JPH10273265A - 糸条巻取装置および糸条巻取方法 - Google Patents

糸条巻取装置および糸条巻取方法

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Publication number
JPH10273265A
JPH10273265A JP8064997A JP8064997A JPH10273265A JP H10273265 A JPH10273265 A JP H10273265A JP 8064997 A JP8064997 A JP 8064997A JP 8064997 A JP8064997 A JP 8064997A JP H10273265 A JPH10273265 A JP H10273265A
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JP
Japan
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bobbin
drive shaft
bobbin holder
winding device
yarn
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Pending
Application number
JP8064997A
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English (en)
Inventor
Kozo Okumura
幸三 奥村
Mamoru Kishida
守 岸田
Hiroyuki Terasaka
広行 寺坂
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Publication date
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  • Spinning Methods And Devices For Manufacturing Artificial Fibers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 高速巻取においても、アンバランスによる過
大な振動が発生せず高品位なパッケージを巻き上げるこ
とが可能な糸条巻取装置を提供する。 【解決手段】 ボビンホルダ4、駆動軸4、駆動手段
9、環状支持体20を備えた糸条巻取装置にて、ボビン
ホルダ4と駆動軸6との締結部を下記式を満足させ
る。 Imin /Lsk>2.25×10-2・{(DO 2
I 2 )・LB /1000}・・・ ただし、 Imin :駆動軸の回転軸に対する断面2次モーメントの
最小値(mm4) Lsk :駆動軸の締結部長さ(mm) DO :ボビンホルダに装着されるボビンの外径最大値
(mm) DI :ボビンホルダに装着されるボビンの内径最小値
(mm) LB :ボビンホルダに装着されるボビンの全長(m
m)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、糸条巻取装置およ
び糸条巻取方法に関し、さらに詳しくは、ボビンホルダ
に装着されるボビンが小径かつ多数でありながら、ボビ
ンなどアンバランス要因に影響を受けることなく振動防
止性に優れ、糸条を良好なパッケージフォームに巻き上
げることができる糸条巻取装置および糸条巻取方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】糸条の巻取に用いられる巻取装置は、生
産性の向上、コストの低減等を図るため、巻取速度の高
速化、巻取ボビンの小径化・多数化、すなわちボビンホ
ルダの長尺化を目的に高性能化が進められている。現在
では、例えば内径110mmのボビンを用いる全長12
00mm級の長尺スピンドルを装備する糸条巻取装置で
は、巻取速度6000m/分が実現され、また同寸法の
ボビンを用いる全長900mmのスピンドルでは、巻取
速度8000m/分が実現されるに至っている。
