JPH10259578A - 紙材料用補強材およびその製造方法 - Google Patents

紙材料用補強材およびその製造方法

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JPH10259578A
JPH10259578A JP9067858A JP6785897A JPH10259578A JP H10259578 A JPH10259578 A JP H10259578A JP 9067858 A JP9067858 A JP 9067858A JP 6785897 A JP6785897 A JP 6785897A JP H10259578 A JPH10259578 A JP H10259578A
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paper
adhesive
water
soluble
reinforcing material
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JP9067858A
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Toru Nishino
徹 西野
Akira Kasuya
明 粕谷
Keiichi Maekawa
惠一 前川
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Kurabo Industries Ltd
Kurashiki Spinning Co Ltd
Original Assignee
Kurabo Industries Ltd
Kurashiki Spinning Co Ltd
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  • Manufacturing Of Multi-Layer Textile Fabrics (AREA)
  • Treatments For Attaching Organic Compounds To Fibrous Goods (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 再生しようとする紙部分と補強用繊維との分
離が可能で、パルプの回収再利用が容易な紙用補強材、
その製造法および上記補強材を用いた補強紙の製造法を
提供する。 【解決手段】 接着剤を用いてアルカリ水溶液可溶性糸
をシート形状に形成した紙用補強材、特に、シート形状
が経糸および緯糸からなるネット形状である上記の紙用
補強材。特に接着剤が水溶性、水分散性、アルカリ可溶
性またはアルカリ膨潤性である紙用補強材。更に、ほぼ
平行に配列した緯糸群とほぼ平行に配列した経糸群を積
層した状態で接着剤水溶液を含浸させ、加熱シリンダー
に導いて乾燥するネット形状の紙用補強材の製造法。ま
た、接着剤を付与したアルカリ水溶液可溶水不溶性の糸
のネット状物を接着剤が乾燥する前に紙と重ね合わせた
状態で加熱して糸の積層体と紙とを接着積層する補強紙
の製造法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、使用済みの補強紙
から効果的に繊維を分離除去して紙の回収再利用を可能
にする繊維補強された補強紙に使用する紙材料用補強材
およびその製造方法、ならびに上記補強材を用いた補強
紙の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】紙製品は一般に油や水などを吸い込むと
強度が極端に低下して使用に耐えなくなる。したがって
通常の紙では手拭き用やウエスとして使用するには不適
切である。そのため上記用途には適当な材料で補強して
油や水を吸い込んでも強度低下の少ない紙が用いられる
ようになってきた。即ち、水不溶性の合成繊維の糸また
はネット等を補強材として紙に接合または挿入した補強
紙が紙タオルや包装用紙として利用されてきた。しか
し、このような従来の補強紙では、紙を再生して古紙と
して再利用するに当たり、補強材が紙再生工程で用いら
れるアルカリ水溶液中でも不溶でその形態を保ち、再生
されたパルプ中に混入するため、従来の紙再生工程にか
けることができなかった。そのためこれらの複合紙は使
