JP2008183728A - 液滴吐出ヘッド及び液滴吐出ヘッドの製造方法 - Google Patents

液滴吐出ヘッド及び液滴吐出ヘッドの製造方法 Download PDF

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虎彦 神田
Michiaki Murata
道昭 村田
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Abstract

【課題】液体によるプレートの腐食及びプレートの接合部分の剥離を防止することを課題とする。
【解決手段】ノズル側積層体48とチャンバ側積層体50の接合領域の端部に耐性膜58、60を入り込ませて互いに密着させることによって、接合領域の端部の沿面距離が長くなる。このため、インク流路38及びチャンバ36のインクが、接合領域の端部から接着層56に侵入しにくくなるので、ノズル側積層体48とチャンバ側積層体50が剥離する恐れがない。つまり、ノズル側積層体48とチャンバ側積層体50の接合不良を引き起こすことがない。
【選択図】図1

Description

本発明は、液滴を吐出して画像を記録する液滴吐出ヘッド及び、この液滴吐出ヘッドの製造方法に関する。
複数のプレートを接合することによって構成される液滴吐出ヘッドでは、プレートが積層されて形成される流路空間内に供給された液体によって、プレートが腐食したり、プレートが剥離することがある。
そこで、図17(A)に示すように、耐液性を持つ腐食防止膜(耐液膜)106などを予め形成したプレート102、104を積層して、液滴吐出ヘッド100を構成しているものがある(特許文献1参照)。
特許文献1では、液体によるプレート102、104の腐食は防止できるものの、予め腐食防止膜106を形成してから、このプレート102、104間に接着層を設けて、プレート102、104を接合するので、接合領域の端部から液体が接合部分に入り込んで、接着層に接触してしまう。これにより、プレート102、104が剥離するなどの接合不良を引き起こしてしまうという問題がある。
また、図17(B)に示すように、プレート102、104を積層した後に、流路空間108内を耐液膜110でコーティングする方法も採られているが、ノズル112や流路の径が小さいと、耐液膜110がノズル112に詰まってしまう。また、コーティング不良を引き起こし、製造歩留まりが低下するという問題がある。
特開2003−127436号公報
本発明は上記問題を考慮し、液体によるプレートの腐食及びプレートの接合部分の剥離を防止することを課題とする。
請求項1に記載の本発明は、液体が流入する第1流路となる第1開口が形成された第1プレートと、前記第1流路から液体が流入する第2流路及び吐出口となる第2開口が形成された第2プレートとを有し、前記液体に対する耐性を有する耐性膜が、前記第1開口の内壁及び前記第2開口の内壁に形成され、前記第1プレートと前記第2プレートが接合されたとき、該第1プレートと該第2プレートの接合領域の端部に入り込んで互いに密着することを特徴としている。
請求項1に記載の発明では、第1プレートに形成され、液体が流入する第1流路となる第1開口の内壁と、第2プレートに形成され、第1流路から液体が流入する第2流路及び吐出口となる第2開口の内壁には、液体に対して耐性を有する耐性膜が予め形成されている。この耐性膜は、第1プレートと第2プレートを接合したとき、第1プレートと第2プレートの接合領域の端部に入り込んで互いに密着している。
これにより、第1流路及び第2流路に流入された液体によって、第1プレートと第2プレートが腐食するのが防止されると同時に、この液体が第1プレートと第2プレートの接合領域の端部から接合領域へ入り込むのを、耐性膜によって阻止できるので、第1プレートと第2プレートが剥離するのが防止される。
請求項2に記載の本発明は、前記耐性膜は、前記第1プレート及び/又は前記第2プレートの接合領域の端部に、該耐性膜の厚み以下の深さで形成された凹部に入り込んでいることを特徴としている。
請求項2に記載の発明では、第1プレート及び/又は第2プレートの接合領域の端部に形成された、耐性膜の厚み以下の深さの凹部には、耐性膜が入り込んでいる。
これにより、第1プレートと第2プレートの接合領域の端部に入り込んだ耐性膜の厚みが、凹部によって吸収されるため、例えば、第1プレート及び第2プレートがガラスプレートの場合、接着剤なしで加圧加熱するなどして第1プレートと第2プレートを直接接合できる。
また、凹部の深さは耐性膜の厚さ以下とされているため、第1プレートと第2プレートを接合したとき、凹部に入り込んだ耐性膜が互いに圧着され、第1プレートと第2プレートの接合領域の端部がシールされる。したがって、第1プレートと第2プレートの接合領域の端部から接合領域へ液体が侵入する恐れがない。
請求項3に記載の本発明は、前記接合領域には接着剤からなる接着層が設けられ、前記耐性膜は前記接着層の端部に入り込んでいることを特徴としている。
請求項3に記載の発明では、第1プレートと第2プレートの接合領域に設けられた接着剤からなる接着層の端部には、第1開口の内壁及び第2開口の内壁に塗布された耐性膜が入り込んでいる。
これにより、第1流路及び第2流路に流入された液体によって、第1プレートと第2プレートが腐食するのが防止されると同時に、この液体が第1プレートと第2プレートの接合領域の端部から接合領域へ入り込むのを、耐性膜によって阻止しているので、第1プレートと第2プレートが剥離するのが防止される。
請求項4に記載の本発明は、前記第1プレート及び/又は前記第2プレートの接合領域の端部には、前記耐性膜に被覆された凸部が形成されていることを特徴としている。
請求項4に記載の発明では、第1プレート及び/又は第2プレートの接合領域の端部に、耐性膜に被覆された凸部を形成することで、第1プレートと第2プレートを接合したとき、耐性膜が凸部に押されて、耐性膜同士の密着度が高まる。したがって、第1プレートと第2プレートの接合領域の端部のシール効果が上がる。
