JPH10280053A - 連続焼鈍炉のシール装置 - Google Patents

連続焼鈍炉のシール装置

Info

Publication number
JPH10280053A
JPH10280053A JP8673197A JP8673197A JPH10280053A JP H10280053 A JPH10280053 A JP H10280053A JP 8673197 A JP8673197 A JP 8673197A JP 8673197 A JP8673197 A JP 8673197A JP H10280053 A JPH10280053 A JP H10280053A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
furnace
seal
gas
continuous annealing
annealing furnace
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP8673197A
Other languages
English (en)
Inventor
Shinichiro Iida
真一郎 飯田
Yoshiaki Takeishi
芳明 武石
Eiichiro Uchiyama
栄一郎 内山
Masato Nagata
真人 永田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Chugai Ro Co Ltd
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Chugai Ro Co Ltd
Sumitomo Metal Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Chugai Ro Co Ltd, Sumitomo Metal Industries Ltd filed Critical Chugai Ro Co Ltd
Priority to JP8673197A priority Critical patent/JPH10280053A/ja
Publication of JPH10280053A publication Critical patent/JPH10280053A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来の連続焼鈍炉では、通板する鋼帯の表面
に発生するスリ疵を解消できない。 【解決手段】 連続焼鈍炉30の炉体31における出口部31
a に設置されるシールロール21,21 と、シールロール2
1,21 により形成される空間26と炉内ガス供給域33とに
連通して配置されるシール室22とを備え、シールロール
21,21 が、通板される鋼帯40の板厚よりも大きな距離d
だけ離間して配置されるとともに、シール室22には、炉
内ガスよりもシール性が優れる窒素ガスが供給され、さ
らに、シール室22の圧力が、大気圧より高いとともに炉
内ガス供給域33の圧力よりも低いことを特徴とする連続
焼鈍炉30のシール装置20である。シールロール21に落下
する異物は、シールロール21,21 の間隙23から落下し、
スリ疵を発生しない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、連続焼鈍炉の入口
部や出口部に設置されるシール装置に関する。
【0002】
【従来の技術】周知のように、連続焼鈍法は、冷間圧延
された金属帯を連続的に連続焼鈍炉中に通板させて、通
常20分間程度の短時間で金属帯に所定の熱履歴 (急速加
熱, 焼鈍および急冷) を与える焼鈍法である。
【0003】図4は、この連続焼鈍法で用いる連続焼鈍
炉1の一例を示す断面図である。同図において、金属帯
2は、ターンロール3の周りを周回して通板方向を上方
向へ変更された後、入口部シール装置4によりシールさ
れた連続焼鈍炉1内へ送られる。金属帯2は、さらに上
方向へ通板されてトップロール5の周りを周回して下方
向へ通板方向を変更され、その後に加熱帯6および冷却
帯7をそれぞれ通過し、出口部シール装置8を介して、
炉外に通板される。そして、ターンロール9の周りを周
回することにより通板方向を水平方向へ変更され、次工
程に送られる。
【0004】この連続焼鈍炉1の炉内には、通板される
金属帯2の表面美麗度を高めるため、窒素および水素の
混合ガス (本明細書においては、「炉内ガス」とい
う。) が供給されるとともに、この炉内ガスの露点を−
