JPH10255678A - 陰極線管の磁気シールド材及び陰極線管内部磁気シールド装置 - Google Patents
陰極線管の磁気シールド材及び陰極線管内部磁気シールド装置Info
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- JPH10255678A JPH10255678A JP5660097A JP5660097A JPH10255678A JP H10255678 A JPH10255678 A JP H10255678A JP 5660097 A JP5660097 A JP 5660097A JP 5660097 A JP5660097 A JP 5660097A JP H10255678 A JPH10255678 A JP H10255678A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 従来のクロム酸メッキ鋼等における磁気異方
性や着磁力に着目することにより、地磁気による電子ビ
ームのずれ量を小さくすることができる陰極線管の磁気
シールド材を提供する。 【解決手段】 磁気シールド材のロール目に直角方向と
平行方向の透磁率で、大きい方から小さい方を割った値
を1.4以上として、透磁率比の大きいシールド板を形
成する。また、ロール目に直角方向と平行方向の残留磁
束密度で、大きい方から小さい方を割った値を1.3以
上とすることにより、残留磁束密度比の大きいシールド
板を形成する。また、ロール目に直角方向と平行方向の
平均の残留磁束密度と保磁力との積を28KGOe以上
として、着磁力を十分大きくする。このような磁気異方
性や着磁力の大きい材料によってシールド板を形成し、
陰極線管の有効な地磁気シールドを行うことができる。
性や着磁力に着目することにより、地磁気による電子ビ
ームのずれ量を小さくすることができる陰極線管の磁気
シールド材を提供する。 【解決手段】 磁気シールド材のロール目に直角方向と
平行方向の透磁率で、大きい方から小さい方を割った値
を1.4以上として、透磁率比の大きいシールド板を形
成する。また、ロール目に直角方向と平行方向の残留磁
束密度で、大きい方から小さい方を割った値を1.3以
上とすることにより、残留磁束密度比の大きいシールド
板を形成する。また、ロール目に直角方向と平行方向の
平均の残留磁束密度と保磁力との積を28KGOe以上
として、着磁力を十分大きくする。このような磁気異方
性や着磁力の大きい材料によってシールド板を形成し、
陰極線管の有効な地磁気シールドを行うことができる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特にトリニトロン
カラー陰極線管の色選別機構に設けられる磁気シールド
材及び陰極線管内部磁気シールド装置に関する。
カラー陰極線管の色選別機構に設けられる磁気シールド
材及び陰極線管内部磁気シールド装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のトリニトロンカラー陰極線管にお
いて、地磁気による電子ビームのずれ量を比較的小さく
するために、色選別機構の後面に磁気シールド板が取り
付けられている。すなわち、この陰極線管では、前面パ
ネルの内面の蛍光面に対向して色選別機構が配置され、
この色選別機構の上下および左右の各辺を接合するフレ
ーム部材が配置されている。そして、このフレーム部材
の各辺に磁気シールド板の前端部を溶接等により接合し
て各磁気シールド板を色選別機構の後方に延在させ、各
磁気シールド板を後方に向って徐々に縮径する方向に傾
斜させて、各磁気シールド板の隣接する側縁部を互いに
接合したものである。そして、このような磁気シールド
板に用いられる材料としては、例えばクロム酸メッキ鋼
と呼ばれるものが使用されている。
いて、地磁気による電子ビームのずれ量を比較的小さく
するために、色選別機構の後面に磁気シールド板が取り
付けられている。すなわち、この陰極線管では、前面パ
ネルの内面の蛍光面に対向して色選別機構が配置され、
この色選別機構の上下および左右の各辺を接合するフレ