請求項5に記載の本発明は、前記凸部は、弾性体からなることを特徴としている。
請求項5に記載の発明では、弾性を有する部材で凸部を形成することで、第1プレートと第2プレートを接合するとき、凸部が弾性変形する。これにより、耐性膜の密着度が高まる。
請求項6に記載の本発明は、前記凸部は、エポキシ樹脂又はポリイミド樹脂から形成されていることを特徴としている。
請求項6に記載の発明では、弾性係数が低く変形しやすいエポキシ樹脂又はポリイミド樹脂で凸部を形成することで、第1プレートと第2プレートを接合するとき、凸部が変形して、第1プレートと第2プレートの接合領域の端部をシールする。
請求項7に記載の本発明は、前記耐性膜は、炭化珪素、窒化珪素、窒化炭化珪素、金、白金のいずれか、またはこれらの混合物からなることを特徴としている。
請求項7に記載の発明では、耐性膜として、展性が高く、塑性変形しやすい、化学的に安定した炭化珪素、窒化珪素、窒化炭化珪素、金、白金のいずれか、または、これらの混合物を用いる。これにより、第1プレートと第2プレートを接合したとき、耐性膜は変形して互いに密着し、第1プレートと第2プレートの接合領域の端部をシールする。また、金及び白金を用いた場合には、耐性膜が簡単に塑性変形して薄く伸ばされるため密着しやすく、接合領域の端部をシールできる。さらに、これらは化学的に安定しているため、液体によって耐性膜が腐食することがない。
請求項8に記載の本発明は、前記凸部が、前記第1プレート又は前記第2プレートのいずれか一方の接合領域の端部に形成されているとき、該第1プレート又は該第2プレートの接合領域の端部には、前記凸部が係合可能とされた凹部が形成されていることを特徴としている。
請求項8に記載の発明では、第1プレート又は第2プレートのいずれか一方の接合領域の端部に形成された凸部が、第1プレート又は第2プレートの接合領域の端部に形成された凹部に係合されることにより、耐性膜同士がより強固に密着する。また、接合領域の端部の沿面距離が長くなる。これにより、流路に流入された液体が、接合領域の端部から接合領域へ侵入しにくい。
請求項9に記載の本発明は、液体が流入する第1流路となる第1開口が形成された第1プレートと、前記第1流路から液体が流入する第2流路となる第2空間及び吐出口が形成された第2プレートとが接合されて形成される液滴吐出ヘッドの製造方法において、前記第1プレート及び前記第2プレートの接合領域の端部と前記第1開口の内壁及び前記第2開口の内壁に、前記液体に対する耐性を有する耐性膜を形成する第1工程と、前記第1プレートと前記第2プレートを接合し、該第1プレートの前記耐性膜と該第2プレートの前記耐性膜を密着させる第2工程と、を有することを特徴としている。
請求項9に記載の発明では、第1プレート及び第2プレートの接合領域の端部と、第1プレートの開口の内壁及び第2プレートの開口の内壁に、それぞれ液体に対する耐性を有する耐性膜を形成し、第1プレートと第2プレートを接合する。
これにより、流路に流入された液体によって、第1プレートと第2プレートが腐食するのが防止されると同時に、この液体が第1プレートと第2プレートの接合領域の端部から接合領域へ入り込むのを、耐性膜によって阻止しているので、第1プレートと第2プレートが剥離するのが防止される。
請求項10に記載の本発明は、前記第1プレートと前記第2プレートを接合する前に、前記第1プレート及び/又は前記第2プレートの接合領域に、接着剤からなる接着層を形成することを特徴としている。
請求項10に記載の発明では、第1プレート及び/又は第2プレートの接合領域には、第1プレートと第2プレートを接合する前の工程において、接着剤からなる接着層を形成する。これにより、第1プレートと第2プレートを接合したとき、接着層によって接合される。
請求項11に記載の本発明は、前記第1工程の前に、該第1プレート及び/又は該第2プレートの接合領域の端部に、弾性体からなる凸部を形成する工程を有することを特徴としている。
請求項11に記載の発明では、第1プレート及び/又は第2プレートの接合領域の端部に、弾性体からなる凸部を形成する。これにより、第1プレートと第2プレートを接合したとき、耐性膜が凸部に押されて、耐性膜同士の密着度が高まる。したがって、第1プレートと第2プレートの接合領域の端部のシール効果が上がる。
請求項12に記載の本発明は、前記凸部を、前記第1流路及び前記第2流路に面する接合領域に沿って形成することを特徴としている。
請求項12に記載の発明では、第1流路及び第2流路に面した第1プレートと第2プレートの接合領域の端部には、凸部が連続して形成されているため、第1流路及び第2流路に流入された液体が、第1プレートと第2プレートの接合領域の端部から接合領域へ侵入しにくくなる。
請求項13に記載の本発明は、前記第1プレート及び前記第2プレートの接合領域に接着剤を塗布し、端部の接着剤を先に硬化させて前記凸部を形成し、前記第1開口部の内壁及び前記第2開口部の内壁から前記凸部にかけて前記耐性膜を設けた後、未硬化部分の接着剤で前記第1プレートと前記第2プレートを接合することを特徴としている。
請求項13に記載の発明では、まず、第1プレート及び第2プレートの接合領域に接着剤を塗布する。そして、先に接合領域の端部の接着剤を硬化させて、凸部を形成する。この後、第1開口の内壁及び第2開口の内壁から凸部にかけて耐性膜を設けた後、未硬化部分の接着剤で第1プレートと第2プレートを接合する。
これにより、凸部と接着層は同じ工程で形成されるので、製造工程が必要以上に多くならない。
請求項14に記載の本発明は、前記接着剤は、前記凸部よりも小さい厚さで前記第1プレート及び/又は第2プレートに塗布されることを特徴としている。
請求項14に記載の発明では、凸部よりも小さい厚さで、第1プレート及び/又は第2プレートに接着剤を塗布する。これにより、第1プレートと第2プレートを接合する際に、耐性膜が形成された凸部が接着層と同じ厚みとなるまで加圧すれば、凸部によって第1プレートと第2プレートの接合領域の端部をシールできる。
