JPH10246303A - ピストン推力倍増機構 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 推力倍増機構の小型化、内部構造の簡素化及
び長ストロークへの対応を可能とする。 【構成】 内壁に第１の雌ねじが切設された中空円筒体
で形成されシリンダ１１内に長手方向に移動自在に配設
されたピストン８と、ピストン８の第１の雌ねじと噛合
される第１の雄ねじが外周面に切設されると共に内壁に
第２の雌ねじが切設された円筒体で形成されたＷスクリ
ュゥねじ６と、Ｗスクリュゥねじ６の第２の雌ねじに噛
合される第２の雄ねじが外周面に切設された回転レス推
力軸５と、ピストン８を所定の方向に押圧するようにピ
ストン８とシリンダ１１との間にシリンダ１１の内壁に
沿って配設されたコイルばね７とを有し、油圧、水圧、
空気圧等によりピストン８の移動によってＷスクリュゥ
ねじ６をピストン８の内壁に沿って回転させると共に、
Ｗスクリュゥねじ６の回転により回転レス推力軸５を長
手方向に移動させる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、エア、または油圧ある
いは水圧等シリンダのピストン出力軸の推力を小スペー
スで倍増させるピストン推力倍増機構に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来におけるこの種のピストン倍力機構
は、カムや油圧を用いる方式等が実用に供されていた
が、装置が大型化するか、あるいは小型のものであって
も内部構造が複雑化するか、または、ストロークが大き
くとれない等の問題があった。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】本発明は従来の技術に
内在する上記実情に鑑みてなされたものであり、従って
本発明の目的は、ピストン推力倍増機構の小型化と、長
ストロークへの対応、及び内部構造の簡素化の実現を可
能とした新規なピストン推力倍増機構を提供することに
ある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記目的を解決する為
に、本発明に係るピストン推力倍増機構は、シリンダ内
部に２重のねじ構造を採用している。

【０００５】即ち、本発明は、更に詳しくは、内壁に第
１の雌ねじが切設された中空円筒体で形成されシリンダ
内に長手方向に移動自在に配設されたピストンと、該ピ
ストンの前記第１の雌ねじと噛合される第１の雄ねじが
外周面に切設されると共に内壁に第２の雌ねじが切設さ
れた円筒体で形成されたＷスクリュゥねじと、該Ｗスク
リュゥねじの前記第２の雌ねじに噛合される第２の雄ね
じが外周面に切設された回転レス推力軸と、前記ピスト
ンを所定の方向に押圧するように前記ピストンと前記シ
リンダとの間に該シリンダの内壁に沿って配設されたコ
イルばねとを備えて構成され、油圧、水圧、空気圧等に
よって前記ピストンを移動させて前記Ｗスクリュゥねじ
を該ピストンの内壁に沿って回転させると共に、該Ｗス
クリュゥねじの回転により前記回転レス推力軸を長手方
向に移動させることを特徴としている。

【０００６】

【実施例】次に本発明をその良好な一実施例について図
面を参照しながら具体的に説明する。

【０００７】図１は本発明の一実施例を示す構成図であ
り、そのうち、（ａ）は平面図、（ｂ）は内部構造を示
す断面図、（ｃ）は底面図、（ｄ）は固定用ボルトの正
面図である。図２は本発明の一実施例の分解図、図３は
シリンダの構成図であり、（ａ）はシリンダ上部ヘッド
の断面図、（ｂ）はシリンダの断面図、（ｃ）はシリン
ダ下部ヘッドの平面図である。

【０００８】図１〜図３を参照するに、参照符号１１は
シリンダを示し、このシリンダ１１の中には円筒体によ
って形成されたピストン８がその長手方向に移動自在
に、即ち、図示された実施例では上下動可能に配設され
ている。ピストン８はピストン８の外周とシリンダ１１
の内壁との間に配設されたコイルばね７により、常に上
方向に押し上げられている。