ーム部材が配置されている。そして、このフレーム部材
の各辺に磁気シールド板の前端部を溶接等により接合し
て各磁気シールド板を色選別機構の後方に延在させ、各
磁気シールド板を後方に向って徐々に縮径する方向に傾
斜させて、各磁気シールド板の隣接する側縁部を互いに
接合したものである。そして、このような磁気シールド
板に用いられる材料としては、例えばクロム酸メッキ鋼
と呼ばれるものが使用されている。
【0003】ところで、従来の磁気シールドの理論で
は、透磁率が大きければ大きいほど、板厚が大きければ
大きいほど、磁気シールドの大きさが小さければ小さい
ほど、外部磁界に対する磁気シールド内部の磁界は小さ
くなると考えられてきた。すなわち、シールド板の大き
さと板厚が決まれば、材料の透磁率の大小だけで、シー
ルド効果を制御できるものと考えられていた。
は、透磁率が大きければ大きいほど、板厚が大きければ
大きいほど、磁気シールドの大きさが小さければ小さい
ほど、外部磁界に対する磁気シールド内部の磁界は小さ
くなると考えられてきた。すなわち、シールド板の大き
さと板厚が決まれば、材料の透磁率の大小だけで、シー
ルド効果を制御できるものと考えられていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、一般に
流通している高透磁率鋼鈑(78パーマロイや珪素鋼鈑
等)は高コストであり、しかも実際に使用してみると電
子ビームのずれ量は大きくなるという実情がある。この
ように、従来の鋼鈑で得られるシールド効果は、透磁率
の大小だけでは解決できない問題であった。
流通している高透磁率鋼鈑(78パーマロイや珪素鋼鈑
等)は高コストであり、しかも実際に使用してみると電
子ビームのずれ量は大きくなるという実情がある。この
ように、従来の鋼鈑で得られるシールド効果は、透磁率
の大小だけでは解決できない問題であった。
【0005】ところで、一般の金属材料では、製造上の
理由で、圧延時のロール目に平行方向の磁気特性と直角
方向の磁気特性が異なり、このような金属材料に対する
シールド板の材料取り方向を変えると、シールド効果が
変化する。一方、トリニトロン陰極線管では、色選別マ
スクの透孔がスリット状に形成されており、このスリッ
ト形状による磁気異方性が大きい。具体的には、スリッ
ト方向の実効透磁率がそれと直角方向の実効透磁率より
も大きくなる。そして、反磁界転写後の実効透磁率を上
げるために、磁気シールドから色選別マスクへ向う方向
の透磁率を大きくして、色選別機構の反磁界転写をし易
い磁気回路を形成する必要がある。
理由で、圧延時のロール目に平行方向の磁気特性と直角
方向の磁気特性が異なり、このような金属材料に対する
シールド板の材料取り方向を変えると、シールド効果が
変化する。一方、トリニトロン陰極線管では、色選別マ
スクの透孔がスリット状に形成されており、このスリッ
ト形状による磁気異方性が大きい。具体的には、スリッ
ト方向の実効透磁率がそれと直角方向の実効透磁率より
も大きくなる。そして、反磁界転写後の実効透磁率を上
げるために、磁気シールドから色選別マスクへ向う方向
の透磁率を大きくして、色選別機構の反磁界転写をし易
い磁気回路を形成する必要がある。
【0006】そこで本発明の目的は、従来のクロム酸メ
ッキ鋼等における磁気異方性や着磁力に着目することに
より、地磁気による電子ビームのずれ量を小さくするこ
とができる陰極線管の磁気シールド材及び陰極線管内部
磁気シールド装置を提供することにある。
ッキ鋼等における磁気異方性や着磁力に着目することに
より、地磁気による電子ビームのずれ量を小さくするこ
とができる陰極線管の磁気シールド材及び陰極線管内部
磁気シールド装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は前記目的を達成
するため、陰極線管の内部に磁気シールド板として配置
される磁気シールド材において、圧延時のロール目に直
角方向の透磁率とロール目に平行方向の透磁率とで差異
を有し、かつ、前記透磁率の大きい方を小さい方で割っ
た値がほぼ1.4以上であることを特徴とする。また本
発明は、陰極線管の内部に磁気シールド板として配置さ
