JPH10254851A - メンバの集中度と気配の伝達に着目した仮想オフィスシステム - Google Patents

メンバの集中度と気配の伝達に着目した仮想オフィスシステム

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JPH10254851A
JPH10254851A JP5533597A JP5533597A JPH10254851A JP H10254851 A JPH10254851 A JP H10254851A JP 5533597 A JP5533597 A JP 5533597A JP 5533597 A JP5533597 A JP 5533597A JP H10254851 A JPH10254851 A JP H10254851A
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Atsushi Matsushita
温 松下
Kenichi Okada
謙一 岡田
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    • HELECTRICITY
    • H04ELECTRIC COMMUNICATION TECHNIQUE
    • H04NPICTORIAL COMMUNICATION, e.g. TELEVISION
    • H04N7/00Television systems
    • H04N7/14Systems for two-way working
    • H04N7/15Conference systems
    • HELECTRICITY
    • H04ELECTRIC COMMUNICATION TECHNIQUE
    • H04NPICTORIAL COMMUNICATION, e.g. TELEVISION
    • H04N7/00Television systems
    • H04N7/14Systems for two-way working
    • H04N7/15Conference systems
    • H04N7/157Conference systems defining a virtual conference space and using avatars or agents

Abstract

(57)【要約】 【構成】 この発明は、オフィス内の各メンバのアウェ
アネススペースに応じた、他のメンバの画像、音声情報
を伝達することにより、メンバ間のコミュニケーション
とパーソナルスペースの確保を両立し、また周辺視ビュ
ー及び効果音を提供することにより他のメンバの気配の
伝達を支援することで、在宅勤務者に対してリアル性の
ある優れた環境を提供することを目的としたものであ
る。 【解決手段】 仮想3次元空間において、『アウェアネ
ススペース』を想定し、該空間の広さを各メンバの『集
中度』により決定し、それに応じた他のメンバの画像、
音声情報伝達手段を実現することにより、メンバ間のコ
ミュニケーションとパーソナルスペースの確保を両立
し、また他のメンバの気配の伝達を支援するために、
『周辺視ビュー』、『効果音』を用いたことを特徴とす
るメンバの集中度と気配の伝達に着目した仮想オフィス
システム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、オフィス内の各
メンバのアウェアネススペースに応じた、他のメンバの
画像、音声情報を伝達することにより、メンバ間のコミ
ュニケーションとパーソナルスペースの確保を両立し、
また周辺視ビュー及び効果音を提供することにより他の
メンバの気配の伝達を支援することで、在宅勤務者に対
してリアル性のある優れた環境を提供することを目的と
したメンバの集中度と気配の伝達に着目した仮想オフィ
スシステムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の在宅勤務は、自宅又は自宅近所の
オフィスで仕事をするものであった。
【0003】また3次元仮想空間を用いた会議の提案も
あるので、在宅で適宜会議に加わることも考えられてい
る。
【0004】
【発明により解決すべき課題】前記在宅勤務は、通勤環
境の改善や労働人口の地方分散、オフィスコストの軽減
という利点のある反面、社会への接点や仕事をする上で
の刺激の欠如、コミュニケーションの減少と、社会から
孤立したような疎外感などがある。また仕事上の有効な
情報や、知識が得られなくなるような問題点があった。
【0005】特に前記問題点の改善としてアウェアネス
(周囲にいる人間の行動や存在に気づくこと)の支援が
考えられるが、過度のアウェアネスの支援が、却って集
中力を阻害したり、作業効率の向上に支障を来すおそれ
がある。
【0006】
【課題を解決する為の手段】この発明は、実世界のオフ
ィスに出勤しているかのような臨場感のある作業空間及
びアウェアネスの支援と、メンバ間のコミュニケーショ
ンとパーソナルスペースの確保と両立を実現した仮想オ
フィスシステムを提案し、前記問題点を改善したのであ
る。
【0007】前記仮想オフィスシステムでは、臨場感が
あり、さらに連帯感のある作業空間を実現する為に、3
次元仮想空間による大部屋オフィスを提供し、またその
メンバの仮想位置に応じた音場の提供を行った。またア
ウェアネスを支援する手段としては、周囲のメンバの
「気配」を伝達し、作業への集中を良くする為に「アウ
ェアネススペース」について考察し、不必要なアウェア
ネスの伝達を抑制することによって作業効率を向上する
ことができた。
【0008】即ちこの発明は、仮想3次元空間におい
て、『アウェアネススペース』を想定し、該空間の広さ
を各メンバの『集中度』により決定し、それに応じた他
のメンバの画像、音声情報伝達手段を実現することによ
り、メンバ間のコミュニケーションとパーソナルスペー
スの確保を両立し、また他のメンバの気配の伝達を支援
するために、『周辺視ビュー』、『効果音』を用いたこ
とを特徴とするメンバの集中度と気配の伝達に着目した
仮想オフィスシステムであり、アウェアネススペース
は、他のメンバのアウェアネスを認識できる自分を中心
とした立体空間とすることを特徴としたものである。ま
た集中度は、メンバが個人作業にどの程度没頭している
かを示す値であり、判定基準として『キーボード、マウ
スを使用する頻度』、『椅子を動かす頻度』を用いるこ
とを特徴としたものであり、画像、音声情報伝達手段
は、各メンバのアウェアネススペースの広さに応じて制
御した画像、音声を伝達することを特徴としたものであ
る。更に周辺視ビューは、3次元仮想空間の見え方に人
間の視覚を反映することを特徴としたものであり、効果
音は、人の動作に伴って発生する音を適宜予定制御し
て、発生させることを特徴としたものである。
【0009】現実の日本社会では、大部屋で仕切りのな
いオフィス環境が多い。しかし、希望としては、ランド
スケープ型を希望する人が33%と、大部屋をキャビネ
ットで仕切ったタイプのオフィスの41%についで高か
ったという結果であった。この理由としては、個室に入
ると不安になるが、丈の低い仕切りや、植物などで軽く
パーソナルスペースが作られるのなら、同僚の動きや部
屋全体の雰囲気も感じとれるというのが考えられる。ま
た、現状に対する満足度は、大部屋で仕事をしている人
で現状に満足している人は3分の1であるが、ランドス
ケープ型オフィスでは、4分の3が現状に満足してい
る。これは大部屋では、同僚の顔を見渡せるが、現状は
あまりに狭すぎる、という点が理由として考えられる。
【0010】また詳細に見ていくと、男女や、職種によ
って違いがあることがわかる。まず技術系・非技術系を
問わず、専門職は一般職より個室やランドスケープ型オ
フィスなどのプライバシー、つまり、情報の管理や相互
作用の調整がしやすいオフィスを欲する割合が高い。こ
の傾向は机のレイアウトにもあてはまる。例えば、専門
職では仕事の範囲が個人に限定されやすく、一人だけで
もやれることが多い。また、仕事の性質上、一点に向け
ての集中が必要とされるからである。ところが事務職又
は管理職に従事するものは、仕事が他人の存在を前提と
しているため、周りとのコミュニケーションが仕事の効
率を上げる要素となる。
【0011】このようなことから、将来のオフィスのあ
り方を占うかぎとなるのは、専門職者の動向にあると認
