JPH10264399A - インクジェットプリントヘッドおよびその製造方法 - Google Patents

インクジェットプリントヘッドおよびその製造方法

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JPH10264399A
JPH10264399A JP7780697A JP7780697A JPH10264399A JP H10264399 A JPH10264399 A JP H10264399A JP 7780697 A JP7780697 A JP 7780697A JP 7780697 A JP7780697 A JP 7780697A JP H10264399 A JPH10264399 A JP H10264399A
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flow path
resin layer
concave portion
heater chip
ink
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JP7780697A
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Inventor
Katsuhide Ogawa
克秀 小川
Yukihisa Koizumi
幸久 小泉
Masaki Kataoka
雅樹 片岡
Naoshi Kotake
直志 小竹
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Fujifilm Business Innovation Corp
Original Assignee
Fuji Xerox Co Ltd
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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J2/00Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed
    • B41J2/005Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
    • B41J2/01Ink jet
    • B41J2/135Nozzles
    • B41J2/14Structure thereof only for on-demand ink jet heads
    • B41J2002/14362Assembling elements of heads

Landscapes

  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 流路形成部材とヒータチップとの接合を、簡
易に、しかも密着性よく接合できるインクジェットプリ
ントヘッドおよびその製造方法を提供する。 【解決手段】 流路形成部材1には個別流路6となる流
路溝を形成し、各流路溝を隔てる流路溝壁2の側面を傾
斜させて形成する。一方、ヒータチップ3上には樹脂層
5が形成されており、個別流路6間の樹脂層5には凹状
部8が設けられている。ヒータチップ3と流路形成部材
1とを接合する際には、ヒータチップ3と流路形成部材
1とを略位置決めした後、流路溝壁2を凹状部8に落と
し込み、嵌合させる。このとき、凹状部8を構成する樹
脂層5が流路溝壁2の傾斜した側面に当接し、接合す
る。流路溝壁2の先端部は凹状部8の底面に接する必要
はなく、ギャップ10が形成されていてよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ヒータチップと流
路形成部材を接合してなるインクジェットプリントヘッ
ドおよびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図2は、従来のインクジェットプリント
ヘッドの一例を示す流路断面図、図3は、流路形成部材
の一例を示す概略斜視図である。図中、1は流路形成部
材、2は流路溝壁、3はヒータチップ、4は発熱素子、
5は樹脂層、6は個別流路、7は気泡、11は流路溝、
12はインク噴射口、13は流路溝壁底部、14は共通
インク室用溝である。流路形成部材1には、図3に示す
