JP3652786B2 - 顔料粉体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は顔料粉体に関するものであり、特にカラーインキ用およびプラスチック・紙用フィラーとして用いられる顔料粉体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
本発明者らは先に、金属粒子又は金属化合物粒子だけが備える性質のほかに別の性質を合わせ持ち、複合した機能を有する粉体を提供するために、金属又は金属化合物粉体核粒子の表面に、均一な0.01〜20μmの厚みの、前記粉体核粒子を構成する金属とは異種の金属を成分とする金属酸化物膜を有する粉体を発明した(特開平6−228604号公報)。また、本発明者らは前記の粉体をさらに改良し、金属酸化物膜単独ではなく、金属酸化物膜と金属膜とを交互に複数層有するようにした粉体も発明した(特開平7−90310号公報)。
【0003】
これらの粉体を製造するには、粉体核粒子の上に均一な厚さの金属酸化物膜を複数層設けることが必要であって、そのためには金属塩水溶液から金属酸化物又はその前駆体である金属化合物を沈殿させることが難しいので、本発明者らは、金属アルコキシド溶液中に前記の粉体核粒子を分散し、該金属アルコキシドを加水分解することにより、前記粉体核粒子上に金属酸化物膜を生成させる方法を開発し、この方法によって薄くてかつ均一な厚さの金属酸化物膜を形成することができるようになり、特に多層の金属酸化物膜を形成することが可能になった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、金属や金属化合物を核とする粉体はインキに使用する場合、比重が大きく使用前に液中で沈降しやすいため、分散が容易でなく均一化しにくいという問題がある。また、インキ用粉体やプラスチック用フィラーなどに用いるためには着色が必要であるが、メカノケミカル法では顔料自体も粉砕されるため、顔料粒子径が小さくなり色が薄くなるため染料などで着色することが必要となる。また、プラスチック用フィラーとして樹脂中に分散させるため混練する際にメカノケミカル法で形成された殻から粉体粒子が剥離し、このため色が変化することがあるという問題がある。本発明の目的は、これらの問題を解消し、染料や顔料を用いずとも、軽い核粉体に着色し流体中に分散して青、緑、黄色などの単色のカラーインキ用顔料およびプラスチック・紙用フィラーを設計することができ、安定な色調の顔料粉体を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意研究を進めた結果、粉体表面に屈折率の異なる多層の薄膜を形成することにより多層膜の反射光干渉波形を調整し、染料や顔料を用いずとも青、緑、黄色などの安定な色調の着色粉体が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明の顔料粉体は、球状の樹脂粒子の表面に複数の屈折率の異なる金属酸化物層の被膜層を有し、干渉反射あるいは干渉透過により着色されていることを特徴とするものである。
【0007】
本発明において、顔料粉体の核を構成する比重0.1〜2.8の粉体核粒子は特に限定されるものではなく、有機物でも無機物でもよい。但し、入手、調製の容易性から有機物が好ましく、より詳細には樹脂粒子が好ましい。樹脂粒子の具体例としては、セルロースパウダー、酢酸セルロースパウダー、ポリアミド、エポキシ樹脂、ポリエステル、メラミン樹脂、ポリウレタン、酢酸ビニル樹脂、ケイ素樹脂、アクリル酸エステル、メタアクリル酸エステル、スチレン、エチレン、プロピレン及びこれらの誘導体の重合または共重合により得られる球状または破砕の粒子などが挙げられる。特に好ましい樹脂粒子はアクリル酸またはメタアクリル酸エステルの重合により得られる球状のアクリル樹脂粒子である。
無機物としてはシラスバルーン(中空ケイ酸粒子)などの無機中空粒子、微小炭素中空球(クレカスフェアー)、電融アルミナバブル、アエロジル、ホワイトカーボン、シリカ微小中空球、炭酸カルシウム微小中空球、炭酸カルシウム、パーライト、タルク、ベントナイト、カオリン等を用いることができる。