50℃以下に制御する。そのため、連続焼鈍炉1の入口部
および出口部では炉外ガス (大気) の炉内への侵入を防
ぐ必要があり、一般的に、炉内圧力を大気圧より数10mm
H2O 程度高い正圧とするとともに、入口部シール装置
4,出口部シール装置8を設置している。
【0005】図5は、この連続焼鈍炉1のシール装置の
従来例を示す断面図であり、出口部シール装置8を示し
ている。同図に示すように、連続焼鈍炉1の出口部に、
通板される金属帯2を挟んで対向させて一対のロール1
0,11,12を配置し、これらのロール10〜12の表面に、駆
動ロール13により移動自在の帯状弾性体14 (例えばフェ
ルト等) を巻付けることにより、ロール11をシールロー
ルとし、この帯状弾性体14を通板される金属帯2の表面
に当接させることにより、連続焼鈍炉1のシールを行っ
ていた。しかし、このシール装置4では、金属帯2の表
面に長手方向へ平行な「スリ疵」が発生するという問題
があった。
【0006】ところで、従来より、連続焼鈍炉を通板す
る金属帯に発生する表面疵を抑制できる手段が、種々提
案されている。例えば、特開平2−25524 号公報には、
中心部から外周面に向かって窒素ガスを噴出する貫通孔
を備える弾性体ライニング中空ロールをシールロールと
して用いて金属帯を挟持することにより、シール性向上
および金属帯表面疵抑制を図る発明が、また特開平2−
54723 号公報には、軸方向中央部の外径が軸方向両端部
よりも小さな鼓形のロールによりシールロールを構成し
て、シール性向上および金属帯表面疵抑制を図る発明
が、それぞれ提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これらの提案
にかかる発明は、金属帯の当たり疵等の表面疵の抑制を
図ったものであり、金属帯表面における前述の「スリ
疵」を抑制することはできない。すなわち、本発明者ら
の検討によれば、金属帯とシールロールとの当接部に
は、金属粉や炉体構造材の破片等の異物が不可避的に落
下してかみ込み、この異物はシールロールの表面に埋め
込まれて滞留してしまう。従来のシール装置は、いずれ
も、金属帯の両面にシールロールを当接させるものであ
るため、かみ込んだ異物による金属帯表面の「スリ疵」
を解消することはできない。ここに、本発明の目的は、
連続焼鈍炉を通板する金属帯の表面に発生するスリ疵を
解消することができる連続焼鈍炉のシール装置を提供す
ることである。
【0008】
【課題を解決するための手段】前述したように、連続焼
鈍炉の炉内圧力は、大気圧よりも数10mmH2O 程度高い正
圧に維持する必要がある。そのため、従来のシール装置
では、シールロールの表面を金属帯の表面に当接させ
て、炉内シール性を確保している。
【0009】本発明者らは、前述したスリ疵の解消を目
的に、表面が金属帯に当接しない位置に一対のシールロ
ールを配置することを検討した。しかし、金属帯とシー
ルロールとの間に間隙を設けると、この間隙から、水素
を約75体積%以上含むために軽く漏洩し易い炉内ガスが
炉外へ漏洩して炉内圧力を低下させてしまう。この場合
に、所定の炉内圧力を得るためには、非常に多量の炉内
ガスを供給しなければならず、操業コストを考えると実
現性は低い。
【0010】そこで、本発明者らは、このようなシール
ロールの配置により低下する炉内シール性を、炉内ガス
供給量増加以外の他の手段により補償することはできな
いか、鋭意検討した。
【0011】その結果、本発明者らは、シールする必
要性がある炉内ガス供給域と上述したように配置された
一対のシールロールとの間に、シール性に優れ、安価か
つ安全なシールガスを供給されるシール室を配置するこ
と、前記項において、一対のシールロール間距離,
炉内ガス供給域圧力およびシール室圧力を適宜制御する
ことにより、シールロールを金属帯に当接させなくとも
炉内シール性を充分に確保することができ、上記課題を
解決することができることを知見して、本発明を完成し
た。
【0012】ここに、本発明の要旨とするところは、連
続焼鈍炉の入口部近傍または出口部近傍に設置される一
対のシールロールと、一対のシールロールにより形成さ
れる空間と連続焼鈍炉の炉内ガスが供給される炉内ガス
供給域とに連通して配置されるシール室とを備える連続
焼鈍炉のシール装置であって、一対のシールロールが、
連続焼鈍炉に通板される金属帯の板厚よりも大きな距離
だけ離間して配置されるとともに、シール室には、炉内
ガスよりもシール性が優れるシールガスが供給されるこ
とを特徴とする。
