JPH10266012A - ポリエステル繊維の製造方法 - Google Patents
ポリエステル繊維の製造方法Info
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- JPH10266012A JPH10266012A JP7530997A JP7530997A JPH10266012A JP H10266012 A JPH10266012 A JP H10266012A JP 7530997 A JP7530997 A JP 7530997A JP 7530997 A JP7530997 A JP 7530997A JP H10266012 A JPH10266012 A JP H10266012A
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- oil
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- Spinning Methods And Devices For Manufacturing Artificial Fibers (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 ポリエステルの紡糸工程において、油剤付着
のバラツキを減少させ、U%、染斑等の品位を改善する
とともに、工程調子も改善する方法を提供する。 【解決手段】 紡糸口金より紡出されたポリエステルか
らなるマルチフィラメント糸条に冷却風を吹き付けて該
糸条をガラス転移温度以下に冷却し、開繊された状態の
該紡出糸条に油剤を付与させた後、該紡出糸条を集束さ
せて引取りローラーで引き取って巻き取るポリエステル
繊維の製造方法において、下記のA〜Cの要件を同時に
満足する事を特徴とするポリエステル繊維の製造装置で
ある。 A.紡出されて開繊状態にある糸条に対して、多孔質の
セラミックで形成され、かつその長さ(L)と直径
(D)との比L/Dが1以上4未満である油剤付与ロー
ラ上に形成された油膜との接触によって糸条に油剤を付
与し、その際B.糸条の油剤付与ローラとの接触幅が紡
糸口金直径に対して1/6以上2/3未満であって、且
つC.油剤付与位置及び集束位置が口金面より1500
mm未満であること。
のバラツキを減少させ、U%、染斑等の品位を改善する
とともに、工程調子も改善する方法を提供する。 【解決手段】 紡糸口金より紡出されたポリエステルか
らなるマルチフィラメント糸条に冷却風を吹き付けて該
糸条をガラス転移温度以下に冷却し、開繊された状態の
該紡出糸条に油剤を付与させた後、該紡出糸条を集束さ
せて引取りローラーで引き取って巻き取るポリエステル
繊維の製造方法において、下記のA〜Cの要件を同時に
満足する事を特徴とするポリエステル繊維の製造装置で
ある。 A.紡出されて開繊状態にある糸条に対して、多孔質の
セラミックで形成され、かつその長さ(L)と直径
(D)との比L/Dが1以上4未満である油剤付与ロー
ラ上に形成された油膜との接触によって糸条に油剤を付
与し、その際B.糸条の油剤付与ローラとの接触幅が紡
糸口金直径に対して1/6以上2/3未満であって、且
つC.油剤付与位置及び集束位置が口金面より1500
mm未満であること。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリエステルから
なるマルチフィラメント繊維を製造するための方法に関
する。更に、詳しくは、ポリエステルを溶融紡出し、一
旦ガラス転移温度以下に冷却した後、油剤付与すること
を特徴とするポリエステル繊維の製造方法に関する。
なるマルチフィラメント繊維を製造するための方法に関
する。更に、詳しくは、ポリエステルを溶融紡出し、一
旦ガラス転移温度以下に冷却した後、油剤付与すること
を特徴とするポリエステル繊維の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエステル繊維の製糸工程では、擦過
による毛羽の発生防止、糸条へのダメージを防止・低
減、及び後加工での工程安定化のために、オイル(油
剤)を付与するのが一般的でよく知られている。従来、
この種の油剤付与方法としては、油剤が入ったオイル槽
にローラーの一部を浸漬させて回転させ、ローラー表面
に均一な油膜を形成させ、該表面に糸条を接触走行させ
ることで、糸条に油剤を付与するオイリング・ローラー
方式がある。
による毛羽の発生防止、糸条へのダメージを防止・低
減、及び後加工での工程安定化のために、オイル(油
剤)を付与するのが一般的でよく知られている。従来、
この種の油剤付与方法としては、油剤が入ったオイル槽
にローラーの一部を浸漬させて回転させ、ローラー表面
に均一な油膜を形成させ、該表面に糸条を接触走行させ
ることで、糸条に油剤を付与するオイリング・ローラー
方式がある。
【0003】このオイリング・ローラー方式は、従来、
紡糸された多数錘(多数本)のマルチフィラメント糸条
に、1個のオイリング・ローラーにより油剤付与する方
式であるのに対して、セラミック製ガイドに設けられた
糸条走行溝に油剤を定量供給し、該溝を流下する油剤に
走行糸条を接触させて給油するガイド給油方式も慣用さ
れている。
紡糸された多数錘(多数本)のマルチフィラメント糸条
に、1個のオイリング・ローラーにより油剤付与する方
式であるのに対して、セラミック製ガイドに設けられた
糸条走行溝に油剤を定量供給し、該溝を流下する油剤に
走行糸条を接触させて給油するガイド給油方式も慣用さ
れている。
【0004】前掲のオイリング・ローラー方式は、前述
のように多数錘のマルチフィラメント糸条に対して油剤
の均一付着という点に特徴があってこの利点を活かした
使用方法が採られている。しかしながら、走行糸条に随
伴する空気流により油剤の入っているオイル槽の油剤が
波立ちが起こりやすく、また油剤付与ローラー上に形成
された油膜の均一付着を妨げる等の問題を惹起する。し
かも、この問題は、紡糸引取速度が高くなるほど発生し
易く、このためオイリング・ローラー方式は不適当とさ
れてきた。
のように多数錘のマルチフィラメント糸条に対して油剤
の均一付着という点に特徴があってこの利点を活かした
使用方法が採られている。しかしながら、走行糸条に随
伴する空気流により油剤の入っているオイル槽の油剤が
波立ちが起こりやすく、また油剤付与ローラー上に形成
された油膜の均一付着を妨げる等の問題を惹起する。し
