JPH10273654A - 耐水性を有する蓄光性蛍光体の製造方法 - Google Patents

耐水性を有する蓄光性蛍光体の製造方法

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JPH10273654A
JPH10273654A JP8111497A JP8111497A JPH10273654A JP H10273654 A JPH10273654 A JP H10273654A JP 8111497 A JP8111497 A JP 8111497A JP 8111497 A JP8111497 A JP 8111497A JP H10273654 A JPH10273654 A JP H10273654A
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米一 平田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 安価かつ確実に耐水性を向上させる耐水性を
有する蓄光性蛍光体を作る。 【解決手段】 アルカリ土類金属酸化物に希土類酸化物
をドープさせてなる蓄光性蛍光体を、リン酸塩と混合ま
たはリン酸塩溶液中で接触させた後、加熱処理する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は耐水性を有する蓄光
性蛍光体の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から用いられていたZnS:Cu等
に変わる蛍光体として、アルカリ土類酸化物に希土類元
素をドープさせた長残光性蛍光体が、既に同一出願人に
よって提供されている。ただこのような長残光性蛍光体
は、耐水性に乏しく、吸湿あるいは吸水等によって蛍光
特性の低下を来していた。
【0003】具体的には、このような長残光蛍光体が水
に触れると、アルカリ土類酸化物が水と反応して水和物
となり、同時にアルカリ性を示すイオンが放出されるこ
ととなる。このような反応によって、長残光蛍光体の蛍
光特性が低下することとなっていた。そこで従来から
も、このような長残光性蛍光体の耐水性を向上させる工
夫がなされてきた。
【0004】従来から、長残光性蛍光体の耐水性を向上
させる方法としては、粒子表面にSi等の無機物質を付
着する方法、または樹脂のようなもので長残光蛍光体表
面を被覆させる方法等が提案されたものの、いずれの場
合もコストがかかる割りにはその効果が満足できるもの
とはなっていなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで発明者は、アル
カリ土類酸化物に希土類元素をドープした長残光蛍光体
のうち、アルカリ土類金属表面をリン酸塩と反応させ、
その表面を水に対して不溶性あるいは難溶性にすること
で、安価かつ確実に耐水性を向上させる耐水性を有する
蓄光性蛍光体の製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】前述した目的を達成する
ために、本発明のうちで請求項1記載の発明は、アルカ
リ土類金属酸化物に希土類酸化物をドープさせてなる蓄
光性蛍光体を、リン酸塩と混合またはリン酸塩溶液中で
接触させた後、加熱処理することを特徴とする。
【0007】ここで、「アルカリ土類金属酸化物」と
は、種々のものを選択することができるが、請求項5記
載のように、金属としてカルシウム、ストロンチウム、
バリウムの1または複数から選択され、酸化物としてア
ルミナを用い、更にカルシウム、ストロンチウム、バリ
ウムの1または複数を含んだものとすることができる。
このようなアルカリ土類金属酸化物を用いると、輝度の
点で優れていることが確認されている。
【0008】また、「希土類元素」も、種々のものを選
択することができるが、請求項6記載のように、ランタ
ノイド系、すなわちLa,Ce,Pr,Nd,Pm、S
m,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Y
b,Luの1または複数から選択することができる。こ
のようなランタノイド系の希土類元素を用いると、輝度
の点で優れていることが確認されている。
【0009】「リン酸塩と混合またはリン酸塩溶液中で
接触させた」とは、具体的には、請求項2記載の発明の
ように長残光蛍光体を乾式で混合する方法、請求項3記
載の発明のようにリン酸塩水溶液中でスラリー状に混合
する方法、及び請求項4記載の発明のようにリン酸溶液