請求項15に記載の本発明は、前記接着剤は、フィルムラミネート法により塗布されることを特徴としている。
請求項15に記載の発明では、接着剤からなる接着層をフィルムラミネート法により形成することで、接着層の厚みがばらつかない。
請求項16に記載の本発明は、前記耐性膜は、薄膜成膜法により形成されることを特徴としている。
請求項16に記載の発明では、薄膜成膜法によって耐性膜を形成することで、第1開口及び第2開口の径が小さい場合でも、この第1開口の内壁及び第2開口の内壁への耐性膜の成膜が困難にならない。
本発明は上記構成としたので、液体によるプレートの腐食及びプレートの接合部分の剥離を防止できる。
以下、本発明に係る液滴吐出ヘッドとしてのインクジェット記録ヘッド10の第1実施形態を図面に基づき説明する。
図1に示すように、インクジェット記録ヘッド10は、ノズルプレート12、連通孔プレート14、16、18、20、チャンバプレート22、および振動板24の合計7枚のプレートを位置合わせして積層し、ポリイミド系やエポキシ系樹脂などの接着剤によって接合することにより形成されている。
このとき、各プレート間には、接着剤からなる接着層が形成される。なお、図1では、連通孔プレート20とチャンバプレート22の間の接着層56のみを示し、他のプレート間の接着層は省略している。
ノズルプレート12には、インクを吐出するノズル26が設けられており、連通孔プレート14、16、18、20には、連通孔28、30、32、34がそれぞれ形成されている。これらのノズル26、連通孔28、30、32、34は連通孔プレート14、16、18、20が積層された状態で連通し、チャンバプレート22に形成されたチャンバ36に繋がっている。
このようにして形成された、ノズル26、連通孔28、30、32、34は、チャンバ36に連通してインクが通過する部分であり、以下、ノズル26、連通孔28、30、32、34をまとめて「インク流路38」とする。
チャンバプレート22上に積層された振動板24上には、チャンバ36に相当する領域に、ピエゾアクチュエータ40が設けられている。ピエゾアクチュエータ40の両面には、図示は省略するが電極層が形成されており、共通電極として兼用する振動板24と接着剤で接着することで、ピエゾアクチュエータ40と振動板24とが電気的に接続されている。
このような構成により、駆動電圧波形がピエゾアクチュエータ40に印加されると、ピエゾアクチュエータ40と共に振動板24がたわみ変形して、チャンバ36のインクを加圧する。これにより、ノズル26からインク滴が吐出されるようになっている。
また、振動板24上には、インクプール部材42が積層されている。インクプール部材42には、インクプール44が形成されており、図示しないインクタンクからインクプール44にインクが貯留されるようになっている。そして、インクプール44に貯留されたインクは、振動板24に形成されたインク供給孔46から、チャンバ36に供給される構成となっている。
なお、ノズルプレート12、連通孔プレート14、16、18、20を積層して構成された積層体を、ノズル側積層体48とし、チャンバプレート22と振動板24を積層して構成された積層体を、チャンバ側積層体50とする。
ノズル側積層体48の接合面(連通孔プレート20のチャンバプレート22に対向する面)のインク流路38近傍と、チャンバ側積層体50の接合面(チャンバプレート22の連通孔プレート30に対向する面)のチャンバ36近傍には、それぞれ厚み方向に突出するダム部52、54が形成されている。ダム部52、54は、共に、適量のUV光に反応するエポキシ接着剤を用いて形成されており、弾性を有している。
ノズル側積層体48のダム部52は、インク流路38(連通孔34)の周囲に沿って帯状に設けられ、チャンバ側積層体50のダム部54は、チャンバ36の周囲に沿って帯状に設けられている。
また、ノズル側積層体48とチャンバ側積層体50の間には、ダム部52、54が形成されている以外の領域(この領域を「接合領域N」とする)に、エポキシ接着剤からなる接着層56が設けられており、この接着層56によって、ノズル側積層体48とチャンバ側積層体50が接合されている。
さらに、インク流路38とチャンバ36の内壁の全域に渡って、SiCN膜(窒化炭化珪素膜)からなる耐性膜58、60が成膜されている。この耐性膜58、60は、共にノズル側積層体48に形成されたダム部52と、チャンバ側積層体50に形成されたダム部54の間に入り込んで、互いに密着していると共に、ノズル側積層体48とチャンバ側積層体50の接合領域Nに設けられた接着層56の端部に接触している。
なお、耐性膜58、60としては、SiCN膜以外にも、炭化珪素、窒化珪素、金、白金や、これらの混合物などを用いることもできる。
上記のように構成されたインクジェット記録ヘッド10によれば、ノズル側積層体48に形成されたインク流路38と、チャンバ側積層体50に形成されたチャンバ36の内壁には、耐性膜58、60が成膜されているので、チャンバ36及びインク流路38を流れるインクが、直接ノズル側積層体48、チャンバ側積層体50に接触することがない。したがって、ノズル側積層体48及びチャンバ側積層体50が、インクによって腐食するのを防止できる。
また、ノズル側積層体48とチャンバ側積層体50の接合領域の端部に耐性膜58、60を入り込ませて互いに密着させることによって、図2に示すように、接合領域の端部の沿面距離が長くなる。このため、インク流路38及びチャンバ36のインクが、接着層56に侵入しにくくなるので、ノズル側積層体48とチャンバ側積層体50が剥離する恐れがない。つまり、ノズル側積層体48とチャンバ側積層体50の接合不良を引き起こすことがない。
さらに、ノズル側積層体48の接合面のインク流路38の周囲及び、チャンバ側積層体50の接合面のチャンバ36の周囲に、それぞれ弾性を有するダム部52、54を形成することで、ノズル側積層体48とチャンバ側積層体50を接合して加圧したとき、ダム部52、54が変形する。これにより、ダム部52、54の間に挟まれた耐性膜58、60の密着度が高まる。
