JPH10252846A - トランスミッションベルト用のストレッチャー - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【解決課題】 可動部に生じる傾斜モーメントを減少さ
せ得るが、適度な寸法を有するストレッチャーを提供す
る。 【解決手段】 可動部（３）と固定部（４）とプーリ
（５）とバネ（６）とを具備するストレッチャー（１）
において、バネ（６）は、ピン（１１）周囲に巻かれ、
ピン（１１）に固着された内端部と、ハブ（１３）の環
状部（１８）に固着された外端部とを有する。ピン（１
１）とハブ（１３）との間に介在する第１のブッシュ
（２６）と、ハブ（１３）の環状部（１８）と固定部
（３）との間に介在する第２のブッシュ（２０）は、バ
ネ（６）と軸方向に対向する部分に配設されている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、トランスミッショ
ンベルト用のストレッチャー（伸張機）に関する。特
に、内燃機関（エンジン）の駆動シャフトからの運動を
当該エンジンにより駆動される補助要素に伝達するため
のベルト用のストレッチャー（伸張機）に関するが、こ
れに限定されるものではない。

【０００２】

【従来の技術】ストレッチャーは、エンジンブロックと
一体の支持構造体に堅固に連結するのに適する固定部
と、該固定部に第１の軸についてヒンジ止めされる可動
部と、該可動部に載置され、上記第１の軸とは異なり該
第１の軸に平行な第２の軸に関して回転するプーリと、
上記固定部と上記可動部との間に介在するバネと、を備
えることは公知である。ここで、上記バネは、上記可動
部に対して、上記プーリを関連するベルトに係合させた
まま維持するような方向に負荷をかけるものである。

【０００３】種々のアクセサリの選択的な作動及び摩耗
に起因するベルトテンションにおける変動は、バネの変
形の帰結である変動により及びプーリの回転軸の対応す
る移動により補償される。

【０００４】公知の具体例によれば、上記固定部は第１
の軸を画定するピンを具備し、上記可動部はブッシュの
介在により上記ピン上で回転するハブを具備する。さら
に、上記ベルトにより上記プーリよって上記可動部に伝
達される脈動負荷(pulsatingload)下にて上記可動部の
振動の摩擦による減衰性を有する。バネ（渦巻きバネ）
は、上記ハブに巻かれており、上記ハブに固着された内
端部と、上記固定部のフランジに固着されてた外端部と
を有する。

【０００５】この種の公知のストレッチャーは、多くの
欠点を有する。

【０００６】プーリは、突出態様にて可動部に支持され
ているので、ベルトを伸張させると、上記可動部に傾斜
モーメントが生じる。すなわち、可動部自身の回転軸を
横断する軸について可動部を回転させることになる。こ
の傾斜モーメントは、ブッシュを貫通する固定部の制止
反応により平衡に保たれる。しかしながら、これはブッ
シュに異常な態様にて応力を加える傾向にあり、ブッシ
ュ内での不均一な摩耗を引き起こす。

【０００７】明らかに、傾斜モーメントの効果は、ピン
及びブッシュの形状をそのままにして寸法を増加するこ
とで減少し得る。しかしながら、これはハブの寸法を不
本意に増加させ、ひいては固定部の寸法をも不本意に増
加させることになる。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上述
の公知のストレッチャーにおける欠点を持たない適度な
寸法の新規なストレッチャーを提供することにある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明によれば、支持構造体に堅固に連結されてお
り、第１の軸を画定するピンを具備する固定部と、上記
ピン上に載置されており、第１のブッシュの介在により
上記第１の軸に対して回転するハブを具備する可動部、
上記可動部に載置されており、上記第１の軸とは異なり
且つ上記第１の軸に平行な第２の軸について回転するプ
ーリと、上記固定部と上記可動部との間に介在し、使用
時に、上記プーリが関連するベルトとの係合を維持する
ような方向に上記可動部に負荷をかける可撓性手段と、
を備えるトランスミッションベルト用ストレッチャーに
おいて、上記可撓性手段は、上記ピンの回りに巻かれた
渦巻きバネであって、上記ピンに固着された内端部と、
上記ハブの環状部に固着された外端部とを有し、さらに
ストレッチャーは、上記ハブの環状部と上記固定部との
間に介在する第２のブッシュを具備し、第１及び第２の
ブッシュは、上記バネと軸方向に対向する部分に配設さ
れていることを特徴とするトランスミッションベルト用
ストレッチャーが提供される。

