JPH10263386A - 金属酸化物膜の形成方法 - Google Patents

金属酸化物膜の形成方法

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JPH10263386A
JPH10263386A JP6849097A JP6849097A JPH10263386A JP H10263386 A JPH10263386 A JP H10263386A JP 6849097 A JP6849097 A JP 6849097A JP 6849097 A JP6849097 A JP 6849097A JP H10263386 A JPH10263386 A JP H10263386A
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JP
Japan
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metal oxide
powder
oxide film
metal
film
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Application number
JP6849097A
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English (en)
Inventor
Takashi Shinko
貴史 新子
Katsuto Nakatsuka
勝人 中塚
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Nittetsu Mining Co Ltd
Original Assignee
Nittetsu Mining Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 一層または複数層の金属酸化物被膜を有する
粉体製造に際して、厚い金属酸化物被膜層を形成する場
合においても、粉体同志の凝集固着が生じなく、分散性
が良好で、かつ均質で優れた特性の金属酸化物膜の形成
方法を提供すること。 【解決手段】 基体粒子を分散した有機溶媒中で金属ア
ルコキシドを加水分解し、該基体粒子表面に金属酸化物
膜を形成する方法において、該有機溶媒中にヒドロキシ
ル基を有する高分子化合物を存在させることを特徴とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、粉体粒子を被覆す
る金属酸化物膜の形成方法に関するものであり、例え
ば、カラー磁性トナーやカラー磁性インキ等のカラー磁
性材料原料となし得る、表面に単層または多層の被膜を
有する複合磁性粉体、その他顔料、粉末冶金、窯業原
料、電子材料原料などの複合原料粉体等の製造方法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】物品の表面に膜を形成する被覆技術に
は、塗着法、沈着法、スパッタリング、真空蒸着法、電
着法や陽極酸化法等多くの手段が知られているが、塗着
法や沈着法では膜の厚みを均一にすることが困難であ
り、スパッタリングや真空蒸着法では膜厚の厚い皮膜を
得ることが困難である。また、電着法や陽極酸化法は被
処理物を電極とする関係上粉体の処理には向かない。
【0003】金属粉体の表面に金属酸化物の被覆膜を形
成する方法については、同種の金属酸化物の皮膜を形成
する場合にはその金属粉体を酸化雰囲気中に置けばよい
が、微細な金属粉体を酸化雰囲気中に置くと急速に酸化
が進み温度が上昇して甚だしい場合は発火におよぶこと
がある等一般に反応が速く、緻密な酸化皮膜を得ること
は難しい。また緻密な酸化皮膜を生成させようとすると
この方法では膜厚を厚目にすることは困難である等、緻
密な膜を均一に希望する膜厚に生成させることは容易で