い捨てとして焼却処分するしかなく、省資源という社会
的要請に応えられず、炭酸ガスの発生など環境問題にと
っても好ましいものではなかった。
【0003】これを解決する方法として、特願平5−3
01529号公報は、熱水にのみ溶解する水溶性ポリビ
ニルアルコール系繊維を水溶性ポリビニルアルコール系
接着剤で網状に接合してなる水溶性ネットに紙を貼着し
た補強紙を提供している。しかしこの水溶性ネットを実
用に供するため大型の機械で形成するに当たっては、以
下のような種々の問題が生じた。大型の機械で生産性を
上げるために水溶性ネットを高速で製造するには、経糸
の平行性を保つ必要があり、そのために相当のテンショ
ンをかけなければならなかった。このような状態で接着
剤溶液を含浸した糸が乾燥用の加熱シリンダーに接触す
ると湿潤状態で80〜100℃になるため糸の強度が急
速に低下して、付与されたテンションのため糸の切断が
発生した。そのため数十本以上もある経糸のすべてが全
く切断されずに連続した長尺ものの繊維シートを製造す
ることはできなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、再生しよう
とする紙部分と補強用繊維との分離が可能で、パルプの
回収再利用が容易な紙材料用補強材およびその製造方
法、並びに上記補強材を用いた補強紙の製造方法を提供
するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、接着剤を用い
てアルカリ水溶液可溶性糸をシート形状に形成した紙材
料用補強材に関する。特に、シート形状が経糸および緯
糸からなるネット形状である上記の紙材料用補強材に関
する。また、特に接着剤が水溶性、水分散性、アルカリ
可溶性またはアルカリ膨潤性である上記の紙材料用補強
材に関する。
【0006】更に、本発明は、ほぼ平行に配列した緯糸
群とほぼ平行に配列した経糸群を2層または3層以上に
積層した状態で接着剤を含浸させ、次いでこれを加熱シ
リンダーに導いて乾燥する上記のネット形状の紙材料用
補強材の製造方法に関する。更に、また本発明は、アル
カリ水溶液可溶水不溶性糸をほぼ平行に配列した緯糸群
とほぼ平行に配列した経糸群を2層または3層以上に積
層した状態で接着剤を含浸させ、接着剤を付与した上記
積層体を上記接着剤が乾燥する前に紙と重ね合わせた状
態で加熱して上記糸の積層体と紙とを接着積層する補強
紙の製造方法に関する。
【0007】上記の紙材料用補強材を用い、上記の方法
で製造された本発明の補強紙は、補強材が製造工程での
湿熱環境によっても劣化しないため使用時に望ましい強
度を保つことができる。そのため補強材および補強紙の
製造工程におけるトラブルがほとんどなく、且つ補強材
として使用されている繊維および接着剤が再生工程のア
ルカリ浴中で溶解分解するか、少なくとも細かく分散し
て元の形状を保持しないので、使用後は紙と補強材との
分離が容易で、または少なくとも残存する補強材および
接着剤は再生紙の品質を実質上損なわないような微細な
形態でしか存在しないので、紙パルプの回収再利用が可
能である。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の紙材料用補強材として用
いられるアルカリ水溶液可溶水不溶性の糸としては、6
0℃で3重量%以上のアルカリ水溶液に溶解するもので
あればどのようなものでもよいが、代表的なものとして
タンパク繊維が挙げられる。タンパク繊維としては、羊
毛やカシミア等の獣毛繊維、絹糸、乳酸繊維等のアミノ
酸繊維が挙げられる。
【0009】補強材はシート形状に形成される。これは
織布、不織布またはネットのいずれの形状でもよいが、
補強効果および経済的な理由からネット構造が特に好ま
しい。羊毛等の短繊維をネット状にするには紡績にかけ
て連続した糸として使用すればよい。
【0010】補強材を構成する糸の密度は経糸、緯糸と
もに0.5〜8本/cmであり、最終製品である補強紙
の用途および糸の引張強度により適切に選べばよい。
【0011】アルカリ水溶液可溶水不溶性糸からネット
状物を製造するには次のような方法をとることができ
る。所定の糸をほぼ平行に所望の間隔で配列した緯糸群
と、所定の糸をほぼ平行に所望の間隔で配列した経糸群
とをネット状になるように、2層または交互に3層以上