められる。将来的な情報化社会のいっそうの進展に伴
い、知識集約型産業の比重が高まってくれば当然これら
の専門職者の作業環境を重視しなければならなくなるだ
ろう。しかし、贅沢な空間へのニーズを持ったこれらの
専門職者を収容するオフィスは、まず都心では実現不可
能である。つまり、これらのオフィスは郊外にしか成立
しないし、都心にあるオフィスは、仕事の変化に応じて
相対的に狭くなると思われる。
【0012】現在におけるオフィスは非常な速度でOA
化しているが、現代のオフィスでは、昔のオフィスに比
べるとOA機器を用いて仕事をするようになってきてい
る。このOA機器により、仕事の効率が上がっているこ
とは明らかである。便利になるということは、人と接触
しなくてもすむこと、機械を使っての一人で仕事をやれ
るようになることであるといえる。つまり、これらのO
A機器によって、コミュニケーションの機会が減少して
いるということが挙げられる。
【0013】今日の日本のオフィスにおけるコミュニケ
ーション形態を見ると。まず声によるコミュニケーショ
ンとして「座ったまま口頭で」、「歩いて口頭で」、
「電話で」といったものがあり、書かれたコミュニケー
ションとしては「文書」や「メモ」の送付がある。今日
の日本では、こうした肉声や書き物によってオフィス内
のコミュニケーションのほとんどがまかなわれていると
いってよい。そしてその伝達の過程で、人が移動し、音
が周囲に拡散するという現象をもたらしている。
【0014】しかしこうした従来のコミュニケーション
様式が、しだいに電子メールやCRTディスプレイに映
し出された文字・図形情報にとって代わられるにしたが
い、直接ではなく、機械に媒介にされたコミュニケーシ
ョンが増えると、少なくともコミュニケーションの面で
オフィスが開放的である必要はなくなってくる。
【0015】しかし、このことを裏返せば、フォーマル
ではないインフォーマルなコミュニケーションがさらに
重要になってくると考えられる。
【0016】また将来の在宅勤務は、オフィスオートメ
ーションを核とした、これからのオフィスを考える際、
在宅勤務ほど、想像力を刺激するものはないというの
も、通勤地獄に毎日悩まされているサラリーマンなら誰
しも、自宅での勤務というものを一度や二度、思い浮か
べことはあるだろう。また、自宅で勤務ということにな
れば、同僚とのつき合いのパターンも変わり、家族との
関係にも変化が起こる。通勤電車の混み具合いも変わっ
てくるだろう。オフィスも、これまでにないようにぎっ
しり詰まった状態に代って、スペースはぐんとゆったり
したものになる。その反面、ホームオフィスにはどんな
機材が取り付けられるのか、その費用は誰がまかなうの
だろうか、など、疑問は次々に湧き起こってくる。
【0017】しかし、在宅勤務といっても全く新しい現
象というわけではない。サラリーマンもいない110余
年前までは、農工商すべて自宅で勤務していたわけであ
る。人類の長い歴史からみれば、むしろ仕事をするため
に毎日働く場所に出向くことの方が例外に近いというこ
とができる。
【0018】在宅勤務者が、今後増えてゆくだろうこと
は、多くの人が予想している。専門家の中には、アメリ
カの場合、1990年代の半ばまでに就業人口の15
%、約1500万人が在宅勤務をしているであろうと予
想している人もいる。現実にも、多くの人が在宅勤務を
しているというデータがある。英国のある調査によれ
ば、調査対象企業の17%はすでに在宅勤務を実施して
いることがわかった。またヨーロッパの10カ国の主要
企業の35%が在宅勤務を支持している。
【0019】一本、日本では、420人を対象に個人レ
ベルの希望を調査したところ、「仕事はオフィスに限
る」、と考えている人は40%に満たず、60%以上の
人は日数的に今まで以上に自宅で仕事をしたいと答えて
いるが、将来共に在宅勤務希望は増加すると考えられ
る。
【0020】前記のような要望に応えるべく、仮想オフ
ィスシステムを改善し、これに求められる環境と、臨場
感のある作業空間の提供について研究し、この発明を完
成したのである。
【0021】元来オフィスに出勤することの利点は、周
囲にいる社員の状況や行動を認識することによって、刺
激を受け作業効率を高めたり、また頻繁に生じるコミュ
ニケーションによって、仕事に有効な知識や情報を得ら
れることである。
【0022】一方、在宅勤務者は、自宅で一人で作業を
するということから、他の社員との接触が減り、社会へ
の接点や仕事をする上での刺激を失うおそれがあり、さ
らにコミュニケーションが減少することで、社会から孤
立したような疎外感を感じたり、また仕事に有効な情報
や知識を得られなくなるおそれがある。
【0023】従って、このような在宅勤務における問題
点を解決するためには、まず仮想オフィスシステムにお
いて、あたかも実世界のオフィスに出勤して、周囲にい
るメンバと一緒に仕事をしているかのような臨場感が得
られる空間を提供することが必要不可欠である。
【0024】そのためには、仮想オフィス内で一緒に仕
事をしているメンバの行動や存在や気配といったもの
を、実世界と同じような感覚で感じさせることが必要で
ある。そのような環境を実現するためには、作業空間と
して3次元仮想空間を用いたり、音声に関しては音に前
後(奥行き)、左右の方向感をもたせる音像定位といっ
たような手法が必要であると考えられる。
【0025】またオフィスワークにおいて業務を円滑に
進めるためには、人間のコネクションが重要であること
は、多くの人々の実感するところであろう。次に組織と
の一体感や人間関係は、多くの場合フォーマルな仕事を
通じて形成されるが、同時にインフォーマルなつながり
によっても形成される。インフォーマルコミュニケーシ
ョンは日本社会では特に重要であり、このために組織単
位では懇親会や旅行会などが企画され、個人でもアフタ
ーファイブのつき合い、いわゆる飲みコミュニケーショ
ンが盛んに行なわれている。このような場でのインフォ
ーマルコミュニケーションは、単に人間のつながりによ
る心理的な安らぎといった受動的効果だけではなく、イ
ンフォーマルに得られた情報が、フォーマルな仕事にい
かされるという積極的効果も見逃すことが出来ない。事
実、オフィス内で偶発的に発生するインフォーマルコミ
ュニケーションが、オフィスの知的生産性をあげること
に重要な役割を果たしていることが知られている。具体
的には、オフィスの同じフロアーや同じビル等で共同作
業が成功する率が高いことが明らかになっている。この
ように、組織におけるインフォーマルネットワークおよ
びコミュニケーションは、組織のフォーマルな構造と調
和し、組織全体の目標を有効に達成するための不可欠な
要素となっている。組織内で、フォーマルなチャネルが
十分に機能しているか否かに関わらず、インフォーマル
コミュニケーションは常に重要な役割を担っている。
【0026】近年インフォーマルコミュニケーション
を、分散環境において支援するという研究が積極的に行
なわれている。これにはさまざまなアプローチがあり、
遠隔地の休憩室をビデオにより結合してコミュニケーシ
ョンのきっかけを与えたり、仮想的な情報空間での出合
いを支援することによりインフォーマルコミュニケーシ
ョンの促進を実現しようとするものがある。インフォー
マルコミュニケーションが生じるきっかけは、一般的に
他者の存在・行動を知ることがその第一歩であり、他者
に関する情報を明示的に提供することによってコミュニ
ケーションの機会が提供される。そこでこのきっかけを
提供するための「アウェアネス」という概念が注目され
ている。アウェアネスを提供するということは、コンピ
ュータを用いて遠隔地にいる他者の存在・行動を認識さ
せ、コミュニケーションのきっかけを提供するというこ
とである。
【0027】従って、分散環境にいるメンバたちが出勤
することを目的とする仮想オフィスシステムにおいて、
メンバ間の積極的なインフォーマルコミュニケーション
を支援することは非常に重要であり、そのためには出勤
しているメンバに関する豊富なアウェアネスを伝達する
ことが必要不可欠である。またそれを実現することは、
前節で仮想オフィスに要求される環境の一つであると述
べた、仮想オフィスに出勤しているメンバにあたかも実
世界のオフィスに出勤しているような感覚を提供するこ
とにつながるものであると考えられる。
【0028】一方、実際のオフィスでは、パーソナルス
ペースが確保され、かつ同僚の動きや部屋全体の雰囲気