かも、この問題は、紡糸引取速度が高くなるほど発生し
易く、このためオイリング・ローラー方式は不適当とさ
れてきた。
【0005】更には、油剤付与ローラーは形状が大きい
ため、設置位置等の問題で紡糸設備のコンパクト化が主
流となってきている昨今では、各錘毎に対応させて設置
が可能で、しかもコンパクト化も可能であって、さらに
は、設置位置も容易に変更できるガイド給油方式による
油剤付与方式が一般的になっている。また、特開昭58
−54013号公報に記載されているように、オイリン
グ・ローラー方式においては、高速紡糸、特に5000
m/分以上の高速紡糸では、公知の条件では安定した油
剤付着ができにくいという重大な問題を持っている。
ため、設置位置等の問題で紡糸設備のコンパクト化が主
流となってきている昨今では、各錘毎に対応させて設置
が可能で、しかもコンパクト化も可能であって、さらに
は、設置位置も容易に変更できるガイド給油方式による
油剤付与方式が一般的になっている。また、特開昭58
−54013号公報に記載されているように、オイリン
グ・ローラー方式においては、高速紡糸、特に5000
m/分以上の高速紡糸では、公知の条件では安定した油
剤付着ができにくいという重大な問題を持っている。
【0006】以上のような背景から、一般に、紡糸工程
における油剤付与方式に関しては、極細マルチフィラメ
ントにおいては、特開平6−346320号公報に提案
されているように、定量給油可能な給油ガイド(メタリ
ング・オイル)を使用しておこなわれている。そして、
該方式では、紡糸口金下距離150〜300cmに給油
ガイドを設置することで糸条に油剤を付与することが記
載されている。また、特開昭58−197304号公報
には、高速紡糸における給油ガイドによる油剤付与位置
を紡糸口金下より1000mm付近の距離にし、給油ガ
イドの接糸幅と接糸長とを規定することが記載されてい
る。更に、給油ガイドへの接糸長と接糸幅とを規定した
特開昭58−54013号公報においても、ガイド給油
方式が高速紡糸、特に、5000m/分以上の高速紡糸
には有効であることも記載されている。また、従来の高
速紡糸においては、紡糸口金下から集束ガイドにより紡
出糸条を集束する位置までの距離、即ち、集束長を短縮
することで、紡糸時の糸条が受ける空気抗力を低減さ
せ、安定的に巻取ることが行われてきた。
における油剤付与方式に関しては、極細マルチフィラメ
ントにおいては、特開平6−346320号公報に提案
されているように、定量給油可能な給油ガイド(メタリ
ング・オイル)を使用しておこなわれている。そして、
該方式では、紡糸口金下距離150〜300cmに給油
ガイドを設置することで糸条に油剤を付与することが記
載されている。また、特開昭58−197304号公報
には、高速紡糸における給油ガイドによる油剤付与位置
を紡糸口金下より1000mm付近の距離にし、給油ガ
イドの接糸幅と接糸長とを規定することが記載されてい
る。更に、給油ガイドへの接糸長と接糸幅とを規定した
特開昭58−54013号公報においても、ガイド給油
方式が高速紡糸、特に、5000m/分以上の高速紡糸
には有効であることも記載されている。また、従来の高
速紡糸においては、紡糸口金下から集束ガイドにより紡
出糸条を集束する位置までの距離、即ち、集束長を短縮
することで、紡糸時の糸条が受ける空気抗力を低減さ
せ、安定的に巻取ることが行われてきた。
【0007】しかしながら、高速紡糸で有効とされてい
る該ガイド給油方式においては、セラミック製の給油ガ
イドを使用して、接糸長が油剤付与ローラーに比べて短
いため、定位置に固定されているガイドの位置がずれた
り、斜めに設置されていたりすることによって、油剤の
付着斑が各錘毎で拡大され易い。また、油剤の付着が悪
くなると、走行糸条が給油ガイドに摩過されてスカムが
発生したり、糸条に与えるダメージが大きくなったり、
油剤の吐出孔へ随伴流が流れ込み不均一に油剤が吐出さ
れて油剤付着斑が発生したりする。
る該ガイド給油方式においては、セラミック製の給油ガ
イドを使用して、接糸長が油剤付与ローラーに比べて短
いため、定位置に固定されているガイドの位置がずれた
り、斜めに設置されていたりすることによって、油剤の
付着斑が各錘毎で拡大され易い。また、油剤の付着が悪
くなると、走行糸条が給油ガイドに摩過されてスカムが
発生したり、糸条に与えるダメージが大きくなったり、
油剤の吐出孔へ随伴流が流れ込み不均一に油剤が吐出さ
れて油剤付着斑が発生したりする。
【0008】更に、ガイド給油方式は、先に述べたよう
に短い長さで糸条を接触させて集束させるため、単繊維
間への油剤のマイグレーションが不足し易く均一付着が
難しい。また、集束位置を短縮化することにより紡糸張
力(空気抗力を低減させることによる)を下げ、高速製
糸でのポテンシャル(紡糸断糸等の工程調子及び製品の
巻姿等の品位)を向上させることが可能となるという利
点があるが、前記のような理由から糸導調整を厳密に管
理しなくてはならない。しかも、各錘毎の管理が必要と
なり、糸条への油剤の付着斑を管理して点検する上で、
オイリング・ローラー方式に比べて大きな欠点となって
いる。更に、油剤付着の異常な錘の確認が表立って見つ
けることが難しい等の点もガイド給油方式にはある。
に短い長さで糸条を接触させて集束させるため、単繊維
間への油剤のマイグレーションが不足し易く均一付着が
難しい。また、集束位置を短縮化することにより紡糸張
力(空気抗力を低減させることによる)を下げ、高速製
糸でのポテンシャル(紡糸断糸等の工程調子及び製品の
巻姿等の品位)を向上させることが可能となるという利
点があるが、前記のような理由から糸導調整を厳密に管
理しなくてはならない。しかも、各錘毎の管理が必要と
なり、糸条への油剤の付着斑を管理して点検する上で、
オイリング・ローラー方式に比べて大きな欠点となって
いる。更に、油剤付着の異常な錘の確認が表立って見つ
けることが難しい等の点もガイド給油方式にはある。
【0009】また、紡糸口金下から近い距離に糸条の集
束を兼ねる給油ガイドを設置した場合にあっては、特に
太い銘柄(単繊維デニールが太く尚且つ総デニールも太
い)であって、紡糸速度が低い場合には、紡出された糸
条が冷却された後、油剤を付与する時点での紡糸張力が
低くなりすぎ、油剤が均一に付着されず、単繊維が引き
揃わずに給油ガイドからはみ出してしまうことがある。
このため、ある程度の紡糸張力を調整できる給油方式が
必要になってきている。