【0008】
本発明の顔料粉体において、比重0.1〜2.8の粉体核粒子の表面に形成される複数の被膜層は、それらの屈折率が互いに異なるものであることが必要であり、それらの被膜層を構成する材料は無機金属化合物、金属または合金、および有機物のうちから任意に選択することが望ましい。
【0009】
被膜層を構成する無機金属化合物としては、その代表的なものとして金属酸化物が挙げられ、具体例として例えば鉄、ニッケル、クロム、チタン、アルミニウム、ケイ素、カルシウム、マグネシウム、バリウムなどの酸化物、あるいはこれらの複合酸化物が挙げられる。さらに、金属酸化物以外の金属化合物としてはフッ化マグネシウム、鉄窒化物などの金属窒化物、金属炭化物などが挙げられる。
【0010】
被膜層を構成する金属単体としては金属銀、金属コバルト、金属ニッケル、金属鉄などが挙げられ、金属合金としては鉄・ニッケル合金、鉄・コバルト合金、鉄・ニッケル合金窒化物、鉄・ニッケル・コバルト合金窒化物などが挙げられる。
【0011】
被膜層を構成する有機物としては、核を構成する上記の有機物と同一でも異なってもよく、特に限定されるものではないが、好ましくは樹脂である。樹脂の具体例としては、セルロース、酢酸セルロース、ポリアミド、エポキシ樹脂、ポリエステル、メラミン樹脂、ポリウレタン、酢酸ビニル樹脂、ケイ素樹脂、アクリル酸エステル、メタアクリル酸エステル、スチレン、エチレン、プロピレン及びこれらの誘導体の重合体または共重合体などが挙げられる。
【0012】
このように、被膜層を構成する材料として種々の材料を使用することができるが、それらの材料の組合せは各被膜層の屈折率を考慮した上で、顔料や塗料の種類、目的、被塗布物などに応じて適宜選択することが必要である。
【0013】
本発明の顔料粉体の粒径は、特に限定されず、目的に応じて適宜調整することができるが、通常は0.01μm〜数mmの範囲である。
【0014】
また、前記複数の被膜層を構成する各単位被膜層は、特定の同一波長の干渉反射ピークまたは干渉透過ボトムを有するように各単位被膜層の膜厚を設定したものであることが望ましい。さらに好ましくは、各単位被膜層の膜厚の設定は、下記式(1):
N×d=m×λ/4 (1)
〔但し、Nは複素屈折率、dは基本膜厚、mは整数(自然数)、λは前記干渉反射ピークまたは干渉透過ボトムの波長を表し、Nは下記式(2):
N=n+iκ (2)
(nは各単位被膜層の屈折率、iは複素数、κは減衰係数を表す)〕
を満たす基本膜厚とし、屈折率の減衰係数κによる位相ずれ、膜界面での位相ずれ、屈折率の分散および粒子形状に依存するピークシフトからなる関数より、各単位被膜層が前記特定の同一波長の干渉反射ピークまたは干渉透過ボトムを有するように、該各単位被膜層の実膜厚を補正したものである。
【0015】
その膜の形成方法としては、その形成する物質に応じて次のような方法を挙げることができるが、その外の方法を使用することができる。
(1)有機物膜(樹脂膜)を形成する場合
a.液相中での重合法
核となる粒子を分散させて乳化重合させることにより、その粒子の上に樹脂膜を形成させる方法などが使用できる。
b.気相中での製膜法(CVD)(PVD)
【0016】
(2)無機金属化合物膜を形成する場合
a.液相中での固相析出法
核となる粒子を金属アルコキシド溶液中に分散し、金属アルコキシドを加水分解することにより、その粒子の上に金属酸化物膜を形成する方法が好ましく、緻密な金属酸化物膜を形成することができる。また、金属塩水溶液の反応により粒子の上に金属酸化物膜等を形成することができる。
b.気相中での製膜法(CVD)(PVD)
(3)金属膜あるいは合金膜を形成する場合
a.液相中での金属塩の還元法
金属塩水溶液中で金属塩を還元して金属を析出させて金属膜を形成する、いわゆる化学メッキ法が使用される。
b.気相中での製膜法(CVD)(PVD)
金属の真空蒸着などにより、粒子の表面に金属膜を形成することができる。
【0017】
