JPH10246506A - 空気調和機用室内ユニット - Google Patents

空気調和機用室内ユニット

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JPH10246506A
JPH10246506A JP9048143A JP4814397A JPH10246506A JP H10246506 A JPH10246506 A JP H10246506A JP 9048143 A JP9048143 A JP 9048143A JP 4814397 A JP4814397 A JP 4814397A JP H10246506 A JPH10246506 A JP H10246506A
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indoor
air conditioner
indoor unit
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Mitsuo Kudo
光夫 工藤
Hiroo Nakamura
啓夫 中村
Yoshihiro Takada
芳廣 高田
Hiroshi Kogure
博志 小暮
Motoo Morimoto
素生 森本
Eisuke Matsubara
栄介 松原
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  • Air Filters, Heat-Exchange Apparatuses, And Housings Of Air-Conditioning Units (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 暖房能力を向上しつつユニットを小型化する
ともに、低外気温時でも高暖房能力を発揮できる空気調
和機用室内ユニットを提供する。 【解決手段】上面吸込み口203と、前面吸込み口20
4と、貫流ファン24と、これら両吸込み口と貫流ファ
ンとの間に室内熱交換器21とを配置してなる空気調和
機用室内ユニットにおいて、室内熱交換器21を構成す
る主熱交換器22は、上面吸込み口に面して配置された
上面側熱交換部22aと前面吸込み口に面して配置され
た前面側熱交換部22bとから構成され、これら熱交換
部22a、22bのフィン100は、互いに分離されて
構成されており、これにより、互いに熱的に分離して構
成されている。これにより、運転時に温度の異なる熱交
換部22a、22bの伝熱管間での、これらフィン10
0を介しての熱伝導損失を抑制して、暖房能力を向上す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、室内の空気温度を
最適に調和する空気調和機に関し、特に、室内側に配置
される空気調和機用室内ユニットに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ヒ−トポンプ型空気調和機では、
四方弁を介して冷媒流れ方向を逆転させることによっ
て、暖房時と冷房時で熱交換器内部での冷媒流れ方向が
反対になる。すなわち、冷房時には室内熱交換器を蒸発
器として用い、室外熱交換器を凝縮器として用いる。一
方、暖房時には、室内熱交換器を凝縮器として、室外熱
交換器を蒸発器として用いる。
【0003】また、前記の室内熱交換器や室外熱交換器
としては、例えば、特公平4−45753号公報に示す
ように、フィン長手方向に沿ってフィン幅が大略一定の
幅に成形された多数のフィンを所定の間隔をおいて並置
し、これに直行するように複数の伝熱管を、全体として
千鳥状になるように、貫通して形成された、いわゆる、
クロスフィンチュ−ブ型熱交換器が多用されている。
【0004】ところで、空気調和機の室内ユニットおよ
び室外ユニットについては、設置スペースの制約などか
らその小型化が求められており、特に、室内ユニットに
ついては、小型化を目的に、その前面および上部にそれ
ぞれ前面吸込み口と上部吸込み口とを設ける。これらの
吸込み口と送風機との間に、上部を逆V字型に形成した
一体の熱交換器を配置すると共に、その伝熱管を吸入空
気に対して風上側の列と風下側の列の2列にした構成
が、例えば、特開平07−260178号公報に開示さ
れている。このように構成される空気調和機の室内ユニ
ットでは、例えば暖房運転の場合には、室内ユニットに
吸込まれた空気は、風路の途中に設けられた上記逆V字
型熱交換器により暖められた後、貫流ファンを介して室
内ユニット下部の吹出口から温風として吹き出され、暖
房に供される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記従来の
空気調和機の室内ユニットでは、室内熱交換器としては
上述のように一体に構成されていることから、例えば、
暖房運転の場合には、比較的高温の過熱ガス域の冷媒が
流れる伝熱管と温度の低い飽和液冷媒が流れる伝熱管と
が、前記の一体に形成されたフィンを介して隣り合うこ
ととなり、これにより熱伝導損失を生じて暖房能力が低
下してしまう。
【0006】すなわち、熱交換器の構造としては、一般
に、気流方向に伝熱管配列を1列または2列に配置して
構成し、フィンを介して上下または水平方向に隣接する
伝熱管が互いに熱的に繋がる構造となっている。そのた
め、伝熱管内を流れる冷媒の熱は、本来、フィンを介し
て空気との間で熱交換を行うことが望ましいが、しかし
ながら、管内冷媒凝縮温度が最も高くなる冷媒入口付近
のパスと、管内冷媒凝縮温度が最も低くなる冷媒出口付
近のパスとの間で、上記一体に形成されたフィンを介し
て熱交換が生じてしまい、これにより熱伝導損失を生じ
ることとなる。
【0007】このため、暖房能力が大幅に低下してしま
い、暖房能力を確保するためには室内外熱交換器とも全
体として大きくせざるを得ないので、ユニットが大きく