束を兼ねる給油ガイドを設置した場合にあっては、特に
太い銘柄(単繊維デニールが太く尚且つ総デニールも太
い)であって、紡糸速度が低い場合には、紡出された糸
条が冷却された後、油剤を付与する時点での紡糸張力が
低くなりすぎ、油剤が均一に付着されず、単繊維が引き
揃わずに給油ガイドからはみ出してしまうことがある。
このため、ある程度の紡糸張力を調整できる給油方式が
必要になってきている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】以上に述べたような問
題に対して、本発明者らは、紡出されたポリエステルか
らなるマルチフィラメント糸条を冷却した後、油剤付与
する際に、均一に油剤を糸条へ付着させるために糸条の
単繊維を程よく開繊させ、製品の品位向上として紡糸張
力をある程度保ちながら巻取ることで尚且つ紡糸工程調
子も良好となることを見出し、本発明のポリエステル繊
維の製造方法と製造装置を完成するに至った。
題に対して、本発明者らは、紡出されたポリエステルか
らなるマルチフィラメント糸条を冷却した後、油剤付与
する際に、均一に油剤を糸条へ付着させるために糸条の
単繊維を程よく開繊させ、製品の品位向上として紡糸張
力をある程度保ちながら巻取ることで尚且つ紡糸工程調
子も良好となることを見出し、本発明のポリエステル繊
維の製造方法と製造装置を完成するに至った。
【0011】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、 (請求項1)紡糸口金より紡出されたポリエステルから
なるマルチフィラメント糸条に冷却風を吹き付けて該糸
条をガラス転移温度以下に冷却し、開繊された状態の該
紡出糸条に油剤を付与させた後、該紡出糸条を集束させ
て引取りローラーで引き取って巻き取るポリエステル繊
維の製造方法において、下記のA〜Cの要件を同時に満
足する事を特徴とするポリエステル繊維の製造方法であ
る。
なるマルチフィラメント糸条に冷却風を吹き付けて該糸
条をガラス転移温度以下に冷却し、開繊された状態の該
紡出糸条に油剤を付与させた後、該紡出糸条を集束させ
て引取りローラーで引き取って巻き取るポリエステル繊
維の製造方法において、下記のA〜Cの要件を同時に満
足する事を特徴とするポリエステル繊維の製造方法であ
る。
【0012】A.紡出されて開繊状態にある糸条に対し
て、多孔質のセラミックで形成され、かつその長さ
(L)と直径(D)との比L/Dが1以上4未満である
油剤付与ローラ上に形成された油膜との接触によって糸
条に油剤を付与し、その際 B.糸条の油剤付与ローラとの接触幅が紡糸口金直径に
対して1/6以上2/3未満であって、且つ C.油剤付与位置及び集束位置が口金面より1500mm
未満であること。
て、多孔質のセラミックで形成され、かつその長さ
(L)と直径(D)との比L/Dが1以上4未満である
油剤付与ローラ上に形成された油膜との接触によって糸
条に油剤を付与し、その際 B.糸条の油剤付与ローラとの接触幅が紡糸口金直径に
対して1/6以上2/3未満であって、且つ C.油剤付与位置及び集束位置が口金面より1500mm
未満であること。
【0013】また、本発明は、 (請求項2) 紡糸引取速度が2500m/分以上であ
る請求項1記載のポリエステル繊維の製造方法、 (請求項3) 前記の油剤付与ローラの紡出糸条との接
触部の上流部及び下流部に対して、糸条の随伴流が当た
らないようにして糸条に油剤を付与する請求項1又は請
求項2記載のポリエステル繊維の製造方法、及び (請求項4) 油剤付与ローラの直径を30〜100mm
とした請求項1〜3の何れか一項に記載のポリエステル
繊維の製造方法が提供される。
る請求項1記載のポリエステル繊維の製造方法、 (請求項3) 前記の油剤付与ローラの紡出糸条との接
触部の上流部及び下流部に対して、糸条の随伴流が当た
らないようにして糸条に油剤を付与する請求項1又は請
求項2記載のポリエステル繊維の製造方法、及び (請求項4) 油剤付与ローラの直径を30〜100mm
とした請求項1〜3の何れか一項に記載のポリエステル
繊維の製造方法が提供される。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明において、ポリエステルと
は、ポリエチレンテレフタレートを主たる対象とする
が、繰り返し単位が85モル%以上、好ましくは95モ
ル%以上がエチレンテレフタレートであるコポリエステ
ルや、或は、これらのポリエステルに他のポリマー、例
えば、ポリへキサメチレンテレフタレート、ナイロン−
6,6、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリブ
チレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリメチル
メタクリレート等を少量混合せしめたものでも良い。更
に、これらのポリエステルには、公知の添加剤、例え
ば、顔料、染料、艶消し剤、蛍光増白剤、難燃剤、安定
剤、紫外線吸収剤、滑剤、抗菌剤等を含んでも構わな
い。
は、ポリエチレンテレフタレートを主たる対象とする
が、繰り返し単位が85モル%以上、好ましくは95モ
ル%以上がエチレンテレフタレートであるコポリエステ
ルや、或は、これらのポリエステルに他のポリマー、例
えば、ポリへキサメチレンテレフタレート、ナイロン−
6,6、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリブ
チレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリメチル
メタクリレート等を少量混合せしめたものでも良い。更
に、これらのポリエステルには、公知の添加剤、例え
ば、顔料、染料、艶消し剤、蛍光増白剤、難燃剤、安定
剤、紫外線吸収剤、滑剤、抗菌剤等を含んでも構わな
い。
【0015】本発明で得られたポリエステルの固有粘度
IV(35℃のo−クロロフェノール溶液を使用して算
出)は、0.3〜1.0、特に0.5〜0.7の範囲が
適正である。
IV(35℃のo−クロロフェノール溶液を使用して算
出)は、0.3〜1.0、特に0.5〜0.7の範囲が
適正である。
【0016】上記ポリエステルは、例えば、図1(模式
正面図)及び図3(図1の要部拡大図)に示す工程によ
り直接紡糸することができる。該図において、1は紡糸
口金、2、3は紡糸引取ローラーであり、4は油剤付与
装置で、5はインターレース・ノズル装置、6は巻取