【0013】上記の本発明にかかる連続焼鈍炉のシール
装置では、シール室の圧力が、連続焼鈍炉の外気圧より
高いとともに炉内ガス供給域の圧力よりも低いことが、
炉内ガスの効率的なシール,炉内ガス供給域へのシール
ガス拡散防止,および過剰なシールガスの炉外排出のた
めに、望ましい。
【0014】上記の本発明にかかる連続焼鈍炉のシール
装置では、シール室の圧力が、シールロールと金属帯と
の間の距離,炉内ガスの供給量,およびシールガスの供
給量のうちの1種以上に基づいて、制御されることが、
高精度な制御を行うためには、望ましい。
【0015】上記の本発明にかかる連続焼鈍炉のシール
装置では、シールガスが、窒素ガスであることが、シー
ル性の確保のためには、望ましい。これらの本発明にか
かる連続焼鈍炉のシール装置により、炉内ガス供給域の
水素濃度は、適正な範囲に確保され、金属帯表面におけ
るスリ疵を解消しながら、連続焼鈍を効率的に行うこと
ができる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明にかかる連続焼鈍炉
のシール装置の実施形態を、添付図面を参照しながら詳
細に説明する。なお、以降の実施形態の説明は、金属帯
として鋼帯を例にとって、行う。
【0017】図1は、本実施形態のシール装置20を、鋼
帯40の連続焼鈍炉30の出口部31a に適用した状況を一部
透視状態で示す略式斜視図である。なお、図1は、理解
を容易にするため、連続焼鈍炉30の両側部を垂直に切断
した状態で示している。鋼帯40は、下方向 (図中の白抜
矢印方向) へ搬送されており、竪型連続焼鈍炉30の炉体
31における出口部31a から炉外に搬送される。
【0018】本実施形態では、出口部31a の外側に一対
のシールロール21,21 が配置されるとともに、出口部31
a の内側 (炉体31の内部) にシール室22が形成されてお
り、これらが、出口部シール装置20を構成する。
【0019】本実施形態のシールロール21は、図示しな
い軸受によりその両端部を回転自在に支持されており、
炉体31の底面31b から離間した位置に配置される。ま
た、このシールロール21は、金属ロール21a の外周面
に、フェルトからなる弾性体21bをライニングすること
により、構成される。また、シールロール21の端部に
は、図示しない駆動装置 (モータ) が設置されており、
鋼帯40の通板速度と同一の周速度で回転することができ
るように、構成されている。
【0020】本実施形態では、一対のシールロール21,2
1 の外周面と、通板される鋼帯40の表面との間それぞれ
に、距離d(ただし、d>0)の間隙23,23 が形成されるよう
に、シールロール21,21 は互いに離間して対向設置され
る。すなわち、シールロール21,21 は、鋼帯40の板厚t
よりも大きな距離だけ離間して、配置される。通板され
る鋼帯40の板厚t は操業条件等により変動するため、本
実施形態では、シールロール21,21 を軸支する軸受が、
鋼帯40の平面に対して直交する方向に可変に、配置され
る。
【0021】本実施形態のシールロール21,21 は、鋼帯
通板時にも鋼帯40に接触せずに間隙23,23 を有するた
め、落下する異物がこの間隙23,23 を通過して、炉外に
落下・排出される。これにより、鋼帯40の表面における
スリ疵が解消される。また、シールロール21,21 が鋼帯
40に非接触または軽接触するため、鋼帯40の端部による
シールロール21,21 表面へのエッジ疵も解消または抑制
され、シールロール21,21 の寿命も延長される。さら
に、シールロール21,21 が鋼帯40に非接触または軽接触
するため、通板中の鋼帯40の蛇行修正が容易である。
【0022】炉体31の内部には、鋼帯40の幅方向に2 枚
のじゃま板32,32 が、鋼帯40に接触しないようにして、
配置されており、じゃま板32,32 に区切られることによ
り、炉体31の最出口側にシール室22が形成される。
【0023】また、シール室22の内部にはシールガス噴
出ノズル24,24 が、鋼帯40の幅方向に向けて形成されて
おり、シール室22の内部に、水素を約75体積%以上含み
軽い炉内ガスよりも重くシール性が優れるシールガスを
噴出・供給する。
【0024】すなわち、本実施形態では、シールロール
21,21 を鋼帯40から離間して配置するために低下する炉
内シール性を補うために、シール室22を形成するととも
にシール室22にシールガス噴出ノズル24,24 を設置し
て、シール室22にシールガスを供給することにより、所