なりコストアップしてしまうという問題があった。一
方、冷房運転の場合にも、上記と同様に、管内冷媒蒸発
温度が最も低くなる冷媒入口付近のパスと、管内冷媒蒸
発温度が最も高くなる冷媒出口付近のパスとの間で熱交
換が生じ、やはり、冷房能力が大幅に低下し、ユニット
が大型化するという問題があった。
【0008】このことは、特に空気調和機の除湿運転時
には著しく、上面吸込み口に面して空気の加熱を行うた
め高温の冷媒が流れる熱交換器上部と、前面吸込み口に
面して空気の冷却を行うため低温の冷媒が流れる熱交換
器下部とが上記一体に形成されたフィンを介して熱交換
を行い、これにより大きな熱伝導損失を生じることとな
る。
【0009】そこで、本発明は、上記従来技術における
課題に鑑み、上述のような熱交換器内での温度差に伴う
熱交換による熱伝導損失を抑制あるいは解消し、もっ
て、消費電力を低下し、冷暖房能力、さらには、除湿能
力を更に向上することの可能な構造の空気調和機用室内
ユニットを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明では、上記の目的
を達成するため、まず、上面吸込み口と、前面吸込み口
と、貫流ファンと、前記両吸込み口と前記貫流ファンと
の間に室内熱交換器とを配置してなる空気調和機用室内
ユニットにおいて、前記室内熱交換器は、前記上面吸込
み口に面して配置された上面側熱交換部と前記前面吸込
み口に面して配置された前面側熱交換部とから構成さ
れ、かつ、前記室内熱交換器の前記上面側熱交換部と前
記前面側熱交換部とが互いに熱的に分離して構成されて
いる空気調和機用室内ユニットが提案される。
【0011】また、本発明によれば、やはり上記の目的
を達成するため、上記の空気調和機用室内ユニットにお
いて、前記室内熱交換器の前記上面側熱交換部と前記前
面側熱交換部の少なくとも一方には、さらに、気流方向
の下流側に熱的に分離されて配置されている。
【0012】さらに、本発明によれば、やはり上記の目
的を達成するため、上記の空気調和機用室内ユニットに
おいて、前記室内熱交換器の前記上面側熱交換部と前記
前面側熱交換部の他方には、さらに、気流方向の下流側
に熱的に分離されて配置された副熱交換部を設けてい
る。
【0013】上記の本発明の構成によれば、暖房運転時
の室内ユニットにおいて、複数の熱交換器小部に分割さ
れた主熱交換器小部よりも管内冷媒温度の高い副熱交換
器を主熱交換器小部の風下側に配置する構成としたの
で、フィンを介して温度の異なる伝熱管間での熱伝導損
失を生じなく、暖房能力が向上する。
【0014】さらに、暖房能力が一定の場合には、暖房
時に必要な冷媒と空気との温度差を小さくできるので、
凝縮温度・圧力が低下し、蒸発温度・圧力が上昇して圧
縮機の圧縮仕事が軽減されるので、暖房運転時の消費電
力量が少ない空気調和機を提供できるとともに熱交換器
を小型にできるので、室内外ユニットを小型にできる。
また、主熱交換器を複数に分割する構成としたので除湿
運転時には熱伝導加熱による除湿水分の再蒸発現象を防
止できるので除湿効率が改善される。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て、添付図面を参照しながら、詳細に説明する。なお、
図1は本発明に係る空気調和機用室内ユニットの内部構
成を示す横断面図であり、図2は上記室内ユニットを含
むヒ−トポンプ型空気調和機の冷凍サイクル構成図であ
り、図3は逆V字の背面下向き傾斜部を構成するフィン
の構造を示す図であり、図4はこの空気調和機の冷凍サ
イクル内を循環している冷媒の状態変化を模式的に示し
たTS線図である。
【0016】まず、図2において、符号20は室内ユニ
ット、符号10は室外ユニットであり、これら室内外ユ
ニット10、20は、配管ユニット27によって接続さ
れている。また、室内ユニット20は、室内熱交換器2
1、室内貫流ファン24および副熱交換器30を備えて
いる。なお、この室内熱交換器21は、熱交換器小部2
2aおよび熱交換器小部22bとからなる主熱交換器2
2と、この主熱交換器22の空気流下流側に配置された
第一の副熱交換器30とから構成されている。
【0017】また、前記室内熱交換器21の主熱交換器
22を構成する熱交換器小部22aおよび熱交換器小部
22bは、それぞれ、所定の間隔を置いて並置された多
数の伝熱フィンとこの伝熱フィンに直角に挿入嵌合さ
れ、内部を冷媒が流動する多数の伝熱管によって構成さ
れている。これら多数の伝熱管は、互いにベンド等によ
り接続されており、これにより冷媒パスを構成してい
る。さらに、これら冷媒パスは、図にも示すように、絞
り機構25を挟んで、前記熱交換器小部22aに含まれ
る第一パスと、前記熱交換器小部22bに含まれる第二
パスとに別れている。すなわち、本発明によれば、これ
ら熱交換器小部22aおよび熱交換器小部22bは、互
いに独立した別体の熱交換器を構成しており、かつ、除
湿運転時にはそれぞれ加熱器22aおよび冷却除湿器2
2bとして作用するように配管接続されている。
【0018】一方、室外ユニット20は、室外熱交換器
13およびファン17を備えている。その冷凍サイクル
は、冷媒圧縮器11から、四方弁12、室外熱交換器1
3、減圧器16を通り、さらには、冷媒配管27を介し
て前記室内熱交換器21へ接続されて構成され、その内
部を冷媒が循環するように構成されている。なお、この
図2において、実線の矢印41は暖房運転時の、一方、
破線の矢印42は冷房運転時の冷媒の流れる方向を示し
ている。また、図中の矢印26は、上記室内ユニット2
0における気流を、そして、矢印18は室外ユニット1
0における気流を示している。
【0019】ここで、本発明の一実施の形態になる空気
調和機用室内ユニットの内部の構造を図1に示す。図に
も示すように、この室内ユニット20は、箱体201内
