JPH0315205Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、圧延機のロールシフト装置に関す
るものである。

圧延機のワークロール、中間ロールなどをその
軸線方向にシフト可能として、そのシフト位置を
調整することは、圧延材の板幅方向の厚みを制御
する上において、またワークロールの偏摩耗を防
止する上においてきわめて有効である。

従来のロールシフト装置は、シフトすべきロー
ルの端部に連結される雌ねじと、この雌ねじを移
動させる移動機構とが全く別個のものとして構成
されていた。例えば、ロールの端部に雌ねじを連
結して、この雌ねじと圧延機のハウジングとの間
に、移動機構としての油圧シリンダを単に介在さ
せるようにして備えた構成とされていて、ロール
の軸線方向に沿つて油圧シリンダと雌ねじが直列
的に並ぶようになつている。このため、ロールシ
フト装置自身が特にロールの軸線方向に関して大
きなものとなり、スペース的に不利であつた。ま
た、ロールの組替作業を行なう側のロール端部に
対しては、このような大きなロールシフト装置を
備えることができず、必然的にその装置箇所がロ
ールの他の端部側に特定されるといつた制約があ
つた。

この考案は上記事情を考慮してなされたもので
あり、ロールの端部に連結される雌ねじと、この
雌ねじを移動させる移動機構とを集約的に組み合
わせた構成とすることにより、装置自体を特にロ
ールの軸線方向に関して小さなものと成して、ス
ペース的に有利でロールの組替作業を行なう側の
ロール端部に対しても装備することができる圧延
機のロールシフト装置を提供するものである。

以下、この考案を図示する一実施例に基づいて
説明する。

図中１はロールであり、これは両端の軸受２と
共にその軸線方向に沿つて移動可能とされてい
る。第１図の右半分と左半分にて、このロール１
の異なる移動状態を同時に表わす。本ロールシフ
ト装置は、このようなロール１をシフト調整する
ものである。

軸受２側の第１図中左右の両側には、ロール１
の径方向に沿つて外方に突出する突出部３がそれ
ぞれ設けられている。一方、圧延機のハウジング
４側には、突出部３の先端との対向位置にてロー
ル１の軸線方向に移動可能な左右の雌ねじ５が備
えられている。これらの雌ねじ５の移動は、それ
自体の上下に設けられた突部６と、ハウジング４
側に設けられて突部６と嵌まり合うガイド溝７ａ
を有するガイド体７とによつてガイドされてい
る。

ところで、左右の雌ねじ５は、第１図中にて対
称的なものとされている。そこで、以下は右側の
雌ねじ５を代表として説明する。

雌ねじ５の胴部は細身とされていて、そこに、
上記突出部３に離接する方向すなわち第１図中左
右に移動可能な連結体８が嵌め付けられている。
この連結体８は２つの構成部材８ａ，８ｂの結合
によつて成り、第２図に表われるような四角枠形
状とされている。その構成部材８ａ側には、第２
図中右方に開口する２つの第１のシリンダ室R₁
と、同図中左方に開口する１つの第２のシリンダ
室R₂が形成されている。第１のシリンダ室R₁内
には、雌ねじ５側のプレート９に設けられた第１
のピストン１０が右方から嵌め合わされ、第２の
シリンダ室R₂内には、雌ねじ５に設けられた第
２のピストン１１が左方から嵌め合わされてい
る。そして、第１のシリンダ室R₁内に外部から
油圧が導入されることにより連結体８が左方へ移
動し、一方、第２のシリンダ室R₂内に外部から
油圧が導入されることにより連結体８が右方へ移
動するようになつている。

連結体８の外周部において、前記突出部３の先
端と対向する箇所には切欠き８ｃが形成されてい
る。この切欠き８ｃは、雌ねじ５の周面の一部を
成すと共に、突出部３の先端への嵌め合い部を成
すものであつて、連結体８が左方へ移動したとき
に、第１図に示すように突出部３の先端と嵌まり
合つて、その突出部３と雌ねじ５とを連結し、ま
た、連結体８を右方に移動させることにより、第
３図に示すように切欠き８ｃを突出部３の先端か
ら外し、これによつて、ロール１を軸受２、突出
部３とともに第１図、第３図において下方に引き
出すことができるようになつている。