次に一例として、高屈折率の金属酸化物と低屈折率の金属酸化物の交互多層膜を形成する方法について具体的に説明する。まず、チタンあるいはジルコニウムなどのアルコキシドを溶解したアルコール溶液に粉体核粒子を分散し、攪拌させながら水とアルコール及び触媒の混合溶液を滴下し、前記アルコキシドを加水分解することにより、粉体核粒子表面に高屈折率膜として酸化チタン膜あるいは酸化ジルコニウム膜を形成する。その後、この粉体を固液分離し、乾燥後、熱処理を施す。乾燥手段としては、真空加熱乾燥、真空乾燥、自然乾燥のいずれでもよい。また、雰囲気調整しながら不活性雰囲気中で噴霧乾燥機などの装置を用いることも可能である。熱処理は、酸化しない皮膜組成物は空気中で、酸化しやすい皮膜組成物は不活性雰囲気中で、150〜1100℃(粉体核粒子が無機粉体の場合)または150〜500℃(粉体核粒子が無機粉体以外の場合)で1分〜3時間熱処理する。続いて、ケイ素アルコキシド、アルミニウムアルコキシドなどの、酸化物になったときに低屈折率となる金属アルコキシドを溶解したアルコール溶液に、前記の高屈折率膜を形成した粉体を分散し、攪拌させながら水とアルコール及び触媒の混合溶液を滴下し、前記アルコキシドを加水分解することにより、粉体核粒子表面に低屈折率膜として酸化ケイ素あるいは酸化アルミニウムの膜を形成する。その後、粉体を固液分離し、真空乾燥後、前記と同様に熱処理を施す。この操作により、粉体核粒子の表面に2層の、高屈折率の金属酸化物膜と低屈折率の金属酸化物膜を有する粉体が得られる。さらに、この金属酸化物膜を形成する操作を繰り返すことにより、多層の金属酸化物膜をその表面上に有する粉体が得られる。その際、前記したように、高屈折率の金属酸化物膜と低屈折率の金属酸化物膜が交互に設けられている粉体とすることにより、高い反射率を有する粉体が得られ、白色度の高い粉体となる。
【0018】
以下、図面を参照しながら本発明をさらに詳しく説明する。図1は、本発明の顔料粉体の概念的構造を示す断面図であって、比重0.1〜2.8の粉体核粒子1を核とし、その表面に2層の、屈折率の異なる被膜層2、3がそれぞれ設けられている。
【0019】
また、粉体核粒子の表面に形成する屈折率の異なる交互被覆膜の各層の厚さを調整することにより特別の機能を与えることができる。例えば、粉体核粒子の表面に、屈折率の異なる交互被覆膜を、次の式(1)を満たすように、被膜を形成する物質の屈折率nと可視光の波長の4分の1の整数m倍に相当する厚さdを有する交互膜を適当な厚さと枚数設けると、特定の波長λの光(フレネルの干渉反射を利用したもの)が反射または吸収される。
nd=mλ/4 (1)
この作用を利用して、粉体核粒子の表面に目標とする可視光の波長に対し式(1)を満たすような膜の厚みと屈折率を有する酸化物膜を製膜し、さらにその上に屈折率の異なる酸化物膜を被覆することを1度あるいはそれ以上交互に繰り返すことにより可視光域に特有の反射あるいは吸収波長幅を有する膜が形成される。このとき製膜する物質の順序は次のように決める。まず核となる有機物の屈折率が高いときには第1層目が屈折率の低い膜、逆の関係の場合には第1層目が屈折率の高い膜とすることが好ましい。
【0020】
膜厚は、膜屈折率と膜厚の積である光学膜厚の変化を分光光度計などで反射波形として測定、制御するが、反射波形が最終的に必要な波形になるように各層の膜厚を設計する。例えば、図2に示すように、多層膜を構成する各単位被膜の反射波形のピーク位置がずれた場合に白色の粉体となり、一方、図3に示すように各単位被膜の反射波形のピーク位置を精密に合わせると、染料や顔料を用いずとも青、緑、黄色などの単色の着色粉体とすることができる。
【0021】
ただし、実際の粉体の場合、粉体の粒径、形状、膜物質および核粒子物質の相互の界面での位相ずれ及び屈折率の波長依存性によるピークシフトなどを考慮して設計する必要がある。例えば、核粒子の形状が平行平板状である場合には、粒子平面に形成される平行膜によるフレネル干渉は上記式(1)のnを次の式(2)のNに置き換えた条件で設計する。特に、粉体の形状が平行平板状である場合でも金属膜が含まれる場合には、式(2)の金属の屈折率Nに減衰係数κが含まれる。なお、透明酸化物(誘電体)の場合にはκは非常に小さく無視できる。