【0003】しかしながら、今日の繊維業界にとって、
さらなる生産性向上、コスト低減が必須の課題になって
いる。巻取装置の構成要素のなかでも、特に重要な構成
要素のひとつであるスピンドルの一層の高性能化、すな
わち、より高い次元にて高速化、小径化、長尺化を同時
に実現するスピンドルの提供が強く望まれている。一般
に糸条の巻取装置に用いられるスピンドルは、糸条巻初
めの高い回転数から、糸条がボビンに巻き取られて外径
の大きなパッケージが形成されることで回転数が低くな
る巻終わりまで、回転数比で3〜5倍に達する全て領域
において、機械的損傷を生じないだけでなく、糸条をフ
ォームの良好なパッケージに巻き上げることが可能な安
定した低振動性を実現する必要がある。
【0004】今日の糸条巻取用スピンドルの主流は、い
わゆる柔構造スピンドルであって、この柔構造スピンド
ルは、ボビンホルダと、このボビンホルダに締結された
駆動軸と、このボビンホルダの内部空間に挿入される共
に、自己の内周部に上記駆動軸を軸受により回転自在に
支承する一般にサポートと称される環状支持体とから構
成されている。このスピンドルは、巻取りに際して停止
状態から昇速を開始、曲げ振動に起因し比較的低回転数
に発生する1、2次危険速度(共振点)を乗り越えた
後、所定の巻取速度に達するが、振動が過度に大きい場
合は前記危険速度を乗り越えられないばかりでなく、機
械的損傷を生じる可能性すら有する。
【0005】一方、スピンドルの最高巻取速度、いわゆ
るメカマックスは、1、2次危険速度の4〜10倍程度
の高速回転数域に発生するため、振動エネルギが大きく
乗り越えることができない3次危険速度に対して、5〜
15%程度低い回転数に設定するのが一般的である。こ
のような制約のもと、今日まで高速化、小径化、長尺化
を実現すべくスピンドルの高性能化が進められてきた。
【0006】スピンドルの危険速度(Nc)m/分は、
おおよそ、 Nc∝(D2 /L2 )×{√(E/ρ)} ・・・・ ただし、Dは装着されるボビンの径、Lはボビン全長、
ρ,Eはそれぞれボビンホルダ、駆動軸の比重と縦弾性
係数と表される。
【0007】前述したように、今日主流となっている柔
構造スピンドルの場合、低速側から1次、2次、3次・
・・と複数の危険速度が存在し、この中で2次と3次の
危険速度の間の回転数域を巻取範囲としている。式か
ら明らかなように、危険速度Ncを大きくするスピンド
ルの高速化、Dを小さくするボビン小径化、Lを大きく
するボビン長尺化は、本来、相矛盾するものであり、詳
細な形状等の変更を行うことによる性能向上は、ほぼ限
界に達しようとしている。
【0008】また、このような技術的行き詰まりを解決
する手段として、たとえば、特開平3−293263号
公報、特開平5−338914号公報にみられるような
繊維強化複合材料の利用によりE/ρの向上を図る手
法、特開平8−175753にみられるようにボビン把
持機構に新たな工夫を加えることで実質的にDの向上を
図る手法が提案されているが、これらはいずれも式を
基準にしたものである。
【0009】すなわち、ボビンを装着するというスピン
ドルの本質的必要機能に起因し、必然的に生じるアンバ
ランス(回転体としての不釣り合い)がスピンドルの振
動レベルに如何に影響するかについては、なんら考慮さ
れてはおらず、今日のスピンドルに時としてみられる危
険速度的には十分な設計上の性能を有しているにもかか
わらず、ボビンを装着した状態では振動レベルが大きく
なりすぎ1、2次危険速度を通過できない現象、或いは
前記危険速度は通過しても使用領域における振動レベル
が糸条巻取には十分なレベルに達せず、パッケージ不良
を生じる現象については、何ら解決を与えるものではな
い。
【0010】以上説明したように、現時点において、糸
条巻取用スピンドルの危険速度を向上させるための手段
については提案が行われているものの、ボビンを装着す
るというスピンドルの機能上必然となるアンバランスを
有した状態での過大振動に対してては、十分な解決がな
