた場合でも当該過電流をIPS50A
〜50Xによって遮断でき、負荷53A〜、53Xや電
線200A〜200Xの破損或いは損傷は防止される。
【0087】かくして、負荷ショートや電線ショートに
起因する負荷や電線の破損或いは損傷を簡易な構成によ
り容易に防止し得る車両用電源供給装置40を実現でき
る。
【0088】(5)他の実施形態 なお上述の実施形態においては、CPU302により過
電流検出を行う際、同時に2つ以上の負荷に電源が供給
されている場合には、CPU302は予めROM303
に格納されている優先順位に基づいて過電流の検出対象
を1つに絞り込み、選択された過電流選択対象の負荷に
対応した1つの過電流閾値データをROM304から取
り込むと共にセレクタ301から1つの電流検出データ
を取り込んで、各電線の過電流検出処理を順番に行うよ
うにした場合について述べたが、本発明はこれに限ら
ず、同時に2つ以上の負荷に電源が供給されている場合
には、CPU302はこれら複数の負荷に対応した複数
の過電流閾値データをROM304から取り込むと共に
それに対応した電流検出データも複数取り込んで、タイ
ムシェアリング方式によって、互いに対応する過電流閾
値データと電流検出データとの比較判定処理を時分割で
行うようにしてもよい。このようにすれば、上述した実
施形態と比較して、電源供給がされている負荷に接続さ
れた電線の状態を常に監視できるようになるため、一段
と良好な過電流検出処理ができるようになる。
【0089】また上述の実施形態においては、電流検出
手段としてシャント抵抗58A〜58Xを用いるように
した場合について述べたが、本発明の電流検出手段はこ
れに限らず、電線に流れる電流値に応じた磁束を検知す
ることによってその電線に流れる電流の大きさに応じた
電圧を出力するように、例えばリングコアの磁路中にホ
ール素子のような磁気感応素子を設けて構成するように
してもよい。
【0090】また上述の実施形態においては、データ格
納手段としてROM304を用いた場合について述べた
が、本発明はこれに限らず、RAM(random access me
mory)やCD−ROM等を用いるようにしてもよい。
【0091】さらに上述の実施形態においては、前記電
線上に設けられ、閉成状態のとき当該電線を介して電源
部に接続されている負荷に電源を供給するスイッチ手段
としてインテリジェントパワースイッチ50A〜50X
を用いた場合について述べたが、本発明はこれに限ら
ず、インテリジェントパワースイッチ50A〜50Xに
代えて例えば電磁リレー等を用いるようにしてもよい。
【0092】
【発明の効果】上述のように請求項1の発明によれば、
データ格納手段に各電線の種類に応じた所望の過電流閾
値データを格納するだけで、過電流により負荷や電線の
破損或いは損傷を良好に防止できるようになり、かくし
て負荷ショートや電線ショートに起因する負荷や電線の
破損或いは損傷を簡易な構成により容易に防止し得る車
両用電源供給装置を実現できるようになる。
【0093】また請求項2の発明によれば、コイル系の
負荷、ランプ系の負荷及び抵抗系の負荷それぞれにおい
て特に電源投入開始直後の負荷電流曲線の時間特性が大
きく異なることに着目して、データ格納手段に、それぞ
れコイル系の負荷、ランプ系の負荷及び抵抗系の負荷に
対応して、これら各負荷の正常時の負荷電流曲線よりも
若干大きな値でなりかつ正常時の各負荷Cの負荷電流曲
線に沿った時間特性を有する過電流閾値データを格納す
るようにしたことにより、損傷特性が負荷電流曲線に近
い可能な限り細い電線を用いても、過電流による電線の
損傷が生じなくなることにより、車両全体を軽量化し得
る車両用電源供給装置を実現できる。
【0094】また請求項3に記載の発明によれば、コイ
ル系の負荷やランプ系の負荷に対応する電線に突入電流
が流れたときに、誤って過電流が流れたと判定すること
を回避でき、また抵抗系の負荷については突入電流に対
応する高い値の過電流閾値データを不要に選定していな
いので、一段と細い電線を使用できるようになり、車両
全体を一段と軽量化し得る車両用電源供給装置を実現で
きる。
【0095】また請求項4に記載の発明によれば、一段
と確実に各電線の損傷を防止し得る車両用電源供給装置
を実現できる。
【0096】さらに請求項5に記載の発明によれば、比
較判定手段がデータ格納手段から過電流閾値データを取
り込みかつ比較処理に要する時間の間にショート等に起
因する大電流が流れた場合には、スイッチ手段の過電流
保護手段によって過電流が遮断されので、過電流による
負荷や電線の破損或いは損傷を一段と確実に防止し得る
車両用電源供給装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による車両用電源供給装置の基本構成を
示すブロック図である。
【図2】実施の形態による車両用電源供給装置の概略構
