JPH10270968A - 梯子型フィルタとその合成方法 - Google Patents

梯子型フィルタとその合成方法

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JPH10270968A
JPH10270968A JP7540697A JP7540697A JPH10270968A JP H10270968 A JPH10270968 A JP H10270968A JP 7540697 A JP7540697 A JP 7540697A JP 7540697 A JP7540697 A JP 7540697A JP H10270968 A JPH10270968 A JP H10270968A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低電源電圧、高速動作、高いQ値に向いた両
端抵抗終端型梯子型フィルタを誤差を少なく合成する方
法を提供する。 【解決手段】 フィルタを合成する方法において、伝達
関数をLCRの理想回路に変換した後、全ての並列型LC共
振器2に並列に抵抗5を接続する。LC共振器2に抵抗5を接
続すると、フィルタの電気的特性が変化するが、この変
化をフィルタの入力端又は出力端の抵抗1000,1001を調
整(振り分ける)事により吸収する。このように、抵抗
の接続された実回路に即したLC共振器を用いることで、
LCRの回路から実回路へ変換する際の誤差の混入を抑え
ることができる。また、理想的なLC共振器を用いないこ
とにより、素子バラツキ対する特性変化の少ないフィル
タを合成するこができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アナログ信号の梯
子型フィルタとその合成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】アナログ信号のフィルタの合成方法と
は、所望の伝達関数を実現するフィルタの回路を合成す
る技術である。
【0003】まず、両端抵抗終端型の梯子型フィルタに
ついて説明する。フィルタの構成には、梯子型や縦属接
続型などがあるが、中でも梯子型構成で合成されたフィ
ルタは、素子感度が低いという特徴を持ち、広く使用さ
れている。また、フィルタの構成には、入力端と出力端
に抵抗を接続するのか、あるいは、何もつけない開放状
態にするのかという選択肢もある。中でも、入力端と出
力端の両方に抵抗を付加して合成される両端抵抗終端型
のフィルタは、フィルタの入出力端に接続される回路の
入出力インピーダンスの影響を受けにくくできる特徴を
持ち、広く使われている。
【0004】フィルタの基本回路は、容量(以降ではCと
略す)、抵抗(以降ではRと略す)を用いた受動回路である
が、集積回路の中では、Lを実現しにくいため、トラン
ジスタ等の能動素子を用いたフィルタを用いることが多
い。このため、通常、フィルタの合成方法は、まずはじ
めに、所望の伝達関数を、L,C,Rを用いた理想回路に変
換し、その後、GM-Cフィルタ,アクティブフィルタなど
各種のフィルタの方式に応じて、LCRの回路を実際の能
動回路に変換する。
【0005】ここで、伝達関数を両端抵抗終端型の梯子
型構成のフィルタで合成する場合、従来では、伝達関数
からLCRの理想回路に変換する段階において、直列型LC
共振器、または、並列型LC共振器(図2(a),(b))が用い
られる。これらのLC共振器は、特定の周波数で信号を通
過あるいは遮断する特性を持ち、帯域通過フィルタや帯
域阻止フィルタを実現するには必要となる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これらの直列
型、並列型のLC共振器は、あくまでも理想モデルであ
り、トランジスタを用いた実回路で実現するのは難し
い。その理由は、直列型LC共振器は、共振周波数で抵抗
がゼロとなるが、実回路で抵抗をゼロにすることは難し
いからである。また、同様に並列型LC共振器は、共振周
波数で抵抗が無限大となるが、実回路で抵抗を無限大に
するのは難しい。実際、トランジスタを用いた実回路で
は、図2(c),(d)に示すように直列型LC共振器に直列抵抗
が誤差成分2001として混入し、また、並列型LC共振器に
は並列抵抗が誤差成分2002として混入する。以上のよう
に、従来のLC共振器を用いたフィルタの合成方法では、
伝達関数をLC共振器を用いて正確に実現しても、その後