また、ダム部52及びダム部54は、それぞれインク流路38及びチャンバ36の周囲に連続して形成されているので、インク流路38及びチャンバ36のインクが接合領域N(接着層56)に侵入しにくくなる。
また、耐性膜58、60として、炭化珪素、窒化珪素、窒化炭化珪素、金、白金、あるいはこれらの混合物を用いることで、ノズル側積層体48とチャンバ側積層体50を接合したとき、耐性膜58、60は変形して互いに密着し、ノズル側積層体48とチャンバ側積層体50の接合領域の端部をシールする。また、これらの材料は化学的に安定しているため、インクによって耐性膜58、60が腐食することがない。
次に、このインクジェット記録ヘッド10の製造方法について説明する。
まず、図3(A)に示すように、ポリイミドフィルムからなるノズルプレート12の上面(インク吐出側と反対側の面)に、SUSからなる連通孔プレート14を接着剤を用いて張り合わせる。そして、この連通孔プレート14に、SUSからなる連通孔プレート16、18、20を順に、接着剤を用いて接合する。なお、連通孔プレート14、16、18、20には、それぞれ連通孔28、30、32、34が予め形成されている。
ノズルプレート12、連通孔プレート14、16、18、20同士は、フィルム状に形成したポリイミド接着剤を、転写塗布する印刷法によって、一方のプレートの接合面に5μmの厚さで塗布することで、プレート同士を接合している。なお、このポリイミド接着剤の図示は省略している。
次に、ノズルプレート12の下面(インクを吐出する面)に、スピンコート法を用いて撥水膜(図示省略)を成膜すると共に、図3(B)に示すように、エキシマレーザでノズル26を穿設する。
上記工程によって、ノズルプレート12、連通孔プレート14、16、18、20が積層されて構成されたノズル側積層体48が形成される。
一方、図4(A)に示すように、SUSからなるチャンバプレート22と振動板24を、チャンバプレート22に接着剤を塗布して張り合わせる。チャンバプレート22と振動板24の接合においても、チャンバプレート22と振動板24の一方にフィルム状に形成したポリイミド接着剤を転写塗布する印刷法が採られている。なお、チャンバプレート22及び振動板24には、それぞれチャンバ36、インク供給孔46が予め形成されている。
そして、予め電極膜が形成されて各チャンバ36に対応するようにパタニング加工されたピエゾアクチュエータ40を、振動板24上に接着接合する。振動板24とピエゾアクチュエータ40の接合は、ピエゾアクチュエータ40の振動板24側にフィルム転写方法によってエポキシ系の接着剤を3μmの厚さで塗布し、各ピエゾアクチュエータ40のパタニング加工と、振動板24上に各チャンバ36に対応して形成されたパターンとを位置合わせした後、加熱加圧することによって行われる。なお、チャンバプレート22と振動板24を接合する接着剤の図示は省略している。
上記工程によって、チャンバプレート22及び、ピエゾアクチュエータ40が形成された振動板24が積層されて構成されたチャンバ側積層体50が形成される。
なお、ノズル側積層体48の接合面(連通孔プレート20の表面)及びチャンバ側積層体50の接合面(チャンバプレート22の表面)は、表面粗さRaが0.01μm〜0.5μmとされている。ここで、表面粗さRaを0.01μmより小さく(鏡面加工)すると、この後の工程において、ノズル側積層体48とチャンバ側積層体50を接合する際に、ダム部52、54が変形したとき、ダム部52、54の接合面に対するアンカーが得にくい。また、表面粗さRaを0.5μmより大きくする(粗くしすぎる)と、ノズル側積層体48とチャンバ側積層体50を接合する際に、接合面の粗さに倣ってダム部52、54の頂面が変形しすぎて、このダム部52、54の頂面で、耐性膜58、60を噛み込み、耐性膜58、60に亀裂が発生したり穴が開いたりしてしまう。
次に、ノズル側積層体48とチャンバ側積層体50を接合する工程について説明する。
まず、図5(A)に示すように、ノズル側積層体48の接合面(連通孔プレート20の表面)に、エポキシ接着剤Jをフィルム転写方法(フィルムラミネート法)によって2.5μmの厚さで塗布する。ここでは、適量のUV光を照射することで、硬化が進行していくタイプのエポキシ接着剤Jが用いられる。
次に、図5(B)に示すように、インク流路38(連通孔プレート20に形成された連通孔34)の径よりも大きな孔64が形成されたプレート62を、ノズル側積層体48の接合面に位置合わせして積層し、加圧しながら密着させる。なお、本実施形態では、インク流路38の径がΦ150μmであるのに対して、孔64は図の左右方向の寸法が800μm、図の前後方向の幅が200μmの楕円状の長孔としている。そして、図5(B)における連通孔34より左側の部分で、連通孔34より25μm外側の位置になるように位置合わせしている。
このとき、プレート62に形成された孔64から、ノズル側積層体48に塗布されたインク流路38の周囲のエポキシ接着剤Jが露出する。
そして、プレート62の上方からUV光を照射する。ここで、プレート62はマスクとして作用し、孔64から露出しているノズル側積層体48の接合面に塗布された(インク流路38の周囲の)エポキシ接着剤Jは、UV光を受光する。このとき、それ以外の領域(プレート62で覆われた部分)のエポキシ接着剤Jは、UV光を受光しないようになっている。
そして、ノズル側積層体48を加熱する。これにより、図5(C)に示すように、UV光を受光した孔64から露出した(インク流路38の周囲の)エポキシ接着剤Jの硬化が進行する。この工程でUV光を受光して硬化が進行している部分が、ダム部52となる。