機、7は油剤付与ローラー駆動系、8は油剤供給皿、9
は集束ガイド、10は糸道固定ガイド、及び11は冷却
装置をそれぞれ示す。この時、紡糸引取ローラー2及び
3としては、直接紡糸延伸をする際には、加熱延伸ロー
ラーであっても構わない。また、該加熱延伸ローラーに
よって糸条の予熱及び延伸後の熱セットを十分に施すこ
とができるように2個1組(1対)の加熱ローラー2組
を組合わせても構わず、紡糸直接延伸を施さない非加熱
ローラーであっても構わない。
正面図)及び図3(図1の要部拡大図)に示す工程によ
り直接紡糸することができる。該図において、1は紡糸
口金、2、3は紡糸引取ローラーであり、4は油剤付与
装置で、5はインターレース・ノズル装置、6は巻取
機、7は油剤付与ローラー駆動系、8は油剤供給皿、9
は集束ガイド、10は糸道固定ガイド、及び11は冷却
装置をそれぞれ示す。この時、紡糸引取ローラー2及び
3としては、直接紡糸延伸をする際には、加熱延伸ロー
ラーであっても構わない。また、該加熱延伸ローラーに
よって糸条の予熱及び延伸後の熱セットを十分に施すこ
とができるように2個1組(1対)の加熱ローラー2組
を組合わせても構わず、紡糸直接延伸を施さない非加熱
ローラーであっても構わない。
【0017】更には、場合によっては、油剤付与装置4
の下に、先インターレース・ノズル装置を施しても構わ
なず、これによって糸条の走行速度が高速になればなる
ほど糸条の単繊維のバラケをなくし、ローラーへの巻き
付きを低減させる為の効果を発揮することができる。
の下に、先インターレース・ノズル装置を施しても構わ
なず、これによって糸条の走行速度が高速になればなる
ほど糸条の単繊維のバラケをなくし、ローラーへの巻き
付きを低減させる為の効果を発揮することができる。
【0018】ここで、本発明を適用する略紡糸工程から
巻取工程までの工程を簡単に説明する。先ず、前記のポ
リエステルを融点(Tm)から融点+50℃(Tm+5
0℃)位の温度で溶融し、該ポリエステルポリマーを紡
糸口金1から紡出する。ここで、紡糸口金1としては、
紡糸孔が円周上に一列に配列されたものや、紡糸孔が一
直線状に配列されたものが、紡出糸条を均一に冷却する
のが理想的である。しかしながら、実際には、紡糸装置
をコンパクトにしたり、吐出斑が発生しないようにする
ために、同心円状に2〜3列の吐出孔群が等配されてい
るのが現状であって、このような吐出孔配列を採用して
も、品質上大きく異なることや極端に悪くなるようなこ
とはない。なお、吐出孔群が格子状に配列されたものや
ダイヤモンド状(ひし形形状)に配列された紡糸口金で
も構わない。
巻取工程までの工程を簡単に説明する。先ず、前記のポ
リエステルを融点(Tm)から融点+50℃(Tm+5
0℃)位の温度で溶融し、該ポリエステルポリマーを紡
糸口金1から紡出する。ここで、紡糸口金1としては、
紡糸孔が円周上に一列に配列されたものや、紡糸孔が一
直線状に配列されたものが、紡出糸条を均一に冷却する
のが理想的である。しかしながら、実際には、紡糸装置
をコンパクトにしたり、吐出斑が発生しないようにする
ために、同心円状に2〜3列の吐出孔群が等配されてい
るのが現状であって、このような吐出孔配列を採用して
も、品質上大きく異なることや極端に悪くなるようなこ
とはない。なお、吐出孔群が格子状に配列されたものや
ダイヤモンド状(ひし形形状)に配列された紡糸口金で
も構わない。
【0019】紡糸口金1から紡出された糸条Yは、紡糸
冷却装置11により一旦ガラス転移温度(Tg)以下に
冷却される。次いで、このように冷却された糸条Yが単
繊維1本1本が十分な広がりを持つように開繊した状態
で均一に油剤を付与する必要がある。このような油剤付
与ローラー4としては、その表面が多孔質のセラミック
からなるロールが好ましく、金属製ロールに多孔性セラ
ミックをコーティング又は蒸着させたものでも構わな
い。このようにすることで、油剤がオイリング・ローラ
ー上に十分な油膜を形成させることができる。なお、ロ
ーラ表面は、金属メッキを施して梨地加工を施したもの
でも構わないが、走行糸条との接触摩擦によって経時変
化を起こしてローラーの表面が鏡面化し、油剤の均一付
着が難しくなる。しかしながら、このような場合であっ
ても、再メッキを施して梨地加工することにより、再度
使用する分には構わない。
冷却装置11により一旦ガラス転移温度(Tg)以下に
冷却される。次いで、このように冷却された糸条Yが単
繊維1本1本が十分な広がりを持つように開繊した状態
で均一に油剤を付与する必要がある。このような油剤付
与ローラー4としては、その表面が多孔質のセラミック
からなるロールが好ましく、金属製ロールに多孔性セラ
ミックをコーティング又は蒸着させたものでも構わな
い。このようにすることで、油剤がオイリング・ローラ
ー上に十分な油膜を形成させることができる。なお、ロ
ーラ表面は、金属メッキを施して梨地加工を施したもの
でも構わないが、走行糸条との接触摩擦によって経時変
化を起こしてローラーの表面が鏡面化し、油剤の均一付
着が難しくなる。しかしながら、このような場合であっ
ても、再メッキを施して梨地加工することにより、再度
使用する分には構わない。
【0020】また、本発明の方法では、油剤付与ローラ
ー4を油剤供給皿8中に浸漬させ、油剤付与ローラー駆
動系7によって油剤付与ローラー4を回転させることに
よって、連続的で均一な油膜を形成するに際して、紡出
糸条から発生する随伴流により油剤に波立ちを起こさな
いようにすることが好ましい。この随伴流の抑制のため
には、油剤付与ローラー直径を小さくし、且つ、紡出さ
れるマルチフィラメント糸条Yが急に集束されないよう
にし、これによって油剤付与ローラ4に糸条の随伴流が
当たらないようにすることが好ましい。即ち、マルチフ
ィラメントを構成する各単繊維の走行線が急激に絞り込
まれないように、徐々に絞り込まれるような糸導とする
必要がある。これを実現するためには、油剤付与ローラ
ー4のローラー幅(Dとする)に対するローラー長(L
とする)の比L/Dが1以上2未満であることが好まし
い。
ー4を油剤供給皿8中に浸漬させ、油剤付与ローラー駆
動系7によって油剤付与ローラー4を回転させることに
よって、連続的で均一な油膜を形成するに際して、紡出
糸条から発生する随伴流により油剤に波立ちを起こさな
いようにすることが好ましい。この随伴流の抑制のため
には、油剤付与ローラー直径を小さくし、且つ、紡出さ
れるマルチフィラメント糸条Yが急に集束されないよう
