JPH10258419A - フローオン成形法におけるセメントスラリー供給装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】フローオン成形法におけるセメントスラリー供
給装置において、新規供給されるスラリーの落下衝撃に
よる弊害を防止し均一な成層を可能とする。 【解決手段】フェルトベルト１上面又はフェルトベルト
上に帯状に成層されて移送されるセメント層２の上面に
配設される無底の枠体３であって、前記フェルトベルト
の移送下流側にセメントスラリーの流出隙間４を設けた
フローオン成形法におけるセメントスラリー供給装置に
おいて、前記枠体３の前記フェルトベルトの移送下流側
の側辺３Ａ内面より同上流側側辺３Ｂへ向け、下流側よ
り上流側へ向けて下降傾斜し、かつその下降縁５Ａと上
流側側辺３Ｂとの間にセメントスラリーの流動出口とな
る隙間６を有する傾斜板５を設けて構成される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、フローオン成形
法におけるセメントスラリー供給装置に関し、詳しくは
セメントスラリーの供給装置の改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、繊維補強セメント板の製造方法と
して裏面にサクションボックスを臨ませたフェルトベル
ト上にセメントスラリーを層状に供給し、吸引脱水しつ
つ製板するフローオン成形法が知られている。

【０００３】このフローオン成形法は、製品板厚に相当
する量のセメトスラリーをフェルトベルト上に層状に供
給して一気に製板する方法であるから、種膜をメーキン
グロール上に積層し、所望の厚さにした後切開して平ら
にプレスして製板する抄造法に比べ工程数が少なく製造
時間が短縮できる利点を有する。

【０００４】しかし、フローオン成形法は一時に目的厚
さの板を製板してしまうので、フェルトベルト上に供給
されるセメントスラリーは幅方向全体に均一な混合状態
で均一な層厚とされていることが必要となる。

【０００５】このようなスラリー供給装置として、無底
の枠体をフェルトベルト上に配置し、その中にセメント
スラリーを満たして枠体の底部からセメントスラリーを
フェルトベルトの動きに合わせて引き出させるように
し、もって均一なセメントスラリー層を成層できるよう
にしたセメントスラリー供給装置が提案されかつ実施さ
れている（例えば特開平７−２５６６２２〜３、特開平
７−２８５１１９号公報等）。

【０００６】このスラリー供給装置は、底が直接フェル
トベルトあるいはフェルトベルト上に成層されたセメン
ト層とされるため供給されるセメントスラリーが枠体内
に満たされている限り均一な成層ができる利点を有す
る。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記供
給装置には底面から引き出されるセメントスラリーの消
費量に見合った量のセメントスラリーを常時供給する必
要があり、枠体上面からスラリーを投入供給した場合、
その流れで枠体内のセメントスラリーが乱され、特に落
下スラリーが底面部分を直撃し、このため枠体底面から
引き出されるセメントスラリー層に悪影響を及ぼすとい
った問題が生じた。

【０００８】特に、フェルトベルト上に基層となるセメ
ント層を成層し、その上に表層となるセメントスラリー
を供給するような場合、表層用セメントスラリーの落下
衝撃が底面となっている基層セメント層表面を直撃し、
基層表面を乱すことがある問題が生じた。

【０００９】また、スラリーは落下衝撃により泡立つこ
とがあり、この気泡が製品表面に痕を残し不良品となる
欠点があった。従って、セメントスラリーを投入供給す
る場合消泡剤などの添加が不可欠となり製造に手間が係
ると共にコストも上昇する問題があった。

【００１０】この発明は上記問題点を解決することを目
的としてなされたものであり、継続的に供給されるセメ
ントスラリーの落下衝撃による影響及び消泡剤を用いる
ことなく気泡の発生を防ぐことを目的としてなされたも
のである。

