JPH10276598A - 浮きプランター及びその固定方法 - Google Patents

浮きプランター及びその固定方法

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JPH10276598A
JPH10276598A JP9090714A JP9071497A JPH10276598A JP H10276598 A JPH10276598 A JP H10276598A JP 9090714 A JP9090714 A JP 9090714A JP 9071497 A JP9071497 A JP 9071497A JP H10276598 A JPH10276598 A JP H10276598A
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floating
planter
water
frame
floating planter
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JP9090714A
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Kazuhiko Kitagawa
一彦 北川
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    • Y02P60/216

Landscapes

  • Cultivation Receptacles Or Flower-Pots, Or Pots For Seedlings (AREA)
  • Hydroponics (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ほぼ垂直の壁からなる護岸部において、生態
系が守られ自然景観が向上される浮きプランター及びそ
の固定方法を提供することである。 【解決手段】 ほぼ垂直の壁16に沿って上下にスライ
ド自在に係留された浮きプランター10を構成した。ま
た、少なくとも植生基盤26とフロート20と通水性の
底部を備えた枠体22とから浮きプランター10を構成
した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、植物を栽培するプ
ランターを水上に浮揚させて用いる浮きプランターとそ
の固定方法に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】従来、河川の護岸に関
しては、水害の発生を防止するという目的だけが重視さ
れてきたが、近年、生活のゆとりや潤い等の質的な豊か
さが求められることに伴って、多自然的な川作りの重要
性が認識されるようになった。特に、護岸工事に伴う自
然景観の保全と生態系の維持は重要な課題であり、種々
の試みがなされてきた。中でも、土留擁壁的に用いられ
るコンクリート壁や鋼矢板壁による護岸は垂直又は垂直
に近い壁となるため、上記課題が特に顕在化しその解決
が強く望まれている。
【0003】鋼矢板を用いた護岸工法は、治山・治水分
野、港湾分野、建築分野等々に幅広く用いられていて次
のような利点がある。すなわち、鋼矢板は工場で生産さ
れ機械化施工が可能なため、現場作業が省力化され急速
施工ができる。また、鋼矢板護岸は根入れ式構造である
ため、耐洗掘性が高く軟弱地盤での適応性が高い。さら
に、鋼矢板の壁体断面が薄いため、せまい河川用地にお
いても必要な河積断面が得やすい、等々の利点がある。
【0004】しかしながら、鋼矢板を用いた護岸、特に
直立型護岸の景観は、無機質的な垂直壁面からなってい
ていかにも人工的であり、訪れる人に潤いを与えるもの
ではない。また、鋼矢板によって陸域と水域とが不連続
になって水深が急に深くなるため、根は水底に存在し、
茎や葉を高く水上に伸ばす浅水に生活する植物である抽
水植物の生育が阻害される。その結果として、水生昆虫
や幼稚魚の生育場が失われ、食物連鎖の上位に位置する
魚類や鳥類等の減少を引き起こすという問題もあり、し
かも抽水植物による水質浄化も期待できなくなる。すな