に配置された室内熱交換器21、貫流ファン24、およ
び、ファンケーシング202を備え、上記箱体201の
上部には上部吸込み口203が、その前面には前面吸込
み口204が設けられ、さらに、その下部には吹き出し
口205が設けられている。なお、図中の符号120
は、回動可能な風向板を示している。
【0020】この空気調和機用室内ユニットにおいて、
上記室内熱交換器21は、既述のように、主熱交換器2
2と第一の副熱交換器30とから構成されている。ま
た、この主熱交換器22は、除湿運転時には加熱器とな
るべき冷媒回路を構成してなる逆V字型熱交換器小部2
2aと、除湿運転時には除湿冷却器となるべき冷媒回路
を構成してなる下部熱交換器小部22bとからなる。
【0021】かかる室内熱交換器21は、前記したよう
に、多数積層された伝熱フィン100の伝熱管挿通用穴
101にヘアピン曲げされた伝熱管102を挿通固着し
て構成されている。なお、これら伝熱管102はベンド
パイプ103やY字型分岐管104、あるいは、T字型
分岐管105等を介して配管106で連接され、これに
より冷媒流路を形成している。より具体的に説明する
と、本実施の形態では、熱交換器小部22aの冷媒流路
は、暖房運転時に冷媒出口となる風上側列の大部分が1
パスに構成され、残りは2パス(並列2通路)に構成さ
れている。一方、熱交換器小部22bの冷媒流路及びそ
の下流側に接続されている第一の副熱交換器30の冷媒
流路は、各々3パス(並列3通路)に構成されている。
【0022】そして、本発明によれば、これら熱交換器
小部22a、22bは、別体をなして構成されている。
すなわち、図にも明らかなように、これら熱交換器小部
22a、22bは、互いに少なくともフィン100が分
離されており、もって、互いに熱的に分離して構成され
ている。なお、これら熱交換器小部22a、22bの間
には絞り機構25が配置されており、この絞り機構25
を介して、熱交換器小部22a、22bは互いに配管接
続されている。
【0023】また、この空気調和機用室内ユニットにお
いては、第一の副熱交換器30は、貫流ファンの前面ノ
ーズ近傍の高風速領域に、すなわち、除湿熱交換器とな
るべき熱交換器小部22bの空気下流側に配置されてい
る。
【0024】さらに、上記貫流ファン24の上部に逆V
字状に配置されている熱交換器小部22aの一部、すな
わち、逆V字の背面下向き傾斜部を構成しているフィン
100には、図3にも示すように、冷媒パスが1パスに
構成されている風上側の伝熱管列108uと、冷媒パス
が2パスに構成されている風下側の伝熱管列108dと
を、熱的に分離できるように、分離スリット110が設
けられている。
【0025】なお、この分離スリット110は、フィン
100を切断することにより形成されるが、フィン加工
時の取り扱い性を考慮して、上記図3に示すように、非
切断部110aと切断部110bが交互になるように切
断を行って、フィン100の一部に上記非切断部110
aを残すようにするのが好ましい。また、切断に代え
て、例えば、やはり断続する細いスリットを形成し、あ
るいは、溝を形成してフィンの断面積を減少して、熱的
に分離することも可能である。
【0026】なお、上記空気調和機用室内ユニットの冷
媒流路内における冷媒の流れは、例えば冷房運転時に
は、図中に破線で示す矢印のようになる。すなわち、冷
房運転時には、室外熱交換器で凝縮液化した冷媒は、絞
り機構16を経て低温の気液二相冷媒となり室内熱交換
器に21に流入する。この室内熱交換器21に流入した
気液二相冷媒は、まず、その主熱交換器22を構成する
熱交換器小部22aの1パスの冷媒通路を、貫流ファン
24によって流れる室内空気とフィン100を介して熱
交換しながら流れ、T字型分岐管105に至り、ここで
2パスに分流した後、さらに、室内空気と熱交換して蒸
発気化し、気相冷媒の割合を増しながら絞り機構部25
に至る。なお、この絞り機構部25は冷房運転時には通
路抵抗とならないよう全開に設定されている。
【0027】この絞り機構部25から流出した冷媒は、
さらに、室内空気と熱交換しながら分配器104を介し
て3パスに分岐して、主熱交換器22を構成する他の熱
交換器小部22bを経て、最下流に位置している第一の
副熱交換器30に至る。そして、この冷媒との熱交換に
よって冷却された室内空気は、上記貫流ファン24を介
して被空調室内へ吹き出されて冷房に供せられる。
【0028】次に、上記に構成を説明したヒ−トポンプ
型空気調和器における冷凍サイクルの動作について述べ
る。まず、図2に示したヒ−トポンプ型空気調和機の冷
凍サイクル構成において、暖房運転時には、上記室外ユ
ニット10の圧縮器11から吐出される高温・高圧の冷
媒ガスは、実線の矢印41で示すように、四方弁12お
よび冷媒配管27を通って、凝縮器として作用する上記
室内ユニット20の室内熱交換器21へ送られ、室内貫
流ファン24によって送風される空気によって冷やされ
て(空気と熱交換し)、高圧・低温の液冷媒となる。こ
の冷やされて高圧・低温の液となった冷媒は、冷媒配管
27を通って上記室外ユニット10へ戻り、減圧器16
によって減圧膨張され、これにより低圧・低温の冷媒と
なって蒸発器として作用する室外側熱交換器13へ流入
する。この室外側熱交換器13へ流入する冷媒は、室外
ファン17によって送風された空気によって加熱されて
蒸発した後、四方弁12を通って圧縮機11に戻り、こ
こで再び圧縮され、上記の循環サイクルを繰り返す。な
お、この時、室内熱交換器21では、高温・高圧の冷媒
ガスにより加熱された空気を被空調室内に放出して、室
内の暖房を行うこととなる。
【0029】これに対して、冷房運転時には、室外ユニ
ット10の圧縮機11から吐出される高圧・高温の冷媒
ガスは、破線矢印42で示すように、四方弁12を通っ
て凝縮器として作用する室外側熱交換器13へ送られ、
室外ファン17によって送風された空気によって冷さ