雌ねじ５の内部中央には、ロール１の軸線方向
に沿つて第３図中の下方からねじ棒１２がねじ付
けられ、そしてこのねじ棒１２の同図中下方の基
端部は、ハウジング４側のボツクス１３内にて回
転可能に保持されている。このボツクス１３内に
は、図示しない回動機構によつて正逆転されるウ
オーム１４が第３図中の紙面の表裏方向に沿うよ
うにして備えられ、そして、このウオーム１４に
噛み合うウオームホイール１５が前記ねじ棒１２
に嵌め付けられている。したがつて、ウオーム１
４の正、逆転に応じて、雌ねじ５がロール１の軸
線方向に沿つて往復動する。

なお、図中１６は、雌ねじ５とボツクス１３と
の間に取付けられてねじ棒１２の露出部を覆う蛇
腹状のカバーである。

しかして、このように成した本ロールシフト装
置は、ロール１側の突出部３に雌ねじ５を連結
し、そしてウオーム１４の回転に基づいて雌ねじ
５を往復動させることにより、ロール１その軸線
方向に適宜シフトさせることができる。また、連
結体８を突出部３から離れるように移動させて切
欠き８ｃと突出部３の先端との係合を解除すれ
ば、ロール１をそのまま引き出すことが可能であ
るので、ロール組替作業を極めて容易に行うこと
ができる。

ところで、上記実施例では、第１図中における
ねじ棒１２の下端側をその基端として、その基端
の位置に、ハウジング４から離すようにしてボツ
クス１３を備えているが、これとは反対に、第１
図中におけるねじ棒１２の上端側をその基端とし
て、その基端の位置に、ハウジング４に近づける
ようにしてボツクス１３を備えて、その基端とし
たねじ棒１２の端部に回転力を加えるようにして
もよい。

以上説明したように、この考案に係る圧延機の
ロールシフト装置は、定位置に備えられて雌ねじ
の内部にねじ合うねじ棒の回動によつて、そのね
じ棒の軸線方向に雌ねじを移動させ、かつそのね
じ棒をウオーム機構を介して回動させると共に、
雌ねじ外側部に、ロール端部に設けた突出部に離
接する方向に移動自在とされてその突出部の先端
に係脱可能な連結体を設けた構成であるから、ね
じ棒の軸線方向に相当するロールの軸線方向に関
する本装置の長さをねじ棒の長さ程度に短く設定
することができ、この結果、スペース的に有利で
あるとともに、ロール組替作業の際にはこのロー
ルシフト装置が配置された側にロールを容易に引
き出すことができる、という効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

図面はこの考案の一実施例を示し、第１図は本
実施例が適用された圧延機のロール端部の要部断
面図、第２図は第１図の矢視図、第３図は要部
の拡大断面図である。 １……ロール、３……突出部、４……ハウジン
グ、５……雌ねじ、８……連結体、１２……ねじ
棒、１４……ウオーム、１５……ウオームホイー
ル。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 圧延機のロールをその軸線方向にシフトさせる
   ロールシフト装置において、ロールの端部側に、
   そのロールの径方向外方に突出する突出部を設
   け、圧延機のハウジング側に、前記突出部の先端
   に近接してロールの軸線方向に沿つて往復動可能
   な雌ねじを備え、この雌ねじの外側部に、前記突
   出部に離接する方向に移動自在とされてその突出
   部の先端に係脱可能な連結体を設け、圧延機のハ
   ウジング側の定位値に、ロールの軸線方向に延在
   して前記雌ねじの内部にねじ合うねじ棒をその軸
   線を中心として回動可能に設け、このねじ棒にウ
   オームホイールを取り付け、このウオームホイー
   ルに噛み合うウオームを圧延機のハウジング側に
   回動可能に設け、このウオームを回動させる回動
   機構を有してなることを特徴とする圧延機のロー
   ルシフト装置。