はない。さらに、金属粉体の表面にその金属とは異種の
金属酸化物の皮膜を形成することはより困難なことであ
る。まして、ガラスビーズの表面に金属酸化物の膜厚の
厚い皮膜を形成することは極めて困難なことである。
【0004】金属粉体又は金属酸化物粉体の表面に、そ
の構成金属とは異種の金属酸化物の皮膜を形成する方法
として、例えば金属酸化物となる金属の塩水溶液中に被
覆処理される金属粉体又は金属酸化物粉体を浸漬して、
上記したように該金属塩を還元して金属を析出させ、こ
れを加熱するなどして酸化物に変化させる方法は考えら
れるが、そのような方法では緻密で均一な膜厚の厚いも
のを生成させることはできない。
【0005】先に、本発明者らは、金属粉体又は金属化
合物粉体を金属アルコキシド溶液中に分散し、該金属ア
ルコキシドを加水分解することにより、前記粉体の表面
上にに金属酸化物を生成させ、それにより前記粉体の表
面に金属酸化物膜を形成し、さらにこの操作を繰り返し
て粉体の表面に複数層の金属酸化物の皮膜を粉体の表面
に形成する方法を発明し、この方法は特開平6−228
604号公報に記載されている。さらに本発明者らは、
金属粉体又は金属化合物粉体を金属アルコキシド溶液中
に分散し、該金属アルコキシドを加水分解するとによ
り、前記粉体の表面に金属酸化物膜を形成し、該金属酸
化物膜の上に金属膜を形成し、さらに該金属膜の上に金
属酸化物膜を形成し、このような操作を繰り返して金属
粉体又は金属化合物粉体の表面に金属酸化物膜と金属膜
を交互に複数層形成する方法を発明し、この方法は特開
平7−90310号公報に記載されている。
【0006】この粉体において、前記の金属酸化物膜を
複数層設ける場合には、前記膜の各層の厚さを調整する
ことにより特別の機能を与えることができるものであっ
て、例えば、基体の表面に、屈折率の異なる被覆膜を、
光の4分の1波長に相当する厚さで設けるようにする
と、光はすべて反射される。この手段を鉄、コバルト、
ニッケルなどの金属粉末或は金属の合金粉末、或いは窒
化鉄の粉末などの磁性体を基体とするものに適用する
と、光を全反射して白色に輝く磁性トナー用磁性粉体を
得ることができる。さらに、その粉体の上に着色層を設
け、その上に樹脂層を設ければ、カラー磁性トナーが得
られることを開示している。
【0007】これらの粉体を製造するには、基体の上に
均一な厚さの金属酸化物膜を複数層設けることが必要で
あって、そのためには金属塩水溶液から金属酸化物また
はその前駆体である金属化合物を沈澱させることが難し
いので、本発明者らは、金属アルコキシド溶液中に前記
の基体を分散し、前記金属アルコキシドを加水分解する
ことにより、前記基体上に金属酸化物膜を生成させる方
法を開発した。この方法は、具体的には、金属アルコキ
シド溶液中に基体を分散し、前記金属アルコシドを加水
分解することにより、基体の表面に金属酸化物を生成さ
せて、金属酸化物膜を形成させ、それを乾燥することに
より、被覆膜を固化させるものである。更に、この工程
を繰り返すことことで、多層の金属酸化物膜を得てい
る。そして、その多層の金属酸化物膜の金属酸化物の種
類、膜厚等を変えることにより、その粉体の反射率を変
更することができる。その上下の金属酸化物膜の組合せ
をその反射率が最大になるように、選択すると、白色度
の高い粉体を得ることができることが判明している。
【0008】更に、本発明者らは多層膜の物質の組み合
わせおよび膜厚を制御することにより、多層膜の反射光
干渉波形を調製できることを見出し、染料や顔料を用い
ずとも、アクリル樹脂粒子や無機中空粒子などの比重
0.3〜2.8g/cm3 の基体の表面に複数の屈折率
の異なる薄い被覆膜(二酸化チタン膜、チタニア膜、ポ
リスチレン膜、金属銀膜等)を有する粉体により、着色
し流体中に分散して青、緑、黄色などの単色のカラーイ
ンキ用顔料およびプラスチック・紙用フィラーを設計す