なお、本実施形態では、径がΦ150μmのインク流路38の周囲に、それより大きな孔64が形成されたプレート62で、ダム部52を形成しているが、後の工程において、ノズル側積層体48とチャンバ側積層体50を接合して加圧したときに、ダム部52を変形させることで、ノズル側積層体48とチャンバ側積層体50の接合領域の端部のシール効果を最大限に得るためには、ダム部52の加圧される部分の幅寸法を10〜100μmとすることが望ましい。
なお、エポキシ接着剤Jは流動性を有するため、表面張力の作用によって塗布した直後から、孔64から露出したエポキシ樹脂材Jの角部の鈍化が始まる。
また、加熱して硬化が始まると、孔64から露出したエポキシ樹脂材Jの角部は、さらに収縮して鈍化するため、図5(C)に示すような形状となる。
この工程で、インク流路38の周囲のエポキシ接着剤Jの硬化を開始させることで、後の工程でノズル側積層体48とチャンバ側積層体50を接合する際に、エポキシ接着剤Jがはみ出して、インク流路38を塞いでしまうことがない。
次に、図6(A)に示すように、ノズル側積層体48の上方から、耐腐食性に優れる耐性膜58(SiCN膜)をスパッタリング法によって1μmの厚さで成膜する。これにより、インク流路38、孔64から露出したエポキシ接着剤J及びプレート62の表面から側壁にかけて、耐性膜58が成膜される。
なお、本実施形態では、1μmの厚さで耐性膜58を成膜したが、耐性膜58は必ずしも1μmの厚さで成膜する必要はない。しかし、耐性膜58を500Åより小さくしようとすると、表面の凹凸が完全に被覆された状態で成膜しにくいために成膜不良を引き起こしてしまい、2μmより大きくすると、ノズル側積層体48とチャンバ側積層体50を接合して加圧したとき、ダム部52の変形に追従して耐性膜58が変形する際に、亀裂やブレークが発生する恐れがある。そこで、耐性膜58は、500Å〜2μmの厚さで成膜することが望ましい。
そして、図6(B)に示すように、プレート62をノズル側積層体48から剥離する。これにより、ノズル側積層体48のインク流路38の周囲には、耐性膜58が形成された(耐性膜58で被覆された)ダム部52が取り残される。
また、ノズル側積層体48に塗布されたエポキシ接着剤Jの一部が、プレート62と一緒に剥離され、ノズル側積層体48の接合領域Nには、エポキシ接着剤Jの一部が残る。このノズル側積層体48の接合領域Nに残ったエポキシ接着剤Jは、後の工程でチャンバ側積層体50と接合したときに、チャンバ側積層体50の接合領域Nに残ったエポキシ接着剤Jと密着し、ノズル側積層体48とチャンバ側積層体50の接合領域Nに、接着層56(図1参照)を形成する。
一方、ノズル側積層体48と同様にして、チャンバ側積層体50のチャンバ36の周囲に、耐性膜60が成膜されたダム部54を形成する。
次に、ノズル側積層体48とチャンバ側積層体50の接合面にUV光を照射して、未硬化状態にある接合領域Nのエポキシ接着剤J(耐性膜58、60が形成されずに露出している部分)の硬化を開始させる。
そして、図6(C)に示すように、ノズル側積層体48の接合面にチャンバ側積層体50の接合面を対向させ、位置合わせして積層し、1MPaの圧力を掛けながら加熱加圧する。
これにより、ノズル側積層体48の接合面に突出されたダム部52に、チャンバ側積層体50の接合面に突出されたダム部54が突き当てられ、互いに弾性変形する。このとき、ダム部52に形成された耐性膜58と、ダム部54に形成された耐性膜60が密着する。
また、ノズル側積層体48の接合領域Nにあるエポキシ接着剤Jと、チャンバ側積層体50の接合領域Nにあるエポキシ接着剤Jとが接着し、ノズル側積層体48とチャンバ側積層体50が接合される。
このとき、接合領域Nに残ったエポキシ接着剤Jは、プレート62を剥離する際に、プレート62側に一部が持っていかれるため、ノズル側積層体48及びチャンバ側積層体50の接合領域Nにあるエポキシ接着剤Jのトータルの厚みは、共にダム部52及びダム部54の厚みの和よりも小さくなる。これにより、ノズル側積層体48とチャンバ側積層体50を接合する際に、ノズル側積層体48のエポキシ接着剤Jとチャンバ側積層体50のエポキシ接着剤Jが密着するまで加圧することによって、ダム部52、54が弾性変形する。したがって、ダム部52上に形成された耐性膜58と、ダム部54上に形成された耐性膜60の密着度が高まって、ノズル側積層体48とチャンバ側積層体50の接合領域の端部がシールされる。
なお、インクプール部材42(図1参照)は別途、チャンバ側積層体50の振動板24の上面に、接着剤を用いて接合する。
上記製造方法によって、インク流路38及びチャンバ36の内壁の全域に渡って耐性膜58、60が形成され、且つ、ノズル側積層体48とチャンバ側積層体50の接合領域の端部に耐性膜58、60を入り込ませたインクジェット記録ヘッド10が形成される。
なお、本実施形態では、ピエゾアクチュエータ40を予め振動板24に設けてから、ノズル側積層体48とチャンバ側積層体50を接合する工程で説明したが、ピエゾアクチュエータ40を設けない状態の振動板24とチャンバ36とを積層して構成されたチャンバ側積層体を、ノズル側積層体48に接合してから、ピエゾアクチュエータ40を振動板24に接合してもよい。このように、インクジェット記録ヘッド10を形成する工程は、上記方法に限定されない。
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。なお、第1の実施形態と同様の部分についての説明は割愛する。また、第2の実施形態以降のノズル側積層体48及びチャンバ側積層体50の断面図において、インク流路38に対して片側のみを図示する。
まず、図7(A)に示すように、ノズル側積層体48の接合面に、フィルム転写方法によってエポキシ接着剤Kを2μmの厚さで塗布する。次に、図7(B)に示すように、ダム部52(図1参照)に相当する形状のマスク66を配置して、マスク66の上方からエポキシ接着剤を硬化させる波長の光を照射する。これにより、マスク66の形状にエポキシ接着剤Kが露光され、露光された部分が硬化する。