に積層した状態で接着剤を付与し、次いでこれを加熱シ
リンダーに導いて乾燥すればよい。アルカリ水溶液可溶
水不溶性糸に接着剤を付与するには、積層したネット状
物を接着剤に浸漬してもよいし、吹き付け、ロールコー
ト等により接着剤を糸に付与してもよい。最も適切な方
法は浸漬による方法である。
【0012】本発明では、アルカリ水溶液可溶水不溶性
糸同士を接着するために使用した糸に付着した接着剤を
そのまま利用して補強材と紙とを接着することを特徴と
する。本発明に使用する接着剤は、水溶性、水分散性、
アルカリ可溶性またはアルカリ膨潤性を有するものが好
ましい。接着剤がこのような特性をもつことにより、再
生工程のアルカリ浴中で接着剤が溶解し、または少なく
ともアルカリ浴中に微細分散することにより、接着剤自
身が再生パルプ中に有害な形で残存することがなく、ま
たアルカリ水溶液溶解性糸がアルカリ浴中に溶解するの
を妨害することも防ぐことができる。
【0013】ここで水溶性とは、できるだけ多量に、ま
たできるだけ容易に水に溶けるものが好ましく、好まし
くは常温の水への溶解率が5%以上であることを言う。
溶解率の測定は次のようにして行う。接着剤をシャーレ
に入れ、乾燥して樹脂フィルムを得る。25mm×60
mmに切り出したフィルムの重量を測定し浸漬前の重量
とする。300mlの常温の水の入ったフラスコに上記
フィルム1枚を入れ1時間振とうした。1時間後取り出
し充分乾燥した後重量を測定し浸漬後の重量とした。式
(1)で表される重量減少パーセント率を水溶解率とし
た。
【0014】
【数1】
【0015】溶解率が5%より低い場合は、糸がアルカ
リ水溶液と接触するのを妨げることになり、また接着剤
自体が再生パルプ中に残存する可能性が増す。この要件
を満たす水溶性物質としては、ポリビニルアルコール、
ケイ酸ソーダ、ケイ酸カリウム等のケイ酸アルカリ、澱
粉、アクリル酸エステル等が例示できる。特に好ましい
ものは水溶性ポリビニルアルコールおよびアクリル酸エ
ステルである。
【0016】このようなアクリル酸エステルは通常、水
溶性アクリル酸エステル、特にアクリル酸アルキルまた
はヒドロキシアルキルエステルの水性エマルジョンとし
て用いられる。好ましい水溶性アクリル酸エステルの水
性エマルジョンは、アルキルまたはヒドロキシアルキル
基の炭素数が1〜4のアクリル酸エステルとアクリル酸
を共重合して得られるエマルジョンである。アクリル酸
エステルのアルキルまたはヒドロキシアルキル基の炭素
数が5以上のものは、樹脂の疎水性が高くなって樹脂の
水溶性が低下する。共重合体中のアクリル酸の含有量は
10重量%以上、好ましくは20重量%であり、残部の
アクリル酸エステルとともに界面活性剤の存在下で乳化
共重合してエマルジョン化する。共重合体の分子量は1
00,000以下、好ましくは5,000〜60,000
である。エマルジョンから形成される接着剤皮膜を水溶
性とするために、アクリル酸をナトリウム塩またはカリ
ウム塩にする。
【0017】本発明で水分散性接着剤とは次のような特
性を有するものをいう。接着剤をシャーレに入れ、乾燥
して樹脂のフィルムを得る。このフィルムを60℃の水
中に入れ1時間撹拌する。この操作によりフィルムが分
解して温水中に分散し、且つ分散体が0.1mm以下の
径となって水が白濁するものをいう。このような水分散
性樹脂としては、水溶性ポリアクリル酸エステル共重合
体中のアクリル酸の含量を少なくしたり、アクリル酸エ
ステルのアルキル鎖長をより長くする等により、上記水
溶性樹脂の親水性基をやや減少させたものが該当する。
【0018】アルカリ水溶液溶解性接着剤とは次ぎのよ
うな特性を有するものをいう。アルカリ水溶液溶解性の
測定は、水の代わりに3重量%の水酸化ナトリウムと
し、温度を60℃とした以外は、水溶性の測定と同様に
し、式(1)で表される重量減少パーセントをアルカリ
水溶液溶解率とした。アルカリ水溶液溶解率は5%以上
のものが好ましい。
【0019】アルカリ水溶液溶解性を有する接着剤とし
ては次のようなものを例示することができる:上記の水
溶性物質、水分散性接着剤、エチレン酢酸ビニル共重合
樹脂類、エチレン酢酸ビニルアクリル共重合樹脂類。
【0020】またアルカリ膨潤性接着剤とは次のような
特性を有するものをいう。上記と同様にして調製した樹