れ、高圧・低温の液冷媒となり、減圧器16によって減
圧膨張され、低圧・低温の冷媒となって冷媒配管27を
通り、蒸発器として作用する室内ユニット20の室内側
熱交換器21へ流入し、室内ファン24によって送風さ
れた空気によって加熱されて蒸発した後、冷媒配管27
を通って室外ユニット10の四方弁12を通って圧縮機
11に戻り、ここで再び圧縮されて上記の循環サイクル
を繰り返す。なお、この時室内熱交換器21では、低圧
・低温の冷媒により冷却された空気を被空調室内に放出
して冷房を行う。
【0030】続いて、かかる冷凍サイクル内を循環して
いる冷媒の状態変化を、図4により模式的に示す。な
お、この図4に於いて、横軸は冷媒のエントロピS(k
J/kgK)、縦軸は冷媒の温度T(℃)である。ま
た、冷媒温度Tcは、凝縮器内の圧力に対応した凝縮温
度であり、冷媒温度Teは、蒸発器内の圧力に対応した
蒸発温度である。また、記号AとCは、各々、凝縮器と
して作用する熱交換器の入口と出口を、また、記号Dと
Eは、各々、蒸発器として作用する熱交換器の入口と出
口を示している。さらに、この図4に於いて、区間A−
B1は冷媒過熱領域を、区間B1−B2は飽和領域を、
そして、区間B2−Cは過冷却領域を示している。
【0031】まず、暖房運転の場合について説明する。
この場合、互いに熱的に分離された室内熱交換器小部2
2a、22bの中間に設けられている除湿運転用絞り機
構25は、流動抵抗とならないように全開に設定され
る。次に圧縮機11を起動すると、この圧縮機11から
吐出された高温・高圧の過熱冷媒ガス(図4のA点)
は、四方弁12及び配管ユニット27を介して室内ユニ
ット20の室内熱交換器21へ送られて、この室内熱交
換器を構成する第一の副熱交換器30と主熱交換器22
を経て、室内熱交換器21から流出する。この時、室内
熱交換器21の外部を流れる室内空気26は熱交換して
暖められ、被空調室内の暖房に供せられる(図2を参
照)。
【0032】この時、管内の冷媒が飽和領域(図4の区
間B1−B2)となっている主熱交換器22を通過する
空気26(20℃)は、管内の冷媒凝縮温度Tcとほぼ
同じ温度になるまで加熱されて、主熱交換器22から流
出する。その後、この主熱交換器22から流出した空気
26は第一の副熱交換器30に至る。第一の副熱交換器
30では、主熱交換器22内の凝縮温度Tcよりもさら
に高く過熱された70〜80℃(=Tc+30〜40
℃)の過熱冷媒(図4のA点)が流入しているので、主
熱交換器22から流出した空気は、さらに高い温度まで
加熱昇温される。したがって、第一の副熱交換器30の
出口側での空気温度は、管内冷媒飽和温度Tcよりも高
い温度まで昇温され、第一の副熱交換器30から流出
し、貫流ファン24を介して室内に吹き出され、室内の
暖房に供せられる。
【0033】ところで、上記主熱交換器22では、これ
を構成する熱交換器小部22aの冷媒通路である第1パ
ス内の冷媒凝縮温度と、やはり上記主熱交換器22を構
成する熱交換器22bの冷媒通路である第2パス内の冷
媒凝縮温度は、冷媒の流れ方向に沿って流動抵抗により
管内圧力が低下するため、図4に示すように温度低下す
る。このため従来は、互いに隣接するこれら熱交換器小
部22a、22bの冷媒出口部と入口部において、一体
に形成されていたフィン100を介して熱的に連結され
ており、そのため、この温度差によりこれら熱交換器小
部22a、22bの間で熱交換現象を生じてしまい、こ
の熱伝導損失のために暖房能力が低下するという問題を
生じていた。
【0034】すなわち、熱交換器小部22a、22bの
伝熱管内を流れる冷媒の熱は、本来、フィン100を介
して全て空気との間で熱交換を行うことが望ましいが、
しかしながら、管内冷媒凝縮温度が最も高くなる冷媒入
口付近のパスと、管内冷媒凝縮温度が最も低くなる冷媒
出口付近のパスとの間で、上記一体に形成されたフィン
100を介して熱交換が生じてしまい、これにより上記
の熱伝導損失を生じることとなる。
【0035】これに対して、本発明では、上述のよう
に、室内ユニット20の室内熱交換器21を構成する主
熱交換器22は、別体の熱交換器、すなわち、互いに熱
的に分離された2つの熱交換器小部22aと22bで構
成されていることから、フィン100を介してのこれら
熱交換器小部22a、22bの冷媒出口部と入口部にお
ける上記温度差による熱交換現象が生じ難い。このこと
から、上記の熱伝導損失を生じ難くなり、暖房能力が大
幅に向上することが可能になる。
【0036】また、さらに、本発明では、従来の第一の
副熱交換器が無しの熱交換器の構成では、室内吹き出し
空気温度を管内冷媒飽和温度Tc以上には昇温できない
のに対し、上記の第一の副熱交換器30を設けることに
よって、室内吹き出し空気温度を冷媒飽和温度Tc以上
にまで昇温できる。そして、この昇温分だけ、暖房能力
を向上することが出来るという効果を発揮する。一般
に、暖房運転時に室内熱交換器内21の冷媒が持つ加熱
能力のうち、過熱ガス域が持つ割合をみると大略15%
となっていることから、飽和温度が同じ条件では、この
第一の副熱交換器30を設けることによる暖房能力の向
上割合としては大略10%と分析できる。また、暖房能
力が同じであるとの条件では、飽和温度を約2℃下げる
ことができるので、圧縮機の消費電力を大略5%節約で
きるとの効果が期待される。なお、暖房運転時に冷媒が
持つ加熱能力のうち、過熱ガス域が持つ割合は、図4に
おいて区間A−B1を区間(A−C)で除した値に大略
等しい。
【0037】また、上記逆V字状の熱交換器小部22a
の一部のフィン100に分離スリット110を設けるこ
とにより、冷媒パスが1パスに構成されている風上側の
伝熱管列108uと、冷媒パスが2パスに構成されてい
る風下側の伝熱管列108dとが熱的に分離され、前記
1パスの風上側の伝熱管列108uは、暖房運転時に
は、冷媒出口となるため、図4に於いて区間B2−Cで