その後、現像液によって現像することで、エポキシ接着剤Kの未硬化部分が除去される。これにより、図7(C)に示すように、ノズル側積層体48の接合面のインク流路38の周囲に、ダム部52が形成される。
次に、図7(D)に示すように、インク流路38の内壁及びダム部52にかけて、耐性膜58(SiCN膜)を1μmの厚さで成膜する。
一方、図8(A)に示すように、ノズル側積層体48と同様にして、チャンバ側積層体50のチャンバ36の周囲にダム部54を形成し、図8(B)に示すように、チャンバ36の内壁及びダム部54にかけて耐性膜60を成膜する。
そして、図9(A)及び図9(B)に示すように、ノズル側積層体48の接合領域Nに、ダム部52と同じ厚さでエポキシ接着剤Jを塗布し、この上にチャンバ側積層体50の接合面を対向させて積層し、加熱加圧する。
これにより、ノズル側積層体48の接合面に突出されたダム部52に、チャンバ側積層体50の接合面に突出されたダム部54が突き当てられ、互いに弾性変形する。このとき、ダム部52に形成された耐性膜58と、ダム部54に形成された耐性膜60が密着し、ノズル側積層体48とチャンバ側積層体50の接合領域の端部をシールする。
なお、本実施形態では、ノズル側積層体48に、ダム部52と同じ厚さでエポキシ接着剤Jを塗布しているが、エポキシ接着剤Jはダム部52の厚さよりも大きい厚さで塗布してもよい。このとき、チャンバ側積層体50に設けられたダム部54と、ノズル側積層体48に設けられたダム部52を足した厚さよりも薄くエポキシ接着剤Jを塗布する。これにより、ノズル側積層体48とチャンバ側積層体50を接合する際に、ノズル側積層体48のエポキシ接着剤Jとチャンバ側積層体50のエポキシ接着剤Jが密着するまで加圧することによって、ダム部52、54が弾性変形する。したがって、ダム部52上に形成された耐性膜58と、ダム部54上に形成された耐性膜60の密着度が高まって、ノズル側積層体48とチャンバ側積層体50の接合領域の端部がシールされる。
また、本実施形態では、ノズル側積層体48にのみエポキシ接着剤Jを塗布しているが、チャンバ側積層体50にエポキシ接着剤Jを塗布したり、ノズル側積層体48とチャンバ側積層体50の両方にエポキシ接着剤Jを塗布して、ノズル側積層体48とチャンバ側積層体50を接合してもよい。
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。なお、第1の実施形態と同様の部分についての説明は割愛する。
図10(A)に示すように、ノズル側積層体48の接合面のインク流路38の周囲に、ダム部52を形成し、ダム部52からインク流路38の内壁に掛けて、耐性膜58を成膜する。
一方、チャンバ側積層体50には、接合面の接合領域Nの一部からチャンバ36の内壁に掛けて、耐性膜60を成膜する。
そして、図10(B)に示すように、ノズル側積層体48の接合領域Nにエポキシ接着剤Jを塗布し、この上にチャンバ側積層体50の接合面を対向させて積層し、加熱加圧する。
これにより、ノズル側積層体48の接合面に突出されたダム部52に、チャンバ側積層体50の接合面が突き当てられ、ダム部52が弾性変形する。このとき、ダム部52に形成された耐性膜58と、チャンバ側積層体50の接合面に形成された耐性膜60が密着し、ノズル側積層体48とチャンバ側積層体50の接合領域の端部をシールする。
このように、ノズル側積層体48にのみ、ダム部52を設けることで、チャンバ側積層体50にダム部を設ける工程を必要としないので、製造工程の短縮に繋がる。
なお、本実施形態では、ノズル側積層体48にのみダム部52を設ける構成としたが、チャンバ側積層体50にのみダム部を設けてもよい。
また、ダム部を形成していないチャンバ側積層体50の接合面には、接合領域Nの一部からチャンバ36の内壁に掛けて耐性膜60を成膜しているが、この耐性膜60は、ノズル側積層体48に形成されたダム部52が当接する領域に掛かかればよく、必ずしも接合領域Nの一部に掛かるように成膜する必要はない。
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。なお、第1の実施形態と同様の部分についての説明は割愛する。
図11(A)に示すように、ノズル側積層体48の接合面のインク流路38の周囲に、ダム部52を形成し、ダム部52からインク流路38の内壁に掛けて、耐性膜58を成膜する。
一方、チャンバ側積層体50を構成するチャンバプレート22の接合面には、チャンバ36の周囲に沿って凸部22Aが突設されており、接合面の接合領域Nの一部から凸部22A及びチャンバ36の内壁に掛けて、耐性膜60を成膜する。
そして、図11(B)に示すように、ノズル側積層体48の接合領域Nにエポキシ接着剤Jを塗布し、この上にチャンバ側積層体50の接合面を対向させて積層し、加熱加圧する。
これにより、ノズル側積層体48の接合面に突出されたダム部52に、チャンバ側積層体50の接合面に突設された凸部22Aが突き当てられ、ダム部52が弾性変形する。このとき、ダム部52に形成された耐性膜58と、凸部22Aに形成された耐性膜60が密着し、ノズル側積層体48とチャンバ側積層体50の接合領域の端部をシールする。
なお、本実施形態では、チャンバ側積層体50に凸部22Aを突設させ、ノズル側積層体48に設けたダム部52を、この凸部22Aに突き当てる構成としたが、ノズル側積層体48に凸部を突設させ、チャンバ側積層体50にダム部を設けて、この凸部とダム部を突き当てて、凸部に形成された耐性膜とダム部に形成された耐性膜を密着させてもよい。
また、凸部22Aを突設させたチャンバ側積層体50の接合面には、接合領域Nの一部からチャンバ36の内壁に掛けて耐性膜60を成膜しているが、この耐性膜60は、凸部22Aを覆うように成膜していればよく、必ずしも接合領域Nの一部に掛かるように成膜する必要はない。
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。なお、第1の実施形態と同様の部分についての説明は割愛する。