ることができ、長期保存においても安定な色調の顔料粉
体を提供することを開示した(WO96/2826
9)。
【0009】前記の方法により、白色をはじめとする鮮
明に着色した粉体を得ることができるようになったが、
しかしながら、電子写真法などにおいては、より解像度
が良くコントラストの高い画像を得ることが必要となっ
てきた。そこで電子写真複写機などに使用されるカラー
磁性トナーには、きれいな画像を形成するためにはトナ
ーの粒径を小さくして解像度を上げることおよびトナー
自身をより鮮明な色に着色することが要求されている。
カラー粉体の色調や彩度などの特性を向上させることを
研究する中で、製造されたカラー粉体の彩度が悪くな
り、色調が変化するという現象が起こる場合があった。
かかる現象は、製造されたカラー粉体の反射率が部分
的、あるいは総体的に低下するために現れる現象であ
る。また、このような現象はカラー磁性粉体の製造にお
いても経験されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】一般に反射率が良い金
属酸化物層を形成するためには金属酸化物層を相当にそ
の厚味を厚くしなければならないが、厚い金属酸化物層
を1層で形成しようとすると、膜の形成過程で隣接する
粉体の金属酸化物膜同志が凝集固着することがあり、粉
体の製造工程に障害を及ぼす。また粉体の金属酸化物膜
同志に凝集固着が起こると、それら粉体を分離する際に
粉体表面の金属酸化物膜被覆が損傷する。このようにカ
ラー磁性粉体表面の金属酸化膜被覆が部分的に損傷する
と、製造されたカラー粉体の反射率が低下することが起
こる。これは粒子の損傷した箇所で反射が起きないた
め、粉体全体の反射率が低下することになるものとみら
れる。上記の問題を解決するための一つの方法として、
厚い金属酸化物膜被覆を形成する場合、その金属酸化物
膜の形成工程を複数回に分けて行うことにより同一金属
酸化物膜を複層に被覆形成させた金属酸化物膜被覆粉体
の製造方法が本発明者らにより出願されている。(特願
平8−112160)。しかしながら、厚い金属酸化物
被膜層を1層で形成する場合でも、金属酸化膜同志の凝
集固着が生じなく、かつ工業生産上効率よく、分散性が
良好な金属酸化物被膜を有する粉体を製造する技術が強
く望まれていた。
【0011】従って、本発明の目的は、一層または複数
層の金属酸化物被膜を有する粉体製造に際して、厚い金
属酸化物被膜層を形成する場合においても、粉体同志の
凝集固着が生じなく、分散性が良好で、かつ均質で優れ
た特性の金属酸化物被膜層が得られ、例えば前記カラー
粉体やカラー磁性粉体の製造において見られたような反
射率が低下するといった問題点が起こらない、一層また
は複数層の金属酸化物被膜を有する粉体を製造できる方
法を提供しようとするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】鋭意研究の結果、前記課
題は、本発明の金属酸化物膜の形成方法により達成され
ることを見出した。すなわち、以下に示す形成方法であ
る。 (1) 基体粒子を分散した有機溶媒中で金属アルコキ
シドを加水分解し、該基体粒子表面に金属酸化物膜を形
成する方法において、該有機溶媒中にヒドロキシル基を
有する高分子化合物を存在させることを特徴とする金属
酸化物膜の形成方法。 (2) ヒドロキシル基を有する高分子化合物が基体粒
子の表面積に対して0.008〜160mg/m2 であ
ることを特徴とする前記(1)項に記載の金属酸化物膜
の形成方法。 (3) ヒドロキシル基を有する高分子化合物が有機溶
媒に対して0.001〜2重量%であることを特徴とす
る前記(1)項に記載の金属酸化物膜の形成方法。 (4) ヒドロキシル基を有する高分子化合物がセルロ
ース類であることを特徴とする前記(1)項に記載の金
属酸化物膜の形成方法。 (5) ヒドロキシル基を有する高分子化合物がヒドロ
