JPH10263883A - 低水素系被覆アーク溶接棒 - Google Patents
低水素系被覆アーク溶接棒Info
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- JPH10263883A JPH10263883A JP9072502A JP7250297A JPH10263883A JP H10263883 A JPH10263883 A JP H10263883A JP 9072502 A JP9072502 A JP 9072502A JP 7250297 A JP7250297 A JP 7250297A JP H10263883 A JPH10263883 A JP H10263883A
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Abstract
接金属の靱性、落重性能及び延性を向上させることがで
きる低水素系被覆アーク溶接棒を提供する。 【解決手段】 低水素系被覆アーク溶接棒は軟鋼製心線
に被覆剤が塗布されたものであって、心線は、心線全重
量あたり、Mnを0.2乃至0.7重量%含有すると共
に、Cが0.02重量%以下に規制されている。また、
被覆剤は、溶接棒全重量あたり、金属炭酸塩(CO2換
算値):3.5乃至11.5重量%、金属弗化物(F換
算値):0.5乃至4.5重量%、Ti酸化物(TiO
2換算値):0.3乃至2.5重量%、Ni:3.5乃
至9重量%、Mg:0.2乃至1.8重量%、Ti:
0.3乃至1.8重量%及びSi:0.5乃至3.6重
量%を含有すると共に、Mnが0.35重量%以下に規
制されている。
Description
物等の材料である低温用アルミキルド鋼又は1.5乃至
3.5重量%Ni鋼等の溶接に使用される被覆アーク溶
接棒に関し、特に、良好な溶接作業性を有していると共
に、延性、靱性及びき裂伝播停止特性が優れた溶接金属
を得ることができる低水素系被覆アーク溶接棒に関す
る。
料として使用される構造用鋼の炭素鋼の中で、特に低温
用鋼の分野における溶接においては、安全性を確保する
ために、高い靱性値を有する溶接金属を得ることが要求
されている。約−60℃までの温度領域での靱性を確保
する溶接金属の組織は、フェライト及びパーライトが主
体となっているので、従来より溶接材料の組成を調整し
て、溶接金属中にTi−B等を添加することにより靱性
を確保している。また、約−100℃までの温度領域で
の靱性を確保する溶接金属の組織は、ベイナイトが主体
となっているので、従来より溶接金属に約4重量%まで
のNiを添加することにより、靱性を確保している。
慮して、より一層低温の領域における靱性の向上が要求
されている。この低温領域における構造材料の規格とし
て、1993年にBS7777が提案されており、この
規格がタンク等を施工する際に適用されている。このB
S7777において、プロパンタンクはTypeIIIと
して規格化されていて、このプロパンタンクは従来の靱
性値(一般的にvE−46℃が27J以上等)よりも高
いvE−80℃が50J以上の靱性値を有するものであ
ることが記載されている。
試験によって評価されるき裂伝播停止特性(落重性能)
の向上、例えば、無延性遷移温度TNDTが−95℃以下
であることが要求されている。
て溶接しても、溶接棒中のNi含有量が4.0重量%未
満であるので、靱性値及びき裂伝播特性が優れた溶接金
属を得ることはできない。そこで、9%Ni鋼等の溶接
材料を使用して、溶接材料中のNi含有量を高くする
か、又はオーステナイト系ステンレス鋼用の溶接材料を
使用すると、靱性及び落重性能(無延性遷移温度)T
NDTの規格を満足する値を得ることはできる。