にし、これによって油剤付与ローラ4に糸条の随伴流が
当たらないようにすることが好ましい。即ち、マルチフ
ィラメントを構成する各単繊維の走行線が急激に絞り込
まれないように、徐々に絞り込まれるような糸導とする
必要がある。これを実現するためには、油剤付与ローラ
ー4のローラー幅(Dとする)に対するローラー長(L
とする)の比L/Dが1以上2未満であることが好まし
い。
【0021】もし、L/Dが1未満となると、マルチフ
ィラメント糸条Yの絞り込みが急激となって、多錘取り
において、両端錘がしごかれる形になり、均一な油剤付
着という点から見て好ましくない。また、L/Dが1未
満では、油剤付与ローラー4の直径が大きくなり、油剤
の波立ちが著しくなり、断糸の際に、糸条が油剤付与ロ
ーラー4に巻付き易くなって好ましくない。次に、L/
Dが2を越える場合には、錘間差を大きく採らざるを得
ず、作業スペースと設置スペースの面から好ましくな
く、更に重要なことには、ローラー長方向における油膜
の均一な形成が困難となり、油剤の付着斑が発生する。
ィラメント糸条Yの絞り込みが急激となって、多錘取り
において、両端錘がしごかれる形になり、均一な油剤付
着という点から見て好ましくない。また、L/Dが1未
満では、油剤付与ローラー4の直径が大きくなり、油剤
の波立ちが著しくなり、断糸の際に、糸条が油剤付与ロ
ーラー4に巻付き易くなって好ましくない。次に、L/
Dが2を越える場合には、錘間差を大きく採らざるを得
ず、作業スペースと設置スペースの面から好ましくな
く、更に重要なことには、ローラー長方向における油膜
の均一な形成が困難となり、油剤の付着斑が発生する。
【0022】更に、油剤付与ローラーの直径(D)は、
30〜100mmとするのが好ましく、特に好ましくは4
0〜70mmである。何故ならば、30mm未満では、油剤
付与ローラーの回転数が非常に高くなり過ぎて、油剤の
浸漬が均一とならず油剤の均一付着が難しいからであ
る。また、100mmを越えた場合には、紡出糸条から発
生する随伴流による油剤の波立ち現象が著しくなり、好
ましくない。
30〜100mmとするのが好ましく、特に好ましくは4
0〜70mmである。何故ならば、30mm未満では、油剤
付与ローラーの回転数が非常に高くなり過ぎて、油剤の
浸漬が均一とならず油剤の均一付着が難しいからであ
る。また、100mmを越えた場合には、紡出糸条から発
生する随伴流による油剤の波立ち現象が著しくなり、好
ましくない。
【0023】なお、この際に、紡出糸条Yが油剤付与ロ
ーラー(油剤付与装置)4に接触して形成される接糸幅
は、紡糸口金直径に対して1/6以上2/3未満である
ことが必要である。ここで、本発明における「紡糸口金
直径」とは、「二つの任意の吐出孔を選んだときの吐出
孔中心を結ぶ最大長さ」を指すものとする。このため、
例えば同心円状に吐出孔群を配列した紡糸口金では、吐
出孔がその上に配置される最外周円の直径を意味するこ
ととなる。
ーラー(油剤付与装置)4に接触して形成される接糸幅
は、紡糸口金直径に対して1/6以上2/3未満である
ことが必要である。ここで、本発明における「紡糸口金
直径」とは、「二つの任意の吐出孔を選んだときの吐出
孔中心を結ぶ最大長さ」を指すものとする。このため、
例えば同心円状に吐出孔群を配列した紡糸口金では、吐
出孔がその上に配置される最外周円の直径を意味するこ
ととなる。
【0024】本発明の方法においては、接糸幅が紡糸口
金直径に対して1/6未満となると、油剤付与ローラー
上での糸条の重なりが生じ易くなって、各単繊維への油
剤の均一付着が難しくなる。また、紡糸張力が下がり過
ぎて逆に単繊維間でバラケが生じ、引取ローラーに巻き
つく等の現象が生じて工程を乱すことになる。
金直径に対して1/6未満となると、油剤付与ローラー
上での糸条の重なりが生じ易くなって、各単繊維への油
剤の均一付着が難しくなる。また、紡糸張力が下がり過
ぎて逆に単繊維間でバラケが生じ、引取ローラーに巻き
つく等の現象が生じて工程を乱すことになる。
【0025】次に、接糸幅が2/3を越える場合には、
糸揺れが大きくなって単繊維の油剤付与ローラー上での
糸導固定が難しくなり、各単繊維への均一な油剤の付着
が難しくなり、単繊維切れや紡糸断糸につながる。ま
た、単繊維間の距離が離れれば離れるほど単繊維への空
気抗力が増すことになり、U%、染斑、巻姿、紡糸断糸
等の工程調子や品質への悪影響をきたす恐れが生じる。
そのため、あまり接糸幅を広くしすぎることも好ましく
ない。
糸揺れが大きくなって単繊維の油剤付与ローラー上での
糸導固定が難しくなり、各単繊維への均一な油剤の付着
が難しくなり、単繊維切れや紡糸断糸につながる。ま
た、単繊維間の距離が離れれば離れるほど単繊維への空
気抗力が増すことになり、U%、染斑、巻姿、紡糸断糸
等の工程調子や品質への悪影響をきたす恐れが生じる。
そのため、あまり接糸幅を広くしすぎることも好ましく
ない。
【0026】以上に述べた範囲に接糸幅を規制するため
には、油剤付与ローラー4下に、集束ガイド9を設け、
これによって接糸幅を規制することが好ましい。このと
き、該集束ガイド9の位置を上方或いは下方にスライド
させたり、ガイド自体に接糸幅を規制する機能を持たせ
ることによって接糸幅の変更と規制の調整を行うことが
好ましい。
には、油剤付与ローラー4下に、集束ガイド9を設け、
これによって接糸幅を規制することが好ましい。このと
き、該集束ガイド9の位置を上方或いは下方にスライド
させたり、ガイド自体に接糸幅を規制する機能を持たせ
ることによって接糸幅の変更と規制の調整を行うことが
好ましい。
【0027】ところで、本発明のの油剤付与方法では、
その油剤付与位置を紡糸口金より1500mm未満とする
ことを一大特徴としている。
その油剤付与位置を紡糸口金より1500mm未満とする
ことを一大特徴としている。
【0028】すなわち、本発明者が上記の様な条件を選
択する理由は、一般に慣用されてい「ガイド給油方式」
の最大の利点となっている低紡糸張力下での巻取が持つ
不利益を究明したことによる。つまり、図2に示すよう
なガイド給油方式では、却って紡糸張力が低くなりすぎ
て、単繊維間での油剤浸透が悪い場合(特に、単繊維デ
ニールが大きい場合)には、単繊維バラケが生じ易いと
いう問題を惹起するのである。この問題を解消するため
には、従来の常識に反して紡糸張力を低減するだけでな
く、適度な紡糸張力に調製することが必要となる。これ