ように、共通インク室用溝14に連通する個別流路6と
なる複数の流路溝11が形成されている。流路溝11の
間が流路溝壁2となる。この流路溝11及び流路溝壁2
の側面は斜面によって構成されている。また、流路形成
部材1にはインク噴射口12が形成されている。
【0003】一方、ヒータチップ3には、個別流路6に
対応して発熱素子4や、発熱素子4に電気的に接続され
る図示しない配線などが設けられている。その上に、少
なくとも流路形成部材1の流路溝壁2に対応する部分に
樹脂層5を形成する。そして、流路形成部材1とヒータ
チップ3とを接合する。このとき、流路形成部材1の流
路溝11とヒータチップ3の面とによって個別流路6が
形成される。また、流路形成部材1の流路溝壁底部13
が樹脂層5に当接し、各個別流路6を分離する。
【0004】このとき、流路形成部材1とヒータチップ
3との接する面が平坦であることが必要であった。特
に、流路溝壁底部13と樹脂層5の当接部分は、すべて
が良好に当接していないと、図2に矢線で示すように、
発熱素子4上で気泡7が成長する際の圧力によって押さ
れたインクが、流路溝壁底部13と樹脂層5の隙間から
隣接する個別流路6へ逃げてしまう。そのため、インク
噴射口12からインク滴が正常に飛翔しなかったり、隣
接するインク噴射口12から微小インク滴が飛翔するク
ロストークなどが発生し、画質不良の原因となる。
【0005】ヒータチップ3の上面には、上述のように
発熱素子4や図示しない配線などを形成するために、幾
重にも材料がパターニング形成されており、必ずしも平
坦ではない。そのため、図2に示すように厚膜の樹脂層
5を設けたり、保護層としてTa層を積層することによ
って、ヒータチップ3の上面を平坦にする方法が取られ
ている。しかし実際には、これらの層と流路形成部材1
の流路溝壁底部13とを十分に密着できない。さらに、
積層した層を研磨し、平坦性を向上させる方法も提案さ
れているが、コストに見合う性能は得られなかった。
【0006】一方、流路形成部材1の側にも問題があ
る。流路形成部材1は、例えばポリサルフォンまたはポ
リエーテルサルフォンまたはポリエーテルイミドなどを
金型成型で形成することができるが、加工精度や部材全
体の歪みなどから発熱素子4の並び方向に湾曲してしま
う。そのため、両端の流路溝壁底部13はヒータチップ
3上の樹脂層5に接するが、中央部は接しないという問
題がある。また、各々の流路溝壁底部13の平坦性を得
られにくいという問題もある。このように、流路形成部
材1とヒータチップ3の両者の理由から、流路形成部材
1とヒータチップ3の2つを接合する際に、接合部分の
すべてを密着させることは困難であった。
【0007】流路形成部材1とヒータチップ3の接合部
分は、通常、エポキシ系またはシリコーン系の接着剤を
用いて接着している。上述のように密着しない部分があ
る場合、その部分を基準に接着剤を厚く塗ることによっ
て、密着しない部分の封止を行なうことが考えられる。
しかし、密着しない部分を基準に接着剤を塗布すると、
接合時に本来密着の良い部分に塗られた接着剤がはみ出
て個別流路6を閉塞し、インクの流れを妨げたり、発熱
素子4の表面を覆い、気泡7の発生を妨げ、インクが吐
出できなくなるという問題があった。また、熱を与えて
硬化させる工程を必要とする接着剤を用いた場合は、流
路形成部材1が加熱によって膨張し、流路溝壁当接部が
ずれ、インク噴射口12と発熱素子4の位置関係が変化
してしまい、正常に吐出しない場合が発生するなどの問
題もあった。
【0008】このような接着剤による不具合を回避する
ため、流路形成部材1を例えばばね部材の押圧力により
ヒータチップ3に押しつけ、接合させる方法も用いられ
ている。しかし、ばね部材の押圧力だけではインクが外
部へ漏れないように接合させることは困難であった。そ
のため、流路形成部材1とヒータチップ3を接合させた
周囲に封止剤を注入し、インクが漏れないようにする
が、やはり、流路形成部材1とヒータチップ3が密着し
ない場合、そこから封止剤が個別流路6内に進入し、個
別流路を閉塞する問題が発生していた。
【0009】また、押圧力のみによる組立方法では、輸
送または保管時の環境温度変化や、インクをインク噴射
口12より吐出させるために発熱素子4で発生する熱の
蓄熱などにより、例えば流路形成部材1が樹脂で作られ
ていると、流路形成部材1が膨張し、流路形成部材1が