キシプロピルセルロースであることを特徴とする前記
(1)項に記載の金属酸化物膜の形成方法。 (6) 形成される金属酸化物膜の厚さが10nm〜2
0μmであることを特徴とする前記(1)項に記載の金
属酸化物膜の形成方法。 (7) 前記金属酸化物膜を形成させた後の粉体を30
0〜1100℃で熱処理することを特徴とする前記
(1)項に記載の金属酸化物膜の形成方法。
【0013】本発明によらないで、相当に厚い層からな
る金属酸化物膜の層を1回の製膜で粉体の表面(あるい
は、既に既設の金属酸化物膜層を有する粉体の表面)に
被膜を形成する際、含水酸化物膜の場合、液中で被膜粉
体同士が接触すると表面のヒドロキル基同志が加水分解
し、固着され、固着凝集体が形成される。また、被覆せ
しめた金属酸化物層ゲルを乾燥あるいは熱処理する際に
その表面に未反応物が残存し、隣接する粉体の被覆金属
酸化物層ゲル表面の残存未反応物と相互に固着する(空
気中では、ヒドロキル基同志が加水分解あるいは圧着に
より被覆粒子同志が固着凝集体となる)。乾燥後前記隣
接する粉体が離れる際にどちらかの粉体上の被覆膜が破
壊されることが起きる。このような被覆膜の破壊が生じ
た部分では、例えばカラー磁性粉体の場合には反射率が
低下し、カラー磁性粉体の彩度が悪くなり、色調が変わ
る。
【0014】本発明は、金属アルコシドを有機溶媒中
で、加水分解して製膜する際に、上記のように、通常、
その膜厚が固着が生じるような膜厚となるような場合に
おいて、反応液中にヒドロキシル基を有する高分子化合
物を添加することにより、粒子同志の固着が防がれ、所
望の厚さの膜を有する個々の被覆粒子が完全に分離した
粉体を得ることができ、その凝集固着の問題をさけるこ
とができる方法である。また、ヒドロキシル基を有する
高分子化合物を添加することにより、固相が緻密に粉体
に沈着し、製膜した膜は、変形し難く、乾燥時に圧着し
ても変形が少ない金属酸化物膜層が得られる。
【0015】緻密な固相が形成される理由としては、推
測の域を出ないが、以下のことが考えられる。 金属アルコキシドが、加水分解用の添加水によらず、
該ヒドロキシ基と結合する形で金属酸化物を形成する。
そして、その高分子化合物のヒドロキシル基と結合され
た形で形成された金属酸化物を目指して、新たな金属ア
ルコキシド分子が金属酸化物を析出させる。 加水分解用添加水により、加水分解された金属酸化物
が、該高分子化合物上のヒドロキシル基の親水性に引き
寄せられ、該高分子化合物の骨格に金属酸化物が析出さ
れてゆく。 高分子化合物の立体障害の作用により、該被膜を有す
る粉体は、ある程度の弾性を有し、液相中においても、
これら粉体同志は反撥し合う。また、該粉体の分散性が
向上する理由としては、上記のの事項が考えられる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の基体表面への金属
酸化物膜の形成方法について詳細に説明する。本発明の
特徴であるヒドロキシル基を有する高分子化合物の添加
における、金属アルコキシドの加水分解反応液中のヒド
ロキシル基を有する高分子化合物の濃度範囲は、分散し
ている基体粒子の表面積に対して0.008〜160m
g/m 2 であり、好ましくは0.08〜80mg/m
2 、更に好ましくは8〜47mg/m2 である。0.0
08mg/m2 以下では凝集体が形成され、160mg
/m2 以上では、固相(金属酸化物)の析出した微粒子
が膜原料が膜にならず、金属酸化物の粒子が形成され、
共に不適である。ヒドロキシル基を有する高分子化合物
の有機溶媒に対する濃度範囲は、0.001〜2重量%
であり、好ましくは0.01〜1重量%、更に好ましく
は0.1〜0.58重量%である。0.001重量%以
下では凝集体が形成され、2重量%以上では、固相(金
属酸化物)の析出した微粒子が膜原料が膜にならず、金
属酸化物の粒子が形成され、共に不適である。