も感じ取れる空間が望まれている。パーソナルスペース
の確保という点では、プライバシーの問題が重要とな
る。作業環境におけるプライバシーの侵害とは、望まな
い観察・聴衆、注意拡散、作業の妨害などがある。例え
ば自分の行動を作業と全く関係無いメンバから、自分が
分からないところから見られていたり、また近隣のメン
バから、ことあるたびに質問を受け、個人の作業が遅々
として進まなかったり、近くで数人が話しをしているそ
の声によって、集中して作業が出来なかったりすること
がしばしばある。このような理由により、パーソナルス
ペースの確保と作業効率との間には密接な関係があると
いうことができる。
【0029】この発明におけるアウェアネスの伝達は、
パーソナルスペースの確保という点で問題が生じる。他
者の存在・行動の情報は、それを必要としない作業者に
とっては、作業効率を低下させる要素となり得る。特
に、個人作業に没頭したい作業者にとっては、パーソナ
ルスペースが完全に確保された環境を強く要求するであ
ろう。豊富なアウェアネス情報を伝達しようと試みる方
向は、逆にパーソナルスペースの侵害となるのである。
【0030】従って、仮想オフィスシステムにおいて、
前節のアウェアネスを伝達する重要性と同様に、メンバ
の現在の状況に応じてパーソナルスペースを確保するこ
とも、メンバの作業効率を考える上で非常に重要なこと
である。
【0031】オフィスワークにおいて、インフォーマル
コミュニケーションが行なわれる場所としては、日米オ
フィス環境比較調査において、自席の近く、廊下、食事
の場、コピーコーナー、トイレの順で多く、この順序に
関して日米に相違はなかった。この事実は、オフィスワ
ークにとって重要な要素であるインフォーマルコミュニ
ケーションは、自席という個人の作業を行なう場所にお
いて最も多いということを示している。従って、自席で
はパーソナルスペースの確保と、インフォーマルコミュ
ニケーションを支援するための豊富なアウェアネス情報
の伝達の両方を行なわなければならないということがで
きる。しかし、前述したように、アウェアネス情報の伝
達によるインフォーマルコミュニケーションの支援と、
仕事に直接関係ない情報による作業効率の低下との間に
は、トレードオフが存在するのである。
【0032】そこでValentine(Virtua
l office environment for
transmitting the informat
ion of concentration and
the presenceの略)では、このトレードオ
フを解決するために、他のメンバのアウェアネス情報の
無制限な流入を防ぐ「アウェアネススペース」を定義し
た。ここで「アウェアネススペース」とは「仮想3次元
空間において、他のメンバのアウェアネスを認識するこ
とができる自分を中心とした円形をした空間」をいう
(図1)。
【0033】メンバは、アウェアネススペース内に入っ
た他のメンバの画像と音声情報を受け取ることができ
る。アウェアネススペースの大きさを調節することによ
り、他のメンバのアウェアネス情報の無制限な流入を防
ぐことが出来る。
【0034】前記におけるアウェアネススペースの決定
基準は集中度による。コミュニケーションの容易性と、
仕事に直接関係ない情報による作業効率の低下とのトレ
ードオフの解消を目的としてアウェアネススペースを定
義した。これを実現するためには、アウェアネススペー
スはメンバがコミュニケーションに対して要求がある場
合広く、個人作業に没頭したい場合狭くなる必要があ
る。作業中のメンバがアウェアネススペースを手動で変
化させるという手法も考えられるが、Valentin
eでは「集中度」というパラメータを用いて変化させる
ことにする。
【0035】この発明でいう「集中度」とは、メンバが
個人作業にどの程度没頭しているかを示す値であり、没
頭しているほど集中度が高いといえる。この集中度が高
い時には、アウェアネススペースを狭く、低い時には広
くするようにする。
【0036】「集中度」とは、自分が無意識のうちに自
然と高くなったり低くなったりするものであり、自分で
はあまりに判断しくいものであると考え、「集中度」と
いうものをシステム側で自動判定することを試みる。
【0037】集中度の自動判定の要素としては、「キー
ボード・マウスを利用する頻度」「作業中に椅子を動か
す頻度」という二つの情報を用いることにする。この二
つの情報を用いることにする理由は、コンピュータ上で
作業している時に、現在の作業者の状態というものをコ
ンピュータ上で判断できると考えられる情報が、キーボ
ード・マウスの入力のみであり、また椅子の動きを利用
しこれを検知することが出来るからである。これら二つ
の情報によって現在の作業者の集中度を決定するために
は、実験によって人間の作業への集中度との関係を導き
出す必要がある。この実験方法は後述する。
【0038】前記のようにValentineでは、イ
ンフォーマルコミュニケーションのトリガを提供するた
めに、メンバの気配の伝達を支援する。そこで、視覚面
では「周辺視ビュー」、聴覚面では「効果音」という2
つのインターフェースを使ってメンバの気配伝達を実現
する。
【0039】この発明の3次元仮想空間の表現では、視
野の水平方向の角度が、人間の実際の視野よりも極端に
狭いために、気配の重要な一つの要素である隣に人が来
たことや、その人が何をしているかを画面から認識する
ことは不可能であった。
【0040】しかし現実世界においては、隣の人が立っ
た・座った等の動作を認識する事ができる。これは、人
間の視野が水平方向に180度以上あるためである。そ
こで、単にシステムの視野を180度にすれば良いとい
う事になるが、問題が一つ生じる。もし視野を180度
にすれば、隣の人もはっきり見えるので、その人の顔を
見ながら重要な会話等をしたい時に、その方向に体を回
転する必要がなくなる。このようなことは、実世界では
起こり得ない事で、他のメンバから見ればおかしな光景
に見える。そのような事が実世界で起こらない理由は、
人間の視覚が外形やシンボルや色彩をはっきり認識出来
るのは30度から60度の範囲までで、それ以上の角度
になると、次第にぼやけた周辺視野となり、物の運動を
察知する方が得意となるからである(図2)。
【0041】そこで、この人間の視覚を3次元仮想空間
の見え方に再現することによって、自分の隣にいる人の
気配を視覚的に伝達することができるビューを「周辺視
ビュー」と名付け、Valentineにおいてこれを
実現させた。
【0042】具体的には、視覚の広さを水平角度約18
0度以上とし、その中心約60度の範囲を焦点が合う領
域としはっきり見せ、それから脇にいくに従って、焦点
が合わずぼやけたように見せるようにする(図3)。
【0043】周辺視ビューにより、隣に人が来たこと
や、その人が何をしているかが分かり、隣の人の気配が
伝わってくる。また、視野の中心しかはっきり見えない
ため、現在はっきりと見える領域の視野から外れている
関心のある人物を見るためには、自分の体を回転しなけ
ればならないという現実世界と同じ行動をしなければな
らない。この行為によって、他のメンバからはその人
が、今誰に関心を持っているのかを体の向きから認識す
ることが出来るようになる。
【0044】音場空間についてのみ考えた場合、他のメ
ンバの音声を提供することで他のメンバの気配を感じと
ることはできるであろう。しかし、現実のオフィスでは
たとえその人の声を聞いていなくても、姿を見ていなく
ても、その人の気配を感じ取ることができる。この気配
の伝達となると、現実世界に比べ、仮想空間は劣ってし
まう。
【0045】例えば、現実のオフィスにおいて部屋のド
アの開く音を聞くと、ドアの方を向くといった経験がよ
くある。この場合、ドアの音が部屋に誰かやって来たと
いうことを部屋の中にいるメンバに知らせる役目を果た
しているのである。また自分の後ろの席に座っていたメ
ンバが立ち上がった場合、視覚的には見えないが、席か
ら立ち上がる音がすることにより、その人が立ち上がっ
たことがわかる。このような人間が動作することによっ
て作られる音について考えてみると、仮想空間である動
作をしても現実にはその動作を行なっていないわけであ
るから、マイクを通じた音声通信だけではこれらの音を
実現することはできない。
【0046】そこでValentineでは、前記のよ
うに仮想空間では得ることができないオフィスの音を