示されるように、隣接する2パスの風下側の伝熱管列1
08dの冷媒温度Tcに比べて低い冷媒温度となってお
り、これら伝熱管列の間で温度差が生じる。しかし、上
記の分離スリット110を設けているので、これら伝熱
管列の間での温度差によるフィン100を介しての熱伝
導損失が抑えられ、さらに暖房能力が改善されることと
なる。
【0038】次に、冷房運転時について説明する。この
冷房運転の場合、まず室内熱交換器小部22a、22b
の中間に設けられている除湿運転用絞り機構25は、や
はり、流動抵抗とならないように全開に設定される。次
に、圧縮機11を起動すると、この圧縮機11から吐き
出された高温高圧の過熱冷媒ガス(図4のA点)は、室
外熱交換器13へ送られて、室外ユニット10の熱交換
器13を流れる冷却空気18と熱交換して、冷媒は冷却
液化される。この液化した高圧・低温の液冷媒(図4の
C点)は、絞り機構16を介して蒸発圧力まで減圧さ
れ、低温の気液二相冷媒(図4のD点)となって、蒸発
器として作用する室内ユニット20の室内熱交換器22
へ流入され、そこで空気を冷却する。その後、この冷媒
は空気から奪った熱量分だけ徐々に蒸発し、熱交換器2
2の出口に至り、この出口では再び気相冷媒(図4のE
点)となって圧縮機11に送られ、再び圧縮機11から
吐き出され、循環する。
【0039】かかる冷房運転時において、室内ユニット
20の室内熱交換器21が蒸発器として作用する場合に
は、暖房運転時の凝縮器として作用する場合とは異な
り、管内冷媒の圧力が低いので、管内冷媒ガスの流速が
高い。このため冷媒側には大きな圧力損失を生じること
となる。そして、この管内冷媒の圧力損失によって冷媒
の飽和温度が熱交換器出口に向かって低下するので、冷
媒流路出口に位置している第一の副熱交換器30の冷媒
蒸発温度(図4のE点近傍)が最も低くなっている。と
ころで、この冷房運転時においても、上記の暖房運転の
時と同様に、主熱交換器22では、これを構成する熱交
換器小部22aの冷媒通路である第1パス内の冷媒蒸発
温度と、やはり上記主熱交換器22を構成する熱交換器
22bの冷媒通路である第2パス内の冷媒蒸発温度は、
冷媒の流れ方向に沿って流動抵抗により管内圧力が低下
するため、図4に示すように温度低下する。このため従
来は、互いに隣接するこれら熱交換器小部22a、22
bの冷媒出口部と入口部において、一体のフィン100
を介して熱的に連結されており、この温度差によりこれ
ら熱交換器小部22a、22bの間で熱交換現象を生
じ、この熱伝導損失のために冷房能力が低下するという
問題を生じていた。
【0040】ところが、本発明では、上述のように、室
内ユニット20の室内熱交換器21を構成する主熱交換
器22は、別体の熱交換器、すなわち、互いに熱的に分
離された2つの熱交換器小部22aと22bで構成され
ていることから、フィン100を介してのこれら熱交換
器小部22a、22bの冷媒出口部と入口部における上
記温度差による熱交換現象が発生し難く、すなわち、上
記の熱伝導損失が生じ難く、もって、冷房能力が大幅に
向上することが可能になる。
【0041】また、第一の副熱交換器30は、主熱交換
器22を構成する熱交換器小部22bの空気流の下流側
に配置されているので、熱交換器小部22bで冷却され
た主冷却器出口の空気を、更に低い冷媒蒸発温度の第一
の副熱交換器30によって冷却できることとなり、冷房
能力の大幅な改善が期待できる。
【0042】次に、除湿運転時について説明する。この
除湿運転の場合には、まず、四方弁12は冷房運転時と
同じ位置に設定され、減圧器16は全開位置に設定され
る。次に、圧縮機11を起動すると、圧縮機11から吐
き出された高温・高圧の過熱冷媒ガス(図4のA点)
は、室外熱交換器13、減圧器16、冷媒配管27を経
て室内ユニット20の室内熱交換器21へ送られる。こ
の室内熱交換器21へ送られた高温・高圧の冷媒ガス
は、まず、凝縮器として作用する主熱交換器22の熱交
換器小部22aへ送られ、ここで、その外部を流れる被
除湿空気26を熱交換により加熱する。この時、管内の
冷媒は、外部空気によって冷却・液化され、その後、絞
り部25に至る。
【0043】この冷却・液化された管内の冷媒は、上記
絞り部25を介して減圧されて、低温・低圧の気液二相
冷媒となり、次に、蒸発器(冷却除湿器)として作用す
る室内熱交換器21の熱交換小部22bへ流入する。こ
の冷媒は、この熱交換器小部22bで被空調室内の空気
を冷却・除湿した後、さらに、蒸発器(冷却除湿器)と
して作用する第一の副熱交換器30へ至る。第一の副熱
交換器30では、上記の冷房運転の場合と同じように、
管内の冷媒温度は最も低い温度になっており、これによ
り、上記熱交換器小部22bで冷却・除湿された空気
を、更に低い蒸発温度の熱交換器で冷却・除湿できるの
で除湿効率が大幅に改善される。
【0044】ところで、従来の主熱交換器22の構造で
は、隣接する熱交換器小部22a、22bは、互いに一
体のフィン100を介して熱的に連結されており、その
ため、温度の高い加熱器として作用する熱交換器小部2
2aによって、温度の低い冷却除湿器として作用する熱
交換器小部22bが一体のフィン100を介して加熱さ
れることとなる。そのため、これら熱交換器小部22
a、22bの間では熱交換現象を生じ、この熱伝導損失
のために冷房能力(冷却能力)が低下するという問題が
あり、特に、この除湿運転時には著しかった。また、冷
却除湿器として作用する熱交換器小部22bの表面に結
露した除湿水分が、加熱器として作用する熱交換器小部
22aからの熱により、再蒸発していまい、除湿効率が
低下するという問題も生じていた。
【0045】これに対して、本発明では、上述のよう
に、室内ユニット20の室内熱交換器21を構成する主
熱交換器22は、別体の熱交換器、すなわち、互いにフ
ィン100が繋がっておらず、熱的に分離された2つの