成を示す接続図である。
【図3】インテリジェントパワースイッチの詳細構成を
示す回路図である。
【図4】図3中のJKフリップフロップの動作の説明に
供するタイミングチャートである。
【図5】図2中のマイコンの構成を示すブロック図であ
る。
【図6】ROM304に格納されている過電流閾値デー
タと、各負荷電流及び電線の損傷特性との関係を示す特
性曲線図である。
【図7】マイコンによる過電流検出処理ルーチンを示す
フローチャートである。
【図8】従来のインテリジェントパワースイッチの構成
を示すブロック図である。
【図9】インテリジェントパワースイッチの外観構成を
示す平面図である。
【図10】過電流閾値と、負荷電流及び電線の損傷特性
との関係を示す特性曲線図である。
【符号の説明】
50A〜50C スイッチ手段(インテリジェン
トパワースイッチ) 52 電源部 53A〜53C 負荷 58、70 電流検出手段(シャント抵抗、
電流検出回路) 302−1 比較判定手段(CPU) 302−2 制御手段(CPU) 304 データ格納手段(ROM) 200A〜200C 電線 400 表示部 D2A〜D2C 電流値(電流検出データ) TH1〜TH3 過電流閾値データ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 梅田 幸彦 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両に搭載された複数の負荷にそれぞれ
    電線を介してバッテリ等の電源部からの電源を供給する
    ようになされた車両用電源供給装置において、 前記各電線を流れる電流の大きさを検出する電流検出手
    段と、 前記各負荷の種類に応じた過電流閾値データが格納され
    たデータ格納手段と、 前記電流検出手段により検出された前記電線を流れる電
    流値と、前記データ格納手段から読み出した当該電線に
    接続されている負荷に対応した前記過電流閾値データと
    を比較し、当該電流値が当該過電流閾値データよりも大
    きくなったとき、その電線に過電流が流れていると判定
    する比較判定手段と、 前記電線上に設けられ、閉成状態のとき当該電線を介し
    て前記電源部に接続されている前記負荷に電源を供給す
    るスイッチ手段と、 前記比較判定手段により過電流が流れていると判定され
    た電線上に設けられた前記スイッチ手段を閉成状態から
    開放状態に制御し及び又は所定の表示部を制御して前記
    電線に過電流が流れたことを表示させる制御手段とを具
    えることを特徴とする車両用電源供給装置。
  2. 【請求項2】 前記データ格納手段には、それぞれコイ
    ル系の負荷、ランプ系の負荷及び抵抗系の負荷に対応し
    て、これら各負荷の正常時の負荷電流曲線よりも若干大
    きな値でなりかつ正常時の各負荷の負荷電流曲線に沿っ
    た時間特性を有する前記過電流閾値データが格納されて
    いることを特徴とする請求項1に記載の車両用電源供給
    装置。
  3. 【請求項3】 前記コイル系の負荷に対応した前記過電
    流閾値データ及び前記ランプ系の負荷に対応した前記過
    電流閾値データには、当該負荷への電源の投入開始時に
    前記電線に流れる突入電流を考慮して、電源投入直後の
    データが定常電流時よりも大きな値でなる時間的に階段
    状のデータが選定されており、 前記抵抗系の負荷に対応した前記過電流閾値データに
    は、ほぼ時間的に一定の値のデータが選定されているこ
    とを特徴とする請求項2に記載の車両用電源供給装置。
  4. 【請求項4】 前記過電流閾値データは、前記各負荷に
    接続されている電線の損傷特性を考慮して選定されてい
    ることを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3に
    記載の車両用電源供給装置。
  5. 【請求項5】 前記スイッチ手段は、制御信号入力端子
    への制御信号の入力に応じて閉成状態とされて電源を出
    力端子に前記電線を介して接続された負荷に供給する半
    導体スイッチと、当該半導体スイッチに過電流が流れた
    場合に当該半導体スイッチの制御信号入力端子に信号を
    出力して当該半導体スイッチを開放状態とすることによ
    り当該半導体スイッチを過電流から保護する過電流保護
    手段とを有する自己保護機能付きのスイッチ手段である
    ことを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3又は請
    求項4に記載の車両用電源供給装置。
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