中で攪拌後脱水する方法などが揚げられるが、他の方法
で行うこともできる。
【0010】本発明で使用し得るリン酸塩としてリン酸
水素二アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、リン
酸二水素ナトリウム二水和物、リン酸水素アンモニウム
ナトリウム四水和物、ヘキサメタリン酸ナトリウム等が
あげられるが、これらの塩類以外ではカリウム塩等も使
用することができる。以下に、製造方法を更に詳しく説
明する。
【0011】請求項2記載の発明については、下記の通
りである。長残光性蛍光体に対してリン酸塩、例えばリ
ン酸水素二アンモニウムを1〜100重量%、好ましく
は5〜30重量%用意し、長残光蛍光体とリン酸水素ア
ンモニウムとをポリ袋中または混合機中で15〜60分
程度かけてよく混合する。次いで、長残光性蛍光体とリ
ン酸水素二アンモニウムとの混合物をホーロートレイ等
の耐熱性容器に移し替える。
【0012】その後、あらかじめ設定温度に加熱してあ
る乾燥機中で150℃〜300℃の温度、好ましくは2
00℃〜250℃の温度で0.5hr〜3hr好ましく
は、1.5hr〜2hr加熱する。加熱後、乾燥機から
取り出して、室温中で室温に達するまで放冷する。次い
で、所定のフルイをかけて製品とするが、好ましくは純
水において余剰の不純物を落とした後、乾燥篩別を行っ
て製品とする。請求項3記載の発明については、下記の
通りである。
【0013】長残光性蛍光体に対してリン酸水素二アン
モニウムを1〜100重量%、好ましくは5〜30重量
%をポリ袋中または混合機中で15〜60分程度かけて
よく混合する。次いで、長残光性蛍光体とリン酸水素二
アンモニウムとの混合物に必要量の純水を加えてスラリ
ー状とする。
【0014】その後、乾燥機中で150℃〜300℃の
温度、好ましくは200℃から250℃の温度で0.5
hr〜5hr好ましくは1.5hr〜2.5hr加熱す
る。加熱後、乾燥機から取り出して、室温中で室温に達
するまで放冷する。次いで、所定のフルイをかけて製品
とするが、好ましくは純水において余剰の不純物を落と
した後、乾燥篩別を行って製品とする。請求項4記載の
発明については、下記の通りである。
【0015】リン酸水素二アンモニウムを純水の重量に
対して5〜100%、好ましくは20〜30%を加えよ
く攪拌する。次に、長残光性蛍光体を上記溶液に対して
1〜50重量%、好ましくは20〜30重量%加え攪拌
し脱水濾過する。その後、乾燥機中で150℃〜300
℃の温度、好ましくは200℃〜250℃の温度で0.
5hr〜5hr好ましくは1.5hr〜2.5hr加熱
する。加熱後、乾燥機から取り出して、室温中で室温に
達するまで放冷する。
【0016】次いで、所定のフルイをかけて製品とする
が、好ましくは純水において余剰の不純物を落とした
後、乾燥篩別を行って製品とする。これらの方法で製造
された長残光性蛍光体は、非常に良好な耐水性を示すも
のである。
【0017】
【実施例】以下本発明の実施例を説明する。ここでは、
前述した3種類の具体的製造方法各々について、検証し
てみることとする。 (実施例1)まず最初は、前述した3種類の具体的製造
方法各々について、リン酸塩の量を変化させて実験し
た。
【0018】具体的には下記の通りである。 (実施例1−1)長残光性蛍光体としてのSrAl
24:Eu,Dyに対してリン酸塩としてのリン酸水素
二アンモニウムを、0.5〜100重量%添加したもの
を用意し、これらを混合機、例えばボールミルで30分
間かけてよく混合する。
【0019】次いで、長残光性蛍光体とリン酸水素二ア
ンモニウムとの混合物をホーロートレイ等の耐熱性容器
に移し替える。その後、あらかじめ200℃にしてある
乾燥機中で1.5時間加熱する。次いで、乾燥機から取
り出して、室温に達するまで放冷する。その後、純水に
おいて余剰の不純物を落とした後、乾燥させ、200メ
ッシュスルーのものを試料とした。 (実施例1−2)長残光性蛍光体としてのSrAl
24:Eu,Dyに対してリン酸塩としてのリン酸水素
二アンモニウムを0.5〜100重量%、添加し、混合
機、例えばボールミルで30分間かけてよく混合する。
【0020】次いで、長残光性蛍光体とリン酸水素二ア
ンモニウムとの混合物に純水を加えてスラリー状とす
る。ここで加える純水の量は、長残光蛍光体とリン酸塩
との比によって異なるものの、スラリー状となるのに充
分な量を加えるものである。その後、あらかじめ200
℃にしてある乾燥機中で1.5時間加熱する。次いで、
乾燥機から取り出して、室温に達するまで放冷する。