【００１１】

【課題を解決するための手段】即ち、請求項１に記載の
フローオン成形法におけるセメントスラリー供給装置
は、フェルトベルト上又はフェルトベルト上に帯状に成
層されて移送されるセメント層の上面を基面とし、該基
面上に配設される無底の枠体であって、前記フェルトベ
ルトの移送下流側にセメントスラリーの流出隙間を設け
たフローオン成形法におけるセメントスラリー供給装置
において、前記枠体の前記フェルトベルトの移送下流側
の側辺内面より同上流側側辺へ向け、下流側より上流側
へ向けて下降傾斜し、かつその下降縁と上流側側辺との
間にセメントスラリーの流動出口となる隙間を有する傾
斜板を設けたことを特徴とするものである。

【００１２】上記の構成により、供給されるセメントス
ラリーは傾斜板で受け止められるので、底面となるフェ
ルトベルトあるいは基層セメント層表面に悪影響を及ぼ
すことがない。

【００１３】さらに、傾斜板はセメントスラリーが流出
する出口部分をカバーして移送上流側へ伸びているので
枠体とフェルトベルト又は基層セメント層との間のセメ
ントスラリー出口に直接セメントスラリーの落下衝撃が
加わるのを防止できる。

【００１４】請求項２に記載のフローオン成形法におけ
るセメントスラリー供給装置は、請求項１に記載のフロ
ーオン成形法におけるセメントスラリー供給装置におい
て、無底の枠体にセメントスラリーを供給する供給口よ
り傾斜板上面近傍にかけて、供給セメントスラリーを挟
むシート状の案内部材を吊支したことを特徴とするもの
である。

【００１５】この構成によれば、セメントスラリーはシ
ート状の案内部材で周囲が囲まれるため、傾斜板表面や
滞留しているセメントスラリーの液面に落下した時の反
射散乱が緩和され、泡立ちも少なくされ滑らかなスラリ
ー供給が実現される。

【００１６】

【発明の実施の形態】次にこの発明の実施の形態を説明
する。図１はこの発明の一実施の形態の断面図である。

【００１７】この発明のフローオン成形法におけるセメ
ントスラリー供給装置は、図２、図３に示すようにフェ
ルトベルト１上面又はフェルトベルト１上に帯状に成層
されて移送されるセメント層２の上面に配設される無底
の枠体３であって、前記フェルトベルト１の移送下流側
にセメントスラリーの流出隙間４を設けたフローオン成
形法におけるセメントスラリー供給装置において、前記
枠体３の前記フェルトベルトの移送下流側の側辺３Ａ内
面より同上流側側辺３Ｂへ向け、下流側より上流側へ向
けて下降傾斜し、かつその下降縁５Ａと上流側側辺３Ｂ
との間にセメントスラリーの流動出口となる隙間６を有
する傾斜板５を設けて構成されている。

【００１８】上記において、図中７はセメントスラリー
の供給口を示す。上記のフローオン成形法におけるセメ
ントスラリー供給装置は、図２に示すようにフェルトベ
ルト１上に直接成層する場合は、フェルトベルト１に面
して配置され、また、二層以上の積層構造とする場合は
図３に示すように、例えば基層のセメント層２に面して
配置される。

【００１９】そして、枠体３内にセメントスラリーを満
たせば、流出隙間４よりその隙間の幅ｄに応じた厚さの
セメントスラリーが引き出される状態で排出され成層さ
れていく。

【００２０】この場合において、供給口７からセメント
スラリーを投入した場合、投入時の落下衝撃は傾斜板５
で受け止められ、流出隙間４に直接流入圧の加わるのが
防止される。

【００２１】そして、セメントスラリーは流出出口とな
る隙間６から傾斜板５裏面へと回り込みやがて流出隙間
４から安定した状態で成層されて排出されていく。次
に、図４は請求項２に記載のフローオン成形法における
セメントスラリー供給装置の一実施の形態を示す断面図
である。