【００１０】

【好ましい実施形態】以下、添付図面を参照しながら、
本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限
定されるものではない。

【００１１】図１には、内燃機関（図示せず）の補助要
素（図示せず）を駆動するための複数の溝（多重溝、マ
ルチ−Ｖ）を有するベルト２用のストレッチャー１を示
す。

【００１２】公知の態様において、ストレッチャー１
は、エンジンブロックに固定されている補助要素用の支
持プレートなどの支持構造体（図示せず）に堅固に連結
されるのに適する固定部３と、第１の軸Ａについて上記
固定部３にヒンジ止めされている可動部４と、上記可動
部４によって突出態様に取り付けられており、上記第１
の軸Ａとは異なり第１の軸Ａと平行な第２の軸Ｂについ
て回転するプーリ５と、上記固定部３と上記可動部４と
の間に介在しているバネ６と、を実質的に備える。バネ
６は、プーリ５がベルト２との係合を維持するような方
向に、可動部４に負荷を与える。

【００１３】特に、固定部３は、上記支持構造体と軸方
向に共働するのに適するフランジ１０と、該フランジ１
０から突出態様に軸方向に伸びる第１の軸Ａの管状ピン
１１と、を一体的に具備する。フランジ１０は、複数の
前方の歯１２を有する。該複数の前方の歯１２は、支持
構造体のそれぞれの座（図示せず）に係合して、固定部
３を角方向（角度を有する方向）に係止するのに適す
る。

【００１４】可動部４は、上記ピン１１と同軸で該ピン
１１上に回転態様に取り付けられているハブ１３と、該
ハブ１３から突出態様に半径方向に伸びるアーム１５
と、該アーム１５の端部に一体的に連結されていてプー
リ５の支持機能を有する第２の軸Ｂの管状部１６と、を
一体的に具備する。

【００１５】可動部４のハブ１３は、ほぼベル形状であ
り、第１の部分１８と第２の部分１９とを備える。第１
の部分１８と第２の部分１９とは、軸方向に隣接してお
り、それぞれ大きな直径と小さな直径とを有する。

【００１６】第１の部分１８の軸方向長さの部分は、フ
ランジ１０の回りに配設されており、ブッシュ２０によ
り、フランジ１０の上に半径方向に支持されている。ブ
ッシュ２０は、フランジ１０と共に、所定係数の摩擦ト
ルクを規定する。第１の部分１８の長さ方向の残りの部
分は、ピン１１と共に、バネ６を収容する環状チャンバ
２１の境界を定める。環状チャンバ２１は、ピン１１の
回りに螺旋形に巻き付いたスチールのストリップを備
え、ピン１１に公知の態様にて固着されている内部端２
４と、第１の部分１８に公知に態様にて固着されている
外部端２５と、を有する。

【００１７】第２の部分１９は、ブッシュ２６の介在で
ピン１１によって半径方向に支持されている。ブッシュ
２６は、ピン１１と共に所定係数の摩擦トルクを規定す
る。

【００１８】ブッシュ２０とブッシュ２６とは、それぞ
れ内部端及び外部端と、平坦な環状フランジ２８，２９
とを有する。環状フランジ２８，２９は、バネ６の両側
面と軸方向に共働し、それぞれバネ６とフランジ１０と
の間及びバネ６とハブ１３の第２の部分１９との間に介
在する。