定の炉内ガス圧を確保する。なお、本実施形態では、シ
ールガスとして窒素ガスを用いている。
【0025】シールガス噴出ノズル24,24 は、鋼帯40の
幅方向に向けて均一に窒素ガスを噴出することができる
ものであればよく、限定を要さない。例えば、多孔ノズ
ルやスリットノズルが例示される。
【0026】じゃま板32,32 に区切られることにより、
シール室22の上方に、炉内ガスが供給される炉内ガス供
給域33が、シール室22と連通状態で形成されており、図
示しない炉内ガス供給装置から炉内ガスが供給されてい
る。
【0027】炉体31の底面31b には、シールロール21,2
1 との直接的な接触を防止するために、フェルトからな
る台形断面の弾性材25,25 が固定されており、シールロ
ール21,21 の外周面は、弾性材25,25 の傾斜面に接触す
る。
【0028】本実施形態では、シールロール21,21 と弾
性材25,25 とにより、シールロール21,21 により形成さ
れる空間26とシール室22との連通状態が維持される。本
実施形態のシール装置20は、以上のように構成される。
【0029】このシール装置20では、炉内ガスを確実か
つ効率的にシールするとともに、シールガスを炉内ガス
供給域33へ漏れ出させずに炉外へ排出することが、重要
である。そのために、本実施形態では、シール室22内の
圧力P1が、炉外圧である大気圧P0より高いとともに炉内
ガス供給域33内の圧力P2よりも低くなるように、すなわ
ち下記式 P0<P1<P2 ・・・・・・・ を満足するように、設定する。これにより、シール室22
内におけるガス流れ方向は、炉内ガス供給域33から炉外
へ向かう方向だけとなり、シール室22に供給されたシー
ルガスは、シールロール21,21 の間の間隙だけから、炉
外へ漏洩する。
【0030】ここで、シールロール21,21 と鋼帯40との
間隙が増大するほど異物を炉外へ排出し易くなるもの
の、間隙を過大に大きく設定してしま、シール室22およ
び炉内ガス供給域33双方の圧力低下を招いてしまう。す
なわち、図1に示す本実施形態を適用した連続焼鈍炉30
では、シール室22内の圧力P1には、シールロール21,21
と鋼帯40との距離d,炉内ガス供給域33への炉内ガスの供
給量Q1,およびシール室22内へのシールガスの供給量Q2
が影響する。そこで、本実施形態では、シール室22の圧
力P1が式を満足するように、シールロール21,21 と鋼
帯40との距離d,炉内ガス供給域33への炉内ガスの供給量
Q1,およびシール室22内へのシールガスの供給量Q2のう
ちの1種以上に基づいて、制御する。
【0031】具体的には、下記に示す炉内圧力制御に関
する式を用いる。この式は、本発明者らが導いた、
炉内ガスとシールガスとの混合ガスの炉外への全漏洩量
Gに関する半理論式である。本実施形態のシール装置20
からの全漏洩量Gは、鋼帯40とシールロール21の弾性体
21b との間の空間26から炉外に流出する混合ガス漏洩量
と、弾性体21b 自体からしみ出る混合ガス漏洩量との和
として求められる。
【0032】
【数1】
【0033】G:全漏洩量、A:開口面積、a0 :炉内
状態の音速、ρ0 :炉内状態の密度、κ:混合ガスの比
熱比、P0 :大気圧、PB :炉内圧力、ΔP:差圧、
μ:混合ガスの粘度、Qi :ガス供給量、mi :分子
量、ρi :密度、Cvi :定圧比熱、T:ガス温、α、
β:定数、i=1, 2 (それぞれ炉内ガス, シールガスを
示す) 上記式において、右辺第1項の開口面積Aは、シール
ロール21部の鋼帯40とシールロール21とにより形成され
る断面積と、炉体固有の微小漏洩面積との和である。
【0034】ここで、シールロール21部の断面積からの
漏洩量が平衡状態となるシールガス量よりも多量にシー
ルガスをシール室22へ供給すると、シール室22内の圧力
P1>炉内ガス供給域33内の圧力P2となり、シールガスの
一部が炉内ガス供給域33へ拡散し、炉内ガス濃度を低下
させることがわかる。すなわち、シールロール21,21の
間の空間26からの漏れ量以上にシールガスを供給する
と、シールガスは炉内ガス供給域33の方向へ拡散し、炉
内水素濃度を低下させることになる。
【0035】本実施形態では、このように、相互に影響
し合う、シールロール21,21 と鋼帯40との距離d,炉内ガ
ス供給域33への炉内ガスの供給量Q1,およびシール室22
内へのシールガスの供給量Q2のうちの1種以上の目標値
を、操業開始前に、前記式を用いて算出して操業を開
始し、それらの実測値をこれら目標値にできるだけ近づ