【０００９】ピストン８は、シリンダ１１に対して、軸
を中心にして回転しないように形成されているが、その
方法は種々考えられるが、本実施例においては図１にお
いてコイルばね７の上端がピストン８の上端に固定さ
れ、下端がシリンダ１１の下端に配設されたスチールボ
ール受け金具４に固定され、しかしてピストン８の回転
が阻止される。

【００１０】ピストン８の内周面即ち内壁には右ねじ
（雌ねじ）８ａが切設されている。このねじ８ａはリー
ド角４５°以上が理想であるが、特にこの範囲に限定す
る意図はなく、この範囲外でも充分利用し得ることは勿
論である。

【００１１】ピストン８の内部には、その右ねじ８ａに
噛み合う形の雄ねじ６ａが外周部に切設されているＷス
クリュゥねじ６が配設されている。

【００１２】このＷスクリュゥねじ６は、シリンダ１１
の下部に固定されたシリンダヘッド下部１、スチールボ
ール受け座金２、スチールボール受け金具４に設けられ
たスチールボール３を介して軸を中心にして回転自在に
配設されている。このＷスクリュゥねじ６は、回転のみ
可能なように、シリンダ１１に固定されたシリンダヘッ
ド下部１、スチールボール受け座金２、スチールボール
受け金具４に設けられたスチールボール３により、シリ
ンダ１１に対して上下動はしないように形成されてい
る。

【００１３】Ｗスクリュゥねじ６の内壁部には、その外
周部に形成されたねじ６ａより小さな径の左ねじの雌ね
じ６ｂが切設されている。Ｗスクリュゥねじ６の中心部
の左ねじ６ｂは、外周部のねじ６ａに対してリード角が
小さく形成されている。

【００１４】Ｗスクリュゥねじ６の中心部には、その左
ねじ６ｂに噛み合う雄ねじ５ａが外周部に切設された回
転レス推力軸５が軸方向（長手方向）に移動可能に配設
されている。即ち、回転レス推力軸５はシリンダヘッド
下部１に対して上下動可能に配設されている。回転レス
推力軸５は、断面が小判状に形成され、それによってシ
リンダヘッド下部１に対して軸を中心にして回転しない
ように形成されている。

【００１５】ピストン８の上部周面に形成された溝８ｂ
にはピストンリング１０が装着されており、更にピスト
ン８の上部に形成された凹所にはピストンヘッド９が嵌
着されている。

【００１６】シリンダヘッド下部１、スチールボール受
け座金２、スチールボール受け金具４、シリンダ１１、
シリンダヘッド上部１２等は４個のボルト１３によって
一体的に固定されている。

【００１７】次に本発明の動作について説明するに、図
４の（ａ）、（ｂ）、（ｃ）は、それぞれ、ピストンの
停止状態、作動中、作動後を示す全体の断面図である。
この図４に示すシリンダは、エアの入力に対して回転レ
ス推力軸５が上方向へ動くシリンダを例にとって説明し
ている。

【００１８】図４を参照するに、先ず、シリンダ１１の
上部に固定されたシリンダヘッド１２の上部の孔１２ａ
からエアまたは油が入って、ピストン８が下方向に押し
下げられると、ピストン８の内壁に切設された右ねじ８
ａとＷスクリュゥねじ６の外周部に形成された右ねじ６
ａが噛み合うことにより、Ｗスクリュゥねじ６は軸を中
心にして反時計方向に回転する。

【００１９】Ｗスクリュゥねじ６が軸を中心にして反時
計方向に回転すると、その内壁部に切設された左ねじ６
ｂと回転レス推力軸５の外周部に切設された左ねじ５ａ
が噛み合うことにより、回転レス推力軸５は上方向へ引
き上げられる。

【００２０】逆に、エアまたはシリンダ１１から抜ける
時には、上記動作の逆の動作をする。

【００２１】上記動作の際に、Ｗスクリュゥねじ６の外
周部より内周部のねじピッチが小さいために、ピストン
８の移動量に対して回転レス推力軸５の移動量が少なく
減速されるので、この減速分が推力の倍増作用となる。