「効果音」を用いることによって表現し、周囲にいるメ
ンバの気配を伝達するのである。
【0047】ユーザ間のコミュニケーションに音声を用
いることは、テキスト文字を用いる会話に比べてはるか
に効率的である。これは、日常生活を思い浮かべてみる
と、情報伝達に音声会話の果たす役割が非常に大きいこ
とからも明らかである。仮想空間においてもユーザ間の
会話を支援することが重要であるが、臨場感技術が果た
す役割が大きいといわれている。従来では、臨場感とい
えば大画面や高精細、立体視といった視覚的なものか
ら、立体音響といった聴覚を利用するものが主流であ
り、これらを複合的に扱うことで仮想空間の実在感を高
めようとする試みが多く見られた。Valentine
における現段階では、デスクトップ上での実装を考えて
いるために、スペースが限られたディスプレイ上におい
て、視覚的な臨場感を支援することは困難である。しか
し、聴覚インターフェイスは簡便性を持っており、臨場
感を作り出すのは、視覚的なインターフェイスよりも容
易である。放送等、映像や音響を提示するシステムにお
いて臨場感を高める重要な原因の一つは、人間が動いた
ときにその動きに対応した映像や音響を提示することだ
と言われている。
【0048】また、現実のオフィスでは、メンバに席配
置があり、各々のメンバの席の位置が、メンバ間のコミ
ュニケーションに重要な役割を果たしている。人間は自
分の発した声がどの程度まで聞こえるか、という音声の
到達範囲を経験から知っている。例えば小さな声はひそ
ひそ話や近くの人の会話に、大きな声は部屋のメンバ全
員への伝達や遠くの人との会話に使われる。つまり人間
は会話の内容と周囲の状況、さらに相手との位置関係に
応じてコミュニケーションする能力を持っているのであ
る。
【0049】これらの事実からValentineで
は、各メンバの仮想オフィス内における位置関係に基づ
いた音場を提供することを試みた。このことによってV
alentineでは、日常のオフィスで行なわれてい
る自然な会話を支援することができると共に、実世界の
オフィスに出勤しているかのような感覚に近づけること
ができる。
【0050】Valentineで実現を目指す実世界
のオフィスに出勤しているかのような臨場感を提供する
ためには、仮想オフィスに出勤する際の動作や、話をし
たいメンバの席へ歩いて行く動作を支援することは重要
であると考えられる。何故なら、出勤する際の自分の席
まで歩いて行く動作によって、既にオフィスにいるメン
バたちに自分の出勤を自然に知らせたり、朝の軽い挨拶
を交わせるからである。また、話をしたいメンバの席へ
歩いて行く動作は、自分の存在感を示したり、周囲にい
るメンバとのインフォーマルコミュニケーションが生じ
るトリガともなるからである。
【0051】そこでValentineでは、出勤の際
には廊下を通り大部屋に入るためのドアを開けそして自
分の席まで歩いて行き席に座るという動作を、また、相
手に話しかけに行く際には自分の席を立ち相手の席へと
歩いて行くという動作をシミュレートして、最良の方法
を研究した。
【0052】またValentineでは、オフィス空
間として仮想3次元空間を用いるので、その中に出勤す
るメンバも通常は、オフィス空間との違和感をなくすた
めにポリゴンを用いた3次元CGで表現すること試み
る。そのため、コミュニケーションを行なう時にメンバ
の意思や感情を明確に伝えるために必要な相手の顔の表
情や、ジェスチャー等のノンバーバルな情報を伝達する
ことが出来ない。
【0053】そこでValentineでは、次に述べ
る条件のもとで仮想オフィス内におけるメンバを、リア
ルタイムの動画によるビデオ映像で表現することを研究
した。その条件とは、二人のメンバの間においてその互
いのメンバが正面を向き合った時というものである。そ
の理由は二つある。一つ目の理由は、自分の知らないと
ころで勝手に自分の様子を見られているということをな
くすためである。つまり、本人のプライバシー保護のた
めである。二つ目の理由は、取り込まれるビデオ映像は
メンバが正面を向いた映像のみなので、ビデオ映像を用
いてメンバを3次元空間内で表現した時に、CGによっ
て表現されたメンバの体が向いている方向と一致させる
ためである。また、このようにお互いが正面を向き合え
うことにより、相手に関する詳しいアウェアネス情報
(ここでは動画によるビデオ映像)を得ることが出来る
といったようなこの行為は、きわめて現実世界に近い行
為を実現していると言える。
【0054】実世界で人間が周囲を見渡す時には、首を
横に向けるまたは体を横に向けるという動作を行なうの
であるが仮想空間において、マウスやキーボードでこの
動作を行なうことは、違和感があるのみならずマウスや
キーボードを使用するのでは、仮想オフィス空間内を見
渡したいときには、いちいち現在の作業を中断しなけれ
ばならなくなる問題点がある。
【0055】そこでValentineでは、「周囲を
見渡す」という動作を、「椅子を回転させる」という動
作で行ない「椅子インターフェース」を設計し、システ
ムに導入することを研究することにより、前記の問題を
解決した。
【0056】
【発明の実施の形態】この発明は、仮想3次元空間にお
いて、『アウェアネススペース』を想定し、該空間の広
さを各メンバの『集中度』により決定し、それに応じた
他のメンバの画像、音声情報伝達手段を実現することに
より、メンバ間のコミュニケーションとパーソナルスペ
ースの確保を両立し、また他のメンバの気配の伝達を支
援するために、『周辺視ビュー』、『効果音』を用いた
ことを特徴とするメンバの集中度と気配の伝達に着目し
た仮想オフィスシステムであり、アウェアネススペース
は、他のメンバのアウェアネスを認識できる自分を中心
とした立体空間とすることを特徴としたものである。ま
た集中度は、メンバが個人作業にどの程度没頭している
かを示す値であり、判定基準として『キーボード、マウ
スを使用する頻度』、『椅子を動かす頻度』を用いるこ
とを特徴としたものであり、画像、音声情報伝達手段
は、各メンバのアウェアネススペースの広さに応じて制
御した画像、音声を伝達することを特徴としたものであ
る。更に周辺視ビューは、3次元仮想空間の見え方に人
間の視覚を反映することを特徴としたものであり、効果
音は、人の動作に伴って発生する音を適宜予定制御し
て、発生させることを特徴としたものである。
【0057】
【実施例1】この発明の実施例においては、シリコング
ラフィックス(Slicon Graphics)社I
ndy R5000上で、サーバ・クライアント方式を
用いて実装した。システムの開発言語にはC++を用
い、ユーザインターフェースにはモチーフ、オープンG
L(Motif、OpenGL)を用いて実装した。ネ
ットワーク部分は、動画像コンティニュアスメディアの
転送には、シスコ(cisco)社製のFDDI−LA
N(100Mbps)を用い、サーバ・クライアント間
の通信には、イーサーネット(10Mbps)を用い
た。また、メンバの音声の制御に関しては、マイクをヤ
マハ製ミキサー(DMP11)に接続し、効果音につい
ては、エンソニック(Ensoniq)社のサンプラ
(EPS16−plus)に音データを蓄積し、これら
のMIDI機器に変調に関するMIDIデータを転送し
た。
【0058】音声は、ネットワークを介さずにミキサー
に接続され、そこでミキシング、変調され相手のヘッド
フォンに出力される。
【0059】一方、映像は、Indyに標準装備されて
いるIndyCamから入力されたユーザの正面向きの
映像を、FDDI−LANを通して相手に送信される。
【0060】実装環境をまとめると、表1のようにな
る。
【0061】
【表1】
【0062】前記におけるモチーフ(Motif)(O
SF/Motif)とは、OSF(Open Soft
ware Foundation)が提唱しているX−
Windowシステム上の高レベルGUI(Graph
ical User Interface)を提唱する
ものである。ユーザとの対話環境に必要な様々な「部
品」を作成する為のライブラリ・コールからなってい
る。
【0063】さらに、モチーフウィジェットには次のよ
うな性質がある。
【0064】(1)X−ウィンドウシステムのもつ以下
の性質を踏襲している。 ネットワーク指向でXプロトコルを基にしている。 クライアント・サーバモデルに基づいている。 デバイス独立・OS独立・ベンダ独立である。