けるように制御して、前記式の関係を満足する。この
ようにして、シールロール21,21 と鋼帯40との距離d,炉
内ガス供給域33への炉内ガスの供給量Q1,およびシール
室22内へのシールガスの供給量Q2の制御範囲が決定され
る。
【0036】なお、炉内ガス供給域33における水素濃度
の適正範囲は、焼鈍後の板表面品質の観点から70体積%
以上であるが、本実施形態のシール装置20を適用して
も、水素濃度は、この適正範囲に維持される。このよう
にして、本実施形態のシール装置20により、鋼帯40表面
におけるスリ疵を、著しく抑制ないしは解消しながら、
連続焼鈍を行うことが可能となる。
【0037】
【実施例】
(実施例1)さらに、本発明を実験データを参照しながら
具体的に説明する。板幅1028mm, 板厚0.75mmである冷延
鋼帯に対して、図1に示す本発明にかかるシール装置20
(シールロール21の長さ:1650mm)を用い、ロール間隙率
{= (シールロール間距離)/ (通板鋼帯板厚) ×100 }
を130 %とした場合に、炉内ガス(水素75体積%,窒素
25体積%の予混合ガス)を供給される炉内ガス供給域33
の圧力を40±10mmH2O とするのに必要な炉内ガス供給量
に及ぼすシールガス供給量の関係を調査した。結果を図
2にグラフで示す。
【0038】同図に示すように、シール室22へのシール
ガス供給量を増加することにより、炉内ガス供給域33か
らの炉内ガス漏洩量が低減されるため、炉内ガス供給量
を低減することが可能となる。
【0039】また、図2には、炉内ガス中水素濃度に及
ぼすシールガス供給量の関係を、併せてグラフにより示
す。シールガスを過剰に供給すると、シールガスが炉内
ガス供給域33へ向けて拡散し始めるため、炉内水素濃度
が減少してしまう。
【0040】そこで、本実施例では、所定の炉内ガス供
給域33の圧力および水素濃度(70体積%以上)を確保す
るためには、図2にグラフで示すように、シールガス供
給量を35〜55 Nm3/hとすることが望ましく、これによ
り、炉内ガス供給量は、45〜95Nm3/h となる。これに対
し、前述の冷延鋼帯に対して図5に示すシール装置を用
いると、炉内ガス供給域の圧力である炉内圧を40±10mm
H2O とするのには、炉内ガス供給量は約150 Nm3/h 必要
であった。
【0041】したがって、本実施例により、連続焼鈍炉
のランニングコストのうちの多くを占める水素ガス使用
量を低減することが可能となる。また、本実施例によ
り、連続焼鈍炉の炉内ガス供給量を低減できるために炉
内ガス量の変動を抑制でき、これにより水素ガス量の変
動が抑制されるために、通板される鋼帯40の表面美麗度
を安定させて操業を行うことができる。
【0042】(実施例2)図1に示す本発明のシール装置
20を用いて、板幅600 mm×板厚0.3 mm,板幅600 mm×板
厚3mm,板幅1300mm×板厚0.3 mm,板幅1300mm×板厚3
mmの4種の冷延鋼帯に連続焼鈍を行った場合について、
冷延鋼帯のスリ疵発生率と、シールロール間隙率との関
係を調査した。結果を図3にグラフで示す。
【0043】図3に示すグラフから、スリ疵発生率は、
シールロール間隙率が増加するにしたがって減少し、ロ
ール間隙率が100 %以上では殆どスリ疵は発生しなくな
る。本実施形態のシール装置20では、ロール間隙率:10
0 %以上、すなわち鋼帯の板厚よりも大きな距離だけ離
間して配置されることが有効である。
【0044】
【変形形態】各実施形態では、シールロールとして、外
周面に弾性体をライニングした金属ロールを用いたが、
本発明にかかる連続焼鈍炉のシール装置はこのような形
態に限定されるものではなく、ライニングを行わない金
属ロールも等しく適用することができる。
【0045】また、実施形態では、シール室を、じゃま
板により仕切ることにより連続焼鈍炉の炉体内部に形成
したが、これに限定されるものではない。例えば、連続
焼鈍炉の炉体外部に連続焼鈍炉に連通させて形成しても
よい。この場合、炉内ガス供給域は、連続焼鈍炉の炉体
全部である。
【0046】また、各実施形態では、シールロールを連
続焼鈍炉の炉体外部に設置したが、本発明にかかる連続
焼鈍炉のシール装置はこのような形態に限定されるもの
ではなく、炉体内部に設置してもよい。いずれにして
も、シールロールが形成する空間が連通されるシール室
が、連続焼鈍炉の炉内ガス供給域に連通して配置される
ものは、連続焼鈍炉の炉体に対するシールロール,シー
ル室の設置位置に関係なく、本発明に包含される。