れる磁気シールド材において、圧延時のロール目に直角
方向の残留磁束密度とロール目に平行方向の残留磁束密
度とで差異を有し、かつ、前記残留磁束密度の大きい方
を小さい方で割った値がほぼ1.3以上であることを特
徴とする。また本発明は、陰極線管の内部に磁気シール
ド板として配置される磁気シールド材において、圧延時
のロール目に直角方向とロール目に平行方向の平均の残
留磁束密度と保磁力との積が28KGOe以上であるこ
とを特徴とする。
するため、陰極線管の内部に磁気シールド板として配置
される磁気シールド材において、圧延時のロール目に直
角方向の透磁率とロール目に平行方向の透磁率とで差異
を有し、かつ、前記透磁率の大きい方を小さい方で割っ
た値がほぼ1.4以上であることを特徴とする。また本
発明は、陰極線管の内部に磁気シールド板として配置さ
れる磁気シールド材において、圧延時のロール目に直角
方向の残留磁束密度とロール目に平行方向の残留磁束密
度とで差異を有し、かつ、前記残留磁束密度の大きい方
を小さい方で割った値がほぼ1.3以上であることを特
徴とする。また本発明は、陰極線管の内部に磁気シール
ド板として配置される磁気シールド材において、圧延時
のロール目に直角方向とロール目に平行方向の平均の残
留磁束密度と保磁力との積が28KGOe以上であるこ
とを特徴とする。
【0008】本発明は、シールド材のロール目に直角な
方向と平行な方向とで、透磁率や残留磁束密度の値に意
図的に差をつけ、また、シールド材の残留磁束密度と保
持力との積を大きくすることにより、電子ビームのずれ
量を改善するようにしたものである。すなわち、ロール
目に直角方向の透磁率と平行方向の透磁率とで、大きい
方から小さい方を割った値を1.4以上とすることによ
り、透磁率比の大きいシールド板を形成する。また、ロ
ール目に直角方向の残留磁束密度と平行方向の残留磁束
密度とで、大きい方から小さい方を割った値を1.3以
上とすることにより、残留磁束密度比の大きいシールド
板を形成する。そして、このような磁気異方性の高い材
料によってシールド板を形成することにより、陰極線管
の有効な地磁気シールドを行うことができる。
方向と平行な方向とで、透磁率や残留磁束密度の値に意
図的に差をつけ、また、シールド材の残留磁束密度と保
持力との積を大きくすることにより、電子ビームのずれ
量を改善するようにしたものである。すなわち、ロール
目に直角方向の透磁率と平行方向の透磁率とで、大きい
方から小さい方を割った値を1.4以上とすることによ
り、透磁率比の大きいシールド板を形成する。また、ロ
ール目に直角方向の残留磁束密度と平行方向の残留磁束
密度とで、大きい方から小さい方を割った値を1.3以
上とすることにより、残留磁束密度比の大きいシールド
板を形成する。そして、このような磁気異方性の高い材
料によってシールド板を形成することにより、陰極線管
の有効な地磁気シールドを行うことができる。
【0009】さらに、圧延時のロール目に直角方向と平
行方向の平均の残留磁束密度と保磁力との積を28KG
Oe以上とすることにより、この値に一定の比例関係を
有する着磁力を十分大きくし、十分な磁気エネルギによ
る陰極線管の有効な地磁気シールドを行うことができ
る。
行方向の平均の残留磁束密度と保磁力との積を28KG
Oe以上とすることにより、この値に一定の比例関係を
有する着磁力を十分大きくし、十分な磁気エネルギによ
る陰極線管の有効な地磁気シールドを行うことができ
る。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明による陰極線管の磁
気シールド材及び陰極線管内部磁気シールド装置の実施
の形態例について説明する。図1は、本発明による磁気
シールド材によるシールド板が設けられるトリニトロン
陰極線管の一例を示す一部省略斜視図である。この陰極
線管2は、ファンネル部4の前面に前面パネル6を設け
るとともに、後方にネック部8を設け、このネック部8
にRGBのカソード(図示省略)を内蔵した電子銃10
を設けたものであり、前面パネル6の内面のカラー蛍光
面14に対向して色選別機構12が配置されている。
気シールド材及び陰極線管内部磁気シールド装置の実施