性及び延性等を向上させるために、種々の炭素鋼用溶接
材料が開示されている。例えば、靱性が優れた溶接金属
を得る溶接材料としては、溶接金属中の酸素量を低減さ
せることができる被覆アーク溶接棒が提案されている
(特公平8−29431号公報)。なお、溶接金属中の
酸素量を低減する方法として、MIG(MAG)溶接及
びTIG溶接においては、使用するシールドガスを変え
ることによって、容易に溶接金属の酸素量を低減させる
ことができる。しかし、SMAW(被覆アーク溶接)は
フラックスから発生するガスによるシールド効果及び脱
酸剤を活用することによって低酸素化を図るものであっ
て、これらが溶接作業性に対して大きく影響を与えるの
で、溶接作業性を考慮する必要がある。
i又はNi合金の粒度等を調整することにより優れた延
性を有する溶接金属を得ることができる被覆アーク溶接
棒も開示されている(特開平7−251294号公
報)。
料中のNi含有量を増加させると、引張強度が高くなる
ので、溶接金属の曲げ性能(延性)が低下するという問
題点が発生する。また、オーステナイト系ステンレス鋼
用の溶接材料によって溶接すると、異種材料による溶接
であるので、施工主側の不安感が高まると共に、溶接材
料のコストが上昇するという問題点も発生する。
開平7−251294号公報に開示された被覆アーク溶
接棒を使用して溶接すると、得られる溶接金属中のNi
含有量は3.5重量%までに止まっているので、靱性、
き裂伝播特性及び曲げ性能(延性)に対する近時の厳し
い要求を全て満足することはできない。
のであって、低温用鋼の溶接材料として、溶接作業性が
優れていると共に、得られる溶接金属の靱性、落重性能
及び延性を向上させることができる低水素系被覆アーク
溶接棒を提供することを目的とする。
覆アーク溶接棒は、軟鋼製心線に被覆剤が塗布されてい
る低水素系被覆アーク溶接棒において、前記心線は、心
線全重量あたり、Mnを0.2乃至0.7重量%含有す
ると共に、Cが0.02重量%以下に規制されており、
前記被覆剤は、溶接棒全重量あたり、金属炭酸塩(CO
2換算値):3.5乃至11.5重量%、金属弗化物
(F換算値):0.5乃至4.5重量%、Ti酸化物
(TiO2換算値):0.3乃至2.5重量%、Ni:
3.5乃至9重量%、Mg:0.2乃至1.8重量%、
Ti:0.3乃至1.8重量%及びSi:0.5乃至
3.6重量%を含有すると共に、Mnが0.35重量%
以下に規制されたことを特徴とする。
ラス以外の珪酸化合物がSiO2換算値で1.2重量%
以下に規制されたものであることが好ましい。また、前
記心線は、心線全重量あたりAlが0.02重量%以
下、Oが50重量ppm以下、Nが50重量ppm以下
に規制されたものであることが望ましい。
べく鋭意実験検討を重ねた結果、被覆アーク溶接棒の心
線及び被覆剤の組成を適切に調整することにより、優れ
た低温靱性、落重性能及び延性を有する溶接金属を得る
ことができると共に、溶接作業性、ビード形状及び外観
を良好にすることができることを見い出した。
靱性の向上を図ることができることは公知である。ま
た、落重性能を考慮した場合、溶接材料中にNiを添加
することが必要である。図1は縦軸に−100℃におけ
る靱性値をとり、横軸に被覆剤中のNi含有量をとっ
て、被覆剤中のNi含有量と靱性との関係を示すグラフ
図である。また、図2は縦軸に落重性能をとり、横軸に
被覆剤中のNi含有量をとって、被覆剤中のNi含有量
と落重性能との関係を示すグラフ図である。但し、図1
及び2において、被覆剤中のNi含有量は溶接棒全重量
あたりの重量%で示している。
たりのNiの添加量が3.5重量%以上であれば、約−