熱交換器小部22aと22bで構成されていることか
ら、高温の加熱器として作用する熱交換器小部22aと
低温の冷却除湿器として作用する熱交換器小部22bと
の間での熱交換現象が生じ難く、上記の熱伝導損失を阻
止できるため、冷房能力が大幅に向上することが可能に
なる。また、結露した除湿水分が、加熱器として作用す
る熱交換器小部22aからの熱により再蒸発することも
なくなる。
【0046】また、特に、冷房運転時においては、前記
した室内ユニット20内の冷媒通路において、その1パ
ス部では、冷媒側の圧力損失により、隣接する2パス部
に比べて管内の冷媒温度が全体的に高くなるため、1パ
ス部と2パス部で列間に温度差が生じる。このため、従
来は、この列間の温度差に伴う熱交換により熱伝導損失
を生じ、冷房能力が低下するという問題があった。しか
しながら、上記の本発明による熱交換器、特に、熱交換
器小部22aの構造では、その1パス部と2パス部の列
間に分離スリット110を設けているので、これら列間
での熱伝導損失が抑えられ、これにより冷房能力が改善
される。
【0047】さらに、冷房運転時においては、管内の冷
媒は空気との熱交換によって蒸発気化し、冷媒出口に近
づくに従って気相冷媒の割合が増加するので流速が上が
り通路抵抗が悪化する。しかし、上記の構成によれば、
熱交換器入口部に位置する熱交換器小部22aを2パス
とし、体積流量が多い熱交換器出口に位置する熱交換器
小部22bおよび第一の副熱交換器30の冷媒パスを3
パスになるように、冷媒流れ方向に沿ってパス数を増や
す構成としているので管内流速の増加が抑えられ冷媒通
路抵抗が低減して冷房能力が改善されるという効果を奏
する。
【0048】ところで、一般に、上記室内ユニット20
における送風に使用される貫流ファン24は、文献「ク
ロスフローファン内部流れの自動計測とその解析」;中
村邦夫、梅景裕ほか;ターボ機械,VOL.14,NO.
2,'86.2にも示されるように、前面ノーズ近傍に滞
留渦領域を形成することによって送風作用を生じるファ
ンである。すなわち、このファンでは、ノーズ近傍に形
成された渦領域の圧力が最も低くなるので、周囲から吸
込まれる空気は圧力の低いノーズ近傍に向かう流れを形
成し、大部分の吸入空気がノーズから約90度の範囲
(即ち前面)で吸込まれることが知られている。そのた
め、従来は、前面から吸い込まれた空気は風速が高いた
めに、主熱交換器22では充分に冷却あるいは減湿され
ずにファンに吸い込まれ、そのため冷房能力が低下する
という問題があった。
【0049】ところが、上記の本発明の実施の形態にな
る室内ユニット20では、吸い込み流速が速い貫流ファ
ンの前方に下部吸込口204を設け、この下部吸込口2
04と貫流ファン24の間に、主熱交換器22の熱交換
器小部22bと共に、さらに、第一の副熱交換器ラ30
を配置する構成としている。すなわち、この第一の副熱
交換器30によって、主熱交換器22の熱交換器小部2
2bでは充分に熱交換ができない分をカバーするよう
に、その下流側に配置されており、この第一の副熱交換
器30によって、空気と冷媒とが更に熱交換させられる
ので冷房時、暖房時及び除湿時にそれぞれ大幅な能力向
上効果が発揮できる。
【0050】また、除湿運転の場合、従来は、温度の高
い加熱器によって温度の低い冷却除湿器がフィンを介し
て加熱されるため、冷却除湿器の表面に結露した除湿水
分が再蒸発していまい除湿効率が低下するという問題が
あった。しかしながら、上記の実施の形態の構造によれ
ば、除湿運転時に加熱器となる熱交換器小部22aが上
部に配置されており、かつ、除湿運転時に冷却除湿器と
なる熱交換器小部22bが別体に下部に配置されている
ので、従来のようにフィンを介して除湿水分が加熱され
て再蒸発することが無くなり、そのため、除湿効率が大
幅に向上する。
【0051】なお、上記の実施の形態になる室内ユニッ
ト20では、その主熱交換器22を構成する熱交換器小
部22aは、全体として、逆V字型に折り曲げ配置され
ているが、本発明による作用効果は、上述の熱交換器の
配置や形態に限定されることなく、その他、例えば
「く」の字曲げ配置でも、直線配置でも、あるいは、
「U」の字曲げの円弧状配置等でも良いのは勿論であ
る。
【0052】また、前記したように、上記実施の形態に
おける第一の副熱交換器30の効果は、風上に配置され
ている主熱熱交換器22の熱交換器小部22bと第一の
副熱交換器30とが熱的に分離されていることによるも
のである。したがって、この第一の副熱交換器30は、
上記の図1や図2に示すように熱交換器小部22bを完
全に分離する形態だけに限られず、例えば、図5に示す
ように、熱交換器小部22bと第一の副熱交換器30と
を一体に、すなわち、1または2列(あるいは3列)の
伝熱管からなる主熱交換器となるべき熱交換器小部22
bと、1列(または2列)の伝熱管からなる第一の副熱
交換器30部分とを、例えば図6に示すようにフィン1
00に分離スリット110を形成する等の手段を用いて
熱的に区画するように構成することも可能である。ま
た、全ての列間を熱的区画するように構成しても良い。
【0053】なお、上記において熱的に区画する方法と
しては、例えば、図7(A)に示すように、プレス加工
などでフィン100を断続的に切断する方法、図7
(B)に示すように、細長いスリット穴101を打ち抜
く方法、または、図7(C)に示すように、ミシン目状
の切り込み102を設ける方法など、一部の接続部を残
して切断する等、適宜、選択できるのは勿論である。さ
らに、図8(A)及び図8(B)に示すように、「V」
字状あるいは「U」字状の溝103をフィン100の両
面、あるいは、片面に形成して熱的に略完全に区画し、
もしくは、熱伝導を小さくするように区画する方法も可
能である。
【0054】なお、上記のように、第一の副熱交換器3
0を主熱交換器、すなわち、熱交換器小部22bと一体