【0065】(2)一つ一つのウィジェットは各々がウ
ィンドウであり、通常のウィンドウ同様親子関係に基づ
いている。
【0066】(3)ジオメトリ・マネージメントの機能
があり、ユーザプログラムそれぞれの部品の大きさを指
定する必要が少ない。
【0067】(4)オブジェクト指向プログラミングの
概念に基づいて設計されている。
【0068】前記におけるオープンGLとは、グラフィ
ックス・ハードウェアに対するソフトウェア・インタフ
ェースである。このインタフェースは、およそ120種
類のコマンドからなりたっており、それらを使用してオ
ブジェクトやインタラクティブな3Dアプリケーション
を作成するために必要な操作を指定する。
【0069】オープンGLは、作成したグラフィックス
を表示するコンピュータが、グラフィック・プログラム
を実行するコンピュータとは異なる場合でも正常に動作
するよう設計されている。これには、ネットワーク化さ
れて相互にデジタル・データを転送可能な複数のコンピ
ュータを含む作業環境が考えられる。
【0070】この場合、プログラムを実行させてオープ
ンGLの描画コマンドを発行するコンピュータを“クラ
イアント”、それらのコマンドを受け取って実際に描画
を実行するコンピュータを“サーバ”と呼ぶ。クライア
ントからサーバへOpenGLコマンドを転送するため
のフォーマット(“プロトコル”と呼ぶ)は常に同一の
ものであり、仮にクライアントとサーバが異機種のコン
ピュータであっても、プログラムはネットワークを通じ
て正常に動作する。
【0071】また、オープンGLプログラムがネットワ
ーク上で使用されない場合、つまり、スタンドアロンで
作業する場合には、そのコンピュータはクライアントで
あると同時にサーバである。
【0072】オープンGLは、多種の異なるハードウェ
ア・プラットフォーム上で実行可能な、効率の高いハー
ドウェア“非依存型”のインタフェースとして設計され
ている。この特色を生かすため、タスクのウィンドウ化
やユーザのコマンド入力などの機能は用意していない。
【0073】このため、実際に使用するハードウェアを
制御するウィンドウ・システムの操作性に問題があって
も、そのシステムの環境を利用して作業しなくてはなら
ない。
【0074】さらに、オープンGLには、3Dオブジェ
クトのモデルを作成するための上位レベルのコマンドも
用意されていない。この種のコマンドがあれば、自動
車、人体の一部、飛行機、分子モデルなどの比較的複雑
な形状を作成できるが、オープンGLを使用する場合に
は、必要なモデルを、点、線分、多角形(ポリゴン)な
どの“プリミティブ(幾何学的基本形状)”の組合せで
作成することが必要となる。
【0075】前記FDDI(Fiber Distri
buted Data Interface)は、光フ
ァイバを用いたトークンパッシング方式の高速LANで
あり、データ転送速度100Mbps、最大ノード数は
500の規模を持っている。最近では光ファイバのほか
に、より対線を用いたTPDDI(TwistedPa
ir Distributed Data Inter
face)やCDDI(Copper Distrib
uted Data Interface)の標準化が
検討されている。FDDIは主に企業などのLAN環境
におけるバックボーンネットワークとして用いられてい
る。
【0076】前記MIDI(Musical Inst
rument Digital Interfaceの
略)は、コンピュータ・電子楽器およびその周辺機器を
相互に結んで、音楽の演奏情報を始め、様々な情報を伝
えることのできる世界統一規格である。現在ではMID
Iは音楽用のインタフェースとして、多くのコンピュー
タが接続可能である。MIDIは様々な音楽・音響用の
機器にインタフェースとして搭載されており、代表的な
MIDI機器には以下のようなものがある。
【0077】(1)エフェクタ音声信号にディレイ(遅
延)やリバーヴ(残響)を加えたり等の音声信号の加工
を行う (2)ミキサ複数の音声信号ラインを2チャンネルのス
テレオ音声信号にまとめる機能を持つ。このとき、それ
ぞれの音声信号ラインの左右音像定位、音量などの制御
がMIDIから行える
【0078】最近では、MIDI機器を用いたコンピュ
ータの音インタフェースの研究が盛んになっている。M
IDI機器を使うメリットとしては以下の点が挙げられ
る。
【0079】(1)コンピュータとの接続が簡単であ
る。 (2)16のチャンネルがあり、個々のMIDI機器に
チャンネルを割り振ることにより、複数台のMIDI機
器を独立して制御できる。 (3)MIDI機器は本来楽器として設計されているた
め音質がよい。 (4)大量生産されているために安価に入手できる。
【0080】前記ヤマハ製ミキサーのDMP11は、8
チャンネルイン/ステレオアウト仕様のデジタルミキサ
ーである。パネル上のセッティングを全てメモリーでき
るプログラマブルタイプであるので、変化しないパラメ
ータや使用するチャンネルが決まっている場合、それら
をあらかじめセッティングすることができる。またこの
ミキサーにはエフェクタの機能も組み込まれているの
で、これ1台で最大8つの音をミキシングし、各々にデ
ィレイやリバーヴ、ハイパス、ローパスフィルタ設定等
の変調をしてステレオ出力することが可能である。また
MIDI対応機種であるので、コンピュータからの制御
が可能である。
【0081】次に効果音の蓄積、発生として、エンソニ
ック社製サンプラEPS16−plusを用いている。
EPS16−plusはMIDI信号による制御が可能
であり、1MBのメモリに最大32種類の音をデジタル
録音し、16種類の音を同時に再生、8チャンネルの独
立したラインから音声信号を出すことができる。EPS
−16plusの音声データのサンプリングレイトは最
高44.8MHzと、CDと同等の音質を得ることがで
きる。
【0082】前記のような機器を使用して、この発明の
実施例を説明する。この発明の仮想オフィスシステム
は、実際に仮想オフィスに出勤するクライアントと、そ
のクライアントに出勤したメンバの集中度を管理するサ
ーバと、分散された個々のクライアント端末のメンバの
出勤・位置・音声を集中的に管理する3つのサーバから
成り立っている。図4にシステムの全体の概略を示す。
【0083】ログインサーバ(loginServe
r)は、各メンバの出勤・退社の管理を行う。具体的に
は、そのメンバの出勤時におけるの席の位置のデータを
管理し、そのデータに基づき、他のサーバ、クライアン
トに通知するためのサーバである。各クライアントは、
このサーバと接続する事で、他の必要な情報(誰が既に
出勤していてるか、またそのクライアント端末のアドレ
ス、自分の席の位置、他のサーバのアドレス)等を全て
入手する事ができる。
【0084】ロケーションサーバ(locationS
erver)は、動的に変化するユーザの位置・向き・
集中度を他のメンバに通知するためのサーバである。位
置情報をサーバによる一極集中管理にする事で、クライ
アントで必要とされるコネクションの複雑度を下げる事
ができる。
【0085】オーディオサーバ(audioServe
r)は、DMP11とEPS16−plusを制御す
る。各ユーザの位置情報は、ロケーションサーバから逐
一送られて来る。またログインサーバとも接続してい
て、ログイン情報を受けたとき、その人のユーザーID
に割り振られているDMP11のチャンネルをオンにす
る。同様にlogout情報を受けた場合、その人のチ
ャンネルをオフにする。オーディオサーバは、ロケーシ
ョンサーバから送られた位置情報を元に、効果音に関す
るデータをEPS16−plusへ、音像定位に関する
データを次のように計算しDMP11へ転送する。
【0086】一般的に音エネルギーは、距離の二乗に反
比例するという法則がある。この実施例でも、この法則
に基づいた計算を行なった。
【0087】パン DMP11では、0〜180の間に
17段階のパンニングが設定されている。しかし、この
内の2段階は左右どちらかが全く聞こえないというもの
であり、これは現実世界では考えられない。この実施例
では、2段階を除いた全15段階のパンニングを相手の
いる方向、自分の向いている方向から計算した。
【0088】リバーヴは遠くの音ほど残響音が大きくな
るようにした。
【0089】イコライザーは聞き手の後ろに音源がいる
場合、及び音源が自分に背を向けている場合、各々こも