わち、従来の鋼矢板護岸工法には、景観上及び生態系上
の、解決しなければならない幾つかの問題があった。
【0005】これに対し、景観や生態系に配慮した護岸
も、近年多く築造されるようになってきた。例えば、鋼
矢板護岸の前面に自然石を置くことも試みられている
が、比較的水位の低い場所にしか施工できないという限
界がある。あるいは、護岸壁面に植生用プランターを固
定する試みもあるが、干満の影響を受けて水位が変動す
る河口近くや、雨水による水位変動が激しい場所では、
次のようなトラブルが発生するため施工できない。すな
わち、水位の上昇によって植生用プランターが冠水する
と、プランターに植えられた植物が水流によって倒れた
り、流されてきたゴミが引っ掛かったりして、景観が著
しく損なわれてしまう。あるいは、その結果枯れてしま
うこともある。また逆に、水位が下がって植生用プラン
ターが水面から離れてしまうと、プランターに水が供給
されなくなるので植えられた植物が枯れてしまう。
【0006】水位の変動に対しては、植生用プランター
を浮き島構造とすることも考えられてきた。例えばフロ
ート等を用いて水面に浮かぶ構造とし、アンカーを投錨
して川床等に連結すれば、水位の変動に追随して常に水
面近くに位置することができるので、上述した幾つかの
トラブルの発生は防止できる。しかしながら、鋼矢板護
岸工法がもっとも適する河川、すなわち、幅が比較的狭
く、深さが比較的深い河川においては、浮き島構造とす
ることに次のような問題がある。まず、アンカーを投錨
しても、比較的深い河川はヘドロ等の堆積物が多くアン
カーが効果的に機能しない。したがって、アンカーその
ものが移動してしまうことがあり、所定の位置を保持で
きないことがある。次に、仮にアンカーが固定されてい
ても、アンカーに繋がれた係留索は水位の上下変動に対
応するため当然長めに設定されており、浮島自体の移動
範囲が拡大する原因となるのであるが、河川の幅が比較
的狭い場合には河川の中央部近くまで移動してしまうこ
とがある。その結果、植生用プランターを岸壁に近い位
置に設置して、無機質的な岸壁の景観を改善する目的を
十分に果たせないことになる。したがって、鋼矢板護岸
工法と浮き島構造の植生プランターとを組み合わせて自
然型護岸に近づける試みも,十分な対策にはなっていな
い。
【0007】そこで本発明者は、鋼矢板等による、ほぼ
垂直な壁からなる護岸部において、生態系が守られ、自
然景観が向上されるための、浮きプランター及びその固
定方法について鋭意検討した結果、本発明に至ったので
ある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するため、次の手段を取るものである。すなわち、本
発明の浮きプランターの要旨とするところは、水上に浮
揚し得るとともに植物を生育させ得る浮きプランターが
ほぼ垂直な壁に沿って上下にスライド自在に係留されて
いることにある。
【0009】また、この浮きプランターにおいて、少な
くとも枠体と、該枠体内に配設され、植物の生育に必要
な基盤となる植生基盤と、該枠体と植生基盤とを水上に
浮揚させるフロートとからなることにある。更に、かか
る浮きプランターにおいて、前記枠体が、網状の金属シ
ートからなることにあり、また、前記ほぼ垂直な壁が、
鋼矢板からなることにある。
【0010】次に、本発明に係る浮きプランタの固定方
法の要旨とするところは、水上に浮揚し得るとともに植
物を生育させ得る浮きプランターが水位の変動に応じて
ほぼ垂直な壁に沿って上下動するように係留されること
にある。
【0011】
【発明の実施の形態】次に、本発明に係る浮きプランタ
ー及びその固定方法の実施の形態を図面に基づいて詳し
く説明する。
【0012】図1は本発明に係わる浮きプランターの一
例を説明するものである。浮きプランター10はその底
部に備えられたフロート(図示されてない)によって水
12に浮かせて用いられ、この浮きプランター10はほ
ぼ垂直な壁面16に沿って上下方向に設けられたガイド
18と、浮きプランター10に設けられたスライダー1
4とによって、壁面16に係留されている。棒状のガイ