に構成した場合には、室内ユニット組立時に取り扱う熱
交換器も一体として扱うことができるので、生産性を向
上することが出来るという効果を奏する。
【0055】また、前記実施例では、第一の副熱交換器
30の位置として、除湿運転時に除湿器として作用する
熱交換器小部22bに隣接するように、空気流の下流側
に配置した構成としている。しかしながら、この第一の
副熱交換器30の位置としては、これのみに限定され
ず、その他、例えば、除湿運転時に加熱器として作用す
る熱交換器小部22aに隣接して、空気流の下流側に配
置する構成としても良い。なお、この場合には、再熱器
となる熱交換器小部22aによって加熱された温度の高
い空気が、除湿冷却器として作用する第一の副熱交換器
30に流入するので、空気と冷媒との温度差が大きくな
り、効率良く除湿冷却できるので除湿効率が改善される
こととなる。
【0056】次に、本発明の他の実施の形態になる空気
調和機のサイクル構成を、添付の図9及び図10に示
す。なお、この空気調和機のサイクル構成では、室内ユ
ニットにプレクーラを設けているが、これに加えて、さ
らに、第二の副熱交換器40を設けたものである。すな
わち、この図9において、室内熱交換器21は、主熱交
換器22とその下流側に配置された第一の副熱交換器で
ある第一の副熱交換器30と、上流側に配置された第二
の副熱交換器40とから構成されている。
【0057】また、図10に示す空気調和機の室内ユニ
ットは、上記図1に示した室内ユニットに対し、第二の
副熱交換器40を、主熱交換器22を構成する上側に配
置した熱交換器小部22aの風上側に配置した点が異な
っている。
【0058】即ち、室内熱交換器21は、主熱交換器2
2、第一の副熱交換器30、第二の副熱交換器40から
構成されており、この第二の副熱交換器40は、除湿運
転時に再熱器となるべき冷媒回路を構成してなる逆V字
型熱交換器小部22aの背面側の風上側に配置されてい
る。
【0059】上記の構成によれば、上記図4に示した冷
凍サイクル内の冷媒の状態変化を参照しながら説明する
と、暖房運転時には、管内冷媒温度が飽和温度(図4、
区間B1−B2)に保たれている主冷却器22の風上側
に、管内の冷媒温度が主冷却器の管内温度より低く(図
4、区間B2−C)保たれている第二の副熱交換器40
を設けたので、第二の副熱交換器40へは温度の低い空
気が流入することとなり、液冷媒を流入空気温度に近い
温度まで冷却することが可能となる。したがって、第二
の副熱交換器が無しに比べて出口冷媒温度をより入口空
気温度近くまで冷却できるので、飽和温度一定の場合に
は、その分だけ暖房能力が向上し、暖房能力一定の場合
には飽和温度が低下するので、圧縮機消費電力量の低減
効果を発揮できる。
【0060】なお、第一の副熱交換器30と第二の副熱
交換器40とを主熱交換器を挟んで、互いに対向して設
けると、送風気流において同一流線上に位置することと
なり、通気抵抗の増加を招く結果、風速が局所的に低下
し、前記効果が減少してしまう。そこで、これら第一の
副熱交換器30と第二の副熱交換器40の取り付け位置
としては、図10に示す様に、送風気流において同一流
線上を避け、主熱交換器である熱交換器小部22aと熱
交換器小部22bを挟んで、互いに位置をずらすように
配置するのが好ましい。
【0061】また、上記構成によれば、冷房運転の場
合、室内熱交換器21は蒸発器として作用するので、管
内圧力は第二の副熱交換器40、主熱交換器22、第一
の副熱交換器30の順に低くなっている。管内圧力の低
下に従って、管内冷媒の温度も、第二の副熱交換器4
0、主熱交換器22、第一の副熱交換器30の順に低く
なっており、第一の副熱交換器30の温度が最も低い。
空気の流れ方向も、第二の副熱交換器40、主熱交換器
22、第一の副熱交換器30の順に、冷媒温度の低下方
向と同じになっているので、第二の副熱交換器40側か
ら流入した被冷却室内空気は、徐々に低い温度の冷媒で
冷却されながら、ついには蒸発温度が最も低い第一の副
熱交換器30で冷却された後、室内へ吹き出され冷房に
供せられる。即ち、主熱交換器22の上流側に第二の副
熱交換器40を、下流側に第一の副熱交換器30を配置
した構成としたので徐々に低い温度の冷媒で空気を冷却
できるので、冷房時の冷却効率を大幅に向上できるとい
う効果がある。
【0062】また、上記構成によれば、除湿運転時に、
第二の副熱交換器40は加熱器として作用し、第一の副
熱交換器30は除湿冷却器として作用できるので、加熱
能力が増加すると共に、除湿能力も向上するので除湿効
率を大幅に改善できるという効果がある。したがって、
第二の副熱交換器40の加熱作用によって、除湿運転時
の吹き出し空気温度を下げることなく、除湿能力の改善
を図ることができるという効果を奏する。
【0063】上述したように、この第二の副熱交換器4
0の効果は、第一の副熱交換器30の場合と同様に、風
上に配置されている主熱熱交換器22と第二の副熱交換
器40とが熱的に分離されていることによるものであ
り、したがって第二の副熱交換器40は、第一の副熱交
換器30の場合と同様の方法で熱交換器を構成できる。
即ち、熱交換器小部22aと一体の2列または3列熱交
換器を、第二の副熱交換器部となるべき伝熱管1列また
は2列分のフィン部と主熱交換器となるべき伝熱管1列
または2列分のフィン部とを熱的に区画するように構成
すれば良い。また、全ての列間を熱的区画するように構
成しても良いのは勿論である。熱的に区画する方法とし
てはフィンを完全に切断する方法や部分的に切断する方
法等のいずれでも良い。部分的に切断する方法として
は、ミシン目状の切り込みを設ける方法や一部の接続部
を残すようにスリット穴を打ち抜く方法等適宜選択でき
るのは勿論である。なお、この第二の副熱交換器40を
主熱交換器である熱交換器小部22aと一体に構成した
場合には、室内ユニット組立時に取り扱う熱交換器も一