されていないのが現状である。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上述
した問題を解消し、特にスピンドルのボビンホルダと駆
動軸の締結部における前記駆動軸の径に着目し、その値
を適正値にすることで、小径かつ長尺のスピンドルであ
りながらボビンを装着した状態で、過大な振動を発生す
ることなく1、2次危険速度を容易に乗り越え、かつ高
速巻取においても十分に低い振動レベルで良好なパッケ
ージ形成が可能な糸条の巻取装置を提供することにあ
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明の糸条巻取装置は、糸条を巻き取るための筒状のボビ
ンと、該ボビンを外周表面上に着脱自在に装着するボビ
ンホルダと、該ボビンホルダに締結された駆動軸と、該
駆動軸を回転駆動する駆動手段と、筒状体に形成されて
前記ボビンホルダの内側空間に挿入される共に、該筒状
体の内周側に軸受を介して前記駆動軸を回転自在に支承
する環状支持体とを備えた糸条の巻取装置において、
【0013】(イ) 前記ボビンホルダと前記駆動軸と
を別部材にすると共に、互いに一体に締結固定された構
成にし、かつ(ロ) 該ボビンホルダと駆動軸との締結
部において、下記式 Imin /Lsk>2.25×10-2・{(DO 2 −DI 2 )・LB /1000} ・・・ ただし、 Imin :駆動軸の回転軸に対する断面2次モーメントの
最小値(mm4) Lsk :駆動軸の締結部長さ(mm) DO :ボビンホルダに装着されるボビンの外径最大値
(mm) DI :ボビンホルダに装着されるボビンの内径最小値
(mm) LB :ボビンホルダに装着されるボビンの全長(m
m) を満足する構成にしたことを特徴とするものである。
【0014】本発明の糸条の巻取装置においては、ボビ
ンホルダと駆動軸締結部における前記駆動軸の回転軸に
対する断面2次モーメントと締結部長さを、装着される
ボビンの寸法との関係で式に示すように規定したこと
により、ボビン装着によるアンバランスの影響を抑え、
小径かつ長尺のスピンドルでありながら、過大な振動を
発生することなく1、2次危険速度を容易に乗り越え、
かつ高速巻取においても十分に低い振動レベルで良好な
パッケージ形成を可能とする。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明における一実施形態
を説明する。本発明において、ボビンホルダと駆動軸と
の締結部の断面形状は特に限定されるものではなく、
円、楕円、矩形等、またそれらの併用が用いられるが、
好ましくは機械加工が比較的容易で、かつ寸法精度の向
上が図れる円断面にするのがよい。また、回転軸方向に
対しては、前記断面形状が同一な所謂ストレート嵌合ま
たは相似的に変化するテーパ嵌合のいずれを用いてもか
まわない。要は、嵌合部(締結部)における駆動軸の回
転軸に対する断面2次モーメントの最小値が式の関係
となることが肝要なのである。
【0016】ただし、駆動軸の一部に設けられた締結用
のネジ部、切り欠きなどを含む断面についてはアンバラ
ンス抑制に対する寄与が小さいので、本発明の意図する
嵌合部(締結部)には含まない。また、駆動軸の構成は
モータと直結したいわゆる一本軸型であっても、回転駆
動するモータ軸と、前記モータ軸とカップリングなどの
手段により連結されモータ軸からの回転運動をボビンホ
ルダに伝達するためのスピンドル軸の2本に分割された
いわゆる分割軸型であってもかまわない。
【0017】ボビンホルダ、駆動軸は、如何なる材質で
あっても良く、鉄鋼材料、前記繊維強化複合材料、エン
ジニアリングプラスチックスなどが用いられるが、特に
機械構造用炭素鋼、クロムモリブデン鋼または機械構造
用ステンレス鋼の鉄鋼材料を用いることが好ましい。同
じく環状支持体についても特に材質上の限定はない。し
かし、高速回転するボビンホルダと駆動軸、さらにパッ
ケージを長期間安定して支持する必要があることを考慮
し、前述の機械構造用炭素鋼等の鉄鋼材料を使用するこ
とが好ましい。
【0018】また、本発明が適用される糸条の巻取装置