100℃までの温度領域における靱性値は確保すること
ができるが、落重性能については、4重量%以上のNi
を添加する必要がある。
重量%以上になると、得られる溶接金属の強度が著しく
上昇する傾向がある。これにより、母材と溶接金属との
硬さの差が大きくなって、継手部の曲げ試験を実施した
場合に、欠陥が発生しやすくなってしまう。従って、従
来においては、落重性能を向上させるために必要不可欠
である4乃至9重量%のNiを含有する溶接材料につい
ては、開発されていなかった。本発明においては、強度
の上昇を抑制するために、強度を上昇させる作用を有す
るNi以外の元素の含有量を低減するものとする。
溶接棒中に含有されていて、溶接金属の強度を上昇させ
る作用を有するTi、Si及びMnに着目した。優れた
低温靱性を維持するためには、溶接金属中の酸素量を2
00重量ppm以下に抑制する必要があるが、そのため
には、高い脱酸力を有する元素であるTi及びSiを無
添加とすることはできない。また、Siは溶接作業性を
向上させるための必須成分である。
有量について、更に一層詳細な検討を実施した。図3は
縦軸に−100℃における靱性値をとり、横軸に溶接金
属中のMn含有量をとって、溶接金属中のMn含有量と
靱性との関係を示すグラフ図である。図3に示すよう
に、溶接金属中のMn含有量が0.15乃至0.5重量
%であれば、優れた靱性を得ることができる。そして、
溶接金属中のMn含有量を0.15重量%以上にするた
めには、心線中のMn含有量を0.2重量%以上にする
ことが必要となる。
と、溶接金属の曲げ性能が低下する。図4は縦軸に側曲
げ試験における欠陥発生本数をとり、横軸に被覆剤中の
Mn含有量をとって、被覆剤中のMn含有量と曲げ性能
との関係を示すグラフ図である。種々の溶接棒について
各5本の試験片を採取し、全ての試験片に側曲げ試験を
実施した結果、図4に示すように、試験片の被覆剤中の
Mn含有量が、溶接棒全重量あたり0.35重量%を超
えると、欠陥の発生本数が増加する。従って、欠陥の起
点となり易い偏析の発生を抑制するために、被覆剤から
のMnの添加量を溶接棒全重量あたり0.35重量%以
下にする必要がある。
性を考慮して、心線としては合金成分を含有しない軟鋼
用心線を使用するものとする。
び被覆剤の成分組成について検討した結果、心線及び被
覆剤中の各成分の含有量の適正値を見い出した。なお、
被覆剤中の成分については、溶接金属中の酸素源となる
酸化物の量を低減することによって、より一層優れた靱
性及び延性を有する溶接金属を得ることができる。
接棒について、更に説明する。先ず、軟鋼製心線の組成
限定理由について説明する。
る。しかし、心線中のMn含有量が過多になると、強度
の上昇によって靱性が著しく劣化する。また、Mnは被
覆剤から添加することもできるが、被覆剤からMnを添
加すると、溶接金属の割れ等の欠陥の起点となる偏析が
生じやすくなるので、本発明においては被覆剤からのM
nの添加を低減するものとする。心線中のMn含有量
が、心線全重量あたり0.2重量%未満であると、溶接
金属中の酸素が増加して、靱性が低下する。一方、心線
中のMn含有量が0.7重量%を超えると、強度が過度
に上昇して、靱性が著しく低下する。従って、心線中の
Mn含有量は、心線全重量あたり0.2乃至0.7重量
%とする。
る。しかし、心線中のC含有量が過多になると、靱性が
著しく低下する。低水素系の被覆剤を使用する場合、炭
酸塩中のCO2に含有されるCが溶接金属中に歩留まる
ので、所定の強度及び靱性を得るために、Cを心線から
添加する必要はない。また、特に、Cは溶接金属の割れ
感受性に影響を与える元素であるので、心線中のC含有
量が0.02重量%を超えると、溶接金属の耐割れ性及