【0021】その後、純水において余剰の不純物を落と
した後、乾燥させ、200メッシュスルーのものを試料
とした。 (実施例1−3)リン酸塩としてのリン酸水素二アンモ
ニウムを純水の重量に対して1〜100%加え、よく攪
拌する。
【0022】次に、長残光性蛍光体としてのSrAl2
4:Eu,Dyを上記溶液に対して20重量%加え攪
拌し脱水濾過する。その後、あらかじめ200℃にして
ある乾燥機中で1.5時間加熱する。次いで、乾燥機か
ら取り出して、室温に達するまで放冷する。その後、純
水において余剰の不純物を落とした後、乾燥させ、20
0メッシュスルーのものを試料とした。上記実施例1−
1〜1−3までの製造方法によって得られた耐水性を有
する蓄光性蛍光体1gを、10mlの純水に常温で3時
間浸漬させた後のPHを測定した。
【0023】測定結果を表1に示す。
【0024】
【表1】
【0025】ここでPHが10以上となっているもの
は、長残光蛍光体を構成するアルカリ土類酸化物が水と
反応して水和物となり、同時にアルカリ性を示すSrイ
オンが放出されているものである。このような反応によ
って、長残光蛍光体の蛍光特性が低下することが予想さ
れる。一方、純水のPHが6.5〜7程度なので、この
ような純水のPHの範囲内に収まっている値のものは、
アルカリ土類金属と水との反応がないことの証左であ
り、したがって輝度特性の低下もあり得ないものと思わ
れる。
【0026】このような原因としては、リン酸水素二ア
ンモニウムがアンモニアとリンに分解され、その内のリ
ンがアルカリ土類金属と反応してアルカリ土類金属に不
溶性を付加し、水と反応しないようになったものと思わ
れる。なおここでは、リン酸水素二アンモニウムが10
0%までの場合を示した。ただ、実験によると100%
以上でも効果が見られることは確認したものの、経済
性、作業性を考慮して、100%以上の物は例示を省略
した。 (実施例2)次に、前記実施例1−1〜1−3までの製
造方法によって得られた耐水性を有する蓄光性蛍光体の
内、 実施例1−1:リン酸水素二アンモニウム10% 実施例1−2:リン酸水素二アンモニウム 5% 実施例1−3:リン酸水素二アンモニウム20% のものを選択し、それぞれ加熱時間を1.5時間とし、
加熱温度を100℃〜300℃の範囲で変更して耐水性
を有する蓄光性蛍光体を得た。このようにして得られた
耐水性を有する蓄光性蛍光体1gを、10mlの純水に
常温で3時間浸漬させた後のPHを測定した。
【0027】測定結果を表2に示す。
【0028】
【表2】
【0029】この測定結果では、150℃までの加熱温
度では、純水のPHが高くなっている。このことは、1
50℃までの加熱温度では耐水性が付与されず、長残光
蛍光体を構成するアルカリ土類酸化物が水と反応して水
和物となり、同時にアルカリ性を示すSrイオンが放出
されていることの証左である。一方、200℃以上の加
熱温度では、純水のPHが低いままである。このこと
は、200℃以上の加熱温度では耐水性が付与され、長
残光蛍光体を構成するアルカリ土類酸化物と水との反応
がないことの証左である。
【0030】なお、160℃程度の加熱温度であって
も、PHが若干高くなるものの、未処理品に比べると依
然低い状態となっている。このことは、リン酸水素二ア
ンモニウムの分解温度が155℃であることから、この
155℃以上の温度の加熱すると、リン酸水素二アンモ
ニウムがアンモニアとリンに分解され、その内のリンが
アルカリ土類金属と反応して不溶性となることと考えら
れる。
【0031】なおここで、300℃以上の温度であって
もPHを低下させることは可能だが、輝度劣化を引き起
こす可能性があり、更には特別な焼却炉が必要となるこ
とから、生産性において望ましいことではない。ただ、
実験の結果、短時間での処理に関しては、何ら問題なく
PH低下を図ることができた。 (実施例3)前記実施例1−1〜1−3までの製造方法
によって得られた耐水性を有する蓄光性蛍光体の内、 実施例1−1:リン酸水素二アンモニウム10% 実施例1−2:リン酸水素二アンモニウム 5% 実施例1−3:リン酸水素二アンモニウム20% のものを選択し、それぞれ加熱温度を200℃とし、加
熱時間を0.1〜5時間の範囲で変更して耐水性を有す
る蓄光性蛍光体を得た。このようにして得られた耐水性
を有する蓄光性蛍光体1gを、10mlの純水に常温で
3時間浸漬させた後のPHを測定した。
【0032】測定結果を表3に示す。
【0033】
【表3】
【0034】この表から、加熱温度を200℃とした場