ド18がリング状のスライダー14を緩やかに貫通して
いるため、水位の変動によって浮きプランター10が上
下動するのに伴い、スライダー14はガイド18に沿っ
て上下にスライドする。したがって、水位が激しく変動
しても、浮きプランター10は常に水面12に浮揚して
安定した状態で壁面16に係留されている。
【0013】浮きプランター10は、より具体的に図2
及び図3に示すように、少なくとも枠体22と、その枠
体22内に配設され、植物24の生育に必要な基盤とな
る植生基盤26(図2(b) 参照)と、これら枠体22と
植生基盤26とを水12に浮揚させるフロート20とか
ら構成される。そして、この浮きプランター10は、ほ
ぼ垂直な壁面16に沿って上下方向に設けられたガイド
18と、浮きプランター10に設けられたスライダー1
4とによって、壁面16に係留されている。
【0014】枠体22は比較的剛性の高い材料にて製造
されるのが好ましく、たとえばエキスパンドメタルやパ
ンチングメタル、あるいは溶接金網などの透水性を有す
る素材が用いられる。枠体22はこれらの素材により容
器状に形成されて、その枠体22の底部の適切な箇所に
フロート20が配設される。フロート20は発泡スチロ
ールなどの発泡体やセル状に形成された空気袋などの水
に浮揚する浮揚体が用いられる。フロート20は、枠体
22の中に入れられる植生基盤26の量を充分多くしつ
つ、これらから成る浮きプランター10を安定して浮か
せるために、特に浮力の大きいものが好ましく、極力小
さい体積で浮力の大きいものが好ましい。このフロート
20は枠体22と分離して浮き上がらないように、止め
具などを用いて固定されている。また、植生基盤26は
植物24を固定し、生育させるのに適切なものであれば
何でも良く、特に耐腐食性を有するものであるのが好ま
しい。この植生基盤26を構成する素材は1種又は2種
以上から構成され、特に枠体22に面する箇所などは、
その枠体22の開口部から植生基盤26を構成する素材
が水中に流出しないものが好ましい。
【0015】このような構成に係る浮きプランター10
には、枠体22の1又は複数箇所にリング状などの形状
をしたスライダー14が設けられる一方、この浮きプラ
ンター10が配設されるほぼ垂直な壁面16には、その
壁面16に沿って上下方向にガイド18が設けられる。
そして、このガイド18にスライダー14がスライド可
能に係合させられて、浮きプランター10は壁面16に
係留される。このガイド18は棒状部材の一端がL字状
に曲げられ、その端部が壁面16に固定され、棒状部材
の他端は水面下に充分な長さで延び出させられている。
ガイド18の前記一端は、壁面16が金属部材から成る
場合は溶接などによって固定され、コンクリートなどか
ら成る場合は埋設固定されるのが好ましい。また、ガイ
ド18の他端は、水面が予想される最低の水位にまで下
がったとしても、そのガイド18からスライダー14が
抜け出ない長さであるのが好ましい。
【0016】以上の構成に係る浮きプランター10は、
たとえば都会を流れる河川のうち護岸がほぼ垂直に改修
された河川などに用いられ、予め植生基盤26に植物2
4を植え付けて準備したものが水12に浮かべられる。
一方、護岸の壁面16にガイド18を適切な間隔と位置
に取り付けておき、浮きプランター10の枠体22とガ
イド18との間をスライダー14により係合させる。ス
ライダー14はガイド18に沿ってスライドさせられる
ため、水面12に浮かべられた浮きプランター10は河
川の水位に応じて上下することになる。また、浮きプラ
ンター10は河川の流れに対してはガイド18に固定さ
れているため、流されることはない。そして、浮きプラ
ンター10の植生基盤26に植えられた植物24は河川
からの水や栄養によって成育し、緑化により河川の美観
を向上させることができると同時に、葦などの水生植物
を植えることにより水質の浄化も達成できる。
【0017】以上、本発明に係る浮きプランターの一実
施の形態について説明したが、この浮きプランターの形
状や構造などは上述したものに限定されるものではな
く、水面に浮く構造であり、植物を植生し又は収容可能
であれば良い。