【００１９】最後に、ストレッチャー１は、ピン１１と
可動部４との間に介在する減衰要素３０を備える。

【００２０】減衰要素３０は、金属製コア３４を実質的
に具備する。金属製コア３４は、ピン１１の減少した半
径の自由端部３６上に堅固に固定されているほぼ平坦な
円形の基部壁３５と、基部壁３５の外周から突出態様に
伸びるほぼ円筒状の側壁３７とを有する。

【００２１】減衰要素３０は、さらに、プラスチック材
料のコーティング３８を有する。コーティング３８は、
ハブ１３に面する基部壁３５の面を覆い、側壁３７の全
面を覆って伸びる。こうして、コーティング３８は、基
部壁３５及び側壁３７と一緒に、ハブ１３の第２の部分
１９の前面４１上に相補的形状の環状座４０に係合する
環状摩擦冠３９を形成する。コーティング３８の材料
は、使用時に適切な振動減衰特性を確保するために、ハ
ブ１３と共に所定係数の摩擦トルクを規定するように選
択される。環状冠３９と対応する座４０との間の接触
は、内部円筒状表面及び外部円筒状表面に沿ってでも又
は冠３９の環状前面に沿ってでも、いずれでも簡便な方
でよい。

【００２２】コア３４は、軸方向穴４４を具備し、ピン
１１の自由端部３６によって強制的に係合されている。
よって、自由端部３６は、基部壁３５の内縁上に押圧さ
れる。こうして、軸方向の遊びを実質的に持たないブッ
シュ２０、バネ６、ブッシュ２６及びハブ１３からなる
グループであるピン１１上に取り付けるための「パッ
ク」を確保する。

【００２３】コーティング３８は、全体成形(over-moul
ding)によりコア３４に取り付けられる。このために、
コア３４は、軸方向穴４４を取り巻く複数の穴４５を具
備する。複数の穴４５は、成形工程中、コーティング３
８の材料による係合に適しており、コーティング３８の
コア３４に対する係止を確保する。

【００２４】ストレッチャー１の作用は、それ自体公知
であるから、詳細には説明しない。

【００２５】ピン１１に固着されている内部端２４とハ
ブ１３の第１の部分１８に固着されている外部端２５を
有するバネ６の配列は、ハブの全寸を不利にすることな
く、ピン１１の直径を増加可能とする。ベルトの引っ張
りにより引き起こされる傾斜モーメントは、ブッシュ２
０，２６によって効果的に平衡に保たれる。ブッシュ２
０，２６は、大きな直径を有し、互いに軸方向に離隔さ
れていることから、制止反応を生じ、ブッシュ２０，２
６の合力は比較的長い腕(arm)を有する。

【００２６】さらに、ブッシュ２０，２６の半径方向フ
ランジ２８，２９及び減衰要素３０は、振動を減衰し且
つ可動部４を固定部３に対して支持する両作用を補助す
るので、さらに傾斜モーメントの効果を減少させる。

【００２７】最後に、本発明の保護請求範囲を逸脱する
ことなく、記述されたストレッチャー１に変更又は変形
が加えられてもよいことは明らかである。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は、本発明のテンションベルト用ストレッ
チャーを示す断面図である。

【符号の説明】

１：ストレッチャー ２：ベルト ３：固定部 ４：可動部 ５：プーリ ６：バネ １０：フランジ １１：ピン １３：ハブ １８：ハブの第１の部分 １９：ハブの第２の部分 ２１：環状チャンバ ２４：環状チャンバの内部端 ２５：環状チャンバの外部端 ２０，２６：ブッシュ ２８，２９：半径方向フランジ ３０：減衰要素 ３５：減衰要素の基部壁 ３６：ピンの自由端部 ３７：減衰要素の側壁 ３８：コーティング ３９：環状摩擦冠 ４０：環状座 Ａ：第１の軸 Ｂ：第２の軸

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (71)出願人 597175732 Ｉｎｄｕｓｔｒｉａｌｅ Ｖａｌｌｅｃｕ ｐａ，64010 Ｃｏｌｏｎｎｅｌｌａ，Ｉ ｔａｌｙ (72)発明者 マルク・テオバルド ドイツ連邦共和国デー−66787 ヴァドガ ッセン，ゼングスター・シュトラーセ １ (72)発明者 アンジェロ・メヌーティ イタリア国10042 ニケリーノ，ヴィア・ ストゥピニジ 29／８