の形態例について説明する。図1は、本発明による磁気
シールド材によるシールド板が設けられるトリニトロン
陰極線管の一例を示す一部省略斜視図である。この陰極
線管2は、ファンネル部4の前面に前面パネル6を設け
るとともに、後方にネック部8を設け、このネック部8
にRGBのカソード(図示省略)を内蔵した電子銃10
を設けたものであり、前面パネル6の内面のカラー蛍光
面14に対向して色選別機構12が配置されている。
【0011】この色選別機構12は、カラー蛍光面14
に対して所定の位置に配置された色選別マスク16と、
この色選別マスク16を支持するフレーム18を有す
る。色選別マスク16は、電子ビームが透過する縦方向
のスリット16Aを多数形成したものであり、一定の張
力を付与された状態で、溶接等によってフレーム18に
接合されている。フレーム18は、色選別マスク16の
上下両辺部を接合した上下枠部材20A、20Bと、こ
れら上下枠部材20A、20Bの両端部を連結する腕部
材22A、22Bとを有する。
に対して所定の位置に配置された色選別マスク16と、
この色選別マスク16を支持するフレーム18を有す
る。色選別マスク16は、電子ビームが透過する縦方向
のスリット16Aを多数形成したものであり、一定の張
力を付与された状態で、溶接等によってフレーム18に
接合されている。フレーム18は、色選別マスク16の
上下両辺部を接合した上下枠部材20A、20Bと、こ
れら上下枠部材20A、20Bの両端部を連結する腕部
材22A、22Bとを有する。
【0012】そして、このような色選別機構12の後方
に、地磁気シールド装置30が設けられている。地磁気
シールド装置30は、上下枠部材20A、20Bおよび
腕部材22A、22Bに、それぞれ磁気シールド板32
A、32B、34A、34Bを溶接等により接合して、
後方に延在させたものであり、各磁気シールド板32
A、32B、34A、34Bの側縁部を、隣接する磁気
シールド板32A、32B、34A、34Bの側縁部と
溶接等によって接合することにより、色選別マスク16
の後面を覆うような形状で配置されている。また、地磁
気シールド装置30の中央部は開口されており、電子銃
10からの電子ビームが色選別マスク16のスリットを
透過してカラー蛍光面14に供給される。また、上下の
磁気シールド板32A、32Bには、壁孔32a、32
bが形成されている。なお、以上のような構成におい
て、電子銃10から前面パネル6に向う方向をZ軸(管
軸)方向とし、上下枠部材20A、20Bに沿う方向を
X軸(長軸)方向とし、腕部材22A、22Bに沿う方
向をY軸(短軸)方向とする。
に、地磁気シールド装置30が設けられている。地磁気
シールド装置30は、上下枠部材20A、20Bおよび
腕部材22A、22Bに、それぞれ磁気シールド板32
A、32B、34A、34Bを溶接等により接合して、
後方に延在させたものであり、各磁気シールド板32
A、32B、34A、34Bの側縁部を、隣接する磁気
シールド板32A、32B、34A、34Bの側縁部と
溶接等によって接合することにより、色選別マスク16
の後面を覆うような形状で配置されている。また、地磁
気シールド装置30の中央部は開口されており、電子銃
10からの電子ビームが色選別マスク16のスリットを
透過してカラー蛍光面14に供給される。また、上下の
磁気シールド板32A、32Bには、壁孔32a、32
bが形成されている。なお、以上のような構成におい
て、電子銃10から前面パネル6に向う方向をZ軸(管
軸)方向とし、上下枠部材20A、20Bに沿う方向を
X軸(長軸)方向とし、腕部材22A、22Bに沿う方
向をY軸(短軸)方向とする。
【0013】次に、以上のような地磁気シールド装置3
0の磁気シールド板に用いられるシールド材の磁気特性
について説明する。 (1)透磁率比と電子ビームのずれ量について、 上述のように、トリニトロン陰極線管では、スロット孔
の色選別マスクを有するシャドウマスク陰極線管と異な
り、色選別マスク16のスリット16Aによる磁気異方
性が大きく、スリット方向の実効透磁率がそれと直角方
向の実効透磁率よりも大きくなる。このため、反磁界転