った声になるようにした。
【0090】次にクライアントは、一人のメンバにつき
一つずつローカルで起動するプロセスであり、オープン
GLによって構築された仮想オフィス空間を表示する。
出勤しているメンバたちは、ロケーションサーバからの
位置情報に基づき、この空間内の適切な大きさ場所に表
示される。また必要があれば、FDDI−LANを通じ
て他のメンバのクライアントとビデオ映像(動画)転送
を行なう。またログインサーバとメッセージのやりとり
をして、実際にメンバをオフィスに出勤させるのも、こ
のクライアントの役目である。
【0091】コンセントサーバ(concentSer
ver)は、各クライアント毎に起動し、そのクライア
ントのメンバの集中度を管理するためのサーバである。
具体的には、キーボードのアイドル(idle)時間と
椅子の回転を常に監視し、それらのデータから1分毎に
そのメンバの集中度を計算し、もし集中度に変動があれ
ば、クライアントに通知する。
【0092】前記で述べたようにアウェアネススペース
の決定基準である集中度と、「キーボード・マウスを利
用する頻度」「作業中に椅子を動かす頻度」という二つ
の情報の関係を実験により導出し、Valentine
に「アウェアネススペース」を実装した。以下に、その
実験方法とその結果によって得られた関係等について述
べる。
【0093】この発明において集中度を判定識別し、こ
れを応用する為に次の試験をした。
【0094】25名の被験者に、研究室のワークステー
ション上での研究作業(プログラミング、メール、WW
W、ゲームなど)を行ってもらい、その間のキーボード
を打つ頻度及び椅子を動かす頻度を測定した。キーボー
ドを打つ頻度は、計測開始から何分にどれくらいのアイ
ドル時間があったかを測定した。また、椅子を動かす頻
度に関しては、動かした大きさは考慮に入れなかった。
加えてその間に被験者が集中しているかどうかを判定す
るため、作業中の脳波を測定し、またビデオ撮影を行っ
た。脳波およびビデオでの集中度の判定基準について、
説明する。
【0095】また脳波と集中度の関係を調べると、正常
成人覚醒時の脳波において、閉眼、または精神安静時に
はα波が出現し、開眼、精神活動によりα波は抑制され
代わりにβ波が出現してくる。具体的には目をつぶって
静かにしているとα波が出現し、人の話の内容を深くく
み取ろうとする、試験問題を解くといった論理的、合理
的な思考を行う場合β波が出現してくる。そこで、α波
が抑制され代わりにβ波が出現した状況を「集中時」と
判断した。
【0096】ビデオ撮影による判定 作業者が仕事に従事していて、その作業に集中している
のか、それともゲームなど本来の作業とは関係ないこと
に集中しているのかは、脳波で判断することはできな
い。そこで被験者及びワークステーションのディスプレ
イをビデオで撮影し、ゲームなど他の作業をしていない
か、また他者と会話したり周辺に注意を払っていないか
どうかを考慮した。実験の結果図5を得た。
【0097】次に図5は、グラフで、横軸は被験者、縦
軸は作業中にどの程度アイドル時間があったか(キータ
イプやマウスの動作を行なっていなかったか)を表して
いる。縦の線は集中時とその他の時の差を表しており、
長いほど差が大きいといえる。結果から、作業中のアイ
ドル時間の割合はおおむね集中時の方が少ないことが分
かった。そこでこの差を図6に示した。結果において、
アイドル時間の差が0%以上のケースが80%あり、0
を下回ったケースでも最高−10%以内であることが分
かった。
【0098】次にアイドル状態がどれだけ続いているの
かを調べるために、10秒以上のアイドル状態の時間分
布を求めた。図7に集中時とその他の時の分布をパーセ
ンテージで示した。
【0099】(a)集中時と(b)その他を比較した結
果、10−20秒という短いアイドル状態の割合が、そ
の他の時48%に比べて集中時で64%と増加している
ことが分かった。また1分以上のアイドル状態について
はその他の時は14%であるのに対し集中時は6%と少
なくなっている。つまり、集中時のアイドル状態は短時
間の割合が多く、長時間アイドル状態であることが少な
いといえる。
【0100】また図8に集中時とその他の時の椅子を動
かす頻度を示す。横軸に被験者、縦軸は1分あたりの椅
子を動かす回数の平均を表している。80%以上の被験
者が集中時の方が椅子を動かす回数が減少していること
が分かる。また48%の被験者が、集中時に椅子を一度
も動かしていないという結果得られた。一方その他の時
に椅子を一度も動かさなかった被験者はいなかった。
【0101】図9に図8で示した値の差をグラフ化し
た。縦軸はその他の時の椅子を動かす頻度から集中時の
値を引いたものである。おおむね0以上を示しており、
0以下であっても一人の被験者を除いてすべて1分に−
0.5回より大きな値となっている。このことから、集
中時において椅子を動かす頻度はその他の時より減少
し、また集中時には椅子を動かさないことが多いという
ことがいえる。
【0102】前記実験の結果から集中度の判断基準を導
出した。即ち集中度は1から9までの9段階で表現し、
1:全く集中していない、9:集中の最高とした。集中
度が7以上の場合アウェアネススペースをNALLOW
とし、3以下の時WIDE、それ以外の時NORMAL
となるように大きさを決定した。集中度の決定について
は、以下のアルゴリズムにしたがって推移する。
【0103】集中度はあらかじめ1で設定されている。
【0104】アイドル時間については、二つの閾値を用
いて集中度を変化させる。1分間の計測によるアイドル
時間の割合が、ある閾値a%以上であった場合、その人
は集中していないと判断し集中度を1減少させる。また
ある閾値b%以下であった場合、その人は集中している
と判断し、集中度を1増加させる。閾値aおよびbにつ
いては、図5において集中時およびその他の時それぞれ
についての平均値(a=63%、b=47%)を設定し
た。
【0105】椅子を動かす頻度についても同様に2つの
閾値を設定し集中度の増減を行なった。ある閾値c回/
min以上であった場合、集中していない状態であると
判断し集中度を1減少させ、閾値d回/min以下であ
った場合、集中していると判断し集中度を1増加させ
た。図8において平均値の結果より、c=1.5、d=
0.8という結果を用いた。
【0106】前記実施例において、アウェアネススペー
スを次の段階に分けて提供する。
【0107】(1)ユーザが作業に集中しており、他に
煩わされたくない状態の場合には、非常に限られたアウ
ェアネス(例えば隣席メンバ、及び背後を通るメンバ)
のみの気配を伝達する。
【0108】(2)通常の作業状態、比較的近いメンバ
(例えば机が同一グループに属する、机の島のメンバ)
のアウェアネスを伝達する。
【0109】(3)周囲に意識が向いて、オフィス全体
の雰囲気を知ろうとしている状態の場合には、オフィス
全体のアウェアネスが伝達される。
【0110】前記において、伝達量は、3次元仮想空間
の距離に応じてアウェアネスの伝達量が異なるようにし
てあり、距離が遠くなるにつれて減少する。
【0111】次にメンバの気配の伝達については、「周
辺視ビュー」と「効果音」により表現した。
【0112】まず「周辺視ビュー」は、正面を0度とし
て水平方向約−120度から120度までの約240度
の広さの視野を実現している。また、水平方向約60度
の範囲以上の視野に、モザイク処理を行なうことで、ぼ
やけた周辺視野を実現し人間の視覚を再現した。モザイ
ク処理の粗さと行なう範囲は、その人の現在のアウェア
ネススペースによって変動する(図10)。
【0113】この広角の視野を実現した「周辺視ビュ
ー」により、たとえ自分が正面を向いていたとしても、
隣の席にメンバの誰かが座っているということを認識す
ることが出来る。しかし、ぼやけた周辺視野によりその
メンバの方に自分の体を回転しなければはっきり誰であ
るかは認識することが出来ない。
【0114】以下に、「周辺視ビュー」の実現方法につ
いて述べる。
【0115】まず、広角の視野の実現方法についてであ
る。OpenGLでは、魚眼レンズのように水平方向1
80度以上の視野を実現する機能が提供されていない。
そこで、我々は仮想オフィスを描画するウィンドウを5
つ使い、それらのウィンドウにどのようにオフィスを描
画するかを決定する視体積の視角と、正面を0度とした
参照点の角度を各々微妙に調整して、180度以上の広