としては、ボビンホルダと駆動軸と環状支持体を有する
スピンドルを備えたものであれば何ら限定されるもので
はない。しかし、生産性を向上させる上では、ターレッ
ト式巻取装置を採用することが好ましい。ターレット式
巻取装置は、ボビンホルダと駆動軸と環状支持体とから
なるスピンドルをターレット盤上に180゜の間隔に2
本立設し、その2本のスピンドルの一方を巻取位置に
し、他方の待機位置にし、その巻取位置のスピンドル上
のボビンが満巻になる毎に、上記ターレット盤が180
゜回転して2本のスピンドルの位置を交替するような構
成からなるものである。
【0019】以下、本発明の糸条巻取装置の一例を図1
に基づいて具体的に説明する。図1は、ボビンを8個装
着する糸条の巻取装置であるが、図1においてボビン
は、理解を容易にするため2山分のみを示し、残り6山
分については省略している。
【0020】図において、1a、1bは、外周に糸条Y
を巻き取るための筒状のボビンで、内径110mm、外
径124mm、ボビン1山当たりの長さは150mmで
あり、スピンドル2のボビンホルダ4に外装されてい
る。3は、ボビン1a、1bをボビンホルダ4に着脱す
るための弾性環状体で、各ボビン毎に筒状のスペーサ5
を介してボビンホルダ4の軸方向に摺動自在に装着され
ている。
【0021】ボビンホルダ4は、回転軸方向に長尺の筒
状体であり、略中央部のボス4aに駆動軸6と一体化す
るための締結部4b(又は嵌合部)を有している。駆動
軸6は、カップリング7を介して回転運動を伝達するよ
うに連結されたスピンドル軸6aとモータ軸6bとに分
割され、各々の軸芯に圧縮空気を通すための貫通孔6
e、6e’が貫通するように設けられている。スピンド
ル軸6aは、その締結部6cをボビンホルダ4の嵌合部
4b(締結部)に締結一体化されている。
【0022】また、駆動軸6は、筒状体に形成された環
状支持体20の内部空間に軸受8a,8bを介して回転
自在に支承され、その環状支持体20はボビンホルダ4
の内部空間に挿入された状態で、その基端部をモータ9
のフレーム上に一体に支持固定されている。駆動軸6の
締結部6cとボビンホルダ4の嵌合部4bとの締結部に
おける回転軸に垂直な断面での形状はいずれも円状であ
り、軸方向に対してその断面形状が同一ないわゆるスト
レート嵌合で構成されている。この締結部6cの外径、
長さは、本発明において装着されるボビン1a,1bの
外径、内径、全長との関係において式を満足するよう
に設定されている。
【0023】式において、左辺はスピンドルのアンバ
ランスに対する強さ(剛性)を意味するもので、これに
対して右辺はボビン装着によりスピンドルに生じるアン
バランスを表している。一般に、糸条の巻取装置のよう
な高速回転体に生じるアンバランスが回転時の振動特性
に如何なる影響を及ぼすかを計算で求めることは難し
く、さらに本発明に示したようなボビンホルダ4と駆動
軸6と環状支持体20により構成された複雑な構造を有
する柔構造スピンドルが、1、2次危険速度を通過する
際の振動値を解析的に求めることは極めて困難である。
【0024】本発明者らは、数多くのスピンドルを実際
に製作、回転テストを繰り返し行い、スピンドル構成要
素の各寸法とアンバランスに依る振動の大きさについて
考察を行った結果、前記柔構造スピンドルがアンバラン
スの影響を受けることなく1、2次危険速度を乗り越
え、かつ糸条の巻取を行なう際の振動を十分に低いレベ
ルに抑えることができる寸法適正値が、式で表せるこ
とを見い出したのである。式を用いることにより、ス
ピンドル設計時に過大な時間と費用を発生する煩雑なコ
ンピュータ計算を行う必要なく、また振動抑制のための
特別な装置を使用することなく、小径長尺スピンドルで
良好なフォームのパッケージを高速で巻き取ることを可
能にしたのである。
【0025】
【実施例】
実施例1 図1に示す糸条の巻取装置のボビンホルダ4には内径D
Iが110mm、外径Doが124mm、長さが150
mmの新品ボビン8個が、スペーサ5を介して配置され
た弾性環状体3により一体に装着され、ボビン全長LB