【0018】例えば、図4(a)に示される浮きプラン
ター10は、フロート20と枠体22とから構成され、
収容部24にポットや鉢に植えられた植物を収容して用
いられる。また、図4(b)に示される浮きプランター
10は、植生基盤26によって植物を直接植生するよう
に用いられる。
【0019】ここで、枠体22は、剛性の高い材料から
なり、浮きプランター10の形状を形成・維持するもの
である。鉄やアルミニュウム等の金属、木材や竹等の天
然有機材料、プラスチック等々を用いることができる。
少なくとも枠体22の底部は通水可能とし、河川の水が
吸い上げられて植生された植物へ給水されるようにす
る。木材や竹等は腐りやすく耐久性に問題はあるが、軽
量のためフロート20を小型にできるメリットがある。
プラスチックは破損しやすいが、比較的軽量で耐水性に
優れ、成形しやすい長所がある。枠体22を発泡体で形
成し、あるいは発泡体と金属との複合材で形成すること
も可能であり、この場合においても、少なくとも底部は
通水可能に形成される。金属は、一般的に重い材料であ
るが、溶接金網やエキスパンドメタルのように網状シー
トに加工して用いれば、重さを軽減することができる
し、良好な通水性を確保することもできる。なお、腐食
性を有する金属を用いる場合は、表面にメッキや樹脂被
膜などを施す処理などによって、耐腐食性を付与するの
は言うまでもない。
【0020】フロート20の材質は、比重が1より小さ
ければよく特に限定されない。木材、各種材料の発泡体
や中空体を用いることができる。ポリスチレン、ポリ塩
化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン等々の発泡体
は、成形性や耐久性に優れて低価格であり、本発明の浮
きプランター10に用いるフロート20の材料として特
に好ましいものである。
【0021】植生基盤26もまた特に限定されない。植
生する植物に適した基盤が選定される。多孔質の植生基
盤は、比重が小さいためフロート20の負担を軽減する
ことになるし、植物が根を張りやすく微小生物が生息し
やすいので好ましい材料である。軽石やバーミュライト
のような多孔質粒体、ロックウールのような無機繊維、
各種の天然繊維や合成繊維を用いることができるが、ヤ
シ繊維のように比較的太い天然繊維からなる植生基盤2
6には、適当な径の孔や間隙があり、好ましい材料であ
る。
【0022】棒状のガイド18は壁面16に沿ってほぼ
垂直に設けられる。耐蝕性、耐久性に優れた材料が用い
られる。必要ならばメッキや塗装によって耐久性を向上
させる。その長さは水位変動の範囲より長くしなければ
ならない。またその太さは、浮きプランター10が受け
る各種の力、すなわち、水流による力や風による力に十
分耐えられるように設計される。
【0023】スライダー14に設けられるリングの大き
さは、ガイド18の直径より十分大きくして、上下にス
ムーズにスライドできるようにする。形状は必ずしもリ
ング状に限らない。ガイド18が外れない形状であれば
よく、フック状であってもよい。また、スライダー14
は、浮きプランター10から突起状に設けられることに
限定されない。浮きプランター10の縁部に貫通孔設け
てスライダー14として機能させることもできる。スラ
イダー14は、少なくとも、1個の浮きプランター10
に1個設けられるのが好ましい。浮きプランター10の
使用方法によっては、必ずしも全てのスライダー14が
ガイド18と連結されるわけではないが、製品としての
汎用性を高めるためである。
【0024】ほぼ垂直な壁に沿って上下にスライドさせ
るには、図1に示されるように壁面に棒状ガイド18を
設け、浮きプランター10にスライダー14を設けるの
が好ましいが、特別な理由があれば、壁面にスライダー
14を設け、浮きプランター10に棒状ガイド18を設
けることもできる。
【0025】本発明の浮きプランター10は次のように
して使用される。例えば、植生作業や鉢物等の収容作業
を地上で行ってから河川に移動し、壁面16に設けられ
たガイド18にスライダー14を連結して係留させる。
あるいはまた、すでに壁面16に係留されている浮きプ