【００２２】また、Ｗスクリュゥねじ６の内壁部に形成
されたねじ６ｂと、回転レス推力軸５の外壁部に形成さ
れたねじ５ａとを右ねじにすると、回転レス推力軸５の
動く方向は逆転し、図４と逆方向即ち、下方向（ピスト
ン８と同方向）に移動するようになる。

【００２３】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
Ｗスクリュゥねじのピッチの設定次第でどのような減速
比をも容易に設定することができ、またシリンダを長く
することにより、長ストロークの倍力シリンダも小スペ
ースで実現可能である。

【００２４】また、他の方式に比べて部品の製作が簡単
であり、部品を少なくして構成することができることか
ら、廉価に製作できると共にトラブルの発生も少なくす
ることが可能である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示す構成図であり、そのう
ち、（ａ）は平面図、（ｂ）は内部構造を示す断面図、
（ｃ）は底面図、（ｄ）は固定用ボルトの正面図であ
る。

【図２】本発明の一実施例の分解図である。

【図３】シリンダの構成図であり、（ａ）はシリンダ上
部ヘッドの断面図、（ｂ）はシリンダの断面図、（ｃ）
はシリンダ下部ヘッドの平面図である。

【図４】（ａ）、（ｂ）、（ｃ）は、それぞれ、ピスト
ンの停止状態、作動中、作動後を示す全体の断面図であ
る。

【符号の説明】

１…シリンダヘッド下部 ２…スチールボール受け座金 ３…スチールボール ４…スチールボール受け金具 ５…回転レス推力軸 ６…Ｗスクリュゥねじ ７…コイルばね ８…ピストン ９…ピストンヘッド １０…ピストンリング １１…シリンダ １２シリンダヘッド上部 １３…固定用ボルト

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 内壁に第１の雌ねじが切設された中空円
   筒体で形成されシリンダ内に長手方向に移動自在に配設
   されたピストンと、該ピストンの前記第１の雌ねじと噛
   合される第１の雄ねじが外周面に切設されると共に内壁
   に第２の雌ねじが切設された円筒体で形成されたＷスク
   リュゥねじと、該Ｗスクリュゥねじの前記第２の雌ねじ
   に噛合される第２の雄ねじが外周面に切設された回転レ
   ス推力軸と、前記ピストンを所定の方向に押圧するよう
   に前記ピストンと前記シリンダとの間に該シリンダの内
   壁に沿って配設されたコイルばねとを有し、油圧、水
   圧、空気圧等によって前記ピストンの移動により前記Ｗ
   スクリュゥねじを該ピストンの内壁に沿って回転させる
   と共に、該Ｗスクリュゥねじの回転により前記回転レス
   推力軸を長手方向に移動させることを特徴とするピスト
   ン推力倍増機構。
2. 【請求項２】 前記第１の雌ねじと前記第１の雄ねじの
   リード角は前記第２の雌ねじと前記第２の雄ねじのリー
   ド角よりも大きいことを更に特徴とする請求項１に記載
   のピストン推力倍増機構。
3. 【請求項３】 前記ピストンと前記回転レス推力軸とは
   長手方向に移動するだけであって回転することはなく、
   前記Ｗスクリュゥねじは回転するだけであって、長手方
   向に移動しないことを更に特徴とする請求項１または２
   のいずれか一項に記載のピストン推力倍増機構。
4. 【請求項４】 前記第２の雌ねじ及び前記第２の雄ねじ
   の各ねじの切り方を前記第１の雌ねじ及び前記第１の雄
   ねじの各ねじの切り方と逆にすることにより前記回転レ
   ス推力軸を前記ピストンに対して逆方向に移動させるこ
   とを更に特徴とする請求項１〜３のいずれか一項に記載
   のピストン推力倍増機構。