脂フィルムを3重量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液に
浸漬し、60℃で1時間撹拌した後、フィルム表面に付
着した液を拭き取る。浸漬前後の重量を測定し、式
(2)で表される重量増加率をパーセントで表示したも
のをアルカリ水溶液膨潤率とした。
【0021】
【数2】
【0022】アルカリ膨潤性接着剤とはアルカリ水溶液
膨潤率が10%以上のものをいう。しかし本発明ではア
ルカリ水溶液膨潤率が30%以上のものがより好まし
い。アルカリ膨潤性を有しない、即ちアルカリ水溶液膨
潤率が低い接着剤を用いた場合は、紙の再生処理時に繊
維が溶解しても接着剤が鞘状で残存してあたかも繊維が
溶解しない状態を生じたり、更にはアルカリ水溶液の繊
維への浸透が阻害されて繊維が溶解しなくなり、パルプ
中に接着剤樹脂や繊維が大きな異物として混入するため
に不都合を生じる。
【0023】アルカリ膨潤性の接着剤としては、アクリ
ル酸エステル樹脂類、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂
類、エチレン酢酸ビニルアクリル共重合樹脂類を例示す
ることができる。本発明で使用できるアルカリ膨潤性の
アクリル酸エステル樹脂は、エステルのアルキル基が炭
素数1〜4のアクリル酸エステルの単独重合体または共
重合体である。炭素数が5以上のアルキル基を有するア
クリル酸エステルモノマーを含有する樹脂はそのような
モノマーの含有量の増加と共にアルカリ膨潤性が低下す
るため好ましくない。
【0024】このようなアルカリ膨潤性のアクリル酸エ
ステル樹脂は例えば乳化重合により調製することがで
き、得られたエマルジョンの粒子径は0.05μm以
上、好ましくは0.1μm以上とする。また架橋点を少
なくし、強固な皮膜が形成されるのを抑制することが好
ましい。樹脂のガラス転移点は好ましくは30℃以下、
特に好ましくは20℃以下として、樹脂皮膜に柔軟性を
持たせるのが好ましい。
【0025】本発明の補強材を用いて補強紙を製造する
には、接着剤を用いて上記のように形成したアルカリ可
溶水不溶性糸の織布または不織布状の補強材の片面また
は両面に紙材料を重ねた状態で、これを熱ロールに通
し、上記接着剤をホットメルト接着剤として補強材と紙
材料とを一体化することによっても製造できるが、より
効率的には、接着剤を付与したアルカリ可溶水不溶性糸
の積層体を上記接着剤が乾燥する前に紙と重ね合わせ、
これを加熱して上記糸の積層体と紙とを接着積層するこ
とができる。
【0026】本発明の紙材料用補強材の代表例を図1に
示す。図1(a)は3層構造のネット状補強材の平面
図、図1(b)は(a)のX−X′模式的断面図、図1
(c)は(a)のY−Y′模式的断面図であり、1およ
び1′は経糸、2は緯糸である。図2は本発明の紙材料
用補強材を用いて製造された補強紙の断面構造を示す模
式的断面図であり、図2(a)は図1(b)に、図2
(b)は図1(c)に対応する補強材の両面に紙が積層
された場合である。3は補強材、4および4′は紙であ
る。
【0027】
【実施例】次に実施例により本発明をより具体的に詳細
に説明する。実施例 1 羊毛繊維(40番手、撚り数500回/m)を緯糸とし
て回転アームを通して緯糸支持部材に巻き付け、該支持
部材の回転によって緯糸を1本/cmで配列した状態
に、経糸として上記と同じ羊毛繊維をクールスタンドか
ら上下2層に引き出し上下の層の糸が重ならないよう
に、上下層それぞれ1.5本/cmの状態で配列した後
に、上記の配列緯糸層を上下から挟むように重ね合わせ
て、押えロールに導いた。この段階で経糸は上下合わせ
て3本/cmの密度で配列された状態となった。この状
態の3層の糸組織を、押えロールに接触したままアルカ
リ膨潤性アクリル酸エステルエマルジョン「プライマル
TR-49」(ローム・アンド・ハース社製;樹脂固形
分50重量%、アルカリ膨潤率120%)を水で2倍に
希釈した接着剤液の槽に浸漬して接着剤を含浸付着させ
た。この接着剤を含んだネット状の糸組織を100℃に
加熱したシリンダーと接触させて乾燥し、巻取りロール
に巻き取った。製造中、経糸の破断はまったくなく、製
造トラブルは発生しなかった。
【0028】このネットを5cm角に切り取り、3重量
%濃度水酸化ナトリウム水溶液の入ったビーカーに入