ランター10に、植生したりしたり鉢物等を収容したり
することもできる。植生又は収容された植物の成育状態
が悪いときには、適時、植え替えや植物の補充をしなけ
ればならない。また、植物の成育状態あるいは土砂の堆
積状態等によって、浮き深さの調整が必要な時には、フ
ロートやバランサーを加減することによって浮力を調整
できる。例えば、図5に示されるようなコの字形のバラ
ンサー29を用いれば、浮きプランター10の上方から
抜き差しできるので作業が容易であり、植生基盤26に
突き刺すことができるので抜け落ちることもない。
【0026】植生される植物の種類は特に限定されない
が、元々その土地に成育していて、その土地の自然環境
に適したものが好ましい。また、水辺の景観を構成する
植物として、水生植物が好ましく、カキツバタ、ガマ
類、キショウブ、コウホネ類、サンカクイ、ショウブ、
マコモ、ミツガシワ、ヨシ等々が特に好ましい。植生す
る植物に適した湿潤状態が保たれ、かつ、根茎が十分伸
長できるように、枠体22の通水性や開口比率が定めら
れる。特に生態系を維持したい時や水質の浄化を目的と
する時は、根茎が成長して水中に露出・伸長できるよう
に、適切な植物の種類を選定し枠体22を設計する。
【0027】通常、浮きプランター10は列状に並べて
使用される。例えば、図6は連続的に並べた使用例を示
し、図7は間欠的に並べた使用例を示している。同図6
に示すように、連続的に並べる場合には、浮きプランタ
ー10同志を横に連結することによって、係留状態にす
るのが安定し景観が向上する効果が得られる。また、全
ての浮きプランター10について、スライダー14をガ
イド18に連結する必要がなくなり、幾つかの浮きプラ
ンター10についてだけ連結すればよい。浮きプランタ
ー10同志を横に連結する方法は、隣接する枠体22同
志をワイヤーやその他の金具を用いて接続したり、隣接
する浮きプランター10の植生基盤26の中にU字状の
金具をそれぞれに跨がって差し込んで接続したり、ある
いは枠体22の所定箇所に連結用の金具を設けておき、
その金具で接続するなど、連結方法は特に限定されな
い。
【0028】次に、図8に示すように、この浮きプラン
ター10は、2個のフロート20が浮きプランター10
の底部に配設され、通しボルト34によって枠体22に
固定されている。植生基盤26はフロート20を埋める
ように浮きプランター10の底部まで詰められているの
で、底部から通水する河川水は植生基盤26を充分に湿
潤させることができる。また、底部に設けた通水部の開
口率を大きくすれば、成長した植物の根茎は底部を貫通
して水中まで伸長することが出来るので、微小生物の成
育場所となったり、その濾過機能によって河川水の浄化
に役立つこともできる。枠体22は長方形に形成され、
壁面16(図示されてない)又は隣接する浮きプランタ
ー10(図示されてない)と密接に接続可能に構成され
ている。また、枠体22の底部は通水性を備え、上部は
開放されている。開放された植生基盤26の上面は、植
生基盤26の流出を防止するため、必要に応じて、網状
体やシート等々によって覆うことができる。
【0029】本例の浮きプランター10によれば、壁面
16に密接して係留され、周囲景観にふさわしい植物が
植生されるので、全体の景観は著しく向上する。また、
剛性の高い枠体22によって保護されているので、速い
水流によっても、または多少の衝突物があっても破損す
ることはない。
【0030】図9(a) 乃至(e) はいずれも、フロート2
0の形状に関し実施形態の数例を示しているが、植生さ
れる植物の根茎に必要な植生基盤26の深さ、必要な通
水量、景観への影響等々を勘案して適切な形状が選択さ
れる。一般的に言えば、浮き状態を安定させるには、重
心を低くし浮力の中心を高くするとよい。種々の制約が
ある中で、出来るかぎりこの考え方を取り入れて実施形
態が決定される。
【0031】また、枠体22の材料は、浮きプランター
が生態系の維持と水質浄化機能及び自然景観の向上を目
的とすることに鑑みて選定されるのが好ましい。溶接金
網やエキスパンドメタルのような網状金属シートを用い
ることによる特別の効果は、枠体として必要な剛性を損