写後の実効透磁率を上げるためには、磁気シールドから
色選別マスクへ向う方向の透磁率を大きくして、色選別
機構の反磁界転写し易い磁気回路を形成する必要があ
る。
0の磁気シールド板に用いられるシールド材の磁気特性
について説明する。 (1)透磁率比と電子ビームのずれ量について、 上述のように、トリニトロン陰極線管では、スロット孔
の色選別マスクを有するシャドウマスク陰極線管と異な
り、色選別マスク16のスリット16Aによる磁気異方
性が大きく、スリット方向の実効透磁率がそれと直角方
向の実効透磁率よりも大きくなる。このため、反磁界転
写後の実効透磁率を上げるためには、磁気シールドから
色選別マスクへ向う方向の透磁率を大きくして、色選別
機構の反磁界転写し易い磁気回路を形成する必要があ
る。
【0014】そこで本例では、磁気シールド材の磁気異
方性を表す透磁率比を利用して、磁気シールドの管軸方
向の透磁率を、上下方向や左右方向の透磁率より大きく
する。ここでは、磁気シールド材のロール目に直角方向
の透磁率をロール目に平行方向の透磁率で割った値を透
磁率比として定義する。そして、上述した各磁気シール
ド板32A、32B、34A、34Bをシールド材より
材料取りして上述したフレーム18に接合する場合に、
透磁率の高い方向を管軸に沿った方向とし、透磁率の低
い方向をフレーム18の各辺に沿った方向となるように
配置する。
方性を表す透磁率比を利用して、磁気シールドの管軸方
向の透磁率を、上下方向や左右方向の透磁率より大きく
する。ここでは、磁気シールド材のロール目に直角方向
の透磁率をロール目に平行方向の透磁率で割った値を透
磁率比として定義する。そして、上述した各磁気シール
ド板32A、32B、34A、34Bをシールド材より
材料取りして上述したフレーム18に接合する場合に、
透磁率の高い方向を管軸に沿った方向とし、透磁率の低
い方向をフレーム18の各辺に沿った方向となるように
配置する。
【0015】これにより、シールド材の透磁率比の大小
だけで磁気シールド装置30における磁気異方性を考察
することが可能となる。そして、透磁率比が大きいシー
ルド材を用いることにより、その透磁率比に応じて磁気
異方性が大きい磁気シールド装置30を構成することが
できる。これにより、色選別マスクを反磁界転写し易く
なるので、シールド効果が上り電子ビームのずれ量を改
善できる。図2は、このような透磁率比に基づく電子ビ
ームのずれ量の測定例を示している。図示のように、透
磁率比が1.4を越えてから、電子ビームのずれ量が従
来に比して改善することが分かる。
だけで磁気シールド装置30における磁気異方性を考察
することが可能となる。そして、透磁率比が大きいシー
ルド材を用いることにより、その透磁率比に応じて磁気
異方性が大きい磁気シールド装置30を構成することが
できる。これにより、色選別マスクを反磁界転写し易く
なるので、シールド効果が上り電子ビームのずれ量を改
善できる。図2は、このような透磁率比に基づく電子ビ
ームのずれ量の測定例を示している。図示のように、透
磁率比が1.4を越えてから、電子ビームのずれ量が従
来に比して改善することが分かる。
【0016】(2)残留磁束密度比と電子ビームのずれ
量について、 残留磁束密度Brは、外部磁界印加後0に戻したときに
材料に残る磁束密度のことであり、慣例上10Oe(エ
ルステッド)まで外部磁界を印加後、0に戻した値を用
いている(すなわち簡易エプスタイン法による)。残留
磁束密度Brは、反磁界転写効果と密接に関係している
項目で、残留磁束密度Brが大で、反磁界転写効果が大
となる。ここで透磁率μと残留磁束密度Brとは次式で
与えられる。 μ = dB/dH ∝ Br/Hc …… この式は、透磁率μが残留磁束密度Brと保持力Hc
の比に比例することを表している。式において、保持
力Hcを下げれば、残留磁束密度Brの値が固定されて
いても、透磁率μを上昇させることができる。しかし、
保持力Hcを下げると、次項で説明する着磁力BrHc
の値を小さくしてしまい、反磁界転写後のシールド効果
を低下させてしまう。
量について、 残留磁束密度Brは、外部磁界印加後0に戻したときに