体として扱うことができるので、生産性が向上すること
も第一の副熱交換器の場合と同様である。
【0064】以上のように、上記に説明した本発明の実
施の形態になる空気調和機用室内ユニットの上記の構成
によれば、暖房運転時には、管内冷媒温度が主熱交換器
よりも高くなる副熱交換器を主熱交換器の風下側に別体
に配置する構成としたので、フィンを介して温度の異な
る伝熱管間での熱伝導損失を生じなく、暖房能力が向上
することとなる。
【0065】また、この時、室外熱交換器は蒸発器とし
て作用するが、管内冷媒温度が最も低くなる副熱交換器
を主熱交換器の風下側に別体に配置する構成としたの
で、風上側の主熱交換器で冷却除湿された低温・低湿度
空気が流入するので、低外気温時でも副熱交換器への着
霜が抑えられるとともに、外気からの汲み上げ熱量が大
幅に増加するので暖房能力が向上する。
【0066】さらには、暖房能力が一定の場合には、暖
房時に必要な冷媒と空気との温度差を小さくできるの
で、凝縮温度・圧力が低下し、蒸発温度・圧力が上昇し
て圧縮機の圧縮仕事が軽減されるので、暖房運転時の消
費電力量が少ない空気調和機を提供できるとともに熱交
換器を小型にできるので、室内外ユニットを小型にでき
るという効果がある。
【0067】
【発明の効果】上記の詳細な説明からも明らかなよう
に、本発明になる空気調和機用室内ユニットによれば、
熱交換器内での温度差に伴う熱交換による熱伝導損失を
抑制し、もって、消費電力を低下し、冷暖房能力、さら
に、除湿能力を更に向上することの可能な構造の空気調
和機用室内ユニットを提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態になる空気調和機用室内ユ
ニットの内部の詳細構造を示す横断面図である。
【図2】上記本発明の空気調和機用室内ユニットを含む
冷凍サイクルの構成図である。
【図3】上記空気調和機用室内ユニットの逆V字の背面
下向き傾斜部を構成しているフィンの構造を示す図であ
る。
【図4】上記空気調和機用室内ユニットの冷凍サイクル
に於ける冷凍サイクルのT−S線図である。
【図5】上記空気調和機用室内ユニットの第一の副熱交
換器を熱交換器小部と一体にした変形例を示す横断面図
である。
【図6】上記変形例になる一体構成の第一の副熱交換器
と熱交換器小部のフィンの構造を示す図である。
【図7】上記一体構成の第一の副熱交換器と熱交換器小
部とを熱的に区画する具体的な構造を示すフィンの一部
拡大断面斜視図である。
【図8】やはり、上記一体構成の第一の副熱交換器と熱
交換器小部とを熱的に区画する具体的な構造を示すフィ
ンの一部拡大断面斜視図である。
【図9】本発明の他の実施の形態になる空気調和機のサ
イクルの冷凍サイクル構成図である。
【図10】上記他の実施の形態になる空気調和機のサイ
クルの空気調和機用室内ユニットの内部の詳細構造を示
す横断面図である。
【符号の説明】
20 室内ユニット 21 室内熱交換器 22 主熱交換器 22a、22b 熱交換器小部 24 貫流ファン 201 箱体 202 ファンケーシング 203 上部吸込み口 204 前面吸込み口 30 第一の副熱交換器
フロントページの続き (72)発明者 小暮 博志 栃木県下都賀郡大平町大字富田800番地株 式会社日立製作所冷熱事業部内 (72)発明者 森本 素生 栃木県下都賀郡大平町大字富田800番地株 式会社日立製作所冷熱事業部内 (72)発明者 松原 栄介 栃木県下都賀郡大平町大字富田800番地株 式会社日立製作所冷熱事業部内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 上面吸込み口と、前面吸込み口と、貫流
    ファンと、前記両吸込み口と前記貫流ファンとの間に室
    内熱交換器とを配置してなる空気調和機用室内ユニット
    において、前記室内熱交換器は、前記上面吸込み口に面
    して配置された上面側熱交換部と前記前面吸込み口に面
    して配置された前面側熱交換部とから構成され、かつ、
    前記室内熱交換器の前記上面側熱交換部と前記前面側熱
    交換部とが互いに熱的に分離して構成されていることを
    特徴とする空気調和機用室内ユニット。
  2. 【請求項2】 前記請求項1に記載した空気調和機用室
    内ユニットにおいて、前記上面側熱交換部と前記前面側
    熱交換部とは、互いにフィンが分離されており、もっ
    て、互いに熱的に分離して構成されていることを特徴と
    する空気調和機用室内ユニット。
  3. 【請求項3】 前記請求項1に記載した空気調和機用室
    内ユニットにおいて、前記室内熱交換器の前記上面側熱
    交換部と前記前面側熱交換部の少なくとも一方には、さ
    らに、気流方向の下流側に熱的に分離されて配置された
    副熱交換部を設けたことを特徴とする空気調和機用室内
    ユニット。
  4. 【請求項4】 前記請求項3に記載した空気調和機用室
    内ユニットにおいて、該副熱交換部は、熱的に分離され
    た前記室内熱交換器の一方の熱交換部と一体に構成され
    たことを特徴とする空気調和機用室内ユニット。
  5. 【請求項5】 前記請求項3に記載した空気調和機用室
    内ユニットにおいて、前記室内熱交換器の前記上面側熱
    交換部と前記前面側熱交換部の他方には、さらに、気流
    方向の下流側に熱的に分離されて配置された副熱交換部
    を設けたことを特徴とする空気調和機用室内ユニット。
  6. 【請求項6】 前記請求項5に記載した空気調和機用室
    内ユニットにおいて、該副熱交換器は熱的に分離された
    前記室内熱交換器の他方の熱交換部と一体に構成された
    ことを特徴とする空気調和機用室内ユニット。
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