を実現するために、本発明の油剤付与方法は前掲の「ガ
イド給油方式」を使用せずに、「オイリング・ローラー
方式」を敢えて採用し、その油剤付与位置を紡糸口金よ
り1500mm未満とするようにしたのである。これにに
よって、最適な紡糸張力を選択することができ、巻姿が
良好で、均一な油剤付着が可能となり、品位と工程調子
が向上したポリエステル繊維の製造方法を得ることを可
能としたのである。
択する理由は、一般に慣用されてい「ガイド給油方式」
の最大の利点となっている低紡糸張力下での巻取が持つ
不利益を究明したことによる。つまり、図2に示すよう
なガイド給油方式では、却って紡糸張力が低くなりすぎ
て、単繊維間での油剤浸透が悪い場合(特に、単繊維デ
ニールが大きい場合)には、単繊維バラケが生じ易いと
いう問題を惹起するのである。この問題を解消するため
には、従来の常識に反して紡糸張力を低減するだけでな
く、適度な紡糸張力に調製することが必要となる。これ
を実現するために、本発明の油剤付与方法は前掲の「ガ
イド給油方式」を使用せずに、「オイリング・ローラー
方式」を敢えて採用し、その油剤付与位置を紡糸口金よ
り1500mm未満とするようにしたのである。これにに
よって、最適な紡糸張力を選択することができ、巻姿が
良好で、均一な油剤付着が可能となり、品位と工程調子
が向上したポリエステル繊維の製造方法を得ることを可
能としたのである。
【0029】また、本発明の方法では2500m/分以
上で紡出糸条を引き取るが、好ましい紡糸引取速度は、
3000m/分以上である。なお、本発明のオイリング
・ローラー方式によると、高速でも、十分な低紡糸張力
が得られるが、従来の「ガイド給油方式」よりは、若干
紡糸張力は高くなる傾向がある。しかしながら、紡糸張
力の選択範囲が広くなって、工程調子、品質、糸導管理
等において好ましい。特に、3000m/分以上のPO
Y等のプロセスでは、紡糸巻取後に行う仮撚(DTY)
工程での断糸低減に有効となる。
上で紡出糸条を引き取るが、好ましい紡糸引取速度は、
3000m/分以上である。なお、本発明のオイリング
・ローラー方式によると、高速でも、十分な低紡糸張力
が得られるが、従来の「ガイド給油方式」よりは、若干
紡糸張力は高くなる傾向がある。しかしながら、紡糸張
力の選択範囲が広くなって、工程調子、品質、糸導管理
等において好ましい。特に、3000m/分以上のPO
Y等のプロセスでは、紡糸巻取後に行う仮撚(DTY)
工程での断糸低減に有効となる。
【0030】更に、高速領域である6000m/分程度
の領域では、本発明による油剤付与方法は、高速化に伴
う紡糸張力の上昇に対処して、油剤付与位置及び集束位
置を短縮化することで、紡糸張力を低減することが可能
となる。ここで、油剤付与位置及び集束位置の位置を変
更するための手段としては、公知の流体圧シリンダーを
使用して油剤付与装置や集束ガイドを移動自在にするこ
ともできる。また、図3に示すスライドフレーム16の
ようにボルト固定穴を長穴にして、調整代を持たせ、こ
れによって銘柄毎に油剤付与位置や集束位置を変更自在
としても構わない。
の領域では、本発明による油剤付与方法は、高速化に伴
う紡糸張力の上昇に対処して、油剤付与位置及び集束位
置を短縮化することで、紡糸張力を低減することが可能
となる。ここで、油剤付与位置及び集束位置の位置を変
更するための手段としては、公知の流体圧シリンダーを
使用して油剤付与装置や集束ガイドを移動自在にするこ
ともできる。また、図3に示すスライドフレーム16の
ようにボルト固定穴を長穴にして、調整代を持たせ、こ
れによって銘柄毎に油剤付与位置や集束位置を変更自在
としても構わない。
【0031】ただし、本発明ではオイリング・ローラー
方式を採用することを必須の要件とするため、従来のオ
イリング・ローラー方式のようにローラー長の全領域に
渡って油剤の付着斑が惹起しないようにすることも重要
である。このためには、油剤付与ローラー上での均一な
油膜の形成を妨げ、しかも油剤の波立ちの原因となる走
行糸条への随伴気流の抑制も重要である。そこで、本発
明では、油剤付与ローラと紡出糸条との接触部の上流部
及び下流部に対して、糸条の随伴流が当たらないよう
に、図3に示すようにカバー14を取り付けてある。な
お、このカバー14の副次的効果として、油剤飛散防止
も挙げることができる。
方式を採用することを必須の要件とするため、従来のオ
イリング・ローラー方式のようにローラー長の全領域に
渡って油剤の付着斑が惹起しないようにすることも重要
である。このためには、油剤付与ローラー上での均一な
油膜の形成を妨げ、しかも油剤の波立ちの原因となる走
行糸条への随伴気流の抑制も重要である。そこで、本発
明では、油剤付与ローラと紡出糸条との接触部の上流部
及び下流部に対して、糸条の随伴流が当たらないよう
に、図3に示すようにカバー14を取り付けてある。な
お、このカバー14の副次的効果として、油剤飛散防止
も挙げることができる。
【0032】更には、断糸した際に、糸条Yが油剤付与
装置4に巻き込まないようにするためと紡出糸条を糸掛
けするために糸落し作業を容易に行えるように、集束ガ
イド9が断糸時に断糸検出装置からの断糸信号により糸
条巻取るための設定位置から遠退く方向に離れる様な工
夫を施してもよい。このようにすれば、集束長を短縮化
する上での作業性を改善でき、このような作業を自動化
する上でも好適である。
装置4に巻き込まないようにするためと紡出糸条を糸掛
けするために糸落し作業を容易に行えるように、集束ガ
イド9が断糸時に断糸検出装置からの断糸信号により糸
条巻取るための設定位置から遠退く方向に離れる様な工
夫を施してもよい。このようにすれば、集束長を短縮化
する上での作業性を改善でき、このような作業を自動化
する上でも好適である。
【0033】
【実施例】以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を
更に、具体的に説明する。なお、実施例、比較例におけ
る力学的特性(一般物性)、工程調子の評価、判定並は
次のようにして行った。
更に、具体的に説明する。なお、実施例、比較例におけ
る力学的特性(一般物性)、工程調子の評価、判定並は
次のようにして行った。
【0034】(1)強伸度、60%応力 テンシロン引張試験器を用いて得られた荷伸曲線から求
めた。強伸度は、破断時の強度と伸度を示しており、6
0%応力は、試験糸、特にPOY糸で糸が60%伸長さ
れた時の応力(強度)を示している。また、直延及び5