1200mmに設定される一方、嵌合部4bにおいて、
ナット6dの締め付け力によりスピンドル軸6aの嵌合
部6cと締結一体化されている。
【0026】ここで、駆動軸6の締結部6cは、ボビン
寸法との関係において式を満足するよう外径dO は3
5mm、貫通孔6eの内径di は7mmに、また締結部
長さLskは125mmに設定されている。駆動軸6と
ボビンホルダ4との嵌合部の断面2次モーメントの最小
値Imin (mm)は、一般の材料力学的知識から明らか
なように、Imin =(π/64)×(dO 4 −di 4
を用いて算出すればよい。
【0027】なお、ここで外径doはdo =35mm、
内径di はでdi =7mmである。スピンドル軸6a
は、軸受8a、8bを介してモータ9のハウジングから
ボビンホルダ4の内部に挿入されるように突出した環状
支持体20に回転自在に支承されている。モータ9は、
コモンフレーム10上に固定されており、モータハウジ
ング内に固定子11が固定されていると共に、外周部に
回転子12が固定されたモータ軸6bが軸受13a、1
3bによって回転自在に支承されている。回転子12と
固定子11によって駆動されたモータ軸6bの回転運動
は、カップリング7を介してスピンドル軸6aに伝達さ
れ、さらに締結部6c、4bを介してボビンホルダ4に
伝達される。これによりボビンホルダ4に装着されたボ
ビン1a、1bが回転され、各ボビン1a、1b上に糸
条Yを巻き取ることができる。
【0028】14はボビン1a、1bをボビンホルダ4
から自在に着脱するためのボビン着脱機構で、ピストン
15、圧縮バネ16、バネ受け17、シール部材18か
ら構成されている。ピストン15は、両端のピストン壁
15a、15bを相互にピストン軸15cで連結して構
成されている。一方のピストン壁15aは、スペーサ5
と略同径の外径を有するように構成され、また他方のピ
ストン壁15bは外周面に環状のシール部材18を装着
し、ボビンホルダ4の内周面との間で気密状態を維持し
たまま軸方向に摺動可能となっている。
【0029】糸条Yの巻取状態においては、ボビンホル
ダ4の内周面に取り付けられたストッパ19を基点とす
る圧縮バネ16の図の右方向への反発力によって、ピス
トン15が図右方向に移動し、円筒状のピストン壁15
aまたはスペーサ5により軸方向に圧縮された弾性環状
体3が径方向に拡開することで、ボビン1a、1bがボ
ビンホルダ4に一体に把持される。
【0030】また、ボビン1a、1bを取り外す際は、
モータ軸6bの右端から圧空を貫通孔6e’に送り込む
ことで、貫通孔6eを経てシリンダ室15eに充満した
圧空がピストン15を左方向に移動させて、環状環状体
3の外径を元の状態まで復元させる。これにより、ボビ
ン1a、1bを容易に取り外すことができるように構成
されている。
【0031】材質としては、スピンドル2におけるボビ
ンホルダ4、スピンドル軸6a、ピストン15およびモ
ータ軸6b、コモンフレーム10のいずれもクロムモリ
ブデン鋼(SCM440)を用いている。なお、上記の
ように、本実施例ではボビンホルダ4の嵌合部4bとス
ピンドル軸6bの締結部6cとの締結部における回転軸
方向に垂直な断面の形状は、いずれも円状に構成されて
いるが、前記ボビンホルダとスピンドル軸が十分に締結
一体化されていて回転運動が伝達されるようになってい
れば、特に断面形状は円状である必要はなく、楕円、矩
形その他の不定形であっても全くかまわない。本発明の
意図するところに基づき、締結部6cの断面2次モーメ
ントの最小値が式の関係となるように寸法を決定する
ことが肝要なのである。
【0032】上記のように構成された本発明の糸条巻取
装置を用いて、静止状態から巻取速度6500m/分ま
で回転させる試運転を行った。まず最初に静止状態に
て、いわゆるFFT打撃法を用いて危険速度(共振点)
の発生じるスピンドル回転数を測定した結果、表1の実
施例1に示すように、巻取速度6500m/分に達する
までに乗り越える必要がある1、2次危険速度と、巻取
速度より高速回転数域に発生する3次危険速度を確認し