れ、60℃で1時間撹拌したところ、ネットは細かく分
散して繊維状態を保持しなかった。一方、このネットの
表裏面に20g/m2の普通紙を重ねた後、130℃、
線圧1.5kg/cmのロールに4.2cm/秒の送り速
度で通して熱圧着処理して補強紙を製造した。この補強
紙を2cm角に裁断して上記同様アルカリ水溶液で処理
すると、補強紙はパルプ以外の繊維状物が全く認められ
ない状態で分散した。また、得られた補強紙は補強用繊
維の劣化がないため、良好な引張強度を保持していた。
【0029】実施例 2 ネット状糸組織として、絹紡績糸(150デニール)を
緯糸が2本/cm、経糸が2本/cmの密度で配列され
たものを、また接着剤としてポリビニルアルコール「P
VA403」(株式会社クラレ製;ケン化度79〜81
%、重合度300)と「PVA105」(株式会社クラ
レ製;ケン化度98〜99%、重合度500)とを重量
比1:1で混合したものを用いた以外は実施例1と同様
にしてネットおよび補強紙を作成した。ネットを実施例
1と同様にアルカリ液で処理すると、ネットは完全に溶
解し、補強紙はパルプ以外に繊維状物が全く認められな
い状態で分散した。
【0030】実施例 3 水溶性アクリル酸エステルエマルジョン「ニカゾールF
X-486A」(日本カーバイド工業社製;樹脂固形分
22%)とエチレン酢酸ビニルアクリルエマルジョン
「ポリゾールEF-421」(昭和高分子社製;樹脂固
形分45%、アルカリ膨潤率18%)とを重量比2:3
で混合したものを接着剤として用いた以外は、実施例1
と同様にしてネットと補強紙を作成した。これらをアル
カリ水溶液で処理すると実施例1と同様、ネットは細か
く分散して繊維状態を保持せず、補強紙はパルプ以外の
繊維状物が全く認められない状態で分散した。
【0031】実施例 4 水分散性アクリル酸エステルエマルジョン「ディクナー
ルRS-406」(大日本インキ化学工業社製;樹脂固
形分46%)とアルカリ膨潤性アクリル酸エステルエマ
ルジョン「プライマルTR-49」(ローム・アンド・
ハース社製;樹脂固形分50%、アルカリ膨潤率120
%)とを重量比1:4で混合したものを接着剤として用
いた以外は実施例1と同様にしてネットと補強紙を作成
した。これらをアルカリ水溶液で処理すると実施例1と
同様、ネットは細かく分散して繊維状態を保持せず、補
強紙はパルプ以外の繊維状物が全く認められない状態で
分散した。
【0032】実施例 5 羊毛繊維(60番手、撚り数650回/m)を緯糸とし
て回転アームを通して緯糸支持部材に巻き付け、該支持
部材の回転によって緯糸を3本/cmで配列した状態
に、経糸として上記の糸をクールスタンドから上下2層
に引き出し上下の層の糸が重なるように、上下層それぞ
れ3本/cmの状態で配列した後に、上記の配列緯糸層
を上下から挟むように重ね合わせて、押えロールに導い
た。この状態の3層の糸組織を、押えロールに接触した
ままアルカリ膨潤性アクリル酸エステルエマルジョン
「プライマルTR-49」(ローム・アンド・ハース社
製;樹脂固形分50重量%、アルカリ膨潤率120%)
を水で2倍に希釈した接着剤液の槽に浸漬して接着剤を
含浸付着させた。この接着剤を含んだネット状の糸組織
の表裏面に20g/m2の普通紙を重ねた後、同時に1
00℃に加熱したシリンダーと接触させて乾燥し、巻取
りロールに巻き取って、補強紙を作成した。この補強紙
を2cm角に裁断して、3重量%濃度水酸化ナトリウム
水溶液の入ったビーカーに投入し、60℃で1時間撹拌
したところ、ネットは細かく分散して繊維状態を保持し
なかった。
【0033】実施例 6 羊毛繊維(40番手、撚り数500回/m)を緯糸とし
て回転アームを通して緯糸支持部材に巻き付け、該支持
部材の回転によって緯糸を1本/cmで配列した状態
に、経糸として上記の糸をクールスタンドから上下2層
に引き出し上下の層の糸が重なるように、上下層それぞ
れ1本/cmの状態で配列した後に、上記の配列緯糸層
を上下から挟むように重ね合わせて、押えロールに導い
た。この状態の3層の糸組織を、押えロールに接触した
ままポリビニルアルコール「PVA205」(株式会社
クラレ製;ケン化度87〜89%、重合度500)の3
重量%水溶液の接着剤液の槽に浸漬して接着剤を付着さ
せた。この接着剤を含んだネット状の糸組織の表裏面に