び延性が低下する。従って、心線中のC含有量は、心線
全重量あたり0.02重量%以下に規制する。
する。
11.5重量% 被覆剤中のCO2はシールドガスとしての効果を有する
と共に、アーク雰囲気中の水蒸気分圧を低下させて、溶
接金属中の酸素量を低減し、これにより、靱性の低下を
抑制する効果を有する。被覆剤中の金属炭酸塩がCO2
換算値で、溶接棒全重量あたり3.5重量%未満である
と、その効果を十分に得ることができない。一方、被覆
剤中の金属炭酸塩が、CO2換算値で11.5重量%を
超えると、アークが不安定となり、溶接作業性が低下す
る。従って、被覆剤中の金属炭酸塩はCO2換算値で、
溶接棒全重量あたり3.5乃至11.5重量%とする。
なお、本発明においては、CO2源としてCaCO3、B
aCO3等がある。
5重量% 被覆剤中のFはアークの強さを調整する効果及び生成ス
ラグの融点を調整する効果を有し、これにより、ビード
形状を整えると共に、シールド効果によってピットの発
生を防止する効果を有する。被覆剤中の金属弗化物がF
換算値で、溶接棒全重量あたり0.5重量%未満である
と、その効果を十分に得ることができない。一方、被覆
剤中の金属弗化物が、F換算値で4.5重量%を超える
と、溶融スラグの融点が低下しすぎるので、上進溶接が
困難となる。従って、被覆剤中の金属弗化物はF換算値
で、溶接棒全重量あたり、0.5乃至4.5重量%とす
る。なお、本発明においては、金属弗化物はCaF2、
BaF2及びAlF3等により、被覆剤中に添加すること
ができる。
至2.5重量% 被覆剤中のTi酸化物は、スラグの粘性を整える効果を
有するので、特に、立向溶接を実施する場合に必須成分
となる。被覆剤中のTi酸化物がTiO2換算値で、溶
接棒全重量あたり0.3重量%未満であると、その効果
を十分に得ることができない。一方、被覆剤中のTi酸
化物が、TiO2換算値で2.5重量%を超えると、溶
接金属の酸素源となって、溶接金属中の酸素量を増加さ
せるので、靱性が低下する。従って、被覆剤中のTi酸
化物はTiO2換算値で、溶接棒全重量あたり0.3乃
至2.5重量%とする。なお、本発明においては、Ti
酸化物はルチール及びルコキシン等により、被覆剤中に
添加することができる。
ためには不可欠の元素であり、溶接金属中において、フ
ェライト及びベイナイト地のマトリックスの強靭化作用
を有する。被覆剤中のNi含有量が、溶接棒全重量あた
り3.5重量%未満であると、その効果を十分に得るこ
とができない。一方、被覆剤中のNi含有量が9重量%
を超えると、溶接金属の靱性が低下すると共に、高温割
れ性が劣化する。従って、被覆剤中のNi含有量は、溶
接棒全重量あたり3.5乃至9重量%とする。なお、本
発明においては、Niは金属Ni及びNi−Mg合金等
により被覆剤に添加することができる。
酸素量を低減する効果を有する。被覆剤中のMg含有量
が、溶接棒全重量あたり0.2重量%未満であると、そ
の効果を十分に得ることができない。一方、被覆剤中の
Mg含有量が1.8重量%を超えると、スパッタが多量
に発生して、溶接作業性を著しく低下させる。従って、
被覆剤中のMg含有量は、溶接棒全重量あたり0.2乃
至1.8重量%とする。なお、本発明においては、Mg
は金属Mg、Ni−Mg合金及びSi−Mg合金等によ
り被覆剤に添加することができる。
溶接金属中の酸素量を低減する効果を有する。被覆剤中
のTi含有量が、溶接棒全重量あたり0.3重量%未満
であると、その効果を十分に得ることができない。一
方、被覆剤中のTi含有量が1.8重量%を超えると、
強度が上昇して靱性が著しく劣化する。従って、被覆剤
中のTi含有量は、溶接棒全重量あたり0.3乃至1.