さの視野を実現し、かつ5つの視体積がシームレスにな
るようにした。
【0116】図11に5つのウィンドウにオフィスを描
画する時に用いた視体積の視角と正面を0度とした参照
点の角度を示す。この図11は、5つの透視法の視体積
をシームレスにつなぎ、上から見た図である。
【0117】次に周辺視野のぼかしの実現について、そ
の処理の流れを以下に順を追って説明する。
【0118】(1)オフィスを一度画面には見えないカ
ラー・バッファの後バッファに描画する。 (2)その描画したピクセル値をオープンGL(Ope
nGL)の関数を使って、ピクセルの方形配列に読み込
む。 (3)そのピクセルの方形配列に手を加えてモザイク処
理を行なう。 (4)そのモザイク処理したピクセルの方形配列を、オ
ープンGLの関数を使ってカラー・バッファの後バッフ
ァにピクセルの方形配列として書き込む。 (5)最後に、カラー・バッファの前後バッファを入れ
換える。
【0119】以上の処理により、「周辺視ビュー」にお
ける周辺視野のぼかしを実現している。人間の視覚を再
現するために、サイドのビューのウィンドウほど、モザ
イク処理をかける正方形のピクセルの幅を大きくし、オ
フィスの画像を粗くしている。また、センターのビュー
は、アウェアネススペースにより決められた大きさの楕
円の外側に、モザイク処理を行なっている。つまり、そ
の楕円の内側のみが、オフィスの光景がクリアに見え
る。
【0120】表2、3に、各々のウィンドウのビューに
施されるモザイク処理の正方形のピクセルの幅と、セン
ターのビューのクリアに見える楕円の大きさが、3つの
アウェアネススペースの段階によってどのように決めら
れているかを示す(5つのウィンドウのうち、最も外側
の左右の2つのウィンドウのビューと、それらのウィン
ドウの内側の左右のウィンドウのビューは、それぞれ同
じピクセル幅のモザイク処理を行なっているので、表2
ではウィンドウ名を、最も外側の左右のウィンドウをs
ideとし、それらの内側の左右のウィンドウをmid
dleとし、中央のウィンドウをcenterとしてい
る)。そして、図12、13、14に、アウェアネスス
ペースのそれぞれの段階おける実際の周辺視ビューの見
え方を示す。
【0121】
【表2】
【0122】
【表3】
【0123】また「効果音」については、次の4つを選
定した。
【0124】(1)オフィスを歩く時の足音 (2)ドアの開閉する音 (3)席を立ったり、座ったりする時の椅子の音 (4)現実のオフィスの雑音
【0125】これらの音のうちオフィスの雑音は、音デ
ータとして大きいものであり、EPS16−plusに
蓄積することができないため、CDプレーヤから直接D
MP11に接続した。その他の効果音はあらかじめEP
S16−plusに蓄積されており、必要に応じてMI
DIデータを転送することで、これらの音を鳴らすよう
にした。これらの効果音の出力はDMP11に接続され
ているために、メンバ、ドア、椅子の位置関係に応じて
聞こえるように定位されている。
【0126】足・椅子・ドアの音がすることにより、そ
の音のする方向に関心が向き、一緒に仕事しているメン
バの存在や行動といった気配を感じることができる。ま
た、現実世界にあるようなオフィスの雑音(話し声、電
話の音、その他の音)がすることにより、自分が職場に
いる雰囲気や緊張感を味わうことができる。
【0127】従来の音像定位では、聞き手に対して音源
がどの位置にあり、またどれ位の距離にあるかというこ
とが考慮されてきたものであった。しかし、本システム
のように各メンバーが方向をパラメータとして持ってい
る場合、従来の音像定位では不十分であると考えられ
る。これを具体的に図15で示す。
【0128】図15の場合を考えてみる。Bさんを音源
とするとAさんとCさんはBさんから等距離にいる。し
かしAさんはBさんと向かい合っており逆にCさんは背
を向けあっている。この場合Bさんに対する聞こえ方が
AさんとCさんで同じになるということは現実では有り
得ない。つまりこの発明のシステムのような各メンバー
が方向をパラメータとして持つ場合は、従来の音像定位
に加えて音源の指向性というものを考慮する必要がある
と言える。
【0129】そこでValentineでは、音源の方
向に応じて、次に挙げるパラメータを変化させた。
【0130】音量に関しては、方向による音量の減衰に
ついて次のような式を導き出している。
【0131】
【数1】
【0132】前式において、θは音源から見た聞き手の
角度を示す。またフォーカス(focus)は音源の指
向性をどれほど考慮するか示す係数であり0〜1の値を
とるものであり、この値が大きいほど指向性が強くな
る。そこでフォーカスの値を変化させ実際に音を聞くと
いう実験を行ない、フォーカスに最も現実に近い値を
0.35した。
【0133】イコライザーに関しては音源の後ろ側をロ
ーパスフィルターを用いてこもった声にした。このとき
の最大周波数の値も、実際に聞いてみてふさわしいと思
われた次の値にした。
【0134】(1)音源が聞き手の後ろにいる場合→4
00Hz (2)音源が背を向けている場合→200Hz (3)上記の二つの条件を満たす場合→100Hz
【0135】アウェアネススペースに応じて、提供する
音場を以下のように変化させた。
【0136】(1)特に集中している場合は通常の音量
の20% (2)普通の場合は通常の音量 (3)周囲を気にしている場合通常の音量の150%
【0137】音量を変化させる度合については、個人差
を考慮する必要性は考えられるが、実施例は実際に変化
させた音を聞いた結果、ふさわしいであろうと考えたパ
ラメータを使用する。
【0138】前記における集中度の検出は、椅子に腰か
けたユーザの姿勢を基準とした。即ち椅子の回転角を検
出するために、Valentineでは可変抵抗を用い
た。可変抵抗はつまみをひねることにより抵抗値が変化
する抵抗のことである。マルチバイブレータユニット
(MBU)を利用して、可変抵抗の抵抗値を検出しそれ
をコンピュータで読みとるデバイスを作成した。図16
にMBUの回路図を示す。MBUは可変抵抗のアナログ
の抵抗値をICにC−MOSの4538を使って、抵抗
x とコンデンサCx との積の時間だけ出力をONにす
るというものである。つまり、回転角によって変化する
抵抗値によって、ONとなるパルス幅が変化することに
なる。パルスの電圧の低い状態ロウレベルや電圧の高い
ハイレベルの状態は、デジタルの電圧変化なのでパソコ
ンでチェックすることが出来る。なお、MBUの可変抵
抗には100KオームBを用いた。
【0139】パソコンにはNEC製PC9801を用
い、プリンタポートを介してMBUと接続した。パソコ
ン側ではBASICで記述されたソフトウェアでMBU
から送られてくるパルスの長さを測定している。椅子に
はオフィスで一般的に使用されている事務用椅子を用い
た。軸を中心に360度回転することが出来る。この軸
に可変抵抗を取り付けた。図17にビューチェアの構成
を示す。
【0140】Valentineでは、仮想的な自席に
着席している時、オフィス内を見渡す動作をビューチェ
アを用いて行なうことが出来る。ビューチェアを右に3
0度以上回転させるとオフィスのビューは右へ1秒間に
10度ずつ回転する。左についても同様である。マウス
やキーボードのみのインターフェースでは、周りを見渡
したい時に現在の作業を中断する必要があるが、ビュー
チェアを利用することでキーボードやマウスでの作業を
行ないながらオフィス内を見渡すことが出来る。
【0141】実施例の仮想オフィスにおいて、メンバを
表現するには次のようにした。
【0142】Valentineでは、仮想オフィス空
間に出勤しているメンバを、図18のように、顔はテク
スチャ・マッピングを使い本人の顔写真を平面の顔型の
ポリゴンに張り付け、首から下の体は全てポリゴンで表
現している。このようにメンバを表現する事によって、
仮想空間においても人物を違和感なく表示できる。
【0143】顔のテクスチャ・マッピングに使う本人の
顔写真は、その本人が仮想オフィスの中でどの方向を向
いているかを他のメンバが認識できるように、30度き
ざみの12方向から取った12枚の写真を用意した(図
19)。図19は、顔の正面を向いている時の方向を9
0度とし、正面に対して90度右を向いている時の方向
を0度とし、90度左を向いている時の方向を180度
とし、真後ろ向いている時の方向を270度としてい