た。
【0033】次に、実際に巻取速度6500m/分に相
当する16700rpmまで巻取装置を回転させ、スピ
ンドル2の回転数N(rpm)と振動振幅δの関係を測
定した。この結果を図2に示す。回転数が巻取速度に達
するまでの領域において、1次危険速度、2次危険速度
に相当する回転数で振動はやや大きくなるものの、それ
ぞれ5μm(1820rpm、1次危険速度)、10μ
m(3220rpm、2次危険速度)とボビン取り付け
によるアンバランスの影響もなく、高速回転体として十
分に低い振動レベルに達している。1次、2次危険速度
が生じる回転数もFFT打撃法の測定結果とほとんど差
違はなかった。また、実際に巻取に使用される4500
rpmから16700rpmの回転数では全域におい
て、振幅2〜3μm以下と極めて低い振動レベルを実現
した。
【0034】上述のように回転テストで振動に何等問題
ないことを確認した後、実際に糸条の巻取を行った。単
糸繊度が15デニール、総フィラメント数が24本のナ
イロンマルチフィラメントの巻取を開始したが、巻取中
のスピンドル回転数と振動の関係は、図2と何等変わら
ない極めて良好なレベルを実現した。ボビン上に1山当
たり10kgのパッケージが計8山形成された後、スピ
ンドルを減速停止させたが、1次、2次危険速度を通過
する際の振動は、図2とほぼ同様の良好な値であった。
【0035】以上、本発明の糸条巻取装置を用いること
により、スピンドル回転開始から巻取を経てスピンドル
を静止させるまでの間、何等危険と感じるような振動の
発生をみることのない優れた特性を確認し、糸落ちなど
不具合のない良好なパッケージを得ることができた。
【0036】比較例1 次に比較のため、締結部6cの寸法をdo=20mm、
sk=180mmに変更したスピンドルを用いて回転テ
ストを実施した。do 、Lsk以外は上記テストに用いた
スピンドルと全く同じ寸法であり、ボビン内径DI は1
10mm、ボビン外径Do は124mm、ボビン全長L
B は1200mmである。
【0037】すなわち、左辺の値はImin /Lsk=4
3、一方、右辺の値は 2.25×10-2・{(DO 2
−DI 2 )・LB /1000}=3931と、上記式の関
係を満たさないよう製作されている。FFT打撃法によ
り1、2、3次危険速度(共振点)を測定した結果、表
1比較例1に示すように、嵌合部寸法の変更による影響
はほとんどなく、巻取速度6500m/分に達するまで
に乗り越える必要がある1、2次危険速度と、巻取速度
より高速回転数域に発生する3次危険速度を確認した。
【0038】次に、実際に巻取速度6500m/分に相
当する16700rpmまで巻取装置を回転させ、スピ
ンドル2の回転数N(rpm)と振動振幅δの関係を測
定した。この結果、図3に示すように、1次危険速度の
振動最大値が50μm、2次危険速度の振動最大値11
5μmと著しく増大しており、特に2次危険速度を通過
する際は、スピンドルコモンフレームが振動し、軸受部
から異音が発生するのが確認された。
【0039】その後、巻取速度6500m/分に相当す
る16700rpmまで昇速を行ったが、危険速度通過
後の振動レベルも5〜15μmと比較的高く、回転数全
域において振動特性が悪化していることを確認した。実
際の糸条巻取は、パッケージ重量によるアンバランスが
作用し、さらに振動レベルが悪化することが予想される
ので、実施することを見合わせた。
【0040】
【表1】
【0041】次に、さらに詳しく本発明の効果を確認す
るため、Imin 、Lsk 、Do 、DI 、LB をを変化さ
せたスピンドルを製作し、回転テスト、糸条巻取テスト
を試みた。
【0042】実施例2〜3、比較例2〜5 実施例1、比較例1と同じく、ボビン内径DI が110
mm、ボビン外径Doが124mm、ボビン全長LB
1200mmとして実験を行った比較結果を表2に示
す。ただし、結果を分かりやすくするため、 F=Imin /Lsk ・・・ G=( Do2 −DI 2 )・LB /1000 ・・・ と置き、この置換により上記式を、 F>2.25×10-2・G ・・・’ と表した。