ヒータチップ3から位置ズレを起こし、インク噴射口1
2と発熱素子4の位置関係が変化してしまい、正しくイ
ンク滴が飛翔しないという問題も発生していた。
【0010】本発明と関連する技術として、例えば特開
平8−300656号公報には、複数の異なるインクを
用い、各インクが供給される共通インク室の間におい
て、天板側に分離壁部を設け、基板側に封止材流れ止め
部材を設け、この封止材流れ止め部材によって分離壁部
を挟持し、隣接する共通インク室を分離する旨が記載さ
れている。しかしこの構成は、基本的に封止材によって
天板と基板を接合し、共通インク室を分離するものであ
り、分離壁部に封止材注入溝部を設けるなど構造が複雑
であり、微細な各個別流路の分離には適用できない。ま
た、個別流路の分離に封止材を必須とすると、上述のよ
うに封止材の回り込みなどによって個別流路の閉塞が問
題となる。
【0011】また別の技術として、例えば特開平7−8
1072号公報には、基板上の発熱素子を囲むバリヤー
層を、天板の開口部に挿入して天板と基板を接合する構
成が記載されている。この文献では、どのようにして天
板と基板を接合するかは必ずしも明確ではないが、天板
の開口部の間の部分は、直接、基板に当接する構成が示
されており、やはり天板と基板の密着性が問題となる。
また、接着剤を用いた場合には、その接着剤が発熱素子
上に回り込み、噴射不能となる可能性がある。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した事
情に鑑みてなされたもので、流路形成部材とヒータチッ
プとの接合を、簡易に、しかも密着性よく接合できるイ
ンクジェットプリントヘッドおよびその製造方法を提供
することを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、ヒータチップ
と流路形成部材とを接合する際に、流路形成部材に形成
する個別流路溝間の傾斜した流路溝壁を、ヒータチップ
に樹脂層で形成した凹状部に嵌合させ、凹状部の先端の
樹脂層の角部が流路溝壁の傾斜した側面に当接させて密
着させることを特徴とするものである。
【0014】
【発明の実施の形態】図1は、本発明のインクジェット
プリントヘッドの第1の実施の形態を示す発熱素子の配
列方向の断面図、図4は、同じくヒータチップの平面
図、図5は、同じくインク流路方向の断面図である。図
中、図2、図3と同様の部分には同じ符号を付して説明
を省略する。8は凹状部、9は角部、10はギャップで
ある。なお、図1(B)には図1(A)の一部拡大図を
示し、図5(A)は図4のA1−A1’断面図を、図5
(B)は図4のB1−B1’断面図を示している。
【0015】流路形成部材1は、上述の図3に示した構
造と同様の構造をしており、流路溝11、インク噴射口
12等が形成される。流路溝11の側壁、すなわち流路
溝壁2の側壁は斜面によって構成されている。
【0016】また、ヒータチップ3上には、個別流路6
に対応して発熱素子4が形成され、また、図示しない配
線等も形成されている。さらに、発熱素子4を駆動する
ための駆動回路なども形成される場合がある。さらに、
樹脂層5が形成されている。樹脂層5は、発熱素子4上
と、流路形成部材1のインク噴射口12の部分が当接す
る図4中の左端部分と、凹状部8の部分が除去されてい
る。なお、凹状部8は、この例ではその側面が斜面によ
って形成されている。この斜面のテーパー角度は、流路
形成部材1の流路溝壁2の側面のテーパー角度とほぼ同
じか、あるいは、それよりも鋭角となるように形成され
ている。また、この凹状部8の底部は、図示したように
樹脂層5が完全に除去されていなくてもよい。もちろ
ん、完全に除去されていてよいことは言うまでもない。
凹状部8の最上部の幅aは、隣接する発熱素子4の中心
間距離bから発熱素子4の幅cを引いた距離よりも小さ
くなるように形成されている。
【0017】流路形成部材1とヒータチップ3が接合さ
れてインクジェットプリントヘッドが構成されている。
このとき、ヒータチップ3の凹状部8に流路形成部材1
の流路溝壁2が挿入、嵌合される。このとき、上述のよ
うに凹状部8の側面のテーパー角度が、流路形成部材1
の流路溝壁2の側面のテーパー角度とほぼ同じか、ある
いは、それよりも鋭角となるように形成されているの
で、流路溝壁2の側面と、凹状部8の側壁あるいは凹状