【0047】また、各実施形態では、金属体として鋼帯
を用いたが、本発明にかかる連続焼鈍炉のシール装置は
このような形態に限定されるものではなく、例えばAl帯
であってもよい。
【0048】さらに、各実施形態では、本発明にかかる
連続焼鈍炉のシール装置を、連続焼鈍炉の出口部に設置
したが、本発明にかかる連続焼鈍炉のシール装置はこの
ような形態に限定されるものではなく、入口部にも等し
く適用される。
【0049】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明にか
かる連続焼鈍炉のシール装置により、連続焼鈍炉を通板
する金属帯の表面に発生するスリ疵を解消することが可
能となった。
【0050】また、本発明にかかる連続焼鈍炉のシール
装置によれば、シールロールが金属帯に非接触または
軽接触するために金属帯エッジによる弾性ロール表面へ
のエッジ疵が解消されて、シールロールの寿命を延長で
きること、シールロールが金属帯に非接触または軽接
触するために通板中の金属帯の蛇行の修正が容易となる
こと、水素を多量に含む高価な炉内ガスの供給量を低
減できるために連続焼鈍炉のランニングコストが低減で
きること、水素を多量に含む炉内ガスの供給量を低減
できるために炉内水素濃度を高精度に制御すること等
が、いずれも可能となった。かかる効果を有する本発明
の意義は、極めて著しい。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態のシール装置を、鋼帯の連続焼鈍炉の
出口部に適用した状況を一部透視状態で示す略式斜視図
である。
【図2】実施例1の結果を示すグラフである。
【図3】実施例2の結果を示すグラフである。
【図4】連続焼鈍炉の一例を示す断面図である。
【図5】連続焼鈍炉の出口部シール装置の従来例を示す
断面図である。
【符号の説明】
20 シール装置 21 シールロール 22 シール室 23 間隙 26 空間 30 連続焼鈍炉 31 炉体 31a 出口部 33 炉内ガス供給域 40 鋼帯
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 内山 栄一郎 茨城県鹿嶋市大字光3番地 住友金属工業 株式会社鹿島製鉄所内 (72)発明者 永田 真人 大阪市西区京町堀2丁目4番7号 中外炉 工業株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 連続焼鈍炉の入口部近傍または出口部近
    傍に設置される一対のシールロールと、一対の前記シー
    ルロールにより形成される空間と前記連続焼鈍炉の炉内
    ガスが供給される炉内ガス供給域とに連通して配置され
    るシール室とを備える連続焼鈍炉のシール装置であっ
    て、一対の前記シールロールは、前記連続焼鈍炉に通板
    される金属帯の板厚よりも大きな距離だけ離間して配置
    されるとともに、前記シール室には、前記炉内ガスより
    もシール性が優れるシールガスが供給されることを特徴
    とする連続焼鈍炉のシール装置。
JP8673197A 1997-04-04 1997-04-04 連続焼鈍炉のシール装置 Pending JPH10280053A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8673197A JPH10280053A (ja) 1997-04-04 1997-04-04 連続焼鈍炉のシール装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8673197A JPH10280053A (ja) 1997-04-04 1997-04-04 連続焼鈍炉のシール装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH10280053A true JPH10280053A (ja) 1998-10-20

Family

ID=13894999

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP8673197A Pending JPH10280053A (ja) 1997-04-04 1997-04-04 連続焼鈍炉のシール装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH10280053A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0995807A1 (en) * 1998-10-23 2000-04-26 Kawasaki Steel Corporation Sealing apparatus in continuous heat-treatment furnace and sealing method
