JPH10263389A - 吸着剤およびその製造方法 - Google Patents

吸着剤およびその製造方法

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JPH10263389A
JPH10263389A JP7608497A JP7608497A JPH10263389A JP H10263389 A JPH10263389 A JP H10263389A JP 7608497 A JP7608497 A JP 7608497A JP 7608497 A JP7608497 A JP 7608497A JP H10263389 A JPH10263389 A JP H10263389A
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JP
Japan
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metal
porous carrier
metal hydroxide
adsorbent
water
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JP7608497A
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English (en)
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Minoru Nakamura
穣 中村
Toshio Matsuda
十四夫 松田
Haruki Shiraishi
晴樹 白石
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Nomura Micro Science Co Ltd
Ritsumeikan Trust
Original Assignee
Nomura Micro Science Co Ltd
Ritsumeikan Trust
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 水中の有機物を捕集するにあたり、素材から
の有機物の溶出がなく、汎用性の高い、吸着剤およびそ
の製造方法を提供すること。 【解決手段】 難水溶性の金属水酸化物または金属酸化
物を多孔性担体に担持したことを特徴とする有機物の吸
着剤およびその製造方法による。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液体クロマトグラ
フィーなどの有機物の分析過程や水の浄化過程などに用
いられる有機物を吸着する機能を有する吸着剤及び吸着
剤の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】水道水、河川水などの環境水の微量成分
の濃縮分離には、一般に吸着法、イオン交換法あるいは
溶媒抽出法などが用いられている。
【0003】これらの濃縮分離法の中で用いられる濃縮
分離素材としては、イオン交換樹脂やイオン交換膜が一
般に用いられている。
【0004】さらに、イオン交換水、超純水などの水の
浄化・精製の分野では、逆浸透膜による除去法、活性炭
吸着による除去法、イオン交換による除去法などが一般
に用いられており、用いる素材の機能を改良してより高
度の、かつ精密な除去法が提案され実用化されてきてい
る。
【0005】しかしながら、これらの素材として用いら
れる逆浸透膜、イオン交換樹脂、などはいずれも有機化
合物が主体であり、無機物の除去には有効であっても、
微量の有機物の除去には十分機能しないのが現状であ
る。特に、超純水の製造過程での有機物素材の使用が問
題視されてきているのが現状である。
【0006】一方、金属イオンなどの無機物の濃縮分離
素材としては、金属水酸化物や金属酸化物も共沈剤ある
いは吸着剤として用いられている。
【0007】一般に、このような濃縮分離に用いられる
金属水酸化物は、使用時に金属塩の加水分解によって作
成され、金属酸化物については水酸化物を熱処理して脱
水することにより作成されている。
【0008】ところで、このようにして作成された金属
水酸化物や金属酸化物の沈殿物は、活性な表面を利用す
る点で優れているが微細な粒子であるか、あるいはゼラ
チン状の形状であって取扱い難く、かつ粒度の調節が困
難であるなど、汎用性の面で充分な機能を有しているも
のではなかった。
【0009】利用面からみると、微量有機物の濃縮分離
に関して水酸化鉄(III)を用いた検討が知られている。
【0010】水の浄化に関しては、水酸化アルミニウム
(III)の利用は良く知られているが、他の化合物につい
てはほとんどその例がない。
【0011】有機物を対象とした浄化法に関しては、水
酸化鉄(III)を懸濁させて有機物を捕集する方法が報告
されているが、この方法も捕集後に水酸化鉄(III)を遠
心分離し、さらにメンブレンフィルターで分離する手段
が用いられ非常に繁雑である。 液体クロマトグラフィ
ーで用いられる充填剤としては、多くの素材が開発され
ているが、金属水酸化物、金属酸化物は、形状が充填剤
に適さないため素材として利用されてはいない。
【0012】以上のように、金属水酸化物や金属酸化物
は、有機物にない優れた性質を有しているが、利用形態
が微細な粒子、あるいはゼラチン状の形状であるため、
吸着・濾過操作が繁雑になる、粒度の調節が困難で