の実回路へ変換する段階で誤差が混入し、伝達関数を正
確に実現することが難しいという課題がある。
【0007】この課題は、集積回路の製造プロセスの微
細化が進むにつれて益々深刻となる。製造プロセスの微
細化が進めば、集積回路の動作電圧は益々低下する。低
電圧化が進めば、抵抗がゼロ、あるいは、無限大となる
LC共振回路を精度良く実現することが益々難しくなる。
【0008】例えば、代表的なフィルタの実現方式であ
るGM-Cフィルタによって理想LC共振器を実現するには、
基本回路要素である電圧電流変換器の出力抵抗を無限大
に保つことが必要となる。しかし、電源電圧の低下が進
めば進むほど、この要請は困難なる。このため、フィル
タの誤差がますます大きくなる。更に、GM-Cフィルタに
よって、高周波数、高いQ値のフィルタを実現するに
は、電圧電流変換器により多くの電流を流す必要がある
ため、電圧電流変換器の出力抵抗が低下し、前記の要請
を満足することが更に難しくなる。すなわち、この問題
が、高周波数、高いQ値のGM-Cフィルタを作る上での阻
害要因の一つとなっている。
【0009】また、合成されたフィルタという観点から
見れば、上記の課題から明らかなように、従来の理想LC
共振器に基づいて合成されたフィルタは、所望の伝達関
数からの誤差が大きいと言う問題がある。また、LC共振
回路は、周波数に対する特性の変化が急峻であるため、
フィルタの特性が素子バラツキの影響を受けやすいとい
う課題がある。
【0010】したがって、本発明の目的は、低電源電
圧、高速動作、高いQ値に向いた両端抵抗終端型梯子型
フィルタおよび誤差を少なくしてその梯子型フィルタを
合成する方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに本発明の梯子型フィルタの合成方法が講じた手段
は、伝達関数をLCRの理想回路に変換した後、全ての直
列型LC共振器に直列に抵抗を接続し、全ての並列型LC共
振器に並列に抵抗を付加するステップと、フィルタの入
力端または出力端の終端抵抗を調整するステップとを備
え、前記調整ステップによって、LC共振器への抵抗付加
に伴うフィルタの電気的特性変化(例えば増幅率や入出
力インピーダンスの変化)を吸収することを特徴とす
る。
【0012】また、抵抗を付加した実回路に即したLC共
振器を用いることで、LCRの回路から実回路へ変換する
際の誤差の混入を抑えることができる。さらに、理想的
なLC共振器を用いないことにより、素子バラツキに対す
る特性変化の少ないフィルタを合成するこができる。
【0013】具体的に請求項1が採用した構成は、3つ
のLC共振器を有する両端抵抗終端型の梯子型フィルタの
合成方法であって、所望の伝達関数に基づいてLC共振器
を用いた梯子型フィルタを生成するステップと、前記LC
共振器のうち、並列型LC共振器に抵抗を並列に付加する
抵抗付加ステップと、該抵抗付加ステップに於いて、付
加された抵抗による電気特性の変化を吸収するために、
生成された前記梯子型フィルタの入力端又は出力端の抵
抗を調整する調整ステップとを備え、前記抵抗終端型の
梯子型フィルタを損失性の共振器を用いて実現すること
を特徴とする梯子型フィルタの合成方法である。
【0014】また請求項2が採用した構成は、4つ以上
のLC共振器を有する両端抵抗終端型の梯子型フィルタの
合成方法であって、所望の伝達関数に基づいてLC共振器
を用いた梯子型フィルタを生成するステップと、前記LC
共振器のうち、直列型LC共振器に第1の抵抗を直列に付
加すると共に並列型LC共振器に第2の抵抗を並列に付加
する抵抗付加ステップと、該抵抗付加ステップに於い
て、付加された第1および第2の抵抗による電気特性の
変化を吸収するために、生成された前記梯子型フィルタ
の入力端又は出力端の抵抗を調整する調整ステップとを
備え、前記両端抵抗終端型の梯子型フィルタを損失性の
共振器を用いて実現することを特徴とする梯子型フィル
タの合成方法である。
【0015】請求項3が講じた手段は、両端抵抗終端型
の梯子型フィルタであって、前記梯子型フィルタを構成
する全ての共振器が可変な損失成分を持つ構成を採用す
ることで、正確に伝達関数を実現ができ、さらに素子バ
ラツキの影響を受けにくくなる。また、フィルタのQ値
を調整し、より精度の高いフィルタを提供することがで
きる。
【0016】請求項4が講じた手段は、損失性の共振器
の損失成分を制御する制御回路を備え、フィルタのQ値