合、1時間〜5時間の加熱、望ましくは1.5〜2.5
時間の加熱をすると、PHを低いままに維持できること
がわかる。すなわち上気した時間程度加熱すれば、耐水
性が付与され、長残光蛍光体を構成するアルカリ土類酸
化物と水との反応がないことの証左である。 (実施例4)前記実施例1−1〜1−3までの製造方法
によって得られた耐水性を有する蓄光性蛍光体の内、 実施例1−1:リン酸水素二アンモニウム 5% 実施例1−2:リン酸水素二アンモニウム 5% 実施例1−3:リン酸水素二アンモニウム20% のものを選択し、それぞれ加熱温度を200℃とし、加
熱時間を1.5時間として、耐水性を有する蓄光性蛍光
体を得た。このようにして得られた耐水性を有する蓄光
性蛍光体1gを、10mlの純水に常温で24〜500
時間浸漬させた後のPHを測定した。またこの時、同時
に未処理品、塩ビ樹脂コート品、ESI処理3%品につ
いても測定を行った。
【0035】測定結果を表4に示す。
【0036】
【表4】
【0037】この表から、未処理品は耐水性がなく、塩
ビ樹脂コート品も耐水性に劣っていることがわかった。
更に、ESI処理3%品は、浸漬時間が長くなるのにつ
れて、PHが高くなっていくことがわかった。一方、本
願発明では、耐水時間が長くなっても、PHが純水のP
Hとほとんど変わらないことがわかった。更に、前記実
験によって得られた耐水性を有する蓄光性蛍光体の内
で、1gを、10mlの純水に常温で500時間浸漬さ
せた後に取り出したものを用いて、5〜300分経過後
の輝度の測定を行った。
【0038】ここで輝度の測定にあたたって、純粋中に
浸漬させた蓄光性蛍光体は、いったん純水中から取り出
し、自然乾燥させた後に測定するものである。また輝度
の測定は、400ルックスの光源で蓄光性蛍光体を20
分間照射した後の輝度を、輝度計(株式会社トプコン
製、BM−5)を用いて測定したものである。測定結果
を表5に示す。
【0039】
【表5】
【0040】この表では、浸水させていない蓄光性蛍光
体の輝度を100とし、その輝度との比較で表示した。
本願発明に係わる製造方法で製造した耐水性を有する蓄
光性蛍光体は、未処理品、塩ビ樹脂コート品、ESI処
理3%品に比べて、著しく高い輝度を示していることが
わかった。 (実施例5)次に、前述した実施例4で用いた耐水性を
有する蓄光性蛍光体1gを、40℃の純水100ml中
に24時間浸漬させた後のPHを測定した。
【0041】測定結果を表6に示す。
【0042】
【表6】
【0043】この表から、40℃の純水100ml中に
24時間浸漬させると、10mlの純水に常温で500
時間浸漬させた場合とほぼ同様のPHとなることがわか
った。更に、前記実験によって得られた耐水性を有する
蓄光性蛍光体を用いて、5〜300分経過後の輝度の測
定を行った。
【0044】ここで輝度の測定にあたたって、純粋中に
浸漬させた蓄光性蛍光体は、いったん純水中から取り出
し、自然乾燥させた後に測定するものである。また輝度
の測定は、400ルックスの光源で蓄光性蛍光体を20
分間照射した後の輝度を、輝度計(株式会社トプコン
製、BM−5)を用いて測定したものである。測定結果
を表7に示す。
【0045】
【表7】
【0046】この表では、浸水させていない蓄光性蛍光
体の輝度を100とし、その輝度との比較で表示した。
本願発明に係わる製造方法で製造した耐水性を有する蓄
光性蛍光体は、未処理品、塩ビ樹脂コート品、ESI処
理3%品に比べて、著しく高い輝度を示していることが
わかった。
【0047】更に、PHが低い方が輝度が高くなること
もわかった。またその原因が、リン酸水素二アンモニウ
ムがアンモニアとリンに分解され、その内のリンがアル
カリ土類金属と反応して不溶性となるため、その後水に
反応しないことの証左となっている。 (実施例6)以上の実験は、リン酸塩としてリン酸水素
二アンモニウムを用いた場合を例として説明した。
【0048】次に、リン酸塩として、リン酸二水素アン
モニウム、リン酸二水素ナトリウム二水和物、リン酸水
素アンモニウムナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウ
ムを用いた場合について説明する。長残光性蛍光体とし
てのSrAl24:Eu,Dyをに対して、各リン酸塩
を、5重量%添加したものを用意し、これらを混合機中
で30分間かけてよく混合する。
【0049】次いで、長残光性蛍光体と各リン酸塩との
混合物をホーロートレイ等の耐熱性容器に移し替える。
その後、あらかじめ200℃に加熱した乾燥機中で1.