8重量%とする。なお、本発明においては、TiはFe
−Ti合金等により被覆剤に添加することができる。
作用すると共に、クレータの形成に大きく影響を与える
成分であり、特に、立向上進溶接を実施する場合に必須
成分となる。被覆剤中のSi含有量が、溶接棒全重量あ
たり0.5重量%未満であると、その効果を十分に得る
ことができない。一方、被覆剤中のSi含有量が3.6
重量%を超えると、靱性が著しく低下する。従って、被
覆剤中のSi含有量は、溶接棒全重量あたり0.5乃至
3.6重量%とする。なお、本発明においては、Siは
Fe−Si合金等により被覆剤に添加することができ
る。
て偏析が起こり易くなる。この偏析は曲げ試験を実施し
たときに欠陥の起点となるので、母材(熱影響部)と溶
接金属との強度差が大きい場合、又は曲げ半径が小さい
場合には、特に被覆剤中のMnが溶接金属に悪影響を与
える。このため被覆剤中のMnはできるだけ低減するこ
とが好ましいが、Mnは他の原料に不可避的不純物とし
て含有される場合があるので、本発明においては、曲げ
性能を低下させない範囲で溶接棒全重量あたりの被覆剤
中のMn含有量を規定する。被覆剤中のMn含有量が、
溶接棒全重量あたり0.35重量%を超えると、曲げ性
能が低下する。従って、被覆剤中のMn含有量は、溶接
棒全重量あたり0.35重量%以下とする。
覆剤の組成を規定することにより、靱性、落重性能及び
延性が優れた溶接金属を得ることができるが、被覆剤中
の珪酸化合物並びに心線中のAl、O及びN含有量を規
定すると、より一層これらの効果を高めることができ
る。以下、これらの好ましい範囲について説明する。
iO2換算値):1.2重量%以下 本発明においては、溶接金属の靱性をより一層高めるた
めに、被覆剤中の珪酸化合物の含有量を規制することが
好ましい。被覆剤中のSiO2はスラグ生成剤としての
作用を有すると共に、立向溶接性にも影響を与える成分
である。しかし、SiO2は溶接金属中の酸素源となる
ので、被覆剤中の水ガラス以外の珪酸化合物がSiO2
換算値で1.2重量%を超えると、溶接金属中の酸素量
が高くなって、靱性が劣化することがある。従って、よ
り一層高い靱性を得るために、被覆剤中の水ガラス以外
の珪酸化合物は、SiO2換算値で、溶接棒全重量あた
り1.2重量%以下とすることが好ましい。なお、水ガ
ラス中においてもSiO2が含有されているので、被覆
剤中に水ガラス以外の珪酸化合物が添加されていなくて
も、溶接作業性が低下することはない。
50重量ppm以下、N:50重量ppm以下 本発明においては、溶接金属の靱性、曲げ性能及び落重
性能をより一層高めるために、心線中のAl、O及びN
の含有量を規制することが好ましい。心線中のAlは脱
酸時においてAl2O3を生成し、これが溶接金属に残存
することによって溶接金属の靱性が低下すると共に、偏
析による曲げ性能の低下が生じることがある。心線中の
Al含有量が、心線全重量あたり0.02重量%以下で
あると、靱性の低下及び曲げ性能の低下を防止する効果
が高くなる。従って、心線中のAl含有量は、心線全重
量あたり0.02重量%以下とすることが好ましい。
素源となり、溶接金属の靱性を低下させる成分である。
心線中のO含有量が、心線全重量あたり50重量ppm
以下であると、靱性の低下を防止する効果が高くなる。
従って、心線中のO含有量は、心線全重量あたり50重
量ppm以下とすることが好ましい。
を過剰に高めると共に、欠陥の起点となり易いので、靱
性、落重性能及び曲げ性能の低下を引き起こすことがあ
る。心線中のN含有量が、心線全重量あたり50重量p
pm以下であると、靱性の低下、落重性能の低下及び曲
げ性能の低下を防止する効果が高くなる。従って、心線
中のN含有量は、心線全重量あたり50重量ppm以下
とすることが好ましい。
棒の実施例について、その比較例と比較して具体的に説
明する。
々の化学組成を有する被覆剤を塗布して被覆アーク溶接
棒を作製し、これらの溶接棒を使用して、下記表1に示
す溶接条件で被覆アーク溶接を実施することにより、溶
接作業性を評価した。なお、本実施例においては、心線
の直径を4mmとし、長さを400mmとした。実施例