を調整する構成を採用する。これにより、素子バラツキ
や温度変動によるフィルタ特性の変動を抑えるととも
に、目的に応じて、フィルタのQ値を可変にすることが
できる。
【0017】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)まず、図1を用いて請求項1の発明に関わ
る実施の形態について説明する。(数1)は、与えられる
所望の伝達関数であり、この例では、6次(3つのLC共
振器を有する)の帯域通過型フィルタである。本発明に
よれば、図1(a)〜(c)の過程を経て、最終的に図1(d)
の能動素子を用いた両端抵抗終端型の梯子型フィルタを
構成する事ができる。
【0018】
【数1】
【0019】まず、(数1)で与えられた伝達関数をLCR
を用いた回路で合成する。両端抵抗終端型の梯子型フィ
ルタ構成で、直列/並列LC共振回路を用いて合成すると
図1(a)の結果が得られる。1,3が直列型LC共振器、2が並
列型LC共振器であり、1000が入力端の抵抗、1001が出力
端の終端抵抗である。
【0020】さて、抵抗成分を含まない理想的なLC共振
器は、トランジスタを用いた実回路で実現するのは難し
い。実回路では、LC共振器に抵抗成分が誤差成分として
混入する。LCR回路で合成される梯子型フィルタのLC共
振器は、抵抗成分を含まず、実回路として実現するのは
難しい。但し、フィルタの入出力端につくLC共振器だけ
は、入力端の抵抗または出力端の抵抗が接続されるた
め、等価的に抵抗成分を持つLC共振器と考えられ、この
問題はない。実際に図1(a)で合成された結果を検討す
る。直列型共振器1,3は、それぞれフィルタの入力端、
出力端についており、入力端の抵抗1000、出力端の抵抗
1001が直列に接続する形となっている。これに対し、並
列型共振器2が抵抗成分のない共振器となっており、こ
れが実回路で実現する場合に問題となる。
【0021】本発明では、問題となる直列型LC共振器に
対しては直列に抵抗を接続(図3(a)参照)し、並列型L
C共振器に対しては並列に抵抗を接続(図3(b)参照)す
る。抵抗の接続の様子を図3に示す。図1の例では、図
1(a)のLC共振器2に抵抗5を並列接続して図1(b)の抵抗5
を持つLC共振回路4とする。
【0022】ここで注意する必要があるのは、抵抗を接
続すると、フィルタの電気的特性の変化、例えば、入力
端子からみた入力インピーダンスや出力端子からみた出
力インピーダンス、フィルタのゲインが変化することで
ある。本発明では、フィルタの入出力端(図1(b)の1000,
1001)の抵抗の値を調整することでこの変化を吸収す
る。例えば、フィルタの通過域における、入力インピー
ダンス、出力インピーダンス、ゲインが変らないように
入出力端の抵抗調整することができる。特に、直列型LC
共振器を短絡し、並列型LC共振回路を開放した状態にお
いて入力インピーダンス、出力インピーダンス、ゲイン
が変らないようにすることで容易に抵抗値を決定する事
ができる。この条件を満たす抵抗値には自由度がある
が、できるだけ全ての抵抗値を同じにする方が、異なる
共振器の特性を同一にできるなどの利点があるため好ま
しい。また、LC共振器の実回路での実現性を引き下げな
いためにも、あまりにも高すぎる抵抗や低すぎる抵抗は
好ましくない。この意味からも、接続する抵抗を入出力
端の抵抗に対して同等の値に設定する事が好ましい。図
1の例では、出力端の抵抗1002の値を抵抗1001の抵抗値
(Ro)の2倍の抵抗値(2Ro)にし、抵抗5の値を同じ抵抗値
(2Ro)に設定している。これにより、抵抗5を接続した後
も帯域通過フィルタの中心周波数における入力インピー
ダンス、出力インピーダンス、ゲインは変化しない。
【0023】次に、フィルタの周波数特性を実現するよ
うにL,Cの値を決定すれば、図1(b)の回路が得られる。
【0024】図1(b)の回路が求まれば、後は、GM-Cやア
クティブフィルタなどの各フィルタの方式に応じて、フ
ィルタを合成する。図1の例では、GM-Cフィルタによ
り、このLCRの回路を実現する。まず、図1(b)のLCR回路
を、キルヒホッフの電流則、電圧則に基づいてシグナル
フローグラフで表現する(図1(c))。
【0025】次に、このシグナルフローグラフを実現す
るようにGM-Cフィルタを構成する(図1(d))。図1(d)で
は、20が電圧電流変換器,21が容量である。22,23,24
は、それぞれ、図1(c)の1000と1からなる直列型LCR共