JP2002194446A (ja) * 2000-12-21 2002-07-10 Daido Steel Co Ltd ストリップ連続処理炉におけるシールロールの挟圧力制御方法
JP2011106013A (ja) * 2009-11-20 2011-06-02 Sumitomo Metal Ind Ltd 非接触シール装置および連続熱処理炉

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0995807A1 (en) * 1998-10-23 2000-04-26 Kawasaki Steel Corporation Sealing apparatus in continuous heat-treatment furnace and sealing method
KR100609242B1 (ko) * 1998-10-23 2006-08-04 제이에프이 엔지니어링 가부시키가이샤 연속 열처리로의 시일 롤 장치 및 시일 방법
JP2002194446A (ja) * 2000-12-21 2002-07-10 Daido Steel Co Ltd ストリップ連続処理炉におけるシールロールの挟圧力制御方法
JP4635337B2 (ja) * 2000-12-21 2011-02-23 大同特殊鋼株式会社 ストリップ連続処理炉におけるシールロールの挟圧力制御方法
JP2011106013A (ja) * 2009-11-20 2011-06-02 Sumitomo Metal Ind Ltd 非接触シール装置および連続熱処理炉

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP1408126B1 (en) Continuous heat treatment furnace
US8769994B2 (en) Annealing apparatus and method for float glass
US8641841B2 (en) Continuous heat treatment furnace and utilizing the same, metal tube and heat treatment method
JPH10280053A (ja) 連続焼鈍炉のシール装置
US5769629A (en) Sealing apparatus for inlet/outlet of atmosphere heat treatment furnace
JPH10226824A (ja) 光輝焼鈍炉における入側シール方法及び装置
US3531334A (en) Quench system
JP3572983B2 (ja) 連続熱処理炉ならびに連続熱処理炉における冷却方法
JP2974889B2 (ja) 雰囲気炉の非接触式シール装置
JPH03253518A (ja) 帯状材料の雰囲気処理におけるシール方法
JP2000192151A (ja) 連続熱処理炉のシ―ルロ―ル装置及びシ―ル方法
JP2005060738A (ja) 雰囲気ガスのシール方法およびシール装置
JPS624836A (ja) 帯状材の浮揚支持装置
JP2933813B2 (ja) 金属帯の連続ガス浸炭炉
JP2886040B2 (ja) 雰囲気炉の非接触式シール装置
JPH0860253A (ja) 連続焼鈍炉における雰囲気流れ制御方法
JPH0465128B2 (ja)
JP5508036B2 (ja) 連続式光輝焼鈍方法
JPH06336671A (ja) 金属帯の連続浸炭炉
JPH0610064A (ja) 非接触搬送装置
JPH10298667A (ja) 連続式鋼帯熱処理炉のシール装置
JPH07138652A (ja) 連続焼鈍炉の炉内雰囲気調整方法
JPH08257623A (ja) 厚鋼板の冷却方法
JPH0463125B2 (ja)
JP2829148B2 (ja) 連続焼鈍炉における雰囲気流れ制御装置および制御方法

Legal Events

Date Code Title Description
A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20010424