000M/分以上の高速紡糸においては、60%応力と
同様な測定方法で、10%伸長された時の応力(強度)
を示しており、これは、仮撚条件決め及び織物製品のプ
レセット時の伸長応力の代替特性として用いられる。
めた。強伸度は、破断時の強度と伸度を示しており、6
0%応力は、試験糸、特にPOY糸で糸が60%伸長さ
れた時の応力(強度)を示している。また、直延及び5
000M/分以上の高速紡糸においては、60%応力と
同様な測定方法で、10%伸長された時の応力(強度)
を示しており、これは、仮撚条件決め及び織物製品のプ
レセット時の伸長応力の代替特性として用いられる。
【0035】(2)U% 計測器工業社製ウースター糸斑試験器を用いてハーフ・
イナートテストを行い、積分計により求めた。 (3)OPU 油剤の付着量を示し、油剤がついた糸条の重量と脱油し
た後の糸条の重量の比率で出し,この時、錘間のバラツ
キRを見た。
イナートテストを行い、積分計により求めた。 (3)OPU 油剤の付着量を示し、油剤がついた糸条の重量と脱油し
た後の糸条の重量の比率で出し,この時、錘間のバラツ
キRを見た。
【0036】(4)染斑 POY原糸を加工糸した後、メリヤス編みサンプルを染
色して、目視判定で1から5点評価を行った。点数が高
いほど染め上りが良い、つまり、染斑が少ないことを示
す。また、直延及び高速紡糸された糸条も同様に行っ
た。
色して、目視判定で1から5点評価を行った。点数が高
いほど染め上りが良い、つまり、染斑が少ないことを示
す。また、直延及び高速紡糸された糸条も同様に行っ
た。
【0037】(5)工程調子 1日、1錘当りの紡糸断糸回数を測定し、1週間ランニ
ングした際の平均で示し、次の基準で評価した。 ◎ : 0.5回未満 ○ : 0.5回以上1.0回未満 △ : 1.0回以上2.0回未満 × : 2.0回以上
ングした際の平均で示し、次の基準で評価した。 ◎ : 0.5回未満 ○ : 0.5回以上1.0回未満 △ : 1.0回以上2.0回未満 × : 2.0回以上
【0038】(6)総合判定 ◎ : 極めて良好 ○ : 良好 △ : やや不良 × : 不良
【0039】[実施例1〜4、比較例1〜6]図1〜3
に示す装置を用いて、酸化チタンを0.3重量%含有す
る、固有粘度が0.64のポリエチレンテレフタレート
を290℃で溶融し、外径64φで最外周径が54φに
ある吐出孔0.23φの36ホールの紡糸口金を使用し
て、表1に示す条件で紡糸を行った。なお、紡出された
マルチフィラメント糸条は、最終的に加工後75デニー
ルになるように製糸した。この時得られた結果を表2に
示す。
に示す装置を用いて、酸化チタンを0.3重量%含有す
る、固有粘度が0.64のポリエチレンテレフタレート
を290℃で溶融し、外径64φで最外周径が54φに
ある吐出孔0.23φの36ホールの紡糸口金を使用し
て、表1に示す条件で紡糸を行った。なお、紡出された
マルチフィラメント糸条は、最終的に加工後75デニー
ルになるように製糸した。この時得られた結果を表2に
示す。
【0040】なお、比較例6は、ガイド給油方式を採用
した場合(図2に示すとおり)を示している。
した場合(図2に示すとおり)を示している。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】表2から明らかなとおり、本発明によるポ
リエステル繊維の製造方法を採用することにより、従来
の方法と比較として、糸物性はあまり変わらないが、U
%、染斑、といった品位が優れ、工程調子的にも極めて
良好な結果が得られた。
リエステル繊維の製造方法を採用することにより、従来
の方法と比較として、糸物性はあまり変わらないが、U
%、染斑、といった品位が優れ、工程調子的にも極めて
良好な結果が得られた。
【0044】
【発明の効果】本発明によれば、ポリエステルの紡糸工
程において、均一に油剤付着を行えるオイリング・ロー
ラーにより、U%、OPUのバラツキ等の品質・品位が
向上し、しかも工程管理上においても、容易な糸導であ
り、なお且つ、工程も安定しているポリエステル繊維が
得られる。
程において、均一に油剤付着を行えるオイリング・ロー
ラーにより、U%、OPUのバラツキ等の品質・品位が
向上し、しかも工程管理上においても、容易な糸導であ
り、なお且つ、工程も安定しているポリエステル繊維が
得られる。
【図1】本発明の方法を実施するための工程を例示した
模式略線図である。
模式略線図である。
【図2】従来のガイド給油方式を採用した工程を例示し
た模式略線図である。
た模式略線図である。
【図3】本発明のオイリング・ローラー方式を例示した
要部拡大図である。
要部拡大図である。
1 紡糸口金 2、3 引取ローラー 4 油剤付与ローラー 5 インターレース・ノズル 6 巻取機 7 油剤付与ローラー駆動系 8 油剤供給皿 9 集束ガイド 10 糸道固定ガイド 11 冷却装置 Y 紡出糸条
Claims (4)
- 【請求項1】 紡糸口金より紡出されたポリエステルか
らなるマルチフィラメント糸条に冷却風を吹き付けて該
糸条をガラス転移温度以下に冷却し、開繊された状態の
該紡出糸条に油剤を付与させた後、該紡出糸条を集束さ
せて引取りローラーで引き取って巻き取るポリエステル
繊維の製造方法において、 下記のA〜Cの要件を同時に満足する事を特徴とするポ
リエステル繊維の製造装置。 A.紡出されて開繊状態にある糸条に対して、多孔質の
セラミックで形成され、かつその長さ(L)と直径
(D)との比L/Dが1以上4未満である油剤付与ロー
ラ上に形成された油膜との接触によって糸条に油剤を付
与し、その際 B.糸条の油剤付与ローラとの接触幅が紡糸口金直径に
対して1/6以上2/3未満であって、且つ C.油剤付与位置及び集束位置が口金面より1.5m未
満であること。 - 【請求項2】 紡糸引取速度が2500m/分以上であ
る請求項1記載のポリエステル繊維の製造方法。 - 【請求項3】 前記の油剤付与ローラの紡出糸条との接
触部の上流部及び下流部に対して、糸条の随伴流が当た
らないようにして糸条に油剤を付与する請求項1又は請
求項2記載のポリエステル繊維の製造方法。 - 【請求項4】 油剤付与ローラの直径を3〜10cmと
した請求項1〜3の何れか一項に記載のポリエステル繊