【0017】上記本発明に用いられるヒドロキシル基を
有する高分子化合物としては、ヒドロキシアルキルセル
ロース、ヒドロキシアルキル澱粉、ポリビニルアルコー
ル系樹脂、アクリル酸樹脂、スチレン/無水マレイン酸
共重合体、メチルビニルエーテル/無水マレイン酸共重
合体、その他セルロース誘導体(メチルセルロース、カ
ルボキシメチルセルロースなど)、澱粉誘導体(酸化澱
粉、燐酸変性澱粉など)、ポリビニルピロリドン、アラ
ビヤゴム、カゼインなどの水溶性樹脂が用いられる。ポ
リビニルアルコール系樹脂としては任意の重合度、ケン
化度を有するもの、不飽和スルホン酸またはその部分ま
たは完全エステル、塩、無水物、ニトリル、アミドなど
で共重合変性されたポリビニルアルコール、またウレタ
ン化、アセタール化、エーテル化などを施された変性ポ
リビニルアルコールなども使用できる。ヒドロキシアル
キルセルロースのヒドロキシアルキル基としては、例え
ば、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロ
キシプロピル基などのヒドロキシ低級アルキル基が挙げ
られる。一般的にこれら高分子化合物は、基体と高分子
化合物および膜を形成する物質と高分子化合物の親和性
により、最適の組合せがあり、また、最適な高分子化合
物の中でも分子量による効果の差がある。更にヒドロキ
シル基の数、誘導体の種類などによっても効果が変わ
る。また高分子と溶媒との溶解性によっても異なる。こ
れらの中で、シリカ膜およびチタニア膜などの酸化物膜
に対し、ヒドロキシプロピルセルロースは効果が、優れ
ているため、最も用いられる。
【0018】粉体の表面に被覆膜を構成する金属酸化物
としては、例えば、鉄、ニッケル、クロム、チタン、亜
鉛、アルミニウム、カドミウム、ジルコニウム、ケイ素
等の他カルシウム、マグネシウム、バリウム等の金属の
酸化物を用いることができる。この金属酸化物の種類
は、その粉体の表面に付与しようとする性質に応じてそ
れに適するものが選択される。なお、ケイ素などについ
ては、狭義には金属に含めず、半金属という場合がある
が、本発明ではその金属酸化物における金属にケイ素な
どを含めたものとする。
【0019】本発明において、その1回に形成させる金
属酸化物膜の膜の厚さとしては、5nm〜10μmの範
囲とすることが可能であり、従来の形成法より厚くする
ことができる。複数回に分けて形成する金属酸化物膜の
合計の厚さとしては、前記したカラー磁性粉体の場合、
その干渉による反射率が良い金属酸化層を形成するため
には、10nm〜20μmの範囲が好ましい、さらに好
ましくは0.015〜7μmの範囲とすることが好まし
い。粒径が制限されるなど特に薄い膜厚で可視光を干渉
反射させるためには0.02〜2.0μmの範囲とする
ことが好ましい。
【0020】本発明において、基体表面に金属酸化物膜
を生成するに際しては、その金属酸化物の成分である金
属のアルコキシドの溶液中に、ヒドロキシル基を有する
高分子化合物を添加し、基体(粉体)を分散し、金属ア
ルコキシドを加水分解することにより、粉体の表面上に
その金属の酸化物ゾルを生成させる。生成したゾルは粉
体の表面上に沈着すると共にゲル化し、金属酸化物ゲル
膜が粉体上に均一に生成する。なお、金属酸化物膜を第
1回目に形成するときには、その粉体は基体の粉体であ
るが、2回目以降の金属酸化物膜を形成する際には、そ
の粉体は表面に金属酸化物膜が被覆された粉体であるこ
とになる。このように、金属アルコキシドの溶液を用
い、加水分解により金属アルコキシドの溶液を加水分解
して金属酸化物ゾルを形成し、そのゾルをゲル化するこ
とにより金属酸化物を生成する方法はゾル−ゲル法とよ
ばれ、微細で均一な組成の金属酸化物が生成されるとい
う特徴を有する。本発明では、このゾル−ゲル法を粉体
の表面上に金属酸化物層を生成させるのに適用し、更に
鋭意研究の結果、アルキルセルロース類を添加すること