振器、並列型LCR共振器4、1002と3からなる直列型LCR共
振器に相当する。これらは、抵抗成分を持つ損失性の共
振器である。
【0026】比較のために、抵抗を挿入する前の図1(a)
のLCR回路に基づいてフィルタを合成した例を図4に示
す。図4では、LC共振器に抵抗を接続せずに用いている
ため、共振器41が無損失の共振器となる。実回路では無
損失の共振器を作る事は難しいため、これにより、フィ
ルタの伝達関数に誤差が混入する。
【0027】GM-Cフィルタで無損失のLC共振器を構成す
る場合、電圧電流変換器20の出力抵抗が無限大であるこ
とが必要である。しかし、実際には、この出力抵抗が有
限の値をとり、これがGM-CフィルタのLC共振器の誤差要
因となる。これに対し、本発明により合成したフィルタ
では、前記無損失の共振器41は図1(d)の損失性の共振
器23で実現されている。共振器23では、共振器41に対し
て新たにパス25が付け加わっており、これが共振器の抵
抗成分となっている。この抵抗成分は、誤差要因となる
電圧電流変換器の出力抵抗と並列に接続されている。こ
の抵抗成分の抵抗値は、通常、電圧電流変換の出力抵抗
の抵抗値よりも大きい。このため、この抵抗成分が支配
的となり、電圧電流変換器の出力抵抗が見えなくなる。
したがって誤差要因も見えなくなり、伝達関数が正確に
実現できる。
【0028】さらに、本発明により合成したフィルタ
は、素子バラツキに対する特性の変動が少ない特徴を持
つ。実際、図4,図1(d)の回路で素子バラツキ特性(標
準偏差0.01%の時の素子値バラツキを示す)をシミュレ
ーションした結果を(表1)に示す。このように、本発明
によって合成したフィルタが中心周波数、バンド幅、群
遅延の何れも素子バラツキの感度が低い事がわかる。
【0029】
【表1】
【0030】以上のように本実施の形態によれば、3つ
のLC共振器1〜3を有する両端抵抗終端型の梯子型フィル
タを合成する場合、所望の伝達関数に基づいてLC共振器
を用いた梯子型フィルタを生成するステップと、前記LC
共振器のうち、並列型LC共振器に抵抗を並列に付加する
抵抗付加ステップと、該抵抗付加ステップに於いて、付
加された抵抗による電気特性の変化を吸収するために、
生成された前記梯子型フィルタの入力端又は出力端の抵
抗を調整する調整ステップとを備え、前記抵抗終端型の
梯子型フィルタを損失性の共振器を用いて実現する梯子
型フィルタの合成方法を用いることにより、前記調整ス
テップによって、LC共振器への抵抗付加に伴うフィルタ
の電気的特性変化(例えば増幅率や入出力インピーダン
スの変化)を吸収できる。また、抵抗を付加した実回路
に即したLC共振器を用いることで、LCRの回路から実回
路へ変換する際の誤差の混入を抑えることができる。さ
らに、理想的なLC共振器を用いないことにより、素子バ
ラツキに対する特性変化の少ないフィルタを合成するこ
とができる。
【0031】なお、4つ以上のLC共振器を有する両端抵
抗終端型の梯子型フィルタを合成する場合は、所望の伝
達関数に基づいてLC共振器を用いた梯子型フィルタを生
成するステップと、前記LC共振器のうち、直列型LC共振
器に第1の抵抗を直列に付加すると共に並列型LC共振器
に第2の抵抗を並列に付加する抵抗付加ステップと、該
抵抗付加ステップに於いて、付加された第1および第2
の抵抗による電気特性の変化を吸収するために、生成さ
れた前記梯子型フィルタの入力端又は出力端の抵抗を調
整する調整ステップとを備え、前記両端抵抗終端型の梯
子型フィルタを損失性の共振器を用いて実現すればよ
い。
【0032】なお、本実施の形態では、GM-Cフィルタを
用いた例を示したが、アクティブフィルタなどの他のア
ナログフィルタを用いても本発明により図1(b)の回路か
らフィルタを合成をする事が可能である。また、図1(b)
の回路をそのままLCRの受動フィルタで実現する事も可
能であり、この場合は、L素子が持つ抵抗成分によるフ
ィルタ特性の劣化を見えなくすることができる。
【0033】(実施の形態2)請求項3の発明に関わる実
施の形態について説明する。請求項3のフィルタは、請
求項1のフィルタ合成法で合成される両端抵抗終端型の
梯子型フィルタであり、共振器の抵抗成分を可変にし
て、外部から調整を可能にすることでフィルタのQ値を
可変にするという特徴を持つ。
【0034】図5(a)には、L,C,Rの回路で実現した回路
例を示す。本フィルタは、可変な損失成分を持つ直列LC