5hr加熱する。加熱後、乾燥機から取り出して、室温
中で室温に達するまで放冷する。次いで、純水において
余剰の不純物を落とした後、乾燥させ、200メッシュ
スルーのものを試料とした。このようにして得られた耐
水性を有する蓄光性蛍光体1gを、40℃の純水100
ml中に24時間浸漬させた後のPHを測定した。
【0050】測定結果を表8に示す。
【0051】
【表8】
【0052】ここでは、リン酸二水素アンモニウム、リ
ン酸二水素ナトリウム二水和物、リン酸水素アンモニウ
ムナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウムの順に、P
Hが高くなっていることがわかる。ただ各試料は、いず
れも未処理品、塩ビ樹脂コート品、ESI処理3%品に
比べるとPHが低くなっていることがわかる。次に、前
記実験によって得られた耐水性を有する蓄光性蛍光体を
用いて、5〜300分経過後の輝度の測定を行った。
【0053】ここで輝度の測定にあたたって、純粋中に
浸漬させた蓄光性蛍光体は、いったん純水中から取り出
し、自然乾燥させた後に測定するものである。また輝度
の測定は、400ルックスの光源で蓄光性蛍光体を20
分間照射した後の輝度を、輝度計(株式会社トプコン
製、BM−5)を用いて測定したものである。測定結果
を表9に示す。
【0054】
【表9】
【0055】この表では、浸水させていない蓄光性蛍光
体の輝度を100とし、その輝度との比較で表示した。
本願発明に係わる製造方法で製造した耐水性を有する蓄
光性蛍光体は、未処理品、塩ビ樹脂コート品、ESI処
理3%品に比べて、高い輝度を示していることがわかっ
た。
【0056】更に、この輝度は、PHが純水のPHに近
い方が大きいことも理解できる。このことからも、各リ
ン酸塩が、アンモニアとリンに分解される際に、その内
のリンがアルカリ土類金属と反応して不溶性あるいは難
溶性となり、水との間の反応がないかあるいは極めて少
ないことに起因するものと考えられる。したがって、P
Hが純水に近いことがアルカリ土類金属に不溶性を付加
したことの証左となっている。 (実施例7)次に、蓄光性蛍光体として、CaAl
24:Eu,Ndを用いた場合の例について説明する。 (実施例7−1)長残光性蛍光体としてのCaAl
24:Eu,Ndに対してリン酸塩としてのリン酸水素
二アンモニウムを、5重量%添加したものを用意し、こ
れらを混合機中で30分間かけてよく混合する。
【0057】次いで、長残光性蛍光体とリン酸水素二ア
ンモニウムとの混合物をホーロートレイ等の耐熱性容器
に移し替える。その後、あらかじめ200℃に加熱した
乾燥機中で1.5時間加熱する。加熱後、乾燥機から取
り出して、室温中で室温に達するまで放冷する。次い
で、純水において余剰の不純物を落とした後、乾燥さ
せ、200メッシュスルーのものを試料とした。 (実施例7−2)長残光性蛍光体としてのCaAl
24:Eu,Ndに対してリン酸塩としてのリン酸水素
二アンモニウムを5重量%、添加し、混合機中で30分
間かけてよく混合する。
【0058】次いで、長残光性蛍光体とリン酸水素二ア
ンモニウムとの混合物に純水を加えてスラリー状とす
る。その後、乾燥機中で200℃の温度で1.5時間加
熱する。加熱後、室温中で室温に達するまで放冷する。
次いで、純水において余剰の不純物を落とした後、乾燥
させ、200メッシュスルーのものを試料とした。 (実施例7−3)リン酸塩としてのリン酸水素二アンモ
ニウムを純水の重量に対して20%加え、よく攪拌す
る。
【0059】次に、長残光性蛍光体としてのCaAl2
4:Eu,Ndを上記溶液に対して20重量%加え攪
拌し脱水濾過する。その後、乾燥機中で200℃の温度
で1.5時間加熱する。加熱後、室温中で室温に達する
まで放冷する。次いで、純水において余剰の不純物を落
とした後、乾燥させ、200メッシュスルーのものを試
料とした。上記実施例7−1〜7−3までの製造方法に
よって得られた耐水性を有する蓄光性蛍光体1gを、1
0mlの純水に常温で3時間浸漬させた後のPHを測定
した。
【0060】測定結果を表10に示す。
【0061】
【表10】
【0062】この表から、純水のPHに対して、浸漬後
のPHが高くなってることはわかるものの、未処理品に
比べるとはるかに純水のPHに近い値となっている。次
に、前記実験によって得られた耐水性を有する蓄光性蛍