る。
【0144】そして、仮想オフィス空間における自分の
位置と相手のメンバの位置・体の向きから、自分の位置
から見える相手のメンバの正しい顔の方向を計算して、
12方向の顔写真からどの方向の写真を選ぶかを決定し
メンバの顔のテクスチャ・マッピングに用いている。
【0145】また、メンバの体は図20のように座って
いる・中腰・立っているの3つの状態のタイプが用意さ
れている。それぞれの状態の体は、そのメンバの現在の
状態に応じて選ばれ使われる。中腰は、あるメンバに話
し掛けに行ってそのメンバと会話している最中に使われ
る。さらに、メンバの区別を認識しやすいように、服の
色も3タイプ用意されている。
【0146】次にメンバが仮想オフィス空間を歩く時の
動作は、全てシステムによって自動操作される。つま
り、メンバ勝手に思い通りにオフィス空間を歩くことは
できない。以下に、メンバがオフィス空間を歩く動作で
ある「出勤シーン」と「話しかけシーン」について説明
する。
【0147】またメンバの出勤シーンは、Valent
ineを起動し、マウスで画面の上にあるメニューバー
の「接続」のプルダウンメニューから「出勤」を選ぶこ
とによって始まる。出勤シーンは、まず廊下を歩くとこ
ろから始まる。そして、オフィスの部屋に入るためのド
アの前まで来ると、図21のようにオフィスの部屋に入
るためのログインダイアログが表示される。
【0148】そこで、Valentineにおける自分
の正しいログイン名とパスワードを入力すると、そのド
アが開いてオフィスの部屋に入ることが許可される。そ
して、自分の席まで歩いて行き、席に座る。それで、出
勤シーンが終了する。その間の歩きの動作は、前述した
ように全てシステムによる自動操作によって行なわれ
る。図22に自分が出勤している様子を、図23にメン
バが出勤している様子を示す。また出勤シーンの間、ド
アの開く音・足音・席に座る椅子の音の効果音が鳴るの
で、既にオフィスに出勤しているメンバたちはオフィス
の画面を見ていなくても、その人の出勤に気づくことが
出来る。
【0149】更に話しかけに行くシーンを始めるために
は、まずマウスで画面の上にあるメニューバーの「会
話」のプルダウンメニューから「話しかけに行く」を選
ぶ。そうすると、どのメンバに話しかけに行くかのを選
択するためのセレクションダイアログが表示される。そ
れで、話しかけに行きたいメンバの名前をマウスで選
び、「了解」ボタンを押すと、そのメンバに話しかけに
行くシーンが始まる。始まると、まず自分の席を立ち、
次にそのメンバの方へ歩いて行き、そしてそのメンバの
横まで行ったところで止まり自分が中腰になると終了す
る。
【0150】そして、二人が会話を始める。その様子を
図24に示す。
【0151】そして、会話が終了し自分の席に戻る時
は、メニューバーの「会話」のプルダウンメニューから
「席に戻る」を選ぶ。そうすると、自分の席まで歩いて
行き自分の席まで戻れる。
【0152】またメンバと、リアルタイムコミュニケー
ションをするには、ビデオ映像(動画)を使用した。即
ちValentineでは、FDDI−LANを使用し
て、メンバとビデオ映像(動画)によるリアルタイムコ
ミュニケーションをすることが出来る。しかし、この方
法によるコミュニケーションはいつでも自由に可能なわ
けではなく、以下の制約がある。
【0153】(1)二人のメンバ間のみの会話。 (2)お互い相手のメンバが、自分の視野の水平方向角
度30度以内の場所にいるように体を向くことによる会
話(図25)。
【0154】上記の2つ目の項目の条件が成り立つ時、
仮想オフィス空間の相手のメンバの体の位置にビデオ映
像を表示するための長方形のウィンドウが表れ、そのメ
ンバのリアルタイムのビデオ映像が表示される。そし
て、相手の現在の顔の表情を見ながら会話をすることが
出来る。図26にその様子を示す。
【0155】また、ビデオ映像によるコミュニケーショ
ンを終わらせるためには、どちらかのメンバが、相手の
メンバが自分の視野の水平方向角度30度以外の範囲の
場所になるように自分の体を回転させれば良い。
【0156】
【発明の効果】この発明によれば、仮想オフィスにおい
ても、周辺視及び効果音によりメンバの気配を感じ得る
ので、疎外感、孤独感から救済される効果がある。
【0157】然して周辺視においては、実在のオフィス
に近い状態に机を配置し、出勤時には、暫くの間実像を
伝達し、仮想オフィスへの移行をスムーズにすれば、事
務環境を著しく改善し得る効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例におけるアウェアネススペー
スを示す図。
【図2】同じく人間の視覚を示す図。
【図3】同じく周辺視ビューの実装イメージの図。
【図4】同じくシステムの概略ブロック図。
【図5】同じく集中時およびその他の時のアイドル時間
の割合を示す図。
【図6】同じく作業時のアイドル時間の割合を示す図。
【図7】同じくアイドル時間の分布図。
【図8】同じく椅子を動かす頻度の図。
【図9】同じく椅子を動かす頻度の図。
【図10】同じく周辺視ビューの図。
【図11】同じく「周辺視ビュー」の広角の視野の実現
方法を示す図。
【図12】同じくナロウ(NARROW)の状態の周辺
視ビューの図。
【図13】同じくノーマル(NORMAL)の状態の周
辺視ビューの図。
【図14】同じくワイドの状態の周辺視ビューの図。
【図15】同じく音源の指向性を示す図。
【図16】同じくマルチバイブレータユニット/可変抵
抗接続回路図。
【図17】同じくビューチェアの構成図。
【図18】同じく仮想オフィスにおけるメンバの図。
【図19】同じく12方向の顔を示す図。
【図20】同じくメンバの体のタイプを示す図。
【図21】同じくログインダイアログの図。
【図22】同じく自分が出勤している様子を示す図。
【図23】同じくメンバが出勤している様子を示す図。
【図24】同じく話しかけに行って会話している様子を
示す図。
【図25】同じく話しかけられて会話している様子を示
す図。
【図26】同じくビデオ映像による会話の様子を示す
図。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 仮想3次元空間において、『アウェアネ
    ススペース』を想定し、該空間の広さを各メンバの『集
    中度』により決定し、それに応じた他のメンバの画像、
    音声情報伝達手段を実現することにより、メンバ間のコ
    ミュニケーションとパーソナルスペースの確保を両立
    し、また他のメンバの気配の伝達を支援するために、
    『周辺視ビュー』、『効果音』を用いたことを特徴とす
    るメンバの集中度と気配の伝達に着目した仮想オフィス
    システム。
  2. 【請求項2】 アウェアネススペースは、他のメンバの
    アウェアネスを認識できる自分を中心とした立体空間と
    することを特徴とした請求項1記載のメンバの集中度と
    気配の伝達に着目した仮想オフィスシステム。
  3. 【請求項3】 集中度は、メンバが個人作業にどの程度
    没頭しているかを示す値であり、判定基準として『キー
    ボード、マウスを使用する頻度』、『椅子を動かす頻
    度』を用いることを特徴とした請求項1記載のメンバの
    集中度と気配の伝達に着目した仮想オフィスシステム。
  4. 【請求項4】 画像、音声情報伝達手段は、各メンバの
    アウェアネススペースの広さに応じて制御した画像、音
    声を伝達することを特徴とした請求項1記載のメンバの
    集中度と気配の伝達に着目した仮想オフィスシステム。
  5. 【請求項5】 周辺視ビューは、3次元仮想空間の見え
    方に人間の視覚を反映することを特徴とした請求項1記
    載のメンバの集中度と気配の伝達に着目した仮想オフィ
    スシステム。
  6. 【請求項6】 効果音は、人の動作に伴って発生する音
    を適宜予定制御して、発生させることを特徴とした請求
    項1記載のメンバの集中度と気配の伝達に着目した仮想
    オフィスシステム。
JP5533597A 1997-03-10 1997-03-10 メンバの集中度と気配の伝達に着目した仮想オフィスシステム Pending JPH10254851A (ja)

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