共振回路51と、可変な損失成分を持つ並列LC共振回路52
から構成され、その特徴は実施の形態1で示したよう
に、所望の伝達関数を誤差なく実現しやすい特徴を持
つ。ここで1003,1004は各々フィルタの入力端、出力端
の抵抗を示す。すなわち、図5(a)では、L素子に抵抗成
分が誤差成分として含まれていても、L素子に直列また
は並列に接続する可変抵抗によって、その誤差が見えな
くなる特徴を持つ。さらに、素子感度に対するフィルタ
の特性の変動が少ない。また、可変抵抗の抵抗値を変化
させれば、フィルタのQ値を変化することが可能であ
る。これによりよりQ値の精度を高める事が可能であ
り、また、可変なQ値を持つフィルタを実現することが
できる。
【0035】図5(b)には、2入力及び1入力の可変な損
失成分を持つLC共振器(61,62)を用いて両端抵抗終端型
の梯子型フィルタを構成した例を示す。2入力の可変な
損失成分を持つLC共振器(61)は、2つの入力信号の差ま
たは和をとったものに対し、損失性のLC共振特性の伝達
関数を掛けた信号を出力する回路である。LC共振特性の
損失成分は可変である。1入力の可変な損失成分を持つL
C共振器(62)は、LC共振器61の入力を1入力とした回路で
ある。本フィルタも、図5(a)の回路と同じ特徴を持
つ。すなわち、所望の伝達関数を誤差なく実現しやす
く、素子感度に対するフィルタの特性の変動が少なく、
また、共振器の損失成分を変化させれば、フィルタのQ
値を変化することが可能である。これによりQ値の精度
を高める事が可能であり、また可変なQ値を持つフィル
タを実現することができる。
【0036】2入力の可変な損失成分を持つLC共振器61
(図6(a))の実施の形態を図6(b),(c)に示す。この例
は、GM-Cフィルタによる構成例であり、電圧電流変換器
74と容量75、及び、可変抵抗76によって実現される。な
お、図6(c)の可変抵抗76は、抵抗値を可変にできる回
路であれば如何なる回路で実現しても構わない。
【0037】また、この可変抵抗を電圧電流変換器74の
出力抵抗そのもので代用しても構わない。GM-Cフィルタ
で構成する場合、理想的には電圧電流変換器の出力抵抗
が無限大でなければならない。しかし、無限大の出力抵
抗を実現する事は難しく、有限な出力抵抗が誤差要因と
なる。出力抵抗は、回路の電源電圧が低くなればなるほ
ど益々小さくなる傾向にあるため、低電圧の回路でGM-C
フィルタを作る事は難しい。しかし、本発明のフィルタ
の構成をとれば、電圧電流変換器の出力に抵抗が接続す
るため、電圧電流変換器の有限な抵抗が見えなくなる。
このため、本発明の梯子型フィルタは、低電圧において
も誤差なく所望の特性を出しやすい。言い替えれば、電
源電圧の変動にも強いフィルタを作りやすい。さらに、
GM-Cフィルタにおいては、高速なフィルタ、高いQ値の
フィルタを構成するしようとすると、電圧電流変換器に
多くの電流を流す必要があるため、出力抵抗が小さくな
ると言う傾向を持つ。これは、前述の場合と同様にフィ
ルタの誤差要因となる。本発明の構成のフィルタは、同
様の理由により、電圧電流変換器の有限な出力抵抗を見
えなくするため、高速で高いQ値の梯子型フィルタを実
現しやすい。
【0038】(実施の形態3)請求項4の発明に関わる実
施の形態について説明する。図7にフィルタの構成を示
す。基本的には図5(b)に示した両端抵抗終端型梯子型
フィルタであり、損失成分制御端子104,105を介してQ
値制御回路110が前記フィルタの共振器の損失成分を制
御する。この制御回路110により、フィルタのQ値を自動
チューニングすることが可能である。これによって、温
度や電源電圧の変動などの環境の変化によるフィルタの
特性の変化を補償できる。
【0039】なお図8に示すように、共振器61の共振周
波数を共振周波数制御端子106を介して制御する制御回
路120を本フィルタに設けて、帯域通過フィルタの中心
周波数や、低域通過フィルタのカットオフ周波数などを
可変にする事もできる。この場合は、フィルタの中心周
波数やカットオフ周波数までも精度良くチューニング
し、温度などの環境の変化によるフィルタの特性の変化
を補償できると言う特徴を持つ。この場合でも、本フィ
ルタの効果は何ら失われるものではない。また、さら
に、共振周波数の制御回路とQ値の制御回路で部分回路
を共有し、回路規模を縮小する事も可能である。この場
合でも、本フィルタの効果は何ら失われるものではな
い。