維の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7530997A JPH10266012A (ja) | 1997-03-27 | 1997-03-27 | ポリエステル繊維の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7530997A JPH10266012A (ja) | 1997-03-27 | 1997-03-27 | ポリエステル繊維の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10266012A true JPH10266012A (ja) | 1998-10-06 |
Family
ID=13572535
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP7530997A Pending JPH10266012A (ja) | 1997-03-27 | 1997-03-27 | ポリエステル繊維の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH10266012A (ja) |
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013535586A (ja) * | 2010-07-28 | 2013-09-12 | エーリコン テクスティル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト | 複数のマルチフィラメント糸を溶融紡糸し、延伸しかつ巻き上げる装置 |
US20140186538A1 (en) * | 2012-12-29 | 2014-07-03 | Unicharm Corporation | Method and apparatus for manufacturing cleaning member |
US9757882B2 (en) | 2012-12-29 | 2017-09-12 | Unicharm Corporation | Method of producing opened fiber bundle, and method of producing cleaning member, apparatus which opens fiber bundle, and system which produces cleaning member |
US9919501B2 (en) | 2012-12-29 | 2018-03-20 | Unicharm Corporation | Manufacturing method and manufacturing system for cleaning member |
US10098516B2 (en) | 2012-12-29 | 2018-10-16 | Unicharm Corporation | Method for producing cleaning member, and system for producing cleaning member |
US10638908B2 (en) | 2012-12-29 | 2020-05-05 | Unicharm Corporation | Method and system for manufacturing cleaning member |
CN115976663A (zh) * | 2022-11-30 | 2023-04-18 | 苏州帝达化纤机械制造有限公司 | 一种用于纺丝机的油唇装置 |
-
1997
- 1997-03-27 JP JP7530997A patent/JPH10266012A/ja active Pending
Cited By (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013535586A (ja) * | 2010-07-28 | 2013-09-12 | エーリコン テクスティル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト | 複数のマルチフィラメント糸を溶融紡糸し、延伸しかつ巻き上げる装置 |
US20140186538A1 (en) * | 2012-12-29 | 2014-07-03 | Unicharm Corporation | Method and apparatus for manufacturing cleaning member |
US9757882B2 (en) | 2012-12-29 | 2017-09-12 | Unicharm Corporation | Method of producing opened fiber bundle, and method of producing cleaning member, apparatus which opens fiber bundle, and system which produces cleaning member |
US9919501B2 (en) | 2012-12-29 | 2018-03-20 | Unicharm Corporation | Manufacturing method and manufacturing system for cleaning member |
US10098516B2 (en) | 2012-12-29 | 2018-10-16 | Unicharm Corporation | Method for producing cleaning member, and system for producing cleaning member |
US10568484B2 (en) | 2012-12-29 | 2020-02-25 | Unicharm Corporation | Method for producing cleaning member, and system for producing cleaning member |
US10638908B2 (en) | 2012-12-29 | 2020-05-05 | Unicharm Corporation | Method and system for manufacturing cleaning member |
CN115976663A (zh) * | 2022-11-30 | 2023-04-18 | 苏州帝达化纤机械制造有限公司 | 一种用于纺丝机的油唇装置 |
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