材料に残る磁束密度のことであり、慣例上10Oe(エ
ルステッド)まで外部磁界を印加後、0に戻した値を用
いている(すなわち簡易エプスタイン法による)。残留
磁束密度Brは、反磁界転写効果と密接に関係している
項目で、残留磁束密度Brが大で、反磁界転写効果が大
となる。ここで透磁率μと残留磁束密度Brとは次式で
与えられる。 μ = dB/dH ∝ Br/Hc …… この式は、透磁率μが残留磁束密度Brと保持力Hc
の比に比例することを表している。式において、保持
力Hcを下げれば、残留磁束密度Brの値が固定されて
いても、透磁率μを上昇させることができる。しかし、
保持力Hcを下げると、次項で説明する着磁力BrHc
の値を小さくしてしまい、反磁界転写後のシールド効果
を低下させてしまう。
【0017】結局、透磁率μと残留磁束密度Brとは比
例する特性であると考えざるを得ず、定義上でも、また
電子ビームのずれ量との相関の意味でも、前項で説明し
た透磁率比を、そのまま残留磁束密度比に適用できる。
図3は、このような残留磁束密度比に基づく電子ビーム
のずれ量の測定例を示している。図示のように、残留磁
束密度比が1.3を越えてから、電子ビームのずれ量が
従来に比して改善することが分かる。
例する特性であると考えざるを得ず、定義上でも、また
電子ビームのずれ量との相関の意味でも、前項で説明し
た透磁率比を、そのまま残留磁束密度比に適用できる。
図3は、このような残留磁束密度比に基づく電子ビーム
のずれ量の測定例を示している。図示のように、残留磁
束密度比が1.3を越えてから、電子ビームのずれ量が
従来に比して改善することが分かる。
【0018】(3)着磁力と電子ビームのずれ量につい
て、 着磁力BrHcは、反磁界転写後に磁気シールド内部に
残る磁気エネルギで表され、次式で与えられる。 Hg = (BHt)1/2 ∝ (BrHct)1/2 …… この式は、永久磁石の論理式で、Hgは磁石に残る磁
界の強さを示す値であり、BやHは、通常ヒステリシス
カーブの第3象限上でBとHの積が最大となる値で、
(BH)maxと呼ばれる値である。また、tは磁石の
板厚である。(BH)maxは、BrやHcが大でない
と大きくならないので、BrHcと比例しているものと
考えられる。図4は、このような残留磁束密度Brと保
磁力Hcとの積による着磁力に基づく電子ビームのずれ
量の測定例を示している。図示のように、着磁力が28
KGOeを越えてから、電子ビームのずれ量が従来に比
して改善することが分かる。
て、 着磁力BrHcは、反磁界転写後に磁気シールド内部に
残る磁気エネルギで表され、次式で与えられる。 Hg = (BHt)1/2 ∝ (BrHct)1/2 …… この式は、永久磁石の論理式で、Hgは磁石に残る磁
界の強さを示す値であり、BやHは、通常ヒステリシス
カーブの第3象限上でBとHの積が最大となる値で、
(BH)maxと呼ばれる値である。また、tは磁石の
板厚である。(BH)maxは、BrやHcが大でない
と大きくならないので、BrHcと比例しているものと
考えられる。図4は、このような残留磁束密度Brと保
磁力Hcとの積による着磁力に基づく電子ビームのずれ
量の測定例を示している。図示のように、着磁力が28
KGOeを越えてから、電子ビームのずれ量が従来に比
して改善することが分かる。
【0019】ところで、従来の磁気シールド材として使
用されてきたものは、透磁率や残留磁束密度は高くて
も、磁気異方性(上述の透磁率比や残留磁束密度比)や
着磁力(上述のBrHc)に乏しいもの多かった。そこ
で、例えば特願平8−203954号にて開示されるよ
うな高保磁力材(HHS材と称される)を使用すること
により、上述した図2〜図4に示すような特性が得られ
る。そして、上述したように、透磁率比を1.4以上、
残留磁束密度比を1.3以上、着磁力を28KGOe以
上とすることにより、電子ビームのずれ量を従来に比し
て10%程度改善できる。
用されてきたものは、透磁率や残留磁束密度は高くて
も、磁気異方性(上述の透磁率比や残留磁束密度比)や
着磁力(上述のBrHc)に乏しいもの多かった。そこ
で、例えば特願平8−203954号にて開示されるよ