及び比較例の各溶接棒について、心線の化学組成、被覆
率及び被覆剤の化学組成を下記表2乃至7に示す。但
し、下記表4乃至7においては、被覆剤の組成は溶接棒
全重量あたりの重量%で示す。また、被覆剤中のその他
の成分としては、Fe、Na2O、K2O、FeO及びL
i2O等がある。
すると共に、溶接後の試験板からシャルピー衝撃試験片
(JIS Z3111 4号)、落重試験片(ASTM
E208 P−3)及び側曲げ試験片(JIS Z3
122)を採取し、これらの規格に準じて、シャルピー
衝撃試験、落重試験及び側曲げ試験を実施することによ
り、靱性、落重性能及び曲げ性能を評価した。これらの
測定結果及び評価結果を下記表8及び9に示す。なお、
本実施例においては、5本ずつの試験片を採取し、シャ
ルピー衝撃試験及び落重試験については、その平均値を
示した。また、側曲げ試験については、5本の試験片の
うち、欠陥が発生した本数で示した。更に、溶接作業性
については、継手の溶接時に官能評価し、優れているも
のを○、やや劣るものを△とし、劣るものを×とした。
o.1乃至6は心線及び被覆剤の化学組成が本発明の範
囲内であるので、溶接作業性が良好であると共に、靱
性、落重性能及び曲げ性能が優れた溶接金属を得ること
ができた。特に、実施例No.2及び4は被覆剤中の水
ガラス以外の珪酸化合物の含有量並びに心線中のAl、
O及びNの含有量が本発明の好ましい範囲内であるの
で、靱性がより一層向上した。
が0.03重量%であり、本発明範囲の上限を超えてい
るので、曲げ試験において割れが発生した。比較例N
o.8は心線中のMn含有量が0.17重量%であり、
本発明範囲の下限未満であるので、溶接金属中の酸素量
が増加することによって靱性が低下した。比較例No.
9は心線中のMn含有量が0.75重量%であり、本発
明範囲の上限を超えているので、靱性及び曲げ性能が低
下した。
(CO2換算値)が3.2重量%であり、本発明範囲の
下限未満であるので、溶接金属中の酸素量が上昇して、
靱性及び落重性能が低下した。比較例No.11は被覆
剤中の金属炭酸塩(CO2換算値)が11.9重量%で
あり、本発明範囲の上限を超えているので、溶接が困難
となって試験を中止した。比較例No.12は被覆剤中
の金属弗化物(F換算値)が0.3重量%であり、本発
明範囲の下限未満であるので、シールド不足となって靱
性及び落重性能が劣化した。
(F換算値)が4.8重量%であり、本発明範囲の上限
を超えているので、立向上進溶接が不可能となって試験
を中止した。比較例No.14は被覆剤中のTi酸化物
(TiO2換算値)が0.2重量%であり、本発明範囲
の下限未満であるので、溶接作業性が低下した。従っ
て、その他の性能評価試験は実施しなかった。比較例N
o.15は被覆剤中のTi酸化物(TiO2換算値)が
2.7重量%であり、本発明範囲の上限を超えているの
で、溶接金属中の酸素量が増加して靱性が低下した。
含有量が3.2重量%であり、本発明範囲の下限未満で
あるので、落重性能が低下した。比較例No.17は被
覆剤中のNi含有量が9.4重量%であり、本発明範囲
の上限を超えているので、強度が上昇して曲げ性能が低
下した。比較例No.18は被覆剤中のMg含有量が
0.1重量%であり、本発明範囲の下限未満であるの
で、溶接金属中の酸素量が増加して靱性及び落重性能が
劣化した。比較例No.19は被覆剤中のMg含有量が
2.0重量%であり、本発明範囲の上限を超えているの
で、溶接作業性が低下した。従って、その他の性能評価
試験は実施しなかった。
含有量が0.2重量%であり、本発明範囲の下限未満で
あるので、溶接金属中の酸素量が増加して靱性及び落重
性能が低下した。比較例No.21は被覆剤中のTi含
有量が2.0重量%であり、本発明範囲の上限を超えて
いるので、曲げ性能が低下した。比較例No.22は被
覆剤中のSi含有量が0.3重量%であり、本発明範囲
の下限未満であるので、溶接作業性が低下した。従っ
て、その他の性能評価試験は実施しなかった。比較例N
o.23は被覆剤中のSi含有量が3.8重量%であ
り、本発明範囲の上限を超えているので、靱性が低下し
た。比較例No.24は溶接金属中のMn含有量が0.