【0043】なお、上記実施例1で、F、Gの値をそれ
ぞれ算出するとF=588、G=3931で、F=1
4.95×10-2・Gと’式の関係を満足しており、
一方、比較例1では、F=43、G=3931(実施例
1と同じ値)でF=1.10×10-2・Gと’式の関
係を満たしていないことが分かる。
【0044】
【表2】
【0045】表2における糸条巻取テストは、実施例1
と同じく、単糸繊度が5デニール、総フィラメント数が
24本のナイロンマルチフィラメントを巻取速度550
0m/分でボビン1山当たり10kgまで巻き取った。
【0046】この比較結果から分かるように、スピンド
ル嵌合部の寸法が’式、すなわち式の関係を満たす
条件で巻取を行った場合、良質なパッケージが得られる
ことが分かる。一方、スピンドル嵌合部の寸法が’式
の条件から離れると、パッケージの品位低下が生じるば
かりか、甚だしい場合、ボビン装着等のアンバランスが
振動を著しく悪化させ、1次危険速度すら通過すること
ができなかった。
【0047】次に、実施例2〜3、比較例2〜5とI
min 、Lsk、Do 、DI 、LB が異なるスピンドルを製
作し、評価テストを実施した。 実施例4〜5、比較例6〜8 ボビン内径DI が94mm、ボビン外径Do が108m
m、ボビン1個当たりの長さ150mmの6山取りで、
ボビン全長LB が900mmのスピンドルを用いて実験
を行った。その比較結果を表3に示す。
【0048】
【表3】
【0049】表3における糸条巻取テストは、単糸繊度
が2.1デニール、総フィラメント数が36本のテトロ
ンマルチフィラメントをボビン1山当たり8kgまで巻
き取った。この比較結果から分かるように、本寸法のス
ピンドルにおいても嵌合部の寸法が’式、すなわち
式の関係を満たす条件で巻取を行った場合、良質なパッ
ケージが得られることが分かる。一方、比較例2〜5と
同じく、スピンドル嵌合部の寸法が’式の条件から離
れると、振動レベルが著しく悪化する。
【0050】さらに本発明の効果を確認するため、実施
例2〜3、比較例2〜5および実施例4〜5、比較例6
〜8とImin 、Lsk、Do 、DI 、LB が異なるスピン
ドルを製作し、評価を実施した。 実施例6〜7、比較例9〜11 ボビン内径DI が73mm、ボビン外径Do が89m
m、ボビン1個当たりの長さ200mmの3山取りで、
ボビン全長LB が600mmのスピンドルを用いて実験
を行った。その比較結果を表4に示す。
【0051】
【表4】
【0052】表4における糸条巻取テストは、単糸繊度
が17.8デニール、総フィラメント数が56本のテト
ロンマルチフィラメントをボビン1山当たり12kgま
で巻き取った。この比較結果からも、表2、表3の結果
と同じく、式の関係を満たすことで良好な巻取が実現
できることを確認した。
【0053】
【発明の効果】本発明の糸条の巻取装置においては、、
ボビンホルダと駆動軸との締結部における回転軸方向に
対する断面2次モーメントと締結部長さを、装着される
ボビンの寸法との関係で式(’式)に示すように規
定することにより、ボビン装着によるアンバランスの影
響を抑え、小径かつ長尺のスピンドルで過大な振動を発
生することなく1、2次危険速度を容易に乗り越えるこ
とが可能になった。これにより、高速巻取においても、
従来技術では実現し得なかった良好な回転特性(振動レ
ベル)で振動の影響を受けることがないため、糸落ちが
無く、良好な形状のパッケージを巻き取ることが可能と
なる。
【0054】さらに、本発明の実施においては何ら特殊
な加工技術や精密高度な機構要素を必要とせず容易に装
置化が図ることができる。また既存の巻取装置に対して
も、ボビンホルダとスピンドル軸の交換のみで対応でき
るため、極めて少ない投資で生産設備の更新することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の糸条巻取装置の一例を示す縦断面図で
ある。
【図2】図1の糸条巻取装置において、1次、2次危険