により、均一な組成でかつ緻密でしかも厚さが均一であ
る膜が得られ、金属酸化物膜被覆粒子の凝集・固着を防
ぐことを可能とするものである。
【0021】本発明において、粉体の基体としては、ガ
ラス、金属、金属化合物のいずれか1つから選んだ物質
を用いる。ガラス製粉体の1例はガラスビーズといわれ
るものである。基体が金属或いは金属化合物の場合、そ
れらは磁性を有するものであってもよい。基体が金属の
場合、例えば金属鉄、ニッケル、クロム、チタン、アル
ミニウム等、どのような金属でも良い。その基体が磁性
を有する金属としては金属鉄、ニッケル、クロム等が好
ましく挙げられる。これらの金属は合金でも良く、磁性
を有するものとしては強磁性合金を使用することが好ま
しい。また、粉体の基体が金属化合物である場合、それ
ら金属化合物の例としては、前に挙げた各種金属やケイ
素、カルシウム、マグネシウム、バリウム等の酸化物、
複合酸化物の他、金属窒化物、金属炭化物等を挙げるこ
とができる。また、その基体が磁性を有する金属化合物
の例としては、フェライト、酸化クロム等の磁性体を挙
げることができる。これらの粉体の表面に形成させる金
属酸化物膜は、その金属酸化物を構成する金属が粉体の
金属又は金属化合物の成分である金属と異なるものを用
いることができる。これは、例えば粉体が金属酸化物の
場合、同一の金属酸化物膜を形成しても性質の異なった
膜を形成することにならないので、あまり技術的な利益
がない。前記粉体の粒径は特に限定されるものではない
が、0.01μm〜数mmの範囲のものが好ましい。
【0022】被膜形成に用いる金属アルコキシドは、亜
鉛、アルミニウム、カドミウム、チタン、ジルコニウ
ム、ケイ素等の金属のアルコキシドが挙げられる。皮膜
の形成に際しては、被覆を形成する金属酸化物に対応す
る金属のアルコキシドを選択し、金属酸化物膜の製膜に
供せられる。金属アルコキシドは、水による分解が均一
に行われるよう、有機溶媒の溶液として使用される。有
機溶媒は、アルコール、例えばエタノール、メタノール
等、ケトン類等が使用される。有機溶媒は脱水したもの
を使用することが好ましい。金属アルコキシド溶液の濃
度は、溶解する金属アルコキシドの種類や有機溶媒の種
類によって変わるが、最適な条件を設定する。金属アル
コキシド溶液の濃度と金属アルコキシド溶液の粉体に対
する使用量により、粉体上の金属酸化物膜の厚さが決ま
る。
【0023】この金属アルコキシド溶液に基体の粉体を
分散し、それに水を加えて(好ましくは、アルコールと
混合した液として加える)金属アルコキシドを加水分解
して金属酸化物を生成させると共に、それを前記粉体上
に析出させて、金属酸化物膜を生成させる。この金属酸
化物膜の生成を具体的に行うに当たっては、前記粉体を
脱水したアルコール中に分散させ、充分攪拌しながら金
属アルコキシド溶液を加えて混合し、この均一混合物に
徐々にアルコールと水の混合液を添加して、金属アルコ
キシドを加水分解し、粉体表面上に金属酸化物ゾルを膜
状に析出させる。また金属アルコキシドのうち加水分解
速度が比較的遅いケイ素アルコキシドやジルコニウムア
ルコキシドの場合は、上記の方法ではなく原料アルコキ
シドと触媒および水を同時にあるいは水と触媒の混合物
を先に加えた後金属アルコキドを加えることもできる。
【0024】この粉体表面に被覆された金属酸化物ゲル
膜を乾燥することにより被覆粉体が得られる。乾燥は真
空加熱乾燥、真空乾燥、自然乾燥のいずれでもよい、し
かし真空乾燥することが好ましい。また、雰囲気調整し
ながら不活性雰囲気中で噴霧乾燥機などの装置を用いる
ことも可能である。粉体の表面に金属酸化物の膜を被覆
し、乾燥した後、被覆した金属酸化物膜の密度を高め、
強度を上げ、被覆粒子の粒径を小さくする等の目的で、
その形成された金属酸化物膜を熱処理することが好まし
い。このように金属酸化物膜を熱処理すれば、ゲル膜を