うな高保磁力材(HHS材と称される)を使用すること
により、上述した図2〜図4に示すような特性が得られ
る。そして、上述したように、透磁率比を1.4以上、
残留磁束密度比を1.3以上、着磁力を28KGOe以
上とすることにより、電子ビームのずれ量を従来に比し
て10%程度改善できる。
【0020】なお、以上の例では、ロール目に直角方向
の透磁率をロール目に平行方向の透磁率で割った値を透
磁率比として定義し、同様にロール目に直角方向の残留
磁束密度をロール目に平行方向の残留磁束密度で割った
値を残留磁束密度比としたが、これと逆の磁気異方性を
有するような材料によっても同様の効果を得ることがで
きる。すなわち、透磁率比で0.71(ほぼ1.4の逆
数)以下、残留磁束密度比で0.77(ほぼ1.3の逆
数)以下の材料を用いて、ロール目に平行方向を管軸方
向に沿わせるようにして、各磁気シールド板を設けるこ
とにより、同様の効果を得ることができる。なお、この
場合の透磁率比や残留磁束密度比は、上述した(1)お
よび(2)で説明した定義に沿って表現したために、1
より小さい値となるが、請求項1および請求項2に示す
ように、透磁率や残留磁束密度の大きい方を小さい方で
割った値としては、1.4以上や1.3以上という値と
なる。すなわち、この変形例も本発明に含まれるもので
ある。
の透磁率をロール目に平行方向の透磁率で割った値を透
磁率比として定義し、同様にロール目に直角方向の残留
磁束密度をロール目に平行方向の残留磁束密度で割った
値を残留磁束密度比としたが、これと逆の磁気異方性を
有するような材料によっても同様の効果を得ることがで
きる。すなわち、透磁率比で0.71(ほぼ1.4の逆
数)以下、残留磁束密度比で0.77(ほぼ1.3の逆
数)以下の材料を用いて、ロール目に平行方向を管軸方
向に沿わせるようにして、各磁気シールド板を設けるこ
とにより、同様の効果を得ることができる。なお、この
場合の透磁率比や残留磁束密度比は、上述した(1)お
よび(2)で説明した定義に沿って表現したために、1
より小さい値となるが、請求項1および請求項2に示す
ように、透磁率や残留磁束密度の大きい方を小さい方で
割った値としては、1.4以上や1.3以上という値と
なる。すなわち、この変形例も本発明に含まれるもので
ある。
【0021】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、磁
気シールド材のロール目に直角な方向と平行な方向と
で、透磁率や残留磁束密度の値に意図的に差をつけて磁
気異方性を高くし、また、磁気シールド材の残留磁束密
度と保持力の積による着磁力を大きくした。したがっ
て、本発明によれば、磁気異方性や着磁力の大きいシー
ルド材で陰極線管の内部地磁気シールド板を構成するこ
とができ、電子ビームのずれ量を改善することが可能と
なる。
気シールド材のロール目に直角な方向と平行な方向と
で、透磁率や残留磁束密度の値に意図的に差をつけて磁
気異方性を高くし、また、磁気シールド材の残留磁束密
度と保持力の積による着磁力を大きくした。したがっ
て、本発明によれば、磁気異方性や着磁力の大きいシー
ルド材で陰極線管の内部地磁気シールド板を構成するこ
とができ、電子ビームのずれ量を改善することが可能と
なる。
【図1】本発明による磁気シールド材によるシールド板
が設けられるトリニトロン陰極線管の一例を示す一部省
略斜視図である。
が設けられるトリニトロン陰極線管の一例を示す一部省
略斜視図である。
【図2】磁気シールド材の透磁率比に基づく電子ビーム
のずれ量の測定例を示す説明図である。
のずれ量の測定例を示す説明図である。
【図3】磁気シールド材の残留磁束密度比に基づく電子
ビームのずれ量の測定例を示す説明図である。
ビームのずれ量の測定例を示す説明図である。
【図4】磁気シールド材の着磁力に基づく電子ビームの
ずれ量の測定例を示す説明図である。
ずれ量の測定例を示す説明図である。
2……陰極線管、4……ファンネル部、6……前面パネ
ル、8……ネック部、10……電子銃、12……色選別
機構、14……カラー蛍光面、16……色選別マスク、
16A……スリット、18……フレーム、20A、20