N=n+iκ(iは複素数を表す) (2)
この減衰係数κが大きいと、膜物質および核粒子物質の相互の界面での位相ずれが大きくなり、さらに多層膜のすべての層に位相ずれによる干渉最適膜厚に影響を及ぼす。
【0022】
これにより幾何学的な膜厚だけを合わせてもピーク位置がずれるため、特に単色に着色する際に色が淡くなる。これを防ぐためには、すべての膜に対する位相ずれの影響を加味し、コンピュータシミュレーションであらかじめ膜厚の組合せが最適になるように設計する。
【0023】
さらに、金属表面にある酸化物層のための位相ずれや、屈折率の波長依存性によるピークシフトがある。これらを補正するためには、分光光度計などで、反射ピークや吸収ボトムが最終目的膜数で目標波長になるよう最適の条件を見出すことが必要である。
【0024】
球状粉体などの曲面に形成された膜の干渉は平板と同様に起こり、基本的にはフレネルの干渉原理に従う。したがって、着色方法も図2および図3のように白色および単色に設計することができる。ただし曲面の場合には、粉体に入射し反射された光が複雑に干渉を起こす。これらの干渉波形は膜数が少ない場合には平板とほぼ同じである。しかし、総数が増えると多層膜内部での干渉がより複雑になる。多層膜の場合もフレネル干渉に基づいて、反射分光曲線をコンピュータシミュレーションであらかじめ膜厚の組合せが最適になるよう設計することができる。特に粉体核粒子表面への被膜形成の場合、粉体核粒子表面とすべての膜に対する位相ずれの影響を加味し、コンピュータシミュレーションであらかじめ膜厚の組合せが最適になるよう設計する。さらに、粉体核粒子表面にある酸化物層のためのピークシフトや屈折率の波長依存性によるピークシフトも加味する。実際のサンプル製造では設計した分光曲線を参考にし、実際の膜においてこれらを補正するために、分光光度計などで反射ピークや吸収ボトムが最終目的膜数で目標波長になるよう膜厚を変えながら最適の条件を見出さねばならない。不定形状の粉末に着色する場合も多層膜による干渉が起こり、球状粉体の干渉多層膜の条件を参考にし基本的な膜設計を行う。上記の多層膜を構成する各単位被膜のピーク位置は各層の膜厚により調整することができ、膜厚は溶液組成および反応時間および原料の添加回数による調整することができ所望の色に着色することができる。以上のように、反射ピークや吸収ボトムが最終目的膜数で目標波長になるよう膜形成溶液などの製膜条件を変えながら最適の条件を見出すことにより、白色および単色の粉体を得ることができる。また、多層膜を構成する物質の組合せおよび各単位被膜の膜厚を制御することにより多層膜干渉による発色を調整することができる。これにより、染料や顔料を用いなくても粉体を所望の色に鮮やかに着色することができる。
【0025】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。ただし、本発明はこの実施例のみに限定されるものではない。
【0026】
〔実施例1〕
(1層目チタニアコーティング)
アクリル粉体(平均粒子径1.5μm)10gに対しエタノール250mlを加え分散し、容器をオイルバスで加熱して液の温度を55℃に保持した。これにチタンイソプロポキシド3.5gを加え攪拌した。さらにエタノール30mlと水3.5gの混合溶液を60分かけて滴下した後、2時間反応させ、十分な量のエタノールで希釈洗浄した後、真空乾燥機で180℃、8時間乾燥した。乾燥後、チタニアコート粉体A1 を得た。得られたチタニアコート粉体A1 は分散性が良く、それぞれ単粒子であった。また、この粉体A1 の分光反射曲線のピーク波長は455nmであり、ピーク波長での反射率は32%で、淡い青色であった。
【0027】
(2層目シリカコーティング)