部8の最上部である角部9とが当接する。これによっ
て、個別流路6間の流路形成部材1とヒータチップ3と
の接合が図られる。
【0018】この接合によって流路溝壁2の頂部は凹状
部8の底面に接触してもしなくてもよい。たとえ凹状部
8の底面に流路溝壁底部13が接触せず、図5に示すよ
うにギャップ10が形成されていても、流路溝壁2の側
面に樹脂層5の面あるいは角部9が当接しているので、
個別流路6を良好に分離することができる。また、流路
溝壁底部13が凹状部8の底面に接触しなくてよいの
で、例えばヒータチップ3の面が平坦でなくても、流路
溝壁2と樹脂層5が良好に接合され、ヒータチップ3の
面の影響を受けることはない。このように、個別流路6
の間において、流路形成部材1とヒータチップ3とが良
好に接合されるので、発熱素子4上で形成された気泡の
成長時の圧力で押されたインクが流路形成部材1とヒー
タチップ3との接合部から隣接する個別流路6に逃げる
ことを防止し、インク噴射口12よりインク滴を確実に
飛翔させることができる。
【0019】次に、本発明のインクジェットプリントヘ
ッドの第1の実施の形態におけるインクジェットプリン
トヘッドの製造方法の一例を説明する。図6は、本発明
のインクジェットプリントヘッドの第1の実施の形態に
おけるヒータチップ上の樹脂層の形成工程の一例の説明
図、図7は、同じく形成された流路溝壁及び凹状部のテ
ーパー角度の説明図である。図中、21はエキシマレー
ザ光、22はマスクである。ヒータチップ3上に発熱素
子4や配線などを形成後、例えば感光性樹脂を積層し、
所望の形状のマスクを重ねて露光し、現像を行ない、発
熱素子4上や、流路形成部材1と当接する図4中の左端
部分など、不要部分を除去し、熱などを与えて硬化を行
ない、樹脂層5を形成する。樹脂層5は、具体例として
は2〜10μmの厚みとすることができる。
【0020】樹脂層5を形成した後のヒータチップ3の
発熱素子4の並び方向の断面を図6(A)に示してい
る。この例では、この時点でまだ凹状部8は形成されて
いない。その後、図6(B)に示すように、積層形成さ
れた樹脂層5に対して、マスク22を用いて凹状部の溝
にエキシマレーザ光21を照射し、アブレーション加工
により凹状部8を形成する。作製された凹状部8は、図
7に示すように、エキシマレーザ光21によるアブレー
ション加工の特徴から、5゜〜9゜のテーパ角度θ0
有する溝状に形成される。
【0021】流路形成部材1は、材料として例えばポリ
サルフォンまたはポリエーテルサルフォンまたはポリエ
ーテルイミドなどを用い、金型成型で形成する。このと
き、金型を抜くため、図7に示すように、流路溝壁2は
金型を抜く方向にテーパ角度θ1 が付けられた形状に作
製される。もちろん、流路形成部材1の外形を成形後、
流路溝11を例えばレーザ加工して形成してもよい。流
路溝壁2のテーパー角度θ1 は、金型成型加工の特徴か
ら例えば9゜以下のテーパ角度θ1 がつけられる。この
テーパー角度θ1 は、上述の凹状部8のテーパー角度θ
0 との関係がθ0 ≦θ1 となるように流路溝壁2を作製
する。インク噴射口12は、成形後、流路溝11側から
エキシマレーザ光を照射し、アブレーション加工により
形成することができる。
【0022】このようにして作製された流路形成部材1
とヒータチップ3とを略位置決めし、流路溝壁2が凹状
部8に落とし込まれるように両者を移動して接合位置を
決定する。そして両者を圧接し、凹状部8に流路溝壁2
を嵌合させる。このように、流路形成部材1とヒータチ
ップ3の接合時の位置決めは、精密に行なう必要はな
く、概略の位置決めのみで流路溝壁2を凹状部8に落と
し込めば正確に位置を合わせることができる。従って、
流路形成部材1とヒータチップ3の接合は非常に簡単に
行なうことができる。また、流路溝11と発熱素子4の
位置は流路溝壁2と凹状部8の嵌合によって正確に決定
されるので、発熱素子4と個別流路6の位置ずれなどは
なく、品質の揃ったインクジェットプリントヘッドを製
造することができる。
【0023】流路形成部材1とヒータチップ3との接合
の際に、流路形成部材1の流路溝壁2をヒータチップ3
の凹状部8に挿入してゆくと、流路溝壁2の幅と凹状部
8の幅が一致したところで当接し、固定されることにな
る。特に、流路溝壁2のテーパー角度θ1 が凹状部8の
テーパー角度θ0 よりも大きい場合、流路溝壁2の幅が