なうことなく大きな開口率が得られることにある。これ
らの材料で形成された枠体22は、底部だけでなく側面
も広く開口しているので、植生された植物の根茎は、浮
きプランター10の水面下の四方に伸長し、微小生物の
良好な成育場所を提供することになる。また、食物連鎖
の結果として魚類や鳥類が生殖するようになる。水中に
伸びた根茎は、水に溶けている各種の有害成分を吸収す
る生物学的な浄化作用と、フィルター機能による物理的
な浄化作用によって、河川の水質向上に寄与することが
できる。さらにまた、側面の開口部から芽を出し成長す
る植物によって、枠体22が覆い隠されてしまうので、
自然的景観がさらに向上する効果が得られる。必要な
ら、網状金属シートにメッキや樹脂コーティングを行
い、耐久性を高めることができる。
【0032】次に、浮きプランター10が水位の変化に
応じてスムーズに上下移動するようにするには、ほぼ垂
直な壁面16を鋼矢板で構成するのが好ましい。また、
鋼矢板で構成された壁面16は一般に美観や植物などに
よる水質浄化の点で劣ることから、本発明に係る浮きプ
ランター10を配設して、美観と水質浄化の向上を図る
のが好ましい。鋼矢板は、図10(a)に示されるU形
鋼矢板38、同図(b)に示されるZ形鋼矢板40の
他、組み合わせ鋼矢板や直線形鋼矢板などを用いること
ができ、いずれも市販されているものを用いることがで
きる。
【0033】図11は、鋼矢板からなる壁面16と浮き
プランター10との位置関係を平面図で示したものであ
るが、浮きプランター10に設けられた突起部30が壁
面16に形成された溝32と係合して、上下動に対する
ガイドとして機能させることができる。その結果、ガイ
ド18とスライダー14との連結数を減らすことができ
る。また、突起部30と溝32との係合によって壁面1
6に沿った横方向の動きが規制されるため、動きの少な
い、安定な係留状態が得られる。
【0034】以上、説明したように、水位が変動して
も、常に水面に浮いた状態で河川の壁面に係留されてい
れば、冠水や干上がりによる被害を受けることはなく、
良好な植生状態を守ることができ、優れた景観と生態系
を維持することができる。ほぼ垂直方向に伸びたスライ
ドガイドとスライダーとの組み合わせによって係留すれ
ば、水位の変動に応じて、浮きプランターはスムーズに
上下動できる。スライドガイドを浮きプランターに設け
スライダーを壁面に設けることもできるが、上下動の幅
が大きい場合には、スライドガイドを壁面に設け、スラ
イダーに浮きプランターを設けるのがよい。
【0035】その他、本発明はその趣旨を逸脱しない範
囲内で、護岸壁面の形状や種類、浮きプランターの形
状、フロートや枠体の形状や材質、植生基盤の種類等々
につき、当業者の知識に基づき種々なる改良、修正、変
形を加えた態様で実施し得るものである。
【0036】本発明の実施例を、以下に詳しく説明す
る。
【0037】第1の実施例図2及び図3に示されるのと
同様の浮きプランター10を製作した。エキスパンドメ
タルによって作成された枠体22の大きさは、幅300
0mm、奥行き800mm、深さ250mmであった。
また、発泡ポリスチレンからなる2個のフロート20の
それぞれは、幅500mm、奥行き710mm、高さ1
50mmであり、M12の通しボルト34を用いて枠体
22に固定した。ヤシ繊維からなる植生基盤26は、フ
ロート20を覆って枠体22の上面まで一杯に詰めた。
枠体22の上端に設けたスライダー14は内径30mm
の鉄製のリングである。
【0038】本例の浮きプランター10に葦の根茎を植
え込み、川幅9mの水路の、鋼矢板からなる護岸壁に係
留した。護岸壁には、ほぼ垂直に立てられて上方に抜き
外し自在の、直径20mmの鉄製の棒状ガイドを300
0mmピッチで設けた。浮きプランター10は、図6に
示されるように連続的に並べられ、連結具36によって
互いに繋いだ。スライダー14にガイド18を通すこと
によって護岸壁に連結・係留させたが、3個の浮きプラ
ンター10当たり1個のスライダー14を連結させる、
すなわち、9m当たり1個を連結するだけで安定した係
留状態を得ることができた。葦が成長して根茎が十分伸