チタニアコート粉体A1 10gに対しエタノール100mlを加え分散し、容器をオイルバスで加熱して液の温度を55℃に保持した。これにシリコンエトキシド6gとアンモニア水(29%)と水8gを添加し、攪拌しながら3時間反応させた。反応後、十分な量のエタノールで希釈洗浄し、濾過し、真空乾燥機で180℃、8時間乾燥した。乾燥後、シリカチ−タニアコート粉体A2 を得た。得られたシリカ−チタニアコート粉体A2 の分散性は非常に良かった。
【0028】
(3層目チタニアコーティング)
シリカ−チタニアコート粉体A2 10gに対しエタノール250mlを加え分散し、容器をオイルバスで加熱して液の温度を55℃に保持した。これにチタンイソプロポキシド3.4gを加え攪拌した。さらにエタノール30mlと水3.4gの混合溶液を60分かけて滴下した後、2時間反応させ、十分な量のエタノールで希釈洗浄した後、真空乾燥機で180℃、8時間乾燥した。乾燥後、チタニア−シリカコート粉体Aを得た。得られたチタニア−シリカコート粉体Aは分散性が良く、それぞれ単粒子であった。また、この粉体Aの分光反射曲線のピーク波長は448nmであり、ピーク波長での反射率は45%で、青色であった。
【0029】
上記第1〜3層の屈折率および膜厚を表1に示す。
【0030】
【表1】
【0031】
〔実施例2〕
(1層目チタニアコーティング)
アクリル粉体(平均粒子径55μm)100gを低真空の回転攪拌槽中で攪拌しながら、あらかじめ槽内上部に設置したタングステンルツボに十分な量のチタニア粉を入れておき、そのルツボを加熱することによりチタニアを蒸発させた。回転攪拌槽中の粉体はチタニアで被覆され、チタニアコート粉体B1 を得た。得られたチタニアコート粉体B1 は分散性が良く、それぞれ単粒子であった。また、この粉体B1 の分光反射曲線のピーク波長は545nmであり、ピーク波長での反射率は78%で、淡い緑色であった。
【0032】
(2層目フッ化マグネシウムコーティング)
チタニアコート粉体B1 80gを同じく低真空の回転攪拌槽中で攪拌しながら、あらかじめ槽内上部に設置したタングステンルツボに十分な量のフッ化マグネシウム粉を入れておき、そのルツボを加熱することによりフッ化マグネシウムを蒸発させた。回転攪拌槽中の粉体はフッ化マグネシウムで被覆され、フッ化マグネシウム−チタニアコート粉体B2 を得た。得られたフッ化マグネシウム−チタニアコート粉体B2 は分散性が良く、それぞれ単粒子であった。
【0033】
(3層目チタニアコーティング)
フッ化マグネシウム−チタニアコート粉体B2 100gを低真空の回転攪拌槽中で攪拌しながら、あらかじめ槽内上部に設置したタングステンルツボに十分な量のチタニア粉を入れておき、そのルツボを加熱することによりチタニアを蒸発させた。回転攪拌槽中の粉体はチタニアで被覆され、チタニア−フッ化マグネシウムコート粉体Cを得た。得られたチタニア−フッ化マグネシウムコート粉体Cは分散性が良く、それぞれ単粒子であった。また、この粉体Cの分光反射曲線のピーク波長は500nmであり、ピーク波長での反射率は88%で、青緑色であった。
【0034】
上記第1〜3層の屈折率および膜厚を表2に示す。
【0035】
【表2】
【0036】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、染料や顔料を用いずとも、軽い核粉体に着色し流体中に分散して青、緑、黄色などの単色のカラーインキ用顔料およびプラスチック・紙用フィラーを設計することができ、長期保存においても安定な色調の顔料粉体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の化粧品原料粉体の概念的構造を示す断面図である。
【図2】白色に着色した粉体の多層膜を構成する各単位被膜の反射強度の分光波形を示すグラフである。
【図3】単色に着色した粉体の多層膜を構成する各単位被膜の反射強度の分光波形を示すグラフである。
【符号の説明】
1 粉体核粒子
2 被膜層
3 被膜層
Claims (1)
- 球状の樹脂粒子の表面に複数の屈折率の異なる金属酸化物層の被膜層を有し、干渉反射あるいは干渉透過により着色されていることを特徴とする顔料粉体。
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