【0040】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1の発明に
係わる梯子型フィルタの合成方法では、実回路に即した
LCR回路を用いることで、LCR回路から実回路に変換した
過程で混入する誤差を小さく抑えることができ、精度良
く所望の伝達関数をもつフィルタを合成できる。これに
より、低電圧でも、高速に動作し高いQ値をもつ精度良
いフィルタを実現することができる。また、素子バラツ
キに対するフィルタ特性の変動も小さいという特徴を持
つ。
【0041】請求項3に係わるフィルタ回路では、両端
抵抗終端型の梯子型フィルタであって、前記梯子型フィ
ルタを構成する全ての共振器が可変な損失成分を持つ構
成を採用することで、低電圧でも所望の伝達関数を精度
良く表現することができ、高速動作、高いQ値に適し、
また、素子バラツキに対しても強いフィルタを提供する
ことができる。また、フィルタに含まれる共振器の損失
成分を制御する事でフィルタのQ値を可変にすることが
できる。
【0042】請求項4に係わるフィルタ回路では、損失
性の共振器の損失成分を制御する制御回路を備え、フィ
ルタのQ値を調整する構成を採用することで、Q値の自動
調整を行う事ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1に係る実施の形態1による梯子型フィ
ルタの合成方法を示した図
【図2】LC共振器の回路図
【図3】LC共振器への抵抗の接続方法を示した図
【図4】図1(a)のLCR回路に基づいて合成されたフィル
タの回路図
【図5】請求項3に係る両端抵抗終端型梯子型フィルタ
の回路図
【図6】2入力の可変損失性の共振器の具体回路図
【図7】請求項4に係わる梯子型フィルタの回路図
【図8】共振周波数制御回路を持つ請求項3に係わる梯
子型フィルタの回路図
【符号の説明】
1,3 直列LC共振回路 2 並列LC共振回路 4 並列LCR共振回路 20 電圧電流変換回路 21 容量 22,23,24 損失性のLC共振器 51 可変な損失成分を持つ直列LC共振回路 52 可変な損失成分を持つ並列LC共振回路 110 Q値制御回路 120 共振周波数制御回路 1000 フィルタの入力端の抵抗 1001,1002 フィルタの出力端の抵抗 1003 フィルタの入力端の抵抗 1004 フィルタの出力端の抵抗

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 両端抵抗終端型の梯子型フィルタの合成
    方法であって、 所望の伝達関数に基づいてLC共振器を用いた梯子型フィ
    ルタを生成するステップと、 前記LC共振器のうち、並列型LC共振器に抵抗を並列に付
    加する抵抗付加ステップと、 該抵抗付加ステップに於いて、付加された抵抗による電
    気特性の変化を吸収するために、生成された前記梯子型
    フィルタの入力端又は出力端の抵抗を調整する調整ステ
    ップとを備え、 前記抵抗終端型の梯子型フィルタを損失性の共振器を用
    いて実現することを特徴とする梯子型フィルタの合成方
    法。
  2. 【請求項2】 両端抵抗終端型の梯子型フィルタの合成
    方法であって、 所望の伝達関数に基づいてLC共振器を用いた梯子型フィ
    ルタを生成するステップと、 前記LC共振器のうち、直列型LC共振器に第1の抵抗を直
    列に付加すると共に並列型LC共振器に第2の抵抗を並列
    に付加する抵抗付加ステップと、 該抵抗付加ステップに於いて、付加された第1および第
    2の抵抗による電気特性の変化を吸収するために、生成
    された前記梯子型フィルタの入力端又は出力端の抵抗を
    調整する調整ステップとを備え、 前記両端抵抗終端型の梯子型フィルタを損失性の共振器
    を用いて実現することを特徴とする梯子型フィルタの合
    成方法。
  3. 【請求項3】 両端抵抗終端型の梯子型フィルタであっ
    て、前記梯子型フィルタを構成する全ての共振器が可変
    な損失成分を持つことを特徴とする梯子型フィルタ。
  4. 【請求項4】 損失性の共振器の損失成分を制御する制
    御回路を備え、フィルタのQ値を調整する請求項3記載
    の梯子型フィルタ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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