長するまで、植生基盤のヤシ繊維が流出しないように、
植生基盤26の上面には薄い不織布を被せてロープで枠
体22に固定した。
【0039】3月に植生されて係留された浮きプランタ
ー10には、6月になると、葦が約2mの高さにまで成
長し、雑草も加わって見事なグリーンベルトを形成し
て、鋼矢板からなる護岸壁と良く調和して優れた景観を
提供することができた。
【0040】
【発明の効果】本発明の浮きプランター及びその固定方
法によれば、水位が変動しても浮き状態で安定に係留さ
れるので、植生された植物が冠水したり干上がったりす
ることがなく植物が順調に成長する。その結果、自然的
景観が向上し、生態系の維持が可能となり、水質が向上
する効果が得られる。
【0041】また、浮きプランターを植生基盤とフロー
トと枠体とから構成することにより、さらに優れた景観
と安定な係留状態を得ることができるし、枠体を網状の
金属シートで形成することによって植物が成長しやすく
なり、景観と水質浄化機能がいっそう向上する。さらに
また、鋼矢板からなる護岸壁に係留すれば水位変動に伴
う上下動がスムーズとなり、より安定した係留状態が得
られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる浮きプランターの実施形態の一
例を説明する斜視図である。
【図2】本発明に係わる浮きプランターの他の実施形態
を示す説明図であり、同図(a)は平面図、同図(b) は側
面断面図である。
【図3】図2に示す浮きプランターの正面説明図であ
る。
【図4】本発明に係わる浮きプランターの例を説明する
断面図であり、同図(a)鉢物収容タイプ、同図(b)
は枠体使用植生タイプである。
【図5】本発明に係わり、浮力調整用バランサーの一例
を示す斜視図である。
【図6】本発明に係わる浮きプランターの他の実施形態
を示す斜視図である。
【図7】本発明に係わる浮きプランターの他の実施形態
を示す斜視図である。
【図8】本発明に係わる浮きプランターの他の一例を説
明する図であり、同図(a)は平面図,同図(b)はA
−A断面図,同図(c)はB−B断面図である。
【図9】本発明に係わり、フロートの実施形態の例を示
す断面図であり、同図(a)は中央凸型、同図(b)は
中央台形型,同図(c)及び同図(d)は両側面型、同
図(e)は箱型である。
【図10】本発明に係わり、鋼矢板の例を示す模式図で
あり、同図(a)はU形鋼矢板、同図(b)はZ形鋼矢
板を示す。
【図11】本発明に係わり、鋼矢板からなる護岸壁と浮
きプランターとの連結状態を説明する模式図である。
【符号の説明】
10:浮きプランター 12:水面 14:スライダー 16:壁面 18:ガイド 20:フロート 22:枠体 24:収容部 26:植生基盤 29:バランサー 30:突起部 32:溝 34:通しボルト 36:連結具

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水上に浮揚し得るとともに植物を生育さ
    せ得る浮きプランターがほぼ垂直な壁に沿って上下にス
    ライド自在に係留されていることを特徴とする浮きプラ
    ンター。
  2. 【請求項2】 少なくとも枠体と、該枠体内に配設さ
    れ、植物の生育に必要な基盤となる植生基盤と、該枠体
    と植生基盤とを水に浮揚させるフロートとからなること
    を特徴とする前記請求項1に記載の浮きプランター。
  3. 【請求項3】 前記枠体が、網状の金属シートからなる
    ことを特徴とする前記請求項1又は2に記載の浮きプラ
    ンター。
  4. 【請求項4】 前記ほぼ垂直な壁が、鋼矢板からなるこ
    とを特徴とする前記請求項1乃至3のいずれかに記載の
    浮きプランター。
  5. 【請求項5】 水上に浮揚し得るとともに植物を生育さ
    せ得る浮きプランターが水位の変動に応じてほぼ垂直な
    壁に沿って上下動するように係留されることを特徴とす
    る浮きプランターの固定方法。
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