図12(A)に示すように、ノズル側積層体48を構成する連通孔プレート20の接合面には、インク流路38の周囲に沿って凹部20Aが形成されており、凹部20Aからインク流路38の内壁に掛けて、耐性膜58を成膜する。
一方、チャンバ側積層体50を構成するチャンバプレート22の接合面には、チャンバ36の周囲に沿って凸部22Aが突設されており、接合面の接合領域Nの一部から凸部22A及びチャンバ36の内壁に掛けて、耐性膜60を成膜する。
そして、図12(B)に示すように、ノズル側積層体48の接合領域Nにエポキシ接着剤Jを塗布し、この上にチャンバ側積層体50の接合面を対向させて積層し、加熱加圧する。
これにより、ノズル側積層体48の接合面に形成された凹部20Aに、チャンバ側積層体50の接合面に突設された凸部22Aが係合し、凹部20A内の耐性膜58と、凸部22Aに形成された耐性膜60が密着する。したがって、ノズル側積層体48とチャンバ側積層体50の接合領域の端部がシールされる。
なお、本実施形態では、ノズル側積層体48に形成した凹部20Aに、チャンバ側積層体50に突設された凸部22Aを係合させる構成としたが、ノズル側積層体48に凸部を突設させ、チャンバ側積層体50に凹部を形成し、凸部を凹部に係合させるようにして、ノズル側積層体48とチャンバ側積層体50を接合してもよい。
次に、本発明の第6の実施形態について説明する。なお、第1の実施形態と同様の部分についての説明は割愛する。
図13(A)に示すように、チャンバ側積層体50を構成するチャンバプレート22の接合面の接合領域Nには、凹部22Bが形成されている。
そして、ノズル側積層体48及びチャンバ側積層体50の接合領域Nにエポキシ接着剤Jを塗布し、図13(B)に示すように、ノズル側積層体48とチャンバ側積層体50を積層し、加熱加圧する。
このとき、ノズル側積層体48のダム部52に、チャンバ側積層体50のダム部54が突き当てられて形成される、ノズル側積層体48とチャンバ側積層体50の隙間に対して、エポキシ接着剤Jの塗布量が多いと、エポキシ接着剤Jは凹部22Bに入り込む。
これにより、エポキシ接着剤Jがノズル側積層体48とチャンバ側積層体50の間からはみ出すことがない。
なお、本実施形態では、チャンバ側積層体50を構成するチャンバプレート22に凹部22Bを形成する構成としたが、ノズル側積層体48を構成する連通孔プレート20や、チャンバプレート22と連通孔プレート20の両方に凹部を形成してもよく、また、凹部の数は一個だけでなく複数個設けてもよい。
次に、本発明の第7の実施形態について説明する。なお、第1の実施形態と同様の部分についての説明は割愛する。
ノズル側積層体48及びチャンバ側積層体50は、シリコン又はガラスからなるプレートを積層して形成されており、図14(A)に示すように、ノズル側積層体48を構成する連通孔プレート20の接合面には、インク流路38の周囲に沿って凹部20Aが形成されている。そして、凹部20Aからインク流路38の内壁に掛けて、耐性膜58を成膜する。
また、チャンバ側積層体50を構成するチャンバプレート22の接合面には、チャンバ36の周囲に沿って凹部22Cが形成されており、凹部22Cからチャンバ36の内壁に掛けて、耐性膜60を成膜する。
なお、凹部20Aの深さと凹部22Cの深さの和が、耐性膜58の厚さと耐性膜60の厚さの和よりも小さくなるように、凹部20A、22Cの深さが決定されている。
そして、図14(B)に示すように、ノズル側積層体48とチャンバ側積層体50を積層し、接着剤を用いずに加熱加圧してノズル側積層体48とチャンバ側積層体50を接合する。
これにより、ノズル側積層体48の接合面とチャンバ側積層体50の接合面が密着すると同時に、凹部20Aに形成された耐性膜58と凹部22Cに形成された耐性膜60が密着して、ノズル側積層体48とチャンバ側積層体50の接合領域の端部をシールする。
なお、本実施形態では、ノズル側積層体48とチャンバ側積層体50にそれぞれ凹部20A、22Cを形成し、ノズル側積層体48とチャンバ側積層体50を接合するとき、凹部20A、22C内の耐性膜58、60を密着させる構成としたが、図15(A)に示すように、ノズル側積層体48にのみ凹部20Aを形成し、ノズル側積層体48とチャンバ側積層体50を接合するとき、凹部20Aに形成した耐性膜58と、チャンバ側積層体50の接合面の端部に形成した耐性膜60を密着させる構成としてもよい。
また、図15(B)に示すように、凹部20A内に弾性膜70(例えば、耐熱性ポリイミドなど)を設け、その弾性膜70の上から(弾性膜70を覆うようにして)インク流路38に掛けて耐性膜58を成膜してもよい。これにより、ノズル側積層体48とチャンバ側積層体50を接合したとき、チャンバ側積層体50に設けられた耐性膜60が、ノズル側積層体48に設けられた耐性膜58に密着したとき、耐性膜58の下にある弾性膜70が弾性変形するので、ノズル側積層体48とチャンバ側積層体50の接合領域の端部がシールされる。
さらに、図16(A)に示すように、ノズル側積層体48を構成する連通孔プレート18、20に貫通孔を形成し、ノズル側積層体48の接合面に凹部48Aを設けた状態としたり、図16(B)に示すように、ノズル側積層体48を構成する連通孔プレート14、16に貫通孔を形成し、ノズル側積層体48の内部に凹部48Aを設けた状態とすることで、ノズル側積層体48とチャンバ側積層体50を接合したとき、ノズル側積層体48の変形を凹部48Aで吸収させることができる。
以上の実施形態では、ノズル側積層体48を、4枚の連通孔プレート14、16、18、20を積層して構成しているが、例えば2枚の連通孔プレートを積層してノズル側積層体を構成してもよく、1枚の連通孔でノズル側積層体を構成してもよい。