乾燥する際にゲル表面に未反応物が残存しても隣接金属
酸化物膜被覆粒子との間で被覆膜の凝集・固着が起こる
ことを完全に防止することができる。また、被覆した粉
体を光の干渉によるカラー粉体として使用する場合に
は、被膜中の高分子化合物を分解するため、熱処理は必
須になる。
【0025】熱処理における温度は、乾燥に通常使用さ
れる加熱温度以上をいうものであって、有機物が除かれ
ればよいから、100℃以上であればよいが、通常12
0℃以上で、上は1000℃以下であり、好ましくは3
00〜600℃であり、さらに好ましくは400〜55
0℃である。下の方は200℃あるいは250℃とする
とよい。熱処理時間は、1分間ないし3時間の範囲に適
当に決められる。熱処理における雰囲気は、空気中でも
よいが、窒素雰囲気あるいは不活性ガス雰囲気中の方が
その酸化状態が変化しないので、酸化状態が変化しない
方が望ましい場合には、窒素あるいは不活性ガス雰囲気
等とすることができる。また熱処理は、1回の金属酸化
物の製膜の被覆工程毎に行うことが好ましいが、また金
属酸化物膜を被覆し、その上に金属酸化物膜を順次被覆
した後に行ってもよい。
【0026】
【実施例】以下、本発明を実施例によって更に具体的に
説明するが、勿論本発明の範囲は、これらに限定される
ものではない。
【0027】実施例1(単層膜被覆粉体の製造) 単層:シリカコーティング BASF製カーボニル鉄粉(平均粒径1.8μm)10
gをエタノール100ml中に分散し、これにシリコン
エトキシド6gとアンモニア水(29%濃度)6gおよ
び水8g,さらにヒドロキシプロピルセルロース(分子
量:11万〜15万)のエタノール溶液(1.67重量
%)を添加し、攪拌しながら5時間反応させた。反応後
エタノール100mlを加え希釈洗浄し、濾過し、真空
乾燥機で110℃3時間乾燥した。乾燥後、回転式チュ
ーブ炉を用いて加熱処理を650℃で30分間施し、シ
リカコート粉体Aを得た。得られた粉体シリカコートA
の膜厚は75nmであり、分散状態はほぼ完全であっ
た。
【0028】比較例1 単層:シリカコーティング 実施例1と同じBASF製カーボニル鉄粉(平均粒径
1.8μm)10gをエタノール100ml中に分散
し、これにシリコンエトキシド6gとアンモニア水(2
9%濃度)6gおよび水8gを添加し、攪拌しながら5
時間反応させた。反応後エタノール100mlを加え希
釈洗浄し、濾過し、真空乾燥機で110℃3時間乾燥し
た。乾燥後、回転式チューブ炉を用いて加熱処理を65
0℃で30分間施こし、シリカコート粉体Bを得た。得
られた粉体は一部分散していたが、大部分は粒子が数個
〜数十個固着した固着凝集体であった。
【0029】実施例2(多層膜被覆粉体の形成) 1層目:シリカコーティング 実施例1と全く同様の条件で、シリカコート粉体A10
gを得た。 2層目:チタニアコーティング 得られたシリカコート粉体A10gに対し、エタノール
200mlを加え分散し、これにチタンエトキシド5g
を加え、さらにヒドロキシプロピルセルロース(分子
量:15万〜22万)のエタノール溶液(0.83重量
%)を添加し撹拌する。これにエタノール30mlと水
8.0gの混合溶液を60分間かけて滴下した後、2時
間反応させた。反応後エタノールで希釈洗浄し、濾過
し、真空乾燥機で110℃3時間乾燥した。乾燥後、回
転式チューブ炉を用いて加熱処理を650℃で30分間
施し、シリカ・チタニア粉体Cを得た。得られたシリカ
・チタニア粉体Cは分散性が良く、それぞれ単粒子であ
った。シリカ・チタニア粉体Cはチタニア膜の厚さは5
0nmであった。 また、この粉体の分光反射曲線のピ
ーク波長は445nmであり、ピーク波長での反射率は
40%で、鮮やかな青色であった。
【0030】比較例2 1層目:シリカコーティング 実施例1と全く同様の条件で、シリカコート粉体A10
gを得た。 2層目:チタニアコーティング 得られたシリカコート粉体A10gに対し、エタノール