20g/m2の普通紙を重ねた後、同時に100℃に加
熱したシリンダーと接触させて乾燥し、巻取りロールに
巻き取った。この補強紙を2cm角に裁断して3重量%
濃度水酸化ナトリウム水溶液の入ったビーカーに入れて
60℃で1時間撹拌したところ、補強紙はパルプ以外の
繊維状物が全く認められない状態で分散した。
【0034】比較例 1 経糸および緯糸としてポリエステル繊維(帝人(株)製;
125デニール)を使用した以外は実施例1と同様にし
てネットと補強紙を作成した。これらを実施例1と同様
にしてアルカリ処理したところネットはバラバラになっ
たが、糸はそのまま残った。
【0035】
【発明の効果】アルカリ水溶液可溶水不溶性糸を接着
剤、とくに水溶性、水分散性、アルカリ可溶性またはア
ルカリ膨潤性の接着剤で接着した本発明の紙材料用補強
材は、使用済み紙の再生処理工程のアルカリ水溶液処理
で、繊維形態を残さず溶解または微細に分散して、容易
に紙パルプから除去することができ、パルプの回収再利
用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の紙材料用補強材の模式図;(a)平
面図、(b)(a)のX−X′断面図、(c)(a)の
Y−Y′断面図。
【図2】 本発明の紙材料用補強材を用いて製造された
補強紙の断面図;(a)図1(b)に対応する断面図、
(b)図1(c)に対応する断面図
【符号の説明】
1、1′:ネット状補強材の経糸、2:緯糸、3:補強
材、4、4′:紙

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 接着剤を用いてアルカリ水溶液可溶水不
    溶性糸をシート形状に形成した紙材料用補強材。
  2. 【請求項2】 シート形状が経糸および緯糸からなるネ
    ット形状である請求項1記載の紙材料用補強材。
  3. 【請求項3】 アルカリ水溶液可溶水不溶性糸がタンパ
    ク繊維である請求項1または2記載の紙材料用補強材。
  4. 【請求項4】 タンパク繊維が羊毛、絹である請求項3
    記載の紙材料用補強材。
  5. 【請求項5】 接着剤が水溶性、水分散性、アルカリ可
    溶性またはアルカリ膨潤性である請求項1、2、3また
    は4のいずれかに記載の紙材料用補強材。
  6. 【請求項6】 糸密度が経糸、緯糸ともに0.5〜8本
    /cmである請求項1から5のいずれかに記載の紙材料
    用補強材。
  7. 【請求項7】 ほぼ平行に配列した緯糸群とほぼ平行に
    配列した経糸群を2層または3層以上に積層した状態で
    接着剤を含浸させ、次いでこれを加熱シリンダーに導い
    て乾燥する請求項2から6のいずれかに記載のネット形
    状の紙材料用補強材の製造方法。
  8. 【請求項8】 アルカリ水溶液可溶水不溶性糸をほぼ平
    行に配列した緯糸群とほぼ平行に配列した経糸群を2層
    または3層以上に積層した状態で接着剤を含浸させ、接
    着剤を付与した上記積層体を上記接着剤が乾燥する前に
    紙と重ね合わせた状態で加熱して上記糸の積層体と紙と
    を接着積層する補強紙の製造方法。
  9. 【請求項9】 接着剤が水溶性、水分散性、アルカリ可
    溶性またはアルカリ膨潤性の接着剤である請求項8記載
    の補強紙の製造方法。
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JP (1) JPH10259578A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008526424A (ja) * 2005-01-12 2008-07-24 フィンテックス アンド パートナーズ イタリア ソチエタ ペル アチオーニ 水溶性結合剤を有する複合吸収材料、前記材料で製造された製品及びその製造方法
JP2017512693A (ja) * 2014-04-03 2017-05-25 ギムザ エス.アール.エル. 再利用可能な材料
JP2022182522A (ja) * 2021-05-28 2022-12-08 王子ホールディングス株式会社 耐水性紙

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