本発明の第1の実施形態に係る液滴吐出ヘッドの概略図である。 液滴吐出ヘッドを構成する積層体の部分断面図である。 液滴吐出ヘッドのノズル側積層体の製造工程を示す説明図である。 液滴吐出ヘッドのチャンバ側積層体の製造工程を示す説明図である。 液滴吐出ヘッドのノズル側積層体にダム部を形成する工程を示す説明図である。 液滴吐出ヘッドのノズル側積層体に耐性膜を形成し、チャンバ側積層体を接合する工程を示す説明図である。 第2の実施形態に係る液滴吐出ヘッドのノズル側積層体にダム部を形成する工程を示す説明図である。 液滴吐出ヘッドのチャンバ側積層体にダム部を形成する工程を示す説明図である。 液滴吐出ヘッドのノズル側積層体にチャンバ側積層体を積接合する工程を示す説明図である。 第3の実施形態に係る液滴吐出ヘッドのノズル側積層体とチャンバ側積層体を接合する工程を示す説明図である。 第4の実施形態に係る液滴吐出ヘッドのノズル側積層体とチャンバ側積層体を接合する工程を示す説明図である。 第5の実施形態に係る液滴吐出ヘッドのノズル側積層体とチャンバ側積層体を接合する工程を示す説明図である。 第6の実施形態に係る液滴吐出ヘッドのノズル側積層体とチャンバ側積層体を接合する工程を示す説明図である。 第7の実施形態に係る液滴吐出ヘッドのノズル側積層体とチャンバ側積層体を接合する工程を示す説明図である。 その他の形態の液滴吐出ヘッドのノズル側積層体とチャンバ側積層体を接合する工程を示す説明図である。 その他の形態の液滴吐出ヘッドのノズル側積層体とチャンバ側積層体を接合する工程を示す説明図である。 従来の液滴吐出ヘッドの構成する積層体を示す断面図である。
符号の説明
10 インクジェット記録ヘッド(液滴吐出ヘッド)
20A 凹部
36 チャンバ(流路)
38 インク流路(流路)
48 ノズル側積層体(第1プレート)
50 チャンバ側積層体(第2プレート)
58 耐性膜
60 耐性膜
N 接合領域

Claims (16)

  1. 液体が流入する第1流路となる第1開口が形成された第1プレートと、前記第1流路から液体が流入する第2流路及び吐出口となる第2開口が形成された第2プレートとを有し、
    前記液体に対する耐性を有する耐性膜が、前記第1開口の内壁及び前記第2開口の内壁に形成され、前記第1プレートと前記第2プレートが接合されたとき、該第1プレートと該第2プレートの接合領域の端部に入り込んで互いに密着することを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  2. 前記耐性膜は、前記第1プレート及び/又は前記第2プレートの接合領域の端部に、該耐性膜の厚み以下の深さで形成された凹部に入り込んでいることを特徴とする請求項1に記載の液滴吐出ヘッド。
  3. 前記接合領域には接着剤からなる接着層が設けられ、前記耐性膜は前記接着層の端部に入り込んでいることを特徴とする請求項1に記載の液滴吐出ヘッド。
  4. 前記第1プレート及び/又は前記第2プレートの接合領域の端部には、前記耐性膜に被覆された凸部が形成されていることを特徴とする請求項3に記載の液滴吐出ヘッド。
  5. 前記凸部は、弾性体からなることを特徴とする請求項4に記載の液滴吐出ヘッド。
  6. 前記凸部は、エポキシ樹脂又はポリイミド樹脂から形成されていることを特徴とする請求項5項に記載の液滴吐出ヘッド。
  7. 前記耐性膜は、炭化珪素、窒化珪素、窒化炭化珪素、金、白金のいずれか、またはこれらの混合物からなることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の液滴吐出ヘッド。
  8. 前記凸部が、前記第1プレート又は前記第2プレートのいずれか一方の接合領域の端部に形成されているとき、該第1プレート又は該第2プレートの接合領域の端部には、前記凸部が係合可能とされた凹部が形成されていることを特徴とする請求項4乃至請求項7のいずれか1項に記載の液滴吐出ヘッド。
  9. 液体が流入する第1流路となる第1開口が形成された第1プレートと、前記第1流路から液体が流入する第2流路となる第2空間及び吐出口が形成された第2プレートとが接合されて形成される液滴吐出ヘッドの製造方法において、
    前記第1プレート及び前記第2プレートの接合領域の端部と前記第1開口の内壁及び前記第2開口の内壁に、前記液体に対する耐性を有する耐性膜を形成する第1工程と、
    前記第1プレートと前記第2プレートを接合し、該第1プレートの前記耐性膜と該第2プレートの前記耐性膜を密着させる第2工程と、
    を有することを特徴とする液滴吐出ヘッドの製造方法。
  10. 前記第1プレートと前記第2プレートを接合する前に、前記第1プレート及び/又は前記第2プレートの接合領域に、接着剤からなる接着層を形成することを特徴とする請求項9に記載の液滴吐出ヘッドの製造方法。
  11. 前記第1工程の前に、該第1プレート及び/又は該第2プレートの接合領域の端部に、弾性体からなる凸部を形成する工程を有することを特徴とする請求項9又は請求項10に記載の液滴吐出ヘッドの製造方法。
  12. 前記凸部を、前記第1開口部及び/又は前記第2開口部に面する接合領域に沿って形成することを特徴とする請求項11に記載の液滴吐出ヘッドの製造方法。
  13. 前記第1プレート及び前記第2プレートの接合領域に接着剤を塗布し、端部の接着剤を先に硬化させて前記凸部を形成し、前記第1開口部の内壁及び前記第2開口部の内壁から前記凸部にかけて前記耐性膜を設けた後、未硬化部分の接着剤で前記第1プレートと前記第2プレートを接合することを特徴とする請求項11又は請求項12に記載の液滴吐出ヘッドの製造方法。
  14. 前記接着剤は、前記凸部よりも小さい厚さで前記第1プレート及び/又は第2プレートに塗布されることを特徴とする請求項11乃至請求項13のいずれか1項に記載の液滴吐出ヘッドの製造方法。
  15. 前記接着剤は、フィルムラミネート法により塗布されることを特徴とする請求項10乃至請求項14のいずれか1項に記載の液滴吐出ヘッドの製造方法。
  16. 前記耐性膜は、薄膜成膜法により形成されることを特徴とする請求項9乃至請求項15のいずれか1項に記載の液滴吐出ヘッドの製造方法。
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