200mlを加え分散し、これにチタンエトキシド5g
を加え撹拌する。これにエタノール30mlと水8.0
gの混合溶液を60分間かけて滴下した後、2時間反応
させた。反応後エタノールで希釈洗浄し、濾過し、真空
乾燥機で110℃3時間乾燥した。乾燥後、回転式チュ
ーブ炉を用いて加熱処理を650℃で30分間施し、シ
リカ・チタニア粉体Dを得た。得られたシリカ・チタニ
ア粉体Cは一部に凝集体が存在した。シリカ・チタニア
粉体Cはチタニア膜の厚さは52nmであった。また、
この粉体の分光反射曲線のピーク波長は445nmであ
り、ピーク波長での反射率は32%に減少した。
【0031】
【発明の効果】本発明の金属酸化物膜の形成方法によ
り、顔料、粉末冶金、窯業原料、電子工業などの原料と
なる複合原料粉体を、厚い金属酸化物被膜層を1層で形
成する場合でも、金属酸化膜同志の凝集固着が生じな
く、かつ工業生産上効率よく、分散性が良好で緻密な金
属酸化物被膜を有する粉体を形成できるようになり、得
られたカラー粉体は干渉反射が大きく、明るい色を可能
とするものであって、産業界に寄与するところ大であ
る。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基体粒子を分散した有機溶媒中で金属ア
    ルコキシドを加水分解し、該基体粒子表面に金属酸化物
    膜を形成する方法において、該有機溶媒中にヒドロキシ
    ル基を有する高分子化合物を存在させることを特徴とす
    る金属酸化物膜の形成方法。
  2. 【請求項2】 ヒドロキシル基を有する高分子化合物が
    基体粒子の表面積に対して0.008〜160mg/m
    2 であることを特徴とする請求項1記載の金属酸化物膜
    の形成方法。
  3. 【請求項3】 ヒドロキシル基を有する高分子化合物が
    有機溶媒に対して0.001〜2重量%であることを特
    徴とする請求項1記載の金属酸化物膜の形成方法。
  4. 【請求項4】 ヒドロキシル基を有する高分子化合物が
    セルロース類であることを特徴とする請求項1記載の金
    属酸化物膜の形成方法。
  5. 【請求項5】 ヒドロキシル基を有する高分子化合物が
    ヒドロキシプロピルセルロースであることを特徴とする
    請求項1記載の金属酸化物膜の形成方法。
  6. 【請求項6】 形成される金属酸化物膜の厚さが10n
    m〜20μmであることを特徴とする請求項1記載の金
    属酸化物膜の形成方法。
  7. 【請求項7】 前記金属酸化物膜を形成させた後の粉体
    を300〜1100℃で熱処理することを特徴とする請
    求項1記載の金属酸化物膜の形成方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002337100A (ja) * 2001-03-13 2002-11-26 Inst Of Physical & Chemical Res ナノ被覆分子性材料
JP2010142732A (ja) * 2008-12-18 2010-07-01 Keio Gijuku 金属アルコキシドによる、ナノスケールの凹凸を有する基材の表面処理方法

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JP2002337100A (ja) * 2001-03-13 2002-11-26 Inst Of Physical & Chemical Res ナノ被覆分子性材料
JP2010142732A (ja) * 2008-12-18 2010-07-01 Keio Gijuku 金属アルコキシドによる、ナノスケールの凹凸を有する基材の表面処理方法

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