4重量%であり、本発明範囲の上限を超えているので、
曲げ性能が低下した。
低水素系被覆アーク溶接棒の心線及び被覆剤の化学組成
を適切に規定しているので、溶接作業性が優れていると
共に、得られる溶接金属の靱性、落重性能及び延性を向
上させることができる。また、被覆剤中の水ガラス以外
の珪酸化合物及び心線中の金属成分の含有量を厳密に規
定すると、より一層これらの性能を高めることができ
る。
に被覆剤中のNi含有量をとって、被覆剤中のNi含有
量と靱性との関係を示すグラフ図である。
含有量をとって、被覆剤中のNi含有量と落重性能との
関係を示すグラフ図である。
に溶接金属中のMn含有量をとって、溶接金属中のMn
含有量と靱性との関係を示すグラフ図である。
り、横軸に被覆剤中のMn含有量をとって、被覆剤中の
Mn含有量と曲げ性能との関係を示すグラフ図である。
Claims (3)
- 【請求項1】 軟鋼製心線に被覆剤が塗布されている低
水素系被覆アーク溶接棒において、前記心線は、心線全
重量あたり、Mnを0.2乃至0.7重量%含有すると
共に、Cが0.02重量%以下に規制されており、前記
被覆剤は、溶接棒全重量あたり、金属炭酸塩(CO2換
算値):3.5乃至11.5重量%、金属弗化物(F換
算値):0.5乃至4.5重量%、Ti酸化物(TiO
2換算値):0.3乃至2.5重量%、Ni:3.5乃
至9重量%、Mg:0.2乃至1.8重量%、Ti:
0.3乃至1.8重量%及びSi:0.5乃至3.6重
量%を含有すると共に、Mnが0.35重量%以下に規
制されたことを特徴とする低水素系被覆アーク溶接棒。 - 【請求項2】 前記被覆剤は、溶接棒全重量あたりの水
ガラス以外の珪酸化合物がSiO2換算値で1.2重量
%以下に規制されたことを特徴とする請求項1に記載の
低水素系被覆アーク溶接棒。 - 【請求項3】 前記心線は、心線全重量あたりAlが
0.02重量%以下、Oが50重量ppm以下、Nが5
0重量ppm以下に規制されたことを特徴とする請求項
1又は2に記載の低水素系被覆アーク溶接棒。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP07250297A JP3547282B2 (ja) | 1997-03-25 | 1997-03-25 | 低水素系被覆アーク溶接棒 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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JP2007054878A (ja) * | 2005-08-26 | 2007-03-08 | Nippon Steel Corp | 耐火構造用鋼の被覆アーク溶接棒 |
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KR101159433B1 (ko) * | 2009-03-27 | 2012-06-22 | 가부시키가이샤 고베 세이코쇼 | 저수소계 피복 아크용접봉 |
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1997
- 1997-03-25 JP JP07250297A patent/JP3547282B2/ja not_active Expired - Lifetime
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