凹状部8の最上部の開口幅となる位置まで挿入されて、
流路溝壁2に樹脂層5の角部9が当接し、固定される。
また、テーパー角度が同じ場合、流路溝壁底部13の幅
と凹状部8の幅がほぼ一致する位置で流路溝壁2の側面
と凹状部8の側面とが当接し、固定される。これによっ
て流路溝壁2と凹状部8の間で密着性が得られた。
【0024】この接合方法では、必ずしも流路溝壁底部
13が凹状部8の底面に接するとは限らないため、凹状
部8の底面やその下部のヒータチップ3の上面、流路溝
壁底部13の平坦性がなくても、支障無く流路形成部材
1とヒータチップ3との接合を行なうことができる。ま
た、各流路溝壁2または凹状部8の加工精度が悪く、幅
が均一にならないときでも、流路溝壁2と凹状部8を嵌
合させた後に流路形成部材1とヒータチップ3とを圧接
することによって、凹状部8の幅が狭い場所や流路溝壁
2の幅が大きい部分での嵌合部において、樹脂層5の角
部9を流路溝壁2に食い込ませることができる。これに
よって、他の嵌合部においても流路溝壁2に樹脂層5を
当接させることができ、すべての流路溝壁2における樹
脂層5との接合を行なうことができ、接合不良によって
空隙が発生するといった問題も発生しなかった。
【0025】これにより、発熱素子4で発生した気泡の
成長時の圧力が、流路溝壁2と凹状部8の接合部から逃
げることがなくなり、インクを噴射するための適正な圧
力が確保されて、正常にインクの噴射を行なうことがで
きた。
【0026】最後に、ヒータチップ3のインク噴射口1
2側の側面と流路形成部材1との隙間に封止剤を注入
し、この部分の封止を行なう。上述のように、流路溝壁
2と凹状部8を嵌合させたとき、流路溝壁底部13が凹
状部8の底面に接しない場合がある。このときのギャッ
プ10の高さは、具体例としては0.5〜5μm程度で
ある。封止剤として例えば低粘度の封止材を用いた場
合、毛管力によってヒータチップ3の側面と流路形成部
材1の隙間に充填されるとともに、流路溝壁底部13と
凹状部8の底面の間のギャップ10にも流れ込み、この
部分にも充填され、良好に封止を行なうことができた。
しかし、流路溝壁2の側壁と凹状部8とが当接している
ため、個別流路6内へ封止剤が回り込むことはない。封
止剤は、その充填量の制御が難しいが、封止剤を過剰に
充填しすぎても、過剰な封止剤は毛管力によりギャップ
10が吸収するため、インク噴射口12側に封止剤があ
ふれ出ることがなくなった。さらに、インク噴射口12
の発熱素子4側の下部とヒータチップ3との接合部に不
具合が発生し、従来であればその部分から気泡の成長に
よるインク噴射圧力が逃げ、クロストークが発生してい
た場合であっても、その接合部に封止剤が充填されるこ
とにより、ある程度のものが補修されて、インクジェッ
トプリントヘッドの作製時における不良率を低減するこ
とができた。
【0027】図8は、本発明のインクジェットプリント
ヘッドの第2の実施の形態を示すヒータチップの平面
図、図9は、同じくインク流路方向の断面図である。図
9(A)は図8のA2−A2’断面図を、図9(B)は
図8のB2−B2’断面図を示している。図中、31は
絞り部である。この第2の実施の形態では、流路形成部
材1の各流路溝11に絞り部31を設けるとともに、イ
ンク噴射口12を発熱素子4の面に対して斜め方向に穿
設し、さらに、ヒータチップ3上に形成した樹脂層5を
発熱素子4の前後の部分も除去した例を示している。
【0028】図8に示すように、ヒータチップ3上に
は、発熱素子4上とともにその前後の部分もエッチング
工程において除去しておく。この例でも、凹状部の作製
にはエキシマレーザを用いた。
【0029】流路形成部材1は、図9に示すように、各
流路溝11の共通インク室用溝14に連通する部分に絞
り部31を形成している。この絞り部13は、流路溝1
1とともに成形やレーザ加工によって形成することがで
きる。また、インク噴射口12は、絞り部13にレーザ
ー光があたらないように、発熱素子4に対して斜め方向
に穿設している。そのため、インク噴射口12の外部へ
の開口部は斜面で構成されている。
【0030】このような流路形成部材1とヒータチップ
3とを、上述の第1の実施の形態と同様に、流路溝壁2
と凹状部8とを嵌合させ、流路溝壁2の側面と樹脂層5
とを当接させて接合する。この接合部の構造は上述の第
1の実施の形態と同様であり、その効果も第1の実施の
形態と同様の効果を得ることができる。