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】トランスミッションベルト（２）用のスト
   レッチャー（１）であって、 支持構造体に堅固に連結されるのに適しており、第１の
   軸（Ａ）を画定するピン（１１）を具備する固定部
   （３）と、 上記ピン（１１）上に載置されたハブ（１３）を具備し
   ており、第１のブッシュ（２６）の介在により上記第１
   の軸（Ａ）について回転する可動部（４）と、 上記可動部（４）に設けられており、上記第１の軸
   （Ａ）とは異なり該第１の軸（Ａ）と平行な第２の軸
   （Ｂ）について回転するプーリ（５）と、 上記固定部（３）と上記可動部（４）との間に介在して
   おり、使用時に、上記プーリ（５）の上記ベルト（２）
   に対する係合を維持するような方向に上記可動部（４）
   に負荷を与えるために用いられるに適する可撓性手段
   （６）と、を備え、 上記可撓性手段（６）は、上記ピン（１１）の回りに巻
   き付いている渦巻きバネ（６）を備え、上記ピン（１
   １）に固着されている内部端（２４）と、上記ハブ（１
   ３）の環状部分（１８）に固着されている外部端（２
   ５）とを有し、 さらに上記ストレッチャー（１）は、上記ハブ（１３）
   の環状部分（１８）と上記固定部（３）との間に介在す
   る第２のブッシュ（２０）を備え、上記第１及び第２の
   ブッシュ（２６，２０）は、上記バネ（６）に対して軸
   方向に対向する部分に配設されていることを特徴とする
   ストレッチャー（１）。
2. 【請求項２】請求項１のストレッチャーであって、前記
   第１及び第２のブッシュ（２６，２０）は、それぞれ対
   向する両側の部分から前記バネ（６）と軸方向に共働す
   る半径方向のフランジ（２９，２８）を備えることを特
   徴とするストレッチャー。
3. 【請求項３】請求項１又は２のストレッチャーであっ
   て、上記ストレッチャーは、減衰要素（３０）を備え、
   該減衰要素（３０）は、 前記固定部（３）又は前記可動部（４）の一方（３）と
   堅固に固定されている固着部分（３５）と、 上記固着部分（３５）から軸方向に伸び、上記固定部
   （３）又は上記可動部（４）の他方（４）に形成された
   座（４０）と共働する環状摩擦部分（３９）とを、具備
   し、 該座（４０）は、上記環状摩擦部分（３９）と相補的な
   形態を有することを特徴とするストレッチャー。
4. 【請求項４】請求項３のストレッチャーであって、前記
   減衰要素（３０）は、金属製コア（３４）と、前記環状
   摩擦部分（３９）を少なくとも覆って伸びるプラスチッ
   ク材料のコーティング（３８）と、を備えることを特徴
   とするストレッチャー。
5. 【請求項５】請求項３又は４のいずれか１のストレッチ
   ャーであって、 前記固着部分（３５）は、前記ストレッチャー（１）の
   前記固定部（３）の前記ピン（１１）に固定されている
   前記減衰要素（３０）のほぼ平坦な基部壁（３５）であ
   り、 前記環状摩擦部分（３９）は、ほぼ円筒形で、上記基部
   壁（３５）の周縁から突出態様に伸びており、 前記座（４０）は、前記ストレッチャー（１）の可動部
   （４）内に形成されていることを特徴とするストレッチ
   ャー。
6. 【請求項６】請求項５のストレッチャーであって、 前記減衰要素（３０）の基部壁（３５）は、前記ピン
   （１１）の端部（３６）に固定されており、 前記減衰要素（３０）の環状摩擦部分（３９）用の座
   （４０）は、前記ハブ（１３）の前面（４１）上に形成
   されていることを特徴とするストレッチャー。