【００２２】この発明フローオン成形法におけるセメン
トスラリー供給装置は、図１〜図３に示したフローオン
成形法におけるセメントスラリー供給装置において、無
底の枠体３にセメントスラリーを供給する供給口７より
傾斜板５上面近傍にかけて、供給セメントスラリーを挟
むシート状の案内部材８、８を吊支して構成されてい
る。

【００２３】上記におけるシート状の案内部材８、８は
落下供給されるセメントスラリーに接して揺動する程度
の柔軟性とされ、具体的には薄手の帆布や合成樹脂製シ
ートなどとされる。

【００２４】また、シート状の案内部材８、８は二枚の
シートを平行に配置し一方は供給口７の底部から、他方
は供給口７の上部から吊り下げられる。上記のフローオ
ン成形法におけるセメントスラリー供給装置は、図２、
図３に示したのと同様な配置とされ、また、枠体３内に
セメントスラリーを満たせば、流出隙間４よりその隙間
の幅ｄに応じた厚さのセメントスラリーが引き出される
状態で排出され成層されていく。

【００２５】この場合において、枠体３内に供給される
セメントスラリーはシート状の案内シート８、８で両面
がカバーされて傾斜板５へと落下していくが、このと
き、セメントスラリーの反射散乱が案内シート８、８内
だけに制限されるのでそれ以外の部分の蓄積されたセメ
ントスラリーに気泡が生じたり混入したりするのが防止
される。

【００２６】従って、流出隙間４から引き出されるセメ
ントスラリー層には気泡の混入が防止され品質の均一な
セメント層を成層することができるのである。

【００２７】

【発明の効果】以上説明したように、請求項１に記載の
発明によれば無底の枠体によりセメントスラリーを供給
する場合に、新規供給されるセメントスラリーの流勢に
よって成層が乱れることなく安定した成層が可能とな
る。

【００２８】また請求項２に記載の発明によれば、セメ
ントスラリーの投入時にその衝撃により気泡が生ずるの
が防止され、消泡剤などを用いることなく品質の良いセ
メント層を成層することができる。

【００２９】また請求項１、請求項２に記載の発明はい
ずれも構造が簡単であり、既存のフローオン成形法にお
けるセメントスラリー供給装置を用いて安価かつ簡単に
実施できるので、実施も容易であるなどの効果を有す
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】請求項１の発明の実施の形態を示す断面図であ
る。

【図２】請求項１の発明の実施の形態を示す要部断面図
である。

【図３】請求項１の発明の他の実施の形態を示す要部断
面図である。

【図４】請求項２の発明の実施の形態を示す断面図であ
る。

【符号の説明】

１…フェルトベルト ２…帯状に成層されて移送されるセメント層 ３…無底の枠体 ３Ａ…移送下流側の側辺 ３Ｂ…移送上流側側辺 ４…セメントスラリーの流出隙間 ５…傾斜板 ５Ａ…下降縁 ６…隙間 ７…セメントスラリーの供給口 ８…シート状の案内部材

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】フェルトベルト上又はフェルトベルト上に
   帯状に成層されて移送されるセメント層の上面を基面と
   し、該基面上に配設される無底の枠体であって、前記フ
   ェルトベルトの移送下流側にセメントスラリーの流出隙
   間を設けたフローオン成形法におけるセメントスラリー
   供給装置において、前記枠体の前記フェルトベルトの移
   送下流側の側辺内面より同上流側側辺へ向け、下流側よ
   り上流側へ向けて下降傾斜し、かつその下降縁と上流側
   側辺との間にセメントスラリーの流動出口となる隙間を
   有する傾斜板を設けたことを特徴とするフローオン成形
   法におけるセメントスラリー供給装置。
2. 【請求項２】請求項１に記載のフローオン成形法におけ
   るセメントスラリー供給装置において、無底の枠体にセ
   メントスラリーを供給する供給口より傾斜板上面近傍に
   かけて、供給セメントスラリーを挟むシート状の案内部
   材を吊支したことを特徴とするセメントスラリーの供給
   装置。