【0031】この第2の実施の形態で示した構成では絞
り部31を有しているので、発熱素子4上で発生する気
泡7の成長時の圧力が共通インク室側へ伝播するのを低
減し、圧力をインク滴の噴射に有効に利用できるととも
に、共通インク室を介して他の個別流路6へ圧力が伝播
して生じるクロストークを低減することができる。ま
た、発熱素子4のインク噴射口12側の樹脂層5を除去
しているので、発熱素子からインク噴射口12に至るイ
ンクの流路の断面積が大きくなり、流路抵抗が低くなる
ので、インク滴の噴射に要するエネルギー量を低減で
き、効率のよいインクジェットプリントヘッドを構成で
きる。
【0032】一方でこの絞り部31によって流路抵抗が
高くなり、インク滴を噴射後に共通インク室側から発熱
素子4上へのインクの供給が阻害されるが、発熱素子4
の共通インク室側の樹脂層を除去し、断面積を大きくし
て流路抵抗を低減しているため、インクの再供給にはそ
れほど影響を及ぼさない。
【0033】図4に示した第1の実施の形態における樹
脂層5のパターンを用い、この第2の実施の形態におけ
る流路形成部材1の構成を用いることもできる。このよ
うな構成に比べ、この第2の実施の形態の構成では、発
熱素子4の前後に樹脂層5がないので、個別流路の内容
積を大きくすることができ、流路抵抗が減り、インク再
供給を高速に行なうことができる。そのため、噴射周波
数を高くすることができ、より高速印字が可能になる。
【0034】図10は、本発明のインクジェットプリン
トヘッドの第3の実施の形態を示すヒータチップの平面
図、図11は、同じくインク流路方向の断面図である。
図11(A)は図10のA3−A3’断面図を、図11
(B)は図10のB3−B3’断面図を示している。こ
の第3の実施の形態では、上述の第2の実施の形態にお
ける構成において、ヒータチップ3上の樹脂層5を流路
形成部材1の共通インク室用溝14に対応する部分も除
去した例を示している。この部分の除去は、発熱素子4
上とともにエッチング工程において行なうことができ
る。また、この例においても、凹状部8はエキシマレー
ザを用いたアブレーション加工によって作製することが
できる。
【0035】この第3の実施の形態で示した構成のよう
に、発熱素子4の後部及び各個別流路6を結ぶ共通イン
ク室に積層されていた樹脂層5を除去することにより、
インク滴を噴射した後に再度インクを供給する際に、樹
脂層5の段差によるインクの流れのうねりなどがなくな
り、よどみなくスムーズにインクが供給できるようにな
る。また、これによりインクを図示しないインク貯蔵部
からインク吸引動作により供給する際に、従来は泡を抱
き込み、しばしば個別流路が閉塞されるなどしてインク
噴射不良の原因となっていたが、第3の実施の形態では
これが改善され、印字画質不良率を減らすことができ
た。
【0036】図12は、本発明のインクジェットプリン
トヘッドの第4の実施の形態を示す発熱素子の配列方向
の断面図である。この例では、ヒータチップ3上に形成
する凹状部8をエッチング工程で形成する例を示してい
る。なお、流路形成部材1の構成や、ヒータチップ3上
に形成する樹脂層5のパターンは、上述の第1〜第3の
実施の形態のいずれの構成であってもよい。
【0037】この例では、凹状部8の側壁はヒータチッ
プ3の面に対してほぼ直角に形成される。流路形成部材
1の流路溝壁2は、成形加工の際にテーパー角度を有す
る斜面として形成されるので、流路形成部材1とヒータ
チップ3との接合によって図12(B)に示すように凹
状部8の最上部の角部9が流路溝壁2の側面に当接し、
この部分の接合が行なわれる。この場合にも、流路溝底
部13は凹状部8の底面であるヒータチップ3の表面と
当接する必要はなく、ギャップ10が形成されていてよ
い。
【0038】次に、本発明のインクジェットプリントヘ
ッドの第4の実施の形態における製造工程の一例につい
て説明する。なお、流路形成部材1の製造工程は、例え
ば上述の第一の実施の形態と同様であるので、ここでは
省略する。図13は、本発明のインクジェットプリント
ヘッドの第4の実施の形態におけるヒータチップ上の樹
脂層の形成工程の一例の説明図である。図中、41は露
光マスクである。ヒータチップ3上に発熱素子4や配線
などを形成後、図13(A)に示すように樹脂層5とな
る例えば感光性樹脂を積層し、図13(B)に示すよう