速度を乗り越えた後、巻取速度6500m/分に相当す
る16700rpmまで高速回転させた際のスピンドル
の回転数と振動との関係を測定した図である。
【図3】比較例1の糸条の巻取装置において、1次、2
次危険速度を乗り越えた後、巻取速度6500m/分に
相当する16700rpmまで高速回転させた際のスピ
ンドルの回転数と振動との関係を測定した図である。
【符号の説明】
1a、1b ボビン 2 スピンドル 3 弾性環状体 4 ボビンホルダ 4b ボビンホルダの締結部(嵌合部) 5 スペーサ 6 駆動軸 6a スピンドル軸 6b モータ軸 6c スピンドル軸の締結部 6e、6e’ 貫通孔 6d ナット 7 カップリング 8a、8b 軸受 9 モータ 10 コモンフレーム 14 ボビン着脱機構 15 ピストン 15a、15b ピストン壁 15c ピストン軸 16 圧縮バネ 17 バネ受け 18 シール部材 19 ストッパ 20 環状支持体

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 糸条を巻き取るための筒状のボビンと、
    該ボビンを外周表面上に着脱自在に装着するボビンホル
    ダと、該ボビンホルダに締結された駆動軸と、該駆動軸
    を回転駆動する駆動手段と、筒状体に形成されて前記ボ
    ビンホルダの内側空間に挿入される共に、該筒状体の内
    周側に軸受を介して前記駆動軸を回転自在に支承する環
    状支持体とを備えた糸条の巻取装置において、 (イ) 前記ボビンホルダと前記駆動軸とを別部材にす
    ると共に、互いに一体に締結固定された構成にし、かつ
    (ロ) 該ボビンホルダと駆動軸との締結部において、
    下記式 Imin /Lsk>2.25×10-2・{(DO 2 −DI 2 )・LB /1000} ・・・ ただし、 Imin :駆動軸の回転軸に対する断面2次モーメントの
    最小値(mm4) Lsk :駆動軸の締結部長さ(mm) DO :ボビンホルダに装着されるボビンの外径最大値
    (mm) DI :ボビンホルダに装着されるボビンの内径最小値
    (mm) LB :ボビンホルダに装着されるボビンの全長(m
    m) を満足する構成にした糸条巻取装置。
  2. 【請求項2】 前記ボビンホルダと前記駆動軸の締結部
    における前記駆動軸の軸方向に垂直な断面の形状が略円
    である請求項1に記載の糸条巻取装置。
  3. 【請求項3】 前記ボビン外径の最大値DO が、50〜
    130mmである請求項1または請求項2に記載の糸条
    巻取装置。
  4. 【請求項4】 前記ボビンの全長LB が、500〜20
    00mmである請求項1〜3のいずれかに記載の糸条巻
    取装置。
  5. 【請求項5】 前記締結部における前記駆動軸の軸方向
    と垂直な断面が、軸方向全体に同一形状かつ同一寸法で
    ある請求項1〜4のいずれかに記載の糸条巻取装置。
  6. 【請求項6】 前記ボビンホルダが、機械構造用炭素
    鋼、クロムモリブデン鋼または機械構造用ステンレス鋼
    から構成されている請求項1〜5のいずれかに記載の糸
    条巻取装置。
  7. 【請求項7】 前記ボビンホルダと駆動軸と環状支持体
    からなるスピンドルをターレット盤上に180゜の間隔
    に2本立設し、該2本のスピンドルの一方を巻取位置に
    すると共に他方を待機位置にし、前記巻取位置のスピン
    ドルに装着したボビンが満巻になる毎に、前記ターレッ
    ト盤を180゜回転して相互のスピンドルの位置を交替
    する構成からなるターレット式巻取機である請求項1〜
    6のいずれかに記載の糸条巻取装置。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7のいずれかに記載の糸条巻
    取装置を用いて、糸条の巻き取りを行う糸条巻取方法。
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