ある、取扱いが繁雑である、などの難点があり、汎用
性の面で充分な機能を有しているものではなかった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題
を解決すべくなされたもので、水中の有機物を捕集する
にあたり、素材からの有機物の溶出がなく、吸着・濾過
操作、粒度の調節、取扱が容易な汎用性および利用性の
高い吸着剤およびその製造方法を提供することを目的と
する。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明の吸着剤は、難水
溶性の金属水酸化物または金属酸化物を多孔性担体に担
持させたことを特徴としている。
【0015】上記金属水酸化物または金属酸化物の水に
対する溶解度は、pH3〜9、20℃において1.0×
10-2g/l以下である。上記金属水酸化物の、水に対
する溶解度を表1に示す。
【0016】
【表1】 上記金属酸化物は、金属水酸化物よりも水に対する溶解
度がさらに小さい。
【0017】このような吸着剤のうち、難水溶性の金属
水酸化物からなる吸着剤は、例えば、金属塩溶液に多孔
性担体を加えて前記多孔性担体に前記金属塩溶液を含浸
させる工程と、前記溶液のpHを調整して前記金属塩溶
液から難水溶性の金属水酸化物を析出させる工程によっ
て作成される。
【0018】また、難水溶性の金属水酸化物からなる吸
着剤は、金属塩溶液に多孔性担体を加えて前記多孔性担
体に前記金属塩溶液を含浸させる工程と、前記溶液のp
Hを調整して前記金属塩溶液から金属水酸化物を析出さ
せる工程と、前記多孔性担体を酸化雰囲気中で加熱して
該多孔性担体に含浸された金属塩を難水溶性の金属酸化
物とする工程によって作成される。
【0019】本発明の難水溶性の水酸化物や酸化物を形
成する金属としては、例えば、Bi,Ti,Fe,Z
r,Sn,Cu,Ni,Mn及びCoが例示される。こ
れらは、1種また2種以上で使用される。
【0020】具体的には、本発明の吸着剤は次のように
して製作される。
【0021】(1) 真空引き可能な容器に2〜0.01m
ol/l、好ましくは0.1〜0.05mol/lの濃
度の金属塩水溶液を入れ、これに任意の粒径のシリカゲ
ルのような多孔性担体を投入し、減圧にして多孔性担体
の細孔内に金属塩溶液を含浸させる。
【0022】(2) 金属塩水溶液に酸またはアルカリ水溶
液を添加してpH調整を行い、多孔性担体の細孔内に水
酸化物を沈殿固定させる。水酸化物を吸着剤として用い
る場合には、このまま濾過、洗浄後、乾燥させる。
【0023】(3) 酸化物を吸着剤とする場合には、水酸
化物が細孔内に沈殿した多孔性担体を濾過、洗浄し、1
00℃前後で乾燥し、さらに空気中のような酸化雰囲気
中で加熱して細孔内の水酸化物を酸化物にする。
【0024】以上の手順で、目的の金属水酸化物又は金
属酸化物を担持した吸着剤を作成する。 なお、必要に
応じて、吸着剤には、固定化に適するように適当な化学
処理を行い、さらに目的に合わせて粒度を調節する。
【0025】水中に含まれる有機化合物には、アルコー
ル類、アミノ酸、脂肪酸、糖類、界面活性剤、天然の有
機化合物など、多種類にわたっているが、これらの有機
化合物を吸着するのに適した金属塩は一様ではなく、そ
れぞれの有機化合物にそれぞれ適した金属塩が存在す
る。
【0026】本発明の吸着剤は、担持させる金属酸化物
又は金属水酸化物の種類、及び担体に吸着させる条件を
変えることにより、先に述べた様々な有機化合物を選択
的に吸着することができる。
【0027】したがって、有機物を吸着する際、個々の
有機物の捕集・除去に最も適した金属塩の水酸化物又は
酸化物の組み合わせを担持したシリカゲルを作成するこ
とが好ましい。
【0028】さらにその有機物の吸着剤の用途に合わせ
て粒度も調節したものを作成し、使用することが好まし
い。
【0029】また、水中に含まれる吸着する有機物の濃
度は用いる目的により異なり、ppmから%までの広い
範囲にわたっているが、これに対しては多孔性担体に担
持する金属酸化物又は金属水酸化物の量、並びにこれら
金属酸化物又は金属水酸化物と有機物との接触時間(数
分〜数時間)の増減によって対応できる。
【0030】多孔性担体に担持する金属酸化物又は金属
水酸化物の量は、多孔性担体の空隙率および塩の濃度に
より決まる。ここで用いるに適する塩の濃度は、10%
以下である。
【0031】なお、本発明は、水処理工程における有機
物除去という目的だけでなく、液体クロマトグラフィー
などといった有機物分析に、さらには有機物を吸着する
という機能を逆手にとり、有機物を濃縮する目的にも用
いることができる。
【0032】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例について説
明する。なお、本発明は、その要旨を逸脱しないなら
ば、本実施例に限定されるものではない。
【0033】
【実施例1】本実施例では、金属酸化物又は金属水酸化
物をシリカゲルに担持した際の効果を確認するために、
金属酸化物をシリカゲルに担持したものと、シリカゲル
単体を用い、有機物の吸着率を比較した。
【0034】有機物としてはアミノ酸の一種であるシス
テインを、金属酸化物としてはビスマス(III) 酸化物を
用いた。
【0035】ビスマス(III) 酸化物担持シリカゲルの調
整法は、次の通りである。
【0036】(1) Bi(NO3 3 ・5H2 O 70g
に硝酸16ml、蒸留水80mlを加え、65〜70℃