に所望の形状の露光マスク41を重ねて露光し、現像を
行なう。このとき、露光マスク41には、凹状部8に対
応する部分もマスクされるようにその形状が設定されて
いる。このような工程によって、発熱素子4上や、凹状
部8に対応する部分の樹脂が除去され、図13(C)に
示すような樹脂層5が形成される。なお、同一工程にお
いて、その他の不要部分、例えば図4に示した樹脂層5
のパターンでは流路形成部材1と当接する図4中の左端
部分なども除去する。その後、熱などを与えて樹脂層5
を硬化させる。
【0039】このようにして形成された凹状部8は、こ
の工程の性質上、凹状部8の最上部と底部における幅は
ほぼ同一となる。なお、図13(C)において、樹脂層
5の角部が尖っているのは、樹脂層5の熱硬化による収
縮によって中央部が凹んだことによって形成されたもの
である。
【0040】図14は、本発明のインクジェットプリン
トヘッドの第4の実施の形態における流路溝壁の幅と凹
状部の幅の関係の説明図である。このようにして作製さ
れたヒータチップ3と流路形成部材1とを略位置決め
し、流路形成部材1の流路溝壁2をヒータチップ3の凹
状部8に挿入してゆく。凹状部8の幅aは上部から底部
までほぼ一定であるが、流路溝壁2の側面にはテーパー
が付けられている。そのため、流路溝壁底部13の幅を
凹状部8の幅aより少しだけ小さくしておけば、流路溝
壁2の幅がaと等しくなった位置で流路溝壁2の側面と
凹状部8の最上部の角部9とが当接し、その位置で固定
される。このとき、流路溝壁底部13がヒータチップ3
の上面に接しなくてもよい。これににより、ヒータチッ
プ3の上面と流路溝壁底部13の平坦性がなくても、作
製上の問題はない。
【0041】また、特に各流路溝壁2の加工精度が悪
く、幅が均一にならないときでも、流路形成部材1とヒ
ータチップ3とを接合した後に十分に圧接することで、
流路溝壁2の幅が大きい部分の接合部において、樹脂層
5の角部9を流路溝壁2に食い込ませることができるた
め、他の接合部で接合できないという問題も回避するこ
とができる。
【0042】このようにして流路溝壁2と凹状部8で良
好に接合されるので、発熱素子4で発生した気泡の成長
時の圧力が、流路溝壁2と凹状部8の接合部から逃げる
ことがなくなり、インクを噴射するための適正な圧力が
確保されるため、正常にインク滴の噴射を行なうことが
できる。
【0043】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、流路形成部材の流路溝壁をヒータチップ上の
凹状部に嵌合させ、その際に凹状部を形成する前記樹脂
層が流路溝壁の傾斜している側面に当接するように構成
したので、流路形成部材とヒータチップとを良好に接合
することができる。そのため、発熱素子で形成された気
泡の成長時の圧力で押されたインクが流路形成部材の流
路溝壁とヒータチップ上の凹状部との接合部から周辺に
逃げることを防止し、インク噴射口よりインク滴が確実
にしかも安定して飛翔させることができる。また、流路
形成部材とヒータチップとの接合時には、概略の位置合
わせを行なって流路溝壁を凹状部に落とし込めばよいの
で、組み立て時の位置決めが容易であるとともに、イン
ク噴射口と発熱素子の位置ずれを防止でき、安定した品
質のインクジェットプリントヘッドを提供することがで
きるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のインクジェットプリントヘッドの第
1の実施の形態を示す発熱素子の配列方向の断面図であ
る。
【図2】 従来のインクジェットプリントヘッドの一例
を示す流路断面図である。
【図3】 流路形成部材の一例を示す概略斜視図であ
る。
【図4】 本発明のインクジェットプリントヘッドの第
1の実施の形態を示すヒータチップの平面図である。
【図5】 本発明のインクジェットプリントヘッドの第
1の実施の形態を示すインク流路方向の断面図である。
【図6】 本発明のインクジェットプリントヘッドの第
1の実施の形態におけるヒータチップ上の樹脂層の形成
工程の一例の説明図である。
【図7】 本発明のインクジェットプリントヘッドの第
1の実施の形態における流路溝壁及び凹状部のテーパー
角度の説明図である。
【図8】 本発明のインクジェットプリントヘッドの第
2の実施の形態を示すヒータチップの平面図である。
【図9】 本発明のインクジェットプリントヘッドの第