光体を用いて、5〜300分経過後の輝度の測定を行っ
た。
【0063】ここで輝度の測定にあたたって、純粋中に
浸漬させた蓄光性蛍光体は、いったん純水中から取り出
し、自然乾燥させた後に測定するものである。また輝度
の測定は、400ルックスの光源で蓄光性蛍光体を20
分間照射した後の輝度を、輝度計(株式会社トプコン
製、BM−5)を用いて測定したものである。測定結果
を表11に示す。
【0064】
【表11】
【0065】この表では、浸水させていない蓄光性蛍光
体の輝度を100とし、その輝度との比較で表示した。
本願発明に係わる製造方法で製造した耐水性を有する蓄
光性蛍光体は、未処理品に比べて、高い輝度を示してい
ることがわかった。更に、この輝度は、PHが純水に近
い方が大きいことも理解できる。このことからも、各リ
ン酸水素二アンモニウムが、アンモニアとリンに分解さ
れる際に、その内のリンがアルカリ土類金属と反応して
難溶性を付与してすることに起因するものと考えられ
る。
【0066】したがって、PHが純水に近いことがアル
カリ土類金属に不溶性を付加したことの証左となってい
る。なお以上の説明において、蓄光性蛍光体として、
「アルカリ土類金属酸化物」のうちで、カルシウム及び
ストロンチウムを用いたものを例として示したが、バリ
ウムを用いてもあるいはカルシウム。ストロンチウム、
バリウムを2種以上混合して用いても、前述したと同様
な傾向の効果が見られた。
【0067】更に、「希土類元素」として、EuとDy
とを加えた場合、EuとNdとを加えた場合を例として
示したが、La,Ce,Pr,Nd,Pm、Sm,E
u,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu
の1または複数から選択して使用した場合であっても、
前述したと同様な傾向の効果が見られた。
【0068】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、アルカ
リ土類酸化物に希土類元素をドープした長残光蛍光体の
うち、アルカリ土類金属表面をリン酸塩と反応させ、そ
の表面を水に対して不溶性あるいは難溶性にすること
で、安価かつ確実に耐水性を向上させる耐水性を有する
蓄光性蛍光体の製造方法を提供するものである。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルカリ土類金属酸化物に希土類酸化物
    をドープさせてなる蓄光性蛍光体を、リン酸塩と混合ま
    たはリン酸塩溶液中で接触させた後、加熱処理すること
    を特徴とする耐水性を有する蓄光性蛍光体の製造方法。
  2. 【請求項2】 中性からアルカリ性を呈するリン酸塩と
    蓄光性蛍光体を乾式で混合後、加熱処理することを特徴
    とする請求項1記載の耐水性を有する蓄光性蛍光体の製
    造方法。
  3. 【請求項3】 中性からアルカリ性を呈するリン酸塩の
    水溶液で蓄光性蛍光体をスラリー状とした後、加熱処理
    することを特徴とする請求項1記載の耐水性を有する蓄
    光性蛍光体の製造方法。
  4. 【請求項4】 中性からアルカリ性を呈するリン酸塩の
    水溶液中に蓄光性蛍光体を浸漬させ、取り出した後、脱
    水処理を施し、その後加熱処理するすることを特徴とす
    る請求項1記載の耐水性を有する蓄光性蛍光体の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 アルカリ土類金属酸化物が、金属として
    カルシウム、ストロンチウム、バリウムの1または複数
    から選択され、酸化物としてアルミナを用い、更にカル
    シウム、ストロンチウム、バリウムの1または複数を含
    んだことを特徴とする請求項1、2、3または4記載の
    耐水性を有する蓄光性蛍光体の製造方法。
  6. 【請求項6】 希土類酸化物に用いる希土類元素が、L
    a,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,D
    y,Ho,Er,Tm,Yb,Luの1または複数から
    選択されたことを特徴とする請求項1、2、3、4また
    は5項記載の耐水性を有する蓄光性蛍光体の製造方法。
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