で加熱、溶解させ、シリカゲル(28〜60mesh)
100gを加え、1時間減圧撹拌した後、撹拌しながら
水酸化ナトリウムを加える。 (2) 加水分解後、約60分撹拌した後、デカンテーショ
ンを繰り返し洗浄後、電気乾燥器中で乾燥する。(この
乾燥工程を踏むことにより、水酸化物が酸化物にな
る。) このようにして作製したビスマス(III) 酸化物担持シリ
カゲル7gを200ml容三角フラスコに入れ、3.5
mMアミノ酸(システイン)水溶液20mlを加え、p
Hを2〜10に調整し、30℃で1時間恒温振とう後、
メンブランフィルターを用いて濾過した。濾液をニンヒ
ドリン試薬で呈色し、吸光度を測定し、吸着前後の吸光
度から吸着率を算出した。
【0037】シリカゲル単体も同様に測定し、ビスマス
(III) 酸化物担持シリカゲルとの吸着率の比較をした。
【0038】吸着率の測定結果を表2に示す。
【0039】
【表2】 表2から、ビスマス(III) 酸化物担持シリカゲルへのシ
ステイン吸着率は86%、シリカゲル単体へのシステイ
ン吸着率は16%である。従って、シリカゲルにビスマ
ス(III) 酸化物を担持させることにより5倍以上の吸着
率を持たせることができることが確認できた。
【0040】ちなみに、この吸着率はビスマス酸化物の
量を多くする等によってほぼ100%にすることができ
る。
【0041】
【実施例2】シリカゲルに担持する金属酸化物又は金属
水酸化物への有機物の吸着率は有機物の種類及び水溶液
の液性(pH)によって異なる。
【0042】そこで、本実施例では様々な有機物を用い
て、様々なpHの条件下で有機物の吸着状況を確認し
た。
【0043】吸着剤としては、ビスマス(III) 酸化物を
シリカゲルに担持させたものを用いた。
【0044】吸着剤の作製方法および吸着率の測定方法
は、実施例1に示したものと同様である。
【0045】結果を表3に示す。
【0046】
【表3】 表3に示す様に、水中の有機物がシリカゲルに担持した
ビスマス(III) 酸化物へ吸着する挙動は、水の液性(p
H)によって大きな変化を示す。
【0047】従って、シリカゲルに担持した金属酸化物
又は金属水酸化物はクロマトグラフィーの分離充填剤と
しても有効に活用できるということがいえる。
【0048】
【発明の効果】以上の実施例からも明らかなように、本
発明の吸着剤は、無機物であるので素材から有機物が溶
出するようなことがなく、微量有機物の吸着・濃縮に好
適である。また、粒度、使用する金属水酸化物、金属酸
化物を任意に選択して任意の特性を持たせることができ
るので広範な用途、例えば濃縮分離、精製、浄化、充填
剤などとして使用することができ、吸着・濾過操作、取
扱いも容易である。
【0049】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松田 十四夫 滋賀県草津市野路東一丁目1番地1号 立 命館大学びわこ・くさつキャンパス理工学 部内 (72)発明者 白石 晴樹 滋賀県草津市野路東一丁目1番地1号 立 命館大学びわこ・くさつキャンパス理工学 部内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 難水溶性の金属水酸化物または金属酸化
    物を20〜200meshの粒径を持つ多孔性担体に担
    持させたことを特徴とする吸着剤。
  2. 【請求項2】 金属水酸化物または金属酸化物の溶解度
    は、pH3〜9において1.0×10-2g/l以下であ
    る請求項1記載の吸着剤。
  3. 【請求項3】 金属塩溶液に多孔性担体を加えて前記多
    孔性担体に前記金属塩溶液を含浸させる工程と、前記溶
    液のpHを調整して前記金属塩溶液から難水溶性の金属
    水酸化物を析出させる工程とからなることを特徴とする
    吸着剤の製造方法。
  4. 【請求項4】 金属塩溶液に多孔性担体を加えて前記多
    孔性担体に前記金属塩溶液を含浸させる工程と、前記溶
    液のpHを調整して前記金属塩溶液から金属水酸化物を
    析出させる工程と、前記多孔性担体を酸化雰囲気中で加
    熱して該多孔性担体に含浸された金属塩を難水溶性の金
    属酸化物とする工程とからなることを特徴とする吸着剤
    の製造方法。
  5. 【請求項5】 金属塩は、Bi,Ti,Fe,Zr,S
    n,Cu,Ni,Mn及びCoから選ばれた1種以上の
    金属の塩であることを特徴とする請求項3又は4記載の
    吸着剤の製造方法。
JP7608497A 1997-03-27 1997-03-27 吸着剤およびその製造方法 Withdrawn JPH10263389A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013184120A (ja) * 2012-03-08 2013-09-19 Dowa Eco-System Co Ltd セレン吸着剤、及びその製造方法、並びにセレン含有液の処理方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013184120A (ja) * 2012-03-08 2013-09-19 Dowa Eco-System Co Ltd セレン吸着剤、及びその製造方法、並びにセレン含有液の処理方法

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