2の実施の形態を示すインク流路方向の断面図である。
【図10】 本発明のインクジェットプリントヘッドの
第3の実施の形態を示すヒータチップの平面図である。
【図11】 本発明のインクジェットプリントヘッドの
第3の実施の形態を示すインク流路方向の断面図であ
る。
【図12】 本発明のインクジェットプリントヘッドの
第4の実施の形態を示す発熱素子の配列方向の断面図で
ある。
【図13】 本発明のインクジェットプリントヘッドの
第4の実施の形態におけるヒータチップ上の樹脂層の形
成工程の一例の説明図である。
【図14】 本発明のインクジェットプリントヘッドの
第4の実施の形態における流路溝壁の幅と凹状部の幅の
関係の説明図である。
【符号の説明】
1…流路形成部材、2…流路溝壁、3…ヒータチップ、
4…発熱素子、5…樹脂層、6…個別流路、7…気泡、
8…凹状部、9…角部、10…ギャップ、11…流路
溝、12…インク噴射口、13…流路溝壁底部、14…
共通インク室用溝、21…エキシマレーザ光、22…マ
スク、31…絞り部、41…露光マスク。
フロントページの続き (72)発明者 小竹 直志 神奈川県海老名市本郷2274番地 富士ゼロ ックス株式会社内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヒータチップと流路形成部材を接合して
    なるインクジェットプリントヘッドにおいて、前記流路
    形成部材には、少なくとも複数の個別流路溝と、該複数
    の個別流路溝が連通する共通インク室用溝が形成され、
    前記個別流路溝間の各流路溝壁の側面は傾斜した面で構
    成されており、前記ヒータチップには、前記個別流路溝
    に対応して複数の発熱素子と、少なくとも前記流路溝壁
    に対応した凹状部を複数形成する樹脂層を有しており、
    前記流路溝壁が前記凹状部に嵌合し前記凹状部を形成す
    る前記樹脂層が前記流路溝壁の側面に当接していること
    を特徴とするインクジェットプリントヘッド。
  2. 【請求項2】 前記凹状部の側面は斜面で形成されてお
    り、該凹状部の側面のテーパ角度は前記流路溝壁の側面
    のテーパ角度と同じか、前記流路溝壁の側面のテーパ角
    度より鋭角であることを特徴とする請求項1に記載のイ
    ンクジェットプリントヘッド。
  3. 【請求項3】 前記発熱素子の前記共通インク室用溝と
    は反対側の前記個別流路溝に対応する部分にも前記樹脂
    層が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の
    インクジェットプリントヘッド。
  4. 【請求項4】 ヒータチップと流路形成部材を接合して
    なるインクジェットプリントヘッドの製造方法におい
    て、前記流路形成部材に少なくとも、側面が傾斜した複
    数の個別流路溝と、該複数の個別流路溝が連通する共通
    インク室用溝を形成し、前記ヒータチップに、前記個別
    流路溝に対応して複数の発熱素子と、少なくとも前記個
    別流路溝間の流路溝壁に対応した凹状部を有する樹脂層
    を形成し、前記個別流路溝と前記発熱素子を位置決め
    し、前記流路溝壁を前記凹状部に嵌合させ、前記凹状部
    を形成する前記樹脂層が前記流路溝壁の側面に当接する
    ように接合することを特徴とするインクジェットプリン
    トヘッドの製造方法。
  5. 【請求項5】 前記樹脂層として感光性樹脂材料を用
    い、前記凹状部はマスクパターニング法を用いて作製す
    ることを特徴とする請求項4に記載のインクジェットプ
    リントヘッドの製造方法。
  6. 【請求項6】 前記凹状部は、エキシマレーザ光を用い
    たアブレーション加工により作製することを特徴とする
    請求項4に記載のインクジェットプリントヘッドの製造
    方法。
  7. 【請求項7】 前記ヒータチップに前記樹脂層を形成す
    る際に、前記発熱素子の前記共通インク室用溝とは反対
    側の前記個別流路溝に対応する部分にも前記樹脂層を設
    けことを特徴とする請求項4に記載のインクジェットプ
    リントヘッドの製造方法。
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