B……上下枠部材、22A、22B……腕部材、30…
…地磁気シールド装置、32A、32B、34A、34
B……磁気シールド板。
ル、8……ネック部、10……電子銃、12……色選別
機構、14……カラー蛍光面、16……色選別マスク、
16A……スリット、18……フレーム、20A、20
B……上下枠部材、22A、22B……腕部材、30…
…地磁気シールド装置、32A、32B、34A、34
B……磁気シールド板。
Claims (5)
- 【請求項1】 陰極線管の内部に磁気シールド板として
配置される磁気シールド材において、 圧延時のロール目に直角方向の透磁率とロール目に平行
方向の透磁率とで差異を有し、かつ、前記透磁率の大き
い方を小さい方で割った値がほぼ1.4以上である、 ことを特徴とする陰極線管の磁気シールド材。 - 【請求項2】 陰極線管の内部に磁気シールド板として
配置される磁気シールド材において、 圧延時のロール目に直角方向の残留磁束密度とロール目
に平行方向の残留磁束密度とで差異を有し、かつ、前記
残留磁束密度の大きい方を小さい方で割った値がほぼ
1.3以上である、 ことを特徴とする陰極線管の磁気シールド材。 - 【請求項3】 陰極線管の内部に磁気シールド板として
配置される磁気シールド材において、 圧延時のロール目に直角方向とロール目に平行方向の平
均の残留磁束密度と保磁力との積が28KGOe以上で
ある、 ことを特徴とする陰極線管の磁気シールド材。 - 【請求項4】 前記透磁率の大きい方向を管軸方向に向
けて配置するようにしたことを特徴とする請求項1記載
の磁気シールド材を使用した陰極線管内部磁気シールド
装置。 - 【請求項5】 前記残留磁束密度の大きい方向を管軸方
向に向けて配置するようにしたことを特徴とする請求項
2記載の磁気シールド材を使用した陰極線管内部磁気シ
ールド装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5660097A JPH10255678A (ja) | 1997-03-11 | 1997-03-11 | 陰極線管の磁気シールド材及び陰極線管内部磁気シールド装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5660097A JPH10255678A (ja) | 1997-03-11 | 1997-03-11 | 陰極線管の磁気シールド材及び陰極線管内部磁気シールド装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10255678A true JPH10255678A (ja) | 1998-09-25 |
Family
ID=13031720
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP5660097A Pending JPH10255678A (ja) | 1997-03-11 | 1997-03-11 | 陰極線管の磁気シールド材及び陰極線管内部磁気シールド装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH10255678A (ja) |
-
1997
- 1997-03-11 JP JP5660097A patent/JPH10255678A/ja active Pending
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A977 | Report on retrieval |
Effective date: 20041210 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Effective date: 20061024 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 |
|
A02 | Decision of refusal |
Effective date: 20070306 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 |